(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230427BHJP
F24C 3/10 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A47J27/00 103Z
F24C3/10 G
(21)【出願番号】P 2019099026
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】江口 康輔
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-241200(JP,A)
【文献】特開2017-200542(JP,A)
【文献】特開2002-324532(JP,A)
【文献】特開平07-289427(JP,A)
【文献】特開2003-111666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
F24C 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面部材と、前記側面部材の下側の開口を覆う底部材とを有する筐体と、
前記筐体の内部に配置されている電池基板と、
配線を介して前記電池基板と接続されている電池と、
前記筐体の内部に配置され、前記電池を着脱可能に保持する電池保持部と
を備え
、
前記電池を前記筐体から取り出す際の前記電池の取り出し方向は、前記底部材に向かう方向である、調理器。
【請求項2】
前記側面部材の高さをHとすると、前記電池保持部は、前記側面部材の下端からH/2の高さよりも下方に配置されている、
請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記電池保持部は、前記電池を支持する爪部を3つ以上有している、
請求項1または2に記載の調理器。
【請求項4】
前記爪部のうちの第1の爪部は、前記電池の取り出し位置側に配置されており、
前記第1の爪部は、可撓性を有している、
請求項3に記載の調理器。
【請求項5】
前記電池保持部は、前記第1の爪部と対向する位置に、前記配線が通る空隙部を有している、請求項4に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を備えている調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器などの調理器の中には、主要電源の供給手段としての電源プラグの他に、マイコン基板などのバックアップ電源として電池を備えているものがある。これにより、電源プラグが商用電源に接続されていない場合や、商用電源の停電が生じた場合などに、バックアップ電源を利用してマイコン基板内の時計機能などを維持することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、マイコンのバックアップ電源を備えた炊飯器等の調理器が開示されている。この調理器は、機器本体2の下部を構成するボディ1に、マイコンバックアップ用の電池3を収納する収納部5を設け、この収納部5の表面を電池カバー6で覆った構成となっている。これにより、電池カバー6を取り外すだけで電池交換を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている調理器などのように、ボディ1の下部に電池3を収納する収納部5を設けた構成であっても、電池3は電池基板4と一体的に構成されている。そのため、電池交換を行う際には、電池基板ごと取り外しを行う必要がある。
【0006】
本発明では、電池の交換作業をより容易に行うことのできる調理器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる調理器は、側面部材と前記側面部材の下側の開口を覆う底部材とを有する筐体と、前記筐体の内部に配置されている電池基板と、配線を介して前記電池基板と接続されている電池と、前記筐体の内部に配置されて前記電池を着脱可能に保持する電池保持部とを備えている。また、前記電池を前記筐体から取り出す際の前記電池の取り出し方向は、前記底部材に向かう方向である。
【0008】
上記の構成によれば、電池が配線を介して電池基板と接続されていることで、電池基板から電池を分離することができる。そのため、電池の交換を行う場合には、電池のみを取り外して、新しい電池に付け替えればよい。したがって、本発明の一局面にかかる調理器によれば、電池の交換作業をより容易に行うことができる。
【0009】
上記の本発明の一局面にかかる調理器において、前記側面部材の高さをHとすると、電池保持部は、前記側面部材の下端からH/2の高さよりも下方に配置されていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、調理器の下方(すなわち、底部材側)から電池保持部へよりアクセスし易くなる。そのため、電池交換を行う作業者は、底部材を取り外すことで容易に電池保持部に保持されている電池に手をとどかせることができるため、より簡単な作業で電池交換を行うことができる。
【0011】
上記の本発明の一局面にかかる調理器において、前記電池保持部は、前記電池を支持する爪部を3つ以上有していることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、電池保持部は電池を安定して保持することができる。
【0013】
上記の本発明の一局面にかかる調理器において、前記爪部のうちの第1の爪部は、前記電池の取り出し位置側に配置されており、前記第1の爪部は、可撓性を有していることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、電池の取り外しまたは電池の取り付けを行う際には、第1の爪部を撓ませることで、容易に電池保持部から電池を取り外したり、電池保持部へ電池を取り付けたりすることができる。
