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  • -鋳型およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】鋳型およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/10 20060101AFI20230427BHJP
   B22C 1/18 20060101ALI20230427BHJP
   B22C 1/02 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B22C1/10 A
B22C1/18 Z
B22C1/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018240323
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020093299
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2018230289
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000165000
【氏名又は名称】群栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】椎林 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 一毅
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 祐樹
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-249340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、水溶性のリン酸化合物とを含み、
前記耐火性粒状材料100質量部に対する、前記硫酸化合物の含有量が0.5~15質量部であり、前記リン酸化合物の含有量が0.1~5質量部であり、
下記の測定方法により求められる加熱減量(α)が1.0%以下である、鋳型。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め300℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(1)より加熱減量(α)を求める。
加熱減量(α)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(1)
【請求項2】
耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、水溶性のリン酸化合物とを含む砂組成物を造型した後に、下記の測定方法により求められる加熱減量(α)が1.0%以下になるまで加熱し、
前記耐火性粒状材料100質量部に対する、前記硫酸化合物の含有量が0.5~15質量部であり、前記リン酸化合物の含有量が0.1~5質量部である、鋳型の製造方法。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め300℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(1)より加熱減量(α)を求める。
加熱減量(α)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(1)
【請求項3】
耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、沸点が105℃以上のアルコールとを含み、
前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記アルコールの含有量が0.1~5質量部であり、
前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記硫酸化合物の含有量が0.5~15質量部であり、
下記の測定方法により求められる加熱減量(β)が0.5~3.5%である、鋳型。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め700℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(2)より加熱減量(β)を求める。
加熱減量(β)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(2)
【請求項4】
耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、沸点が105℃以上のアルコールとを含む砂組成物を造型した後に、下記の測定方法により求められる加熱減量(β)が0.5~3.5%になるまで加熱し、
前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記アルコールの含有量が0.1~5質量部であり、前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記硫酸化合物の含有量が0.5~15質量部である、鋳型の製造方法。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め700℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(2)より加熱減量(β)を求める。
加熱減量(β)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳造用鋳型(以下、単に「鋳型」ともいう。)には普通鋳型と特殊鋳型とがあり、普通鋳型には生型と乾燥型がある。一方、特殊鋳型には熱硬化鋳型、自硬性鋳型、ガス硬化鋳型がある。
鋳型の材料には珪砂などの耐火性粒状材料が用いられるが、耐火性粒状材料だけでは乾燥すると崩れやすいため粘結剤を加えて崩れにくくしている。
普通鋳型にはベントナイトなどの粘土が粘結剤として用いられる。一方、特殊鋳型にはフェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂などの有機粘結剤や、水ガラスなどの無機粘結剤が用いられる。
【0003】
各種方法により製造した鋳型には、鉄、銅、アルミニウム等の金属を高温で溶かした液体が注湯され、鋳物が得られる。鋳物は、鋳型を解体して取り出される。また、解体した鋳型から耐火性粒状材料を再生し、鋳型の製造に再利用するのが一般的である。
有機粘結剤を用いた鋳型は、解体時の崩壊性に優れる。しかし、注湯時に有機粘結剤が熱分解してガス(熱分解ガス)が発生しやすく、鋳物に欠陥が生じたり、作業環境が悪化したりしやすい。
一方、無機粘結剤を用いた鋳型は、無機粘結剤が熱分解しにくいため注湯時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい。しかし、無機粘結剤として水ガラスを用いた鋳型は、注湯後の強度が低下しにくく、崩壊しにくい(崩壊性に劣る)ため、有機粘結剤を用いた鋳型に比べて解体しにくい。
