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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20230427BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230427BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230427BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230427BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L21/90 V
H01L21/88 Z
H01L27/04 D
H01L21/88 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019146529
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021027292
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】川野 陽一
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0084751(US,A1)
【文献】特開2010-118548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0118455(US,A1)
【文献】特開2017-112356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170285(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 21/822
H01L 21/768
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の一方の面側で信号用パッドを含む回路領域の周囲外側に設けられ、1又は複数の開口部で途切れた金属製の第1ガードリングと、
前記半導体基板の前記一方の面側で前記第1ガードリングの周囲外側に設けられた金属製の第2ガードリングと、
前記1又は複数の開口部で途切れた前記第1ガードリングの端部間を接続する抵抗層と、を備え、
前記第1ガードリングは、前記回路領域を挟む第1壁部及び第2壁部と、前記回路領域を挟み且つ前記第1壁部と前記第2壁部とに接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、
前記1又は複数の開口部は、前記第1ガードリングの前記信号用パッドが近接する前記第1壁部に配置されている、半導体装置。
【請求項2】
前記1又は複数の開口部は、前記第1壁部における前記信号用パッドに対向する対向領域の両側方に配置されている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ガードリングは、前記第1壁部における前記1又は複数の開口部を挟んで前記対向領域と反対側に位置する2つの領域の少なくとも一方で前記信号用パッドの側方に配置されたグランドパッドに接続されている、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記信号用パッドは入力信号用パッドと出力信号用パッドを含み、
前記第1ガードリングの前記第1壁部は前記入力信号用パッドに近接し、前記第1ガードリングの前記第2壁部は前記出力信号用パッドに近接し、
前記1又は複数の開口部は、前記第1壁部における前記入力信号用パッドに対向する第1対向領域の両側方及び前記第2壁部における前記出力信号用パッドに対向する第2対向領域の両側方に配置されている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ガードリングは、前記第1壁部における前記1又は複数の開口部を挟んで前記第1対向領域と反対側に位置する2つの領域の両方で前記入力信号用パッドの両側方に配置されたグランドパッドに接続され、且つ、前記第2壁部における前記1又は複数の開口部を挟んで前記第2対向領域と反対側に位置する2つの領域の両方で前記出力信号用パッドの両側方に配置されたグランドパッドに接続されている、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記抵抗層は前記第1ガードリングよりも電気抵抗率の高い金属で形成された金属膜である、請求項1から5のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記抵抗層はニッケルとクロムを含む合金膜である、請求項1から6のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板を囲む樹脂層と、
