(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20230427BHJP
B67C 3/24 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B65G47/86 B
B67C3/24
(21)【出願番号】P 2019090046
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】米村 雄一
(72)【発明者】
【氏名】枝 政彰
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-057309(JP,U)
【文献】特表2017-518939(JP,A)
【文献】実開平2-144600(JP,U)
【文献】特開2012-066905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/80、47/84-47/86,47/90-47/96
B67C 3/24-11/06
B65B 43/00-43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に設けられた回転体と、上記回転体における円周方向の複数箇所に設けられて容器を保持するグリッパとを備え、
上記各グリッパは、第1の容器を把持するための第1把持部と、上記第1の容器とは異なる第2の容器を把持するための第2把持部とを有しており、
さらに、上記グリッパに係合して、上記第1把持部および第2把持部のいずれか一方を容器を把持する使用位置と容器を把持しない後退位置とに位置させる切替手段と、上記回転体および切替手段の作動を制御する制御装置が設けられた容器搬送装置において、
上記グリッパは、上記回転体の回転軸と平行な揺動軸を中心として揺動可能な揺動プレートを備えており、該揺動プレートに上記第1把持部と第2把持部が隣接して配置されており、
上記切替手段は、上記グリッパによる容器の搬送経路に沿って上記回転体の側方に配設されており、該切替手段は、上記揺動プレートと係合可能な係合部材と、容器をグリッパによって搬送する際には上記係合部材を待機位置に位置させるとともに上記第1把持部または第2把持部とを使用位置に切り替える際には上記係合部材を係合位置に位置させる移動機構とを備えており、
上記制御装置は、上記切替手段の係合部材を係合位置に位置させて、上記揺動プレートに係合部材が係合可能にした状態で、上記回転体と上記係合部材とを相対的に移動させて、該係合部材を上記揺動プレートと当接させることにより、上記使用位置に位置する上記両把持部のいずれか一方を当該使用位置から後退位置に移動させるとともに、上記両把持部のいずれか他方を後退位置から使用位置に位置させる切替動作を実行することを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
上記切替手段の移動機構は、上記係合部材を下降位置と上昇位置とに昇降させる昇降機構と、上記係合部材を上記待機位置と係合位置との間で揺動させる揺動機構とを備えており、
上記切替動作では、上記係合部材を下降位置に位置させた状態で、上記待機位置から係合位置へと揺動して移動させ、該係合位置で上記係合部材を上昇位置に上昇させて上記使用位置に位置する上記両把持部のいずれかに係合可能な状態とし、その後、上記係合部材を揺動させて上記両把持部のいずれかに当接させて揺動プレートを揺動させることにより、使用位置に位置する両把持部のいずれか一方を当該使用位置から後退位置に移動させるとともに、いずれか他方を後退位置から使用位置に位置させることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
上記回転体、グリッパ及び上記切替手段は、内部を無菌状態に維持された無菌チャンバー内に配置されており、
上記チャンバー内の無菌状態を維持したまま、上記制御装置は上記切替動作を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
上記グリッパの揺動プレートを上記回転体に対して位置決めして、該揺動プレートの第1把持部または第2把持部を上記使用位置に維持する位置決め機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の容器搬送装置。
【請求項5】
上記位置決め機構は、上記グリッパの揺動プレートとそれが載置される部材との少なくともいずれか一方に設けられて、いずれか他方に向けて付勢される突出片と、上記揺動プレートとそれが載置される部材との少なくともいずれか他方に設けられて、上記突出片が嵌合される凹部とを備えることを特徴とする請求項4に記載の容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器搬送装置に関し、より詳しくは、口部の外径が異なる複数の容器に兼用可能な容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口部の外径が異なる複数の容器に兼用できるグリッパを備えた容器搬送装置は知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4393261号公報
【文献】特許第4301437号公報