【0015】
上記の本発明の一局面にかかる調理器において、前記電池保持部は、前記第1の爪部と対向する位置に、前記配線が通る空隙部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の一局面にかかる調理器によれば、電池の交換作業をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる炊飯器の外観構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す炊飯器の内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す炊飯器から底壁を取り外した状態での底部分の構成を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる炊飯器の内部構成を示す下方斜視図である。
【
図5】
図4に示す炊飯器から電池を取り外した状態を示す下方斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる炊飯器に備えられた電池ユニットの構成を示す平面図である。
【
図7】
図6に示す電池ユニットから電池を取り外した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
本実施形態では、本発明の調理器の一例である誘導加熱式の圧力炊飯器100(以下、炊飯器100と称する)を例に挙げて説明する。但し、本発明にかかる調理器は、炊飯器に限定されることはなく、マイクロコンピュータなどのバックアップ電源などとして電池を備えている他の調理器(例えば、湯沸かし器など)にも適用することができる。
【0020】
(炊飯器の全体構成)
まず、本実施の形態にかかる炊飯器100の全体構成について説明する。
図1には、炊飯器100の外観を示す。炊飯器100は、主として、本体110と、蓋体140とで構成されている。蓋体140は、本体110の上方の開口部を開閉可能な状態で覆っている。
【0021】
図2には、炊飯器100の内部構成を示す。
図3には、
図2に示す炊飯器100の底部周辺の内部構成を示す。
【0022】
1.本体
本体110は、主として、筐体111、内鍋130、ヒンジ機構(ヒンジ部)150、取っ手112、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、電源回路基板118、制御回路基板119、電源コードユニット120、および電池ユニット180などを備えている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0023】
(1)筐体
筐体111は、本体110の外形を主に構成している。筐体111は、主な構成部材として、側壁(側面部材)111a、底壁(底部材)111b、および枠部材170(肩部材111c、保護枠111d、および基板支持部材111e)を有している。
【0024】
側壁111aは、平面視において略長方形を呈する囲い壁であって、
図1に示されるように本体110の側面を構成している。また、この側壁111aには、取っ手112が回動自在に取り付けられる。
【0025】
底壁111bは、略方形の板状体であって、
図1に示されるように側壁111aの下側に嵌め込まれており、側壁111aの下側の開口を覆っている。底壁111bには、
図2に示されるように、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Os、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。吸気口Osは、本体110の前方側(操作パネル117が配置されている側)に位置している。吸気口Osの直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Osを通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0026】
筐体111には、上方の開口部から枠部材170が嵌め込まれる。枠部材170は、主な構成部材として、肩部材111c、保護枠111d、および基板支持部材111eを有している。筐体111と枠部材170とで形成される構造体の内部には、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、送風ファン115、ヒートシンク116、電源回路基板118、制御回路基板119、電源コードユニット120、および電池ユニット180などが収容される。
【0027】
肩部材111cは、略方形状の枠体であって、側壁111aの上側に嵌合されており、側壁111aの上側の開口の縁部を覆っている。この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。肩部材111cの前方上側には操作パネル117が配設される。
【0028】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。保護枠111dは、主に、内鍋収容部PA、およびフランジ部FPで形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。フランジ部FPは、肩部材111cの下側に位置し、肩部材111cの形状に沿うように形成されている。
【0029】
基板支持部材111eは、制御回路基板119を支持する共に肩部材111cの前側の部位の形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。