【0004】
水ガラスに代わる無機粘結剤を用いた鋳型として、例えば特許文献1には、耐火性粒状材料と、硫酸マグネシウム等の硫酸化合物を含む水溶性の粘結剤とを含み、乾燥状態において硫酸化合物が結晶水を含有している鋳型が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4223830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の鋳型のように、硫酸化合物を粘結剤として用いた鋳型は、粘結剤が結晶水を含有することで高い強度を発現できる。
しかしながら、粘結剤が結晶水を含有していると、注湯時に粘結剤の結晶水が蒸発してガスが発生し、ガス欠陥の原因となる場合がある。
粘結剤の結晶水を除去すれば注湯時のガス発生量を削減でき、ガス欠陥を抑制できるが、鋳型の強度が低下してしまう。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、強度を維持しながらも注湯時にガスが発生しにくい鋳型およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を有する。
[1]耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、水溶性のリン酸化合物とを含み、
下記の測定方法により求められる加熱減量(α)が1.0%以下である、鋳型。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め300℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(1)より加熱減量(α)を求める。
加熱減量(α)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(1)
[2]前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記硫酸化合物の含有量が0.5~15質量部である、[1]の鋳型。
[3]前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記リン酸化合物の含有量が0.1~5質量部である、[1]または[2]の鋳型。
[4]耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、水溶性のリン酸化合物とを含む砂組成物を造型した後に、下記の測定方法により求められる加熱減量(α)が1.0%以下になるまで加熱する、鋳型の製造方法。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め300℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(1)より加熱減量(α)を求める。
加熱減量(α)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(1)
【0009】
[5]耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、沸点が105℃以上のアルコールとを含み、
下記の測定方法により求められる加熱減量(β)が0.5~3.5%である、鋳型。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め700℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(2)より加熱減量(β)を求める。
加熱減量(β)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(2)
[6]前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記硫酸化合物の含有量が0.5~15質量部である、[5]の鋳型。
[7]前記耐火性粒状材料100質量部に対する前記アルコールの含有量が0.1~5質量部である、[5]または[6]の鋳型。
[8]耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、沸点が105℃以上のアルコールとを含む砂組成物を造型した後に、下記の測定方法により求められる加熱減量(β)が0.5~3.5%になるまで加熱する、鋳型の製造方法。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め700℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(2)より加熱減量(β)を求める。
加熱減量(β)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(2)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、強度を維持しながらも注湯時にガスが発生しにくい鋳型およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明で用いる鋳型造型用型の一実施形態を示す斜視図である。
図2】実施例および比較例で用いたテストピース作製用の鋳型造型用型を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[鋳型]
<第一の態様>
本発明の第一の態様の鋳型は、耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、水溶性のリン酸化合物とを含む。
なお、本発明において水溶性とは、20℃の水への溶解度が2g/100mL以上であることを示す。
【0013】
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、非晶質シリカ、アルミナ砂、ムライト砂等の天然砂;人工砂などの従来公知のものを使用できる。また、使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理したもの(再生砂)なども使用できる。これら耐火性粒状材料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
製造コストの観点では天然砂が好ましく、その中でも珪砂がより好ましい。熱により膨張しにくい観点では人工砂が好ましい。製造コストと耐熱性とのバランスを考慮し、天然砂と人工砂とを混合して用いてもよい。
【0014】
耐火性粒状材料の粒子径は50~600μmが好ましく、60~500μmがより好ましく、70~300μmがさらに好ましく、75~150μmが特に好ましい。耐火性粒状材料の粒子径が上記下限値以上であれば、取扱いに優れ、作業性を良好に維持できる。耐火性粒状材料の粒子径が上記上限値以下であれば、強度の高い鋳型が得られる。また、該鋳型を用いて鋳造される鋳物の表面性にも優れる。