【文献】特許第5889138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の容器搬送装置は、各組のグリッパ毎にグリッパを交換するための機構9を回転ホイールに設ける必要があり(
図6~
図8参照)、回転ホイールの重量が増加するという問題があった。
他方、特許文献2の容器搬送装置は、各グリッパにおける左右の把持部を回転ホイールの円周方向に隣接させて配置しているので(
図1、
図2参照)、回転ホイールが大径化するという問題があった。
また、従来、保持した容器を傾斜させるグリッパを備えた容器搬送装置が提案されている(例えば特許文献3)。この特許文献3の装置においては、グリッパに保持した容器を傾斜させることが可能であり、それによって、容器内への充填液の充填を円滑に行うことができる。しかしながら、上記特許文献1、特許文献2の容器搬送装置においては、特許文献3に開示された構成のグリッパを組み合わせることができないという課題があった。
そこで、本発明の目的は、回転ホイールの重量増加と大径化を抑制して、異なる大きさの容器に兼用可能な容器搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、回転自在に設けられた回転体と、上記回転体における円周方向の複数箇所に設けられて容器を保持するグリッパとを備え、
上記各グリッパは、第1の容器を把持するための第1把持部と、上記第1の容器とは異なる第2の容器を把持するための第2把持部とを有しており、
さらに、上記グリッパに係合して、上記第1把持部および第2把持部のいずれか一方を容器を把持する使用位置と容器を把持しない後退位置とに位置させる切替手段と、上記回転体および切替手段の作動を制御する制御装置が設けられた容器搬送装置において、
上記グリッパは、上記回転体の回転軸と平行な揺動軸を中心として揺動可能な揺動プレートを備えており、該揺動プレートに上記第1把持部と第2把持部が隣接して配置されており、
上記切替手段は、上記グリッパによる容器の搬送経路に沿って上記回転体の側方に配設されており、該切替手段は、上記揺動プレートと係合可能な係合部材と、容器をグリッパによって搬送する際には上記係合部材を待機位置に位置させるとともに上記第1把持部または第2把持部とを使用位置に切り替える際には上記係合部材を係合位置に位置させる移動機構とを備えており、
上記制御装置は、上記切替手段の係合部材を係合位置に位置させて、上記揺動プレートに係合部材が係合可能にした状態で、上記回転体と上記係合部材とを相対的に移動させて、該係合部材を上記揺動プレートと当接させることにより、上記使用位置に位置する上記両把持部のいずれか一方を当該使用位置から後退位置に移動させるとともに、上記両把持部のいずれか他方を後退位置から使用位置に位置させる切替動作を実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、上記制御装置が切替動作を実行することで、第1把持部と第2把持部を交互に使用位置に切り替えることができる。そして、切替手段は、回転体とは別個にその外方に設けられているので、回転体の重量増加と大型化を抑制して、異なる大きさの容器に兼用可能な容器搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】
図3の要部の平面図を示し、
図4(a)は第2把持部が使用位置に位置した状態を示し、
図4(b)は第1把持部が使用位置に位置した状態を示している。
【
図7】
図1の切替手段によるグリッパの揺動プレートの切り替え動作を示す図。
【
図8】
図1の切替手段によるグリッパの揺動プレートの切り替え動作を示す図。
【
図9】位置決め機構の第2実施例としての平面図を示し、
図9(a)は第2把持部が使用位置に位置した状態を示し、
図9(b)は第1把持部が使用位置に位置した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1ないし
図5において、1は無菌チャンバー2内に配置された回転式の無菌充填システムを示している。この無菌充填システム1は、無菌状態に維持された無菌チャンバー2内において、グリッパ3によって容器4を保持して回転体5の回転に伴って搬送しながら、該容器4内に充填バルブ6によって充填液7を充填できるようになっている。
後に詳述するが、容器4を保持する保持機構としてのグリッパ3は、口部の外径が異なる大小2種類の容器4に兼用可能となっており、充填作業開始前の段階で切替手段11によって容器4の口部4A(4A′)の外径の違いに応じてグリッパ3の揺動プレート12の停止位置を切り替えることで、第1把持部12Aと第2把持部12Bとを容器4を把持可能な使用位置に交互に位置させるようになっている(
図4(a)、
図4(b)参照)。
無菌充填システム1は、サーボモータ13に連動して回転される回転体5と、この回転体5の外周部の円周方向に等ピッチで配置された複数のグリッパ3と、回転体5における各グリッパ3の上方に配置された充填バルブ6と、供給位置A及び排出位置Bに配置された入口ホイール14と出口ホイール15と、供給位置Aよりも容器4の搬送方向下流側の充填区間における切替位置Cに配置された切替手段11と、これらの構成要素の作動を制御する制御装置16とを備えている。本実施例における容器搬送装置は、回転体5、それに設けた複数のグリッパ3、切替手段11及び制御装置16によって構成されている。
【0009】
充填バルブ6による容器4への充填液7の充填作業時においては、回転体5がサーボモータ13により時計方向に連続的に回転されるようになっており(
