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▶ 株式会社サタケの特許一覧

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  • 特許-籾摺機 図1
  • 特許-籾摺機 図2
  • 特許-籾摺機 図3
  • 特許-籾摺機 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】籾摺機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
B02B7/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019078770
(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2020175325
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】森山 敬仁
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-202803(JP,A)
【文献】特許第6453978(JP,B1)
【文献】特開2013-173120(JP,A)
【文献】実開昭61-200191(JP,U)
【文献】特開平08-168682(JP,A)
【文献】特開昭55-067345(JP,A)
【文献】PATLITE,今まで見えなかった作業工程の進捗の見える化,日本,2015年,インターネット<URL:https://www.patlite.co.jp/adoption_case/fa/sentaku.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
F26B 1/00 - 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された籾を玄米に脱ぷする脱ぷ部と、
該脱ぷ部により脱ぷされた籾殻を除去する風選部と、
該風選部により風選された籾及び玄米からなる混合米を揺動選別する揺動選別部と、
前記脱ぷ部の原料ホッパ底部に設けた籾シャッタ弁の開/閉の切り換え操作、前記揺動選別部の揺動クラッチの揺動入り/揺動停止の切り換え操作、及び前記揺動選別部で選別された玄米を機外排出するか又は機内循環するかを切り換える循環排出切換弁の循環/排出の切り換えの操作が、操作レバーの位置によって連動操作することが可能な単一の操作レバーと、を備えた籾摺機において、
前記籾摺機の操作レバーが「0」位置にあるときは、前記籾シャッタ弁が閉、前記揺動クラッチが揺動停止で、前記循環排出弁が循環となり、前記籾摺機の操作レバーが「1」位置にあるときは、籾シャッタ弁が開、前記揺動クラッチが揺動入りで、前記循環排出弁循環となり、前記籾摺機の操作レバーが「2」位置にあるときは、前記籾シャッタ弁が開、前記揺動クラッチが揺動入りで、循環排出弁が排出となり、
前記籾摺機には、前記籾摺機の正面、右側面、背面及び左側面の全周に亘って、少なくとも前記籾摺機の操作レバー位置による稼働状態に応じて異なる照射光を照射する光源を配置したことを特徴とする籾摺機。
【請求項2】
前記光源を、前記風選部で脱ぷされた籾殻を排出する籾殻排出ダクトに配置してなる請求項1記載の籾摺機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物調製機、特に籾摺機の運転状況の報知に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、籾摺機の作業状態の進行に応じて操作レバーの操作タイミングを適時適切に表示し、籾摺作業を円滑に進めることができる籾摺機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の籾摺機は、単一の操作レバーにより籾シャッタを開閉する弁、揺動選別板の揺動を入り切りする揺動クラッチ手段、及び前記揺動選別板で選別された玄米を機外排出するか又は機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁を操作可能に構成し、操作表示部には前記操作レバーが第1操作位置、第2操作位置又は第3操作位置いずれに位置しているかを表示する操作位置表示手段(La,Lb,Lc)を設け、該操作位置表示手段(La,Lb,Lc)には現在操作位置を示す現在操作状態表示と、操作レバーの次工程操作位置を示す次工程操作表示をすることを特徴とする籾摺機である。
【0004】
上記構成により、操作レバーの現在操作位置及び籾摺作業の作業状態の進行に伴う次工程操作位置が明確になり、籾摺作業を円滑に進めることができるという作用・効果がある。
【0005】
ところが、特許文献1の籾摺機の場合、作業者が籾摺機の操作表示部側である正面以外の場所にいる場合、前記操作位置表示手段が見えないため、操作レバーの現在操作位置及び籾摺作業の進行に伴う次工程操作位置がわからないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-173120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、籾摺機などの穀物調製機の稼働状態を光によって作業者に知らせるにあたり、作業者が穀物調製機の正面以外の場所にいても、運転状況を認識することができる籾摺機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の籾摺機は、