耐火性粒状材料の粒子径は、動的光散乱法により測定した耐火性粒状材料の体積累計50%のメディアン径である。
【0015】
水溶性の硫酸化合物は、粘結剤の役割を果たす。
水溶性の硫酸化合物としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸鉄などが挙げられる。これら硫酸化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
硫酸化合物の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.5~15質量部が好ましく、1~13質量部がより好ましく、2~12質量部がさらに好ましい。硫酸化合物の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の強度がより高まる。鋳型強度の向上効果は、硫酸化合物の含有量が増えるほど得られやすくなる傾向にあるが、増えすぎても効果は頭打ちになるだけである。
【0017】
水溶性のリン酸化合物は、粘結剤の役割を果たす。
水溶性のリン酸化合物としては、例えばリン酸三ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。これらリン酸化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
リン酸化合物の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましく、0.3~1質量部がさらに好ましい。リン酸化合物の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の強度がより高まる。鋳型強度の向上効果は、リン酸化合物の含有量が増えるほど得られやすくなる傾向にあるが、増えすぎても効果は頭打ちになるだけである。
【0019】
第一の態様の鋳型は、上述した耐火性粒状材料、硫酸化合物およびリン酸化合物以外の成分(他の成分)を含んでいてもよい。
他の成分としては、硫酸化合物およびリン酸化合物以外の水溶性粘結剤(他の水溶性粘結剤)が挙げられる。
【0020】
他の水溶性粘結剤としては、例えば塩化物、炭酸化合物、水ガラスなどが挙げられる。これら他の水溶性粘結剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塩化物としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。これら塩化物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭酸化合物としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これら炭酸化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水ガラスとしては、例えば珪酸ナトリウム(具体的にはJIS K 1408:1966に記載されている1号、2号、3号やメタ珪酸ナトリウム(1種、2種))、珪酸カリウムや、これらの混合物などが挙げられる。これら水ガラスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
第一の態様の鋳型は、下記の測定方法により求められる加熱減量(α)が1.0%以下である。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め300℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(1)より加熱減量(α)を求める。
加熱減量(α)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(1)
【0022】
加熱減量(α)を測定する際の鋳型の加熱温度は300℃である。鋳型の加熱温度を300℃に設定する理由は、水和物の水和水が概ね除去される温度であり、かつ無機塩の分解する温度以下であるためである。
加熱減量(α)(以下、「300℃での加熱減量(α)」ともいう。)が1.0%以下とは、鋳型に含まれる300℃で蒸発する成分の含有量が、鋳型の総質量に対して1.0質量%以下であることを意味する。すなわち、鋳型に含まれる粘結剤、具体的には硫酸化合物およびリン酸化合物等の結晶水が概ね除去されていることを意味する。
【0023】
鋳型の加熱減量(α)が上記上限値以下であれば、硫酸化合物およびリン酸化合物等の粘結剤の結晶水が概ね除去されているので、注湯時に結晶水が蒸発して発生するガスの量(ガス発生量)を削減でき、ガス欠陥を抑制できる。
鋳型の加熱減量(α)は0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。加熱減量(α)の値は小さいほど好ましく、0%であることが最も好ましい。すなわち、加熱減量(α)の下限値は0%が好ましい。
【0024】
(製造方法)
第一の態様の鋳型は、上述した耐火性粒状材料と、硫酸化合物と、リン酸化合物と、必要に応じて他の成分とを含む砂組成物を造型した後に、加熱減量(α)が1.0%以下になるまで加熱することで得られる。
【0025】
<<造型工程>>
造型工程は、砂組成物を造型し、造型物を得る工程である。
砂組成物の造型方法としては特に制限されず、例えば耐火性粒状材料と、硫酸化合物と、リン酸化合物と、水と、必要に応じて他の成分とを混練して混練砂を調製し、得られた混練砂を鋳型造型用型に充填する方法が挙げられる。
水を併用することで硫酸化合物およびリン酸化合物等の粘結剤が溶解し、耐火性粒状材料に均一に含浸する。この溶解した粘結剤が後述の加熱工程により固化することで、耐火性粒状材料が鋳型造型用型の形状に固まり、抜型することで所望の形状の鋳型が得られる。
水の添加量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、5~35質量部が好ましく、10~25質量部がより好ましい。
【0026】
硫酸化合物およびリン酸化合物等の粘結剤は、予め水に溶解させておき、水溶液の状態で用いてもよい。これら粘結剤は、別々に水に溶解してもよいし、混合した状態で水に溶解してもよい。以下、粘結剤を水に溶解した水溶液を「粘結剤水溶液」ともいう。
なお、鋳型の製造に用いる硫酸化合物およびリン酸化合物等の粘結剤は、それぞれ無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
【0027】
また、鋳型が水ガラスを含む場合は、混練砂を調製するタイミングで水ガラスを耐火性粒状材料等に混ぜてもよいが、予め耐火性粒状材料を珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸塩で被覆しておいてもよい。
珪酸塩で被覆された耐火性粒状材料は、例えば100~120℃に加熱した耐火性粒状材料に水ガラスを添加し、混合することで得られる。加熱した耐火性粒状材料に水ガラスを添加することで、水が蒸発して珪酸塩が耐火性粒状材料に残り、耐火性粒状材料の表面を被覆する。
