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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】電子パーキングの機械的ロック解除機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
F16H63/34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022556127
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2020083763
(87)【国際公開番号】W WO2021184455
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】202010186448.2
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522084131
【氏名又は名称】精▲進▼▲電▼▲動▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】侯 得▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】李 建文
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 冉
(72)【発明者】
【氏名】木 国▲棟▼
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110686077(CN,A)
【文献】特開2018-080799(JP,A)
【文献】特開2015-206419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子パーキングの機械的ロック解除機構であって、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ、パーキングギア、ケーブルアセンブリ及びアクチュエータアセンブリを含み、
前記パーキングカムアセンブリが、パーキングガイド軸及びパーキングカムを含み、前記パーキングカムが前記パーキングガイド軸に外装されており、前記パーキングカムの外側には、周方向に弧状の突起が設けられており、
前記ポールアセンブリが、ポール、ポール回転軸を含み、前記ポールの末端の一側が、前記パーキングカムにおける前記弧状の突起が設けられた側と当接し、前記ポールの末端の他側には、パーキングギアに挿入可能なバンプが設けられており、前記ポール回転軸が前記ポールの他端に設けられており、前記ポールが前記ポール回転軸周りに揺動可能であり、前記パーキングカムの回転及び並進に伴って、前記ポールは、前記パーキングギアが固定されるようにパーキングインする第一の位置、又は、前記パーキングギアが回転可能になるようにパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置し、
前記ケーブルアセンブリは、一端がアクチュエータアセンブリに接続され、他端が前記パーキングガイド軸に接続されており、前記ケーブルアセンブリが、前記パーキングガイド軸を軸方向に沿って並進させることが可能であり、
前記アクチュエータアセンブリが前記ケーブルアセンブリを介して前記パーキングガイド軸を並進させるように駆動することにより、前記ポールが前記第一の位置から前記第二の位置に移動される、ことを特徴とする電子パーキングの機械的ロック解除機構。
【請求項2】
前記ケーブルアセンブリが、プルワイヤ、ガイド軸ネジを含み、前記プルワイヤの両端にプルワイヤボールエンドロッドが設けられており、前記プルワイヤボールエンドロッドが、プルワイヤの端部に接続されており、前記プルワイヤに外装された前記ガイド軸ネジを介して前記パーキングガイド軸又は前記アクチュエータアセンブリの端穴に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項3】
前記プルワイヤボールエンドロッドのボールエンドと、前記端穴とは、一定の軸方向空間が残されるように隙間ばめしている、ことを特徴とする請求項2に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項4】
前記ケーブルアセンブリが、ギアボックス筐体の内部の円柱台に取り付けられて前記プルワイヤの案内方向を変更するためのプルワイヤローリングホイールをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項5】
前記アクチュエータアセンブリが、プルロッド又はロッカーアーム構造であり、前記プルロッド又は前記ロッカーアーム構造が、ギアボックスの外の全車プルワイヤ又は全車プルロッドに繋がっており、
