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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】カプラーの着脱方法及び冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/30 20060101AFI20230427BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F16L37/30
H05K7/20 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019072223
(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2020169703
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】塩賀 健司
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510761(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137138(WO,A1)
【文献】実開平03-034246(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/30
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装された発熱部品に接し、前記発熱部品の熱を受ける受熱器と、循環装置から供給される冷媒を前記受熱器に導入する導入配管と、前記受熱器から前記冷媒を前記循環装置に排出する排出配管と、前記導入配管及び前記排出配管に設けられ、プラグカプラーと前記プラグカプラーに着脱可能なソケットカプラーとを有するカプラーと、を備える冷却装置における前記カプラーの着脱方法であって、
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの各々は、本体部と、前記本体部内の前記冷媒が流れる内部通路に設置された内部ピンと、前記内部ピンを前記内部通路が前記本体部の結合面に開口する開口部に付勢する弾性部材と、を有し、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの結合時に互いの前記内部ピンが押し合うことで各々の前記開口部が開放されて互いの前記内部通路が連通し、
前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの少なくとも一方は、前記内部通路を開閉する第1開閉弁と、前記内部通路のうちの前記第1開閉弁と前記内部ピンとの間に位置する箇所に接続されたタンクと、を有し、
前記第1開閉弁が閉じられた状態で、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップを備える、カプラーの着脱方法。
【請求項2】
前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの前記少なくとも一方は、前記内部通路と前記タンクを連通する連通路を開閉する第2開閉弁を有し、
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップの後、前記第1開閉弁が閉じられ且つ前記第2開閉弁が開かれた状態を所定時間維持するステップと、
前記維持するステップの後、前記第2開閉弁を閉じるステップと、を備える、請求項1記載のカプラーの着脱方法。
【請求項3】
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップは、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合するステップであり、
前記第2開閉弁を閉じるステップの後に前記第1開閉弁を開くステップを備える、請求項2記載のカプラーの着脱方法。
【請求項4】
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップは、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを分離するステップであり、
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを分離するステップの前に、前記第1開閉弁を閉じ且つ前記第2開閉弁を開くステップを備える、請求項2記載のカプラーの着脱方法。
【請求項5】
前記第2開閉弁を閉じるステップは、制御装置が前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの間隔に基づき前記第2開閉弁を閉じる、請求項2から4のいずれか一項記載のカプラーの着脱方法。
【請求項6】
プラグカプラーとソケットカプラーを有するカプラーの着脱方法であって、
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの各々は、本体部と、前記本体部内の流体が流れる内部通路に設置された内部ピンと、前記内部ピンを前記内部通路が前記本体部の結合面に開口する開口部に付勢する弾性部材と、を有し、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの結合時に互いの前記内部ピンが押し合うことで各々の前記開口部が開放されて互いの前記内部通路が連通し、
前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの少なくとも一方は、前記内部通路を開閉する第1開閉弁と、前記内部通路のうちの前記第1開閉弁と前記内部ピンとの間に位置する箇所に接続されたタンクと、前記内部通路と前記タンクを連通する連通路を開閉する第2開閉弁と、を有し、
前記第1開閉弁が閉じられた状態で、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップと、
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップの後、前記第1開閉弁が閉じられ且つ前記第2開閉弁が開かれた状態を所定時間維持するステップと、
前記維持するステップの後、制御装置が前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの間隔に基づき前記第2開閉弁を閉じるステップと、を備える、カプラーの着脱方法。
