(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】検体測定システム及び検体測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/49 20060101AFI20230427BHJP
G01N 15/14 20060101ALI20230427BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20230427BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G01N33/49 H
G01N15/14 C
G01N33/49 A
G01N35/00 E
G01N35/02 G
(21)【出願番号】P 2018180907
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝明
(72)【発明者】
【氏名】平山 英樹
(72)【発明者】
【氏名】立谷 洋大
(72)【発明者】
【氏名】辻 智悠
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-163372(JP,A)
【文献】特表2018-510340(JP,A)
【文献】特開2016-050931(JP,A)
【文献】特開2010-107464(JP,A)
【文献】特開平06-317598(JP,A)
【文献】特開2010-107216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00
G01N 35/02
G01N 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体に含まれる血球を計測する血球計測装置と、
前記血球計測装置の計測結果に基づいて、
前記検体を抗体を含む標識試薬を用いて処理
して前記血球計測装置とは異なるフローサイトメータにより測定するか否かを判定する判定部と、
を備える、検体測定システム。
【請求項2】
前記検体の測定結果が所定の条件に合致する場合、前記判定部が前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定する、請求項1に記載の検体測定システム。
【請求項3】
前記血球計測装置が、前記フローサイトメータとは別個のフローサイトメータを備える、請求項1又は2に記載の検体測定システム。
【請求項4】
前記血球計測装置で計測される検体が抗体を含む標識試薬で処理されない、請求項3に記載の検体測定システム。
【請求項5】
前記血球が、芽球及びリンパ球を含む白血球、赤血球並びに血小板の少なくともいずれかであり、
芽球が存在する場合、リンパ球の数が所定の基準を満たす場合、赤血球の数が所定の基準を満たす場合、及び血小板の数が所定の基準を満たす場合の少なくともいずれかの場合、前記判定部が、前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項6】
前記検体を塗抹した標本の画像を解析する画像解析装置をさらに備え、
前記画像解析装置の解析結果にさらに基づいて、前記判定部が、前記フローサイトメータで前記検体を測定するか否かを判定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項7】
前記血球計測装置が、前記検体を塗抹した標本の画像を解析する画像解析装置を備え、
前記判定部が、前記画像解析装置の解析結果に基づいて、前記フローサイトメータで前記検体を測定するか否かを判定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項8】
前記画像解析装置が、前記標本の画像に白血病細胞が含まれるか解析し、前記標本の画像に白血病細胞が含まれる場合、前記判定部が、前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定する、請求項6又は7に記載の検体測定システム。
【請求項9】
前記検体を塗抹した標本を作製する塗抹標本作製装置をさらに備える、請求項6から8のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項10】
前記検体が異なる時期における同一被験者由来である、請求項1から9のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項11】
前記異なる時期における同一被験者由来の検体に含まれる血球数の変化に基づいて、前記判定部が、前記フローサイトメータで前記検体を測定するか否かを判定する、請求項10に記載の検体測定システム。
【請求項12】
前記血球計測装置の計測結果に基づいて、前記フローサイトメータに対する測定オーダを生成する測定オーダ生成部をさらに備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項13】
前記血球計測装置の計測結果及び前記画像解析装置の解析結果に基づいて、前記フローサイトメータに対する測定オーダを生成する測定オーダ生成部をさらに備える、請求項6に記載の検体測定システム。
【請求項14】
前記測定オーダにおいて、前記検体から前記フローサイトメータで測定される試料を調製するための前記標識試薬が指定される、請求項12又は13に記載の検体測定システム。
【請求項15】
前記フローサイトメータで測定される試料を、少なくとも前記標識試薬及び前記検体から調製する試料調製装置をさらに備え、
前記試料調製装置が、前記測定オーダに基づいて前記試料を調製する、請求項12から14のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項16】
前記判定部が前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定した場合、前記試料調製装置に前記検体を搬送する検体搬送装置をさらに備える、請求項15に記載の検体測定システム。
【請求項17】
前記検体搬送装置が、前記検体を収容した検体容器を搬送する、請求項16に記載の検体測定システム。
【請求項18】
前記検体容器を貯留する貯留部をさらに備える、請求項17に記載の検体測定システム。
【請求項19】
前記貯留部が、前記血球計測装置と前記試料調製装置との間に配置される、請求項18に記載の検体測定システム。
【請求項20】
前記貯留部が、前記試料調製装置が前記検体から前記試料を調製可能になるまで、前記検体容器を貯留する、請求項18又は19に記載の検体測定システム。
【請求項21】
前記検体搬送装置が、複数の前記検体容器を保持可能な検体ラックを用いて、前記検体を搬送する、請求項17から20のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項22】
前記検体の搬送先に応じて、検体ラックに保持されている前記検体容器を別の検体ラックに移し替える検体移し替え装置をさらに備える、請求項17から21のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項23】
前記検体が載置される載置部をさらに備え、
前記検体搬送装置が、前記載置部から前記血球計測装置に前記検体を搬送する、
請求項16から22のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項24】
前記検体搬送装置が、前記試料調製装置に搬送しない検体を前記載置部に戻す、請求項23に記載の検体測定システム。
【請求項25】
前記フローサイトメータに前記試料調製装置が調製した試料を搬送する試料搬送装置をさらに備える、請求項16から24のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項26】
前記試料搬送装置が、前記試料調製装置から前記フローサイトメータに、前記試料を収容した試料容器を搬送する、請求項25に記載の検体測定システム。
【請求項27】
血球計測装置が検体に含まれる血球を計測し、
判定部が、前記血球計測装置の計測結果に基づいて、
前記検体を抗体を含む標識試薬を用いて処理
