(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
A47J27/00 103J
(21)【出願番号】P 2019099322
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】中井 智彦
(72)【発明者】
【氏名】江口 康輔
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-39516(JP,A)
【文献】実開平7-5525(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00~27/13、
27/20~29/06、
33/00~36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
前記電線には、電源線および信号線が含まれており、
前記電線案内部は、前記信号線のみを案内す
る
炊飯器。
【請求項2】
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
軸を有する取っ手をさらに備え、
前記フランジ部には、前記取っ手の前記軸が嵌合される被嵌合部が形成されており、
前記電線案内部は、前記電線が前記被嵌合部を迂回するように前記電線を案内す
る
炊飯器。
【請求項3】
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
前記フランジ部の上側に配設される上側部材をさらに備え、
前記電線案内部は、前記フランジ部と前記上側部材との間に前記電線を案内す
る
炊飯器。
【請求項4】
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
前記案内部は、上下方向成分を含む方向に沿って前記フランジ部を貫通する少なくとも2つの貫通孔であ
る
炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「炊飯器において、保護枠にフランジ部を設け、そのフランジ部により肩部材の形状を安定化させること」が提案されている(例えば、特開2017-192531号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、炊飯器において保護枠の近傍には多数の電線が通っている。また、フランジ付き保護枠のフランジ部のすぐ下側に保温ヒータが配設されている場合がある。かかる場合、電線が保温ヒータの近傍を通ることがあるが、その際、電線の被覆材の耐熱性が低いと被覆材が溶けたり劣化したりしてしまって金属線等が露出する等、様々な不具合が生じ得る。このため、上述のような炊飯器では、比較的高い耐熱性を有する被覆材で被覆された電線を使用する必要があり、電線にかかるコストが比較的嵩む問題がある。
【0005】
本発明の課題は、保護枠に保温ヒータが設けられている炊飯器の電線にかかるコストを低減することができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
前記電線には、電源線および信号線が含まれており、
前記電線案内部は、前記信号線のみを案内する。
【0007】
上記構成によれば、保護枠の内鍋収容部に保温ヒータが配設されている炊飯器において、電線案内部により保温ヒータを避けるようにして電線を整線することができる。このため、この炊飯器では、電線の被覆材に高い耐熱性が求められず、比較的低コストの電線を利用することができる。したがって、この炊飯器では、電線にかかるコストを低減することができる。また、上記構成によれば、電源線と信号線との間を離すことができる。このため、電源線のノイズが信号線に影響を及ぼしにくくすることができる。
【0008】
また、本発明に係る炊飯器は、
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
軸を有する取っ手をさらに備え、
前記フランジ部には、前記取っ手の前記軸が嵌合される被嵌合部が形成されており、
前記電線案内部は、前記電線が前記被嵌合部を迂回するように前記電線を案内する。
【0009】
上記構成によれば、取っ手の軸を被嵌合部に嵌合する際に取っ手の軸と被嵌合部との間に電線が噛み込んでしまうことを防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る炊飯器は、
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
前記フランジ部の上側に配設される上側部材をさらに備え、
前記電線案内部は、前記フランジ部と前記上側部材との間に前記電線を案内する。
【0011】
上記構成によれば、電線を保温ヒータから十分に遠ざけることができる。このため、さらに低コストの電線を利用することができ、延いては電線にかかるコストをさらに低減することができる。
【0012】
また、本発明に係る炊飯器は、
内鍋と、
前記内鍋を収容する内鍋収容部と、
前記内鍋収容部の上部から水平方向に向かって延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、電線を案内する電線案内部が設けられており、
前記案内部は、上下方向成分を含む方向に沿って前記フランジ部を貫通する少なくとも2つの貫通孔である。
【0013】
上記構成によれば、比較的堅固なフランジ部で電線を保持することができ、案内部の破損等に対する懸念を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る炊飯器を
