(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】硬式野球用ボール
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20230427BHJP
A63B 39/00 20060101ALI20230427BHJP
A63B 37/04 20060101ALI20230427BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A63B37/00 736
A63B39/00 B
A63B37/04
A63B69/00 505B
(21)【出願番号】P 2019035597
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】519071700
【氏名又は名称】神事 努
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302019599
【氏名又は名称】ミズノ テクニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神事 努
(72)【発明者】
【氏名】柴田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】鳴尾 丈司
(72)【発明者】
【氏名】茶園 清隆
(72)【発明者】
【氏名】川口 英俊
(72)【発明者】
【氏名】森田 彰
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 悠人
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-210043(JP,A)
【文献】特開2017-104723(JP,A)
【文献】特開2012-34773(JP,A)
【文献】特開2001-25516(JP,A)
【文献】特開2014-90915(JP,A)
【文献】特開昭64-76881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0194362(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0137350(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0176533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00-37/14
A63B 39/00
A63B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部と、
前記中心部を覆う中間部と、
前記中間部を覆う外層部とを備え、
慣性モーメントは、は755.0g・cm
2
以上1055.0g・cm
2
以下であり、
前記中間部の比重は、0.6以上3.0以下であ
る、硬式野球用ボール。
【請求項2】
中心部と、
前記中心部を覆う中間部と、
前記中間部を覆う外層部とを備え、
慣性モーメントは、433.3g・cm
2
以上630.0g・cm
2
以下であり、
前記中間部の比重は、0.17以上0.5以下であ
る、硬式野球用ボール。
【請求項3】
前記中心部は、空洞であり、
前記中間部は、アルミニウムにより構成されており、
前記外層部は、牛革および前記牛革を縫合する縫糸により構成されている、請求項
1に記載の硬式野球用ボール。
【請求項4】
前記中心部は、鋼球または鉄粉を内包したカプセルであり、
前記中間部は、アイオノマーにより構成されており、
前記外層部は、牛革および前記牛革を縫合する縫糸により構成されている、請求項
2に記載の硬式野球用ボール。
【請求項5】
前記中心部は、空気を内包したカプセルであり、
前記中間部は、前記中心部を覆う第1層と、前記第1層を覆う第2層とを含み、
前記第1層は、糸、コルクまたはアイオノマーにより構成されており、
前記第2層は、アルミニウムにより構成されており、
前記外層部は、牛革および前記牛革を縫合する縫糸により構成されている、請求項
1に記載の硬式野球用ボール。
【請求項6】
前記中心部は、鋼球または鉄粉を内包したカプセルであり、
前記中間部は、前記中心部を覆う第1層と、前記第1層を覆う第2層とを含み、
前記第1層は、糸またはコルクにより構成されており、
前記第2層は、アイオノマーにより構成されており、
前記外層部は、牛革および前記牛革を縫合する縫糸により構成されている、請求項
2に記載の硬式野球用ボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬式野球用ボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の硬式野球用ボールでは、球状のコルクの周囲がゴム材で覆われている。このゴム材の上に毛糸が球状に巻かれている。この毛糸の上に綿糸が巻かれている。この綿糸の上にポリエステル糸が巻かれている。このポリエステル糸の上に牛革が被されている。この牛革は縫糸で縫合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の通常の硬式野球用ボールを投げる投手には、一般的に硬式野球用ボールの回転数の制御を習得することが求められる。上記の通常の硬式野球用ボールを単純に投げるだけでは、硬式野球用ボールの回転数の制御を習得することは困難である。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は硬式野球用ボールの回転数の制御を習得することが容易となる硬式野球用ボールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の硬式野球用ボールは、中心部と、中心部を覆う中間部と、中間部を覆う外層部とを備えている。硬式野球用ボールの慣性モーメントは、433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下または755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。