して前記血球計測装置とは異なるフローサイトメータにより測定するか否かを判定する、
検体測定方法。
【請求項28】
前記判定することにおいて、前記検体の測定結果が所定の条件に合致する場合、前記判定部が前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定する、請求項27に記載の検体測定方法。
【請求項29】
前記計測することにおいて、前記フローサイトメータとは別個のフローサイトメータで前記検体を計測する、請求項27又は28に記載の検体測定方法。
【請求項30】
前記血球計測装置が計測する検体が抗体を含む前記標識試薬で処理されない、請求項29に記載の検体測定方法。
【請求項31】
前記血球が、芽球及びリンパ球を含む白血球、赤血球並びに血小板の少なくともいずれかであり、
芽球が存在する場合、リンパ球の数が所定の基準を満たす場合、赤血球の数が所定の基準を満たす場合、及び血小板の数が所定の基準を満たす場合の少なくともいずれかの場合、前記判定することにおいて、前記判定部が、前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定する、
請求項27から30のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【請求項32】
画像解析装置が前記検体を塗抹した標本の画像を解析し、
前記判定することにおいて、前記判定部が、前記標本の画像の解析結果にさらに基づいて、前記フローサイトメータで前記検体を測定するか否かを判定する、
請求項27から31のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【請求項33】
前記測定することにおいて、前記血球計測装置が備える画像解析装置が前記検体を塗抹した標本の画像を解析し、
前記判定することにおいて、前記判定部が、前記画像解析装置の解析結果に基づいて、前記フローサイトメータで前記検体を測定するか否かを判定する、
請求項27から31のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【請求項34】
前記標本の画像を解析することにおいて、前記標本の画像に白血病細胞が含まれるか解析し、前記標本の画像に白血病細胞が含まれる場合、前記判定することにおいて、前記判定部が、前記フローサイトメータで前記検体を測定すると判定する、請求項32又は33に記載の検体測定方法。
【請求項35】
塗抹標本作製装置が前記検体を塗抹した標本を作製する、請求項32から34のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【請求項36】
前記判定することにおいて、前記判定部が、異なる時期における同一被験者由来の血液検体に含まれる血球数の変化に基づいて、前記フローサイトメータで前記検体を測定するか否かを判定する、請求項27から35のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【請求項37】
測定オーダ生成部が、前記血球計測装置の計測結果に基づいて、前記フローサイトメータに対する測定オーダを生成する、請求項27から36のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【請求項38】
測定オーダ生成部が、前記血球計測装置の計測結果及び前記標本の画像の解析結果に基づいて、前記フローサイトメータに対する測定オーダを生成する、請求項32に記載の検体測定方法。
【請求項39】
前記測定オーダにおいて、前記検体から前記フローサイトメータで測定される試料を調製するための前記標識試薬が指定される、請求項37又は38に記載の検体測定方法。
【請求項40】
試料調製装置が、前記測定オーダに基づいて前記フローサイトメータで測定される試料を調製する、請求項37から39のいずれか1項に記載の検体測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査技術に関し、検体測定システム及び検体測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や検査センター等の医療現場では、多数の検体が検査されている。それぞれの検体は、複数の測定装置を用いて測定される。例えば、測定装置で検体を測定して疾患の可能性があると医療従事者が判断すると、より精度の高い別の測定装置を用いて、個々の疾患で現れる特徴を検体が有しているか、より詳細な検査がなされる。
【0003】
例えば、血液測定装置で血液検体を測定し、血液測定装置の測定結果に基づいて、血液検体から塗抹標本を作製し、塗抹標本の画像を解析することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)感染について検査する場合には、抗HTLV抗体及び標識抗体と反応した血液検体を分光装置で測定し、さらに血液検体をフローサイトメータで測定することがある。
【0004】
検体を、例えば抗体試薬等の標識試薬で前処理して試料を調製し、試料をフローサイトメータで分析すると、疾患の可能性をより詳細に検査することが可能である。特許文献2に記載されたフローサイトメータの前処理装置は、前処理対象の検体を含む容器に貼り付けられた、検体IDを記録しているバーコードを読取装置で読み取り、外部の管理コンピュータにアクセスする。前処理装置は、管理コンピュータから検体に対するフローサイトメータの測定項目情報を取得し、測定項目情報に基づいて、検体と標識試薬とを混合し、試料を調製する。また、前処理装置は、必要に応じて、試料を遠心分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-214835号公報
【文献】特開2017-198625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一次的な測定装置で測定された検体のうち、標識試薬で前処理されてフローサイトメータでさらに詳細に測定される検体は、全体のうち一部である。多数の検体が存在する中で、より詳細な測定が必要とされた検体を医療従事者が管理し、特定することは煩雑であり、困難である。また、より詳細な測定が必要とされた検体を抽出する際に、誤った検体を抽出したり、抽出した検体を誤った測定装置に搬送したりする危険性がある。そこで、本発明は、一次的な測定装置で測定された検体のうち、さらにフローサイトメータでより詳細に測定する必要がある検体を特定可能な検体測定システム及び検体測定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、検体を測定する検体測定装置10と、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータにより、検体を測定するか否かを判定する判定部301と、を備える、検体測定システムが提供される。判定部301は、コンピュータ等に含まれる。
【0008】
上記の検体測定システムによれば、検体測定装置10で測定された検体のうち、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある検体を特定することが可能である。
【0009】
上記の検体測定システムにおいて、検体の測定結果が所定の条件に合致する場合、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定すると判定してもよい。所定の条件は、例えば、疾患可能性の基準等に基づいて予め設定されてもよい。
【0010】
上記の検体測定システムによれば、検体を提供した被験者が疾患の可能性がある検体を、フローサイトメータで測定する必要がある検体として特定することが可能である。
【0011】
上記の検体測定システムにおいて、検体測定装置10が、上記のフローサイトメータとは別個のフローサイトメータを備えていてもよい。
【0012】
上記の検体測定システムによれば、複数のフローサイトメータで、検体を段階的に測定することが可能である。
【0013】
上記の検体測定システムにおいて、検体測定装置10で測定される検体が抗体を含む標識試薬で処理されなくともよい。