図2のII-II線で片側だけ切断した部分断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器の本体の筐体から側壁を取り外した状態の左側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する側壁に取っ手を挿し込んだ状態の上方斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する筐体の肩部材、保護枠および基板支持部材から成る組立体の上方分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する筐体の肩部材、保護枠および基板支持部材から成る組立体の下方分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する保護枠と、肩部材・保護枠・操作パネルの組立体との平面対比図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る炊飯器の本体の筐体から側壁を取り外した状態の左側の部分断面図である。なお、本図の切断面は、電線案内孔を通っている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、
図1~
図3に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140およびヒンジ機構150から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
1.本体
本体110は、
図1~
図3に示されるように、主に、筐体111、取っ手112、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、保温ヒータHT、フェライトコア組立体121、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0017】
(1)筐体
筐体111は、
図1~
図3に示されるように、主に、側壁111a、底壁111b、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eから構成されており、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120等を収容している。また、肩部材111cの前側の上側には操作パネル117が配設されている。以下、筐体111の各構成要素について詳述した後に、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eの締結構造について詳述する。
【0018】
側壁111aは、平面視において略長方形を呈する囲い壁であって、
図1および
図2に示されるように本体110の側面を覆っている。また、この側壁111aには、
図5に示されるように取っ手112が回動自在に取り付けられる。
【0019】
底壁111bは、略方形の板状体であって、
図1および
図2に示されるように側壁111aの下側に嵌め込まれており、側壁111aの下側の開口を覆っている。そして、この底壁111bには、
図2に示されるように、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Os、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、
図2に示されるように、吸気口Osの直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Osを通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0020】
肩部材111cは、略方形状の枠体であって、
図1および
図2に示されるように側壁111aの上側に嵌合されており、側壁111aの上側の開口の縁部を覆っている。そして、
図2に示されるように、この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。なお、
図2に示されるように、保護枠111dはフランジ部FP(後述)で肩部材111cに取り付けられており、フランジ部FPは肩部材111cを外側に向かって張り出させている。
【0021】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。そして、この保護枠111dは、
図2、
図3および
図6~
図9に示されるように、主に、内鍋収容部PA、フランジ部FP、支持部SUおよび被嵌合部Cpから形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。フランジ部FPは、上述の通り、肩部材111cの下側に配設されており、肩部材111cの後側の枠状部位を外側に向かって張ることにより肩部材111cの後側の枠状部位の形状を保持させている。また、このフランジ部FPには、
図6~
図9に示されるように、左側の被嵌合部Cpの前後に一対の電線案内孔GPが形成されている。なお、この電線案内孔GPは、フランジ部FPの厚み方向に沿って延びるように形成されている。また、
図8および
図9に示されるように、この電線案内孔GPには、サーミスタ114等から延びる信号線SLが案内される。なお、信号線SLは、
図8および
図9に示されるように一方の電線案内孔GPの下側から上側に抜けて、被嵌合部Cpの上側を通り、もう一方の電線案内孔GPの上側から下側に抜けるようにして電線案内孔GPに通されている。なお、上述の通り、フランジ部FPの上側には肩部材111cが位置しているため、フランジ部FPの上側に通された信号線SLは、フランジ部FPと肩部材111cとの間を通ることになる。支持部SUは、肩部材111cの前側の枠状部位の後部を外側に向かって張ることにより肩部材111cの前側の枠状部位の後部の形状を保持させている。被嵌合部Cpには、後述の通り、取っ手112の軸部112bが回動自在に嵌合される。
【0022】
基板支持部材111eは、制御回路基板119を支持する共に肩部材111cの前側の部位の形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。また、