前記半導体基板及び前記樹脂層に積層された再配線層と、を備える、請求項1から7のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体装置と、
前記半導体装置が実装された実装基板と、を備え、
前記半導体装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板の一方の面側で信号用パッドを含む回路領域の周囲外側に設けられ、1又は複数の開口部で途切れた金属製の第1ガードリングと、
前記半導体基板の前記一方の面側で前記第1ガードリングの周囲外側に設けられた金属製の第2ガードリングと、
前記1又は複数の開口部で途切れた前記第1ガードリングの端部間を接続する抵抗層と、を備え、
前記第1ガードリングは、前記回路領域を挟む第1壁部及び第2壁部と、前記回路領域を挟み且つ前記第1壁部と前記第2壁部とに接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、
前記1又は複数の開口部は、前記第1ガードリングの前記信号用パッドに近接する前記第1壁部に配置されている、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路領域の周囲外側に金属製のガードリングを設けることで、回路領域への水分の浸入を抑制することが知られている。例えば、集積回路の周囲を囲み、互いに重ならない位置にギャップを有する2重のガードリングを設けることが知られている(例えば、特許文献1)。これにより、集積回路への水分の浸入を抑制でき、且つガードリングを伝搬するノイズ信号を減少できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-232651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路領域の周囲外側に設けられたガードリングに信号用パッドから信号が漏れてガードリングを伝搬することがある。特許文献1に記載のガードリングでは、信号用パッドからガードリングに漏れた信号による回路領域への影響を低減する点で改善の余地が残されている。
【0005】
1つの側面では、ガードリングに漏れた信号による回路領域への影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側で信号用パッドを含む回路領域の周囲外側に設けられ、1又は複数の開口部で途切れた金属製の第1ガードリングと、前記半導体基板の前記一方の面側で前記第1ガードリングの周囲外側に設けられた金属製の第2ガードリングと、前記1又は複数の開口部で途切れた前記第1ガードリングの端部間を接続する抵抗層と、を備え、前記第1ガードリングは、前記回路領域を挟む第1壁部及び第2壁部と、前記回路領域を挟み且つ前記第1壁部と前記第2壁部とに接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、前記1又は複数の開口部は、前記第1ガードリングの前記信号用パッドが近接する前記第1壁部に配置されている、半導体装置である。
【0007】
1つの態様では、半導体装置と、前記半導体装置が実装された実装基板と、を備え、前記半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側で信号用パッドを含む回路領域の周囲外側に設けられ、1又は複数の開口部で途切れた金属製の第1ガードリングと、前記半導体基板の前記一方の面側で前記第1ガードリングの周囲外側に設けられた金属製の第2ガードリングと、前記1又は複数の開口部で途切れた前記第1ガードリングの端部間を接続する抵抗層と、を備え、前記第1ガードリングは、前記回路領域を挟む第1壁部及び第2壁部と、前記回路領域を挟み且つ前記第1壁部と前記第2壁部とに接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、前記1又は複数の開口部は、前記第1ガードリングの前記信号用パッドに近接する前記第1壁部に配置されている、電子機器である。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面として、ガードリングに漏れた信号による回路領域への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、実施例1に係る半導体装置の平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A間の断面図、図1(c)は、図1(a)のB-B間の断面図である。
図2図2は、実施例1に係る半導体装置の回路領域における断面図である。
図3図3は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
図4図4は、比較例2に係る半導体装置の平面図である。
