(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】食品機械
(51)【国際特許分類】
F16P 3/14 20060101AFI20230427BHJP
F25D 7/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F16P3/14
F25D7/00 A
(21)【出願番号】P 2019054497
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】大下 泰史
(72)【発明者】
【氏名】津島 康夫
(72)【発明者】
【氏名】狩野 泰範
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】佐▲ど▼ 克也
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-138071(JP,A)
【文献】特開2005-103690(JP,A)
【文献】特開2015-205385(JP,A)
【文献】特開2017-064875(JP,A)
【文献】特開平03-256692(JP,A)
【文献】特開2007-118141(JP,A)
【文献】特開2014-119120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16P 3/00- 3/14
F25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアで開閉可能とされると共に食品が収容される処理槽を有する装置本体と、
前記ドアの可動範囲を含む規制領域への立入りを規制する安全柵と、
前記規制領域に出入りするための出入扉と、
この出入扉の開閉状態を検知する開閉検知器と、
前記規制領域の外側に設けられた操作盤と、
この操作盤による設定内容に基づき前記装置本体を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記ドアの開放は許容するが、前記ドアの閉鎖は不能とする
ことを特徴とする食品機械。
【請求項2】
前記装置本体の運転開始前、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、
前記ドアの開放は許容するが、前記ドアの閉鎖は不能とする
ことを特徴とする
請求項1に記載の食品機械。
【請求項3】
前記処理槽の前後に、前記ドアが設けられ、
前記処理槽の前後を連通して、前記規制領域が設定されており、
前記出入扉を複数備え、各出入扉について前記開閉検知器が設けられ、
少なくとも一つの前記出入扉の開放を検知すると、全ての出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、
前記ドアの開放は許容するが、前記ドアの閉鎖は不能とする
ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の食品機械。
【請求項4】
ドアで開閉可能とされると共に食品が収容される処理槽を有する装置本体と、
前記ドアの可動範囲を含む規制領域への立入りを規制する安全柵と、
前記規制領域に出入りするための出入扉と、
この出入扉の開閉状態を検知する開閉検知器と、
前記規制領域の外側に設けられた操作盤と、
この操作盤による設定内容に基づき前記装置本体を制御する制御手段とを備え、
前記装置本体を運転中、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記運転は継続するが、前記出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記運転終了後にも前記ドアを開放しない
ことを特徴とする食品機械。
【請求項5】
前記装置本体の運転開始前、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記ドアを開放および/または閉鎖しない
ことを特徴とする
請求項4に記載の食品機械。
【請求項6】
前記処理槽の前後に、前記ドアが設けられ、
前記処理槽の前後を連通して、前記規制領域が設定されており、
前記出入扉を複数備え、各出入扉について前記開閉検知器が設けられ、
前記装置本体を運転中、少なくとも一つの前記出入扉の開放を検知すると、
前記運転は継続するが、全ての出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、
前記運転終了後にも前記ドアを開放しない
ことを特徴とする
請求項4または請求項5に記載の食品機械。
【請求項7】
前記安全柵は、前記規制領域の外側から内側を視認可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の食品機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアを有する食品機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば真空冷却装置のような食品機械において、処理槽のドアを自動で開閉する場合、動作中のドアに人が接触しないように、安全性の確保が必要となる。また、ドアの閉鎖時には、処理槽内に人が閉じ込められたり、ドアに人が挟まれたりしないように、安全対策が必要となる。
【0003】