前記プルロッドが、ギアボックス筐体における外部に通じる位置決め穴に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項6】
前記ロッカーアーム構造が、ロッカーアーム、スラストワッシャ、ケーブルガイドホイール、ロッカーアーム回転軸カバーを含み、前記ケーブルガイドホイールは、前記ロッカーアーム構造を固定するために、一端がギアボックス筐体の穴と隙間ばめしており、前記ケーブルガイドホイールの下部には、前記ケーブルアセンブリに接続される径方向突起部が設けられており、前記ロッカーアームが、前記スラストワッシャを介して前記ケーブルガイドホイールの他端に固定されており、前記ロッカーアーム回転軸カバーが、前記径方向突起部と前記ロッカーアームとの間の前記ケーブルガイドホイールに外装され、かつギアボックス筐体に固定されている、ことを特徴とする請求項5に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項7】
前記ロッカーアーム構造が、前記ケーブルガイドホイールと前記ロッカーアーム回転軸カバーとの間に設けられたシールリングをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項8】
前記機械的ロック解除機構が、弾性アセンブリをさらに含み、前記弾性アセンブリが、前記パーキングガイド軸の末端に順次に外装された、スラストベアリング、リターンばね及びスラストベアリングワッシャを含み、前記スラストベアリングのボール端がパーキングカム位置規制プレートに当接し、前記リターンばねは、一端が前記スラストベアリングの平面端に当接し、他端が前記スラストベアリングワッシャに固定接続され、前記スラストベアリングワッシャがギアボックス筐体に当接し、前記リターンばねには、付勢力が付与されている、ことを特徴とする請求項1に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項9】
前記ポール回転軸がギアボックスの両側の筐体に固定されており、前記ポールが前記ポール回転軸周りに回動可能であり、前記ポールアセンブリがねじりばねをさらに含み、前記ねじりばねは、一端がギアボックス筐体に固定され、他端が前記ポールに固定されていることで、前記ポールが前記パーキングカムに予め圧着され、かつ、前記ロック解除機構がねじりばね故障防止アセンブリをさらに含む、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の機械的ロック解除機構。
【請求項10】
前記ねじりばね故障防止アセンブリは、前記ポールの末端のガイド部の端部に設けられたガイドピンと、前記パーキングカム及び/又はパーキングカム位置規制プレートに設けられたガイド溝とを含み、前記ガイドピンが前記ガイド溝内に入り込む、ことを特徴とする請求項9に記載の機械的ロック解除機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキング制御の分野に関し、具体的に、電子パーキングの機械的ロック解除機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ギアボックス(変速機)の電子パーキング機構は、自動車を路上や坂道に駐車する際に、車両が滑走したり後方にずり下がったりしてしまうのを防ぐ機構である。現在、多数の新エネルギーギアボックスの電子パーキング機構は、構造上の柔軟性が不十分で、製品のライフサイクルが限られて、しかも、機械的ロック解除機構がパーキングモータのウォームに配置されており、パーキングモータの電源が失われた場合、このようなロック解除方式では、機械的ロック解除を実施するために、運転者が車両の下で操作しなければならず、安全性が低く、快適性が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記の問題を解決又は部分的に解決する電子パーキングの機械的ロック解除機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0005】
本発明では、電子パーキングの機械的ロック解除機構が提供されており、前記機械的ロック解除機構が、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ、パーキングギア、ケーブルアセンブリ及びアクチュエータアセンブリを含み、
前記パーキングカムアセンブリが、パーキングガイド軸及びパーキングカムを含み、前記パーキングカムが前記パーキングガイド軸に外装されており、前記パーキングカムの外側には、周方向に弧状の突起が設けられており、