図5図5は、実施例2に係る半導体装置の断面図である。
図6図6は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。
図7図7は、図6のA-A間の断面図である。
図8図8は、実施例3に係る半導体装置の平面図である。
図9図9は、図8のA-A間の断面図である。
図10図10は、実施例4に係る電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a)は、実施例1に係る半導体装置100の平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A間の断面図、図1(c)は、図1(a)のB-B間の断面図である。なお、図1(a)では、図の明瞭化のために、ガードリング40、50及び抵抗層60にクロスハッチングを付している(以下、同様の図においても同様である)。図1(a)から図1(c)のように、半導体装置100は、半導体基板10と、金属製のガードリング40と、金属製のガードリング50と、抵抗層60と、を備える。半導体基板10には回路領域20が形成されている。
【0012】
図2は、実施例1に係る半導体装置100の回路領域20における断面図である。図2のように、回路領域20には、半導体基板10上にトランジスタ21等の回路素子が形成されている。半導体基板10は、窒化ガリウム基板(GaN基板)又はヒ化ガリウム基板(GaAs基板)等の化合物半導体基板でもよいし、シリコン基板(Si基板)等でもよい。
【0013】
トランジスタ21は、半導体基板10上に形成された多層配線層11の配線22及びビア23に電気的に接続されている。配線22及びビア23は、例えば金(Au)又は銅(Cu)等の電気抵抗率の低い金属で形成されている。多層配線層11は複数の配線層を有し、異なる配線層の配線22はビア23によって接続されている。配線22同士は絶縁膜24により互いに電気的に分離している。絶縁膜24は、酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜等の無機絶縁膜でもよいし、樹脂膜等の有機絶縁膜でもよい。
【0014】
多層配線層11の最外層の配線22には、信号が入力する入力信号用パッド25a及び信号が出力する出力信号用パッド25bが形成されている。なお、多層配線層11の最外層には入力信号用パッド25a及び出力信号用パッド25b以外の信号が伝搬する配線22が形成されていてもよい。配線22は回路領域20の回路を構成する配線又は電源配線である。このように、回路領域20は、トランジスタ21等の回路素子、配線22、ビア23、入力信号用パッド25a、及び出力信号用パッド25b等が形成された領域である。
【0015】
図1(a)から図1(c)のように、ガードリング40は、半導体基板10の一方の面上で回路領域20の周囲外側に設けられている。ガードリング40は、多層配線層11の各配線層に設けられた金属層42が積層して壁状に形成されている。金属層42は、例えば金(Au)又は銅(Cu)で形成されている。金属層42は、配線22及びビア23と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。金属層42が配線22及びビア23と同じ材料で形成されている場合、金属層42を配線22及びビア23と同時に形成できるため、製造工数の増加が抑制される。ガードリング40は、回路領域20の周囲を完全に囲んではなく、1又は複数の開口部41で途切れている。開口部41には絶縁膜24が埋め込まれている。
【0016】
ガードリング40は、回路領域20を挟んで対向する壁部43a及び43bと、回路領域20を挟んで対向し且つ壁部43aと壁部43bに接続する壁部43c及び43dと、を有する。壁部43a~43dは、半導体基板10の平面視で直線状に伸びている。壁部43aは入力信号用パッド25aに近接し、壁部43bは出力信号用パッド25bに近接している。
【0017】
開口部41は、ガードリング40の壁部43aと壁部43bに設けられている。ガードリング40は、開口部41で途切れた箇所での端部間が抵抗層60を介して接続されている。金属層42は抵抗層60にビア44で接続している。抵抗層60はガードリング40よりも電気抵抗率が大きくなっている。
【0018】
抵抗層60は、例えば半導体基板10内に形成されている。抵抗層60は、例えば半導体基板10に不純物元素がドープされることで抵抗が高くなった領域である。一例として、半導体基板10が窒化ガリウム基板(GaN基板)である場合、抵抗層60は半導体基板10に鉄(Fe)がドープされることで抵抗が高くなった領域である。
【0019】