【0014】
上記の検体測定システムによれば、高価な標識試薬の使用を抑制することが可能である。
【0015】
上記の検体測定システムにおいて、検体が血液検体であり、検体測定装置10が、血液検体に含まれる血球を計測する血球計測装置を備え、判定部301が、血球計測装置の計測結果に基づいて、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。血球が、芽球及びリンパ球などを含む白血球、赤血球並びに血小板の少なくともいずれかであってもよい。芽球が存在する場合、リンパ球の数が所定の基準を満たす場合、赤血球の数が所定の基準を満たす場合、及び血小板の数が所定の基準を満たす場合の少なくともいずれかの場合、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定すると判定してもよい。
【0016】
上記の検体測定システムによれば、血液検体に含まれる血球の状態に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある血液検体を特定することが可能である。
【0017】
上記の検体測定システムが、検体測定装置10に加えて血液検体を塗抹した標本の画像を解析する画像解析装置330をさらに備え、画像解析装置330の解析結果にさらに基づいて、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。あるいは、上記の検体測定システムにおいて、検体が血液検体であり、検体測定装置10が、血液検体を塗抹した標本の画像を解析する画像解析装置を備え、判定部301が、画像解析装置の解析結果に基づいて、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。画像解析装置330が、標本の画像に白血病細胞が含まれるか解析し、標本の画像に白血病細胞が含まれる場合、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定すると判定してもよい。上記の検体測定システムが、血液検体を塗抹した標本を作製する塗抹標本作製装置61をさらに備えていてもよい。
【0018】
上記の検体測定システムによれば、血液検体の塗抹標本に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある血液検体を特定することが可能である。
【0019】
上記の検体測定システムにおいて、血液検体が異なる時期における同一被験者由来であってもよい。異なる時期における同一被験者由来の血液検体に含まれる血球数の変化に基づいて、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。
【0020】
上記の検体測定システムによれば、同一被験者由来の血液検体の塗抹標本に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある血液検体を特定することが可能である。
【0021】
上記の検体測定システムが、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータに対する測定オーダを生成する測定オーダ生成部302をさらに備えていてもよい。あるいは、上記の検体測定システムが、検体測定装置10の測定結果及び画像解析装置330の解析結果に基づいて、フローサイトメータに対する測定オーダを生成する測定オーダ生成部302をさらに備えていてもよい。
【0022】
上記の検体測定システムによれば、フローサイトメータに対する測定オーダを、検体測定装置10の測定結果あるいは検体測定装置10の測定結果及び画像解析装置330の解析結果に基づいて、自動的に生成することが可能である。
【0023】
上記の検体測定システムにおいて、測定オーダにおいて、検体から試料を調製するための標識試薬が指定されてもよい。上記の検体測定システムがフローサイトメータで測定される試料を、少なくとも標識試薬及び検体から調製する試料調製装置30をさらに備え、試料調製装置30が、測定オーダに基づいて試料を調製してもよい。
【0024】
上記の検体測定システムによれば、検体から試料を調製するための標識試薬を自動的に指定し、試料調製装置30が、試料を自動的に調製することが可能である。
【0025】
上記の検体測定システムが、判定部301がフローサイトメータで検体を測定すると判定した場合、試料調製装置30に検体を搬送する検体搬送装置40をさらに備えていてもよい。上記の検体測定システムにおいて、検体搬送装置40が、検体を収容した検体容器を搬送してもよい。
【0026】
上記の検体測定システムによれば、判定部301がフローサイトメータで測定すると判定した検体を、試料調製装置30に自動的に搬送することが可能である。
【0027】
上記の検体測定システムが、検体容器を貯留する貯留部70をさらに備えていてもよい。貯留部70が、検体測定装置10と試料調製装置30との間に配置されてもよい。貯留部70が、試料調製装置30が検体から試料を調製可能になるまで、検体容器を貯留してもよい。
【0028】
上記の検体測定システムによれば、試料調製装置30が検体から試料を調製可能になるまで、検体を容器内に収容したまま待機することが可能である。
【0029】
上記の検体測定システムにおいて、検体搬送装置40が、複数の検体容器を保持可能な検体ラックを用いて、検体を搬送してもよい。
【0030】
上記の検体測定システムによれば、検体測定装置10で測定された検体のうち、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある複数の検体を、検体搬送装置40が、試料調製装置30に自動的に搬送することが可能である。
【0031】
上記の検体測定システムが、検体の搬送先に応じて、検体ラックに保持されている検体容器を別の検体ラックに移し替える検体移し替え装置80をさらに備えていてもよい。
【0032】
上記の検体測定システムによれば、検体の搬送先に応じて検体ラックに保持されている検体容器を別の検体ラックに移し替えることが可能である。
【0033】
上記の検体測定システムが、検体が載置される載置部50をさらに備え、検体搬送装置40が、載置部50から検体測定装置10に検体を搬送してもよい。検体搬送装置40が、試料調製装置30に搬送しない検体を載置部50に戻してもよい。
【0034】
上記の検体測定システムによれば、試料調製装置30に搬送する必要のない検体の滞留を防ぐことが可能である。
【0035】
上記の検体測定システムが、試料測定装置に試料調製装置が調製した試料を搬送する試料搬送装置をさらに備えていてもよい。試料搬送装置が、試料調製装置30からフローサイトメータに、試料を収容した試料容器を搬送してもよい。
【0036】
上記の検体測定システムによれば、検体測定装置10で測定された検体のうち、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある検体を、試料搬送装置が、フローサイトメータに自動的に搬送することが可能である。
【0037】
また、本発明の態様によれば、検体測定装置10が検体を測定し、判定部301が、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータにより、検体を測定するか否かを判定する、検体測定方法が提供される。
【0038】
上記の検体測定方法によれば、検体測定装置10で測定された検体のうち、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータ測定する必要がある検体を特定することが可能である。
【0039】
上記の検体測定方法において、判定することにおいて、検体の測定結果が所定の条件に合致する場合、判定部301がフローサイトメータで検体を測定すると判定してもよい。所定の条件は、例えば、疾患可能性の基準等に基づいて予め設定されてもよい。
【0040】
上記の検体測定方法によれば、検体を提供した被験者が疾患の可能性がある検体を、フローサイトメータで測定する必要がある検体として特定することが可能である。
【0041】