【請求項7】
回路基板に実装された発熱部品に接し、前記発熱部品の熱を受ける受熱器と、
冷媒を循環させる循環装置から供給される前記冷媒を前記受熱器に導入する導入配管と、
前記受熱器から前記冷媒を前記循環装置に排出する排出配管と、
前記導入配管及び前記排出配管に設けられ、プラグカプラーと前記プラグカプラーに着脱可能なソケットカプラーとを有するカプラーと、を備え、
前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの各々は、本体部と、前記本体部内の前記冷媒が流れる内部通路に設置された内部ピンと、前記内部ピンを前記内部通路が前記本体部の結合面に開口する開口部に付勢する弾性部材と、を有し、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの結合時に互いの前記内部ピンが押し合うことで前記開口部が開放されて互いの前記内部通路が連通し、
前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの少なくとも一方は、前記内部通路を開閉する開閉弁と、前記内部通路のうちの前記開閉弁と前記内部ピンとの間に位置する箇所に接続されたタンクと、を有する、冷却システム。
【請求項8】
前記受熱器が設けられた前記発熱部品を有する複数の前記回路基板を備え、
前記導入配管は前記複数の回路基板各々の前記発熱部品に設けられた前記受熱器に前記循環装置から供給される前記冷媒が導入されるように分岐し、
前記排出配管は前記複数の回路基板各々の前記発熱部品に設けられた前記受熱器からの前記冷媒が前記循環装置に排出されるように分岐している、請求項記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラーの着脱方法及び冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コールドプレート内の冷却水通路にカプラーによってホースが接続される冷却装置において、冷却水通路にリザーバタンクを設置することが知られている。これにより、カプラーが外れた場合でも、冷却水通路内の圧力上昇を抑制できるとされている(例えば、特許文献1)。また、タンク内の冷却液をポンプによって発熱体に送る冷却装置において、熱交換機を流れた冷却液がタンク内に戻るか又はタンクとポンプの間の配管に戻るかの切り替えが可能な三方向バルブを設けることが知られている。これにより、運転効率の向上と冷却液への気泡の混入抑制とを実現できるとされている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平3-34246号公報
【文献】実開昭58-72890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着脱可能なプラグカプラーとソケットカプラーを備えたカプラーにおいて、プラグカプラーとソケットカプラーが結合しているときには、プラグカプラー及びソケットカプラーの互いの内部ピンが押し合うことで互いの内部通路が連通する。これにより、プラグカプラーとソケットカプラーの間を流体が流れるようになる。一方、プラグカプラーとソケットカプラーが分離しているときには、プラグカプラー及びソケットカプラー各々において弾性部材によって押された内部ピンが内部通路を閉塞する。これにより、プラグカプラーとソケットカプラー各々において内部通路から外部に流体が流れ出ることが抑制される。
【0005】
プラグカプラーとソケットカプラーが結合又は分離するときに、内部通路に空気が流入して、内部通路を流れる流体に空気が混入することがある。例えば、発熱部品を冷却する冷媒がプラグカプラー及びソケットカプラーの内部通路を流れる場合、内部通路に空気が流入することで冷媒に空気が混入すると冷却性能の低下が生じてしまう。
【0006】
1つの側面では、内部通路を流れる流体への空気の混入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、回路基板に実装された発熱部品に接し、前記発熱部品の熱を受ける受熱器と、循環装置から供給される冷媒を前記受熱器に導入する導入配管と、前記受熱器から前記冷媒を前記循環装置に排出する排出配管と、前記導入配管及び前記排出配管に設けられ、プラグカプラーと前記プラグカプラーに着脱可能なソケットカプラーとを有するカプラーと、を備える冷却装置における前記カプラーの着脱方法であって、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの各々は、本体部と、前記本体部内の前記冷媒が流れる内部通路に設置された内部ピンと、前記内部ピンを前記内部通路が前記本体部の結合面に開口する開口部に付勢する弾性部材と、を有し、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの結合時に互いの前記内部ピンが押し合うことで各々の前記開口部が開放されて互いの前記内部通路が連通し、前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの少なくとも一方は、前記内部通路を開閉する第1開閉弁と、前記内部通路のうちの前記第1開閉弁と前記内部ピンとの間に位置する箇所に接続されたタンクと、を有し、前記第1開閉弁が閉じられた状態で、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップを備える、カプラーの着脱方法である。
【0008】
1つの態様では、プラグカプラーとソケットカプラーを有するカプラーの着脱方法であって、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの各々は、本体部と、前記本体部内の流体が流れる内部通路に設置された内部ピンと、前記内部ピンを前記内部通路が前記本体部の結合面に開口する開口部に付勢する弾性部材と、を有し、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの結合時に互いの前記内部ピンが押し合うことで各々の前記開口部が開放されて互いの前記内部通路が連通し、前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの少なくとも一方は、前記内部通路を開閉する第1開閉弁と、前記内部通路のうちの前記第1開閉弁と前記内部ピンとの間に位置する箇所に接続されたタンクと、前記内部通路と前記タンクを連通する連通路を開閉する第2開閉弁と、を有し、