【0006】
本発明の硬式野球用ボールによれば、硬式野球用ボールの慣性モーメントは、433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下または755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。このため、本発明の硬式野球用ボールの慣性モーメントは、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントの平均値としてとり得る690.0g・cm2とは十分に異なっている。そして、本発明の硬式野球用ボールでは、慣性モーメントが433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下であることにより通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかりやすい。これにより、本発明の硬式野球用ボールを投げることにより、通常の硬式野球用ボールを投げるときに回転数を下げる感覚を身につけることができる。また、本発明の硬式野球用ボールでは、慣性モーメントが755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下であることにより通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかりにくい。これにより、本発明の硬式野球用ボールを投げることにより、通常の硬式野球用ボールを投げるときに回転数を上げる感覚を身につけることができる。したがって、硬式野球用ボールの回転数の制御を習得することが容易となる。
【0007】
上記の硬式野球用ボールにおいて、好ましくは、中間部の比重は、0.6以上3.0以下であり、慣性モーメントが755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。このため、この硬式野球用ボールでは、通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかり難くすることができる。
【0008】
上記の硬式野球用ボールにおいて、好ましくは、中間部の比重は、0.17以上0.5以下であり、慣性モーメントが433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下である。このため、この硬式野球用ボールでは、通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかり易くすることができる。
【0009】
上記の硬式野球用ボールにおいて、好ましくは、中心部は、空洞である。中間部は、アルミニウムにより構成されている。外層部は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下にすることができる。
【0010】
上記の硬式野球用ボールにおいて、好ましくは、中心部は、鋼球または鉄粉を内包したカプセルである。中間部は、アイオノマーにより構成されている。外層部は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下にすることができる。
【0011】
上記の硬式野球用ボールにおいて、好ましくは、中心部は、空気を内包したカプセルである。中間部は、中心部を覆う第1層と、第1層を覆う第2層とを含んでいる。第1層は、糸、コルクまたはアイオノマーにより構成されている。第2層は、アルミニウムにより構成されている。外層部は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下にすることができる。
【0012】
上記の硬式野球用ボールにおいて、好ましくは、中心部は、鋼球または鉄粉を内包したカプセルである。中間部は、中心部を覆う第1層と、第1層を覆う第2層とを含んでいる。第1層は、糸またはコルクにより構成されている。第2層は、アイオノマーにより構成されている。外層部は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の硬式野球用ボールによれば、硬式野球用ボールの回転数の制御を習得することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1における一の硬式野球用ボールの概略断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1における他の硬式野球用ボールの概略断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における他の硬式野球用ボールの変形例の概略断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1における硬式野球用ボールの慣性モーメントが大きい場合の慣性モーメントの範囲を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施の形態1における硬式野球用ボールの慣性モーメントが小さい場合の慣性モーメントの範囲示すグラフである。
【
図6】本発明の実施の形態2における一の硬式野球用ボールの概略断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2における他の硬式野球用ボールの概略断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2における他の硬式野球用ボールの変形例の概略断面図である。
【
図9】比較例の硬式野球用ボールの概略断面図である。
【
図10】比較例および実施例1の衝撃力を示す図である。