【0028】
鋳型造型用型は、鋳型を造型するための型である。
鋳型造型用型の材料としては特に制限されず、樹脂、金属、木などが挙げられる。
後述の加熱工程において、鋳型造型用型にマイクロ波を照射する場合は、鋳型造型用型はマイクロ波を透過する材料からなることが好ましい。
マイクロ波を透過するとは、造型物を加熱するのに必要な発熱が生じる程度に、マイクロ波の少なくとも一部が鋳型造型用型を通過することを意味し、具体的には材料の比誘電率(εr)が7以下であることを意味する。比誘電率は6以下が好ましく、5以下がより好ましい。比誘電率の下限値については特に制限されない。
比誘電率は、空洞共振摂動法により求められる。具体的には、例えば常温下で材料を幅50.0mm×長さ50.0mm×厚さ1.5mmの大きさに成形し、得られた成形物について空洞共振摂動法により比誘電率(εr)を測定する。
【0029】
マイクロ波を透過する材料としては、例えばガラス、好ましくはソーダ石灰ガラス(εr=6.0~8.0)、ポリアミド(εr=3.5~5.0)、エポキシ樹脂(εr=2.5~6.0)、ポリスチレン(εr=2.4~2.6)、シリコン樹脂(εr=3.5~5.0)、ポリウレタン(εr=5.0~5.3)、ポリ乳酸(εr=約3)、ポリフェニレンサルファイド(εr=3~4)などが挙げられる。これらの材料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
鋳型造型用型の製造方法としては特に制限されないが、形状の自由度が高く、複雑な形状であっても容易に製造できる点で、3次元積層造形等の付加製造法(additive manufacturing)により鋳型造型用型を製造することが好ましい。3次元積層造形の中でも、選択的レーザー焼結法(SLS法:Selective Laser Sintering法)が好適である。
以下、選択的レーザー焼結法による鋳型造型用型の製造方法の一例を説明する。
【0031】
まず、目的とする鋳型造型用型の一定間隔の断面形状の三次元データを予め作成し、この三次元データに基づいて、粉末状の材料の薄層を作業台に積層する。粉末状の材料としては、例えばガラス、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、フッ素樹脂などを使用できる。これらの中でも、ガラス(好ましくはソーダ石灰ガラス)とポリアミドとの混合物は、マイクロ波を透過できるので好ましい。
次いで、得られた薄層にレーザーを走査照射して加熱することにより前記粉末状の材料を焼結する。次いで、焼結後の薄層上に、前記粉末状の材料からなる別の薄層を積層し、レーザーを走査照射するという操作を繰り返すことにより、溶融接着された前記粉末状の材料からなる鋳型造型用型が得られる。
【0032】
なお、付加製造法以外の方法で鋳型造型用型を製造してもよい。例えば射出成形や切削加工により所望の形状の鋳型造型用型を製造してもよい。
【0033】
<<加熱工程>>
加熱工程は、造型工程で得られた造型物を加熱する工程である。
上述したように、耐火性粒状材料には溶解した硫酸化合物およびリン酸化合物等の粘結剤が含浸している。造型物を加熱することで、耐火性粒状材料に含浸していた水が蒸発し、溶解していた粘結剤が固化することで、耐火性粒状材料が鋳型造型用型の形状に固まり、抜型することで所望の形状の鋳型が得られる。
【0034】
加熱工程では、得られる鋳型の加熱減量(α)が1.0%以下になるまで造型物を加熱し、鋳型を得る。加熱減量(α)が1.0%以下になるまで造型物を加熱することで、硫酸化合物およびリン酸化合物等の粘結剤の結晶水が概ね除去される。
加熱減量(α)を1.0%以下にするためには、常圧下、100~700℃の加熱温度で造型物を加熱することが好ましい。常圧下での造型物の加熱温度は250~700℃がより好ましい。このときの加熱時間は、加熱減量(α)が1.0%以下になれば特に制限されず、鋳型造型用型の大きさによって調整すればよい。
【0035】
加熱工程は、1回でもよいし、複数回に分けて行ってもよい。ただし、加熱する前の造型物は固まっていないため、通常は、造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱する。鋳型造型用型が加熱工程時の加熱温度に耐えられる耐熱性を有していれば、抜型することなく加熱工程の最後まで造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱してもよい。
鋳型造型用型の耐熱温度が低い場合は、減圧下で造型物を鋳型造型用型に充填したまま、鋳型造型用型の耐熱温度以下で加熱してもよい。あるいは、常圧下で鋳型造型用型の耐熱温度以下で造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱し、造型物がある程度固まった時点で抜型し、造型物のみを100~700℃でさらに加熱してもよい。
【0036】
造型物の加熱方法としては、造型物にマイクロ波を照射する方法、造型物を乾燥機または電気炉に入れて加熱する方法、造型物に直接熱風を当てて加熱する方法、造形物に直接バーナーをあてる方法などが挙げられる。これらの方法は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。また、これらの方法は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、加熱時間を短縮しつつ、加熱減量(α)を所望の値に容易に制御できる観点から、マイクロ波の照射による加熱と、電気炉内での加熱を組み合わせて造型物を加熱することが好ましい。具体的には、常圧下または減圧下で鋳型造型用型にマイクロ波を照射して造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱(第一の加熱工程)した後に、電気炉にて造型物を鋳型造型用型に充填したまま、または鋳型造型用型から抜型して加熱(第二の加熱工程)することが好ましい。
【0037】
なお、鋳型造型用型にマイクロ波を照射して加熱する場合は、鋳型造型用型としてはマイクロ波を透過する材料からなるものを用いる。
マイクロ波の照射条件は、得られる鋳型の大きさ、粘結剤の種類や含有量に応じて、出力と照射時間を制御すればよい。
出力が高すぎると、鋳型造型用型が溶けるおそれがある。よって、出力は1000W以下が好ましく、900W以下がより好ましい。また、照射時間を短縮できる観点から、200W以上が好ましく、300W以上がより好ましい。
照射時間が長すぎると、鋳型造型用型が溶けるおそれがある。よって、出力に応じて照射時間を設定することが好ましい。
また、出力および照射時間の少なくとも一方を変更して、複数回に分けてマイクロ波を照射してもよい。
【0038】
減圧する際の圧力(真空度)は、加熱時間を短縮できる観点から、50kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましい。真空度の下限値は特に制限されないが、通常は5kPa以上である。
【0039】
<<他の製造方法>>
