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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】床構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20230427BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
E04F15/00 101H
E04B5/43 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018059387
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019173285
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000177139
【氏名又は名称】三洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】下村 喜俊
(72)【発明者】
【氏名】津田 和弥
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253448(JP,A)
【文献】特開2008-127942(JP,A)
【文献】特開平05-025918(JP,A)
【文献】特開2001-263420(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0789394(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
E04B 5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の対向する壁際同士間に、所定の間隔をおいて並列に複数配置される棒状大引材と、
これら大引材の上面に敷設される複数枚の床板と
から成る床構造であって、
前記各大引材の両端部近くを、部屋の床スラブ上で下方から支持する高さ調整可能な大引材支持部材を有し、
前記大引材支持部材が、
前記大引材を上方から嵌め込み可能な凹部と、前記凹部の両側辺から外方に向けて伸びる一対のフランジ部とを備えた鋼板製本体と、
前記各フランジ部に高さ調整可能に螺合されるボルト部を備えた一対の脚体と
から成り、
前記各脚体が、前記ボルト部を支持する弾性の台座を備え、前記前記一対の脚体で、凹部に大引材が嵌め込まれた鋼板製本体を、床スラブから離間させて緩衝支持し、
前記大引材の寸法が、その両端部が壁に接触しない長さであり、
少なくとも一本置きに大引材の中間部を前記大引材支持部材により床スラブ上で下方から支持するように構成した
ことを特徴とする床構造。
【請求項2】
前記大引材が、断面矩形の角型鋼から成る
ことを特徴とする請求項1に記載の床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の階層を持つ集合住宅等では、コンクリート等の躯体に各階の床スラブが形成され、床スラブの上に大引材や床板等から成る床構造体が設けられるところ、床板に加わる振動が、床構造を介して床スラブや壁に伝わり、階下の部屋又は隣接部屋等に振動騒音となって伝播するという問題があった。
特許文献1には、大引材の両端を、弾性体を介して躯体壁に支持すると共に、各大引材の中間部と床スラブとの間に、大引材の上下振動を抑制する制動装置を設けて成る床構造が開示されている。この床構造によれば、大引材が床スラブから離れているため床構造で生じる振動が床スラブに伝わることが無くなり、かつ、前記制動装置により大引材の上下振動が抑制されると共に、さらに、弾性体を介して躯体壁に大引材を支持することにより床構造で生じる振動を躯体壁に分散伝播させることが可能になる。
しかし、この特許文献1に開示された床構造は、大引材を、その両端で躯体壁に支持しているため、大引材が部屋の躯体壁から躯体壁までの長さを必要とし、その結果、大引材の剛性が高くないと、床板に加えられる荷重に対する大引材の沈み込み量が大きくなり、結果として歩行感や家具の設置安定性が悪くなるという課題があった。また、大引材に剛性を持たせようとすると、大引材そのものの重量が増えるため、大引材の自重による沈み込み量が大きくなり、かつ、躯体への重量負荷も大きくなり、その結果、運搬性や施工作業性が悪くなるという課題があった。
出願人は、上記した従来の床構造に対する課題に鑑みて、大引材の剛性を極端に上げることなく、床板に加えられる荷重に対する十分な剛性を確保できると共に、躯体壁や床スラブに対する振動伝播を低減することができる床構造を開発し、それを特許出願した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-130044号公報
