(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20230427BHJP
D06F 39/10 20060101ALI20230427BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F58/02 F
D06F58/02 Q
D06F39/10 D
D06F25/00 A
(21)【出願番号】P 2018088317
(22)【出願日】2018-05-01
【審査請求日】2021-04-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴裕
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-187449(JP,A)
【文献】国際公開第2017/030378(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02、58/22
D06F 39/10
D06F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体によって支持され、水が溜められる外槽と、
前記外槽内に収容され、洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、
前記外槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、
前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内において前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する
下面部を有する乾燥フィルタと、を有し、
前記循環路内において、前記取出口から前記戻し口に向かう空気の流れ方向に見て、前記乾燥フィルタ、前記送風部および前記加熱部がこの順序で設けられており、さらに、
水の噴射口を有し、前記噴射口から
前記下面部に向けて水を噴射する噴射部を有し、
前記噴射口から噴射される水を前記下面部に沿って広がるようにガイドする水ガイド部をさらに含
み、
前記噴射口は、前記下面部に沿って延びるスリットであり、前記下面部に沿った延在方向の中央部から水を供給され、
前記水ガイド部は、前記下面部から突出したリブ状の複数の第1水ガイド部であって、前記噴射口の延在方向に沿って並んで配置された複数の第1水ガイド部を含み、
前記複数の第1水ガイド部のうちの隣り合う2つの第1水ガイド部の間隔であって、前記噴射口の延在方向の両端側の前記間隔は、前記噴射口の延在方向の中央側の前記間隔よりも広い、
前記乾燥フィルタで捕獲された異物は、前記噴射部による水の噴射によって前記乾燥フィルタから剥がれ落ちて水と共に前記外槽内へ落下して溜まるようにされ、
前記外槽の水が排出される際に、水と共に排出される異物を捕獲する排水フィルタであって、前記筐体に対して着脱可能に設けられた排水フィルタとを含む、洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記下面部は、水平方向に対して傾斜して配置され、
前記噴射部は、前記下面部の上端に向けて水を噴射する、請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記噴射部から噴射された水によって前記下面部から剥がれ落ちる異物を前記取出口へ向けてガイドする異物ガイド部をさらに含む、請求項1
または2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記噴射部が前記下面部に向けて水を噴射した後に、前記送風部が前記外槽内の空気を循環させる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、水が溜められる外槽と、外槽内に配置されて洗濯物を収容するドラムと、循環風路とを含む。循環風路は、外槽に接続された空気吸い込み口および空気吐出口と、ブロアおよびヒータを有する送風ユニットとを含む。ブロアが稼働すると、外槽内の空気は、空気吸い込み口から循環風路内に吸い込まれて空気吐出口から外槽内へ流入するように循環する。循環する空気は、循環風路内においてヒータによって加熱される。加熱された空気によって、ドラム内の洗濯物が乾燥する。循環する空気に含まれるリントなどの異物を捕獲する乾燥フィルタが、送風ユニットに配置される。乾燥フィルタは、清掃のために送風ユニットから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、使用者が乾燥フィルタを定期的に取り外して掃除する必要があるので、乾燥フィルタのメンテナンスに手間がかかる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の向上を図れる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体によって支持され、水が溜められる外槽と、前記外槽内に収容され、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、前記外槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、前記循環路内において前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する乾燥フィルタと、を有し、前記循環路内において、前記取出口から前記戻し口に向かう空気の流れ方向に見て、前記乾燥フィルタ、前記送風部および前記加熱部がこの順序で設けられており、さらに、水の噴射口を有し、前記噴射口から前記乾燥フィルタに向けて水を噴射する噴射部を有し、前記乾燥フィルタで捕獲された異物は、前記噴射部による水の噴射によって前記乾燥フィルタから剥がれ落ちて水と共に前記外槽内へ落下して溜まるようにされ、前記外槽の水が排出される際に、水と共に排出される異物を捕獲する排水フィルタであって、前記筐体に対して着脱可能に設けられた排水フィルタとを含む、洗濯乾燥機である。