ガードリング50は、半導体基板10の一方の面上でガードリング40の周囲外側に設けられている。ガードリング50は、例えばガードリング40の周囲を完全に囲むように一周して設けられている。ガードリング50は、ガードリング40と同様に、多層配線層11の各配線層に設けられた金属層52が積層されて壁状に形成されている。金属層52は、例えば金(Au)又は銅(Cu)で形成されている。金属層52は、配線22及びビア23と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。また、金属層52は、金属層42と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
【0020】
図3は、比較例1に係る半導体装置500の平面図である。図3のように、半導体装置500では、半導体基板10の一方の面上で回路領域20の周囲外側に、回路領域20を完全に囲むように一周した金属製のガードリング70が設けられている。ガードリング70は、実施例1におけるガードリング40及び50と同様に、多層配線層11の各配線層に設けられた金属層が積層されて壁状に形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0021】
ガードリング70が設けられていることで、回路領域20への水分の浸入が抑制される。しかしながら、入力信号用パッド25a及び/又は出力信号用パッド25bとガードリング70が電磁界結合をして、入力信号用パッド25a及び/又は出力信号用パッド25bからガードリング70に信号が漏れることがある。以下において、ガードリングに漏れた信号を漏れ信号と称す場合がある。例えば、出力信号用パッド25bからガードリング70に漏れた信号が、点線矢印75のようにガードリング70を伝搬して入力信号用パッド25aに帰還することがある。この場合、トランジスタ21で漏れ信号に起因する不要な発振が生じて特性が劣化することがある。
【0022】
図4は、比較例2に係る半導体装置600の平面図である。図4のように、半導体装置600では、回路領域20の周囲外側に金属製のガードリング80が設けられ、ガードリング80の周囲外側に金属製のガードリング90が設けられている。ガードリング80及び90は、実施例1におけるガードリング40及び50と同様に、多層配線層11の各配線層に設けられた金属層が積層されて壁状に形成されている。ガードリング80は開口部81で途切れている。ガードリング80は、開口部81で途切れた箇所での端部間が抵抗層60を介して接続されている。ガードリング90は、ガードリング80の周囲外側にガードリング80を完全に囲むように一周して設けられている。
【0023】
ガードリング80は、実施例1におけるガードリング40と同様に、回路領域20を挟んで対向する壁部83a及び83bと、回路領域20を挟んで対向し且つ壁部83aと壁部83bに接続する壁部83c及び83dと、を有する。壁部83aは入力信号用パッド25aに近接し、壁部83bは出力信号用パッド25bに近接している。開口部81は、ガードリング80の壁部83cに設けられている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0024】
比較例2では、ガードリング80が開口部81で途切れているが、ガードリング80の周囲外側にガードリング90が設けられているため、回路領域20への水分の浸入が抑制される。また、開口部81で途切れたガードリング80の端部間が抵抗層60を介して接続されていることで、ガードリング80を伝搬する漏れ信号は抵抗層60によって減衰される。
【0025】
しかしながら、開口部81は、ガードリング80の入力信号用パッド25aに近接する壁部83a及び出力信号用パッド25bに近接する壁部83b以外の壁部である壁部83cに設けられている。このため、入力信号用パッド25a及び/又は出力信号用パッド25bからガードリング80に漏れた信号は、ガードリング80を伝搬した後に抵抗層60で減衰することになる。例えば、出力信号用パッド25bからガードリング80に漏れた信号は、破線矢印85のようにガードリング80を伝搬した後に抵抗層60で減衰することになる。漏れ信号がガードリング80を伝搬する距離が長いほど、漏れ信号が回路領域20に影響を及ぼし易くなる。例えば、漏れ信号が抵抗層60に到達する前に、漏れ信号がガードリング80と電磁界結合している配線22に伝わって特性の劣化が生じることがある。
【0026】
一方、実施例1では、図1(a)及び図1(b)のように、開口部41で途切れたガードリング40の端部間が抵抗層60を介して接続されている。開口部41は、ガードリング40の入力信号用パッド25aに近接する壁部43aとガードリング40の出力信号用パッド25bに近接する壁部43bに配置されている。これにより、入力信号用パッド25a及び/又は出力信号用パッド25bからガードリング40に漏れた信号は直ぐに抵抗層60で減衰されることになる。よって、漏れ信号による回路領域20への影響を低減することができ、特性の劣化を抑制することができる。また、ガードリング40の周囲外側にガードリング50が設けられていることから、ガードリング40に開口部41が設けられていても、回路領域20への水分の浸入を抑制できる。