産業用ロボットの場合、ロボットの可動範囲に人が接近するのを防止するために、ロボットの周囲に安全柵を設けることが行われる。但し、たとえばメンテナンスの際には柵内に立ち入る必要があるため、安全柵には開放部が設けられている。そして、下記特許文献1に開示されるように、安全柵の開放部にセーフティライトカーテンを取り付けて、柵内への侵入を検知すると、ロボットの運転を停止させることが提案されている。しかしながら、セーフティライトカーテンでは誤動作が多く、改善の余地がある。また、食品機械に適用した場合、途中で運転を停止させると、所期の品質の食品を得られず、食品の廃棄が必要となるおそれもある。
【0004】
また、下記特許文献2に開示されるように、ロボットの周囲に安全柵を設けると共に、その安全柵に出入扉を設けて、その出入扉が開けられると、ロボットの運転を停止することも提案されている。しかしながら、柵内に人が侵入後、出入扉が閉じられると、柵内に人がいるにも関わらず、ロボットの運転が再開されるおそれがある。また、食品機械に適用した場合、途中で運転を停止させると、所期の品質の食品を得られず、食品の廃棄が必要となるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-133503号公報(段落0002-0003)
【文献】特開平3-136790号公報(第2頁左上欄第5行-右上欄第13行、第4図-第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、自動ドアを有する食品機械において、動作中のドアへの接触や、処理槽内への人の閉じ込めなどを防止して、安全性を確保することにある。また、処理槽内での食品処理への影響を防止しつつ、動作中のドアへの接触などを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ドアで開閉可能とされると共に食品が収容される処理槽を有する装置本体と、前記ドアの可動範囲を含む規制領域への立入りを規制する安全柵と、前記規制領域に出入りするための出入扉と、この出入扉の開閉状態を検知する開閉検知器と、前記規制領域の外側に設けられた操作盤と、この操作盤による設定内容に基づき前記装置本体を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記ドアの開放は許容するが、前記ドアの閉鎖は不能とすることを特徴とする食品機械である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ドアの可動範囲を含む規制領域への立入りが、安全柵によって規制される。また、規制領域の外側に設けられた操作盤により、規制領域内に立ち入ることなく、装置本体を制御することができる。一方で、処理槽に対する食品の搬入出を人力で行う場合や、装置のメンテナンスなどの所望時には、出入扉を開けて規制領域内に立ち入ることができる。その際、開閉検知器により出入扉の開放を検知すると、ドアの開放は許容するが、ドアの閉鎖は不能とする。ドアの閉鎖を不能とすることで、処理槽内への人の閉じ込めや、ドアによる人の挟み込みを防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記装置本体の運転開始前、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記ドアの開放は許容するが、前記ドアの閉鎖は不能とすることを特徴とする請求項1に記載の食品機械である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、装置本体の運転開始前、開閉検知器により出入扉の開放を検知すると、出入扉が閉じられ且つ操作盤による解除設定がなされるまで、ドアの開放は許容するが、ドアの閉鎖は不能とする。操作盤は、規制領域の外側に設けられているので、規制領域外にいることを確認してから、ドアの開閉を許容することで、安全性を確保することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記処理槽の前後に、前記ドアが設けられ、前記処理槽の前後を連通して、前記規制領域が設定されており、前記出入扉を複数備え、各出入扉について前記開閉検知器が設けられ、少なくとも一つの前記出入扉の開放を検知すると、全ての出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記ドアの開放は許容するが、前記ドアの閉鎖は不能とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品機械である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、処理槽の前後にドアを有していても、処理槽の前後を連通して規制領域が設定されているので、メンテナンスなどが容易である。また、規制領域に対し複数の出入扉が設けられていても、少なくとも一つの出入扉の開放を検知すると、全ての出入扉が閉じられ且つ操作盤による解除設定がなされるまで、ドアの開放は許容するが、ドアの閉鎖は不能とする。操作盤は、規制領域の外側に設けられているので、規制領域外にいることを確認してから、ドアの開閉を許容することで、安全性を確保することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ドアで開閉可能とされると共に食品が収容される処理槽を有する装置本体と、前記ドアの可動範囲を含む規制領域への立入りを規制する安全柵と、前記規制領域に出入りするための出入扉と、この出入扉の開閉状態を検知する開閉検知器と、前記規制領域の外側に設けられた操作盤と、この操作盤による設定内容に基づき前記装置本体を制御する制御手段とを備え、前記装置本体を運転中、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記運転は継続するが、前記出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記運転終了後にも前記ドアを開放しないことを特徴とする食品機械である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、装置本体を運転中、開閉検知器により出入扉の開放を検知しても、運転を継続することで、処理槽内での食品処理への影響を防止して、所期の品質の食品を得ることができる。