ところで、上述した造型工程で用いる混練砂は水を含んでいるため湿った状態である。そのため、複雑な形状の鋳型を製造する場合は、鋳型造型用型の形状も複雑となり、混練砂が充填しにくくなることがある。そのような場合は、以下のようにして砂組成物を造型するのが好ましい。
【0040】
まず、例えば図1に示すような、複数の穴14が形成された鋳型造型用型10を準備する。
図1は、鋳型造型用型の一実施形態として中子を造型するための鋳型造型用型を示す斜視図である。中子とは、中空部を有する鋳物を製造する際に、中空部にあたる部分として、主型となる鋳型の中にはめ込まれる鋳型である。
図1に示す鋳型造型用型10は上型11と下型12とからなる。
上型11および下型12は、鋳型の形状に対応した窪み13を有している。窪み13のうち、13aは中子本体に相当する部分の窪みであり、13bは幅木に相当する部分の窪みである。これらの窪み13が内側になるように上型11と下型12とを重ね合わせる、具体的には、第一凸部15aと第一凹部16a、第二凸部15bと第二凹部16b、第三凸部15cと第三凹部16c、第四凸部15dと第四凹部16dとをそれぞれ重ね合わせることで出来上がる鋳型造型用型10内の空間に、耐火性粒状材料を充填する。
【0041】
鋳型造型用型10には、複数の穴14が形成されている。穴14は、耐火性粒状材料を鋳型造型用型10の内部に充填して水に浸漬させたときに、水が内部に浸透することを妨げず、かつ耐火性粒状材料が内部から流出することを阻害するように形成されている。
穴14の形状としては、例えば円形、楕円形、多角形(例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形等)、スリット状などが挙げられるが、これらに限定されない。
スリット状の穴は水が浸透しやすいが、鋳型にスリット状の穴に添った線状の凸部が生じてしまう傾向がある。円形、楕円形または多角形の穴に対応する部分の鋳型にも凸部が生じてしまう傾向があるが、スリット状の穴に添った線状の凸部よりは目立ちにくい。そのため、例えば図1に示すように、中子本体に相当する部分の窪み13aには、鋳型に転写されたときに模様が目立ちにくい円形の穴14aが形成されていることが好ましい。中子本体に相当する部分の窪み13aには、円形の穴14aに代えて、楕円形や多角形の穴が形成されていてもよい。一方、幅木に相当する部分の窪み13bには水が浸透しやすいようにスリット状の穴14bが形成されていることが好ましい。
【0042】
穴14の大きさは、鋳型造型用型10に充填される耐火性粒状材料の粒子径以下が好ましい。ただし、粒子径の大きい耐火性粒状材料同士の隙間に、粒子径の小さい耐火性粒状材料が充填されて緻密な充填状態となる、いわゆる石垣効果が得られる場合は、耐火性粒状材料の流出を阻害できるので、穴14の大きさが耐火性粒状材料の粒子径より大きくてもよい。
穴14の大きさは、具体的には0.05~1mmが好ましく、0.1~1mmがより好ましい。穴14の大きさが上記下限値以上であれば、穴14の形成が容易であるとともに、水が浸透しやすい。穴14の大きさが上記上限値以下であれば、耐火性粒状材料の流出を阻害しやすい。
本明細書において、穴14の大きさとは、形状が円形の場合は円の直径であり、楕円形の場合は楕円の短径であり、多角形の場合は内接する円の直径であり、スリット状の場合はスリット幅である。
【0043】
鋳型造型用型10の開口率は、0.1~10%が好ましく、1~5%がより好ましい。開口率が上記下限値以上であれば、水が浸透しやすい。開口率が上記上限値以下であれば、鋳型の表面が平滑になる。
本明細書において、開口率とは、鋳型造型用型10の窪み13部分の表面における穴14の占める面積割合のことである。
【0044】
鋳型造型用型10は、付加製造法を用いれば容易に製造できるが、例えば射出成形や切削加工により所望の形状の成形体を製造し、得られた成形体の所望の位置に所望の大きさの穴を形成して鋳型造型用型10を製造してもよい。
【0045】
次いで、上述した特定の穴が形成された鋳型造型用型に、耐火性粒状材料を充填する(充填工程)。
耐火性粒状材料は上述した混練砂に比べて乾燥しているため流動性に優れる。よって、鋳型造型用型の形状が複雑であっても均一に素早く充填できる。
耐火性粒状材料は珪酸塩で被覆されていてもよい。
【0046】
次いで、耐火性粒状材料が充填された鋳型造型用型を、硫酸化合物およびリン酸化合物と、必要に応じて他の水溶性粘結剤とを含む粘結剤水溶液に浸漬する(浸漬工程)。
鋳型造型用型を粘結剤水溶液に浸漬することで、鋳型造型用型に形成された穴から粘結剤水溶液が浸透し、鋳型造型用型に充填された耐火性粒状材料の全体に、溶解した粘結剤が含浸し、造型物が得られる。
こうして得られた造型物を、上述した加熱工程により加熱して、鋳型を得る。
【0047】
鋳型造型用型に充填されている耐火性粒状材料100質量部に対する硫酸化合物の割合は、0.5~15質量部が好ましく、1~13質量部がより好ましく、2~12質量部がさらに好ましい。また、鋳型造型用型に充填されている耐火性粒状材料100質量部に対するリン酸化合物の割合は、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましく、0.3~1質量部がさらに好ましい。
【0048】
耐火性粒状材料100質量部に対する硫酸化合物およびリン酸化合物の割合をそれぞれ上記範囲内とするには、粘結剤水溶液中の硫酸化合物およびリン酸化合物の含有量や、鋳型造型用型への粘結剤水溶液の浸透量を調節すればよい。
粘結剤水溶液の総質量に対する硫酸化合物の含有量は、5~35質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。
粘結剤水溶液の総質量に対するリン酸化合物の含有量は、1~15質量%が好ましく、2~10質量%がより好ましい。
鋳型造型用型への粘結剤水溶液の浸透量は、鋳型造型用型に充填されている耐火性粒状材料100質量部に対して10~40質量部が好ましく、15~30質量部がより好ましい。
なお、鋳型造型用型への粘結剤水溶液の浸透量は、浸漬時間、鋳型造型用型の開口率によって調整できる。
【0049】
鋳型造型用型の粘結剤水溶液への浸漬時間は特に制限されず、鋳型造型用型の大きさによって浸漬時間を調整すればよい。
【0050】
なお、充填工程で用いる耐火性粒状材料に、硫酸化合物およびリン酸化合物と、必要に応じて他の水溶性粘結剤とが混合されていてもよい。この場合、浸漬工程では耐火性粒状材料が充填された鋳型造型用型を水または粘結剤水溶液に浸漬する。鋳型造型用型を水または粘結剤水溶液に浸漬することで、鋳型造型用型に形成された穴から水または粘結剤水溶液が浸透し、耐火性粒状材料に混合されていた粘結剤が溶解して耐火性粒状材料の全体に含浸する。
【0051】
(作用効果)
以上説明した本発明の第一の態様の鋳型は加熱減量(α)が1.0%以下であり、鋳型に含まれる粘結剤、具体的には硫酸化合物およびリン酸化合物等の結晶水が概ね除去されている。よって、本発明の第一の態様の鋳型によれば、注湯時に結晶水が蒸発して発生するガスの量(ガス発生量)を削減でき、ガス欠陥を抑制できる。
【0052】