上記の検体測定方法において、測定することにおいて、フローサイトメータとは別個のフローサイトメータで検体を測定してもよい。
【0042】
上記の検体測定方法によれば、複数のフローサイトメータで、検体を段階的に測定することが可能である。
【0043】
上記の検体測定方法において、検体測定装置10が測定する検体が抗体を含む標識試薬で処理されなくともよい。
【0044】
上記の検体測定方法によれば、高価な標識試薬の使用を抑制することが可能である。
【0045】
上記の検体測定方法において、検体が血液検体であり、測定することにおいて、検体測定装置10が備える血球計測装置が血液検体に含まれる血球を計測し、判定することにおいて、判定部301が、血球計測装置の計測結果に基づいて、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。血球が、芽球及びリンパ球などを含む白血球、赤血球、並びに血小板の少なくともいずれかであり、芽球が存在する場合、リンパ球の数が所定の基準を満たす場合、赤血球の数が所定の基準を満たす場合、及び血小板の数が所定の基準を満たす場合の少なくともいずれかの場合、判定することにおいて、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定すると判定してもよい。
【0046】
上記の検体測定方法によれば、血液検体に含まれる血球の状態に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある血液検体を特定することが可能である。
【0047】
上記の検体測定方法が、検体測定装置10が備える血球計測装置が血液検体に含まれる血球を計測することに加えて、画像解析装置330が血液検体を塗抹した標本の画像を解析し、判定することにおいて、判定部301が、標本の画像の解析結果にさらに基づいて、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。あるいは、上記の検体測定方法において、検体が血液検体であり、測定することにおいて、検体測定装置10が備える画像解析装置が血液検体を塗抹した標本の画像を解析し、判定することにおいて、判定部301が、画像解析装置の解析結果に基づいて、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。標本の画像を解析することにおいて、標本の画像に白血病細胞が含まれるか解析し、標本の画像に白血病細胞が含まれる場合、判定することにおいて、判定部301が、フローサイトメータで検体を測定すると判定してもよい。上記の検体測定方法において、塗抹標本作製装置61が血液検体を塗抹した標本を作製してもよい。
【0048】
上記の検体測定方法によれば、血液検体の塗抹標本に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある血液検体を特定することが可能である。
【0049】
上記の検体測定方法において、判定部301が、異なる時期における同一被験者由来の血液検体に含まれる血球数の変化に基づいて、フローサイトメータで検体を測定するか否かを判定してもよい。
【0050】
上記の検体測定方法によれば、同一被験者由来の血液検体の塗抹標本に基づいて、フローサイトメータで測定する必要がある血液検体を特定することが可能である。
【0051】
上記の検体測定方法において、測定オーダ生成部302が、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータに対する測定オーダを生成してもよい。あるいは、上記の検体測定方法において、測定オーダ生成部302が、検体測定装置10の測定結果及び標本の画像の解析結果に基づいて、フローサイトメータに対する測定オーダを生成してもよい。
【0052】
上記の検体測定方法によれば、検体から調製される試料の測定オーダを、検体測定装置10の測定結果あるいは検体測定装置10の測定結果及び画像解析装置330の解析結果に基づいて自動的に生成することが可能である。
【0053】
上記の検体測定方法において、測定オーダにおいて、検体からフローサイトメータで測定される試料を調製するための標識試薬が指定されてもよい。調製することにおいて、試料調製装置30が、測定オーダに基づいてフローサイトメータで測定される試料を調製してもよい。
【0054】
上記の検体測定方法によれば、検体からフローサイトメータで測定される試料を調製するための標識試薬を指定し、試料調製装置30が、試料を調製することが可能である。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、一次的な検査装置で検査された検体のうち、さらにフローサイトメータで検査する必要がある検体を特定可能な検体測定システム及び検体測定方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】実施形態に係る検体測定システムの模式的上面図である。
【
図2】実施形態に係る検体容器と検体ラックを示す模式図である。
【
図3】実施形態に係る検体測定装置が備えるフローサイトメータの模式図である。
【
図4】実施形態に係る検体測定システムのホストコンピュータのブロック図である。
【
図5】実施形態に係る測定オーダの測定項目の変更を受け付ける際に表示される出力の模式図である。
【
図6】実施形態に係る検体測定方法を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る検体測定方法を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る検体測定方法を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る検体測定方法を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る検体測定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0058】
以下に示す実施形態は、造血器腫瘍検査に本発明を適用した例である。実施形態に係る検体測定システムは、
図1に示すように、検体を測定する検体測定装置10と、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータにより、検体を測定するか否かを判定する判定部を備えるホストコンピュータ300と、を備える。実施形態に係る検体測定システムは、複数の検体測定装置10を備えていてもよい。
図1において、フローサイトメータは、試料測定装置20に含まれる。
【0059】
検体は、末梢血等の血液検体である。検体は骨髄液やリンパ節浮遊液、胸水・腹水などを含む体液であってもよい。以下、検体が血液検体である例を説明する。
図2(a)に示すように、検体は、試験官等の検体容器Tに収容される。検体容器の開口は、ゴム等からなる栓CPで封がされる。
図2(b)に示すように、1又は複数の検体容器Tを検体ラックLで保持してもよい。検体容器T及び検体ラックCPのそれぞれには、バーコード等の識別子BL1、BL2が設けられている。
【0060】
実施形態に係る検体測定システムは、
図1に示すように、複数の検体容器を保持する検体ラックが載置される載置部50を備える。載置部50は、識別子を読み取る読み取り装置を備える。載置部50が備える読み取り装置は、検体容器の識別子及び検体ラックの識別子を読み取り、搬送コントローラ305に送る。
【0061】
搬送コントローラ305は、受信した識別子が複数の検体測定装置10のいずれかで検査すべき検体に対応しているか、通信ネットワークを介してホストコンピュータ300に問い合わせる。受信した識別子が複数の検体測定装置10のいずれかで検査すべき検体に対応している場合、搬送コントローラ305は、載置部50を制御し、載置部50が検体容器を収容している検体ラックを検体搬送装置40に送り出す。また、搬送コントローラ305は、検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、載置部50から搬送コントローラ305で指定された検体測定装置10に、検体容器を保持する検体ラックを搬送する。検体搬送装置40は、コンベアを備える。