【
図11】比較例、実施例1および実施例2の被験者A、B、Cのボール回転速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1における硬式野球用ボールの構成について説明する。
【0016】
図1および
図2を参照して、本実施の形態における硬式野球用ボール1は、中心部2と、中間部3と、外層部4とを備えている。中心部2は、本実施の形態における硬式野球用ボール1の中心に配置されている。中心部2は、球状に構成されている。中間部3は、中心部2を覆っている。中間部3の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは均一である。外層部4は、中間部3を覆っている。外層部4の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは均一である。
【0017】
本実施の形態における硬式野球用ボール1は、通常の硬式野球用ボールと同等の寸法および質量を有している。具体的には、本実施の形態1における硬式野球用ボール1の直径は、例えば、72.9mm以上73.5mm以下である。また、本実施の形態における硬式野球用ボール1の質量は、例えば、141.7g以上148.8g以下である。
【0018】
本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントとは異なっている。通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントは約690.0g・cm2程度である。本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下または755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。
【0019】
続いて、
図1を参照して、本実施の形態における一の硬式野球用ボール1の構成について詳しく説明する。
【0020】
本実施の形態における一の硬式野球用ボールにおいては、中心部2の密度は、中間部3の密度よりも小さい。また、中心部2の密度は、外層部4の密度よりも小さい。本実施の形態における一の硬式野球用ボール1では、中心部2は、空洞である。つまり、中心部2は、中間部3の内周面で囲まれた中空の領域である。中心部2には空気が存在している。
【0021】
中間部3の密度は、中心部2の密度よりも大きい。また、中間部3の密度は、外層部4の密度よりも大きい。本実施の形態における一の硬式野球用ボールでは、中間部3は、アルミニウムにより構成されている。具体的には、中間部3を構成するアルミニウムは、例えば、5052材である。なお、中間部3を構成するアルミニウムは、アルミニウムを含むアルミニウム合金であってもよく、また純アルミニウムであってもよい。中間部3の外径は、例えば、70.7mmである。中間部3の内径は、例えば、64.5mmである。中間部3の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、6.2mmである。中間部3の質量は、例えば、118g以上122g以下である。中間部3は、2つの半球状の部材が互いに組み合わされて構成されている。中間部3の外周面に外層部4が当接している。
【0022】
外層部4の密度は、中心部2の密度よりも大きい。また、外層部4の密度は、中間部3の密度よりも小さい。本実施の形態における一の硬式野球用ボール1では、外層部4は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。外層部4の外径は、例えば、72.9mm以上73.5mm以下である。外層部4の内径は、例えば、70.7mmである。外層部4の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、2.2mm以上2.8mm以下である。外層部4の質量は、例えば、11.0gである。
【0023】
本実施の形態における一の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントよりも大きい。したがって、本実施の形態における一の硬式野球用ボール1は通常の硬式野球用ボールよりも回転し難い。本実施の形態における一の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。
【0024】
なお、中心部2は空洞でなくてもよく、中心部2の材料は、例えばコルクであってもよい。中間部3の材料はアルミニウムとは異なる金属であってもよい。この金属は、例えば、マグネシウム合金、チタン合金であってもよい。また、中間部3の材料は樹脂またはエラストマーであってもよい。この樹脂は、例えば、ポリ乳酸、ポリウレタン、ナイロンであってもよい。
【0025】
また、外層部4の材料は牛革とは異なる材料であってもよい。外層部4の材料は、人工皮革であってもよい。この人工皮革は、例えば、ポリウレタンであってもよい。
【0026】
続いて、
図2を参照して、本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の構成について詳しく説明する。
【0027】
本実施の形態における他の硬式野球用ボールにおいては、中心部2の密度は、中間部3の密度よりも大きい。また、中心部2の密度は、外層部4の密度よりも大きい。本実施の形態における他の硬式野球用ボール1では、中心部2は、鋼球である。具体的には、鋼球の材料は、例えば、高炭素クロム軸受鋼鋼材である。中心部2の直径は、例えば、27.0mm以上28.6mm以下である。中心部2の質量は、例えば、80.0g以上95.1g以下である。中心部2の外周面に中間部3が当接している。
【0028】