【0030】
(2)内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)で形成される。内鍋130は、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0031】
(3)ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。このヒンジ機構150は、蓋体140を開方向に向かって付勢している。ヒンジ機構150は、本体110の背面側の上方に配置されている。
【0032】
(4)取っ手
取っ手112は、使用者が炊飯器100を手で持ち運ぶために設けられている部材である。取っ手112は、両側の端部に軸部112bを有している。
【0033】
(5)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの側壁および誘導加熱コイル113の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0034】
(6)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部および側壁下端部の外側に配設されている。
【0035】
(7)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体121は、誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。
【0036】
(8)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、
図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。サーミスタ114は、内鍋検知センサ(図示せず)に組み込まれている。内鍋検知センサは、炊飯器内に内鍋130が存在するか否かを判断するためのものであって、サーミスタ114が下端位置まで下がると、検知信号を制御回路基板119のマイクロコンピュータに送信する。マイクロコンピュータは、検知信号を受信すると、炊飯器内に内鍋130が存在すると判断する。なお、マイクロコンピュータが、炊飯器内に内鍋130が存在しないと判断した場合、炊飯運転が開始されない。サーミスタ114は、
図2に示されるように略円盤状のカバー部材127によって支持されている。このカバー部材127は、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁にネジ止めされている。
【0037】
(9)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁111bに形成される吸気口Osの直上に配設されている(
図2参照)。送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Osから吸い込まれて筐体111内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って電源回路基板118および制御回路基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0038】
(10)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0039】
(11)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものである。
図1に示されるように、操作パネル117は、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されている。上述したように、操作パネル117は、肩部材111cの前方上側に配設されている。
【0040】
(12)電源回路基板
電源回路基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。電源回路基板118は、筐体111内の前側空間SPfに収容されている(
図2参照)。
【0041】
(13)制御回路基板
制御回路基板119は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。制御回路基板119は、筐体111の前側空間SPfにおいて、ヒートシンク116の上方に配置されている(
図2参照)。制御回路基板119は、操作パネル117の下側に配設される基板支持部材111eに支持されている。
【0042】
(14)電源コードユニット
電源コードユニット120は、コードリール131を有している。電源コードユニット120は、筐体111の後側の空間に収容されている。コードリール131は、電源コードおよび自動巻取機構などを有している。電源コードは、電源プラグOPおよび電気線から構成されている。電源プラグOPは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0043】
(15)電池ユニット
電池ユニット180は、制御回路基板119のバックアップ電源としての電池181を有している。これにより、制御回路基板119内のマイクロコンピュータなどは、電池ユニット180から供給される電源を利用して動作することができる。したがって、電源プラグOPが商用電源に接続されていない場合や、商用電源の停電が生じた場合などに、マイクロコンピュータ内の時計機能およびメモリ内の情報などを維持することができる。
【0044】
電池ユニット180は、筐体111内の前側空間SPfに収容されている(
図3参照)。なお、別の実施形態では、電池ユニット180は、筐体111内の後側空間に収容されていてもよい。なお、この場合においても、電池交換時の作業のし易さを考慮して、電池ユニット180は、本体110の下方に配置されていることが好ましい。