【0062】
複数の検体測定装置10のそれぞれは、識別子を読み取る読み取り装置を備える。複数の検体測定装置10のそれぞれが備える読み取り装置は、検体容器の識別子及び検体ラックの識別子を読み取り、情報処理ユニット310に送る。情報処理ユニット310は、識別子に対して予め用意されている測定オーダを、通信ネットワークを介してホストコンピュータ300に問い合わせる。情報処理ユニット310は、ホストコンピュータ300から受信した測定オーダを複数の検体測定装置10のそれぞれに送る。ただし、医療従事者が、複数の検体測定装置10のそれぞれに検体を運んでもよい。
【0063】
複数の検体測定装置10のそれぞれは、例えば、検体容器の栓に吸引管を突き刺し、検体容器内から必要量の検体を吸引し、ホストコンピュータ300から送信された測定オーダに従って、検体を測定する。複数の検体測定装置10のそれぞれは、血液検体に含まれる血球を計測する血球計測装置を備える。血球の例としては、芽球及びリンパ球などを含む白血球、赤血球並びに血小板等が挙げられる。なお、通常、健常者の末梢血には芽球が存在せず、急性白血病患者の末梢血には芽球が存在するため、芽球を白血病細胞と呼ぶ場合がある。血球計測装置はヘモグロビン濃度を測定してもよい。
【0064】
血球計測装置としては、フローサイトメータが使用可能である。ただし、検体測定装置10が備えるフローサイトメータは、試料測定装置20が備えるフローサイトメータとは別個の装置である。検体測定装置10が備えるフローサイトメータで検体を計測する際には、必ずしも抗体試薬等の標識試薬による検体の前処理を必要としない。例えば、検体測定装置10が備えるフローサイトメータで検体を計測する際には、試料調製装置30で試料を調製する際に用いる標識試薬で検体を処理しない。試料調製装置30で試料を調製する際に用いる標識試薬は、例えば、モノクローナル抗体等の抗体を含む。
【0065】
図3に示すように、検体測定装置10が備えるフローサイトメータ11は、フローセル12を備える。フローサイトメータ11は、検体をフローセル12に送液する。フローセル12に供給された検体に、光源13から光が照射され、検体から発せられた前方散乱光、側方散乱光、及び蛍光を光検出部14が検出する。光検出部14には分析部15が接続されている。分析部15は、光検出部14が検出した前方散乱光、側方散乱光、及び蛍光を分析し、検体に含まれる血球の種類を分類し、計測する。分析部15は、
図1に示す情報処理ユニット310に含まれる。
【0066】
図4に示すように、ホストコンピュータ300に含まれる判定部301は、
図1に示す検体測定装置10に接続された情報処理ユニット310から検体の測定結果を受信する。ここで、検体の測定結果とは、芽球の存在可能性を示すフラッグ、リンパ球などを含む白血球、赤血球並びに血小板等の計数結果、並びにヘモグロビン濃度である。判定部301は、検体測定装置10による検体の測定結果に基づいて、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定するか否かを判定する。例えば、判定部301は、検体が所定の条件を満たすか判定する。判定部301は、異なる時期における同一被験者由来の血液検体に含まれる血球数の変化に基づいて、検体が所定の条件を満たすか判定してもよい。所定の条件は、例えば、疾患可能性の基準等に基づいて予め設定される。
【0067】
実施形態に係る検体測定システムは、血液検体を塗抹した標本を作製する塗抹標本作製装置61をさらに備える。検体が所定の条件を満たす場合、判定部301は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定すると判定する。また、例えば、この場合、判定部301は、検体搬送装置40で塗抹標本作製装置61又は試料調製装置30に検体を搬送すると判定する。判定部301は、検体測定装置10による検体の測定結果に基づいて、塗抹標本作製装置61を介さずに試料調製装置30に検体を搬送すると判定してもよい。検体の測定結果検体が所定の条件を満たさない場合、判定部301は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定しないと判定する。また、例えば、この場合、判定部301は、検体搬送装置40で塗抹標本作製装置61及び試料調製装置30に検体を搬送しないと判定する。
【0068】
例えば、判定部301は、白血球数が高いか、白血球計数分類が異常であるか、芽球の存在を示すフラッグが立っているか等の所定の基準を満たすか判定する。白血球計数分類とは、例えば、白血球における好中球、リンパ球、単球、好酸球及び好塩基球の数又は存在割合である。所定の基準を満たす場合、検体を提供した被験者が造血器腫瘍を有する可能性がある。所定の基準を満たさない場合は、被験者が造血器腫瘍を有する可能性は低い。
【0069】
被験者が造血器腫瘍を有する可能性がある場合、判定部301は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定すると判定する。また、例えば、この場合、判定部301は、塗抹標本作製装置61又は試料調製装置30に検体搬送装置40で検体を搬送すると判定する。被験者が造血器腫瘍を有する可能性が低い場合、判定部301は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定しないと判定する。また、例えば、この場合、判定部301は、塗抹標本作製装置61及び試料調製装置30に検体搬送装置40で検体を搬送しないと判定する。
【0070】
判定部301を含むホストコンピュータ300には、例えば、判定部301の判定結果を出力する出力装置501が接続される。出力装置501としては、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等のディスプレイが使用可能である。判定部301がフローサイトメータにより検体を測定すると判定した場合、医療従事者が、フローサイトメータに検体を運んでもよい。
【0071】
判定部301が塗抹標本作製装置61又は試料調製装置30に検体搬送装置40で検体を搬送すると判定した場合、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、検体測定装置10から塗抹標本作製装置61又は試料調製装置30に検体容器を保持する検体ラックを搬送する。判定部301が塗抹標本作製装置61及び試料調製装置30に検体搬送装置40で検体を搬送しないと判定した場合、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、検体測定装置10から載置部50に検体容器を保持する検体ラックを戻す。
【0072】
判定部301が、塗抹標本作製装置61に検体搬送装置40で検体を搬送すると判定した場合、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、検体測定装置10から塗抹標本作製装置61に、検体容器を保持する検体ラックを搬送する。塗抹標本作製装置61が備える読み取り装置は、検体容器の識別子及び検体ラックの識別子を読み取り、情報処理ユニット320に送る。情報処理ユニット320は、識別子を与えられた検体が塗抹標本の作製対象であるか、通信ネットワークを介してホストコンピュータ300に問い合わせる。識別子を与えられた検体が塗抹標本の作製対象である場合、塗抹標本作製装置61は、例えば、検体容器の栓に吸引管を突き刺し、検体容器内から必要量の検体を吸引する。塗抹標本作製装置61は、検体をスライドガラス等の透明基板上に塗抹し、染色液によって検体を染色して、塗抹標本を作製する。
【0073】
実施形態に係る検体測定システムは、塗抹標本を撮像する撮像装置62をさらに備える。塗抹標本作製装置61と撮像装置62の間には、標本搬送装置64が配置されている。標本搬送装置64は、塗抹標本作製装置61が作製した塗抹標本を収容しているカセットを、塗抹標本作製装置61から撮像装置62に搬送する。撮像装置62は、顕微鏡ユニットを用いて、塗抹標本の画像を撮像する。
【0074】