中間部3の密度は、中心部2の密度よりも小さい。また、中間部3の密度は、外層部4の密度よりも小さい。本実施の形態における他の硬式野球用ボールでは、中間部3は、アイオノマーにより構成されている。中間部3は、発泡体である。具体的には、中間部3の材料は、例えば、エチレン系アイオノマーである。中間部3の外径は、例えば、70.0mm以上70.1mm以下である。中間部3の内径は、例えば、28.0mm以上30.0mm以下である。中間部3の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、40.0mm以上42.1mm以下である。中間部3の質量は、例えば、31.0g以上40.3g以下である。中間部3の外周面に外層部4が当接している。
【0029】
外層部4の密度は、中心部2の密度よりも小さい。また、外層部4の密度は、中間部3の密度よりも大きい。本実施の形態における他の硬式野球用ボール1では、外層部4は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。外層部4の外径は、例えば、72.9mm以上73.5mm以下である。外層部4の内径は、例えば、70.0mm以上70.1mm以下である。外層部4の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、2.9mm以上3.4mm以下である。外層部4の質量は、例えば、15.0gである。
【0030】
本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントよりも小さい。したがって、本実施の形態における他の硬式野球用ボール1は通常の硬式野球用ボールよりも回転し易い。本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下である。
【0031】
なお、中心部2の材料は鋼とは異なる金属であってもよい。この金属は、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、マグネシウム、鉛であってもよい。
【0032】
また、中間部3の材料はアイオノマーとは異なる材料であってもよい。この材料は、例えば、樹脂またはエラストマーであってもよい。具体的には、この材料は、ポリウレタン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーであってもよい。
【0033】
また、外層部4の材料は牛革とは異なる材料であってもよい。外層部4の材料は、人工皮革であってもよい。この人工皮革は、例えば、ポリウレタンであってもよい。
【0034】
続いて、
図3を参照して、本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の変形例の構成について説明する。本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の変形例は、特に言及しない限り、上記の本実施の形態における硬式野球用ボールと同様の構成を有している。
【0035】
本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の変形例では、中心部2は、鉄粉21を内包したカプセル22である。中心部2の質量は、例えば、41.7gである。この中心部2の質量は、鉄粉21およびカプセル22の質量である。中心部2の比重は、3.0である。この中心部2の比重は、鉄粉21およびカプセル22の比重である。カプセル22は、中空の容器である。カプセル22は、球状の外形を有している。カプセル22の材料は、例えば、ポリカーボネートである。カプセル22の直径は、例えば、30.0mmである。カプセル22の質量は、例えば、3.0gである。カプセル22の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、0.9mmである。
【0036】
中間部3の外径は、例えば、70.7mmである。中間部3の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、20.35mmである。中間部3の質量は、例えば、81.8gである。中間部3の比重は、例えば、0.48である。
【0037】
次に、
図4および
図5を参照して、本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメントの範囲を説明する。
【0038】
本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、次の式(1)により算出される。
【0039】
【0040】
上記の式(1)の各記号は次に示す通りである。Itotalは、全体の慣性モーメント(MOI:Moment of Inertia)である。Iothersは、外層部4の慣性モーメントである。ここではIothersは、150g・cm2である。Mは、外層部4を除いた質量である。ここではMは、120gである。xoutは、中間部3の比重である。この比重は水の密度との比である。xinは、中心部2の比重である。この比重は水の密度との比である。yinは、中心部2の半径(cm)である。youtは、中間部3の半径である。より詳細には、youtは、中間部3の外径の半径である。ここでは、youtは、3.535cmである。
【0041】
本実施の形態における硬式野球用ボール1では、中間部3の比重は、0.6以上3.0以下であり、慣性モーメントが755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。
【0042】
また、本実施の形態における硬式野球用ボール1では、中間部3の比重は、0.17以上0.5以下であり、慣性モーメントが433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下である。
【0043】
本実施の形態における硬式野球用ボール1の中間部3の比重xoutは、次の式(2)により算出される。
【0044】
【0045】
上記の式(2)の各記号は上記の式(1)と同様である。