前記第1開閉弁が閉じられた状態で、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップと、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーを結合又は分離するステップの後、前記第1開閉弁が閉じられ且つ前記第2開閉弁が開かれた状態を所定時間維持するステップと、前記維持するステップの後、制御装置が前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの間隔に基づき前記第2開閉弁を閉じるステップと、を備える、カプラーの着脱方法である。
【0009】
1つの態様では、回路基板に実装された発熱部品に接し、前記発熱部品の熱を受ける受熱器と、冷媒を循環させる循環装置から供給される前記冷媒を前記受熱器に導入する導入配管と、前記受熱器から前記冷媒を前記循環装置に排出する排出配管と、前記導入配管及び前記排出配管に設けられ、プラグカプラーと前記プラグカプラーに着脱可能なソケットカプラーとを有するカプラーと、を備え、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの各々は、本体部と、前記本体部内の前記冷媒が流れる内部通路に設置された内部ピンと、前記内部ピンを前記内部通路が前記本体部の結合面に開口する開口部に付勢する弾性部材と、を有し、前記プラグカプラーと前記ソケットカプラーの結合時に互いの前記内部ピンが押し合うことで前記開口部が開放されて互いの前記内部通路が連通し、前記プラグカプラー及び前記ソケットカプラーの少なくとも一方は、前記内部通路を開閉する開閉弁と、前記内部通路のうちの前記開閉弁と前記内部ピンとの間に位置する箇所に接続されたタンクと、を有する、冷却システムである。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面として、内部通路を流れる流体に空気が混入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1に係るカプラーを示す斜視図である。
図2図2(a)は、実施例1に係るカプラーを構成するプラグカプラーとソケットカプラーが分離した状態の断面図、図2(b)は、結合した状態の断面図である。
図3図3(a)は、比較例に係るカプラーを構成するプラグカプラーとソケットカプラーが分離した状態の断面図、図3(b)は、結合した状態の断面図である。
図4図4は、比較例に係るカプラーで生じる課題を説明する図である。
図5図5(a)から図5(c)は、実施例1に係るカプラーの分離方法を説明する断面図である。
図6図6(a)から図6(c)は、実施例1に係るカプラーの結合方法を説明する断面図である。
図7図7(a)は、実施例1の変形例1に係るカプラーを構成するプラグカプラーとソケットカプラーが分離した状態の断面図、図7(b)は、結合した状態の断面図である。
図8図8(a)は、実施例1の変形例2に係るカプラーを構成するプラグカプラーとソケットカプラーが分離した状態の断面図、図8(b)は、結合した状態の断面図である。
図9図9(a)は、実施例2に係るカプラーを構成するプラグカプラーとソケットカプラーが分離した状態の断面図、図9(b)は、結合した状態の断面図である。
図10図10(a)から図10(d)は、実施例2に係るカプラーの分離方法を説明する断面図である。
図11図11(a)から図11(c)は、実施例2に係るカプラーの結合方法を説明する断面図である。
図12図12は、実施例3に係るカプラーを示す断面図である。
図13図13は、実施例4に係る冷却システムを示す図である。
図14図14は、実施例4における回路配線基板の交換方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係るカプラー100を示す斜視図である。図1のように、カプラー100は、プラグカプラー10と、プラグカプラー10に着脱可能なソケットカプラー30と、を備える。プラグカプラー10は、本体部11と、バルブ12と、タンク13と、を有する。ソケットカプラー30は、本体部31と、バルブ32と、タンク33と、を有する。プラグカプラー10及びソケットカプラー30は、流体が流れる配管50及び51に接続される。プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合することで、カプラー100を介して配管50と配管51の間を流体が流れるようになる。実施例1では、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合することで、配管50からカプラー100を介して配管51に冷媒が流れるとする。冷媒は、主に液体成分からなるが、この液体成分が気化された気体成分を含んでいてもよい。配管50からカプラー100を介して配管51に冷媒が流れるとき、バルブ12、32は開いている。バルブ12、32が閉じている場合では、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合していても、配管50から配管51に冷媒は流れない。
【0014】
図2(a)は、実施例1に係るカプラー100を構成するプラグカプラー10とソケットカプラー30が分離した状態の断面図、図2(b)は、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合した状態の断面図である。図2(a)及び図2(b)のように、プラグカプラー10の本体部11は、ソケットカプラー30に結合する側が凸部14となっていて、反対側には凹部15が形成されている。凸部14の表面は、プラグカプラー10がソケットカプラー30に結合するときにソケットカプラー30に接触する結合面23となる。凸部14内に空洞部16が形成されている。空洞部16は、空洞部16の内径よりも小さい開口部17を介して凹部15に連通し、空洞部16の内径よりも小さい開口部18を介して本体部11の結合面23に連通している。すなわち、空洞部16は開口部18を介して凸部14の頂面に連通している。
【0015】
空洞部16内に内部ピン19と弾性部材20が設置されている。弾性部材20は、例えば圧縮コイルばねであるが、その他の場合でもよい。弾性部材20は、内部ピン19に設けられた凹部に挿入されている。弾性部材20は、内部ピン19を開口部18に付勢する。すなわち、内部ピン19は、弾性部材20によって開口部18に押される力が加えられている。
【0016】