図1)、その際には入口ホイール14及び出口ホイール15も
図1に矢印で示す方向に同期して回転されるようになっている。そして、供給位置Aにおいて、入口ホイール14の各グリッパ14Aによって口部4Aを保持された空の容器4が回転体5の各グリッパ3の揺動プレート12に順次受け渡されるようになっている。
揺動プレート12は、大径の容器4の口部4Aを把持する半円状の第1把持部12Aと、小径の容器4の口部4A′を把持する半円状の第2把持部12Bとを備えている。
大径の容器4に充填液7を充填する場合には、事前に第1把持部12Aを使用位置に位置させてあり、該第1把持部12Aで大径の容器4の口部4Aを把持するようになっている(
図4(b)参照)。他方、小径の容器4に充填液7を充填する場合には、事前に第2把持部12Bを使用位置に位置させてあり、該第2把持部12Bで小径の容器の口部4A′を把持するようになっている(
図4(a)参照)。
このように、本実施例では、使用位置にある第1把持部12Aで大径の容器4を把持する場合と、使用位置にある第2把持部12Bで小径の容器4を把持する場合とで、揺動プレート12の停止位置を交互に切り替えるようになっており、そのために切替手段11が配置されている。
【0010】
揺動プレート12における各把持部12A、12Bの下面には、左右一対のクリップ爪17、17がそれぞれ配置されており(
図7、
図8参照)、第1把持部12A又は第2把持部12Bに供給位置Aで入口ホイール14のグリッパ14Aから容器4が受け渡されると、その口部4A(4A′)はクリップ爪17、17によって左右両側から把持されると同時に、第1把持部12A(第2把持部12B)に係合し、かつ、第1把持部12A(第2把持部12B)の上面によって容器4のフランジ部4Bが支持される。それにより、大小の容器4は、揺動プレート12の各把持部12A、12Bによって口部4A(口部4A′)を把持されて吊り下げられた状態となり、その状態で充填区間を搬送されるようになっている。
このように供給位置Aで順次各グリッパ3に受け渡されて保持された容器4は、その後、回転体5の時計方向の回転に伴って搬送方向下流側となる充填区間を搬送されるようになっており、その搬送過程においてグリッパ3の上方に配置された充填バルブ6によって容器4内に所定量の充填液7が充填されるようになっている。その後、充填バルブ6による充填液7の充填が完了した容器4は充填区間を過ぎて排出位置Bへ搬送されると、回転体5の各グリッパ3から出口ホイール15の各グリッパへ受け渡されて排出されるようになっており、その後、容器4は出口ホイール15のグリッパによって図示しない下流側の装置へ受け渡されるようになっている(
図1参照)。
入口ホイール14のグリッパ14Aは、供給位置Aで容器4を回転体5の各グリッパ3に受け渡す際には、揺動プレート12の各把持部12A、12Bのクリップ爪17、17を押し広げて容器4を受け渡すようになっている(
図3参照)。また、出口ホイール15のグリッパも入口ホイール14のグリッパと同様に構成されており、排出位置Bにおいて回転体5の各グリッパ3から容器4が受け渡される際には、グリッパ3のクリップ爪17、17が出口ホイール15のグリッパによって押し広げられるようになっている。
【0011】
サーボモータ13の作動は制御装置16によって制御されるようになっており、上述した容器4内への充填作業時においては制御装置16によってサーボモータ13により回転体5は時計方向に連続回転されるようになっている。他方、後に詳述する充填作業開始前の段階で各グリッパ3の揺動プレート12の停止位置を切り替える切替動作の際には、制御装置16は、サーボモータ13を時計方向に間欠的に回転させるので、各グリッパ3が順次切替位置Cに間欠的に停止するようになっている。そして、各グリッパ3が切替位置Cに一時停止された際に、切替手段11によってグリッパ3の揺動プレート12の停止位置を容器4の大きさに応じて切り替えるようになっている。
【0012】
しかして、本実施例のグリッパ3は、口部4A(4A′)の外径が異なるれる充填区間においては、容器4全体を少し傾斜させて充填液7を充填することが特徴となっている。
図2ないし
図4に示すように、保持機構としてのグリッパ3は、回転体5の接線方向を回転中心として上下方向に揺動可能な揺動ベース21と、揺動ベース21における回転体5の中心側の端面に連結されたガイドブロック22と、揺動ベース21及びガイドブロック22の上面21A、22Aにわたって載置された略三角形の揺動プレート12とを備えている。
揺動ベース21の上面21Aとガイドブロック22の上面22Aは、ともに平坦面からなりそれらは同一平面となっており、そこに揺動プレート12が載置されている。
揺動プレート12は、幅広となった外方部分12aが回転体5の外方を向けた状態となり、幅が狭い内方部分12bが回転体5の中心側に位置した状態で、上記揺動ベース21及びガイドブロック22上に載置されている。外方部分12aの端面に所定間隔を維持して半円状の第1把持部12Aと第2把持部12Bが形成されている。つまり、回転体5の外周部に沿った状態で隣り合わせに第1把持部12Aと第2把持部12Bが形成されている。第1把持部12Aは搬送方向の下流側に位置し、第2把持部12Bは搬送方向上流側に位置しており、前述したように、使用位置にある第1把持部12Aにより大径の容器4の口部4Aを把持するようになっており(