前記ポールアセンブリが、ポール、ポール回転軸を含み、前記ポールの末端の一側が、前記パーキングカムにおける前記弧状の突起が設けられた側と当接し、前記ポールの末端の他側には、パーキングギアに挿入可能なバンプが設けられており、前記ポール回転軸が前記ポールの他端に設けられており、前記ポールが前記ポール回転軸周りに揺動可能であり、前記パーキングカムの回転及び並進に伴って、前記ポールは、前記パーキングギアが固定されるようにパーキングインする第一の位置、又は、前記パーキングギアが回転可能になるようにパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置し、
前記ケーブルアセンブリは、一端がアクチュエータアセンブリに接続され、他端が前記パーキングガイド軸に接続されており、前記ケーブルアセンブリが、前記パーキングガイド軸を軸方向に沿って並進させることが可能であり、
前記アクチュエータアセンブリが前記ケーブルアセンブリを介して前記パーキングガイド軸を並進させるように駆動することにより、前記ポールが前記第一の位置から前記第二の位置に移動される。
【0006】
さらに、前記ケーブルアセンブリが、プルワイヤ、ガイド軸ネジを含み、前記プルワイヤの両端にプルワイヤボールエンドロッドが設けられており、前記プルワイヤボールエンドロッドが、プルワイヤの端部に接続されており、前記プルワイヤに外装された前記ガイド軸ネジを介して前記パーキングガイド軸又は前記アクチュエータアセンブリの端穴に接続されている。
【0007】
さらに、前記プルワイヤボールエンドロッドのボールエンドと、前記端穴とは、一定の軸方向空間が残されるように隙間ばめしている。
【0008】
さらに、前記ケーブルアセンブリが、ギアボックス筐体の内部の円柱台に取り付けられて前記プルワイヤの案内方向を変更するためのプルワイヤローリングホイールをさらに含む。
【0009】
さらに、前記アクチュエータアセンブリが、プルロッド又はロッカーアーム構造であり、前記プルロッド又は前記ロッカーアーム構造が、ギアボックスの外の全車プルワイヤ又は全車プルロッドに繋がっており、
前記プルロッドが、ギアボックス筐体における外部に通じる位置決め穴に取り付けられている。
【0010】
さらに、前記ロッカーアーム構造が、ロッカーアーム、スラストワッシャ、ケーブルガイドホイール、ロッカーアーム回転軸カバーを含み、前記ケーブルガイドホイールは、前記ロッカーアーム構造を固定するために、一端がギアボックス筐体の穴と隙間ばめしており、前記ケーブルガイドホイールの下部には、前記ケーブルアセンブリに接続される径方向突起部が設けられており、前記ロッカーアームが、前記スラストワッシャを介して前記ケーブルガイドホイールの他端に固定されており、前記ロッカーアーム回転軸カバーが、前記径方向突起部と前記ロッカーアームとの間の前記ケーブルガイドホイールに外装され、かつギアボックス筐体に固定されている。
【0011】
さらに、前記ロッカーアーム構造が、前記ケーブルガイドホイールと前記ロッカーアーム回転軸カバーとの間に設けられたシールリングをさらに含む。
【0012】
さらに、前記機械的ロック解除機構が、弾性アセンブリをさらに含み、前記弾性アセンブリが、前記パーキングガイド軸の末端に順次に外装された、スラストベアリング、リターンばね及びスラストベアリングワッシャを含み、前記スラストベアリングのボール端が前記パーキングカム位置規制プレートに当接し、前記リターンばねは、一端が前記スラストベアリングの平面端に当接し、他端が前記スラストベアリングワッシャに固定接続され、前記スラストベアリングワッシャがギアボックス筐体に当接し、前記リターンばねには、付勢力が付与されている。
【0013】
さらに、前記ポール回転軸がギアボックスの両側の筐体に固定されており、前記ポールが前記ポール回転軸周りに回動可能であり、前記ポールアセンブリがねじりばねをさらに含み、前記ねじりばねは、一端がギアボックス筐体に固定され、他端が前記ポールに固定されていることで、前記ポールが前記パーキングカムに予め圧着され、かつ、前記ロック解除機構がねじりばね故障防止アセンブリをさらに含む。
【0014】
さらに、前記ねじりばね故障防止アセンブリは、前記ポールの末端のガイド部の端部に設けられたガイドピンと、前記パーキングカム及び/又はパーキングカム位置規制プレートに設けられたガイド溝とを含み、前記ガイドピンが前記ガイド溝内に入り込む。
【発明の効果】
【0015】
上記電子パーキングの機械的ロック解除機構を用いると、以下の利点を有する。
【0016】
