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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/02 20060101AFI20230427BHJP
   B43K 1/12 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B43K8/02 150
B43K1/12 B
B43K8/02 100
B43K8/02 110
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018238576
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020100031
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】飯島 達也
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134736(JP,A)
【文献】特開2010-094907(JP,A)
【文献】特開2018-118519(JP,A)
【文献】実開昭62-009579(JP,U)
【文献】特開2018-103429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 8/02
B43K 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質体からなる筆記芯と、該筆記芯を保持する板状保持部を備えた保持体とを有する筆記具であって、
前記板状保持部が板厚方向に可撓性を有し、
前記板状保持部は、2つの板面と、前記板面の前面及び両側面を包囲し且つ板厚方向に形成される板厚面とを備え、
前記板厚面の前端面と2つの側面には、前記筆記芯が保持される保持溝が形成され、
前記筆記芯が前記保持溝に嵌合され
前記筆記芯は、直線状の筆記部を備え、
前記板状保持部の前記2つの板面が板厚方向の深さを有する凹部を備え、
前記凹部を形成する溝が前記筆記部と平行に形成されることを特徴とする筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。詳細には、多孔質体からなる筆記芯と、該筆記芯を保持する板状の保持体とを備えた筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、多孔質体からなる筆記芯と、筆記芯を保持する保持体とからなる筆記部が構成される筆記具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-34508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の筆記具は、筆記感が硬く、その上、紙面に確実に接触できず、筆記角度(筆記時の紙面と筆記具本体の軸線とがなす角度)の違いにより適正に紙面と接触せず、所望の筆跡幅が得られないおそれがある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、ソフトな筆記感が得られるとともに、筆記時の筆記角度のばらつきを吸収して、所望の筆跡幅が得られる筆記具を提供しようとするものである。
尚、本発明で、「前」とは、筆記部側を指し、「後」とは、その反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、多孔質体からなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する板状保持部31を備えた保持体3とを有する筆記具であって、前記板状保持部31が板厚方向に可撓性を有することを要件とする。
【0007】
前記本願発明の筆記具1は、前記構成により、ソフトな筆記感が得られるとともに、筆記時の筆記角度の違いによらず、筆記角度のばらつきを吸収し、所望の筆跡幅が得られる。
【0008】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の筆記具において、前記板状保持部31が板厚方向の深さを有する凹部31aを備えることを要件とする。
【0009】
前記第2の発明の筆記具1は、前記構成により、板状保持部31が板厚方向の適度な可撓性を有することができる。前記凹部31aは、例えば、溝、窪みが挙げられる。前記凹部31aは、単一または複数、設けられる。前記凹部31aは、両方の板面に設けられることが好ましいが、板面の片方のみに設けることもできる。