図4(b)参照)、使用位置にある第2把持部12Bにより小径の容器4の口部4A′を把持するようになっている(
図4(a)参照)。
揺動ベース21の上面21Aの所定位置に鉛直方向の揺動軸23が突設させてあり、この揺動軸23は、揺動プレート12の中央側に形成された貫通孔12Cに嵌合されている。揺動軸23は、回転体5の回転中心と平行になっており、そのため、揺動プレート12は、ガイドブロック22及び揺動ベース21上において揺動軸23を回転中心として揺動可能となっている。それにより、揺動プレート12の各把持部12A、12Bを、それらに対応する容器4の口部4A(4A′)を把持可能な使用位置に停止させるようになっている。
【0013】
ガイドブロック22には、回転体5の直径方向と交差する円弧状のガイド孔22Bが形成されている。揺動プレート12の内方部分12bの下面にガイドピン24が取り付けてあり、そのガイドピン24をガイドブロック22のガイド孔22Bに係合させている。
揺動プレート12は、揺動軸23を中心として揺動可能であるが、ガイドピン24がガイド孔22Bにおける搬送方向の下流端と当接する位置が一方の移動端となり、ガイドピン24がガイド孔22Bにおける搬送方向の上流端と当接する位置が他方の移動端となる。
そして、揺動プレート12が一方の移動端に停止した際に、第1把持部12Aが大径の容器4を把持可能な使用位置に位置する(
図4(b)の状態)。他方、揺動プレート12が他方の移動端に停止した際に、第2把持部12Bが小径の容器4を把持可能な使用位置に位置する(
図4(a)の状態)。
なお、使用位置は、上記充填バルブ6の直下位置となっているので、揺動プレート12の各把持部12A、12Bに把持された容器4の口部4A(4A′)の大きさが異なっても、支障なく大小の容器4内に充填液7を充填できるようになっている。
【0014】
また、
図4(a)、
図4(b)に示すように、回転体5の中心側となるガイドブロック22の隅部(2箇所)は大きく面取りされており、それら2箇所に板ばね19がボルト20によって取り付けられている。搬送方向下流側の板ばね19は、その自由端を搬送方向下流側に位置させてあり、搬送方向上流側の板ばね19は、その自由端搬送方向上流側に位置させている。そして、各板バネ19の自由端の上部は円弧状に形成された凸部19Aとなっており、該凸部19Aはガイドブロック22の上面22Aの上方まで突き出した状態となっている。他方、揺動プレート12の内方部分12bの先端中央には、上記凸部19Aと係合可能な凹部12Eが形成されている。
そして、揺動プレート12が上記一方の移動端に位置した際には、揺動プレート12の凹部12Eが下流側の板ばね19の凸部19Aと係合する。そのため、揺動プレート12は、第1把持部12Aが使用位置に停止した状態に維持される(
図4(b)参照)。
他方、揺動プレート12が他方の移動端に位置した際には、揺動プレート12の凹部12Eが上流側の板ばね19の凸部19Aと係合する。そのため、揺動プレート12は、第2把持部12Bが使用位置に停止した状態に維持されるようになっている(
図4(a))。
このように、揺動プレート12が一方の移動端に停止されると、第1把持部12Aが大径の容器4を把持可能な使用位置に位置し(
図4(b))、揺動プレート12が他方の移動端に停止されると、第2把持部12Bが小径の容器4を把持可能な使用位置に位置するようになっている(
図4(a))。
そして、把持の対象となる容器4の大きさに応じて切替手段11によって、
図4(a)と
図4(b)に示す一方と他方の移動端のいずれかに揺動プレート12の停止位置を切り替えるようになっている。なお、切替時の揺動プレート12が揺動開始の際には、板ばね19の凸部19Aが弾性変形して凹部12Eから係合がはずれることで、揺動プレート12の位置決め状態が解除されるようになっている。
本実施例においては、両板ばね19の凸部19Aと揺動プレート12の凹部12Eとによって、揺動プレート12を上記両移動端に維持する位置決め機構が構成されている。
【0015】
グリッパ3は、回転体5の外周部に配置されており、容器4を把持した状態のグリッパ3全体を揺動させることで、グリッパ3に保持された容器4を充填区間において傾斜させるようになっている。
回転体5の外周部には、半径方向外方に延びる左右一対の上部ベース5Aが突設されるとともに、それらの下方側に左右一対の下部ベース5Bが突設されている。
上記揺動ベース21の下面には下方へ延びるアーム21Bが一体に形成されており、このアーム21Bにそれと直交するように支持軸26が一体に取り付けられている。支持軸26の両端の外周部は、左右の上部ベース5Aに形成された軸受部5Aaによって回転自在に軸支されている。
これにより、上記揺動プレート12、揺動ベース21及びガイドブロック22が上部ベース5Aによって支持されるとともに、それらは水平な支持軸26を回転中心として上下方向に揺動できるようになっている。
揺動ベース21のアーム21Bの下端部には、上記支持軸26と同様に支持軸27が一体に連結されている。この支持軸27の両端と上記下部ベース5Bとにわたって、左右一対のリンク機構28が取り付けられている。リンク機構28は、前方アーム28Aと後方アーム28B及び、それらを揺動可能に軸支する揺動軸28Cとを備えており、前方アーム28Aの先端の貫通孔に上記支持軸27の外周部が挿通されている。また、後方アーム28Bの基部には貫通孔が穿設されており、そこに下部ベース5Bの貫通孔に挿通された支持軸29が挿通されている。