実施形態に係る検体測定システムは、撮像装置62が撮像した塗抹標本の画像を解析する画像解析装置330をさらに備える。画像解析装置330は、塗抹標本の画像に含まれる血球を種類ごとに計数する。画像解析装置330は、例えば、塗抹標本の画像に芽球が含まれるか解析する。塗抹標本の画像に芽球が含まれる場合、画像解析装置330は、塗抹標本の画像から芽球を抽出し、芽球の数又は濃度を算出する。
【0075】
画像解析装置330には、通信ネットワークを介してホストコンピュータ300の判定部301が接続される。判定部301は、画像解析装置330から塗抹標本の画像の解析結果を受信する。ここで、塗抹標本の画像の解析結果とは、芽球の濃度である。判定部301は、検体測定装置10による検体の測定結果及び画像解析装置330による塗抹標本の画像の解析結果に基づいて、検体が所定の条件を満たすか判定する。ここで、所定の基準とは、例えば、検体測定装置10による検体の測定結果が、白血球数が高く、白血球計数分類が異常であり、芽球が存在することを示しており、かつ、塗抹標本の画像の解析結果が、芽球の数又は濃度が所定の値以上であることをいう。あるいは、所定の基準とは、例えば、検体測定装置10による検体の測定結果が、白血球スキャッタグラム異常を示しており、かつ、塗抹標本の画像の解析結果が、芽球の数又は濃度が所定の値以上であることをいう。検体が所定の条件を満たす場合、判定部301は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定すると判定する。また、例えば、この場合、判定部301は、検体搬送装置40で試料調製装置30に検体を搬送すると判定する。検体の測定結果検体が所定の条件を満たさない場合、判定部301は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定しないと判定する。また、例えば、この場合、判定部301は、検体搬送装置40で試料調製装置30に検体を搬送しないと判定する。
【0076】
判定部301が試料調製装置30に検体搬送装置40で検体を搬送すると判定した場合、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、塗抹標本作製装置61から試料調製装置30に検体容器を保持する検体ラックを搬送する。判定部301が試料調製装置30に検体搬送装置40で検体を搬送しないと判定した場合、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、塗抹標本作製装置61から載置部50に検体容器を保持する検体ラックを戻す。
【0077】
実施形態に係る検体測定システムは、検体測定装置10による測定結果及び画像解析装置330による塗抹標本の画像の解析結果の少なくともいずれかに基づいて、試料測定装置20が備えるフローサイトメータの測定オーダを生成する
図4に示す測定オーダ生成部302をさらに備える。測定オーダ生成部302は、ホストコンピュータ300に含まれる。
【0078】
検体測定装置10による検体の測定結果が、白血球数が高く、白血球計数分類が異常であり、芽球が存在することを示しており、かつ、塗抹標本の画像の解析結果が、芽球の数又は濃度が所定の値以上であることを示していた場合、被験者が急性骨髄性白血病(AML)の可能性がある。この所定の基準を満たす場合、測定オーダ生成部302は、急性骨髄性白血病(AML)の判定に用いる抗体パネルで検体を標識する測定オーダを生成する。急性骨髄性白血病(AML)の判定に用いる抗体パネルが対象とする抗原は、例えば、CD7、CD11b、CD13、CD14、CD15、CD16、CD33、CD34、CD45、CD56、CD117及びHLA-DRである。この場合、急性リンパ性白血病(ALL)の判定に用いる抗体パネルが不要となるため、試料測定装置20が備えるフローサイトメータによる測定で用いられる標識試薬のコストを低減することが可能となる。
【0079】
検体測定装置10による検体の測定結果が、白血球スキャッタグラム異常を示しており、かつ、塗抹標本の画像の解析結果が、芽球の数又は濃度が所定の値以上であることを示していた場合、被験者が急性リンパ性白血病(ALL)の可能性がある。この所定の基準を満たす場合、測定オーダ生成部302は、急性リンパ性白血病(ALL)の判定に用いる抗体パネルで検体を標識する測定オーダを生成する。急性リンパ性白血病(ALL)の判定に用いる抗体パネルが対象とする抗原は、例えば、CD5、CD10、CD19、CD20、CD45、Igκ、Igλ、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8及びCD56である。この場合、急性骨髄性白血病(AML)の判定に用いる抗体パネルが不要となるため、試料測定装置20が備えるフローサイトメータによる測定で用いられる標識試薬のコストを低減することが可能となる。
【0080】
また、測定オーダ生成部302は、標識試薬に含まれる蛍光試薬に応じて、試料測定装置20が備えるフローサイトメータで用いる励起光の波長、測定する蛍光の波長、及びフローセルを流れる流体の流速等の測定オーダを作成する。
【0081】
出力装置501は、生成した測定オーダを出力してもよい。また、出力装置501は、
図5に示すように、生成した測定オーダの測定項目に基づいて試料を調製してよいか、医療従事者に問い合わせる表示をしてもよい。
【0082】
図2に示す測定オーダ生成部302は、生成した測定オーダの変更を受け付けてもよい。測定オーダ生成部302には、医療従事者から測定オーダの変更を受け付ける受付部502が接続されてもよい。受付部502としては、キーボード及びタッチパネル等の入力装置が使用可能である。受付部502を介して、医療従事者は、
図5に示すように、測定オーダの測定項目を変更してもよい。
【0083】
測定オーダ生成部302を含むホストコンピュータ300は、通信ネットワークを介して、
図1に示す試料調製装置30に接続された情報処理ユニット340に接続されている。試料調製装置30は、試料測定装置20が備えるフローサイトメータで測定される検体の前処理を行う。試料測定装置20が備える読み取り装置は、検体容器の識別子及び検体ラックの識別子を読み取り、情報処理ユニット340に送る。情報処理ユニット340は、識別子を与えられた検体の測定オーダを通信ネットワークを介してホストコンピュータ300に問い合わせる。情報処理ユニット340は、測定オーダ生成部302から受信した測定オーダを試料調製装置30に送る。試料調製装置30は、例えば、検体搬送装置40で搬送されてきたを収容した検体容器の栓に吸引管を突き刺し、検体容器内から必要量の検体を吸引する。試料調製装置30は、検体を吸引する前に検体容器内の検体を攪拌してもよい。
【0084】
試料調製装置30は、検体容器から吸引した検体を、試料容器に分注する。試料調製装置30は、測定オーダに基づいて、試料容器内の検体に抗体を含む標識試薬を加える。これにより、検体と標識試薬とが反応し、試料を形成する。標識試薬において、例えば、モノクローナル抗体等の抗体が蛍光試薬で標識されている。検体と標識試薬が反応する際、試料容器を加温してもよい。
【0085】
試料調製装置30は、測定オーダに基づいて、試料容器内に溶血剤を加え、試料と溶血剤が反応する。試料と溶血剤が反応する際、試料容器を加温してもよい。溶血剤により、試料測定装置20が備えるフローサイトメータで試料を解析する際に存在することが好ましくない赤血球が溶血する。
【0086】
試料調製装置30は、測定オーダに基づいて、試料容器内の試料を遠心分離する。遠心分離後、試料調製装置30は、試料容器内の試料から上清を除去する。これにより、上清に含まれる、溶血した赤血球の滓、血球の抗原に結合しなかった標識試薬が除去される。試料調製装置30は、測定オーダに基づいて、試料容器内の試料を緩衝液で希釈する。試料調製装置30は、調製した試料を収容している試料容器に封をしなくともよい。
【0087】