また、一旦出入扉が開放された後は、出入扉が閉じられ且つ操作盤による解除設定がなされるまで、運転終了後にもドアを開放しない。操作盤は、規制領域の外側に設けられているので、規制領域外にいることを確認してから、ドアを動かすことで、安全性を確保することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記装置本体の運転開始前、前記制御手段は、前記開閉検知器により前記出入扉の開放を検知すると、前記出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記ドアを開放および/または閉鎖しないことを特徴とする請求項4に記載の食品機械である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、装置本体の運転開始前、開閉検知器により出入扉の開放を検知すると、出入扉が閉じられ且つ操作盤による解除設定がなされるまで、ドアを開放および/または閉鎖しない。操作盤は、規制領域の外側に設けられているので、規制領域外にいることを確認してから、ドアを動かすことで、安全性を確保することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記処理槽の前後に、前記ドアが設けられ、前記処理槽の前後を連通して、前記規制領域が設定されており、前記出入扉を複数備え、各出入扉について前記開閉検知器が設けられ、前記装置本体を運転中、少なくとも一つの前記出入扉の開放を検知すると、前記運転は継続するが、全ての出入扉が閉じられ且つ前記操作盤による解除設定がなされるまで、前記運転終了後にも前記ドアを開放しないことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の食品機械である。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、処理槽の前後にドアを有していても、処理槽の前後を連通して規制領域が設定されているので、メンテナンスなどが容易である。また、規制領域に対し複数の出入扉が設けられていても、装置本体を運転中、少なくとも一つの出入扉の開放を検知すると、運転は継続するが、全ての出入扉が閉じられ且つ操作盤による解除設定がなされるまで、運転終了後にもドアを開放しない。操作盤は、規制領域の外側に設けられているので、規制領域外にいることを確認してから、ドアを動かすことで、安全性を確保することができる。
【0019】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記安全柵は、前記規制領域の外側から内側を視認可能に構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の食品機械である。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、安全柵は、規制領域の外側から内側を視認可能に構成されているので、規制領域内の人の有無を容易に確認しつつ、食品機械を使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自動ドアを有する食品機械において、動作中のドアへの接触や、処理槽内への人の閉じ込めなどを防止して、安全性を確保することができる。また、処理槽内での食品処理への影響を防止しつつ、動作中のドアへの接触などを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例の食品機械の概略正面図である。
【
図3】
図2中、第二出入扉の設置箇所の概略横断面図である。
【
図4】
図1の食品機械の搬入側操作盤の概略図である。
【
図5】
図1の食品機械の搬出側操作盤の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1および
図2は、本発明の一実施例の食品機械1の概略図であり、
図1は正面図、
図2は平面図である。ここでは、説明の便宜上、
図2における横方向を食品機械1の左右方向とし、
図2における縦方向を食品機械1の前後方向とし、
図2における紙面と直交方向を食品機械1の上下方向として説明する。
【0025】
本実施例の食品機械1は、処理槽2の前後にドア4を有する両ドア式の真空冷却装置である。
図2において、食品は、前方から処理槽2内に搬入され、処理槽2内で真空冷却を図られた後、後方から処理槽2外へ搬出される。処理槽2に対する食品の搬入および搬出は、搬送装置5(搬入装置5A、搬出装置5B)により自動で行うことができる。
【0026】
食品機械1は、処理槽2内に食品を収容して処理(本実施例では真空冷却)する装置本体6と、処理槽2のドア4の可動範囲を含む規制領域Xへの立入りを規制する安全柵7と、規制領域Xに出入りするための出入扉8と、出入扉8の開閉状態を検知する開閉検知器9と、規制領域Xの外側に設けられた操作盤10と、操作盤10による設定内容や開閉検知器9の検知信号に基づき装置本体6を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0027】