【0027】
なお、実施例1では、入力信号用パッド25aに近接する壁部43a及び出力信号用パッド25bに近接する壁部43bの両方に開口部41が設けられている場合を例に示したが、いずれか一方の壁部に設けられている場合でもよい。例えば、入力信号用パッド25a及び出力信号用パッド25bのうちのガードリング40に信号が漏れ易い方のパッドに近接する壁部のみに開口部41が設けられている場合でもよい。
【実施例2】
【0028】
図5は、実施例2に係る半導体装置200の断面図である。図5のように、半導体装置200は、半導体基板10と、半導体基板10の側面を囲む樹脂層12と、半導体基板10上及び樹脂層12上に設けられた再配線層13と、を備えるFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)である。樹脂層12は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂等で形成されている。樹脂層12は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、又は窒化シリコン等のフィラーが含まれていてもよい。
【0029】
再配線層13は、絶縁膜14と、絶縁膜14内に設けられたビア15と、絶縁膜14内に設けられた再配線16と、を備える。絶縁膜14は、エポキシ、ポリイミド、又はポリベンゾオキサゾール等の樹脂で形成されている。ビア15及び再配線16は、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の導電材料で形成されている。
【0030】
再配線層13の最外層の再配線16には、信号が入力する入力信号用パッド17aと信号が出力する出力信号用パッド17bが形成されている。入力信号用パッド17aに入力された高周波信号は、ビア15及び再配線16を介して、半導体基板10に形成された入力信号用パッド25aに入力する。入力信号用パッド25aに入力された高周波信号は、回路領域20のトランジスタ21(図2参照)で増幅される。高周波信号は、トランジスタ21で増幅された後、半導体基板10に形成された出力信号用パッド25bから出力される。出力信号用パッド25bから出力された高周波信号は、ビア15及び再配線16を介して、出力信号用パッド17bから外部に出力される。このように、半導体装置200は、例えば高周波信号を増幅する増幅器であり、回路領域20にMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)が形成されている。高周波信号の周波数は、例えば1GHz~100GHzであり、一例として10GHz~50GHzのマイクロ波又はミリ波である。
【0031】
再配線層13の表面にグランドに接地される金属層であるグランドプレート18が設けられている。グランドプレート18は、半導体基板10の上方に位置し、平面視において半導体基板10よりも大きな外形を有する。したがって、グランドプレート18は、半導体基板10と重なって半導体基板10を完全に覆っている。グランドプレート18が設けられていることで、半導体基板10に形成された回路領域20の回路が半導体装置200以外の他の部材と容量性結合することを抑制でき、回路領域20の回路での利得の周波数特性の変化を抑制できる。
【0032】
半導体基板10及び樹脂層12の再配線層13が設けられた面とは反対側の面に金属層であるヒートスプレッダ19が設けられている。これにより、トランジスタ21が例えば高電子移動度トランジスタ等の高出力トランジスタで発熱量が大きい場合でも、ヒートスプレッダ19を介して放熱板等への放熱が促進されるため、発熱による特性劣化を抑制できる。ヒートスプレッダ19は例えば銅(Cu)層である。
【0033】
図6は、実施例2に係る半導体装置200の平面図である。図7は、図6のA-A間の断面図である。図6では、再配線層13及びグランドプレート18等を透視して半導体基板10及び樹脂層12を図示している。図6及び図7のように、ガードリング40aは、壁部43aに設けられた2つの開口部41a及び41bと壁部43bに設けられた2つの開口部41c及び41dとで途切れている。開口部41a及び41bは、壁部43aにおける入力信号用パッド25aに対向する対向領域45aの側方に対向領域45aを挟むように配置されている。同様に、開口部41c及び41dは、壁部43bにおける出力信号用パッド25bに対向する対向領域45bの側方に対向領域45bを挟むように配置されている。
【0034】
ガードリング40aは、開口部41a~41dで途切れた箇所での端部間が抵抗層60aを介して接続されている。金属層42は抵抗層60aにビア44で接続している。抵抗層60aは、半導体基板10上に設けられ、ガードリング40よりも電気抵抗率の高い金属で形成された金属膜である。抵抗層60aは、例えばニッケルとクロムを含む合金膜である。