【0016】
後方アーム28Bとその上方側の上部ベース5Aにわたっては、引っ張りばね31が取り付けられているので、後方アーム28Bは支持軸29を回転中心として常時上方に向けて付勢されるとともに、前方アーム28A及び揺動軸28Cも支持軸27を回転中心として常時上方に向けて付勢されている。
上部ベース5Aの下面には、下方に向けてストッパ5Abが突設されており、引っ張りばね31によって上方に引っ張られたリンク機構28の揺動軸28Cにストッパ5Abが当接することで、リンク機構28の前方アーム28Aと後方アーム28Bの上方側への移動端が規制されるようになっている(
図2参照)。
支持軸29の中央部には、ブラケットを介してカムフォロア32が取り付けられており、このカムフォロア32は、供給位置A、排出位置Bに配置された円弧状のカム33A、33B及び切替手段11が備えるカム33Cと係合できるようになっている(
図1、
図3、
図6参照)。
上述したように回転体5及び両ホイール14、15が連続回転されて充填作業が行われる際に、供給位置Aにグリッパ3が位置すると、グリッパ3側のカムフォロア32が供給位置Aのカム33Aと係合する。そのため、引っ張りばね31に抗してリンク機構28の前方アーム28A、後方アーム28Bが下方へ押し下げられて、後方アーム28Bからストッパ5Abから離隔する(
図3参照)。この状態においては、揺動プレート12は水平に支持されるので、該水平に維持された揺動プレート12の第1把持部12Aまたは第2把持部12Bに、入口ホイール14のグリッパ14Aによって支障なく容器4が受け渡されて、容器4の口部4A(4A′)が把持されるようになっている。このように供給位置Aでグリッパ3の揺動プレート12に把持された容器4は、その軸心が鉛直方向となった直立状態となる。
その後、回転体5の時計方向の回転に伴って、グリッパ3に把持された容器4が供給位置Aを通過して充填区間に移動されると、グリッパ3のカムフォロア32が供給位置Aのカム33Aから離隔する。この充填作業時おいては、切替手段11のカム33Cは、カムフォロア32と係合しない待機位置に位置している(
図6の破線参照)。そのため、引っ張りばね31によってリンク機構28が上方に引っ張られて、後方アーム28Bがストッパ5Abに当接する。これにより、揺動ベース21のアーム21Bの下端部が、供給位置Aにある時と比較して回転体5の外方側まで僅かに前進される。そのため、揺動ベース21に載置された揺動プレート12が支持軸26を中心として僅かに揺動され、両把持部12A、12Bが内方部分12bに対してわずかに浮き上がった状態となる。そのため、揺動プレート12に把持された容器4は、僅かに傾斜した状態に維持されるようになっている(
図2参照)。
このように、充填区間においては、グリッパ3に把持された容器4は、傾斜状態を維持されて搬送されるようになっており、その傾斜状態の容器4に充填バルブ6から充填液7が充填される。その際、充填バルブ6から容器4内に充填される充填液7は、回転体5が回転されることによる遠心力が作用しているので、下方側の流下部分が回転体5の外方側に押しやられる状態となる(
図2参照)。
ここで、グリッパ3に保持された容器4は僅かに傾斜状態に維持されているので、容器4内の底部中央の盛り上り部4Cに充填液7が直接流下する。そのため、容器4内に充填される充填液7の泡立ちが抑制されて、充填液7が容器4内に円滑に充填されるようになっている。
このように充填作業中において、回転体5の回転に伴って充填区間を搬送される傾斜状態の容器4に充填液7が充填されるが、この充填作業時においては、切替手段11のカム33Cは、グリッパ3側のカムフォロア32と係合しない待機位置に位置している(
図6の破線参照)。そのため、充填区間をグリッパ3が移動しても、グリッパ3側のカムフォロア32がカム33Cと係合することはない。
充填後の容器4が充填区間を過ぎて排出位置Bに移動すると、グリッパ3のカムフォロア32が排出位置Bのカム33Bと係合するので、
図3に示した供給位置Aの場合と同様に、引っ張りばね31に抗してリンク機構28が押し下げられて、ストッパ5Abから後方アーム28Bが離隔する。これにより、揺動プレート12が水平状態に維持され、その状態においてグリッパ3から出口ホイール15のグリッパへ容器4が円滑に受け渡されてから排出されるようになっている。
本実施例においては、カム33A~33Cとカムフォロア32、リンク機構28、アーム21B、支持軸26、27等により揺動プレート12に保持した容器4を傾斜させる揺動機構が構成されている。
【0017】
次に、グリッパ3の揺動プレート12を揺動軸23周りに揺動させて、第1把持部12Aと第2把持部12Bを容器4の大きさに応じて使用位置に切り替える切替手段11の構成について説明する。
図5ないし
図6に示すように、切替手段11は、無菌状態に維持された無菌チャンバー2内に鉛直方向に軸支された揺動軸36と、無菌チャンバー2内に配置されて下面に揺動軸36の上端が連結された密閉ボックス37と、密閉ボックス37の上面にそれぞれ昇降可能に設けられた第1ピン38A及び第2ピン38Bとを備えている。
揺動軸36は、サーボモータ39によって回動されるようになっており、このサーボモータ39の作動は、制御装置16によって制御される。