装置本体6は、処理槽2内に食品を収容して処理(真空冷却)する。食品機械1が真空冷却装置の場合、装置本体6は、食品が収容される処理槽2と、処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段(図示省略)と、減圧された処理槽2内に外気を導入して処理槽2内を復圧する復圧手段(図示省略)と、これら各手段などを制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0028】
処理槽2は、前後に開口部3aを有する処理槽本体3と、この処理槽本体3の前後の開口部3aを開閉するドア4(搬入側ドア4A、搬出側ドア4B)とを備える。各ドア4は、左右にスライドして、処理槽本体3の開口部3aを開閉する。
図1において、各ドア4は、それぞれ処理槽本体3に対し右側へスライドして開けられる。
【0029】
処理槽本体3は、略矩形の中空ボックス状に形成され、前後各面に開口部3aを有する。処理槽本体3の前後各面には、開口部3aを取り囲むように、パッキン(図示省略)が設けられている。処理槽本体3の前後には、同様の構成(前後対称)で、ドア4が開閉可能に設けられる。
【0030】
各ドア4は、略矩形の板状に形成され、処理槽本体3の上部に、左右にスライド可能に吊り下げられる。具体的には、処理槽本体3の前後各上部には、左右方向へ沿うと共に処理槽本体3から右側へ延出して吊レール11が設けられており、この吊レール11にランナー12が左右にスライド可能に保持され、そのランナー12にドア4が吊り下げられる。その際、ドア4は、鉛直に保たれたまま若干前後へ移動可能に吊り下げられる。
【0031】
各吊レール11の下部には、ドア4を開閉するための空気圧シリンダ13が設けられる。本実施例では、ロッドレス形の空気圧シリンダ13が用いられる。図示しないが、空気圧シリンダ13は、シリンダチューブにピストンが進退可能にはめ込まれて構成され、ピストンを挟んだ左右の領域に対する給排気により、ピストンを左右にスライドさせることができる。そして、ピストンの動きは、ランナー12に伝達され、ドア4を左右にスライドさせることができる。空気圧シリンダ13の前記各領域への圧縮空気の給排気をエア制御弁(図示省略)で制御することで、ピストンひいてはドア4をスライドさせることができる。
【0032】
各ドア4は、処理槽本体3の開口部3aの全開位置と全閉位置との間で、スライド可能とされる。全開位置とは、
図1において二点鎖線で示すように、ドア4を処理槽本体3に対し右側へスライドさせて、処理槽本体3の開口部3aを完全に開けた状態である。全閉位置とは、
図1において実線で示すように、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4を配置した状態である。ドア4の全開位置および全閉位置は、図示しないドア位置検知手段(たとえばリミットスイッチ)により検知可能とされる。ドア位置検知手段により、ドア4が全開位置または全閉位置であることを検知し、運転動作を次のステップに移行させることができる。
【0033】
各ドア4について、ドア4を全閉位置までスライドさせた状態(つまり処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4を配置した状態)で、処理槽本体3にドア4を締め付けて(言い換えれば押し付けて)、処理槽本体3の開口部3aをドア4で気密に閉じることができる。そのために、ドア4の左右両端部には被引寄部14が設けられる一方、処理槽本体3の左右両側壁には締付装置15が設けられており、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4を配置した状態で、ドア4の被引寄部14を締付装置15により処理槽本体3の側へ引き寄せて、パッキン(図示省略)を介して処理槽本体3の開口部3aをドア4で気密に閉じることができる。
【0034】
減圧手段は、図示しないが、典型的には、処理槽2内からの排気路に、蒸気凝縮用の熱交換器と、水封式の真空ポンプとを順に備える。処理槽2内からの排気路には、熱交換器よりも上流に、さらに蒸気エゼクタを備えてもよい。図示例では、減圧手段の一部または全部は、処理槽2とは別の減圧ユニット16に収容されている。処理槽2と減圧ユニット16とは、上部において連通管17で接続されており、この連通管17は前記排気路の一部を構成する。そのため、減圧ユニット16を用いて、連通管17を介して処理槽2内の減圧が可能とされる。
【0035】
復圧手段は、図示しないが、典型的には、処理槽2内への給気路に、フィルタおよび給気弁を順に備える。処理槽2内が減圧された状態で給気弁を開けると、フィルタを介した空気が処理槽2内に送られ、処理槽2内を復圧することができる。
【0036】
安全柵7は、処理槽2のドア4の可動範囲(全開位置と全閉位置との間の移動空間)を含む規制領域Xへの立入りを規制する部材である。安全柵7は、規制領域Xに容易に人が侵入できない構成であればよく、文字通りの柵の他、フェンスや塀と呼ばれるものでもよい。安全柵7は、たとえば、支柱間に適宜の横材、板材または網材などを設けて構成される。また、安全柵7は、装置本体6(特に処理槽2)の周囲に、人が乗り越えられない高さ(たとえば2mの高さ)で設けられるのが好ましい。その際、安全柵7と装置本体6(処理槽2や減圧ユニット16)との間には、人が通れる隙間(または装置本体6をメンテナンスするための空間)をあけておくのが好ましい。
【0037】
図示例では、安全柵7として、複数枚のパーテーション材18が連接されて用いられている。各パーテーション材18は、略矩形状の枠体18a内に板材18bがはめ込まれて構成される(