バルブ12は、凹部15に設けられている。バルブ12は、例えば電磁式バルブであるが、その他の場合でもよい。タンク13は、バルブ12よりも凸部14側で連通路21によって凹部15に連通している。
【0017】
図2(a)のように、プラグカプラー10とソケットカプラー30が分離している場合では、バルブ12は閉じられている。これにより、凹部15のバルブ12よりも凸部14側に位置する部分と配管50との間の連通が遮断されている。また、プラグカプラー10とソケットカプラー30が分離している場合では、内部ピン19は弾性部材20によって開口部18に押し付けられて先端部19aが開口部18に挿入されている。これにより、開口部18は閉塞されている。よって、凹部15、空洞部16、及びタンク13内の冷媒52が開口部18からプラグカプラー10の外部に漏れることが抑制されている。
【0018】
図2(a)及び図2(b)のように、ソケットカプラー30の本体部31は、プラグカプラー10に結合する側が凹んだ凹部34となっていて、反対側には凹部35が形成されている。凹部34の内面は、ソケットカプラー30がプラグカプラー10に結合するときにプラグカプラー10に接触する結合面43となる。凹部34と凹部35の間に空洞部36が形成されている。空洞部36は、空洞部36の内径よりも小さい開口部37を介して凹部35に連通し、空洞部36の内径よりも小さい開口部38を介して本体部31の結合面43に連通している。すなわち、空洞部36は開口部38を介して凹部34の底面に連通している。
【0019】
空洞部36内に内部ピン39と弾性部材40が設置されている。弾性部材40は、例えば圧縮コイルばねであるが、その他の場合でもよい。弾性部材40は、内部ピン39に設けられた凹部に挿入されている。弾性部材40は、内部ピン39を開口部38に付勢する。すなわち、内部ピン39は、弾性部材40によって開口部38に押される力が加えられている。
【0020】
図2(a)のように、プラグカプラー10とソケットカプラー30が分離している場合では、バルブ32は閉じられている。これにより、凹部35のバルブ12よりも凹部34側に位置する部分と配管51との間の連通が遮断されている。また、プラグカプラー10とソケットカプラー30が分離している場合では、内部ピン39は弾性部材40によって開口部38に押し付けられて先端部39aが開口部38に挿入されている。これにより、開口部38は閉塞されている。よって、凹部35、空洞部36、及びタンク33内の冷媒52が開口部38からソケットカプラー30の外部に漏れることが抑制されている。
【0021】
図2(b)のように、プラグカプラー10とソケットカプラー30は、プラグカプラー10の凸部14がソケットカプラー30の凹部34に嵌め込まれることで結合する。プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合することで、プラグカプラー10の内部ピン19とソケットカプラー30の内部ピン39とが互いに押し合うようになる。これにより、開口部18、38が開放される。また、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合している場合では、バルブ12は開かれて凹部15のバルブ12よりも凸部14側に位置する部分と配管50とは連通している。バルブ32は開かれて凹部35のバルブ32よりも凹部34側に位置する部分と配管51とは連通している。よって、配管50からカプラー100を介して配管51に冷媒52が流れるようになる。
【0022】
このように、プラグカプラー10において、凹部15、空洞部16、及び開口部17、18は、本体部11の内部に設けられ、冷媒52が流れる内部通路22となる。ソケットカプラー30において、凹部34、35、空洞部36、及び開口部37、38は、本体部31の内部に設けられ、冷媒52が流れる内部通路42となる。したがって、バルブ12によって内部通路22の開閉が制御され、バルブ32によって内部通路42の開閉が制御される。
【0023】
ここで、比較例に係るカプラーについて説明する。図3(a)は、比較例に係るカプラー1000を構成するプラグカプラー110とソケットカプラー130が分離した状態の断面図、図3(b)は、プラグカプラー110とソケットカプラー130が結合した状態の断面図である。図3(a)及び図3(b)のように、比較例のカプラー1000では、プラグカプラー110はバルブ12とタンク13を備えてなく、ソケットカプラー130はバルブ32とタンク33を備えていない。その他の構成は、実施例1のカプラー100と同じであるため説明を省略する。
【0024】
図4は、比較例に係るカプラー1000で生じる課題を説明する図である。図4のように、プラグカプラー110とソケットカプラー130を結合するとき及び分離するときに、開口部18、38が内部ピン19、39で閉塞されていない状態で、且つ、本体部11と本体部31の間に隙間90が生じる瞬間がある。この瞬間において、隙間90を介してプラグカプラー110の内部通路22及びソケットカプラー130の内部通路42に空気が流入することがある。例えば、1秒当たり1マイクロリットル~10マイクロリットル(0.001cm/sec~0.01cm/sec)程度の空気が内部通路22、42に流入することがある。
【0025】
プラグカプラー110の内部通路22に空気が流入すると、内部通路22内の冷媒52に空気が混入することになる。同様に、ソケットカプラー130の内部通路42に空気が流入すると、内部通路42内の冷媒52に空気が混入することになる。冷媒52に空気が混入すると冷却性能の低下が生じてしまう。
【0026】
図5(a)から図5(c)は、実施例1に係るカプラー100の分離方法を説明する断面図である。図5(a)は、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合されていて、カプラー100を介して配管50から配管51に向かって冷媒52が流れているときの断面図である。このとき、バルブ12、32は開いている。また、プラグカプラー10の内部通路22を流れる冷媒52が連通路21を介してタンク13に流入し、タンク13に冷媒52が溜まっている。ソケットカプラー30の内部通路42を流れる冷媒52が連通路41を介してタンク33に流入し、タンク33に冷媒52が溜まっている。
【0027】
図5(b)のように、作業員はバルブ制御装置53に指示を与えてバルブ12、32を閉じる。これにより、プラグカプラー10の内部通路22が閉じた状態となり、内部通路22のバルブ12よりも内部ピン19側に位置する部分と配管50とは非連通状態となる。ソケットカプラー30の内部通路42が閉じた状態となり、内部通路42のバルブ32よりも内部ピン39側に位置する部分と配管51とは非連通状態となる。