図4は、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントよりも本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメント(MOI)が大きい場合を示している。
図5は、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントよりも本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメント(MOI)が小さい場合を示している。
図4および
図5は、中心部2の比重x
inと、中心部2の半径(cm)y
inと、全体の慣性モーメントI
totalとの関係を示している。
図4および
図5では、グラフはI
totalの数値に基づいて段階的に区分けされている。
図4では、I
totalは破線で示されており、x
outはグラフの範囲外のため、図示されていない。
図5では、I
totalは破線で示されており、x
outは一点鎖線で示されている。
【0046】
図4に示されるように、本実施の形態における硬式野球用ボール1の全体の慣性モーメントI
totalが大きい場合、点A~Dはいずれも慣性モーメントが755.0g・cm
2以上1055.0g・cm
2以下である。点Aは、中心部2が空洞であり、中間部3がアルミニウムの場合の例を示している。この空洞のx
inは0.0であり、このアルミニウムのx
inは2.7である。点Bは、中心部2が空洞であり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。この空洞のx
inは0.0であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.67である。点Cは、中心部2がコルクであり、中間部3がマグネシウムの場合の例を示している。このコルクのx
inは0.18であり、このマグネシウムのx
inは1.7である。点Dは、中心部2がコルクであり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。このコルクのx
inは0.18であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.66である。
【0047】
図5に示されるように、本実施の形態における硬式野球用ボール1の全体の慣性モーメントI
totalが小さい場合、点E~Iはいずれも慣性モーメントが433.3g・cm
2以上630.0g・cm
2以下である。点Eは、中心部2がマグネシウムであり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。このマグネシウムのx
inは1.7であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.17である。点Fは、中心部2がマグネシウムであり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。このマグネシウムのx
inは1.7であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.46である。点Gは、中心部2が鉛であり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。この鉛のx
inは11.35であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.35である。点Hは、中心部2が鉛であり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。この鉛のx
inは11.35であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.50である。点Iは、中心部2が鉄粉であり、中間部3が樹脂またはエラストマーの場合の例を示している。この鉄粉およびカプセルを考慮した比重のx
inは3.0であり、この樹脂またはエラストマーのx
inは0.48である。
【0048】
次に、本実施の形態における硬式野球用ボール1の作用効果について説明する。
本実施の形態における硬式野球用ボール1によれば、硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下または755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。このため、本実施の形態における硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントの平均値としてとり得る690.0kg・m2とは十分に異なっている。なお、通常の硬式野球用ボールの慣性モーメントは690.0kg・m2から±60kg・m2未満の範囲に収まる。つまり、通常の硬式野球用ボールでは慣性モーメントが630.0kg・m2を超えて750.0kg・m2未満となるものはない。また、慣性モーメントが平均値から60kg・m2程度離れれば、回転のかけ易さまたはかけ難さが変わってくる。そして、本実施の形態における硬式野球用ボール1では、慣性モーメントが433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下であることにより通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかりやすい。これにより、本実施の形態における硬式野球用ボール1を投げることにより、通常の硬式野球用ボールを投げるときに回転数を下げる感覚を身につけることができる。また、本実施の形態の硬式野球用ボール1では、慣性モーメントが755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下であることにより通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかりにくい。これにより、本実施の形態における硬式野球用ボール1を投げることにより、通常の硬式野球用ボールを投げるときに回転数を上げる感覚を身につけることができる。したがって、硬式野球用ボール1の回転数の制御を習得することが容易となる。
