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  • 特許-容器包装装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】容器包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/24 20060101AFI20230427BHJP
   B65B 43/54 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B65B55/24
B65B43/54 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018247151
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020104910
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】竹本 智博
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110428(JP,A)
【文献】特開2006-256648(JP,A)
【文献】特開2009-137595(JP,A)
【文献】米国特許第05195294(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/24
B65B 43/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を支持する容器支持手段と、前記容器支持手段に容器を供給する供給手段と、容器に内容物を充填する充填手段と、前記充填手段によって内容物が充填された容器のフランジ部に付着する付着物を除去する除去手段とを備え、
前記除去手段は、容器のフランジ部の外周を覆う被覆手段と、前記被覆手段が容器のフランジ部の外周を覆うように容器に対して相対的に昇降する昇降手段と、容器のフランジ部に向けて気体を噴射して付着物を吹き払う噴射手段と、前記被覆手段の内側で前記噴射手段によって吹き払われた付着物を吸引する吸引手段とを備え
前記昇降手段は、前記容器支持手段にフランジ部を支持された容器の底部を保持して前記被覆手段によって容器のフランジ部の外周が覆われるまで容器を上昇させ、
前記被覆手段で覆われた容器のフランジ部の全域に半径方向の内方から外方に向けて前記噴射手段から気体が噴射されることを特徴とする容器包装装置。
【請求項2】
前記除去手段は、容器の開口部を塞いで内容物の巻き上げを防ぐガイド手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に内容物を充填して包装する容器包装装置に関し、特に容器のフランジ部に付着した付着物を除去する手段を備える容器包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部にフランジ部を備える容器に内容物を充填し、フランジ部に容器蓋を貼り付けて密封する容器包装装置が知られている。このような容器包装装置では、充填作業中に内容物が舞い上がったり跳ねたりして、容器のフランジに付着することがある。フランジ部の付着物は、容器蓋のシール不良を引き起こすため、フランジ部に向けてエアを噴射して付着物をフランジ部から除去する容器包装装置が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭60-3046号公報
【文献】実開昭52-139173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2等の構成では、噴射されたエアによりフランジ部から吹き払われた付着物が、容器内に混入したり、他の容器や周囲に付着することがある。そのため、従来の構成では、容器内に異物が混入する可能性や、内容物が食品の場合、周囲に飛散した付着物が雑菌の繁殖に繋がる可能性がある。
【0005】