試料測定装置20は情報処理ユニット350が接続されている。情報処理ユニット350は、ホストコンピュータ300に含まれる測定オーダ生成部302から受信した測定オーダを試料調製装置30に送る。試料測定装置20が備えるフローサイトメータは、試料調製装置30と一体化していてもよい。試料測定装置20が備えるフローサイトメータは、フローセルを備える。試料調製装置30は、試料容器内の試料をノズル及び試料流路を介して吸引し、試料を試料測定装置20が備えるフローセルに送液する。フローセルに供給された試料に、光源から光が照射され、試料から発せられた前方散乱光、側方散乱光、及び蛍光を光検出部が検出する。光検出部には情報処理ユニット350に含まれる分析部が接続されている。分析部は、光検出部が検出した前方散乱光、側方散乱光、及び蛍光を分析し、試料に含まれる血球の種類及び抗原特性を分析する。
【0088】
試料調製装置30と試料測定装置20は、一体化していなくてもよい。この場合、試料調製装置30は、調製した試料を収容する試料容器をカルーセル及びラック等の試料容器保持器具に保持してもよい。試料容器又は試料容器を保持している試料容器保持器具は、医療従事者が試料調製装置30から試料測定装置20に搬送してもよい。あるいは、試料搬送装置が、試料調製装置30から試料測定装置20に、試料容器又は試料容器を保持している試料容器保持器具を搬送してもよい。試料搬送装置は、例えば、コンベヤー又はロボットアームを備える。試料調製装置30で試料が調製されるたびに、調製された試料を収容する試料容器が試料測定装置20に搬送されてもよい。
【0089】
試料調製装置30は、例えば、複数の試料を調製し、複数の試料容器に収納する。複数の試料容器は、例えば一つの試料容器保持器具に保持される。試料容器保持器具に保持される複数の試料容器のそれぞれに収容される試料は、調製された時間の間隔が短いほうが好ましい。例えば、試料容器が栓をされていない場合、先に調製された試料のほうが、後に調製された試料と比較して、溶媒が多く蒸発し、試料の濃度が高くなり、試料測定装置20の測定に影響を与える場合がある。
【0090】
そこで、実施形態に係る検体測定システムは、検体容器を貯留する貯留部70をさらに備えていてもよい。貯留部70は、検体測定装置10と試料調製装置30との間、例えば、塗抹標本作製装置61と試料調製装置30との間に配置される。貯留部70は、試料調製装置30が検体から複数の試料を調製可能になるまで、検体容器を貯留する。
【0091】
試料調製装置30において、試料容器保持器具が空になると、試料調製装置30は、搬送コントローラ305に、検体を受け入れ可能である信号を送信する。試料調製装置30が検体を受け入れ可能である信号を受信した搬送コントローラ305は、貯留部70を制御し、貯留部70が、検体容器を収容している検体ラックを検体搬送装置40に送り出す。また、搬送コントローラ305は、検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、貯留部70から試料調製装置30に、検体容器を搬送する。これにより、試料容器保持器具に保持される複数の試料のそれぞれの調製時間の間隔が短くなる。
【0092】
ただし、血液検体を採血後、一定以上の時間が経過すると、血液検体が変質し、試料測定装置20の測定に影響を与える場合がある。したがって、貯留時間が一定の時間を超えた場合、検体搬送装置40は、貯留部70から載置部50に、検体容器を戻してもよい。
【0093】
実施形態に係る検体測定システムは、検体容器の搬送先に応じて、検体ラックに保持された検体容器を別の検体ラックに移し替える検体移し替え装置80をさらに備えていてもよい。検体移し替え装置80は、例えば、塗抹標本作製装置61と貯留部70との間に配置される。例えば、検体搬送装置40が、検体測定装置10又は塗抹標本作製装置61から試料調製装置30に検体容器を搬送する場合、検体移し替え装置80は、検体ラックに保持されている検体容器を別の検体ラックに移し替えない。また、例えば、検体搬送装置40が、試料調製装置30又は貯留部70から載置部50に検体容器を戻す場合、検体移し替え装置80は、検体ラックに保持されている検体容器を別の検体ラックに移し替える。ただし、検体移し替え装置80を配置することは任意である。
【0094】
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、実施形態に係る検体測定方法を説明する。実施形態に係る検体測定方法は、検体測定装置10で検体を測定するステップ1と、判定部301が、検体測定装置10の測定結果に基づいて、フローサイトメータにより、検体を測定するか否かを判定するステップ2と、を含む。
【0095】
図6のステップ1に含まれるステップを、
図7に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS101で、複数の検体容器を保持する検体ラックを載置部50に載置する。載置部50が備える読み取り装置は、検体容器の識別子及び検体ラックの識別子を読み取り、搬送コントローラ305に送る。搬送コントローラ305は、受信した識別子が複数の検体測定装置10のいずれかで検査すべき検体に対応しているか、通信ネットワークを介してホストコンピュータ300に問い合わせる。識別子が複数の検体測定装置10のいずれかで検査すべき検体に対応している場合、搬送コントローラ305は載置部50を制御し、載置部50が検体容器を収容している検体ラックを検体搬送装置40に送り出す。
【0096】
ステップS102で、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、載置部50からホストコンピュータ300で指定された検体測定装置10に、検体容器を保持する検体ラックを搬送する。ステップS103で、検体ラックが搬送されてきた検体測定装置10が備える読み取り装置は、検体容器の識別子及び検体ラックの識別子を読み取り、情報処理ユニット310がホストコンピュータ300に識別子を送る。ホストコンピュータ300は、識別子に対して予め用意されていた測定オーダを情報処理ユニット310に送り返す。ステップS104で、検体測定装置10は、情報処理ユニット310が受信した測定オーダに従って、検体を測定する。その後、
図6のステップS2に進む。
【0097】
図6のステップ2に含まれるステップを、
図8及び
図9に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS201で、ホストコンピュータ300に含まれる判定部301は、情報処理ユニット310から検体測定装置10による検体の測定結果を受信する。判定部301は、検体測定装置10による検体の測定結果に基づいて、検体が所定の条件を満たすか判定し、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定するか否か判定する。検体が所定の条件を満たし、フローサイトメータにより検体を測定すると判定した場合、ステップS202で、判定部301は、検体を画像解析するか判定する。判定部301が画像解析すると判定した場合、ステップS203で、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、検体測定装置10から塗抹標本作製装置61に検体容器を保持する検体ラックを搬送する。なお、医療従事者が塗抹標本作製装置61に検体を運んでもよい。
【0098】
ステップS204で、塗抹標本作製装置61は、検体を透明基板上に塗抹し、染色液によって検体を染色して、塗抹標本を作製する。ステップS205で、撮像装置62は、顕塗抹標本の画像を撮像し、画像解析装置330は、塗抹標本の画像を解析する。
【0099】
ステップS206で、ホストコンピュータ300に含まれる判定部301は、画像解析装置330から塗抹標本の画像の解析結果を受信し、判定部301は、検体測定装置10による検体の測定結果及び画像解析装置330による塗抹標本の画像の解析結果に基づいて、検体が所定の条件を満たすか判定し、試料測定装置20が備えるフローサイトメータにより、検体を測定するか否か判定する。検体が所定の条件を満たし、フローサイトメータにより検体を測定すると判定した場合、ステップS207で、搬送コントローラ305は、試料調製装置30が検体を受け入れ可能か問い合わせる。試料調製装置30が検体を受け入れ可能である場合、ステップS208で、搬送コントローラ305は、検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、塗抹標本作製装置61から試料調製装置30に検体容器を保持する検体ラックを搬送する。なお、医療従事者が試料調製装置30に検体を運んでもよい。その後、