本発明による機械的ロック解除機構は、パーキングモータへの電力供給が断たれた場合における緊急機械的ロック解除機能を提供でき、パーキングガイド軸がケーブルアセンブリを介して、ギアボックスに設けられたアクチュエータアセンブリに接続されるという配置によって、運転者が運転室内で機械的ロック解除を実現でき、機械的ロック解除機構によって、電源からの動力なしで純粋に機械的に運転室内でのロック解除を実現でき、運転者が車から降りて操作する必要がなく、安全性能が高くて、操作の快適性が良い。また、本発明の機械的ロック解除機構は、ねじりばね故障防止アセンブリを設けることにより、ねじりばねが故障した場合でも、パーキングロック解除を実現することができ、かつ、非パーキング状態では、ポールがパーキングギアの溝内に落下するのを効果的に防止することができる。
【0017】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、それらを明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより容易に理解するために、以下、特に、本発明の具体的な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施例における電子パーキングの機械的ロック解除機構の構造模式図を示している。
図2図2は、本発明の一実施例におけるケーブルアセンブリの構造模式図を示している。
図3図3は、本発明の一実施例における電子パーキングの機械的ロック解除機構の構造模式図を示している。
図4図4は、本発明の一実施例におけるロッカーアームアセンブリの構造模式図を示している。
図5図5は、本発明の一実施例におけるパーキングイン状態時のパーキングカム及びポールの構造模式図を示している。
図6図6は、本発明の一実施例における機械的ロック解除後のパーキングカム及びポールの構造模式図を示している。
図7図7は、本発明の一実施例におけるねじりばね故障防止アセンブリの構造模式図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現されてもよく、ここに記載の実施例によって限定されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供される。
【0020】
図1に示すように、本発明では、電子パーキングの機械的ロック解除機構が提供されており、機械的ロック解除機構が、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ、パーキングギア17、ケーブルアセンブリ5、及びアクチュエータアセンブリを含む。
【0021】
具体的に、パーキングカムアセンブリは、パーキングガイド軸11と、パーキングガイド軸11に固定されたパーキングカム位置規制プレート9と、パーキングガイド軸11に締まりばめして外装された軸方向位置規制ブロック10と、軸方向位置規制ブロック10とパーキングカム位置規制プレート9との間のパーキングガイド軸11に外装されたパーキングカム13とを含み、パーキングカム位置規制プレート9が、パーキングカム13を回動させることが可能である。軸方向位置規制ブロック10がパーキングカム13の位置を制限し、パーキングカム13が軸方向位置規制ブロック10とパーキングカム位置規制プレート9との間のパーキングガイド軸11上で柔軟に回動可能である。
【0022】
パーキングカム13の外側には、周方向に弧状の突起が設けられており、パーキングガイド軸11が回動すると、それに固定されたパーキングカム位置規制プレート9がそれに伴って回転し、パーキングカム位置規制プレート9が、パーキングカム13を回動させることが可能となる。パーキングカム13の突起部には、パーキングガイド軸11の軸方向に沿って延びた周方向輪郭が設けられ、弧状の突起が周方向輪郭の外辺側に設けられており、周方向輪郭がポールアセンブリに接触していると、ポールアセンブリが持ち上げられた状態にあり、ポール16が、パーキングギア17が回転するようにパーキングアウトする第二の位置に位置し、周方向輪郭上の弧状の突起がポールアセンブリに接触していると、ポールアセンブリが押し下げられた状態にあり、ポール16は、パーキングギア17が固定されるようにパーキングインする第一の位置に位置し、周方向輪郭がパーキングポールアセンブリの位置を制限する役割を果たし、パーキングポールアセンブリが一定の範囲内で動くようにさせる。本実施例におけるパーキングガイド軸11は、一端が平軸であり、他端が丸軸であり、パーキングガイド軸11の平軸端がギアボックス筐体を貫通し、パーキングガイド軸11の丸軸端がギアボックス筐体内に固定されており、パーキングガイド軸11の平軸端がパーキングモータに接続されており、パーキングモータがパーキングガイド軸を回動させると、パーキングガイド軸11が軸方向に移動可能となる。
【0023】
図1に示すように、パーキングカム位置規制プレート9が少なくとも、間隔を置いて設けられた第一のブレード部及び第二のブレード部を含み、第一のブレード部及び第二のブレード部がパーキングカム13の突起部の両側にそれぞれ設けられており、第一のブレード部における突起部に向いた側には、第一のばね柱が設けられており、突起部には、対応する第二のばね柱が設けられており、第一のばね柱及び第二のばね柱には、パドルばね12が外装されており、第二のブレード部には、突起部の他側に当接する湾曲爪が形成されている。