【0007】
また、本発明は、乾燥フィルタは、流れる空気から異物を捕獲する下面部を有し、前記下面部は、水平方向に対して傾斜して配置され、前記噴射部は、前記下面部の上端に向けて水を噴射することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記洗濯乾燥機が、前記噴射口から噴射される水を前記下面部に沿って広がるようにガイドする水ガイド部をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記洗濯乾燥機が、前記噴射部から噴射された水によって前記下面部から剥がれ落ちる異物を前記取出口へ向けてガイドする異物ガイド部をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記噴射部が前記下面部に向けて水を噴射した後に、前記送風部が前記外槽内の空気を循環させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗濯乾燥機の外槽内の空気は、取出口から循環路内に取り出されて戻し口から外槽内に戻るように循環する。循環する空気は、循環路内で加熱部によって加熱されることによって熱風となり、洗濯槽内の洗濯物を乾燥させる。循環路内において加熱部よりも取出口側に設けられた乾燥フィルタが、循環のために循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気に含まれる異物を下面部において捕獲する。そのため、空気中の異物が加熱部に付着することを抑制できる。噴射部が噴射口から乾燥フィルタの下面部に向けて水を噴射すると、下面部に溜まった異物が、下面部から剥がれて取出口から外槽内に到達し、外槽の排水時に排水フィルタによって捕獲される。排水フィルタによって捕獲された異物は、使用者が排水フィルタを取り外してメンテナンスする際に除去される。
このように洗濯乾燥機が乾燥フィルタの自動メンテナンス機能を有するので、使用者は、乾燥フィルタを取り外してメンテナンスをしなくてもよい。よって、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の向上を図れる。
【0012】
また、本発明によれば、噴射部は、乾燥フィルタにおいて水平方向に対して傾斜して配置された下面部の上端に向けて水を噴射するので、下面部に溜まった異物を、残さずに下面部から剥がすことができる。よって、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0013】
また、本発明によれば、噴射部の噴射口から噴射された水は、乾燥フィルタの下面部に沿って広がるので、下面部に溜まった異物を、残さずに下面部から剥がすことができる。よって、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0014】
また、本発明によれば、噴射部から噴射された水によって乾燥フィルタの下面部から剥がれ落ちる異物は、異物ガイド部によって取出口へ向けてガイドされる。そのため、乾燥フィルタの下面部で捕獲された異物を、乾燥フィルタに再付着しないように、取出口から外槽内へ排出することができる。よって、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0015】
また、本発明によれば、噴射部が乾燥フィルタの下面部に向けて水を噴射した後には、外槽内の空気が循環して乾燥フィルタを通過することによって、乾燥フィルタが乾燥する。そのため、使用者は、水の噴射によって濡れた乾燥フィルタを乾燥させなくてもよい。よって、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】
図2は、洗濯乾燥機内に配置された外槽および乾燥ユニットを後側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、外槽および乾燥ユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、乾燥ユニットを構成するフィルタ部材の底面図である。
【
図5】
図5は、乾燥ユニットを構成する噴射部の平面図である。
【
図6】
図6は、組み合わされたフィルタ部材および噴射部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xおよび前後方向Yは、水平方向Hに含まれる。左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を左側X1といい、
図1の紙面における手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前側Y1といい、