供給された籾を玄米に脱ぷする脱ぷ部と、
該脱ぷ部により脱ぷされた籾殻を除去する風選部と、
該風選部により風選された籾及び玄米からなる混合米を揺動選別する揺動選別部と、
前記脱ぷ部の原料ホッパ底部に設けた籾シャッタ弁の開/閉の切り換え操作、前記揺動選別部の揺動クラッチの揺動入り/揺動停止の切り換え操作、及び前記揺動選別部で選別された玄米を機外排出するか又は機内循環するかを切り換える循環排出切換弁の循環/排出の切り換えの操作が、操作レバーの位置によって連動操作することが可能な単一の操作レバーと、を備えた籾摺機において、
前記籾摺機の操作レバーが「0」位置にあるときは、前記籾シャッタ弁が閉、前記揺動クラッチが揺動停止で、前記循環排出弁が循環となり、前記籾摺機の操作レバーが「1」位置にあるときは、籾シャッタ弁が開、前記揺動クラッチが揺動入りで、前記循環排出弁循環となり、前記籾摺機の操作レバーが「2」位置にあるときは、前記籾シャッタ弁が開、前記揺動クラッチが揺動入りで、循環排出弁が排出となり、
前記籾摺機には、前記籾摺機の正面、右側面、背面及び左側面の全周に亘って、少なくとも前記籾摺機の操作レバー位置による稼働状態に応じて異なる照射光を照射する光源を配置したことを特徴とする籾摺機とした。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、前記光源を、前記風選部で脱ぷされた籾殻を排出する籾殻排出ダクトに配置してなる請求項1記載の籾摺機とした
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の効果】
【0014】
本発明の籾摺機によれば、前記籾摺機の操作レバーが「0」位置にあるときは、前記籾シャッタ弁が閉、前記揺動クラッチが揺動停止で、前記循環排出弁が循環となり、前記籾摺機の操作レバーが「1」位置にあるときは、籾シャッタ弁が開、前記揺動クラッチが揺動入りで、前記循環排出弁循環となり、前記籾摺機の操作レバーが「2」位置にあるときは、前記籾シャッタ弁が開、前記揺動クラッチが揺動入りで、循環排出弁が排出となり、
前記籾摺機には、前記籾摺機の正面、右側面、背面及び左側面の全周に亘って、少なくとも前記籾摺機の操作レバー位置による稼働状態に応じて異なる照射光を照射する光源を配置したことを特徴とする籾摺機としたので、作業者は、前記籾摺機の正面以外の場所にいた場合であっても、照射光を基に、運転状況を認識することができる。
【0015】
のため、作業者が籾摺機の正面以外の場所にいた場合であっても、照射光を基に、操作レバーの現在の位置 、及び操作レバーを操作するタイミングを認識することができる。また、照射光を強くすることで、籾摺機から離れていても照射光を認識することができる。
また、稼働状態に応じたパターンで照射光を照射するので、操作レバーを操作するタイミング以外の情報を作業者に提供することができる。例えば、稼働から10分ごとに色を変えることにより籾摺作業の作業時間や終了時間を提供したり、モータに過負荷がかかると赤い光を照射して、作業者にエラー状態であることを示したり、籾摺り作業終了後、籾摺機の電源を切れ忘れた場合、一定間隔の点滅光を照射することで作業者に電源を切ることを通知することなどが考えられる。また、正面、右側面、背面及び左側面の全周に亘って光源を配置するので、一部の光源が故障したとしても、その他の方向に配置した光源に基づいて、籾摺機の状態を把握することができる。
【0016】
【0017】
【0018】
また、光源を籾摺機の籾殻排出ダクトに設け、本体側の操作部と混在しないような箇所に設けるのがよい。このため、既存の籾摺機に容易に取り付けることができる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の籾摺機の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の光源の構成例を示す模式図である。
図3】別の実施例1を示す模式図である。
図4】各種の穀物調製機に光源を設けた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の籾摺機の全体構成を示す断面図である。この種の籾摺機1は、原料となる籾を貯留するための原料ホッパ2と、一対の脱ぷロール3a,3bにより籾摺を行う脱ぷ部4と、脱ぷ部4からの摺落米を風選して籾殻及び夾雑物などを除去する風選部5と、風選部5で風選された混合米を揚送する混合米揚穀機6と、混合米を一旦貯留する混合米タンク7と、混合米を籾と玄米とに分離選別する揺動選別部8と、揺動選別部8により選別された玄米を揚穀して機外に取り出す玄米揚穀機9とにより主要部が構成される。
揺動選別部8の代わりに、万石式選別部(図示せず)やロータリー式選別部(図示せず)を用いてもよい。
【0022】
上述の籾摺機1には、前記原料ホッパ2底部に設けた籾シャッタ弁(図示せず)の開/閉の切り換えの操作と、前記揺動選別部8の揺動クラッチ(図示せず)の揺動入り/揺動停止の切り換えの操作と、前記揺動選別部8の循環排出切換弁(図示せず)の循環/排出の切り換えの操作とが、レバーの位置によって連動操作することが可能な操作レバー14が設けられている。
【0023】