【0045】
電池ユニット180の詳細な構成については後述する。
【0046】
2.蓋体
蓋体140は、主な構成部材として、外装体141、開閉ボタン142、圧力調整機構(図示せず)、および内蓋145などを備えている。蓋体140は、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。
【0047】
外装体141は、開閉ボタン142、圧力調整機構などを収容している。開閉ボタン142は、
図1に示されるように、上面が外装体141の上側に露出するように外装体141に配設されている。なお、外装体141は、使用時の内圧に耐えることができるように補強部材によって補強されていてもよい。外装体141の下面には、着脱自在に内蓋145が配設されている。
【0048】
開閉ボタン142は、蓋体140を開閉するための角丸長方形状のボタンである。開閉ボタン142の下方には、開閉ボタンの押圧動作をヒンジ機構150に伝達するレバー部材が配設されている。
【0049】
圧力調整機構は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整する。また、この圧力調整機構は、圧力炊飯運転中、蓋体140を開状態としないようにレバー部材の動作を規制する。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0050】
内蓋145は、
図2に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材である。
【0051】
(電池ユニットの構成について)
続いて、電池ユニット180の詳細な構成について説明する。
図4には、炊飯器100の本体110から側壁111aおよび底壁111bを取り外した状態での本体110内の下方部分の構成を示す。また、
図5には、
図4に示す本体110から電池181を取り外した状態の本体110内の下方部分の構成を示す。さらに、
図6には、電池ユニット180部分を拡大して示し、
図7には、
図6に示す電池ユニット180から電池181を取り外した状態を示す。なお、
図6および
図7では、炊飯器100の下方(すなわち、底壁111b側)を上に向けた状態での電池ユニット180の構成を示している。
【0052】
電池ユニット180は、主に、電池181、電池基板182、および電池保持台(電池保持部)185などで構成されている。
【0053】
電池181は、バックアップ電源としての役割を果たす。本実施形態では、電池181は略円盤形状を有している。電池181は、電池保持台185に着脱可能な状態で保持されている。電池181には、配線186が接続されている(
図6参照)。配線186の端部は、コネクタなどを介して電池基板182と接続されている。電池交換時には、配線186の端部は電池基板182のコネクタから取り外される。
【0054】
電池基板182は、配線186を介して電池181と接続されている。これにより、電池181から供給された電源は、先ず電池基板182に送電され、その後、電池基板182と配線187などを介して接続されている他の部品(例えば、制御回路基板119)へ供給される。電池基板182は、電池181からやや離間した位置に配置されている。
図7に示す例では、電池基板182は、電池保持台185の端部(炊飯器100を通常の状態に載置した状態で電池保持台185の下端部)に配置されている。
【0055】
電池保持台185は、略平板状の部材である。電池保持台185は、保護枠111dのフランジ部FPの下方、かつ、送風ファン115およびヒートシンク116に隣接する位置に配置されている(
図5参照)。
【0056】
電池保持台185の平坦面上には、3つの爪部183a・183b・183cが、平坦面から突出するように形成されている。これらの爪部183a・183b・183cによって、電池181は電池保持台185に支持される。爪部の個数は限定されないが、電池181を安定して保持するためには、3つ以上の爪部が設けられていることが好ましい。
【0057】
また、本実施形態のように、電池の取り出し位置側(具体的には、炊飯器100を通常の状態に載置した状態で本体110の下方側)に1つの爪部(例えば、第1の爪部183a)を配置し、電池の取り出し位置と対向する側(具体的には、炊飯器100を通常の状態に載置した状態で第1の爪部183aの上方側)に2つの爪部(例えば、第2の爪部183bおよび第3の爪部183c)を配置するのがより好ましい。これにより、電池保持台185からの電池181の脱着作業がより行い易くなる。
図6には、電池181が取り出される方向を矢印で示している。
図6では、電池保持台185の上側が、電池の取り出し位置側となる。なお、炊飯器100を通常の使用時の状態で載置したときには、電池の取り出し位置側は、炊飯器100の下方に位置する。
【0058】
第1の爪部183aは、例えば、柔軟性を有する樹脂材料(例えば、PPなど)などのように可撓性を有する材料で形成されていることが好ましい。これにより、電池ユニット180から電池181の取り外しを行う際には、第1の爪部183aを電池設置部の外側に撓ませることで、容易に電池181を取り外すことができる。同様に、電池ユニット180に電池181を取り付ける際には、第1の爪部183aを電池設置部の外側に撓ませた状態で、第2の爪部183bおよび第3の爪部183cの適切な位置に電池181を差し込むことで、容易に電池181を取り付けることができる。
【0059】
第2の爪部183bおよび第3の爪部183cは、電池181を間に挟んで第1の爪部183aと対向する位置に配置されている(