【0024】
ポールアセンブリが、ポール16、ポール回転軸1を含み、ポール16の末端の一側が、パーキングカム13における弧状の突起が設けられた側と当接し、ポール16の末端の他側には、パーキングギア17に挿入可能なバンプが設けられており、ポール回転軸1がポール16の他端に設けられており、ポール16がポール回転軸1の周りに揺動可能であり、パーキングカム13の回転及び並進に伴って、ポール16は、パーキングギア17が固定されるようにパーキングインする第一の位置、又は、パーキングギア17が回転可能になるようにパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置する。パーキングギア17が、パーキングカム13の回転、及び、ポール16のポール回転軸1に沿った回転に伴って、固定状態又は回転可能状態の2つの状態にそれぞれあることで、パーキング又は走行が実現される。
【0025】
ケーブルアセンブリ5は、一端がアクチュエータアセンブリに接続され、他端がパーキングガイド軸11に接続されており、ケーブルアセンブリ5が、パーキングガイド軸11を軸方向に沿って並進させることが可能であり、ケーブルアセンブリ5がギアボックス筐体内に設けられている。
【0026】
アクチュエータアセンブリがケーブルアセンブリ5を介してパーキングガイド軸11を並進させるように駆動することにより、ポール16が第一の位置から第二の位置に移動される。
【0027】
以上をまとめて、本発明の実施例において、自動車がパーキング状態にある場合、このとき、パーキングカム13における弧状の突起がポールアセンブリと接触し、パーキングイン状態におけるパーキングカム13とポール16との位置関係について、図5に示すように、ポール16は、パーキングギア17が固定されるようにパーキングインする第一の位置に位置し、パーキングモータが回動して電動パーキングロック解除を行うことができない場合、アクチュエータアセンブリを手動で機械的に操作することが可能であり、そうすると、アクチュエータアセンブリがケーブルアセンブリ5を介してパーキングガイド軸11の軸方向移動を実現し、弧状の突起がポールアセンブリを押し下げなくなり、ポール16は、パーキングギア17が固定されるようにパーキングインする第一の位置から、パーキングギア17が回転可能になるようにパーキングアウトする第二の位置に変位し、さらに、自動車のパーキングロック解除が実現され、機械的ロック解除後のパーキングカム13とポール16との位置関係が、図6に示す。本実施例による機械的ロック解除機構は、車両の下で機械的ロック解除を行う必要がなく、かつ、当該機械的ロック解除機構は、操作が簡単であり、安全性が高く、快適性が良い。
【0028】
一実施例において、図2に示すように、ケーブルアセンブリ5が、プルワイヤ5-3、ガイド軸ネジ5-2、及び、プルワイヤ5-3の両端に設けられたプルワイヤボールエンドロッド5-1を含み、プルワイヤボールエンドロッド5-1が、リベット止め方式でプルワイヤ5-3の端部に接続されており、プルワイヤ5-3に外装されたガイド軸ネジ5-2を介してパーキングガイド軸11又はアクチュエータアセンブリの端穴に接続されている。勿論、プルワイヤ5-3とパーキングガイド軸11又はアクチュエータ構造との接続は、他の方式で実現されてもよく、上記方式に限定されない。
【0029】
一実施例において、プルワイヤボールエンドロッドのボールエンド5-1と、端穴とは、一定の軸方向空間が残されるように隙間ばめしている。プルワイヤボールエンドロッドのボールエンド5-1がパーキングガイド軸11の端穴と隙間ばめして、軸方向空間を確保しておく目的は、機械的ロック解除を使用する前にプルワイヤ5-3を弛緩状態に保ち、長時間に亘って締付状態にあることに起因したプルワイヤ5-3の変形を防ぎ、プルワイヤ5-3の使用寿命を延ばすことにある。
【0030】
一実施例において、ケーブルアセンブリ5が、ギアボックス筐体内の円柱台に取り付けられてプルワイヤ5-3の案内方向を変更するためのプルワイヤローリングホイール4をさらに含み、プルワイヤローリングホイール4を設けることで、プルワイヤ5-3の案内方向を任意に変更でき、アクチュエータアセンブリの位置の設置が容易となり、プルワイヤローリングホイール4が一つ又は複数設けられてもよい。
【0031】
一実施例において、図1又は図3に示すように、アクチュエータアセンブリがプルロッド3又はロッカーアーム構造18であり、プルロッド3又はロッカーアーム構造18がギアボックス筐体の外部のプルワイヤ5-3に繋がっている。そして、アクチュエータアセンブリが全車プルワイヤ又は全車プルロッドを介して運転室内の制御部材に接続される。こうして、運転者は、運転室内で機械的ロック解除動作を完了することができる。