本発明は、フランジ部に付着した付着物を容器内に混入させたり、周囲に飛散させたりすることなく除去することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である容器包装装置は、容器を支持する容器支持手段と、前記容器支持手段に容器を供給する供給手段と、容器に内容物を充填する充填手段と、前記充填手段によって内容物が充填された容器のフランジ部に付着する付着物を除去する除去手段とを備え、前記除去手段は、容器のフランジ部の外周を覆う被覆手段と、前記被覆手段が容器のフランジ部の外周を覆うように容器に対して相対的に昇降する昇降手段と、容器のフランジ部に向けて気体を噴射して付着物を吹き払う噴射手段と、前記被覆手段の内側で前記噴射手段によって吹き払われた付着物を吸引する吸引手段とを備え、前記昇降手段は、前記容器支持手段にフランジ部を支持された容器の底部を保持して前記被覆手段によって容器のフランジ部の外周が覆われるまで容器を上昇させ、前記被覆手段で覆われた容器のフランジ部の全域に半径方向の内方から外方に向けて前記噴射手段から気体が噴射されることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である包装包装機は、第1の発明において、前記除去手段が、容器の開口部を塞いで内容物の巻き上げを防ぐガイド手段とを備えるることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器蓋のシール不良の発生を防ぐとともに、フランジ部に付着した付着物を容器内に混入させたり、周囲に飛散させたりすることなく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である容器包装装置の平面図である。
図2】フランジ部クリーナを搬送コンベヤの搬送方向から見た正面図である。
図3】クリーニングヘッドの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である容器包装装置の平面図である。
【0012】
本実施形態の容器包装装置10は、例えば、開口部にフランジ部Cfが設けられたカップ状の容器Cに、複数種類の食材(具材)を投入した後、容器蓋Clをフランジ部に貼着し、容器Cを密封する装置である。容器包装装置10は、上流側から順に容器Cを供給する容器供給装置12、容器Cを搬送しながら各種具材を容器Cに投入する具材充填装置14、容器Cの開口部を容器蓋Clで密封する密封装置16を備える。密封装置16において密封された容器Cは、排出コンベヤ18を介して更に下流側の処理装置へと搬送される。また、本実施形態では、排出コンベヤ18よりも上流側に不良品を排出するための不良品排出コンベヤ19が設けられる。
【0013】
容器供給装置12は、多数の容器Cが積み重ねられた容器群Gを多列でストックする容器ストッカ12Aと、容器ストッカ12Aの各列の容器Cを1個ずつ具材充填装置14の搬送コンベヤ14Aのリテーナ14Bに移載する移載装置12Bを備える。図示例において、搬送コンベヤ14Aの各リテーナ14Bは、横並びで容器Cを4個保持し、密封装置16に向けて搬送する。
【0014】
具材充填装置14において、搬送コンベヤ14Aの上方には、リテーナ14Bに保持される容器Cに各具材を投入する具材供給装置が複数配置される。図示例では、4種類の具材が、第1~第4具材供給装置20A、20B、20C、20Dによって、搬送コンベヤ14Aにより間欠搬送される各容器Cに供給される。なお、具材としては、例えば、麺などの固形ブロックや粉末スープ、薬味等の粉体に加え、液体なども含まれ得る。また、本実施形態の具材充填装置14において、第1~第4具材供給装置20A、20B、20C、20Dよりも上流側には、リテーナ14B毎に容器Cに付されたバーコードを読み取り、別ロットの容器の混入がないかを検査したり、バーコードの読み取れない容器がないかを検査したりするバーコード検査装置と、リテーナ14B毎に容器Cの静電除去や容器内をエア洗浄する容器クリーナが配置される。
【0015】
密封装置16は、搬送コンベヤ14Aの下流側の上方に配置され、密封装置16には、上流側からフランジ部クリーナ24、蓋供給部26、第1シール部28、第2シール部30、冷却部32、シール検査部34、不良品排出部36、容器取出部38が配置される。
【0016】
フランジ部クリーナ24は、図2図3を参照して後述するように、フランジ部Cfに付着した付着物を除去する装置である。付着物の代表例は、第1~第4具材供給装置20A、20B、20C、20Dにおいて容器Cに投入された内容物であり、内容物投入の際に発生する内容物の舞い上がり、あるいは跳ね上りによるものである。しかし、フランジ部Cfの付着物はこれに限定されるものではない。
【0017】
蓋供給部26では、容器蓋Clがリテーナ14Bを単位に上方から供給され、フランジ部Cfに合わせ、その上に載せられる。第1シール部28では、容器蓋Clの周縁部がフランジ部Cfに仮止めされ、第2シール部30において全周が融着され密閉される。冷却部32では、熱が加えられたフランジ部Cfが冷却される。シール検査部34では、容器蓋Clの位置ずれやリークといった各容器Cの容器蓋Clによるシール状態が検査され、シール不良の有無が判定される。