【0010】
本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記板状保持部31が板厚方向に貫通された貫通孔31bを備えることを要件とする。
【0011】
前記第3の発明の筆記具1は、前記構成により、板状保持部31が板厚方向の適度な可撓性を有するとともに、貫通孔31bを介して筆記時の筆記芯2と紙面との接触状態を視認することができる。前記貫通孔31bは、1個または複数個が設けられる。
【0012】
本願の第4の発明は、前記第1乃至第3の発明の筆記具において、前記板状保持部31が弾性を有する合成樹脂からなることを要件とする。
【0013】
前記第4の発明の筆記具1は、前記構成により、板状保持部31が板厚方向の可撓性を確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の筆記具は、ソフトな筆記感が得られるとともに、筆記時の筆記角度のばらつきを吸収して、所望の筆跡幅が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態の筆記具の正面図である。
図2図1の縦断面図である。
図3図2の要部拡大縦断面図である。
図4図1の要部拡大斜視図である。
図5図1の保持体の斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態の筆記具の正面図である。
図7図6の縦断面図である。
図8図7の要部拡大縦断面図である。
図9図6の要部拡大斜視図である。
図10図6の保持体の斜視図である。
図11】本発明の第3の実施の形態の筆記具の正面図である。
図12図11の縦断面図である。
図13図12の要部拡大縦断面図である。
図14図11の要部拡大斜視図である。
図15図11の保持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1乃至図5に示す。
【0017】
本実施の形態の筆記具1は、多孔質体よりなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する保持体3と、該保持体3が固着される軸筒4と、該軸筒4内に収容されるインキ吸蔵体5とを備える。
【0018】
・筆記芯
筆記芯2は、多孔質体からなる。多孔質体は、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、合成樹脂の多孔質気泡体等が挙げられる。
【0019】
筆記芯2は、略コの字状に形成され、直線状の筆記部21と、筆記部21の両端より後方に延びる2本のインキ誘導部22とからなる。2本のインキ誘導部22の後端がインキ吸蔵体5の前端部に突き刺し接続される。筆記部21は、軸線に対する垂直面より僅かに傾斜されて形成される。筆記部21を紙面に接触させ、紙面上を移動させ筆記することにより、一定の筆記幅を有する筆跡を得ることができる。筆記部21は、軸線に対する垂直面より10度~30度の傾斜されることが筆記時の筆記具本体を把持しやすいことから好ましい。
【0020】
・保持体
保持体3は、合成樹脂の成形体により得られる。保持体3は、板状保持部31と、該板状保持部31の後端に一体に形成され且つ径方向外方に突出する鍔部32と、該鍔部32より後方に一体に形成される筒状の取付部33とからなる。
【0021】
保持体3を構成する材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂が例示できる。また、保持体3を構成する材料は、弾性を有する合成樹脂を採用することができ、該弾性を有する合成樹脂は、例えば、軟質ポリエチレン、軟質ポリプロピレン、ナイロン、ゴム弾性材料(例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー)が挙げられる。また、前記保持体3を構成する合成樹脂は、透明性を有する樹脂であってもよく、それにより、筆記時の筆記芯2と紙面との接触状態を視認することができる。
【0022】
・板状保持部
板状保持部31は、2つの板面311と、該板面311の前面及び両側面を包囲し且つ板厚方向に形成される板厚面312とを備える。板状保持部31の板厚面312で筆記芯2が保持される。
【0023】