制御装置16がサーボモータ39を所要量回動させることにより、揺動軸36を介して密閉ボックス37を実線で示す係合位置と、破線で示す待機位置とに移動させるようになっている。グリッパ3の両把持部12A、12Bのいずれかを使用位置に位置させるための切替動作を行う際には、先ず実線で示す係合位置に密閉ボックス37を位置させ、その後、密閉ボックス37を、サーボモータ39によって揺動軸36を回転中心として所要角度だけ時計方向又は反時計方向に回転させるようになっている。
密閉ボックス37におけるグリッパ3と対向する前面に上記カム33Cが固定されており、密閉ボックス37が実線で示す係合位置に位置した状態でグリッパ3がそこに移動されてくると、グリッパ3のカムフォロア32がカム33Cと係合する。係合位置にあるカム33Cにカムフォロア32が係合することで、グリッパ3の揺動プレート12は水平に維持されるようになっている。このように、切替動作を行う際には、切替位置Cではグリッパ3の揺動プレート12は水平に支持され、その状態で揺動プレート12の第1把持部12Aと第2把持部12Bの使用位置への切替動作が行われるようになっている(
図5参照)。
なお、密閉ボックス37が
図6に破線で示す待機位置にある時、つまり、I4内への充填バルブ6による充填液7の充填作業時には、カム33Cはカムフォロア32とは係合しない。その際には、前述したように引っ張りばね31によって揺動プレート12が僅かに傾斜されているので、前述したように、グリッパ3の揺動プレート12の第1把持部12Aまたは第2把持部12Bに把持された容器4はわずかに傾斜した状態が維持され、その状態で充填液7が充填されるようになっている(
図2参照)。
【0018】
第1ピン38Aは、段付きの昇降軸41の上端に鉛直方向を向けて固定されており、昇降軸41は、密閉ボックス37の円筒ガイド42に摺動自在に貫通して配置されている。円筒ガイド42と昇降軸41の上方側の大径部とにわたっては蛇腹状部材43が取り付けられており、それにより、円筒ガイド42と昇降軸41との間の気密が維持されている。
昇降軸41の下端部はエアシリンダ44に連結されており、このエアシリンダ44はエア配管45を介して無菌チャンバー2外の図示しない圧縮空気の供給源に連通されている。圧縮空気の供給源は、制御装置16によって作動を制御されるようになっている。制御装置16が圧縮空気の供給源の作動を切り替えることで、エアシリンダ44を介して昇降軸41を実線で示す下降位置と破線で示す上昇位置とに第1ピン38Aを昇降させるようになっている。エア配管45の途中には、それから分岐させたエアパージ45Aが設けられており、そこから密閉ボックス37内に無菌チャンバー2内よりも陽圧の圧縮エアが供給されている。そのため、密閉ボックス37内は常時、無菌チャンバー2よりも陽圧に維持されている。
第2ピン38B側の構成も上記第1ピン38A側と同様に構成されており、第2ピン38Bも昇降軸41、エアシリンダ44、エア配管45等によって実線で示す下降位置と破線で示す上昇位置に昇降できるようになっている。
密閉ボックス37が
図6に実線で示す係合位置に位置している状態で、第1ピン38A、第2ピン38Bを上昇位置に上昇させると、それらはグリッパ3の揺動プレート12の上面よりも上方側に位置し、かつ、半円状となった両把持部12A、12B内に位置するようになっている。その状態で、密閉ボックス37を揺動軸36を回転中心として、密閉ボックス37をサーボモータ39によって所定角度、時計方向または反時計方向に回転させることで、第1ピン38A、第2ピン38Bのいずれかを両把持部12A、12Bのいずれかに当接させて揺動プレート12を揺動させることで、両把持部12A、12Bを使用位置に切り替えるようになっている。
【0019】
次に、
図7ないし
図8により切替手段11によるグリッパ3の揺動プレート12の切替動作について説明する。
すなわち、先ず、
図7により、小径の容器4用の第2把持部12Bが実線で示す使用位置に位置した状態から大径の容器4用の第1把持部12Aを使用位置に移動させる場合について説明する。この場合には、制御装置16がサーボモータ13により回転体5を所定角度回転させて、切替手段11に対向する切替位置Cにグリッパ3を停止させる。具体的には、両ピン38A、38Bが揺動される際の中心となる揺動軸36の軸心と回転体5の回転中心を結ぶ仮想線L1から見て、グリッパ3の揺動軸23が搬送方向よりも少し上流側となる位置にグリッパ3を停止させる。
その時点では、切替手段11の密閉ボックス37等は
図6に破線で示した待機位置に停止しており、かつ、両ピン38A、38Bは下降位置にある。この後、両ピン38A、38Bを下降位置としたままで、サーボモータ39により密閉ボックス37を待機位置から実線で示す係合位置まで揺動させる。
これにより、密閉ボックス37のカム33Cがグリッパ3のカムフォロア32と係合するので、揺動プレート12が水平状態に維持される(
図5、
図6参照)。この時、第1ピン38Aは、揺動プレート12の第1把持部12Aの下方側に位置しており、その後、エアシリンダ44によって第1ピン38Aが上昇位置まで上昇される。
この時点で、第1ピン38Aは、第1把持部12Aの内方側でそれよりも上方まで突出しているが、第1把持部12Aとは当接していない。
ここから、サーボモータ39により密閉ボックス37を揺動軸36を中心として時計方向に所定角度揺動させるので、第1ピン38Aが時計回りに所定角度揺動される。その過程において第1ピン38Aが第1把持部12Aに当接し、その後、揺動プレート12を揺動軸23を中心として反時計方向に所定角度θ1だけ揺動させる。これにより、第2把持部12Bが使用位置から容器4を把持しない後退位置まで移動される一方、第1把持部12Aが容器4を把持しない後退位置から容器4を把持する使用位置へ移動される(