図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機であり、筐体2と、外槽3と、給水路4と、排水路5と、排水フィルタ6と、洗濯槽7と、モータ8と、乾燥ユニット9とを含む。
【0018】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0019】
外槽3は、筐体2内に配置され、吊り棒(図示せず)を介して、筐体2によって弾性支持される。外槽3は、水平方向Hに沿って前後に延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。背面壁3Bは、垂直に配置され、外周部3Dと、外周部3Dよりも後側Y2へ一段突出した中央部3Eとを有する。中央部3Eの中心には、軸線Jに沿って中央部3Eを前後に貫通した貫通孔3Fが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Gと、第1部3Gの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2部3Hと、第2部3Hの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Iとを有する。第3部3Iの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Jが形成される。出入口3Jは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向し、連通した状態にある。
【0020】
給水路4は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、外槽3の背面壁3Bにおける例えば中央部3Eに接続された他端4Aとを有する。給水時には、蛇口からの水が給水路4から外槽3内に供給される。外槽3内には、水道水や、水道水に洗剤が溶けた洗剤水などの水が溜められる。給水路4の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される給水弁11が設けられる。
【0021】
排水路5は、外槽3の下端部、例えば正面壁3Cの第1部3Gの下端部に接続される。外槽3内の水は、排水路5から機外に排出される。排水路5の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁12が設けられる。
【0022】
排水フィルタ6は、排水路5において排水弁12よりも外槽3に近い上流部に設けられる。排水フィルタ6は、外槽3から排出される水から異物を捕獲する。排水フィルタ6の前端は、筐体2の前面2Aに露出されるので、使用者は、排水フィルタ6の前端を掴んで排水フィルタ6を筐体2に対して着脱させることができる。排水フィルタ6の構成として、公知の構成を用いることができる。
【0023】
洗濯槽7は、外槽3よりも一回り小さく、内部に洗濯物Lを収容することができる。洗濯槽7は、外槽3内に収容される。洗濯槽7は、外槽3の円周壁3Aと同軸状に配置された円筒状の円周壁7Aと、円周壁7Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁7Bと、円周壁7Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁7Cとを有する。洗濯槽7において少なくとも円周壁7Aには、複数の貫通孔7Dが形成され、外槽3内の水は、貫通孔7Dを介して、外槽3と洗濯槽7との間で行き来する。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽7内の水位とは、一致する。洗濯槽7の背面壁7Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸13が設けられる。支持軸13の後端部は、外槽3の背面壁3Bの貫通孔3Fを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0024】
環状壁7Cの内側には、円周壁7Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口7Eが形成される。出入口7Eは、外槽3の出入口3Jおよび筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向し、連通した状態にある。出入口3Jおよび7Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3Jおよび7Eを介して、洗濯槽7内に洗濯物Lを出し入れする。
【0025】
モータ8は、筐体2内において、外槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ8は、洗濯槽7に設けられた支持軸13に連結される。モータ8が発生した駆動力は、支持軸13に伝達され、洗濯槽7が、支持軸13を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸13と間には、モータ8の駆動力を支持軸13に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0026】