ところで、上述したように、粘結剤の結晶水を除去すると鋳型の強度が低下してしまう。
しかし、本発明の第一の態様の鋳型は、硫酸化合物に加えてリン酸化合物を含んでいる。リン酸化合物は高温処理すると充分な粘結作用を示すと共に、硫酸化合物とで塩を形成するため、結晶水を除去しても鋳型強度の低下を抑制できる。
【0053】
このように、本発明の第一の態様の鋳型であれば、強度を維持しながらも注湯時にガスが発生しにくい。
また、本発明の第一の態様の鋳型は、粘結剤として無機粘結剤である硫酸化合物およびリン酸化合物を含んでいるため、注湯時に硫酸化合物やリン酸化合物の熱分解ガスが発生しにくい。また、鋳型は硫酸化合物およびリン酸化合物によってその形状を維持し、強度が維持されているが、硫酸化合物およびリン酸化合物は水に溶解しやすいため、鋳造後の鋳型に水をかけることで容易に鋳型が崩壊する。さらに、硫酸化合物およびリン酸化合物は水に溶解するので、固液分離することで解体した鋳型から耐火性粒状材料を容易に再生できる。また、固液分離した液体から水を除去すれば、硫酸化合物およびリン酸化合物も再利用できる。
【0054】
<第二の態様>
本発明の第二の態様の鋳型は、耐火性粒状材料と、水溶性の硫酸化合物と、沸点が105℃以上のアルコールとを含む。
耐火性粒状材料および硫酸化合物としては、それぞれ第一の態様の鋳型の説明において先に例示した耐火性粒状材料および硫酸化合物が挙げられる。
【0055】
硫酸化合物の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.5~15質量部が好ましく、1~13質量部がより好ましく、2~12質量部がさらに好ましい。硫酸化合物の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の強度がより高まる。鋳型強度の向上効果は、硫酸化合物の含有量が増えるほど得られやすくなる傾向にあるが、増えすぎても効果は頭打ちになるだけである。
【0056】
アルコールの沸点は105℃以上であり、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上がさらに好ましい。アルコールの沸点が上記下限値以上であれば、後述の加熱工程において造型物を加熱すると粘結剤の結晶水が先に蒸発するので、結晶水をある程度除去しても、アルコールは鋳型に残りやすい。このアルコールが結晶水の代わりとなり、鋳型の強度を維持できる。
【0057】
沸点が105℃以上のアルコールとしては、1価アルコールでもよいし、多価アルコールでもよい。
1価アルコールとしては、例えばペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールなどが挙げられる。これら1価アルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール等の3価以上のアルコールなどが挙げられる。これら多価アルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、鋳造後の鋳型に水をかけることで容易に鋳型を解体できる観点から、水溶性のアルコールが好ましく、その中でも特に鋳型強度と添加量の観点から、グリセリン、ソルビトールが好ましい。
【0058】
アルコールの含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましく、0.5~1.5質量部がさらに好ましい。アルコールの含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の強度がより高まる。アルコールの含有量が上記上限値以下であれば、アルコール由来のガス発生量を極力少なくすることができる。
【0059】
第二の態様の鋳型は、上述した耐火性粒状材料、硫酸化合物およびアルコール以外の成分(他の成分)を含んでいてもよい。
他の成分としては、硫酸化合物以外の水溶性粘結剤(他の水溶性粘結剤)が挙げられる。
他の水溶性粘結剤としては、第一の態様の鋳型の説明において先に例示した他の水溶性粘結剤が挙げられる。
【0060】
第二の態様の鋳型は、下記の測定方法により求められる加熱減量(β)が0.5~3.5%である。
(測定方法)
鋳型を秤量し、予め700℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(2)より加熱減量(β)を求める。
加熱減量(β)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(2)
【0061】
加熱減量(β)を測定する際の鋳型の加熱温度は700℃である。鋳型の加熱温度を700℃に設定する理由は、高沸点アルコールの沸点以上の温度であり、かつ無機塩の分解温度以下であるためである。
加熱減量(β)(以下、「700℃での加熱減量(β)」ともいう。)が0.5~3.5%とは、鋳型に含まれる700℃で蒸発する成分の含有量が、鋳型の総質量に対して0.5~3.5質量%以下であることを意味する。すなわち、鋳型に含まれる粘結剤、具体的には硫酸化合物等の結晶水、およびアルコールが適度に除去されていることを意味する。
【0062】
鋳型の加熱減量(β)が上記下限値以上であれば、鋳型の強度を良好に維持できる。鋳型の加熱減量(β)が上記上限値以下であれば、硫酸化合物等の粘結剤の結晶水、およびアルコールが適度に除去されているので、注湯時に結晶水が蒸発して発生するガスの量(ガス発生量)を削減でき、ガス欠陥を抑制できる。
鋳型の加熱減量(β)は1.0~3.0%が好ましい。
【0063】
(製造方法)
第二の態様の鋳型は、上述した耐火性粒状材料と、硫酸化合物と、アルコールと、必要に応じて他の成分とを含む砂組成物を造型した後に、加熱減量(β)が0.5~3.5%になるまで加熱することで得られる。
【0064】
<<造型工程>>
造型工程は、砂組成物を造型し、造型物を得る工程である。
第二の態様における造型工程は、リン酸化合物をアルコールに代えた以外は第一の態様における造型工程と同様である。
【0065】
<<加熱工程>>
加熱工程は、造型工程で得られた造型物を加熱する工程である。
耐火性粒状材料には溶解した硫酸化合物等の粘結剤が含浸している。造型物を加熱することで、耐火性粒状材料に含浸していた水が蒸発し、溶解していた粘結剤が固化することで、耐火性粒状材料が鋳型造型用型の形状に固まり、抜型することで所望の形状の鋳型が得られる。
【0066】
加熱工程では、得られる鋳型の加熱減量(β)が0.5~3.5%になるまで造型物を加熱し、鋳型を得る。加熱減量(β)が0.5~3.5%になるまで造型物を加熱することで、硫酸化合物等の粘結剤の結晶水、およびアルコールが適度に除去される。
加熱減量(β)を0.5~3.5%にするためには、常圧下、105℃以上、造型物に含まれるアルコールの沸点未満で造型物を加熱することが好ましい。このときの加熱時間は、加熱減量(β)が0.5~3.5%になれば特に制限されず、鋳型造型用型の大きさによって調整すればよい。
【0067】