図7に破線で示す状態)。
この時には、
図4(b)に示すように、ガイドピン24がガイド孔22Bの下流側の端部に位置し、かつ、揺動プレート12の凹部12Eが下流側の板ばね19の凸部19Aと係合して、揺動プレート12はそこで停止状態に維持される。
このように、第1ピン38Aによる揺動プレート12の揺動動作の完了は、回転体5の所定位置に設けた光電センサ47が、揺動プレート12の外方部分12aの一側端によって遮蔽されることで検出され、そのことは制御装置16によって認識できるようになっている。
この後、第1ピン38Aは上昇位置から下降位置まで下降されるので、第1ピン38Aは揺動プレート12の第1把持部12Aから離隔してその下方に位置する。なお、この間、第2ピン38Bは下降位置に位置しており、揺動プレート12とは係合しない。
この後、サーボモータ39により密閉ボックス37が、上記θ1よりも少し大きな所定角度だけ反時計方向に回転されてそこで停止する。
この後、サーボモータ13により回転体5が所定角度時計方向に回転されると、次のグリッパ3が
図7に実線で示す切替位置Cに停止される。すると、その後、上述した切替動作と同様にして該新たなグリッパ3の揺動プレート12の第1把持部12Aが後退位置から使用位置に切り替えられると同時に第2把持部12Bは使用位置から後退位置に切り替えられる。
このようにして、切替位置Cに一時停止される各グリッパ3の揺動プレート12は、切替手段11によって第1把持部12Aが使用位置に位置するように切り替えられるようになっている。
【0020】
次に、グリッパ3の揺動プレート12の第1把持部12Aが使用位置に位置した状態から、第2把持部12Bを使用位置に移動させる場合について
図8により説明する。
この場合には、制御装置16がサーボモータ13により回転体5を所定角度回転させて、切替位置Cにグリッパ3を停止させる。具体的には、
図8に実線で示すように、揺動軸36の軸心と回転体5の回転中心を結ぶ仮想線L1から見て、グリッパ3の揺動軸23が搬送方向の少し下流側となる位置にグリッパ3を停止させる。
その時点で、切替手段11の密閉ボックス37等は
図6に破線で示した待機位置に位置し、かつ、両ピン38A、38Bは下降位置にある。この後、両ピン38A、38Bを下降位置としたままサーボモータ39により密閉ボックス37を待機位置から実線で示す係合位置まで揺動させる(
図5、
図6参照)。
これにより、密閉ボックス37のカム33Cがグリッパ3のカムフォロア32と係合するので、揺動プレート12が水平状態に維持される。
この時、第2ピン38Bは、揺動プレート12の第2把持部12Aの下方側に位置しており、その後、エアシリンダ44によって第2ピン38Bが上昇位置まで上昇される。この時点では、第2ピン38Bは、第2把持部12Bの内方側でそれよりも上方まで突出しているが、第2把持部12Bとは当接していない。
ここから、サーボモータ39により密閉ボックス37を揺動軸36を中心として反時計方向に所定角度だけ揺動させることで、第2ピン38Bが反時計回りに所定角度だけ揺動される。その過程において第2ピン38Bが第2把持部12Bに当接したのち、揺動プレート12を揺動軸23を中心として時計方向に所定角度θ2だけ揺動させる。これにより、第1把持部12Aが実線で示す使用位置から破線で示す後退位置まで移動される一方、第2把持部12Bが後退位置から使用位置へ移動される(
図8に破線で示す状態)。
この時には、
図4(a)に示すように、ガイドピン24がガイド孔22Bの上流側の端部に位置し、かつ、揺動プレート12の凹部12Eが上流側の板ばね19の凸部19Aに係合して、そこで停止状態が維持される。
また、このように第2ピン38Bによる揺動プレート12の揺動の完了は、回転体5の所定位置に設けた他方の光電センサ47′が、揺動プレート12の外方部分12aの他側によって遮蔽されることで検出されるようになっており、そのことは制御装置16によって認識できるようになっている。
この後、第2ピン38Bは上昇位置から下降位置まで下降されるので、第2ピン38Bは揺動プレート12の第2把持部12Bから離隔してその下方に位置する。この間、第1ピン38Aは下降位置に位置したままとなっている。
この後、サーボモータ39により密閉ボックス37が、時計方向に所定角度θ2より少し大きな角度だけ回転されてそこに停止する。
これにより、切替位置Cにおいて、最初のグリッパ3の揺動プレート12の第2把持部12Bが使用位置に切り替えられると同時に、第1把持部12Aは使用位置から後退位置に切り替えられる。
この後、回転体5が所定角度回転されると、次のグリッパ3が切替位置Cに停止されるので、上述した切替動作と同様にして、新たなグリッパ3の揺動プレート12の第2把持部12Bが後退位置から容器4を把持する使用位置に切り替えられるようになっている。
このようにして、切替位置Cに一時停止される各グリッパ3の揺動プレート12が、切替手段11によって第2把持部12Bが使用位置に位置するように切り替えられるようになっている。
以上のように、本実施例では、切替位置Cに間欠的にグリッパ3が一時停止される際に、各グリッパ3の揺動プレート12の各把持部12A、12Bを容器4を把持する使用位置と容器4を把持しない後退位置に切替動作を行うようになっている。