【0035】
ガードリング50aは、ガードリング40aの開口部41a~41dと重ならないように開口部41a~41dからずれた位置に配置された開口部51で途切れている。ガードリング50aは、開口部51で途切れた箇所での端部間が、ガードリング40aと同様に抵抗層60aを介して接続されている。実施例2の半導体装置200のその他の構成は実施例1の半導体装置100と同じであるため説明を省略する。
【0036】
実施例2では、図6のように、ガードリング50aは開口部51で途切れているが、開口部51はガードリング40aに設けられた開口部41a~41dからずれて位置しているため、回路領域20への水分の浸入を抑制できる。また、ガードリング50aをリフトオフ法によって形成する場合に、開口部51があることでリフトオフが行い易くなり、ガードリング50aの製造容易性が向上する。
【0037】
図6のように、開口部41c及び41dは、ガードリング40aの壁部43bのうちの出力信号用パッド25bに対向する対向領域45bの両側方に配置されている。これにより、出力信号用パッド25bからガードリング40aに漏れた高周波信号は対向領域45bの両側方で抵抗層60aによって減衰される。このため、ガードリング40aに漏れた高周波信号を効果的に減衰させることができる。よって、漏れ信号による回路領域20への影響を効果的に低減できる。また、対向領域45bにガードリング40aが存在することで、出力信号用パッド25bへの水分の浸入を抑制できる。
【0038】
図6のように、ガードリング40aの壁部43aのうちの入力信号用パッド25aに対向する対向領域45aの両側方に開口部41a及び41bが配置されている。これにより、入力信号用パッド25aからガードリング40aに漏れた高周波信号は対向領域45aの両側方で抵抗層60aによって減衰されるため、ガードリング40aに漏れた高周波信号を効果的に減衰させることができる。よって、漏れ信号による回路領域20への影響を効果的に低減できる。
【0039】
図7のように、抵抗層60aは、半導体基板10上に設けられ、ニッケル(Ni)とクロム(Cr)を含む合金膜である。実施例1のように、半導体基板10に不純物元素をドープすることで抵抗が高くなった領域を抵抗層60としてもよいが、実施例2のように、抵抗層60aはNiとCrを含む合金膜であることが好ましい。これにより、抵抗層60aのインピーダンスを高くすることができ、ガードリング40aに漏れた高周波信号を効果的に減衰させることができる。例えば、抵抗層60aは、NiとCrの合金膜でもよいし、NiとCrと鉄(Fe)の合金膜でもよいし、NiとCrとFeとマンガン(Mn)の合金膜でもよい。また、抵抗層60aは、NiとCrを含む合金膜の場合に限られず、ガードリング40aよりも電気抵抗率の高い金属で形成された金属膜であってもよい。
【0040】
図6のように、開口部51でのガードリング50aの端部間は抵抗層60aを介して接続されている。これにより、ガードリング50aに高周波信号が漏れた場合でも、抵抗層60aによって高周波信号を減衰させることができる。
【0041】
図5のように、半導体装置200はFOWLPであり、半導体基板10の側面が樹脂層12で囲まれ、半導体基板10及び樹脂層12に再配線層13が積層されている。この場合、樹脂層12と再配線層13の隙間から水分が浸入して半導体基板10に到達することがある。したがって、このような場合に、半導体基板10の再配線層13側の面上にガードリング40aとガードリング50aを設けることが好ましい。
【0042】
なお、実施例2では、対向領域45aの両側方に開口部41a及び41bが設けられ、且つ、対向領域45bの両側方に開口部41c及び41dが設けられている場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、対向領域45aの両側方及び対向領域45bの両側方の少なくとも一方に開口部が設けられている場合でもよい。すなわち、開口部41a及び41bが設けられ且つ開口部41c及び41dは設けられてない、又は、開口部41a及び41bは設けられてなく且つ開口部41c及び41dは設けられている場合でもよい。なお、ガードリング40aに漏れた高周波信号の減衰のためには、開口部41a~41d全てが設けられている場合が好ましい。
【実施例3】
【0043】