図1)。規制領域Xの外側から内側を視認可能に、板材18bは、透光性を有する素材(典型的には透明板)から構成されるのが好ましい。但し、規制領域Xの外側から内側の様子(特に人の有無)を確認できればよいので、安全柵7を、たとえば網材や格子材などを用いて構成してもよい。
【0038】
図2に示すように、本実施例では、出入扉8も含めて見た場合、安全柵7は、装置本体6(より具体的には処理槽2および減圧ユニット16)を取り囲むように、平面視略矩形状に配置される。言い換えれば、装置本体6は、出入扉8付きの安全柵7で取り囲まれる。但し、本実施例では、処理槽2に対する食品の搬入出を自動で行う関係上、搬送装置5が設けられる箇所には、安全柵7は設置されない。
【0039】
つまり、処理槽本体3の前後の開口部3aと対応して、処理槽本体3の前方には搬送装置5(搬入装置5A)が設けられる一方、処理槽本体3の後方にも搬送装置5(搬出装置5B)が設けられるが、これら搬送装置5と対応した箇所には安全柵7は設置されない。処理槽本体3の前後と対応した箇所に安全柵7が設けられなくても、搬送装置5の存在により、この箇所(安全柵7の設置が途切れた箇所)から規制領域Xへの出入りは困難とされる。なお、搬送装置5により、規制領域Xは、左側の第一規制領域X1と、右側の第二規制領域X2とに分けられる。各規制領域X1,X2は、図示例では、処理槽2の前後を連通するように設けられている。
【0040】
前述したとおり、本実施例では、出入扉8も含めて見た場合の安全柵7は、基本的には平面視略矩形状に配置されるが、左右一方(
図2において右側)の前後の角部は、パーテーション材18が傾斜して配置されて、平面視略矩形状の角部が切除された形状とされる。この角部には、操作盤10(搬入側操作盤10A、搬出側操作盤10B)が設けられる。各操作盤10は、支柱19の上部に保持されることで、操作しやすい高さに設置される。なお、操作盤10をパーテーション材18に保持したり、操作盤10を安全柵7の一部として用いたりしてもよい。
【0041】
出入扉8は、規制領域Xに出入するための扉である。本実施例では、第一規制領域X1と第二規制領域X2とが左右に分かれて設けられる関係上、各規制領域X1、X2に出入りするための出入扉8A,8Bが設けられる。具体的には、第一規制領域X1には第一出入扉8Aから出入り可能とされ、第二規制領域X2には第二出入扉8Bから出入り可能とされる。
図2の場合、第一出入扉8Aは、左側の安全柵7の前後方向中途部に設けられ、第二出入扉8Bは、右側前方の安全柵7に設けられる。但し、各出入扉8の設置箇所は、適宜に変更可能である。
【0042】
図3は、第二出入扉8Bの設置箇所の概略横断面図である。ここでは、第二出入扉8Bを示しているが、第一出入扉8Aについても同様である。
【0043】
図1および
図3に示すように、出入扉8は、扉枠8aに開閉可能に設けられる。扉枠8aは、略矩形状の枠体から構成され、安全柵7に連接される。出入扉8は、略矩形状の枠体8b内に板材8cがはめ込まれて構成される。出入扉8は、安全柵7の場合と同様、規制領域Xの外側から内側を視認可能に、たとえば透明板などを用いて構成されるのがよい。
【0044】
出入扉8は、一側端部が蝶番20を介して扉枠8aに開閉可能に保持され、開き戸とされる。本実施例では、出入扉8は、規制領域Xの外側へ向けて開くよう(つまり外開きに)構成される。扉枠8aに出入扉8を収めた状態(つまり出入扉8を閉じた状態)で、出入扉8は、安全柵7と共に、規制領域Xに対する人の出入りを規制する。
【0045】
出入扉8の戸先側には、たとえばラッチ錠21が設けられて、戸先側の扉枠8aに設けた受け具22との間で、出入扉8を閉鎖状態で保持可能とされる。つまり、出入扉8を閉めると、扉側のラッチ21aが扉枠側の受け具22に自動的に係合されて保持される。一方、この係合状態(つまり出入扉8の閉鎖状態)において、出入扉8に設けたレバー状のノブ21bを操作することで、前記係合を解除して、出入扉8を開けることができる。
【0046】
出入扉8の開閉状態は、開閉検知器9により検知される。開閉検知器9は、たとえばリミットスイッチ23から構成される。本実施例では、戸先側(
図3において左側)の扉枠8aの上部には、リミットスイッチ23が設けられており、そのリミットスイッチ23のレバー23aは、吊元側(
図3において右側)へ延出するよう配置されている。一方、出入扉8の背面側(規制領域Xの側)の上部には、背面側への突出部24が設けられている。出入扉8を閉じると、突出部24がリミットスイッチ23のレバー23aを押し込むことで、出入扉8の閉鎖を検知することができる。一方、出入扉8が開けられると、前記押し込みが解除されて、リミットスイッチ23のレバー23aが二点鎖線で示す位置に戻ることで、出入扉8の開放を検知することができる。
【0047】
図4は、搬入側操作盤10Aの概略図である。
搬入側操作盤10Aには、タッチパネル25の他、運転スイッチ26、スタートボタン27、ストップボタン28、異常リセットボタン29、搬送装置切替スイッチ30、搬入側ドア開ボタン31、搬入側ドア閉ボタン32が設けられている。なお、図示例の場合、搬入側操作盤10Aには、さらに、セーフティスイッチ33、洗浄スイッチ34、非常停止ボタン35の他、ブザー36が設けられている。
【0048】