【文献】特許第5043461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の床構造は、床スラブ上で下方から大引材を緩衝支持することができる大引材支持部材を用いて大引材の両端部を支持し、かつ、補強支持脚を用いて大引材の中間部を床スラブ上で下方から緩衝支持しているので、大引材の剛性を極端に上げることなく、床板に加えられる荷重に対する十分な剛性を確保することが可能になり、結果として軽量の大引材を使用することができ、運搬性及び施工作業性を向上させることが可能になる。
しかし、図6に示すように、特許文献2に記載の床構造においては、その大引材支持部材が、台座20から鉛直上方に伸びる一本のボルト部21と、前記ボルト部21の上部に高さ調整ができるように螺合可能に構成され、かつ、大引材25を載置するための弾性部分を備えた受け具22と、受け具22に載置された大引材25を受け具22に固定するための一対の金具片23,23とで構成されるところ、大引材25を載置固定する受け具22が一本のボルト部21で支持される構成であるため、独立安定性が悪く、設置をする時に倒れ易いという問題があった。また、特許文献2に記載の床構造では、前記補助支持脚にも同じ問題が内在していた。このため、当該床構造には、施工作業性の側面から、さらに改良する余地があった。さらにまた、この従来の床構造では、大引材支持部材の構造が複雑であるだけでなく、補助支持脚と大引材支持部材の構造が異なるため、これらの製造コストが高くなるという問題もあった。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、簡単な構造で製造が容易であり、製造コストも安く、かつ、施工作業性がよく、さらに、大引材に対して上下左右方向に十分な支持強度を得ることができる床構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る床構造は、部屋の対向する壁際同士間に、所定の間隔をおいて並列に複数配置される棒状大引材と、これら大引材の上面に敷設される複数枚の床板とから成る床構造であって、前記各大引材の両端部近くを、部屋の床スラブ上で下方から支持する高さ調整可能な大引材支持部材を有し、前記大引材支持部材が、前記大引材を上方から嵌め込み可能な凹部と、前記凹部の両側辺から外方に向けて伸びる一対のフランジ部とを備えた鋼板製本体と、前記各フランジ部に高さ調整可能に螺合されるボルト部を備えた一対の脚体とから成り、前記各脚体が、前記ボルト部を支持する弾性の台座を備え、前記前記一対の脚体で、凹部に大引材が嵌め込まれた鋼板製本体を、床スラブから離間させて緩衝支持し、前記大引材の寸法が、その両端部が壁に接触しない長さであることを特徴とする。
前記大引材は、断面矩形の筒状鋼材で構成され得る。
少なくとも一本置きに大引材の中間部を前記大引材支持部材により床スラブ上で下方から支持するように構成してもよい。
また、本発明に係る床構造において使用される大引材支持部材は、部屋の対向する壁際同士間に、所定の間隔をおいて並列に複数配置される棒状大引材と、これら大引材の上面に敷設される複数枚の床板とを備え、前記各大引材を、部屋の床スラブ上で下方から高さ調整可能に支持する床構造において用いられる大引材支持部材であって、該大引材支持部材が、前記大引材を上方から嵌め込み可能な凹部と、前記凹部の両側辺から外方に向けて伸びる一対のフランジ部とを備えた鋼板製本体と、前記各フランジ部に高さ調整可能に螺合されるボルト部を備えた一対の脚体とから成り、前記各脚体が、前記ボルト部を支持する弾性の台座を備え、前記前記一対の脚体で、凹部に大引材が嵌め込まれた鋼板製本体を、床スラブから離間させて緩衝支持することができるように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る床構造は、部屋の対向する壁際同士間に、所定の間隔をおいて並列に複数配置される棒状大引材と、これら大引材の上面に敷設される複数枚の床板とから成る床構造であって、前記各大引材の両端部近くを、部屋の床スラブ上で下方から支持する高さ調整可能な大引材支持部材を有し、前記大引材支持部材が、前記大引材を上方から嵌め込み可能な凹部と、前記凹部の両側辺から外方に向けて伸びる一対のフランジ部とを備えた鋼板製本体と、前記各フランジ部に高さ調整可能に螺合されるボルト部を備えた一対の脚体とから成り、前記各脚体が、前記ボルト部を支持する弾性の台座を備え、前記前記一対の脚体で、凹部に大引材が嵌め込まれた鋼板製本体を、床スラブから離間させて緩衝支持し、かつ、前記大引材の寸法が、その両端部が壁に接触しない長さになるように構成されているので、二本の脚体で大引材を挟んで床スラブ上で下方から支持することができる。このように構成することで各大引材支持部材の独立安定性が向上し、施工作業性が極めて向上する。
また、大引材を上方から凹部に嵌め込むだけでよいので、この点においても施工作業性が極めて向上する。さらに、大引材支持部材の構成部品が鋼板製本体と一対の脚体だけになるので、部品点数が多かった従来の支持部材に比べて大引材支持部材そのものの製造が容易になり、製造コストも下がる。
さらにまた、大引材を床スラブ上で下方から支持するように構成すると共に、大引材の寸法が、その両端部が壁に接触しない長さにされているので、大引材を部屋の床スラブに加えて壁から離して設置することができ、これにより、床板に加えられる振動が床スラブ及び壁に伝播することを無くすことができる。