図6に示されるように、この基板支持部材111eには、前側に張出リブRbが形成されている。
【0023】
(肩部材、保護枠および基板支持部材の締結構造)
図6および
図7に示されるように、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが嵌め合わされると、肩部材111cのネジ受け柱Crが基板支持部材111eのネジ貫入部Pkを通って保護枠111dのネジ受け部Pbにまで達する。そして、この嵌合状態で保護枠111dのネジ受け部Pbの下側からネジ(図示せず)が螺入されることによって、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが締結される。
【0024】
以下、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eの各部位の位置関係等を説明する便宜上、
図6~
図8に示されるように、肩部材111cの前側に設けられる略半月状の枠状部位を前枠部Ffとし、肩部材111cの後側に設けられる、外側が略方形であって内側が円形である枠状部位を後枠部Frとする。なお、上述の通り、前枠部Ffの上側には操作パネル117が配設され、後枠部Frの開口には内鍋130が挿通されることになる。
【0025】
図8から明らかなように、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが締結された状態において、保護枠111dのフランジ部FPは後枠部Frの下側に位置しており、保護枠111dの支持部SUは前枠部Ffの後枠部側において幅方向両側に位置している。すなわち、保護枠111dのフランジ部FPは肩部材111cの後枠部Frの形状を保持し、支持部SUは肩部材111cの前枠部Ffの後枠部側の形状を保持している。また、
図6および
図7から明らかなように、基板支持部材111eは、肩部材111cの前枠部Ffの前側の部位に対向しており、
図6に示されるように、前側に配設された張出リブRbによって肩部材111cの前枠部Ff前側の部位を張り出させてその部位の形状を保持している。
【0026】
(2)取っ手
取っ手112は、使用者が炊飯器100を手で持ち運ぶために設けられている部材であって、
図3に示されるように本体部112aおよび軸部112bから構成されている。本体部112aは、略コの字状を呈している。軸部112bは、
図3および
図5に示されるように本体部112aの両端から内側に向かって延びている。なお、この炊飯器100において、この軸部112bは、
図3および
図5に示されるように、側壁111aの長手方向中央の上部に形成される孔Pxを通って、保護枠111dに形成される被嵌合部Cpに嵌合されている。
【0027】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの側壁および誘導加熱コイル113の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0028】
(4)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、
図2および
図3に示されるように保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部および側壁下端部の外側に配設されている。
【0029】
(5)保温ヒータ
保温ヒータHTは、保温運転時に使用される円環状のヒータであって、
図2、
図4および
図9に示されるように保護枠111dの内鍋収容部PAの上端(フランジ部FPの下端)からやや下側の部分に配設されている。
【0030】
(6)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体121は、
図3および
図4に示されるように誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。また、このフェライトコア組立体121においてフェライトコアを収容するフェライトコアホルダ(図示せず)には、整線部が形成されており、保温ヒータHTや誘導加熱コイル113へと延びる電源線(図示せず)がその整線部に通されている。
【0031】
(7)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、
図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。なお、このサーミスタ114は、コイルバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。すなわち、このサーミスタ114は、上下方向に沿って出没自在な状態とされている。また、このサーミスタ114は、内鍋検知センサ(図示せず)に組み込まれている。内鍋検知センサは、炊飯器内に内鍋130が存在するか否かを判断するためのものであって、サーミスタ114が下端位置まで下がると、検知信号を制御回路基板119のマイクロコンピュータに送信する。マイクロコンピュータは、検知信号を受信すると、炊飯器内に内鍋130が存在すると判断する。なお、マイクロコンピュータが、炊飯器内に内鍋130が存在しないと判断した場合、炊飯運転が開始されない。ところで、このサーミスタ114は、
図2に示されるように略円盤状のカバー部材127によって支持されている。このカバー部材127は、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁にネジ止めされている。
【0032】
(8)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁111bに形成される吸気口Osの直上に、回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(