乾燥ユニット9は、循環路20と、送風部21と、加熱部22とを含む。循環路20は、筐体2内において外槽3の上側Z1に配置された流路である。循環路20は、前後に延びる途中部分20Aと、途中部20Aの後端から下側Z2へ延びる後部分20Bと、途中部20Aの前端から下側Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、取出口20Dが形成される。取出口20Dは、外槽3の背面壁3Bの外周部3Dの上端部に接続され、外槽3内に後側Y2から連通した状態にある。前部分20Cの下端には、戻し口20Eが形成される。戻し口20Eは、外槽3の正面壁3Cの第2部3Hの上端部に接続され、外槽3内に上側Z1から連通した状態にある。
【0027】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20の内部において取出口20Dに近い上流側の領域に配置された回転羽根23と、回転羽根23を回転させるモータ(図示せず)とを含む。回転羽根23が回転すると、外槽3内の空気、つまり外槽3内および洗濯槽7内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出された後に、戻し口20Eから外槽3内に戻される。これにより、外槽3内の空気は、外槽3と循環路20とを順に流れるように循環する。
【0028】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器または一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、フィン状の放熱部22Aを複数有する。加熱部22が作動すると放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。
【0029】
洗濯乾燥機1は、マイコンとして構成された制御部24を含む。制御部24は、モータ8、給水弁11、排水弁12、送風部21および加熱部22の動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯乾燥運転は、洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程と、乾燥工程とを含む。
【0030】
洗い工程の開始に先立って、洗濯槽7内に洗剤が投入される。制御部24は、洗い工程では、給水弁11を所定時間開いて外槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。これにより、洗濯槽7内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、洗濯槽7に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部24が排水弁12を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0031】
制御部24は、すすぎ工程では、給水弁11を所定時間開いて外槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが洗濯槽7内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部24が排水すると、すすぎ工程が終了する。すすぎ工程は、複数回繰り返されてもよい。制御部24は、脱水工程では、排水弁12を開いた状態で、洗濯槽7を脱水回転させる。洗濯槽7の脱水回転により生じた遠心力によって、洗濯槽7内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路5から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。
【0032】
制御部24は、乾燥工程では、送風部21および加熱部22によって熱風を発生させて洗濯槽7と循環路20との間で循環させ、洗濯槽7内の洗濯物Lに供給する。これにより、洗濯物Lが乾燥する。洗濯運転ではリントなどの異物が発生して、この異物が乾燥工程中において熱風に乗って流れる。異物が加熱部22の放熱部22Aに付着して蓄積すると、加熱部22での加熱効率の低下や循環路20における空気の流れの悪化に伴う性能低下が生じるおそれがあるので、この異物を捕獲する必要がある。そこで、乾燥ユニット9は、フィルタ部材25と、噴射部26と、分岐路27と、注水弁28とをさらに含む。以下では、乾燥ユニット9を構成する送風部21および循環路20について詳しく説明した後に、フィルタ部材25、噴射部26、分岐路27および注水弁28について説明する。
【0033】
図2は、外槽3および乾燥ユニット9を後側Y2から見た斜視図である。送風部21は、回転羽根23を収容した中空円盤状のケーシング29を含む。ケーシング29は、循環路20の一部であり、ケーシング29の内部空間は、循環路20内における途中部分20Aと後部分20Bとの接続部を構成する。
【0034】