また、大引材の寸法を、その両端部が壁に接触しない長さとすることで、大引材の両端部を壁で支持する場合に比べて、大引材の長さを短くすることができるため材料コストを下げることができ、さらに、大引材の寸法を、その両端部が壁に接触しない長さとすることで、結果として大引材そのものの寸法を従来の床構造に用いられる大引材の寸法より短くすることができるので、大引材の沈み込み量を小さくすることが可能になる。
さらに、各支持部材において一本ではなく、二本の脚体で弾性の台座を介して大引部材を支持することにより、床スラブ上に伝わる振動を分散することが可能になり、弾性の台座を介して支持することも相俟って、床スラブ上に伝わる振動を低減させることが可能になり、遮音性能が向上する。
さらにまた、凹部に大引材を嵌め込み、それを二本の脚体で挟んで支持することにより、従来の大引材支持部材に比べると左右の振動に対する強度を向上させることができる。
例えば、凹部の内面に防音シート等を設けることで、基礎面に対する振動伝播をさらに低減することも可能になる。
本発明に係る床構造に使用される大引材支持部材は、部屋の対向する壁際同士間に、所定の間隔をおいて並列に複数配置される棒状大引材と、これら大引材の上面に敷設される複数枚の床板とを備え、前記各大引材を、部屋の床スラブ上で下方から高さ調整可能に支持する床構造において用いられる大引材支持部材であって、該大引材支持部材が、前記大引材を上方から嵌め込み可能な凹部と、前記凹部の両側辺から外方に向けて伸びる一対のフランジ部とを備えた鋼板製本体と、前記各フランジ部に高さ調整可能に螺合されるボルト部を備えた一対の脚体とから成り、前記各脚体が、前記ボルト部を支持する弾性の台座を備え、前記前記一対の脚体で、凹部に大引材が嵌め込まれた鋼板製本体を、床スラブから離間させて緩衝支持することができるように構成されているので、大引材の施工が容易になり、かつ、床板に加わる振動を壁及び床スラブに伝播させることを防止することができる床構造を構築することができ、さらに、大引材を安定性よく支持することが可能になり、さらに、大引支持部材そのものの製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る床構造に使用する大引材支持部材の一実施例の概略側面図である。
図2図1に示した大引材支持部材の概略上面図である。
図3】本発明に係る床構造の一実施例の概略上面図である(床板は一部省略されている。)
図4図3における大引材の端部の拡大図である。
図5図3におけるA-A断面図である。
図6】従来の大引材支持部材の概略側面図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して、本発明に係る床構造及び床構造において使用される大引材支持部材の実施の形態を説明していく。
【0009】
図1は、本発明に係る床構造において使用される大引材支持部材の一実施例の概略側面図であり、図2は、前記大引材支持部材の概略上面図である。
図面に示すように、この大引材支持部材1は鋼板製本体2を有し、該鋼板製本体2は、大引材10を上方から嵌め込み可能な凹部2aと、凹部2aの両側辺から外方に向けて伸びる一対のフランジ部2bとが形成されるように曲げ加工されている。
一対のフランジ部2bには、各々、内面に雌ネジが形成された貫通孔2cが形成されている。
前記大引材支持部材1は、さらに、一対の脚体3を備える。各脚体3は、前記鋼板製本体2の各フランジ部2bに形成された貫通孔2cに螺合可能なボルト部3aと、ボルト部3aを支持する弾性材料から成る台座3bとから成る。
各脚体3は、そのボルト部3aが、鋼板製本体2のフランジ部2bの貫通孔2cに螺合され、鋼板製本体2を、その凹部2aを挟んで左右で支持するように構成されている。脚体3を回転させることでフランジ部2bに対するボルト部3aの位置を変えて、鋼板製本体2を支持する高さを調整することができる。
前記したように構成された大引材支持部材1は、脚体3のボルト部3aを鋼板製本体2の貫通孔2cに螺合させ、鋼板製本体2が床スラブ11から離間するように脚体3の位置を調整した後、鋼板製本体2の凹部2aに大引材10を上方から嵌め込むことで、大引材10を床スラブ11から離間した状態で下方から支持する。
これにより、大引材10は、鋼板製本体2を介して、その短手方向両側で一対の脚体3によって支持されることになり、横方向の揺れに対する安定度が向上する。
また、上記したように、大引材支持部材1は、一対の脚体3によって、大引材10が嵌め込まれる凹部2aを左右から挟むように支持するように構成されているので、大引材支持部材1そのものの独立安定性が高く、施工時に大引材支持部材1が倒れることがない。このため施工作業性が極めて良好である。
また、大引材支持部材1は、鋼板製本体2及び一対の脚体3のみから成るため部品数が少なく、製造が容易であり、かつ、製造コストも安価である。
さらに、該大引材支持部材1は、鋼板製本体2の凹部2aに上方から大引材10を嵌め込むだけで、大引材10を支持することができるので、施工が極めて容易である。このため、例えば、該大引材支持部材1を大引材10の中間部を支持する補強支持部材として利用しても、施工作業が煩雑になることがない。