【0028】
図5(c)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じた状態で、プラグカプラー10とソケットカプラー30を分離する。プラグカプラー10とソケットカプラー30を分離するときに、図4で説明したように、プラグカプラー10の内部通路22及びソケットカプラー30の内部通路42に空気54が流入することがある。プラグカプラー10の内部通路22に流入した空気54は、内部通路22に存在する冷媒52の比重が空気54よりも重く且つタンク13が内部通路22よりも重力方向の上側に配置されることで、タンク13に溜まるようになる。同様に、ソケットカプラー30の内部通路42に流入した空気54は、内部通路42に存在する冷媒52の比重が空気54よりも重く且つタンク33が内部通路42よりも重力方向の上側に配置されることで、タンク33に溜まるようになる。1回のカプラー100の着脱で内部通路22、42に流入する空気54の量が1秒当たり1マイクロリットル~10マイクロリットルであることを踏まえると、タンク13、33の容積は例えば1cm程度とすることができる。
【0029】
空気54よりも比重が重い冷媒52の例として、ハイドロフルオロエーテル(HFE)又はハイドロフルオロカーボン(HFC)に属する冷媒が挙げられる。具体的には、HFEに属する冷媒として3M社製のノベック(商標)、トクヤマ社製のエルノバNFシリーズ(商標)、AGC社製のアセヒクリンAEシリーズ(商標)などが挙げられる。HFCに属する冷媒として三井ケマーズ社製のバートレル(商標)、AGC社製のアセヒクリンACシリーズ(商標)などが挙げられる。また、冷媒52として例えば沸点が30℃以上の冷媒が用いられる。
【0030】
図6(a)から図6(c)は、実施例1に係るカプラー100の結合方法を説明する断面図である。図6(a)は、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合する前の状態を示す断面図である。プラグカプラー10は、図5(c)のときと同じ状態になっていて、バルブ12は閉じていて、タンク13に冷媒52と空気54が溜まっている。ソケットカプラー30側の部品は例えば新たに交換する部品であり、内部通路42に冷媒は存在せずに配管51内を含めて真空減圧(例えば10-3Pa程度)されている。
【0031】
図6(b)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じた状態でプラグカプラー10とソケットカプラー30を結合する。プラグカプラー10とソケットカプラー30を結合するときに、図4で説明したように、プラグカプラー10の内部通路22及びソケットカプラー30の内部通路42に空気54が流入することがある。また、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合されることで、プラグカプラー10の内部通路22及びタンク13に存在する冷媒52はソケットカプラー30側に流れるようになる。なお、プラグカプラー10とソケットカプラー30の分離時にタンク13に溜まった空気54は、冷媒52に比べて比重が軽いことから、冷媒52がプラグカプラー10からソケットカプラー30に流れたとしてもタンク13内に留まり続ける。
【0032】
プラグカプラー10の内部通路22及びタンク13並びにソケットカプラー30の内部通路42及びタンク33には、主に液体成分及び気体成分の冷媒52と結合時に流入した空気54が存在する。このため、比重の軽い空気54は重力方向とは反対側に浮上してタンク13、33に溜まるようになる。作業員は、内部通路22、42に流入した空気54の少なくとも半分以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは全てがタンク13、33に溜まるように、バルブ12、32が閉じた状態を所定時間維持する。例えば、バルブ12、32が閉じた状態を5秒以上維持してもよいし、10秒以上維持してもよいし、20秒以上維持してもよい。
【0033】
図6(c)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じた状態を所定時間維持した後、バルブ制御装置53に指示を与えてバルブ12、32を開く。これにより、カプラー100を介して配管50から配管51に冷媒52が流れるようになる。プラグカプラー10とソケットカプラー30の分離時及び結合時に流入した空気54はタンク13、33内に溜まった状態となり、配管50からカプラー100を介して配管51に流れる冷媒52に空気54が混入することが抑制される。
【0034】
実施例1によれば、図2(a)及び図2(b)のように、プラグカプラー10は、内部通路22を開閉するバルブ12と、内部通路22のうちのバルブ12と内部ピン19との間に位置する箇所に接続されたタンク13と、を有する。同様に、ソケットカプラー30は、内部通路42を開閉するバルブ32と、内部通路42のうちのバルブ32と内部ピン39との間に位置する箇所に接続されたタンク33と、を有する。そして、図5(c)及び図6(b)のように、バルブ12、32が閉じられた状態で、プラグカプラー10とソケットカプラー30の結合又は分離を行う。これにより、プラグカプラー10とソケットカプラー30の結合時及び分離時に内部通路22、42に流入する空気54をタンク13、33に溜めることができる。よって、プラグカプラー10とソケットカプラー30が結合されて内部通路22、42を冷媒52が流れる時に、冷媒52に空気54が混入することを抑制できる。よって、冷却性能の低下を抑制できる。
【0035】
図7(a)は、実施例1の変形例1に係るカプラー100aを構成するプラグカプラー10aとソケットカプラー30aが分離した状態の断面図、図7(b)は、プラグカプラー10aとソケットカプラー30aが結合した状態の断面図である。図8(a)は、実施例1の変形例2に係るカプラー100bを構成するプラグカプラー10bとソケットカプラー30bが分離した状態の断面図、図8(b)は、プラグカプラー10bとソケットカプラー30bが結合した状態の断面図である。
【0036】
図7(a)及び図7(b)のように、カプラー100aは、プラグカプラー10aとソケットカプラー30aを備える。プラグカプラー10aは、実施例1におけるプラグカプラー10と同じであるため説明を省略する。ソケットカプラー30aは、実施例1におけるソケットカプラー30と比べて、バルブ32及びタンク33を備えていない。ソケットカプラー30aのその他の構成は実施例1におけるソケットカプラー30と同じであるため説明を省略する。