図3は、外槽3および乾燥ユニット9の分解斜視図である。循環路20は、後部分20Bのほとんどを占めるダクト30と、ケーシング29とダクト30とをつないだ接続ホース31とを含む。ダクト30は、本体32と、カバー33とを含む。本体32は、洗濯槽7の円周壁7Aの右上部分に沿って湾曲した湾曲壁32Aと、湾曲壁32Aの左端から右側X2へ延びる天壁32Bと、天壁32Bの右端から屈折しながら下側Z2へ延びて湾曲壁32Aの右端に接続された側壁32Cと、湾曲壁32A、天壁32Bおよび側壁32Cのそれぞれの前端に接続された前壁32Dとを有する。本体32には、湾曲壁32A、天壁32Bおよび側壁32Cによって囲まれて前壁32Dによって前側Y1から塞がれた上空間32Eが形成される。天壁32Bの上面の左領域には、上側Z1へ突出した円筒状の上連結部32Fが設けられる。上連結部32Fの内部空間は、上空間32Eに上側Z1から連通した状態にある。上空間32Eおよび上連結部32Fの内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。
【0035】
本体32は、湾曲壁32Aの後端から下側Z2かつ軸線J側へ延びる縦壁32Gと、縦壁32Gにおいて湾曲壁32Aに接続された上端縁以外の外縁から後側Y2へ立ち上がった外壁32Hとをさらに含む。縦壁32Gは、前後方向Yに一致した板厚方向を有する。前述した取出口20Dは、2つ存在し、縦壁32Gの下端部において、軸線Jまわりの周方向Sに並んで形成される。それぞれの取出口20Dは、周方向Sに長い長穴であって、縦壁32Gを前後方向Yに貫通する。縦壁32Gには、取出口20Dを縁取りつつ前側Y1へ突出した筒状の下連結部32Iが、それぞれの取出口20Dに応じて1つずつ設けられる。外槽3の背面壁3Bの上部には、取出口20Dと同形状の2つの貫通孔3Kが形成される。それぞれの下連結部32Iは、対応する貫通孔3Kに後側Y2から嵌め込まれる。これにより、取出口20Dは、背面壁3Bに接続されて外槽3内に連通する。
【0036】
縦壁32Gの後面には、後側Y2へ突出したガイドリブ32Jが設けられる。ガイドリブ32Jは、縦壁32Gの上端において右側X2に偏った位置から右の取出口20Dの手前まで上下方向Zに沿って直線状に延びる。外壁32Hは、背面視で略U字状に形成され、その内側に下空間32Kを区画する。下空間32Kは、前後方向Yに扁平であって、縦壁32Gによって前側Y1から塞がれ、上空間32Eの後端部に下側Z2から連通した状態にある。下空間32Kは、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。上空間32Eには、ガイドリブ32Jの上端に連続して前側Y1へ延びる仕切り32Lが設けられる(
図2も参照)。
【0037】
カバー33は、背面視における本体32とほぼ一致した形状を有する板状であって、前後方向Yに一致した板厚方向を有する。カバー33は、ボルトなどの締結部材(図示せず)によって本体32に対して着脱可能に取り付けられる。本体32に取り付けられた状態におけるカバー33は、本体32の上空間32Eおよび下空間32Kを後側Y2から塞ぐ。
【0038】
接続ホース31は、例えばゴム製の円筒であり、その内部空間は、上側Z1および下側Z2に開放される。接続ホース31の略下半分は、蛇腹部31Aである。接続ホース31の略上半分の外周面には、左側X1へ突出した円管状の管部31Bが設けられる。接続ホース31の下部は、ダクト30の上連結部32Fに対して外嵌される。接続ホース31の上部は、フィルタ部材25を介して送風部21のケーシング29に連結されるが、詳しくは後述する。接続ホース31の内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。
【0039】
フィルタ部材25は、上側Z1および下側Z2に開放された内部空間を有する円筒部25Aと、フィルタ部材25の上端から円筒部25Aの径方向外側へ張り出した円環状の外フランジ部25Bとを含む。円筒部25Aの左端には、円筒部25Aの下端から上側Z1へ窪んだ切欠き25Cが形成される。フィルタ部材25の底面図である
図4を参照して、円筒部25Aの内周面の上下方向Zにおける途中には、フィルタ部材25の径方向内側へ張り出した円環状の内フランジ部25Dが設けられる。フィルタ部材25には、内フランジ部25Dの内周縁によって取り囲まれた丸穴25Eに配置された乾燥フィルタ40が設けられる。乾燥フィルタ40は、丸穴25Eと同じ大きさを有する円板状であり、丸穴25Eの全域にわたって設けられる。乾燥フィルタ40は、
図4に示すように内フランジ部25Dと一体形成された格子であってもよいし、接着などによって内フランジ部25Dに取り付けられたメッシュシートであってもよい。
図4の乾燥フィルタ40では、下面部40Aが大きく図示される。下面部40Aは、格子の目または網目が多数形成された平坦面であり、内フランジ部25Dの下面に連続する。
【0040】
フィルタ部材25の円筒部25Aの内周面において、その周方向Pにおける切欠き25Cの両側には、乾燥フィルタ40へ向けて延びる縦壁25Fが1つずつ、つまり合計で一対設けられる。一対の縦壁25Fは、底面視において、一旦離れてから接近するようにL字状に折れ曲がって形成される。それぞれの縦壁25Fの上端は、内フランジ部25Dの下面に接続される。
【0041】
内フランジ部25Dの下面において径方向内側つまり乾燥フィルタ40側に偏った領域には、下側Z2へ突出したリブ状の第1水ガイド部25Gが複数設けられる。これらの第1水ガイド部25Gは、底面視において、切欠き25Cを基準として放射状かつ直線状に延び、一対の縦壁25Fの間において周方向Pに略等間隔で並んで配置される。周方向Pにおける両端に位置する第1水ガイド部25Gは、一対の縦壁25Fにおける乾燥フィルタ40側の端部にそれぞれ接続される。それぞれの第1水ガイド部25Gは、底面視において、内フランジ部25Dの内周縁と円筒部25Aの内周面との間に配置され、内フランジ部25Dの内周縁および円筒部25Aの内周面から離れて配置される。それぞれの第1水ガイド部25Gの下端と、それぞれの縦壁25Fの下端とは、同じ高さ位置に配置される。