図2参照)。すなわち、この送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Osから吸い込まれて筐体内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って電源回路基板118および制御回路基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0033】
(9)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0034】
(10)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものであって、
図1~
図3に示されるように、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されており、上述の通り、肩部材111cの前側の上側に配設されている。
【0035】
(11)電源回路基板
電源回路基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板118は、
図2に示されるように、後述する制御回路基板119と同様に筐体111の前側空間SPfに収容されている。
【0036】
(12)制御回路基板
制御回路基板119は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。そして、この制御回路基板119は、
図2に示されるように、筐体111の前側空間SPfにおいて、ヒートシンク116の上方、操作パネル117の下側に配設される基板支持部材111eに支持されている。
【0037】
(13)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット120は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、
図2に示されるように筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードは、差込プラグ(図示せず)および電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0038】
2.内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0039】
3.蓋体
蓋体140は、
図1~
図3に示されるように、主に、外装体141、開閉ボタン142、圧力調整機構143、補強部材144、内蓋145およびレバー部材146から構成されており、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。
【0040】
外装体141は、
図1および
図2に示されるように、略直方体状の部材であって、開閉ボタン142、圧力調整機構143およびレバー部材146等を収容している。なお、ここで、開閉ボタン142は、
図1および
図2に示されるように、上面が外装体141の上側に露出するように外装体141に配設されている。また、ここで、この外装体141は、使用時の内圧に耐えることができるように補強部材によって補強されている。さらに、この外装体141の下面には、着脱自在に内蓋145が配設されている。
【0041】
開閉ボタン142は、蓋体140を開閉するための角丸長方形状のボタンであって、レバー部材146の上側に配設されている。なお、この開閉ボタン142は、コイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。
【0042】
レバー部材146は、当接板部(図示せず)と、当接板部の前側から下方に延びる左右一対の延設板部(図示せず)と、各延設板部の下部から後方に向かって延びる爪部(図示せず)とから形成される金属板部材であって、外装体141に軸支されていると共に、当接板部の後端でコイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。なお、ここで、使用者によって開閉ボタン142が押し下げられると、開閉ボタン142は、レバー部材146の当接板部のうち回動軸の後側の部位に当接する。
【0043】
そして、使用者が蓋体140を閉状態としようとするとき、使用者は開閉ボタン142を操作する必要がなく、そのまま蓋体140を本体110に向かって倒し込めばよい。このとき、レバー部材146の爪部が、肩部材111cに形成される傾斜面(図示せず)に接触しながら下方に移動していく。この間、レバー部材146は、コイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。そして、爪部が、肩部材111cに形成される爪受孔(図示せず)まで達すると、コイルバネの付勢力により爪部がその爪受孔に嵌り込む。このようにして蓋体140が閉状態となる。一方、蓋体140を開状態とするとき、使用者は、開閉ボタン142を押し下げる。すると、開閉ボタン142の下端部位がレバー部材146の当接部に当接し、レバー部材146がコイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。このとき、爪受孔に嵌り込んでいた爪部が爪受孔から引き出される。そして、ヒンジ機構150の付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。
【0044】
圧力調整機構143は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整する。また、この圧力調整機構143は、圧力炊飯運転中、蓋体140を開状態としないようにレバー部材146の回動を規制する。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0045】