【0018】
シール不良があると判定された容器Cは、不良品排出部36においてリテーナ14Bから取り出され、搬送コンベヤ14Aの上方に位置する不良品排出コンベヤ19に移され、製造ラインから排出される。一方、シール不良がないと判定された容器Cは、下流側の容器取出部38において、リテーナ14Bから取り出され、排出コンベヤ18に移されラインの下流側へと排出される。
【0019】
次に本実施形態のフランジ部クリーナ24の構成について図2図3を参照して説明する。図2は、フランジ部クリーナ24を搬送コンベヤ14Aの搬送方向から見た正面図である。
【0020】
フランジ部クリーナ24は、エアを用いてフランジ部Cfに付着した具材や異物を除去する装置である。フランジ部クリーナ24は、リテーナ14Bに保持される各容器Cの開口部に対応したクリーニングヘッド(除去手段)40を備える。クリーニングヘッド40は、搬送コンベヤ14Aの上方において、フレーム41により、リテーナ14Bの長手方向(搬送コンベヤ横方向)に沿って各容器Cの開口部の真上に来るように配置される。図示例では、4個のクリーニングヘッド40が設けられる。なお、フレーム41は、搬送コンベヤ14Aの基台46に支持される。
【0021】
図2に示されるように、各リテーナ14Bは、搬送コンベヤ14Aの両側に配置される無端チェーン42に架け渡され、無端チェーン42は、搬送コンベヤ14Aの両側辺に沿って配置されるガイド44の上を走行し、ガイド44によって各々支持される。なお、本実施形態では、上側のリテーナ14Bの中央部もガイド44によって支持される。ガイド44は、搬送コンベヤ14Aの基台46に固定・保持される。
【0022】
リテーナ14Bには、各容器Cが挿入される穴が設けられ、各穴に嵌入された容器Cは、そのフランジ部Cfが穴の内周縁に係合することにより保持される。各クリーニングヘッド40の直下には、各容器Cを昇降するための昇降ロッド48が直立した状態で各々配置される。昇降ロッド48は、支持部材50により保持され、支持部材50は、一対のシリンダ機構52により基台46に対して昇降自在に支持される。また、支持部材50には、例えばクランク機構54を介してモータ56が連結され、モータ56の回転により支持部材50および昇降ロッド48は一体的に昇降される(昇降手段)。
【0023】
昇降ロッド48が下降されているとき、昇降ロッド48の上端部48Aはリテーナ14Bに保持される容器Cの底面よりも下方の退避位置に位置し、昇降ロッド48が上昇されると、昇降ロッド48の上端部48Aが、容器Cの底面に当接して容器Cをリテーナ14Bから上方へと押し上げる。昇降ロッド48は、容器Cをその開口部がクリーニングヘッド40の隣接するクリーニング位置にまで持ち上げる。図2には、リテーナ14Bに支持される容器Cが実線で示され、クリーニング位置にある容器Cが破線で示される。
【0024】
図3は、クリーニング位置に配置された容器Cと、これに対応するクリーニングヘッド40の拡大断面図である。クリーニングヘッド40は、ヘッド本体40Aと、この周囲を取り囲むフード(被覆手段)40Bと、ヘッド本体40Aに供給されるエアをガイドするガイドプレート(ガイド手段)40Cを備える。
【0025】
ヘッド本体40Aは、その平面視において容器Cのフランジ部Cfの沿った形状を呈するブロック部材であり、例えばその中央には、図示しない空圧源からのエアを流通するための垂直方向に延在するエア通路58が設けられる。ガイドプレート40Cは、ヘッド本体40Aの下面に沿って間隙60をもって配置される板状部材である。ガイドプレート40Cの外形は平面視において、ヘッド本体40Aの外周形状に沿った一回り小さい形状を呈する。
【0026】
ヘッド本体40Aおよびガイドプレート40Cの間に画成される間隙60には、エア通路58からエアが供給され、外周方向に向けて放射状にエアが流れる。ガイドプレート40Cの外周縁は、容器Cの開口部よりも一回り小さい形状を呈し、ガイドプレート40Cの外周部の上面は下方に向けてテーパ加工されている。また、ヘッド本体40Aの底面外周部は、ガイドプレート40Cの外周部のテーパ形状に合わせて下方へ傾斜される。すなわち、間隙60の外周部は、所定の角度で外側に向けて下向きに傾けられている。
【0027】