図6参照)。第2の爪部183bおよび第3の爪部183cは、互いに第1の爪部183aからほぼ同じ距離だけ離れた位置に形成されている。第1の爪部183a、第2の爪部183b、および第3の爪部183cは、同一の材料で(例えば、電池保持台185と同一の材料で電池保持台185と一体的に)形成することができる。そして、第1の爪部183aを薄い板状に加工することで、第1の爪部183aに可撓性を付与することができる。
【0060】
本実施形態では、第2の爪部183bと第3の爪部183cとは、所定の距離だけ離れた状態で配置されている。すなわち、第2の爪部183bと第3の爪部183cとの間には、空隙部184が形成されている(
図7参照)。この空隙部184には、電池181と電池基板182とをつなぐ配線186が通っている(
図6参照)。
【0061】
なお、電池保持台185には、第2の爪部183bと第3の爪部183cの近傍であって、配線186が通る位置に開口部185aが形成されていてもよい。電池保持台185に開口部185aが形成されていることで、配線186を、電池保持台185の裏面側(本体110の前側の面)へ通すことができる。
【0062】
また、本実施形態にかかる構成では、電池ユニット180は、本体110の下方に配置されている。なお、
図1に示すように、側壁111aの高さをHとすると、電池ユニット180(具体的には、電池保持台185)は、側壁111aの下端からH/2の高さよりも下方に配置されていることが好ましい。これにより、炊飯器100の底壁111b側から電池ユニット180へよりアクセスし易くなる。そのため、電池交換を行う作業者は、底壁111bを上に向けた状態で炊飯器100を載置し、底壁111bを取り外せば、電池ユニット180に取り付けられている電池181に容易に手をとどかせることができる。
【0063】
そして、作業者は、電池181と接続されている配線186の端部を電池基板182のコネクタから取り外すことで、電池181および配線186を電池基板182から分離させることができる。これにより、作業者は、電池ユニット180から簡単に電池181を取り外すことができる。その後、別の電池181を電池ユニット180に取り付ける際には、電池181を電池保持台185の各爪部183a・183b・183cの間に取り付け、電池181と接続されている配線186の端部を電池基板182のコネクタと接続させる。これにより、作業者は、電池ユニット180に簡単に電池181を取り付けることができる。
【0064】
なお、
図4および
図5では、側壁111aを取り外した状態で本体110を図示しているが、本実施形態にかかる構成によれば、底壁111bのみを取り外せば、電池181の交換を行うことが可能である。
【0065】
以上のように、本実施形態にかかる炊飯器100には、電池181を脱着可能に保持している電池保持台185が備えられている。そして、配線186を介して電池181と接続されている電池基板182は、電池181からやや離間した位置に配置されている。
【0066】
このような構成とすることで、電池の交換を行う場合には、電池のみを取り外して、新しい電池に付け替えればよい。電池基板182の取り外しは不要となる。したがって、電池の交換作業をより容易に行うことのできる炊飯器100が得られる。
【0067】
(変形例)
上述の実施形態では、電池181に接続されている配線186の端部が、コネクタなどによって電池基板182と接続されるという構成を例に挙げて説明した。このような構成では、電池181に接続されている配線186も、電池181の交換時に電池181とともに交換される。しかし、電池と電池基板との接続方法はこれに限定されない。
【0068】
別の実施形態では、電池保持台185に電池181用の接続端子が設けられている構成としてもよい。このような構成の場合には、電池保持台185の裏面側(本体110の前側の面)に電池基板182と電池用の接続端子とをつなぐ配線186が配置される。このような構成によれば、電池交換時に、配線を交換する必要がなくなるため、より交換作業が簡便になる。また、このような構成によれば、汎用品のボタン電池、乾電池などを電池として用いることが可能となる。
【0069】
また、上述の実施形態では、炊飯器100の本体110の下方に電池ユニット180を配置し、電池交換時には底壁111bを取り外して本体110の下面側から電池ユニット180へアクセスするという構成を例に挙げて説明した。しかし、電池ユニットの配置位置はこれに限定はされない。
【0070】
電池ユニットは、熱源である誘導加熱コイルからある程度の距離(例えば、3.5mm以上)だけ離れた位置に配置されることが望ましい。電池ユニットは、制御回路基板119の電源となるため、制御回路基板119の近く(例えば、操作パネル117および基板支持部材111eなどで形成される空間内)に配置されてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、平板状の電池保持台185を、上下(鉛直)方向に沿って配置しているが、別の実施形態では、平板状の電池保持台185を水平方向に沿って配置してもよい。電池交換作業時に炊飯器の下面から電池にアクセスする構成の場合には、底壁111bに沿うように平板状の電池保持台185を配置してもよい。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
100 :炊飯器(圧力式炊飯器)
110 :本体
111 :筐体
111a:側壁(側面部材)
111b:底壁(底部材)
111c:肩部材
111d:保護枠
113 :誘導加熱コイル
130 :内鍋
140 :蓋体
180 :電池ユニット
181 :電池
182 :電池基板
183a:第1の爪部(電池保持部)
183b:第2の爪部(電池保持部)
183c:第3の爪部(電池保持部)
184 :空隙部
185 :電池保持台(電池保持部)
186 :配線