【0021】
以上のように、本実施例においては、グリッパ3の揺動プレート12は、大小異なる大きさの容器4を把持するための第1把持部12Aと第2把持部12Bを備えており、把持する容器4の大きさを変更する際には、切替手段11によって各グリッパ3の揺動プレート12の停止位置を自動的に切り替え可能となっている。
そして、本実施例においては、切替手段11は、回転体5とは別個にその外方に設けられている。そのため、本実施例によれば、回転体5の重量増加と大型化を抑制して、異なる大きさの容器4に兼用可能な容器搬送装置を提供することができる。
また、グリッパ3全体が支持軸26を中心として揺動機構によって揺動可能となっており、充填バルブ6によって充填作業が行われる充填区間においては、グリッパ3の揺動プレート12の外方部分12aを内方部分12bよりも少し高く維持させている。それによって揺動プレート12の両把持部12A、12Bに把持された容器4は、少し傾斜した状態に維持され、その状態で充填液7が充填される(
図2参照)。それにより、充填液7は容器4内の盛り上り部4Cに直接流下し、それにより容器4内での充填液7の泡立ちが抑制されて容器4内に充填液7に円滑に充填されるようになっている。
【0022】
次に、
図9ないし
図10は、揺動プレート12を使用位置に維持するための位置決め機構に関する第2実施例を示したものであり、この第2実施例においては、ガイドブロック22に設けたボールプランジャ25と揺動プレート12に形成した有底孔12D(12D′)によって位置決め機構が構成されている。
すなわち、
図9(a)、
図9(b)及び
図10(a)に示すように、ガイドブロック22には、ガイド孔22Bの一方と他方の移動端に近い位置に有底孔22C、22Cが形成されており、それらにコイルばね25Aとその上端に取り付けたボール25Bとからなるボールプランジャ25が収容されている。自然状態では、ボール25Bが部分的にガイドブロック22の上面22Aよりも上方に突出するようになっている。他方、揺動プレート12の内方部分12bの下面には、ガイドピン24に近い2箇所に有底孔12D、12D′が形成されている。
そして、揺動プレート12が上記一方の移動端に位置した際には、下流側のボールプランジャ25のボール25Bが、揺動プレート12の一方の有底孔12Dに嵌合される。そのため、揺動プレート12は、第1把持部12Aが使用位置に停止した状態に維持される(
図9(b)参照)。
他方、揺動プレート12が他方の移動端に位置した際には、上流側のボールプランジャ25のボール25Bが、揺動プレート12の他方の有底孔12D′に嵌合されるので、揺動プレート12は、第2把持部12Bが使用位置に停止した状態が維持されるようになっている(
図9(a)参照)。
このように、揺動プレート12が一方の移動端に停止されると、第1把持部12Aが大径の容器4を把持可能な使用位置に位置するようになっており(
図9(b)の状態)、他方、揺動プレート12が他方の移動端に停止されると、第2把持部12Bが小径の容器4を把持可能な使用位置に位置するようになっている(
図9(a)の状態)。
そして、把持の対象となる容器4の大きさに応じて切替手段11によって、
図9に示す一方と他方の移動端のいずれかに揺動プレート12の停止位置を切り替えるようになっている。
このように、第2実施例においては、上記ボールプランジャ25と有底孔12D(12D′)とによって、揺動プレート12を上記両移動端に停止させて位置決めする位置決め機構が構成されている。
なお、
図10(b)に示すように、
図10(a)のボールプランジャ25のボール25Bの代わりに上方側が小径となる円錐状の係合部材25Bを採用するとともに、それに合わせて揺動プレート12の有底孔12D(12D′)も円錐状に形成しても良い。
【0023】
また、上記
図9ないし
図10の第2実施例においては、ボールプランジャ25はガイドブロック22に配置されているが、揺動プレート12に設けても良い。また、それら両部材にボールプランジャを取り付けることも可能である。
さらに、グリッパ3の揺動プレート12の位置決め機構としては、コイルバネ25Aを用いたボールプランジャ25だけでなく、強力な磁石を用いても良い。この場合には、磁石のN極を一方の部材に、磁石のS極を他方の部材に設ける構成となる。
さらに、上記実施例では、密閉ボックス37に第1ピン38Aと第2ピン38Bを設けているが、密閉ボックス37にピンを1本だけ設けて、それを水平面のXY方向に移動させる方式を採用しても良い。
また、上記実施例においては、切替手段11の第1ピン38A、第2ピン38Bは、それぞれ第1把持部12Aと、第2把持部12Bに係合して揺動プレート12の位置を切り替える構成となっているが、各把持部12A、12Bから外れた位置であって揺動プレート12の側面に第1ピン38A、第2ピン38Bが係合することにより、揺動プレート12の位置を切り替えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0024】
1‥無菌充填システム 3‥グリッパ
4‥容器 5‥回転体
11‥切替手段 12‥揺動プレート
12A‥第1把持部 12B‥第2把持部
16‥制御装置 23‥揺動軸
36‥揺動軸(移動機構)
37‥密閉ボックス(移動機構)
38A‥第1ピン(係合部材)
38B‥第2ピン(係合部材)
39‥サーボモータ