【0037】
図8(a)及び図8(b)のように、カプラー100bは、プラグカプラー10bとソケットカプラー30bを備える。プラグカプラー10bは、実施例1におけるプラグカプラー10と比べて、バルブ12及びタンク13を備えていない。プラグカプラー10bのその他の構成は実施例1におけるプラグカプラー10と同じであるため説明を省略する。ソケットカプラー30bは、実施例1におけるソケットカプラー30と同じであるため説明を省略する。
【0038】
実施例1では、プラグカプラー10とソケットカプラー30の両方がバルブ12、32とタンク13、33を備えている場合を例に示したが、この場合に限られない。実施例1の変形例1のように、プラグカプラー10aはバルブ12とタンク13を備え、ソケットカプラー30aはバルブ32とタンク33を備えない場合でもよい。実施例1の変形例2のように、プラグカプラー10bはバルブ12とタンク13を備えず、ソケットカプラー30bはバルブ32とタンク33を備える場合でもよい。このように、プラグカプラー及びソケットカプラーの少なくとも一方がバルブとタンクを備える場合であればよい。これにより、図5(a)から図6(c)で説明したようなバルブの制御を伴うカプラーの着脱を行うことで、タンク13及びタンク33の少なくとも一方に空気54を溜めることができ、カプラーを流れる冷媒52に空気54が混入することを抑制できる。
【実施例2】
【0039】
図9(a)は、実施例2に係るカプラー200を構成するプラグカプラー10cとソケットカプラー30cが分離した状態の断面図、図9(b)は、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cが結合した状態の断面図である。図9(a)及び図9(b)のように、カプラー200は、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを備える。プラグカプラー10cは、凹部15とタンク13を連通する連通路21に、連通路21を開閉するバルブ25が設けられている。ソケットカプラー30cは、凹部35とタンク33を連通する連通路41に、連通路41を開閉するバルブ45が設けられている。バルブ25、45は、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合又は分離するときに開くが、その他の場合では閉じている。その他の構成は、実施例1のカプラー100と同じであるため説明を省略する。
【0040】
図10(a)から図10(d)は、実施例2に係るカプラー200の分離方法を説明する断面図である。図10(a)は、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cが結合されていて、カプラー200を介して配管50から配管51に向かって冷媒52が流れているときの断面図である。このとき、バルブ12、32は開き、バルブ25、45は閉じている。なお、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを分離する前にタンク13、33に冷媒52が溜まっていない場合では、作業員はバルブ制御装置53に指示を与えてバルブ25、45を開けてタンク13に冷媒52を流入させておいてもよい。
【0041】
図10(b)のように、作業員はバルブ制御装置53に指示を与えてバルブ12、32を閉じ、バルブ25、45を開ける。
【0042】
図10(c)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じ且つバルブ25、45が開いた状態で、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを分離する。バルブ25、45が開いているため、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを分離するときにプラグカプラー10cの内部通路22に流入した空気54は冷媒52に比べて比重が軽いためにタンク13に溜まる。ソケットカプラー30cの内部通路42に流入した空気54は冷媒52に比べて比重が軽いためにタンク33に溜まる。作業員は、内部通路22、42に流入した空気54の少なくとも半分以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは全てがタンク13、33に溜まるように、バルブ12、32が閉じ且つバルブ25、45が開いた状態を所定時間維持する。例えば、バルブ12、32が閉じ且つバルブ25、45が開いた状態を5秒以上維持してもよいし、10秒以上維持してもよいし、20秒以上維持してもよい。なお、作業員は、バルブ12と25及びバルブ32と45が閉じた状態で、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを分離し、その後にバルブ25、45を開けてもよい。
【0043】
図10(d)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じ且つバルブ25、45が開いた状態を所定時間維持した後、バルブ制御装置53に指示を与えてバルブ25、45を閉じる。これにより、タンク13、33と内部通路22、42が非連通となるため、内部通路22、42の冷媒52にタンク13、33に溜まった空気54が混入することが抑制される。
【0044】
図11(a)から図11(c)は、実施例2に係るカプラー200の結合方法を説明する断面図である。図11(a)は、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合する前の状態を示す断面図である。プラグカプラー10cは、図10(d)のときと同じ状態になっていて、バルブ12、25は閉じていて、タンク13に冷媒52と空気54が溜まっている。ソケットカプラー30c側の部品は新たに交換する部品であり、内部通路42に冷媒は存在せずに配管51内を含めて真空減圧(例えば10-3Pa程度)されている。
【0045】