【0049】
本実施の形態における一の硬式野球用ボール1においては、中間部3の比重は、0.6以上3.0以下であり、慣性モーメントが755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下である。このため、本実施の形態における一の硬式野球用ボール1では、通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかり難くすることができる。
【0050】
本実施の形態における他の硬式野球用ボール1においては、中間部3の比重は、0.17以上0.5以下であり、慣性モーメントが433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下である。このため、本実施の形態における他の硬式野球用ボール1では、通常の硬式野球用ボールよりも回転がかかり易くすることができる。
【0051】
本実施の形態における一の硬式野球用ボール1においては、中心部2は、空洞である。中間部3は、アルミニウムにより構成されている。外層部4は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下にすることができる。
【0052】
本実施の形態における他の硬式野球用ボール1においては、中心部2は、鋼球または鉄粉21を内包したカプセル22である。中間部3は、アイオノマーにより構成されている。外層部4は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下にすることができる。
【0053】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における硬式野球用ボール1は、特に言及しない限り、上記の本発明の実施の形態1における硬式野球用ボール1と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
図6を参照して、本実施の形態における一の硬式野球用ボール1の構成について詳しく説明する。本実施の形態における一の硬式野球用ボール1では、中心部2は、空気を内包したカプセル23である。カプセル23は、中空の容器である。カプセル23は、球状の外形を有している。カプセル23の材料は、例えば、ポリカーボネートである。カプセル23の直径は、例えば、30.0mmである。カプセル23の質量は、例えば、3.0gである。
【0055】
中間部3は、第1層31と、第2層32とを含んでいる。第1層31は、中心部2を覆っている。中心部2のカプセル23の外周面に第1層31が当接している。第2層32は、第1層31を覆っている。第1層31の外周面に第2層32が当接している。第1層31は、糸、コルクまたはアイオノマーにより構成されている。第2層32は、アルミニウムにより構成されている。第2層32は、アルミニウム箔が積層されることにより構成されていてもよい。
【0056】
第1層31の内径は、例えば、30.0mmである。第1層31が糸である場合、第1層31の外径は、例えば、69.8mm以下であり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、19.9mmであり、第1層31の質量は、98.4g以下であり、第1層31の比重は、例えば、0.6である。第2層32がアルミニウム箔である場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、0.45mmであり、第2層32の質量は、例えば、18.8gであり、第2層32の比重は、例えば、2.7である。
【0057】
第1層31がコルクである場合、第1層31の外径は、例えば、66.0mmであり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、18.0mmであり、第1層31の質量は、例えば、24.6gであり、第1層31の比重は、例えば、0.18である。第2層32がアルミニウム箔である場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、2.35mmであり、第2層32の質量は、例えば、93.2gであり、第2層32の質量は、例えば、2.7である。
【0058】
第1層31がアイオノマーである場合、第1層31の外径は、例えば、66.0mmであり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、18.0mmであり、第1層31の質量は、24.6gであり、第1層31の比重は、例えば、0.18である。第2層32がアルミニウム箔である場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、2.35mmであり、第2層32の質量は、例えば、93.2gであり、第2層32の質量は、例えば、2.7である。
【0059】
続いて、
図7を参照して、本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の構成について詳しく説明する。
【0060】
本実施の形態における他の硬式野球用ボール1では、中間部3は、第1層31と、第2層32とを含んでいる。第1層31は、中心部2を覆っている。第2層32は、第1層31を覆っている。第1層31の外周面に第2層32が当接している。第1層31は、糸またはコルクにより構成されている。第2層32は、アイオノマーにより構成されている。
【0061】