板面311は、板厚面312を挟むように両側に設けられる。各々の板面311は、板厚面312と略垂直な面(即ち板厚方向と略直交する面)により形成される。板面311の形状は、1つの鈍角と3つの鋭角を有する4角形状を呈し、前端側に鈍角を有する。板面311の4角形状は、前端の辺が軸線に対する垂直面より僅かに傾斜されて形成され、後端の辺が軸線に対する垂直に形成され、板面311の両側の辺は軸線に対して平行または僅かに傾斜し後方に向かうに従い互いに離隔するテーパ状に形成される。板面311の前端の辺は、筆記部21と同じ角度(即ち、軸線に対する垂直面より10度~30度)に傾斜される。
【0024】
2つの板面311には、凹部31aとして例えば複数本の溝が形成される。溝は筆記部21と平行に形成される。凹部31a(溝)は、板厚面312を二等分する板厚方向と直交する仮想切断面に対して対称に形成される。凹部31a(溝)により板状保持部31に薄肉箇所が形成され、板状保持部31の板厚方向の適度な可撓性が得られる。尚、凹部31aは、複数の溝の他、1つまたは複数の窪みであってもよい。
【0025】
板厚面312には、筆記芯2が保持される保持溝31cが形成される。保持溝31cは、板厚面312の前端面と2つの側面に形成される。前端面の保持溝31cに筆記芯2の筆記部21が嵌合され、2つの側面の保持溝31cに2つのインキ誘導部22が嵌合される。
【0026】
保持体3の取付部の外面及び鍔部32の外面には、長手方向に延びる空気溝331が形成される。空気溝331は長手方向に貫通される。空気溝331は複数本が設けられるが、1本でもよい。
【0027】
・軸筒
軸筒4は、前軸41と、該前軸41の後端部が前端部に接続される後軸42とからなる。前軸41は、円筒体であり、合成樹脂(例えばポリプロピレン)の成形体により得られる。前軸41の前端開口部の内面に、筆記芯2を備えた保持体3の取付部33の外面が嵌合固定される。保持体3の鍔部32の後面が前軸41の前端に当接される。
【0028】
後軸42は、有底円筒体であり、合成樹脂(例えばポリプロピレン)の成形体により得られる。後軸42の内部には、繊維束の加工体からなるインキ吸蔵体5が収容される。インキ吸蔵体5内部にインキが含浸される。
【0029】
本実施の形態の筆記具1は、多孔質体からなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する板状保持部31を備えた保持体3とを有する筆記具であって、前記保持体3の板状保持部31が板厚方向に可撓性を有することにより、ソフトな筆記感が得られるとともに、筆記時の筆記角度の違いによらず、筆記角度のばらつきを吸収し、所望の筆跡幅が得られる。
【0030】
本実施の形態の筆記具1は、板状保持部31が板厚方向の深さを有する凹部31aを備えることにより、板状保持部31が板厚方向の適度な可撓性を有することができる。
【0031】
本実施の形態の筆記具1は、板状保持部31が弾性を有する合成樹脂からなることにより、板状保持部31が板厚方向の可撓性を確実に得ることができる。
【0032】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図6乃至図10に示す。
【0033】
本実施の形態の筆記具1は、多孔質体よりなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する保持体3と、該保持体3が固着される軸筒4と、該軸筒4内に収容されるインキ吸蔵体5とを備える。
【0034】
・筆記芯
筆記芯2は、多孔質体からなる。多孔質体は、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、合成樹脂の多孔質気泡体等が挙げられる。
【0035】
筆記芯2は、略コの字状に形成され、直線状の筆記部21と、筆記部21の両端より後方に延びる2本のインキ誘導部22とからなる。2本のインキ誘導部22の後端がインキ吸蔵体5の前端部に突き刺し接続される。筆記部21は、軸線に対する垂直面より僅かに傾斜されて形成される。筆記部21を紙面に接触させ、紙面上を移動させ筆記することにより、一定の筆記幅を有する筆跡を得ることができる。筆記部21は、軸線に対する垂直面より10度~30度の傾斜されることが筆記時の筆記具本体を把持しやすいことから好ましい。
【0036】
・保持体
保持体3は、合成樹脂の成形体により得られる。保持体3は、板状保持部31と、該板状保持部31の後端に一体に形成され且つ径方向外方に突出する鍔部32と、該鍔部32より後方に一体に形成される筒状の取付部33とからなる。
【0037】