本発明の籾摺機1の場合、レバー「0」位置にあるときは、籾シャッタ弁閉、揺動クラッチ停止、循環排出弁循環となり、レバー「1」位置にあるときは、籾シャッタ弁開、揺動クラッチ揺動入り、循環排出弁循環となり、レバー「2」位置にあるときは、籾シャッタ弁開、揺動クラッチ揺動入り、循環排出弁排出となる。
【0024】
そして、前記籾摺機1の前面中央には、画面上のアイコンやボタンをタッチして、籾摺機1の各種運転操作の実行の選択ができる表示手段となる大型の液晶タッチパネル(7インチ)11と、電源スイッチやモバイルバッテリなどの電源部12と、USBなどのシリアルバス規格で接続が可能なインターフェース13とを備えた制御部10が配置されている。
【0025】
符号15は前記混合米タンク7の貯留量が無いことを検出する混合米タンク貯留量検知リミットスイッチである。
【0026】
次に、図2を用いて、本発明の要部である光源20について説明する。本発明の光源20は籾摺機1の正面、右側面、背面及び左側面の全周に亘って配置し、前記籾摺機1の稼働状態に応じたパターンで照射光を照射可能とすることができるものである。図2においては、籾摺機1の下部に光源20aを設けたものである。これによって、作業者は籾摺機1に対し、正面側、右側面側、背面側、左側面側のどの位置にいても光源20の照射光を認識することができる。なお、光源20aは図2に示すような横長の光源に限定されるものではなく丸型の光源にするなど、適宜変更することができる。また制御部10の設定により、設置した光源20のうち、一部の光源20のみを照射させることも可能である。
【0027】
次に、光源20から照射される照射光について説明する。籾摺機1の稼働状態は、運転前準備中(ロール間隙調整など)、運転中、停止中、異常中など様々な状態が存在する。また、運転中であっても、玄米循環中、玄米排出中など異なる稼働状態が存在する。同じく、異常状態(エラー表示)にも様々あり、比較的軽い異常 状態から重大な異常状態と緊急度に幅がある。よって、本発明は、籾摺機の稼働状態に応じて光源20からの照射光の照射パターンを変更することによって、作業者に籾摺機の稼働状態を知らしめるものである。
【0028】
ところで、照射パターンとしては、照射される色、点滅、点灯、光の強度、色の変化、光の動き、など、光で表現できるあらゆるものを示す。また、セブンセグメントディスプレイを使って文字や形などの情報を提供できるようにしてもよい。また、光源20は、蛍光灯、電球、LEDライトテープ、光チューブなど、適宜選択して使用することができる。
【0029】
以下に、本発明における照射光の照射パターンの一例を示す。籾摺機1の停止中は白色で点灯し、運転前準備中は緑色の点灯とし、運転中は青の点灯とする。また、操作レバー14を現在の位置から別の位置に変更すべきタイミングを作業者に知らせるときは、照射光の照射パターンを点滅にすれば、作業者は容易にタイミングを把握することができる。より詳細な稼働状態に応じて照射光の照射パターンをさらに細区分することも可能である。例えば、籾摺作業の残米処理工程により生じた玄米は、通常の籾摺りで生じた玄米より処理量が少ないため、これら玄米を区別して管理するため、残米処理工程中は黄色で照射し、作業者に玄米を分けて管理できるように知らせるようにする。
【0030】
異常状態は赤で表示するが、異常の種類に応じて色を分けてもよいし、異常状態の緊急度に応じて色を分けてもよい。たとえば異常電流を検知し、直ちに籾摺機1を停止させるべき状態のときは、赤くて強い照射光を点滅させる。一方、籾摺機1のセンサ故障など、作業自体は継続できる状態のときは、弱い照射光を点滅させる。
【0031】
なお、籾摺機1に設けた各種センサ(図示せず)により籾摺機の1の消費電力、処理量を測定し、籾摺り作業がどの程度効果的に行われているかに応じて照射パターンを変更してもよい。このようにすれば、作業者がより効率よく、籾摺り作業を行えているか否かを容易に判断することができ、生産性の向上につながる。
【0032】
別の実施例1について説明する。図3は、光源20bを籾殻排出ダクト16に設けたものである。籾殻排出ダクト16は比較的高い位置に配置されているため、ここに配置させれば、籾摺機1の周囲を光源20bによって確実に照らすことができる。
【0033】
図4は、本発明の穀物調製機として、乾燥機30、光学式選別機40、計量機50を示したものである。各種の穀物調製機30、40、50が稼働状態に応じたパターンの照射光を照射するため、本発明の籾摺機1と同様の作用、効果を示す。更に、例えば、穀物調製機ごとに、稼働中の色を変えれば(例えば、乾燥機30は青、光学式選別機40は黄色、計量機50は赤とする)、どの穀物調製機が動いているかを遠くから離れた位置でも色情報を基に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の穀物調製機は、作業者が穀物調製機の正面以外の場所にいても、照射光を基に 稼働状態を認識することができるため、非常に有用なものである。
【符号の説明】
【0035】
1 籾摺機、2 原料ホッパ、3 脱ぷロール、4 脱ぷ部、5 風選部、6 混合米揚穀機、7 混合米タンク、8 揺動選別部(選別部)、9 玄米揚穀機、10 制御部、11 液晶タッチパネル、12 電源部、13 インターフェース、14 操作レバー、15 混合米タンク貯留量検知リミットスイッチ、16 籾殻排出ダクト、20 光源、30 乾燥機、40 光学式選別機、50 計量機
図1
図2
図3
図4