図11(b)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じた状態でプラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合する。作業員は、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合する直前又は直後にバルブ制御装置53に指示を与えてバルブ25、45を開かせる。プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合するときにプラグカプラー10cの内部通路22及びソケットカプラー30cの内部通路42に空気54が流入することがある。また、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cが結合されることで、プラグカプラー10cの内部通路22及びタンク13に存在する冷媒52はソケットカプラー30c側に流れるようになる。なお、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cの分離時にタンク13に溜まった空気54は、冷媒52に比べて比重が軽いことから、冷媒52がプラグカプラー10cからソケットカプラー30cに流れたとしてもタンク13内に留まり続ける。
【0046】
プラグカプラー10cの内部通路22及びタンク13並びにソケットカプラー30cの内部通路42及びタンク33には、液体成分及び気体成分の冷媒52と結合時に流入した空気54が主に存在する。このため、比重の軽い空気54は重力方向とは反対側に浮上してタンク13、33に溜まるようになる。作業員は、内部通路22、42に流入した空気54の少なくとも半分以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは全てがタンク13、33に溜まるように、バルブ12、32が閉じた状態を所定時間維持する。例えば、バルブ12、32が閉じた状態を5秒以上維持してもよいし、10秒以上維持してもよいし、20秒以上維持してもよい。
【0047】
図11(c)のように、作業員は、バルブ12、32が閉じ且つバルブ25、45が開いた状態所定時間維持した後、バルブ制御装置53に指示を与えてバルブ25、45を閉じた後に、バルブ12、32を開く。バルブ25、45が閉じているためタンク13、33と内部通路22、42は非連通となり、タンク13、33に溜まった空気54が内部通路22、42を流れる冷媒52に混入することが抑制される。
【0048】
実施例2によれば、図9(a)及び図9(b)のように、プラグカプラー10cは内部通路22とタンク13とを連通する連通路21を開閉するバルブ25を有する。ソケットカプラー30cは内部通路42とタンク33とを連通する連通路41を開閉するバルブ45を有する。そして、図10(c)及び図11(b)のように、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合又は分離した後、バルブ12、32が閉じられ且つバルブ25、45が開かれた状態を所定時間維持する。その後、図10(d)及び図11(c)のように、バルブ25、45を閉じる。プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合又は分離した後にバルブ12、32が閉じられ且つバルブ25、45が開かれた状態を所定時間維持することで、結合又は分離時に内部通路22、42に流入した空気54をタンク13、33に集めることができる。その後、バルブ25、45を閉じることで、タンク13、33に溜めた空気54が内部通路22、42内の冷媒52に混入することを抑制できる。
【0049】
プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを結合する場合、図11(c)で説明したように、バルブ12、32が閉じられ且つバルブ25、45が開かれた状態を所定時間維持した後に、バルブ25、45を閉じ、その後にバルブ12、32を開くことが好ましい。これにより、配管50からカプラー200を介して配管51に冷媒52が流れた場合でも、タンク13、33に溜まった空気54が冷媒52の流れに引き寄せられて冷媒52に混入することを抑制できる。
【0050】
プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを分離する場合、図10(b)のように、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cを分離する前に、バルブ12、32を閉じ且つバルブ25、45を開くことが好ましい。これにより、プラグカプラー10cとソケットカプラー30cの分離時に内部通路22、42の流入した空気54をタンク13、33に溜めることができる。
【0051】
実施例2においても、実施例1から実施例1の変形例2と同様に、プラグカプラー及びソケットカプラーの少なくとも一方に、内部通路を開閉するバルブとタンクと内部通路とタンクを連通する連通路を開閉するバルブが設けられていてもよい。
【実施例3】
【0052】
図12は、実施例3に係るカプラー300を示す断面図である。図12のように、カプラー300は、プラグカプラー10dとソケットカプラー30dを備える。プラグカプラー10dは、実施例2におけるプラグカプラー10cと同じであるため説明を省略する。ソケットカプラー30dは、実施例2におけるソケットカプラー10cと比べて、距離センサ55が設けられている。距離センサ55は、凹部34の内面である結合面43に設けられている。距離センサ55は、例えばリング形状をしていて、結合面43に開口する開口部38の周りを1周して設けられている。距離センサ55は、内部の光源から出射した光56をプラグカプラー10dの結合面23及び内部ピン19の先端面に出射し、そこで反射した光56を内部の受光素子で受光する。距離センサ55は、光56が出射されてから受光されるまでの時間を測定し、距離センサ55とプラグカプラー10dの結合面23との間の距離、及び、距離センサ55とプラグカプラー10dの内部ピン19の先端面との間の距離、を測定する。距離センサ55での測定結果はバルブ制御装置53に出力される。
【0053】
プラグカプラー10dとソケットカプラー30dが分離しているとき、図12のように、距離センサ55とプラグカプラー10dの内部ピン19の先端面の間の距離は、距離センサ55とプラグカプラー10dの結合面23の間の距離と同じ又は少し短くなる。バルブ制御装置53は、距離センサ55が出力した距離センサ55と内部ピン19の先端面の間の距離と距離センサ55と結合面23の間の距離とを比較し、プラグカプラー10dとソケットカプラー30dが結合から分離又は分離から結合されたことを検出する。ソケットカプラー30dのその他の構成は、実施例2におけるソケットカプラー30cと同じであるため説明を省略する。