図8は、実施例3に係る半導体装置300の平面図である。図8では、実施例2の図6と同様に、再配線層13及びグランドプレート18等を透視して半導体基板10及び樹脂層12を図示している。図9は、図8のA-A間の断面図である。なお、図9では、図の明瞭化のために、回路領域20に形成されるトランジスタ21及び配線22等については図示を省略している。図8及び図9のように、半導体装置300では、入力信号用パッド25aの両側方にグランドパッド26a及び26bが設けられ、出力信号用パッド25bの両側方にグランドパッド26c及び26dが設けられている。ガードリング40aは、開口部41aを挟んで対向領域45aと反対側に位置する領域46aが金属層47aを介してグランドパッド26aに接続している。ガードリング40aは、開口部41bを挟んで対向領域45aと反対側に位置する領域46bが金属層47bを介してグランドパッド26bに接続されている。ガードリング40aは、開口部41cを挟んで対向領域45bと反対側に位置する領域46cが金属層47cを介してグランドパッド26cに接続されている。ガードリング40aは、開口部41dを挟んで対向領域45bと反対側に位置する領域46dが金属層47dを介してグランドパッド26dに接続されている。その他の構成は、実施例2と同じであるため説明を省略する。
【0044】
実施例3では、ガードリング40aは、開口部41cを挟んで対向領域45bと反対側に位置する領域46cがグランドパッド26cに接続され、開口部41dを挟んで対向領域45bと反対側に位置する領域46dがグランドパッド26dに接続されている。出力信号用パッド25bからガードリング40aに漏れた高周波信号は抵抗層60aで減衰されるが、抵抗層60aを越えてガードリング40aを伝搬することがある。しかしながら、領域46c及び46dがグランドパッド26c及び26dに接続していることで、抵抗層60aを通過した高周波信号をグランドに逃がすことができる。よって、漏れ信号による回路領域20への影響を効果的に低減することができる。
【0045】
また、ガードリング40aは、開口部41aを挟んで対向領域45aと反対側に位置する領域46aがグランドパッド26aに接続され、開口部41bを挟んで対向領域45aと反対側に位置する領域46bがグランドパッド26bに接続されている。入力信号用パッド25aからガードリング40aに漏れた高周波信号は抵抗層60aで減衰されるが、抵抗層60aを越えてガードリング40aを伝搬することがある。しかしながら、領域46a及び46bがグランドパッド26a及び26bに接続されていることで、抵抗層60aを通過した高周波信号をグランドに逃がすことができる。よって、漏れ信号による回路領域20への影響を効果的に低減することができる。
【0046】
なお、実施例3では、領域46a~46dの全てがグランドパッド26a~26dに接続されている場合を例に示したが、領域46a~46dのうちの少なくとも1つがグランドパッドに接続されている場合でもよい。
【0047】
実施例2及び実施例3では、ガードリング50aに開口部51が1つだけ設けられている場合を例に示したが、2つ以上の複数の開口部51が設けられている場合でもよい。複数の開口部51が設けられる場合、開口部51は、ガードリング40aの壁部43cの外側に位置するガードリング50aの壁部とガードリング40aの壁部43dの外側に位置するガードリング50aの壁部とに設けられていることが好ましい。
【0048】
実施例1から実施例3では、回路領域20の周囲に2重のガードリングが設けられている場合を例に示したが、3重、4重等の3重以上のガードリングが設けられている場合でもよい。3重以上のガードリングが設けられている場合では、最内側のガードリングがガードリング40又は40aであればよい。
【実施例4】
【0049】
図10は、実施例4に係る電子機器の断面図である。図10のように、電子機器400は、実装基板65と、実装基板65にフリップチップ実装された半導体装置200と、を備える。半導体装置200は、入力信号用パッド17a及び出力信号用パッド17bが半田67によって実装基板65のパッド66に接合することで、実装基板65にフリップチップ実装されている。実装基板65と半導体装置200の間にはアンダーフィル材68が充填されていてもよい。アンダーフィル材68は、例えばエポキシ樹脂を用いて形成され、酸化シリコン等のフィラーを含有していてもよい。
【0050】
半導体装置200が増幅器である場合、実装基板65は半導体装置200が実装される面とは反対側の面に1又は複数の放射素子を備えるアンテナ基板の場合でもよい。例えば、電子機器400は、第5世代移動通信システムで利用される増幅装置であってもよい。実装基板65は、例えばFR-4(Flame retardant type 4)規格のガラスエポキシ樹脂と金属箔を積層した基板、又は、セラミックと金属箔を積層した基板であってもよい。
【0051】
実施例4では、実施例2の半導体装置200が実装基板65に実装されている場合を例に示したが、実施例1の半導体装置100又は実施例3の半導体装置300が実装基板65に実装されている場合でもよい。