加熱工程は、1回でもよいし、複数回に分けて行ってもよい。ただし、加熱する前の造型物は固まっていないため、通常は、造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱する。鋳型造型用型が加熱工程時の加熱温度に耐えられる耐熱性を有していれば、抜型することなく加熱工程の最後まで造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱してもよい。
鋳型造型用型の耐熱温度が低い場合は、減圧下で造型物を鋳型造型用型に充填したまま、鋳型造型用型の耐熱温度以下で加熱してもよい。あるいは、常圧下で鋳型造型用型の耐熱温度以下の温度で造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱し、造型物がある程度固まった時点で抜型し、造型物のみを105℃以上、アルコールの沸点未満でさらに加熱してもよい。
【0068】
造型物の加熱方法としては、第一の態様における加熱工程において先に例示した加熱方法が挙げられる。特に、加熱時間を短縮しつつ、加熱減量(β)を所望の値に容易に制御できる観点から、マイクロ波の照射による加熱と、電気炉内での加熱を組み合わせて造型物を加熱することが好ましい。具体的には、常圧下または減圧下で鋳型造型用型にマイクロ波を照射して造型物を鋳型造型用型に充填したまま加熱(第一の加熱工程)した後に、電気炉にて造型物を鋳型造型用型に充填したまま、または鋳型造型用型から抜型して加熱(第二の加熱工程)することが好ましい。
【0069】
(作用効果)
以上説明した本発明の第二の態様の鋳型は加熱減量(β)が0.5~3.5%であり、鋳型に含まれる粘結剤、具体的には硫酸化合物等の結晶水、およびアルコールが適度に除去されている。よって、本発明の第二の態様の鋳型によれば、注湯時に結晶水が蒸発して発生するガスの量(ガス発生量)を削減でき、ガス欠陥を抑制できる。なお、第二の態様の鋳型に含まれるアルコールは水に比べて沸点が高いため、注湯時における発生ガスの体積が小さく、ガスの発生タイミングが遅い。よって、第二の態様の鋳型がアルコールを含んでいても、ガス欠陥を抑制できる。
しかも、本発明の第二の態様の鋳型は、硫酸化合物に加えて沸点が105℃以上のアルコールを含んでいる。このアルコールが結晶水の代わりとなるため、結晶水をある程度除去しても鋳型強度の低下を抑制できると考えられる。
【0070】
このように、本発明の第二の態様の鋳型であれば、強度を維持しながらも注湯時にガスが発生しにくい。
また、本発明の第二の態様の鋳型は、粘結剤として無機粘結剤である硫酸化合物を含んでいるため、注湯時に硫酸化合物の熱分解ガスが発生しにくい。また、鋳型は粘結剤である硫酸化合物によってその形状を維持し、強度が維持されているが、硫酸化合物は水に溶解しやすいため、鋳造後の鋳型に水をかけることで容易に鋳型が崩壊する。さらに、硫酸化合物は水に溶解するので、固液分離することで解体した鋳型から耐火性粒状材料を容易に再生できる。また、固液分離した液体から水、アルコールを除去すれば、硫酸化合物を再利用できる。
【実施例
【0071】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例で用いた耐火性粒状材料、硫酸化合物、リン酸化合物およびアルコールを以下に示す。また、各種測定方法および評価方法と、鋳型造型用型の製造方法は以下の通りである。
【0072】
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料として、焼結法により得られた人工砂(Al-SiOを95質量%含むもの、伊藤忠セラテック株式会社製の商品名「CB-X#1450」)、粒子径53~150μm)を用いた。
【0073】
<硫酸化合物>
硫酸化合物として、以下に示すものを用いた。
・MgSO:硫酸マグネシウム無水物
・Al(SO:硫酸アルミニウム16水和物
・ZnSO:硫酸亜鉛7水和物
・CuSO:硫酸銅5水和物
【0074】
<リン酸化合物>
リン酸化合物として、以下に示すものを用いた。
・NaPO:リン酸三ナトリウム12水和物
・KPO:リン酸三カリウム無水物
・KHPO:リン酸二水素カリウム無水物
・NaHPO:リン酸二水素ナトリウム無水物
・KHPO:リン酸水素二カリウム無水物
・NaHPO:リン酸水素二ナトリウム無水物
【0075】
<アルコール>
アルコールとして、以下に示すものを用いた。
・グリセリン:沸点290℃、水溶性
・ソルビトール:沸点296℃、水溶性
・メタノール:沸点64.7℃、水溶性
【0076】
<測定・評価>
(加熱減量(α)の測定)
るつぼに鋳型(テストピース)20gを秤量し、予め300℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、るつぼを電気炉から取り出し、デシケータ内で25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(1)より加熱減量(α)を求めた。
加熱減量(α)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(1)
【0077】
(加熱減量(β)の測定)
るつぼに鋳型(テストピース)20gを秤量し、予め700℃に保持した電気炉内で2時間加熱した後、るつぼを電気炉から取り出し、デシケータ内で25℃まで放冷し、放冷後の鋳型の質量を測定し、下記式(2)より加熱減量(β)を求めた。
加熱減量(β)={(加熱前の鋳型の質量-放冷後の鋳型の質量)/加熱前の鋳型の質量}×100 ・・・(2)
【0078】
(曲げ強さの測定)
各実施例および比較例で得られたテストピースの曲げ強さをJACT試験法SM-1に記載の測定方法を用いて測定した。
【0079】
<鋳型造型用型の製造(1)>
ソーダ石灰ガラス(ポッターズ・バロティーニ株式会社製の商品名「ガラスビーズ」、平均粒子径50μm、εr=6.0)7.5kgと、ポリアミド11(アルケマ株式会社製の商品名「RILSAN INVENT NATURAL」、平均粒子径50μm、εr=4.3)7.5kgとをスクリュー型ミキサーで5分間混合し、付加製造法用材料を得た。
SLS法に基づき、レーザー焼結機(EOS社製、「EOSINT P380」)にて付加製造用材料を選択的にレーザー焼結することにより、図1に示す鋳型造型用型10を作製した。中子本体に相当する部分の窪み13aには、直径0.8mmの円形の穴14aが形成され、幅木に相当する部分の窪み13bには、長さ75~81mmのスリット状の穴14bが形成されており、開口率は3.1%である。
【0080】
<鋳型造型用型の製造(2)>
鋳型造型用型の製造(1)と同様にして、付加製造法用材料を得た。
SLS法に基づき、レーザー焼結機(EOS社製、「EOSINT P380」)にて付加製造用材料を選択的にレーザー焼結することにより複数のパーツを製造した。得られた複数のパーツを組み合わせて、図2に示すような、縦60mm、横10mm、深さ10mmの直方体状の窪み13が5つ形成されたテストピース作製用の鋳型造型用型20を作製した。窪み13の側面と底面には、幅0.3mm、長さ8~30mmのスリット状の穴14bが形成されており、開口率は7.9%である。