タッチパネル25には、各種表示が可能であると共に、タッチパネル25を用いて、各種設定(たとえば冷却終了状態の設定)が可能とされる。運転スイッチ26は、食品機械1に対する電源のオンオフを切り替えるスイッチである。スタートボタン27は、運転開始を指示するボタンであり、ストップボタン28は、運転停止を指示するボタンである。異常リセットボタン29は、異常が生じた場合に、その原因を取り除いた後に押されることで、異常状態の解消を指示するボタンである。搬送装置切替スイッチ30は、処理槽本体3に対し搬送装置5による自動の搬入出を行うか否かを切り替えるスイッチである。本実施例では、搬送装置5による搬入出を、「停止」と「自動」とで切り替える。搬入側ドア開ボタン31は、搬入側ドア4Aの開放を指示するボタンであり、搬入側ドア閉ボタン32は、搬入側ドア4Aの閉鎖を指示するボタンである。
【0049】
図5は、搬出側操作盤10Bの概略図である。搬出側操作盤10Bは、搬入側操作盤10Aと同様の構成であってもよいが、本実施例では、搬入側操作盤10Aよりもスイッチやボタンの数が少ないと共に、タッチパネルの大きさも小さい。
【0050】
具体的には、搬出側操作盤10Bには、タッチパネル37の他、異常リセットボタン38、搬出側ドア開ボタン39、搬出側ドア閉ボタン40が設けられている。なお、図示例の場合、搬出側操作盤10Bには、さらに、セーフティスイッチ41、洗浄スイッチ42、非常停止ボタン43の他、ブザー44が設けられている。
【0051】
タッチパネル37には、各種表示が可能であると共に、異常リセットが可能とされる。装置本体6に対する各種設定は、基本的には搬入側操作盤10Aから行われる。異常リセットボタン38は、異常が生じた場合に、その原因を取り除いた後に押されることで、異常状態の解消を指示するボタンである。搬出側ドア開ボタン39は、搬出側ドア4Bの開放を指示するボタンであり、搬出側ドア閉ボタン40は、搬出側ドア4Bの閉鎖を指示するボタンである。
【0052】
制御手段は、装置本体6などを制御する制御器(図示省略)である。具体的には、制御器は、減圧手段(図示省略)、復圧手段(図示省略)、空気圧シリンダ13(エア制御弁)、締付装置15、搬送装置5の他、ドア位置検知手段(リミットスイッチ(図示省略))、開閉検知器9(リミットスイッチ23)および操作盤10などに接続されている。そして、制御器は、処理槽2内に収容された食品を冷却する「冷却運転」を実行可能とされる。また、制御器は、開閉検知器9により出入扉8の開放を検知すると、処理槽2のドア4の開放と閉鎖の内、一方または双方を不能とする「ドア規制制御」を実行可能とされる。以下、冷却運転とドア規制制御について、具体的に説明する。
【0053】
≪冷却運転≫
処理槽2内に食品が収容され、処理槽2のドア4(搬入側ドア4A、搬出側ドア4B)が気密に閉じられた状態で、冷却運転が実行される。冷却運転では、減圧手段および復圧手段を制御して、所定の終了条件を満たすまで処理槽2内を減圧して食品を冷却した後、処理槽2内を大気圧まで復圧する。その後、処理槽2のドア4(搬出側ドア4B)を開放して、処理槽2外へ食品を取り出すことができる。
【0054】
冷却運転の開始前、搬入側ドア4Aが開けられ、処理槽2内に食品が搬入された後、搬入側ドア4Aが閉じられる。この間、搬出側ドア4Bは閉じられたままでよい。一方、冷却運転の終了後、搬出側ドア4Bが開けられ、処理槽2外に食品が搬出された後、搬出側ドア4Bが閉じられる。この間、搬入側ドア4Aは閉じられたままでよい。但し、搬入側ドア4Aと搬出側ドア4Bとを開けた状態で、冷却済の食品を処理槽2外へ搬出しつつ、新たに冷却しようとする食品を処理槽2内へ搬入してもよい。その場合、処理槽2に対し食品を搬出入した後、両方のドア4A,4Bを閉じればよい。
【0055】
各ドア4(4A,4B)は、基本的には、全開位置または全閉位置で択一的に停止可能とされる。ドア4を開放する際、空気圧シリンダ13のピストンを開放方向へ移動させればよい。一方、ドア4を閉鎖する際、空気圧シリンダ13のピストンを閉鎖方向へ移動させればよい。ドア4が全開位置または全閉位置まで移動したことは、ドア位置検知手段(リミットスイッチ)により検知される。全閉位置では、締付装置15により、処理槽本体3にドア4を締付可能とされる。
【0056】
処理槽2に対する食品の搬入出は、搬送装置5を用いて自動で行うことができる。その場合、搬入側操作盤10Aの運転スイッチ26を入れると共に、搬送装置切替スイッチ30を「自動」としておけばよい。そして、たとえば、スタートボタン27が押されるなど運転開始を指示されると、制御器は、搬入側ドア4Aを開けて、搬入装置5Aにより処理槽2内に食品を搬入した後、搬入側ドア4Aを閉じて、冷却運転を開始する。冷却運転の終了後には、搬出側ドア4Bを開けて、搬出装置5Bにより処理槽2外に食品を搬出した後、搬出側ドア4Bを閉じる。
【0057】
但し、処理槽2に対する食品の搬入出は、手動(人力)で行うこともできる。その場合、搬入側操作盤10Aの運転スイッチ26を入れると共に、搬送装置切替スイッチ30を「手動」としておけばよい。そして、まずは搬入側ドア開ボタン31を押して、搬入側ドア4Aを開け、手動で処理槽2内に食品を搬入した後、搬入側ドア閉ボタン32を押して、搬入側ドア4Aを閉じる。その状態で、スタートボタン27が押されるなど運転開始を指示されると、制御器は冷却運転を開始する。冷却運転の終了後には、搬出側操作盤10Bを操作して、処理槽2外に食品を取り出せばよい。具体的には、搬出側ドア開ボタン39を押して、搬出側ドア4Bを開け、手動で処理槽2外に食品を搬出した後、搬出側ドア閉ボタン40を押して、搬出側ドア4Bを閉じればよい。
【0058】
≪ドア規制制御≫
制御器は、冷却運転の開始前、冷却運転中、および冷却運転の終了後の内、いずれか一以上の期間において、ドア規制制御を実行する。ドア規制制御では、開閉検知器9より出入扉8(第一出入扉8A,第二出入扉8B)の開閉状態を監視し、少なくとも一つの出入扉8の開放を検知すると、処理槽2のドア4(搬入側ドア4Aおよび搬出側ドア4B)の開放と閉鎖の内、一方または双方を不能とする。