保持体3を構成する材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂が例示できる。また、保持体3を構成する材料は、弾性を有する合成樹脂を採用することができ、該弾性を有する合成樹脂は、例えば、軟質ポリエチレン、軟質ポリプロピレン、ナイロン、ゴム弾性材料(例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー)が挙げられる。また、前記保持体3を構成する合成樹脂は、透明性を有する樹脂であってもよく、それにより、筆記時の筆記芯2と紙面との接触状態を視認することができる。
【0038】
・板状保持部
板状保持部31は、2つの板面311と、該板面311の前面及び両側面を包囲し且つ板厚方向に形成される板厚面312とを備える。板状保持部31の板厚面312で筆記芯2が保持される。
【0039】
板面311は、板厚面312を挟むように両側に設けられる。各々の板面311は、板厚面312と略垂直な面(即ち板厚方向と略直交する面)により形成される。板面311の形状は、1つの鈍角と3つの鋭角を有する4角形状を呈し、前端側に鈍角を有する。板面311の4角形状は、前端の辺が軸線に対する垂直面より僅かに傾斜されて形成され、後端の辺が軸線に対する垂直に形成され、板面311の両側の辺は軸線に対して平行または僅かに傾斜し後方に向かうに従い互いに離隔するテーパ状に形成される。板面311の前端の辺は、筆記部21と同じ角度(即ち、軸線に対する垂直面より10度~30度)に傾斜される。
【0040】
2つの板面311には、板厚方向に貫通する1個の貫通孔31bが設けられる。貫通孔31bの形状は、板面311の4角形形状の各辺から一定の距離を置いて形成され、板面311の四角形形状と略相似形状を有する。貫通孔31bにより、板状保持部31が、前端の筆記部21と後端の底部とが2本の側板部に連設された形状を有する。それにより、板状保持部31の板厚方向の適度な可撓性が得られる。尚、貫通孔31bは、複数設けることもできる。
【0041】
また、側板部の板面311に、第1の実施の形態と同様の凹部31a(溝)を形成し、板面311に貫通孔31bと凹部31a(溝)を設けることにより、より一層容易に、板厚方向の可撓性を得ることができる。
【0042】
板厚面312には、筆記芯2が保持される保持溝31cが形成される。保持溝31cは、板厚面312の前端面と2つの側面に形成される。前端面の保持溝31cに筆記芯2の筆記部21が嵌合され、2つの側面の保持溝31cに2つのインキ誘導部22が嵌合される。
【0043】
保持体3の取付部33の外面及び鍔部32の外面には、長手方向に延びる空気溝331が形成される。空気溝331は長手方向に貫通される。空気溝331は複数本が設けられるが、1本でもよい。
【0044】
・軸筒
軸筒4は、前軸41と、該前軸41の後端部が前端部に接続される後軸42とからなる。前軸41は、円筒体であり、合成樹脂(例えばポリプロピレン)の成形体により得られる。前軸41の前端開口部の内面に、筆記芯2を備えた保持体3の取付部33の外面が嵌合固定される。保持体3の鍔部32の後面が前軸41の前端に当接される。
【0045】
後軸42は、有底円筒体であり、合成樹脂(例えばポリプロピレン)の成形体により得られる。後軸42の内部には、繊維束の加工体からなるインキ吸蔵体5が収容される。インキ吸蔵体5内部にインキが含浸される。
【0046】
本実施の形態の筆記具1は、多孔質体からなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する板状保持部31を備えた保持体3とを有する筆記具であって、前記板状保持部31が板厚方向に可撓性を有することにより、ソフトな筆記感が得られるとともに、筆記時の筆記角度の違いによらず、筆記角度のばらつきを吸収し、所望の筆跡幅が得られる。
【0047】
本実施の形態の筆記具1は、板状保持部31が、板厚方向に貫通された貫通孔31bを備えることにより、板状保持部31が板厚方向の適度な可撓性を有するとともに、貫通孔31bを介して筆記時の筆記芯2と紙面との接触状態を視認することができる。
【0048】
本実施の形態の筆記具1は、板状保持部31が弾性を有する合成樹脂からなることにより、板状保持部31が板厚方向の可撓性を確実に得ることができる。
【0049】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図11乃至図15に示す。
【0050】
本実施の形態の筆記具1は、多孔質体よりなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する保持体3と、該保持体3が固着される軸筒4と、該軸筒4内に収容されるインキ吸蔵体5とを備える。
【0051】
・筆記芯