第1層31の内径は、例えば、30.0mmである。第1層31が糸である場合、第1層31の外径は、例えば、50.0mmであり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、10.0mmであり、第1層31の質量は、例えば、30.8gであり、第1層31の比重は、例えば0.6である。第2層32がアイオノマーである場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、10.35mm以下であり、第2層32の質量は、例えば、51.0gであり、比重は、例えば、0.43である。
【0062】
第1層31がコルクである場合、第1層31の外径は、例えば、61.0mmであり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、17.0mmであり、第1層31の質量は、例えば、20.0gであり、第1層31の比重は、例えば0.18である。第2層32がアイオノマーである場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、4.85mm以下であり、第2層32の質量は、例えば、20.0gであり、比重は、例えば、0.30である。
【0063】
続いて、
図8を参照して、本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の変形例の構成について説明する。本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の変形例は、特に言及しない限り、上記の本実施の形態における硬式野球用ボールと同様の構成を有している。
【0064】
本実施の形態における他の硬式野球用ボール1の変形例では、中心部2は、鉄粉21を内包したカプセル22である。中心部2の質量は、例えば、41.7gである。この中心部2の質量は、鉄粉21およびカプセル22の質量である。中心部2の比重は、3.0である。この中心部2の比重は、鉄粉21およびカプセル22の比重である。カプセル22は、中空の容器である。カプセル22は、球状の外形を有している。カプセル22の材料は、例えば、ポリカーボネートである。カプセル22の直径は、例えば、30.0mmである。カプセル22の質量は、例えば、3.0gである。カプセル22の硬式野球用ボール1の半径方向における厚みは、例えば、0.9mmである。
【0065】
中間部3は、第1層31と、第2層32とを含んでいる。第1層31は、中心部2を覆っている。第2層32は、第1層31を覆っている。第1層31の外周面に第2層32が当接している。第1層31は、糸またはコルクにより構成されている。第2層32は、アイオノマーにより構成されている。
【0066】
第1層31の内径は、例えば、30.0mmである。第1層31が糸である場合、第1層31の外径は、例えば、50.0mmであり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、10.0mmであり、第1層31の質量は、例えば、30.8gであり、第1層31の比重は、例えば0.6である。第2層32がアイオノマーである場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、10.35mm以下であり、第2層32の質量は、例えば、51.0gであり、比重は、例えば、0.43である。
【0067】
第1層31がコルクである場合、第1層31の外径は、例えば、42.0mmであり、第1層31の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、例えば、6.0mmであり、第1層31の質量は、例えば、5.8gであり、第1層31の比重は、例えば0.18である。第2層32がアイオノマーである場合、第2層32の外径は、例えば、70.7mmであり、第2層32の硬式野球用ボール1の半径方向の厚みは、14.35mm以下であり、第2層32の質量は、例えば、73.0gであり、比重は、例えば、0.50である。
【0068】
次に、本実施の形態における硬式野球用ボール1の作用効果について説明する。
本実施の形態における一の硬式野球用ボール1においては、中心部2は、空気を内包したカプセル23である。中間部3は、中心部2を覆う第1層31と、第1層31を覆う第2層32とを含んでいる。第1層31は、糸、コルクまたはアイオノマーにより構成されている。第2層32は、アルミニウムにより構成されている。外層部4は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを755.0g・cm2以上1055.0g・cm2以下にすることができる。
【0069】
本実施の形態における他の硬式野球用ボールにおいては、中心部2は、鋼球または鉄粉21を内包したカプセル22である。中間部3は、中心部2を覆う第1層31と、第1層31を覆う第2層32とを含んでいる。第1層31は、糸またはコルクにより構成されている。第2層32は、アイオノマーにより構成されている。外層部4は、牛革および牛革を縫合する縫糸により構成されている。これにより、慣性モーメントを433.3g・cm2以上630.0g・cm2以下にすることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、上記と同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0071】
(衝撃力の検証)
図9を参照して、比較例として通常の硬式野球用ボール1を準備した。比較例の通常の硬式野球用ボール1では、球状のコルク11の周囲がゴム材12で覆われている。このゴム材12の上に毛糸13が球状に巻かれている。この毛糸13の上に綿糸14が巻かれている。この綿糸14の上にポリエステル糸15が巻かれている。このポリエステル糸15の上に牛革16が被されている。この牛革16は縫糸で縫合されている。
【0072】