【0042】
円筒部25Aの内周面には、内フランジ部25Dの内周縁の手前まで突出した突出部25Hが設けられる。例えば3つの突出部25Hが、周方向Pに等間隔で並んで設けられる。突出部25Hは、周方向Pに並ぶ複数の第1水ガイド部25Gにおいて両端に位置する2つの第1水ガイド部25Gのそれぞれに隣接する位置や、乾燥フィルタ40に対する切欠き25Cの反対側の位置に1つずつ設けられる。それぞれの突出部25Hの下面には、ねじ穴25Iが形成される。
【0043】
フィルタ部材25は、外フランジ部25Bに形成された貫通孔25Jを通って送風部21のケーシング29に組み付けられる締結部材(図示せず)によって、ケーシング29に対して下側Z2から固定される(
図3参照)。フィルタ部材25とケーシング29とは別部品でなく、1つの部品であってもよい。接続ホース31の上部は、フィルタ部材25の円筒部25Aに対して外嵌され、この状態において、円筒部25Aの切欠き25Cは、接続ホース31の内側から接続ホース31の管部31Bの内部空間に連通する(
図3参照)。円筒部25Aの内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成し、ケーシング29の内部空間と接続ホース31の内部空間とを中継する。
【0044】
図5は、噴射部26の平面図である。噴射部26は、上側Z1および下側Z2に開放された内部空間を有する円筒部26Aと、円筒部26Aの周上1箇所に設けられて円筒部26Aの径方向Rにおける外側へ張り出した円弧状の張出部26Bとを含む。円筒部26Aの略上半分の内径は、乾燥フィルタ40の外径とほぼ同じである。円筒部26Aの略下半分は、下側Z2へ向かうにつれて縮径される(
図3参照)。円筒部26Aの略下半分の内周面は、下側Z2へ向かうにつれて縮径されたテーパ状の第1異物ガイド部26Cである。円筒部26Aの上端には、その周方向Qにおいて張出部26Bと同じ位置にある部分だけを切り欠いた噴射口26Dが形成される。噴射口26Dは、周方向Qに沿って円弧状に延びるスリットである。周方向Qにおける噴射口26Dの中央部における円筒部26Aの上端面には、上側Z1へ僅かに盛り上がった第2水ガイド部26Eが形成される。円筒部26Aの上端には、噴射口26Dを周方向Qの両側から挟んだ一対の第3水ガイド部26Fが設けられる。一対の第3水ガイド部26Fは、互いに接近するように延び、それぞれの先端は、噴射口26Dから径方向Rの外側へはみ出して配置される。
【0045】
張出部26Bの上面26Gは、噴射口26Dにおける円筒部26Aの上端面よりも低い位置に配置されて周方向Qに沿って円弧状に延びる平坦面である。上面26Gにおいて径方向Rの外側へ偏った位置には、下側Z2へ窪んだ溝26Hが形成される。溝26Hは、周方向Qに沿って円弧状に延びる。上面26Gにおいて径方向Rにおける外側の周縁には、溝26Hを縁取りつつ上側Z1へ突出したリブ26Iが形成される。周方向Qにおけるリブ26Iの両端部は、互いに接近するように折り曲げられる。張出部26Bにおいて径方向Rにおける外側の外周面には、当該外側へ直線状に延びる円管状の管部26Jが設けられる。管部26Jの内部空間は、周方向Qにおける溝26Hの中央部の下部に連通した状態にある。
【0046】
円筒部26Aの外周面には、径方向Rの外側へ突出した突出部26Kが設けられる。例えば3つの突出部26Kが、周方向Qに等間隔で並んで設けられ、そのうちの2つの突出部26Kは、周方向Qにおける張出部26Bの両側に1つずつ設けられる。それぞれの突出部26Kには、突出部26Kを上下方向Zに貫通した貫通孔26Lが形成される。
【0047】
図6は、組み合わされたフィルタ部材25および噴射部26の底面図である。噴射部26は、フィルタ部材25に下側Z2から組み付けられる。
図7は、
図6のA-A矢視断面図である。噴射部26の円筒部26Aは、フィルタ部材25の円筒部25A内に嵌め込まれ、円筒部25Aの周方向Pと円筒部26Aの周方向Qとが一致する。円筒部26Aにおけるそれぞれの突出部26Kが、円筒部25Aにおけるいずれか1つの突出部25Hの真下に配置される。締結部材41(後述する
図11参照)が突出部26Kの貫通孔26Lを通って突出部25Hのねじ穴25Iに組み付けられることにより、噴射部26がフィルタ部材25に固定される。円筒部26Aの内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。
【0048】
フィルタ部材25に固定された噴射部26では、円筒部26Aの上端面が、噴射口26D以外の全域にわたって、フィルタ部材25の内フランジ部25Dの下面に接触した状態にある。底面視において、乾燥フィルタ40の下面部40Aは、円筒部26Aの内側に配置される(
図6参照)。
【0049】
図8は、
図7のB-B矢視断面図である。
図9は、