図10のステップS301に進む。
【0100】
ステップS207で、試料調製装置30が検体を受け入れ可能でない場合、ステップS241で、搬送コントローラ305は、検体搬送装置40及び貯留部70を制御し、検体搬送装置40が、塗抹標本作製装置61から貯留部70に検体容器を保持する検体ラックを搬送し、貯留部70が検体ラックを貯留する。ステップS242で、試料調製装置30において、試料容器保持器具が空になると、試料調製装置30は、搬送コントローラ305に、検体を受け入れ可能である信号を送信し、搬送コントローラ305が貯留部70及び検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、貯留部70から試料調製装置30に検体容器を保持する検体ラックを搬送する。その後、
図10のステップS301に進む。
【0101】
図8のステップS201で、検体が所定の条件を満たさず、フローサイトメータにより検体を測定しないと判定した場合、ステップS211で、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、検体測定装置10から載置部50に検体容器を保持する検体ラックを戻す。なお、医療従事者が検体測定装置10から検体を除いてもよ。ステップS202で、判定部301が画像解析しないと判定した場合、ステップS221で、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、検体測定装置10から試料調製装置30に検体容器を保持する検体ラックを搬送する。なお、医療従事者が試料調製装置30に検体を運んでもよい。必要に応じて、検体ラックを貯留部70に貯留してもよい。その後、
図10のステップS301に進む。
図9のステップS206で、検体が所定の条件を満たさず、フローサイトメータにより検体を測定しないと判定した場合、ステップS231で、搬送コントローラ305が検体搬送装置40を制御し、検体搬送装置40が、塗抹標本作製装置61から載置部50に検体容器を保持する検体ラックを戻す。なお、医療従事者が塗抹標本作製装置61から検体を除いてもよい。
【0102】
図10のステップS301で、ホストコンピュータ300に含まれる測定オーダ生成部302は、検体測定装置10による測定結果及び画像解析装置330による塗抹標本の画像の解析結果の少なくともいずれかに基づいて、試料測定装置20が備えるフローサイトメータの測定オーダを生成する。ステップS302で、測定オーダ生成部302は、測定オーダの変更を任意で受け付ける。
【0103】
ステップS303で、測定オーダ生成部302は、試料調製装置30に接続された情報処理ユニット340に測定オーダを送る。試料調製装置30は、情報処理ユニット340が受信した測定オーダに基づいて、試料容器内の検体に抗体を含む標識試薬を加えて試料を調製する。調製された試料は、フローサイトメータを備える試料測定装置20に送られる。測定オーダ生成部302は、試料測定装置20に接続された情報処理ユニット350に測定オーダを送る。試料測定装置20は、情報処理ユニット350が受信した測定オーダに基づいて、試料を測定する。
【0104】
上記のように本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、実施形態に係る検体測定システムは、塗抹標本作製装置61、撮像装置62、及び画像解析装置330を備えなくともよい。この場合、判定部301は、画像解析の結果を用いずに、検体測定装置10による検体の測定結果に基づいて、フローサイトメータにより、検体を測定するか否かを判定してもよい。あるいは、判定部301及び測定オーダ生成部302は、実施形態に係る検体測定システムの外部の画像解析装置から塗抹標本の画像の解析結果を受信してもよい。
【0105】
検体測定装置10はフローサイトメータを備えることに限定されない。例えば、成人T細胞白血病の検査に本発明を適用する場合、免疫分析装置を備える検体測定装置10を用いて、血液検体が抗HTLV-I抗体陽性であるかを測定する。陽性である場合、判定部301がフローサイトメータにより、検体を測定すると判定し、検体搬送装置40が試料調製装置30に血液検体を搬送する。試料調製装置30は、例えばCD3、CD4、CD8、及びCD45に対する抗体を含む標識試薬を用いて、血液検体から試料を調製する。試料測定装置20が備えるフローサイトメータは、試料においてCD3、CD4、CD8、及びCD45のそれぞれが陽性であるか陰性であるかを測定する。
【0106】
また、本発明は、造血器腫瘍検査以外の検査にも適用可能である。例えば、発作性夜間血色素尿症(PNH)の検査に本発明を適用する場合、尿分析装置を備える検体測定装置10を用いて、尿検体がビリルビン陽性であるかを測定する。陽性である場合、判定部301がフローサイトメータにより、検体を測定すると判定し、検体搬送装置40が試料調製装置30に尿検体を搬送する。試料調製装置30は、例えばCD55及びCD59に対する抗体を含む標識試薬を用いて、尿検体から試料を調製する。試料測定装置20が備えるフローサイトメータは、試料においてCD55及びCD59のそれぞれが陽性であるか陰性であるかを測定する。
【0107】
あるいは、ITPの検査に本発明を適用する場合、血液凝固分析装置をさらに備える検体測定装置10を用いて、血液検体においてプロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が正常であるか測定する。血小板数が基準値以下であり、PT及びAPTTが正常である場合、判定部301がフローサイトメータにより、検体を測定すると判定し、検体搬送装置40が試料調製装置30に血液検体を搬送する。試料調製装置30は、例えばCD36、CD41/61、CD42bc/a/d、CD49b/29及びCD110に対する抗体を含む標識試薬を用いて、血液検体から試料を調製する。試料測定装置20が備えるフローサイトメータは、試料においてCD36、CD41/61、CD42bc/a/d、CD49b/29及びCD110のそれぞれが陽性であるか陰性であるかを測定する。
【0108】
例えば、幹細胞移植の検査に本発明を適用する場合、血球計測装置を備える検体測定装置10を用いて、血液検体において白血球数が基準値以上であるか測定する。白血球数が基準値以上である場合、判定部301がフローサイトメータにより、検体を測定すると判定し、検体搬送装置40が試料調製装置30に血液検体を搬送する。試料調製装置30は、例えばCD34に対する抗体を含む標識試薬を用いて、血液検体から試料を調製する。試料測定装置20が備えるフローサイトメータは、試料においてCD34陽性細胞を測定し、CD34陽性細胞が一定濃度以上存在するか判定する。
【0109】
また、フローサイトメータの構成は上記に限られない。例えば、フローセルにおいて、光学情報だけでなく、検体中の粒子が通過する際に生じるDCインピーダンスやRFインピーダンスの変化等の電気的パラメーターを測定してもよい。また、光学情報を取得するために前方散乱光及び側方散乱光を測定するのみならず、例えば、10°未満に散乱する低角度散乱光、6°から26°に散乱する低中央角度散乱光、15°から50°に散乱する高中央角度散乱光等、角度の異なる散乱光を測定してもよい。さらに光学情報として、散乱光に限られず、軸方向の光損失を測定してもよい。これらの情報を複合的に用いることによっても、血球の種類を分類することが可能である。
【0110】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0111】
10…検体測定装置、20…試料測定装置、30…試料調製装置、32…撮像装置、40…検体搬送装置、50…載置部、61…塗抹標本作製装置、62…撮像装置、63…画像解析装置、70…貯留部、80…検体移し替え装置、301…判定部、302…測定オーダ生成部、330…画像解析装置、502…受付部