【0032】
プルロッド3がギアボックス筐体における外部に通じる位置決め穴に取り付けられており、プルロッド3がギアボックス筐体を通り、その一端がギアボックス筐体内にあり、ケーブルアセンブリ5に接続されており、他端がギアボックス筐体外にあり、全車プルワイヤ又は全車プルロッドに接続されている。
【0033】
一実施例において、図4に示すように、ロッカーアーム構造18が、ロッカーアーム18-5、スラストワッシャ18-4、ケーブルガイドホイール18-1、ロッカーアーム回転軸カバー18-3を含み、ケーブルガイドホイール18-1は、ロッカーアーム構造18を固定するために、一端がギアボックス筐体の穴と隙間ばめしており、ケーブルガイドホイール18-1の下部には、ケーブルアセンブリ5、具体的にプルワイヤ5-3に接続される径方向突起部が設けられており、ロッカーアーム18-5がスラストワッシャ18-4を介してケーブルガイドホイール18-1の他端に固定されており、スラストワッシャ18-4がロッカーアーム18-5を位置決めするためのものであり、ロッカーアーム回転軸カバー18-3が、径方向突起部とロッカーアーム18-5との間のケーブルガイドホイール18-1に外装され、かつギアボックス筐体に固定されている。ロッカーアーム18-5が全車プルワイヤを介して運転室内の制御部材に接続可能であり、運転者が運転室内で制御部材を操縦することでロック解除が実現される。
【0034】
一実施例において、ロッカーアーム構造18は、ケーブルガイドホイール18-1とロッカーアーム回転軸カバー18-3との間に設けられてロッカーアーム回転軸カバー18-3をシールする役割を果たすシールリング18-2をさらに含む。
【0035】
一実施例において、図1に示すように、機械的ロック解除機構が弾性アセンブリをさらに含み、弾性アセンブリが、パーキングガイド軸11の末端に順次に外装された、スラストベアリング8、リターンばね7及びスラストベアリングワッシャ6を含み、スラストベアリング8のボール端がパーキングカム位置規制プレート9に当接し、リターンばね7は、一端がスラストベアリング8の平面端に当接し、他端がスラストベアリングワッシャ6に固定接続され、スラストベアリングワッシャ6がギアボックス筐体に当接し、リターンばね7には、付勢力が付与されており、パーキングガイド軸11の丸軸端とギアボックス筐体とが接触する箇所には、隔離の役割を果たすオイルシールが設けられている。弾性アセンブリは、リターンばね7の付勢力の作用により、ギアボックス筐体に密接しており、パーキング機構を機械的にロック解除すると、パーキングカムアセンブリが、パーキングガイド軸11の丸軸端へ軸方向で移動し、弾性アセンブリがさらにギアボックス筐体へと圧縮される。
【0036】
一実施例において、ポール回転軸1がギアボックスの両側の筐体に固定されており、ポール16がポール回転軸1の周りに回動可能であり、ポールアセンブリがねじりばね2をさらに含み、ねじりばね2は、一端がギアボックス筐体に固定され、他端がポール16に固定されていることで、ポール16がパーキングカム13に予め圧着され、ねじりばね2の作用の下で、ポール16が常にパーキングカム13に当接していることが保証される。ポール16とパーキングカム13との接続の信頼性を向上させ、ポール16の上部とパーキングカム13との接合部の摩擦力及び摩耗を低減し、その使用寿命を向上させるために、ポール16の上部に凹溝が設けられており、ローラ14がローラピン15を介して凹溝内に固定されており、ローラ14がパーキングカム13と接触し、ポール16の下部には、パーキングギア17と噛合可能なバンプが設けられている。
【0037】
パーキング機構がパーキング状態にある場合、ポール16がパーキングカム13によって押し下げられて、ポール16の下部のバンプがパーキングギア17と噛み合い、パーキングが実現され、ポール16の一側がポール回転軸1に外装され、ポール回転軸1がギアボックスの両側の筐体に固定されており、ポール16がポール回転軸1の周りに回動可能であり、ねじりばね2は、一端がギアボックス筐体に固定され、他端がポール16に固定されており、ねじりばね2は、取付時に一定の付勢力を持っているため、その付勢力によってポール16が常に持ち上げられていることで、ポール16がパーキングカム13に予め圧着されるようになる。ローラ14が、ローラピン15の径方向に沿って転動可能であり、パーキングカム13とポール16との間の摩擦力が低減され、ローラ14がパーキングカム13における周方向輪郭又は弧状の突起に接触する。ロック解除機構が、ねじりばね故障防止アセンブリをさらに含む。
【0038】