【0059】
たとえば、食品機械1の起動中(冷却運転中およびその前後における運転スイッチ26のオン中)、開閉検知器9により、少なくとも一つの出入扉8の開放を検知すると、各ドア4の開放および閉鎖を不能として、各ドア4の位置を保持する。つまり、ドア4が全開位置にあれば、閉鎖を不能として全開位置のままとし、ドア4が全閉位置にあれば、開放を不能として全閉位置のままとする。また、ドア4が動作中(開放途中または閉鎖途中)の場合、出入扉8の開放が検知されると、その時点でドア4を停止させるのがよい。出入扉8の開放が検知された後は、仮に、操作盤10からドア4の開閉指示がなされても、制御器はその指示を受け付けず、ドア4を移動させない。このような制御により、規制領域X内に人が入っても、ドア4が動作することはなく、安全性を確保することができる。
【0060】
但し、出入扉8が開けられた場合に、必ずしもドア4の開放と閉鎖の双方を規制する必要はなく、片方を規制するようにしてもよい。すなわち、ドア4の開放時と閉鎖時の速度や推力の違い、想定されるドア4の開閉位置や作業状況、ドア4とその周辺の構造物との関係などを考慮して、ドア4の開放の閉鎖との内、片方を規制するようにしてもよい。
【0061】
たとえば、開閉検知器9により、少なくとも一つの出入扉8の開放を検知すると、ドア4の開放は許容するが、ドア4の閉鎖は不能としてもよい。ドア4の閉鎖を不能とすることで、処理槽2内への人の閉じ込めや、ドア4による人の挟み込み(ドア4の戸先側端部と処理槽本体3との間での人の挟み込み)を防止することができる。
【0062】
ところで、一旦、少なくとも一つの出入扉8の開放を検知すると、全ての出入扉8が閉じられ且つ操作盤10による解除設定(所定操作)がなされるまで、ドア4を開放および/または閉鎖しないのが好ましい。具体的には、第一出入扉8Aおよび/または第二出入扉8Bが開けられた後、両方の扉8A,8Bが閉じられても、ドア4の開放および/または閉鎖を規制した状態を維持する。たとえば、ドア4の開放および閉鎖を不能とした場合には、その状態を維持し、ドア4の閉鎖のみを不能とした場合には、その状態を維持し、全ての出入扉8が閉じられた状態で操作盤10による解除設定がなされると、ドア4の開閉を許容する。もちろん、実際のドア4の動作は、たとえばドア開ボタン31,39やドア閉ボタン32,40の操作などに基づくため、解除設定の実行が必ずしも直ちにドア4を移動させるものではない。
【0063】
解除設定は、たとえば、次のようにして実行される。すなわち、搬入側操作盤10Aにおいて、異常リセットボタン29を押す(あるいはタッチパネル25に表示された所定ボタンを押す)ことで、ドア4の開放および閉鎖を可能とするのがよい。操作盤10は、規制領域Xの外側に設けられているので、規制領域X外に人がいる(言い換えれば規制領域X外に人が出た)ことを確認してから、ドア4を動かすことで、安全性を確保することができる。しかも、本実施例の場合、安全柵7および出入扉8は、規制領域Xの外側から内側を視認可能に構成されているので、規制領域X内の人の有無を容易に確認しつつ、解除設定(ひいてはドア4の可動)を行うことができる。
【0064】
一旦、いずれかの出入扉8が開放された後は、前後の操作盤10にはその旨出力され、解除設定を促す画面をタッチパネル25,37に表示してもよい。また、一旦、いずれかの出入扉8が開放された後は、解除設定がなされるまで、ブザー36,44やランプなどで、規制領域X内に人がいる可能性を報知してもよい。なお、処理槽2の前後に操作盤10を備える場合、搬入側の操作盤10Aからのみ解除設定可能とされるのがよいが、場合により、前後いずれかの操作盤10で解除設定可能とされてもよい。
【0065】
また、全ての出入扉8が閉じられた後、一定時間内に限り解除設定可能にしてもよい。出入扉8の閉鎖を確認して速やかに解除設定がなされた場合にのみ解除設定を有効にすることで、解除設定を行う者が意図しない出入扉8の閉鎖によって、誤って解除設定されることを防止することができる。
【0066】
ところで、冷却運転の開始前は、開閉検知器9により出入扉8の開放を検知すると、全ての出入扉8が閉じられ且つ操作盤10による解除設定がなされるまで、ドア4を開放および/または閉鎖しないのがよい。特に、ドア4の閉鎖を禁止する場合には、処理槽2内への人の閉じ込めや、ドア4による人の挟み込みを防止することができる。
【0067】
冷却運転の実行中は、開閉検知器9により出入扉8の開放を検知すると、冷却運転は継続するが、全ての出入扉8が閉じられ且つ操作盤10による解除設定がなされるまで、運転終了後にもドア4を開放しないのがよい。冷却運転中、開閉検知器9により出入扉8の開放を検知しても、運転を継続することで、処理槽2内での食品処理への影響を防止して、所期の品質の食品を得ることができる。一方、一旦出入扉8が開放された後は、全ての出入扉8が閉じられ且つ操作盤10による解除設定がなされるまで、運転終了後にもドア4を開放しないことで、規制領域X内において人にドア4が接触することはない。
【0068】
次に、前記実施例の食品機械1の変形例について説明する。
【0069】
前記実施例では、
図2において、規制領域Xを左右二つに分けたが、規制領域Xの分け方は適宜に変更可能であり、たとえば、規制領域Xを前後二つに分けてもよいし、後述するように、単一の規制領域Xとしてもよい。いずれにしても、各規制領域Xに、少なくとも一つの出入扉8が設けられ、その出入扉8の開閉が開閉検知器9により検知可能とされる。
【0070】