補強部材は、蓋体140の強度を高めるためのものである。なお、本実施の形態において、補強部材は、特に限定されず、金属板そのものであってもよいし、金属板を複雑形状にしたものであってもよい。
【0046】
内蓋145は、
図2に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材である。
【0047】
4.ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。なお、上述の通り、このヒンジ機構150は、蓋体140を開方向に向かって付勢している。
【0048】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の組立の一部>
本発明の実施の形態に係る上記炊飯器100の組立では、取っ手取付工程、信号線挿通工程および嵌込工程が実施される。以下、これらの工程について詳述する。
【0049】
取っ手取付工程では、
図5に示される通り、取っ手112の軸部112bが側壁111aの孔Pxに通される。
【0050】
信号線挿通工程では、
図8および
図9に示される通り、保護枠111dのフランジ部FPの電線案内孔GPに信号線SLが通される。なお、この信号線挿通工程は、取っ手取付工程の前に実施されてもよいし、取っ手取付工程の後に実施されてもよい。
【0051】
嵌込工程は、取っ手取付工程および信号線挿通工程の後に実施される。この嵌込工程では、信号線挿通工程で得られた信号線挿通済みの保護枠に対して取っ手取付工程で得られた取っ手付側壁が嵌め込まれる。具体的には、信号線挿通済みの保護枠を天地逆にした状態で、信号線挿通済みの保護枠に取っ手付き側壁が嵌め込まれるか、取っ手付き側壁の上側から取っ手付き側壁に対して信号線挿通済みの保護枠が嵌め込まれる。そして、この際、取っ手112の軸部112bが保護枠111dの被嵌合部Cpに嵌合されると同時にフランジ部FPに対して側壁111aが嵌め込まれる。
【0052】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、保護枠111dのフランジ部FPの電線案内孔GPにより、フランジ部FPと肩部材111cとの間に信号線SLの一部が案内される。この結果、信号線SLは、被嵌合部Cpおよび保温ヒータHTから遠ざけられる。このため、この炊飯器100では、信号線SLの被覆材に高い耐熱性が求められず、比較的低コストの信号線SLを利用することができるだけでなく、取っ手112の軸部112bを被嵌合部Cpに嵌合する際に取っ手112の軸部112bと被嵌合部Cpとの間に信号線SLが噛み込んでしまうことを防止することができる。また、信号線SLの整線が比較的堅固なフランジ部FPで行われる。このため、信号線SLの案内部位が崩壊等するおそれが極めて低く、信号線SLの案内を安定的に保つことができる。
【0053】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、信号線SLが保護枠111dのフランジ部FPの電線案内孔GPによって整線され、電源線がフェライトコアホルダの整線部によって整線される。このため、この炊飯器100では、電源線と信号線SLとの間を離すことができる。このため、電源線のノイズが信号線SLに影響を及ぼしにくくすることができる。
【0054】
(3)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100の組立では、信号線挿通工程で得られた信号線挿通済みの保護枠に対して取っ手取付工程で得られた取っ手付側壁が嵌め込まれる。このため、取っ手112の軸部112bを保護枠111dのフランジ部FPの被嵌合部Cpに嵌合する際に取っ手112の軸部112bとフランジ部FPの被嵌合部Cpとの間に信号線SLが噛み込んでしまうことを防止することができる。
【0055】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る炊飯器100では信号線SLだけが電線案内孔GPに挿通されたが、信号線SLのみならず電源線を挿通してもよい。
【0056】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100ではフランジ部FPに電線案内孔GPを形成し、その電線案内孔GPを用いて信号線SLを整線したが、フランジ部FPに電線案内孔GPを形成せずに、フランジ部FPの下面側に電線の引っ掛け部を設けてもよい。なお、かかる場合、フランジ部FPと保温ヒータHTとの距離を十分にとるように、フランジ部FPの高さ位置を高くするか、保温ヒータHTの高さ位置を下げるのが好ましい。
【0057】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では電線案内孔GPが厚み方向に沿って延びるようにフランジ部FPに形成されていたが、電線案内孔GPが延びる方向は特に限定されず、厚み方向に交差する方向(すなわち斜め方向)であってもかまわないし、同方向が湾曲していてもかまわない。
【0058】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100では電線案内孔GPが保護枠111dのフランジ部FPの片側のみに一列形成されていたが、電線案内孔GPはフランジ部の両側に設けられていてもよいし、片側または両側に二列以上形成されていてもよい。
【0059】
(E)
先の実施の形態に係る炊飯器100では電線案内孔GPの形状が角形とされていたが、電線案内孔GPの形状は特に限定されず、丸形等であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
100 :炊飯器
111a :側壁(外装体)
111c :肩部材(上側部材)
111d :保護枠
112 :取っ手
112b :軸部(軸)
130 :内鍋
Cp :被嵌合部
FP :フランジ部
GP :電線案内孔(電線案内部,貫通孔)
PA :内鍋収容部
Px :孔(軸挿通孔)
SL :信号線(電線,信号線)