さらにまた、該大引材支持部材1は、床スラブ11上で大引材10を下方から支持するように構成されているので、例えば、二つの大引材支持部材1で大引材10の両端部を支持する場合であっても、躯体壁12で支持する場合に比べると、大引材支持部材1間の間隔を短くすることができる。このため、床板にかかる上方からの荷重に対する大引材10の沈み込みが、躯体壁12で支持する場合に比べて小さくなり、その結果、極端に剛性の高い大引材を使用する必要がなくなり、軽量な大引材10を使用することが可能になる。
さらに、該大引材支持部材1を、大引材10を下方から支持するように構成することで、大引材10を壁12面に接触させる必要がなくなり、大引材10の両端部を壁12面から僅かに離すことができるようになる。これにより、躯体壁12で支持する構成に比べて大引材10の長さを短くすることが可能になるので、この点から見ても、上方からの荷重に対する大引材10の沈み込み量を小さくすることが可能になる。
さらに、大引材10を躯体壁12から離すことによって、大引材10から躯体壁12に振動が伝わることがなくなる。さらに、該大引材支持部材1は、二つの脚体3で大引材10を支持するため、床板から大引材10を介して床スラブ11に伝わる振動を分散させることが可能になり、かつ、脚体3の台座3bが弾性部材で構成されていることも相俟って、床スラブ11に伝播される振動騒音を効果的に低減することが可能になる。
この実施例には、記載していないが、例えば、鋼板製本体2の凹部2aの内面の一部又は全面にゴム板等の弾性部材層を設けることにより、大引材10から大引材支持部材1を介して床スラブ11に伝播する振動をさらに低減させることが可能になる。
【0010】
次に、上記したように構成された大引材支持部材1を用いた床構造について説明していく。
図3は、本発明に係る床構造の一実施例の上面図を示している。
図面に示すように、躯体の床スラブ11の上に複数の大引材10が、部屋の短手方向の壁と並行に、一定の間隔で敷設されている。
この実施例では、各大引材11は、断面が四角形の角型鋼であり、図4に示すように、その両端部が壁12から少し離れる寸法にされ、かつ、前記大引材支持部材1によって、その両端部付近が床スラブ11上で支持されている。
図5は、図3におけるA-A断面図であり、図面に示すように、大引材11は、大引材支持部材1における鋼板製本体2の凹部2aに上方から嵌め込まれ、該鋼板製本体2の一対のフランジ部2bに螺合された一対の脚体3によって、床スラブ11上で下方から支持されている。
また、図面に示すように、複数の大引材11の長手方向中間付近には、一本おきに、補強用として前記大引材支持部材1が設けられている。
上記したように敷設された大引材10の上方には、複数の床板13が敷設される。床板13は、図面に示すように、その短手方向の端部をずらして配置されている。
上記したように、大引材10は、その両端部を壁12に接触させる必要がないので、両端部を壁12で支持する場合に比べて、その長さを短くすることができ、かつ、大引材10を下方から支持しているので、大引材支持部材1を大引材の最端部に設ける必要がない。従って、大引材支持部材1間の間隔をより短くすることが可能になり、結果として、大引材10の沈み込み量を小さくすることが可能になる。大引材支持部材1を設ける位置は図示実施例に限定されるものではなく、さらに内側寄り、即ち、端部から離れる側に設けることも可能である。
上記したように本実施例に係る床構造によれば、床板13に加わる荷重による大引材10の沈み込み量を小さくすることができるので、全ての大引材10に補強用の大引材支持部材1を設ける必要がなくなり、結果として、全ての大引材に対して補強支持部材を設ける必要があった従来の床構造に比べて大引材支持部材の数を減らすことができ、施工が容易になり、かつ、コストを安価にすることが可能である。
さらにまた、大引材10の両端部付近を支持する大引材支持部材1と、大引材の中央付近を支持する補強用の大引材支持部材1とを同一の構成にすることができるので、大引材支持部材そのものの製造コストも安価になる。
上記したように構成された床構造によれば、大引材が壁12から離れているので、床板に加えられる振動が、壁12に伝わることがない。さらに、各大引材10を支持する大引材支持部材1が二本の脚体3で支持されているので、床板13から大引材10に伝わる振動を、床スラブ11に対して分散させることができ、かつ、二本の脚体が各々弾性部材から成る台座を介して床スラブ11と接触しているため、床スラブ11に対して伝わる振動を最低限に低減させることが可能になる。これにより、床板13に加えられる振動が壁12及び床スラブ11に伝搬することを防止し、優れた遮音性能を発揮することが可能になる。
【符号の説明】
【0011】
1 大引材支持部材
2 鋼板製本体
2a 凹部
2b フランジ部
2c 貫通孔
3 脚体
3a ボルト部
3b 台座

10 大引材
11 床スラブ
12 壁
13 床板
図1
図2
図3
図4
図5
図6