一実施例において、図7に示すように、ねじりばね故障防止アセンブリは、ポール16の末端のガイド部の端部に設けられたガイドピン19と、パーキングカム13及び/又はパーキングカム位置規制プレート9に設けられたガイド溝とを含み、ガイドピン19がガイド溝内に入り込み、ガイド溝が、緊急的なロック解除時にポール16を持ち上げるガイド作用を提供する。ねじりばね2が故障すると、ポールアセンブリがねじりばね2の付勢力の作用を失ってしまうため、パーキングロック解除時に、ポール16の下部に設けられたバンプがパーキングギア17と噛合状態から分離できず、ひいてはパーキングロック解除が実現できない。
【0039】
本発明の当該実施例では、ガイドピン19及びガイド溝の設計により、ポール16とパーキングカム13との可動接続を実現可能であり、仮にねじりばね2が故障したとしても、パーキングカム13が回転することで、ガイドピン19を介してポール16が持ち上げられて、ポール16の下部のバンプがパーキングギア17から分離され、さらにパーキングロック解除が実現される。非パーキング状態では、ガイドピン19がパーキングカム13のガイド溝の底部に密着し、ポール16がパーキングギア17の歯溝内に落下するのを防止される。本実施例におけるねじりばね故障防止アセンブリは、ねじりばね2などの故障に起因して正常なロック解除ができないという問題を解消した。
【0040】
以上をまとめて、本発明では、電子パーキングの機械的ロック解除機構が提供されており、機械的ロック解除機構は、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ、パーキングギア、ケーブルアセンブリ及びアクチュエータアセンブリを含み、パーキングカムアセンブリは、パーキングガイド軸と、パーキングガイド軸に固定されたパーキングカム位置規制プレートと、パーキングガイド軸に締まりばめして外装された軸方向位置規制ブロックと、軸方向位置規制ブロックとパーキングカム位置規制プレートとの間のパーキングガイド軸に外装されたパーキングカムを含み、パーキングカムの外側には、周方向に弧状の突起が設けられており、ポールアセンブリが、ポール、ポール回転軸を含み、ポールの末端の一側が、パーキングカムにおける弧状の突起が設けられた側と当接し、ポールの末端の他側には、パーキングギアに挿入可能な歯が設けられており、ポール回転軸がポールの他端に設けられており、ポールがポール回転軸周りに揺動可能であり、パーキングカムの回転及び並進に伴って、ポールは、パーキングギアが固定されるようにパーキングインする第一の位置、又は、パーキングギアが回転可能になるようにパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置し、ケーブルアセンブリは、一端がアクチュエータアセンブリに接続され、他端がパーキングガイド軸に接続されており、ケーブルアセンブリが、パーキングガイド軸を軸方向に沿って並進させることが可能であり、アクチュエータアセンブリがケーブルアセンブリを介してパーキングガイド軸を並進させるように駆動することにより、ポールが第一の位置から第二の位置に移動される。本発明による機械的ロック解除機構は、パーキングモータへの電力供給が断たれた場合における緊急機械的ロック解除機能を提供し、パーキングガイド軸がケーブルアセンブリを介してギアボックスに設けられたアクチュエータアセンブリに接続されており、運転者が運転室内で機械的ロック解除を実現でき、当該機械的ロック解除機構によって、電源からの動力なしで純粋に機械的に運転室内での手動的なロック解除を実現でき、運転者が車から降りて操作する必要がなく、安全性能が高くて、操作の快適性が良い。
【0041】
上記は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記特定の記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0042】
1 ポール回転軸、2 ねじりばね、3 プルロッド、4 プルワイヤローリングホイール、5 ケーブルアセンブリ、6 スラストベアリングワッシャ、7 リターンばね、8 スラストベアリング、9 パーキングカム位置規制プレート、10 軸方向位置規制ブロック、11 パーキングガイド軸、12 パドルばね、13 パーキングカム、14 ローラ、15 ローラピン、16 ポール、17 パーキングギア、18 ロッカーアーム構造、19 ガイドピン、5-1 プルワイヤボールエンドロッド、5-2 ガイド軸ネジ、5-3 プルワイヤ、18-1 ケーブルガイドホイール、18-2 シールリング、18-3 ロッカーアーム回転軸カバー、18-4 スラストワッシャ、18-5 ロッカーアーム
図1
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図3
図4
図5
図6
図7