クリーニング位置において、ガイドプレート40Cの下面は、容器Cの開口部よりも僅かに高い位置に配置され、その外周縁はフランジ部Cfの内周縁よりも僅かに内側に配置される。すなわち、間隙60を通して、その外周部から放射状に吹き出されるエアは、クリーニング位置に配置される容器Cのフランジ部Cfに、斜め上方から外側に向けて吹き付けられる。
【0028】
ガイドプレート40Cは、ヘッド本体40Aの中央部に垂直方向に沿って設けられる孔に挿嵌される支持ロッド62によって支持され、エア通路58は、この孔の内周面と支持ロッド62の外周面との間に画成される。また、ヘッド本体40Aの中央部上方には、上端が配管を通して空圧源(不図示)に接続されるとともに、下端がエア通路58に接続されるインレット部材64が取り付けられる。
【0029】
一方、フード40Bの頂面400は、ヘッド本体40Aの頂面を覆い(インレット部材64が装着される部分を除く)、その側面402は、頂面400の外周から、ヘッド本体40Aの側面外周およびガイドプレート40Cの外周縁を覆い、更に、クリーニング位置に配置された容器Cのフランジ部Cfの外周を覆う高さまで下方に延出する。
【0030】
側面402の下端からは、内側に向けて底面404が延出する。底面404は、フランジ部Cfの外周縁の僅かに外側に対応する位置まで延在し、そこから上方に向けて直角に折り返される。底面404の内周縁から上方に折り返される折り返し部406は、クリーニング位置に配置された容器Cのフランジ部Cfよりも僅かに低い高さにまで延出し、その上端は、昇降ロッド48によりクリーニング位置にまで持ち上げられる容器Cを収容するための開口部を形成する。また、側面402、底面404、折返し部406によって囲まれる空間には凹部408が形成され、容器Cがクリーニング位置にあるとき、凹部408は、フランジ部Cfの周囲に沿って、その僅か下方に配置される。
【0031】
フード40Bの側面402にはアウトレット部材66が取り付けられる。アウトレット部材66は、フード40Bの内側に連通され、フード40B内のエアは、アウトレット部材66を通して吸引され、図示しない配管を通して排出される。
【0032】
図3に示されるように、クリーニング位置に配置された容器Cのフランジ部Cfには、エア通路58を通して供給され、クリーニングヘッド40の間隙60を通してその外周から噴出されるエアが、フランジ部Cfの全周に亘り斜め上方から外側に向けて吹き付けられる。間隙60から噴出されるエアの先には、フード40Bにより形成される凹部408が位置し、フランジ部Cfに付着している異物や容器Cに充填される内容物は、凹部408に向けて吹き払われる。間隙60から噴出されたエアは、フード40Bとヘッド本体40Aの間に確成される空間およびアウトレット部材66を通して排出される。このとき容器Cの開口部は、ガイドプレート40Cにより略塞がれているので、噴出されたエアにより容器C内の内容物の巻き上げが防止される。なお、インレット部材64へのエアの供給およびアウトレット部材66からのエアの吸引は、容器Cがクリーニング位置に配置され、フランジ部Cfの外周がフード40Bで覆われている間のみ行われる。
【0033】
以上の構成により、本実施形態によれば、容器のフランジ部に付着した異物や充填内容物などの付着物を容器内に混入させることなく、かつ周囲に飛散させることなく除去できる。これにより、シール不良の発生が防止されるとともに、サニタリー性が向上され、リテーナ等の清掃も容易となる。
【0034】
なお、本実施形態で図示された容器の平面形状は円形であったが、容器の形状は矩形など円形以外でもよく、その場合には、容器の形状に適合した形状のクリーニングヘッドが用いられる。また、本実施形態において、搬送コンベヤは容器を間欠的に搬送したが、クリーニングヘッドを容器搬送に追従させる機構を設ければ、連続的に搬送する構成にも適用できる。また、本実施形態では、容器がクリーニングヘッドに向けて昇降されたが、逆にクリーニングヘッドをリテーナに保持される容器に向けて昇降させて、フランジ部だけでなくリテーナを同時にクリーニングさせることができる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 容器包装装置
12 容器供給装置
14 具材充填装置
14A 搬送コンベヤ
14B リテーナ
16 密封装置
24 フランジ部クリーナ
40 クリーニングヘッド(除去手段)
40A ヘッド本体
40B フード(被覆手段)
40C ガイドプレート(ガイド手段)
58 エア流通路
60 間隙
64 インレット部材
66 アウトレット部材
C 容器
Cf フランジ部
図1
図2
図3