図8において2点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。噴射口26Dは、内フランジ部25Dにおける平坦な下面によって上側Z1から塞がれた状態にあり、周方向Pに沿って細長く延びる。噴射口26Dにおいて、周方向Pにおける中央部を第1領域26DAといい、第1領域26DAの両外側の部分を第2領域26DBという。第1領域26DAは、円筒部26Aの上端面において上側Z1へ盛り上がった第2水ガイド部26Eと周方向Pにおいて一致し、第2領域26DBは、円筒部26Aの上端面において第2水ガイド部26Eから外れた部分と一致する。そのため、第1領域26DAは、第2領域26DBよりも上側Z1へ絞られた状態にあり、上下方向Zにおいて第2領域26DBよりも狭い。
【0050】
図10は、
図7において2点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。内フランジ部25Dの下面に設けられた縦壁25Fおよび第1水ガイド部25G(
図4参照)のそれぞれの下端は、噴射部26の張出部26Bの上面26Gにおいて溝26Hよりも径方向Rの内側の領域に上側Z1から接触した状態にある。一対の縦壁25Fは、上面26Gに設けられたリブ26Iを周方向Pから挟み、周方向Pにおける両端に位置する第1水ガイド部25Gは、円筒部26Aにおいて噴射口26Dを挟んだ一対の第3水ガイド部26Fの先端に1つずつ連続した状態にある(
図5参照)。
【0051】
張出部26Bの上面26Gと、内フランジ部25Dの下面において上面26Gの真上にある部分との間には、中継スペース42が形成される。中継スペース42は、底面視において、周方向Pに沿って延びる円弧状の空間である(
図6参照)。中継スペース42において径方向Rの外側に位置する外側スペース42Aは、溝26Hに真上から連通した状態にある。中継スペース42において径方向Rの内側に位置する内側スペース42Bの上端は、噴射口26Dに径方向Rの外側から連通した状態にある。このように、中継スペース42は、溝26Hと噴射口26Dとを中継する。内側スペース42Bには、前述した複数の第1水ガイド部25Gが周方向Pに並んで配置される(
図5参照)。中継スペース42は、一対の縦壁25Fと、それぞれの縦壁25Fに連続した第1水ガイド部25Gとによって、周方向Pの両側から塞がれ、リブ26Iによって径方向Rの外側から塞がれた状態にある(
図5参照)。
【0052】
図11は、乾燥ユニット9の縦断面後側面図である。フィルタ部材25および噴射部26は、乾燥フィルタ40の下面部40Aが水平方向Hに対して傾斜するように配置される。一例として、この実施形態では、下面部40Aは、左端が上端40Bとなり、右端が下端40Cとなるように傾斜して配置される。乾燥フィルタ40は、循環路20内において加熱部22および送風部21の回転羽根23よりも取出口20D側つまり上流側に設けられる(
図1参照)。噴射部26の噴射口26Dは、下面部40Aに上端40Bに左側X1から臨んで配置される。噴射部26の管部26Jでは、根元部がフィルタ部材25の円筒部25Aの切欠き25Cに下側Z2から嵌まり込み、先端部が切欠き25Cおよび接続ホース31の管部31B内を通って径方向Rの外側へ引き出された状態にある。
【0053】
分岐路27は、給水路4において給水弁11よりも蛇口に近い上流部から分岐し、噴射部26の管部26Jの先端部に接続される(
図1参照)。注水弁28は、分岐路27に設けられる(
図1参照)。注水弁28は、給水路4から分岐路27に流れる水を管部26Jに供給したり、その供給を停止したりするために開閉される。注水弁28の開閉は、制御部24(
図1参照)によって制御される。
【0054】
乾燥工程では、前述したように送風部21および加熱部22によって熱風が発生して循環する。この熱風は、循環路20内において取出口20Dから戻し口20Eへ向かい、その途中の後部分20Bでは上昇しながら乾燥フィルタ40を通過する(
図1の太い破線の矢印参照)。乾燥フィルタ40の下面部40Aは、この熱風から異物Tを捕獲する。そのため、乾燥工程が進むにつれて、異物Tが下面部40Aに溜まっていく。これにより、循環路20内において乾燥フィルタ40よりも取出口20Dから下流側に離れて設けられた加熱部22に異物Tが付着することを抑制できる。
【0055】
制御部24は、乾燥工程後つまり洗濯乾燥運転終了後に、注水弁28を開く。なお、給水弁11が給水路4における分岐路27の分岐位置よりも蛇口に近い上流側に設けられてもよく、その場合には、制御部24は、給水弁11および注水弁28の両方を開く。蛇口からの水は、給水路4および分岐路27を経由して噴射部26に供給される。
【0056】
噴射部26に供給された水は、管部26J内に流れ込み、溝26Hおよび中継スペース42を順に通って、噴射口26Dから下面部40Aの上端40Bに向けて噴射される(破線矢印Vを参照)。中継スペース42の内側スペース42Bを流れる水は、隣り合う第1水ガイド部25Gの間を通過し、その際、第1水ガイド部25Gおよび第3水ガイド部26Fによって、噴射口26Dの全域に広げられる(
図5参照)。また、噴射口26Dでは、中央の第1領域26DAだけが第2水ガイド部26Eによって絞られるように構成される(
図9参照)。これにより、噴射口26Dを流れる水の勢いが第1領域26DAにおいて強まるとともに、噴射口26Dにおいて第1領域26DAだけでなく第2領域26DBにも水が行き渡るように水量が調整される。以上の結果、噴射部26内の水は、乾燥フィルタ40の下面部40Aに沿って扇状に広がるように第1水ガイド部25G、第2水ガイド部26Eおよび第3水ガイド部26Fによってガイドされながら、噴射口26Dから勢いよく噴射される(
図5の太い破線矢印および
図1の水Wを参照)。
【0057】