【0052】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0053】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側で信号用パッドを含む回路領域の周囲外側に設けられ、1又は複数の第1開口部で途切れた金属製の第1ガードリングと、前記半導体基板の前記一方の面側で前記第1ガードリングの周囲外側に設けられた金属製の第2ガードリングと、前記1又は複数の第1開口部で途切れた前記第1ガードリングの端部間を接続する抵抗層と、を備え、前記第1ガードリングは、前記回路領域を挟む第1壁部及び第2壁部と、前記回路領域を挟み且つ前記第1壁部と前記第2壁部とに接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、前記1又は複数の第1開口部は、前記第1ガードリングの前記信号用パッドが近接する前記第1壁部に配置されている、半導体装置。
(付記2)前記1又は複数の第1開口部は、前記第1壁部における前記信号用パッドに対向する対向領域の両側方に配置されている、付記1記載の半導体装置。
(付記3)前記第1ガードリングは、前記第1壁部における前記1又は複数の第1開口部を挟んで前記対向領域と反対側に位置する2つの領域の少なくとも一方で前記信号用パッドの側方に配置されたグランドパッドに接続されている、付記2記載の半導体装置。
(付記4)前記信号用パッドは入力信号用パッドと出力信号用パッドを含み、前記第1ガードリングの前記第1壁部は前記入力信号用パッドに近接し、前記第1ガードリングの前記第2壁部は前記出力信号用パッドに近接し、前記1又は複数の第1開口部は、前記第1壁部における前記入力信号用パッドに対向する第1対向領域の両側方及び前記第2壁部における前記出力信号用パッドに対向する第2対向領域の両側方に配置されている、付記1記載の半導体装置。
(付記5)前記第1ガードリングは、前記第1壁部における前記1又は複数の第1開口部を挟んで前記第1対向領域と反対側に位置する2つの領域の両方で前記入力信号用パッドの両側方に配置されたグランドパッドに接続され、且つ、前記第2壁部における前記1又は複数の第1開口部を挟んで前記第2対向領域と反対側に位置する2つの領域の両方で前記出力信号用パッドの両側方に配置されたグランドパッドに接続されている、付記4記載の半導体装置。
(付記6)前記抵抗層は前記第1ガードリングよりも電気抵抗率の高い金属で形成された金属膜である、付記1から5のいずれか一項記載の半導体装置。
(付記7)前記抵抗層はニッケルとクロムを含む合金膜である、付記1から6のいずれか一項記載の半導体装置。
(付記8)前記抵抗層は前記半導体基板に不純物元素がドープされた領域で形成されている、付記1から5のいずれか一項記載の半導体装置。
(付記9)前記半導体基板を囲む樹脂層と、前記半導体基板及び前記樹脂層に積層された再配線層と、を備える、付記1から8のいずれか一項記載の半導体装置。
(付記10)前記第2ガードリングは、前記1又は複数の第1開口部からずれて位置する1又は複数の第2開口部で途切れている、付記1から9のいずれか一項記載の半導体装置。
(付記11)前記1又は複数の第2開口部での前記第2ガードリングの端部間を接続する抵抗層を備える、付記1から10のいずれか一項記載の半導体装置。
(付記12)半導体装置と、前記半導体装置が実装された実装基板と、を備え、前記半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側で信号用パッドを含む回路領域の周囲外側に設けられ、1又は複数の開口部で途切れた金属製の第1ガードリングと、前記半導体基板の前記一方の面側で前記第1ガードリングの周囲外側に設けられた金属製の第2ガードリングと、前記1又は複数の開口部で途切れた前記第1ガードリングの端部間を接続する抵抗層と、を備え、前記第1ガードリングは、前記回路領域を挟む第1壁部及び第2壁部と、前記回路領域を挟み且つ前記第1壁部と前記第2壁部とに接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、前記1又は複数の開口部は、前記第1ガードリングの前記信号用パッドに近接する前記第1壁部に配置されている、電子機器。
【符号の説明】
【0054】
10 半導体基板
11 多層配線層
12 樹脂層
13 再配線層
14 絶縁膜
15 ビア
16 再配線
17a 入力信号用パッド
17b 出力信号用パッド
18 グランドプレート
19 ヒートスプレッダ
20 回路領域
21 トランジスタ
22 配線
23 ビア
24 絶縁膜
25a 入力信号用パッド
25b 出力信号用パッド
26a~26d グランドパッド
40、40a ガードリング
41、41a~41d 開口部
42 金属層
43a~43d 壁部
44 ビア
45a、45b 対向領域
46a~46d 領域
47a~47d 金属層
50、50a ガードリング
51 開口部
52 金属層
60、60a 抵抗層
65 実装基板
66 パッド
67 半田
68 アンダーフィル材
70、80、90 ガードリング
81 開口部
83a~83d 壁部
100、200、300、500、600 半導体装置
400 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10