図1を参照して、上記の本実施の形態1における一の硬式野球用ボール1と同様の構成を備えた実施例1の硬式野球用ボール1を準備した。そして、比較例の硬式野球用ボール1の捕球時の衝撃力(MPa)よりも実施例1の硬式野球用ボール1の捕球時の衝撃力(MPa)が大きくなるかを検証した。
【0073】
具体的には、比較例の硬式野球用ボール1および実施例1の硬式野球用ボール1の質量および直径はそれぞれ同様とした。具体的には、質量は142.8gであり、直径は73.5mmである。また、比較例の硬式野球用ボール1および実施例1の硬式野球用ボール1の球速はそれぞれ同様とした。球速は投球動画からリリース・キャッチ時刻をピックアップし、距離を時間で除して推定した。具体的には、球速は85.7km/hである。投球間隔は18.44mとした。
【0074】
キャッチャーミットに感圧紙を貼り、ピッチャーが投げたボールをキャッチャーがキャッチャーミットでキャッチしたときの衝撃力(MPa)を測定した。被験者は、ピッチャーおよびキャッチャーともに野球経験者である。
【0075】
図10を参照して、実施例1の硬式野球用ボール1の衝撃力は、比較例の硬式野球用ボール1の衝撃力よりも小さくなった。具体的には、実施例1の硬式野球用ボール1の衝撃力は82.6MPaとなった。また、比較例の硬式野球用ボール1の衝撃力は84.0MPaとなった。したがって、比較例の硬式野球用ボール1の捕球時の衝撃よりも実施例1の硬式野球用ボール1の捕球時の衝撃力が大きくならないことがわかった。実施例1の硬式野球用ボール1では中間部3がアルミニウムにより構成されているが、通常の硬式野球用ボール1よりも衝撃力が大きくならないことから、実施例1の硬式野球用ボール1では安全性が確保されることが確認された。
【0076】
(ボール回転速度の検証)
図9を参照して、比較例として通常の硬式野球用ボール1を準備した。比較例の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、701.7g・cm
2である。
図1を参照して、上記の本実施の形態1における一の硬式野球用ボール1と同様の構成を備えた実施例1の硬式野球用ボール1を準備した。実施例1の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、1055.0g・cm
2以下である。
図2を参照して、上記の本実施の形態1における他の硬式野球用ボール1と同様の構成を備えた実施例2の硬式野球用ボール1を準備した。実施例2の硬式野球用ボール1の慣性モーメントは、433.3g・cm
2以下である。そして、比較例の硬式野球用ボール1、実施例1の硬式野球用ボール1および実施例2に硬式野球用ボール1の各々の回転速度(rps:revolutions per second)を検証した。
【0077】
被験者A、B、Cの各人が比較例、実施例1および実施例2の硬式野球用ボール1の各々を投げたときのボールの回転速度(ボール回転速度)を測定した。ボール回転速度をモーションキャプチャで測定した。ボール回転速度はストレートボールのバックスピンの回転速度である。具体的には、ボール回転速度は次の条件で測定した。測定機器はモーションキャプチャである。測定距離は18.44mである。つまり、測定距離は、マウンドのピッチャープレートからホームベースまでの距離である。測定回数は、5球ずつである。つまり、各被験者とも比較例、実施例1および実施例2の硬式野球用ボール1を5球ずつ投げた。ボール回転速度はこの5球の平均値である。ボール速度は硬式野球用ボール1の初速である。被験者の各人は大学の野球部のピッチャーである。
【0078】
図11を参照して、被験者A、B、Cのいずれも比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度よりも実施例1の硬式野球用ボール1のボール回転速度が小さくなった。具体的には、被験者Aでは、比較例、実施例1、実施例2のボール回転速度は、30.4rps、17.6rps、36.5rpsとなった。具体的には、被験者Bでは、比較例、実施例1、実施例2のボール回転速度は、28.8rps、18.6rps、34.2rpsとなった。具体的には、被験者Cでは、比較例、実施例1、実施例2のボール回転速度は、27.0rps、18.4rps、30.9rpsとなった。これにより、比較例の硬式野球用ボール1の回転数よりも実施例1の硬式野球用ボール1のボール回転数が小さくなることがわかった。具体的には、実施例1の硬式野球用ボール1のボール回転速度は、被験者Aでは比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度の約58%となった。被験者Bでは比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度の約65%となった。被験者Cでは比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度の約68%となった。
【0079】
また、被験者A、B、Cのいずれも比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度よりも実施例2の硬式野球用ボール1のボール回転速度が大きくなった。これにより、比較例の硬式野球用ボールの回転数よりも実施例2の硬式野球用ボールのボール回転数が大きくなることがわかった。具体的には、実施例2の硬式野球用ボール1のボール回転速度は、被験者Aでは比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度よりも約20%増大した。被験者Bでは比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度よりも約19%増大した。被験者Cでは比較例の硬式野球用ボール1のボール回転速度よりも約14%増大した。
【0080】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 硬式野球用ボール、2 中心部、3 中間部、4 外層部。