乾燥フィルタ40の下面部40Aに溜まった異物Tは、このように噴射口26Dから噴射された水の勢いや異物Tの自重によって下面部40Aから引き剥がされ、噴射部26の円筒部26A内で落下する。特に、噴射口26Dから噴射された水は、下面部40Aに沿って扇状に広がることによって、下面部40Aにおける異物Tをまとめて引き剥がす。落下する異物Tは、円筒部26Aにおけるテーパ状の第1異物ガイド部26Cによって、ダクト30において円筒部26Aの真下に位置する上連結部32F内に向けてガイドされる。これにより、下面部40Aから剥がれ落ちた異物Tは、散らばって接続ホース31の蛇腹部31Aに挟まることなく、上連結部32F内を通ってダクト30の上空間32Eに落下し、ダクト30の本体32における湾曲壁32Aの上面に載る。湾曲壁32Aの上面は、第2異物ガイド部32Mであり、ダクト30の下空間32Kへ向けて下降するように傾斜する(
図2参照)。異物Tは、第2異物ガイド部32Mによって下空間32Kにガイドされてスムーズに取出口20Dに到達する。その際、前述した仕切り32Lおよびガイドリブ32J(
図3参照)も、第2異物ガイド部32Mと同様に異物Tをガイドしてもよい。取出口20Dに到達した異物Tは、取出口20Dから外槽3内に落下する。噴射口26Dから乾燥フィルタ40の下面部40Aに噴射された水も、異物Tと同様に、ダクト30から外槽3内に落下し、外槽3内に溜まる。
【0058】
注水弁28が開いてから所定時間が経過すると、制御部24は、注水弁28を閉じることによって噴射部26での水の噴射を停止して、排水弁12を開く。なお、噴射部26での水の噴射中において排水弁12は、常に開かれた状態にあってもよい。排水弁12が開くと、外槽3内に溜まった水が、異物Tを乗せて排水路5に流れ込む。その際、異物Tは、排水フィルタ6(
図1参照)によって捕獲される。排水フィルタ6によって捕獲された異物Tは、適当なタイミングにおいて使用者が排水フィルタ6を取り外してメンテナンスする際に除去される。
【0059】
以上のように、洗濯乾燥機1が乾燥フィルタ40の自動メンテナンス機能を有するので、使用者が乾燥フィルタ40を取り外してメンテナンスする作業が不要である。よって、乾燥フィルタ40に関するメンテナンス性の向上を図れる。そのため、乾燥フィルタ40は、取り外し可能でなくてもよいので、着脱式の乾燥フィルタよりも構造の簡素化やコストダウンを図れる。また、着脱式の乾燥フィルタの場合に使用者がメンテナンスを忘れると、前述した性能低下が生じ得るが、自動メンテナンス機能を有する洗濯乾燥機1では、メンテナンス忘れによる性能低下を回避できる。また、着脱式の乾燥フィルタの場合に必要な配置スペースを別の用途に活用できるので、例えば加熱部22や回転羽根23を大型化して性能向上を図れる。
【0060】
噴射部26は、乾燥フィルタ40において水平方向Hに対して傾斜して配置された下面部40Aの上端40Bに向けて水を噴射する。そして、噴射部26の噴射口26Dから噴射された水は、乾燥フィルタ40の下面部40Aに沿って広がる(
図5の太い破線矢印を参照)。そのため、下面部40Aに溜まった異物Tを残さずに下面部40Aから剥がすことができる。よって、乾燥フィルタ40に関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0061】
さらに、噴射部26から噴射された水によって乾燥フィルタ40の下面部40Aから剥がれ落ちる異物Tは、第1異物ガイド部26Cおよび第2異物ガイド部32Mによって取出口20Dへ向けてガイドされる。そのため、乾燥フィルタ40の下面部40Aで捕獲された異物Tを、乾燥フィルタ40に再付着しないように、取出口20Dから外槽3内へ排出することができる。よって、乾燥フィルタ40に関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0062】
乾燥フィルタ40の自動メンテナンスの一環として、制御部24は、噴射部26での水の噴射を停止した後に、送風部21によって外槽3内の空気を循環させる。異物Tの除去のために先ほど水が噴射されて濡れた乾燥フィルタ40は、外槽3から循環路20に流れ込む空気が浴びせられることによって乾燥する。なお、加熱部22も作動することによって、熱風が循環してもよく、これにより、乾燥フィルタ40の乾燥が促進される。このように使用者が乾燥フィルタ40を乾燥させなくてもよいので、乾燥フィルタ40に関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0063】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、前述した実施形態におけるドラム式の洗濯乾燥機1では、軸線Jが水平方向Hに傾斜するように洗濯槽7が配置されてもよい。また、洗濯乾燥機1は、軸線Jが縦に延びる縦型の洗濯乾燥機であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 洗濯乾燥機
2 筐体
3 外槽
6 排水フィルタ
7 洗濯槽
20 循環路
20D 取出口
20E 戻し口
21 送風部
22 加熱部
25G 第1水ガイド部
26 噴射部
26C 第1異物ガイド部
26D 噴射口
26E 第2水ガイド部
26F 第3水ガイド部
32M 第2異物ガイド部
40 乾燥フィルタ
40A 下面部
40B 上端
H 水平方向
L 洗濯物
T 異物
W 水