前記実施例では、処理槽2の前後にドア4を有する両ドア式の装置としたが、処理槽2の前方にのみドア4を有する片ドア式の装置にも、同様に適用可能である。その場合、処理槽本体3の後面は、閉塞されており、前面の開口部3aから食品を出し入れすることになる。また、搬出側の操作盤10Bの設置は不要である。片ドア式の装置でも、ドア規制制御として、開閉検知器9より出入扉8の開閉状況を監視し、少なくとも一つの出入扉8の開放を検知すると、処理槽2のドア4の開放と閉鎖の内、一方または双方を不能とする。そして、少なくとも一つの出入扉8の開放を検知すると、全ての出入扉8が閉じられ且つ操作盤10による解除設定がなされるまで、ドア4を開放および/または閉鎖しない(つまり前記不能状態を解除しない)のが好ましい。
【0071】
前記実施例では、処理槽2の前後に搬送装置5を設けて、処理槽2に対し自動で食品を搬入出させたが、搬送装置5の設置を省略して、処理槽2に対し手動(人力)で食品を搬入出させてもよい。その場合、
図2において、搬送装置5が存在したことで安全柵7の設置が省略された箇所にも、安全柵7を設けて装置本体6を安全柵7で取り囲めばよい。その場合、処理槽2の周囲には、単一の規制領域Xが形成されることになる。
【0072】
前記実施例では、出入扉8を二つ設けたが、出入扉8の数は、適宜に変更可能である。たとえば、単一の規制領域Xが設定される場合には、出入扉8は一つとすることができる。その場合、開閉検知器9により出入扉8の開放を検知すると、ドア4の開放と閉鎖の内、一方または双方を不能とするなど、前記実施例と同様に制御することができる。
【0073】
本発明の食品機械1は、前記実施例(変形例を含む)の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)ドア4で開閉可能とされると共に食品が収容される処理槽2を有する装置本体6と、(b)ドア4の可動範囲を含む規制領域Xへの立入りを規制する安全柵7と、(c)規制領域Xに出入りするための出入扉8と、(d)この出入扉8の開閉状態を検知する開閉検知器9と、(e)規制領域Xの外側に設けられた操作盤10と、(f)この操作盤10による設定内容に基づき装置本体6を制御する制御手段とを備え、(g)制御手段は、開閉検知器9により出入扉8の開放を検知すると、ドア4の開放と閉鎖の内、一方または双方を不能とするのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。なお、ドア4の開放と閉鎖の内、一方または双方を不能とするとは、(x)ドア4の開放を不能とするが閉鎖は可能である状態、(y)ドア4の閉鎖を不能とするが開放は可能である状態、(z)ドア4の開放および閉鎖の双方を不能とする状態のいずれかである。
【0074】
たとえば、前記実施例では、安全柵7は、処理槽2と減圧ユニット16の双方を取り囲むように設けられたが、少なくともドア4の可動範囲を含めばよく、減圧ユニット16は規制領域Xの外側に配置されてもよい。
【0075】
また、前記実施例では、装置本体6を取り囲むように、出入扉8付きの安全柵7を設けたが、安全柵7の一部は、建物などの壁面であってもよい。つまり、要は、処理槽2のドア4の可動範囲を含む規制領域Xへの立入りを規制できるのであれば、装置本体6の全体を安全柵7で取り囲まずに、その他の部材も用いて規制領域Xへの立入りが規制されてもよい。
【0076】
また、前記実施例では、
図1において、ドア4は、右側へスライドさせて開放する構成とされたが、場合により、左側へスライドさせて開放する構成とされてもよい。その場合、処理槽本体3の上部には、処理槽本体3から左側へ延出して吊レール11が設けられ、その吊レール11にドア4が吊り下げられる。
【0077】
また、前記実施例では、空気圧シリンダ13を用いて、ドア4を開閉させたが、ドア4の開閉装置は、空気圧シリンダ13に限らず、たとえば油圧シリンダを用いてもよい。
【0078】
また、前記実施例では、ドア4は、左右にスライドして処理槽本体3の開口部3aを開閉する構成とされたが、ドア4の開閉構造は特に問わない。たとえば、開き戸形式で開閉させてもよい。
【0079】
さらに、前記実施例では、食品機械1は真空冷却装置として説明したが、自動ドアを有するその他の食品機械にも同様に適用可能である。たとえば、真空解凍装置や飽和蒸気調理装置などにも同様に適用可能である。前記実施例における冷却運転に代えて、食品機械1の種類に応じた各種運転がなされる。
【符号の説明】
【0080】
1 食品機械
2 処理槽
3 処理槽本体(3a:開口部)
4 ドア(4A:搬入側ドア、4B:搬出側ドア)
5 搬送装置(5A:搬入装置、5B:搬出装置)
6 装置本体
7 安全柵
8 出入扉(8A:第一出入扉、8B:第二出入扉、8a:扉枠、8b:枠体、8c:板材)
9 開閉検知器
10 操作盤(10A:搬入側操作盤、10B:搬出側操作盤)
11 吊レール
12 ランナー
13 空気圧シリンダ
14 被引寄部
15 締付装置
16 減圧ユニット
17 連通管
18 パーテーション材(18a:枠体、18b:板材)
19 支柱
20 蝶番
21 ラッチ錠(21a:ラッチ、21b:ノブ)
22 受け具
23 リミットスイッチ(23a:レバー)
24 突出部
25 タッチパネル
26 運転スイッチ
27 スタートボタン
28 ストップボタン
29 異常リセットボタン
30 搬送装置切替スイッチ
31 搬入側ドア開ボタン
32 搬入側ドア閉ボタン
33 セーフティスイッチ
34 洗浄スイッチ
35 非常停止ボタン
36 ブザー
37 タッチパネル
38 異常リセットボタン
39 搬出側ドア開ボタン
40 搬出側ドア閉ボタン
41 セーフティスイッチ
42 洗浄スイッチ
43 非常停止ボタン
44 ブザー
X 規制領域(X1:第一規制領域、X2:第二規制領域)