【0054】
バルブ制御装置53は、距離センサ55からの出力信号に基づきプラグカプラー10dとソケットカプラー30dが分離したことを検出したとき、検出してから所定時間経過した後に、図10(d)で説明したバルブ25、45の閉動作を実行する。このように、バルブ制御装置53がプラグカプラー10dとソケットカプラー30dの間隔に基づきバルブ25、45を閉じるようにしてもよい。
【0055】
なお、バルブ制御装置53は、距離センサ55からの出力信号に基づきプラグカプラー10dとソケットカプラー30dが結合したことを検出したとき、図11(b)で説明したバルブ25、45の開動作を遅滞なく実行してもよい。また、バルブ制御装置53は、図11(c)で説明したバルブ12、32の開動作及びバルブ25、45の閉動作を、プラグカプラー10dとソケットカプラー30dが結合したことを検出してから所定時間経過した後に実行してもよい。
【実施例4】
【0056】
図13は、実施例4に係る冷却システム400を示す図である。図13のように、冷却システム400は、複数の回路配線基板61が実装された電子装置60と、冷媒を循環させる循環装置66と、電子装置60と循環装置66との間を循環する冷媒が流れる導入配管64及び排出配管65と、を備える。循環装置66から供給される冷媒は、導入配管64を流れて回路配線基板61に搭載された発熱部品62に直接的に接触又は熱伝導部材などを介して間接的に接触する受熱器63に導入される。これにより、発熱部品62で発生した熱が受熱器63を流れる冷媒に伝わり発熱部品62の熱が移動する。受熱器63を通過した冷媒は、排出配管65を流れて循環装置66に導入されて循環装置66で冷却される。発熱部品62は、例えばLSIチップなどである。循環装置66は、例えばチラーなどである。導入配管64を流れる冷媒は液体成分が主であり、排出配管65を流れる冷媒は液体成分が主であってもよいし、気体成分が主であってもよい。
【0057】
導入配管64及び排出配管65に実施例1のカプラー100が設けられている。カプラー100を構成するプラグカプラー10は、循環装置66側に位置して導入配管64及び排出配管65に設けられている。ソケットカプラー30は、回路配線基板61側に位置して導入配管64及び排出配管65に設けられている。ソケットカプラー30は、例えば回路配線基板61上に設けられている。
【0058】
図14は、実施例4における回路配線基板61の交換方法を説明する図である。図14のように、カプラー100を構成するプラグカプラー10とソケットカプラー30を分離することで、回路配線基板61を電子装置60から取り外すことができる。また、新たな回路配線基板61に設けられたソケットカプラー30をプラグカプラー10に結合することで、回路配線基板61を電子装置60に取り付けることができる。回路配線基板61の抜き差しが行われるときでも、抜き差しを行わない他の回路配線基板61に対しては発熱部品62を冷却するために冷媒が導入され続けている。
【0059】
回路配線基板61を電子装置60から取り外したり、電子装置60に取り付けたりするときに、図4で説明したように、プラグカプラー10の内部通路22及びソケットカプラー30の内部通路42に空気が流入する場合がある。内部通路22、42に空気が流入すると、冷媒中に空気が混在することになり冷却性能の低下が生じてしまうが、カプラー100は、図5(a)から図6(c)で説明したように内部通路22、42への空気の流入を抑制できる。よって、冷却システム400では、電子装置60への回路配線基板61の抜き差しによる冷却性能の低下を抑制することができる。
【0060】
冷却システム400では、電子装置60は受熱器63が設けられた発熱部品62を有する複数の回路配線基板61を備える。導入配管64は、複数の回路配線基板61各々の発熱部品62に設けられた受熱器63に冷媒が導入されるように分岐している。排出配管65は、複数の回路配線基板61各々の発熱部品62に設けられた受熱器63を通った冷媒が循環装置66に排出されるように分岐している。このような場合において、電子装置60から回路配線基板61を取り外すときに導入配管64及び排出配管65を流れる冷媒中に空気が混入すると、他の回路配線基板61を流れる冷媒は空気が混入したものとなってしまう。したがって、他の回路配線基板61に対する冷却性能が低下してしまう。しかしながら、実施例1のカプラー100を用いることで、電子装置60から回路配線基板61を取り外しても冷媒に空気が混入することを抑制できるため、他の回路配線基板61には空気の混入が抑制された冷媒を供給できる。よって、他の回路配線基板61に対する冷却性能の低下を抑制できる。なお、回路配線基板61を取り外したときの流入空気が混入した冷媒が他の回路配線基板61に流れることを抑制するために、少なくとも循環装置側に設けられたプラグカプラー又はソケットカプラーにバルブとタンクが備わることが好ましい。
【0061】
受熱器63に導入された液相の冷媒が発熱部品62の熱によって気化するときの気化熱を利用した冷却方式では、導入配管64及び排出配管65内に液相及び気相の冷媒以外の成分が混入していると冷却効率が著しく低下する。したがって、このような冷却方式の場合に、実施例1のカプラー100を用いて空気の流入を抑制することが好ましい。
【0062】
冷却システム400では、実施例1のカプラー100を備える場合を例に示したが、実施例1の変形例1、変形例2、実施例2、又は実施例3のカプラーを備える場合でもよい。
【0063】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10、10a、10b、10c、10d プラグカプラー
11 本体部
12 バルブ
13 タンク
15 凹部
16 空洞部
17、18 開口部
19 内部ピン
20 弾性部材
21 連通路
22 内部通路
23 結合面
25 バルブ
30、30a、30b、30c、30d ソケットカプラー
31 本体部
32 バルブ
33 タンク
34、35 凹部
36 空洞部
37、38 開口部
39 内部ピン
40 弾性部材
41 連通路
42 内部通路
43 結合面
45 バルブ
52 冷媒
53 バルブ制御装置
54 空気
55 距離センサ
60 電子装置
61 回路配線基板
62 発熱部品
63 受熱器
64 導入配管
65 排出配管
66 循環装置
100、100a、100b、200、300 カプラー
400 冷却システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14