筆記芯2は、多孔質体からなる。多孔質体は、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、合成樹脂の多孔質気泡体等が挙げられる。
【0052】
筆記芯2は、略コの字状に形成され、直線状の筆記部21と、筆記部21の両端より後方に延びる2本のインキ誘導部22とからなる。2本のインキ誘導部22の後端がインキ吸蔵体5の前端部に突き刺し接続される。筆記部21は、軸線に対する垂直面より僅かに傾斜されて形成される。具体的には、筆記部21は、軸線に対する垂直面より10度~30度の傾斜されることが筆記時の筆記具本体を把持しやすいことから好ましい。筆記部21を紙面に接触させ、紙面上を移動させ筆記することにより、一定の筆記幅を有する筆跡を得ることができる。
【0053】
・保持体
保持体3は、合成樹脂の成形体により得られる。保持体3は、板状保持部31と、該板状保持部31の後端に一体に形成され且つ径方向外方に突出する鍔部32と、該鍔部32より後方に一体に形成される筒状の取付部33とからなる。
【0054】
保持体3は、弾性を有する合成樹脂により形成される。弾性を有する合成樹脂は、例えば、軟質ポリエチレン、軟質ポリプロピレン、ナイロン、ゴム弾性材料(例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー)が挙げられる。また、前記保持体3を構成する合成樹脂は、透明性を有する樹脂であってもよく、それにより、筆記時の筆記芯2と紙面との接触状態を視認することができる。
【0055】
・板状保持部
板状保持部31は、2つの板面311と、該板面311の前面及び両側面を包囲し且つ板厚方向に形成される板厚面312とを備える。板状保持部31の板厚面312で筆記芯2が保持される。
【0056】
板面311は、板厚面312を挟むように両側に設けられる。各々の板面311は、板厚面312と略垂直な面(即ち板厚方向と略直交する面)により形成される。板面311の形状は、1つの鈍角と3つの鋭角を有する4角形状を呈し、前端側に鈍角を有する。板面311の4角形状は、前端の辺が軸線に対する垂直面より僅かに傾斜されて形成され、後端の辺が軸線に対する垂直に形成され、板面311の両側の辺は軸線に対して平行または僅かに傾斜し後方に向かうに従い互いに離隔するテーパ状に形成される。板面311の前端の辺は、筆記部21と同じ角度(即ち、軸線に対する垂直面より10度~30度)に傾斜される。
【0057】
板厚面312には、筆記芯2が保持される保持溝31cが形成される。保持溝31cは、板厚面312の前端面と2つの側面に形成される。前端面の保持溝31cに筆記芯2の筆記部21が嵌合され、2つの側面の保持溝31cに2つのインキ誘導部22が嵌合される。
【0058】
保持体3の取付部33の外面及び鍔部32の外面には、長手方向に延びる空気溝331が形成される。空気溝331は長手方向に貫通される。空気溝331は複数本が設けられるが、1本でもよい。
【0059】
・軸筒
軸筒4は、前軸41と、該前軸41の後端部が前端部に接続される後軸42とからなる。前軸41は、円筒体であり、合成樹脂(例えばポリプロピレン)の成形体により得られる。前軸41の前端開口部の内面に、筆記芯2を備えた保持体3の取付部33の外面が嵌合固定される。保持体3の鍔部32の後面が前軸41の前端に当接される。
【0060】
後軸42は、有底円筒体であり、合成樹脂(例えばポリプロピレン)の成形体により得られる。後軸42の内部には、繊維束の加工体からなるインキ吸蔵体5が収容される。インキ吸蔵体5内部にインキが含浸される。
【0061】
本実施の形態の筆記具1は、多孔質体からなる筆記芯2と、該筆記芯2を保持する板状保持部31を備えた保持体3とを有する筆記具であって、前記板状保持部31が板厚方向に可撓性を有することにより、ソフトな筆記感が得られるとともに、筆記時の筆記角度の違いによらず、筆記角度のばらつきを吸収し、所望の筆跡幅が得られる。
【0062】
本実施の形態の筆記具1は、板状保持部31が弾性を有する合成樹脂からなることにより、板状保持部31が板厚方向の可撓性を確実に得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 筆記具
2 筆記芯
21 筆記部
22 インキ誘導部
3 保持体
31 板状保持部
311 板面
312 板厚面
32 鍔部
33 取付部
331 空気溝
31a 凹部
31b 貫通孔
31c 保持溝
4 軸筒
41 前軸
42 後軸
5 インキ吸蔵体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15