【0081】
[実施例1]
水82質量部に、硫酸化合物として硫酸マグネシウム無水物16質量部と、リン酸化合物としてリン酸二水素カリウム無水物2質量部を溶解し、粘結剤水溶液を調製した。
耐火性粒状材料を図1に示す鋳型造型用型10の窪み13に充填した。次いで、耐火性粒状材料を充填した鋳型造型用型10を粘結剤水溶液に30秒間浸漬した。次いで、粘結剤水溶液から鋳型造型用型10を引き上げ、マイクロ波減圧乾燥器(西光エンジニアリング株式会社製)に入れ、マイクロ波出力1000W、真空度10kPaの条件で5分間乾燥を行った後、鋳型造型用型10から重量250gの鋳型を取り出した。
【0082】
実施例1によれば、耐火性粒状材料を図1に示す鋳型造型用型10に充填したところ、充分に充填できた。さらに、粘結剤水溶液を浸透させた後に乾燥することで、鋳型を製造することができた。
よって、鋳型造型用型の形状が複雑であっても耐火性粒状材料を均一に素早く充填でき、充填不良や鋳型強度の低下を抑制できることが示された。
【0083】
[実施例2]
耐火性粒状材料100質量部に、硫酸化合物として硫酸マグネシウム無水物4質量部と、リン酸化合物としてリン酸三ナトリウム12水和物0.5質量部と、水18質量部とを添加し、1分間混練して混練砂を得た。
得られた混練砂を図2に示す鋳型造型用型20の窪み13に充填した(造型工程)。次いで、混練砂を充填した鋳型造型用型20をマイクロ波減圧乾燥器(西光エンジニアリング株式会社製)に入れ、マイクロ波出力800W、真空度10kPaの条件で1.5分間加熱を行った後(第一の加熱工程)、鋳型造型用型20から5個のテストピースを取り出した。同様の操作を行い、合計20個のテストピースを製造した。
得られた20個のテストピースのうち、5個のテストピースの加熱減量(α)を測定し、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
また、残りの15個のテストピースのうち、5個のテストピースの曲げ強さを測定し、それらの平均値を求めた。結果を表1に示す。
【0084】
さらに、残りの10個のテストピースを、予め300℃に保持した電気炉内で1時間加熱した後(第二の加熱工程)、テストピースを電気炉から取り出し、デシケータ内で25℃まで放冷した。
放冷後の10個のテストピースのうち、5個のテストピースの加熱減量(α)を測定し、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
また、残りの5個のテストピースの曲げ強さを測定し、それらの平均値を求めた。結果を表1に示す。
【0085】
[実施例3~7]
リン酸化合物の種類を表1に示すものに変更した以外は、実施例2と同様にしてテストピースを製造し、加熱減量(α)および曲げ強さを測定した。結果を表1に示す。
【0086】
[比較例1]
リン酸化合物を用いなかった以外は、実施例2と同様にしてテストピースを製造し、加熱減量(α)および曲げ強さを測定した。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1の結果より、各実施例の場合、第一の加熱工程後のテストピースの強度は高いものの、加熱減量(α)が1.0%超であり、注湯時にガスが発生しやすかった。しかし、第二の加熱工程を行うことで、すなわち加熱減量(α)が1.0%以下になるまで加熱処理を行うことで、注湯時のガスの発生量を削減できた。しかも、第二の加熱工程後のテストピースの強度の低下を抑制できた。
一方、リン酸化合物を用いなかった比較例1の場合、第一の加熱工程後のテストピースの強度は高いものの、加熱減量(α)が1.0%超であり、注湯時にガスが発生しやすかった。また、第二の加熱工程を行うことで、ガスの発生量は削減できたものの、テストピースの強度が極端に低下した。
【0089】
[実施例8~10]
硫酸化合物およびリン酸化合物の種類を表2に示すものに変更した以外は、実施例2と同様にしてテストピースを製造し、加熱減量(α)および曲げ強さを測定した。結果を表2に示す。また、実施例4の結果も表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
表2の結果より、各実施例の場合、第一の加熱工程後のテストピースの強度は高いものの、加熱減量(α)が1.0%超であり、注湯時にガスが発生しやすかった。しかし、第二の加熱工程を行うことで、すなわち加熱減量(α)が1.0%以下になるまで加熱処理を行うことで、注湯時のガスの発生量を削減できた。しかも、第二の加熱工程後のテストピースの強度の低下を抑制できた。
【0092】
[実施例11]
耐火性粒状材料100質量部に、硫酸化合物として硫酸マグネシウム無和物5質量部と、アルコールとしてグリセリン1質量部と、水18質量部とを添加し、1分間混練して混練砂を得た。
得られた混練砂を図2に示す鋳型造型用型20の窪み13に充填した(造型工程)。次いで、混練砂を充填した鋳型造型用型20をマイクロ波減圧乾燥器(西光エンジニアリング株式会社製)に入れ、マイクロ波出力800W、真空度10kPaの条件で1.5分間加熱を行った後(第一の加熱工程)、鋳型造型用型20から5個のテストピースを取り出した。同様の操作を行い、合計30個のテストピースを製造した。
得られた30個のテストピースのうち、5個のテストピースの加熱減量(β)を測定し、その平均値を求めた。結果を表3に示す。
また、残りの25個のテストピースのうち、5個のテストピースの曲げ強さを測定し、それらの平均値を求めた。結果を表3に示す。
【0093】
さらに、残りの20個のテストピースを、10個ずつに分け、予め105℃または200℃に保持した電気炉内で1時間加熱した後(第二の加熱工程)、テストピースを電気炉から取り出し、デシケータ内で25℃まで放冷した。
放冷後の10個のテストピースのうち、5個のテストピースの加熱減量(β)を測定し、その平均値を求めた。結果を表3に示す。
また、残りの5個のテストピースの曲げ強さを測定し、それらの平均値を求めた。結果を表3に示す。
【0094】
[実施例12]
グリセリンをソルビトールに変更した以外は、実施例11と同様にしてテストピースを製造し、加熱減量(β)および曲げ強さを測定した。結果を表3に示す。
【0095】
[比較例2]
アルコールを用いなかった以外は、実施例11と同様にしてテストピースを製造し、加熱減量(β)および曲げ強さを測定した。結果を表3に示す。
【0096】
[比較例3]
グリセリンをメタノールに変更した以外は、実施例11と同様にしてテストピースを製造し、加熱減量(β)および曲げ強さを測定した。結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
表3の結果より、各実施例の場合、第一の加熱工程後のテストピースの強度は高いものの、加熱減量(β)が3.5%超であり、注湯時にガスが発生しやすかった。しかし、第二の加熱工程を行うことで、すなわち加熱減量(β)が0.5~3.5%になるまで加熱処理を行うことで、注湯時のガスの発生量を削減できた。しかも、第二の加熱工程後のテストピースの強度の低下を抑制できた。
一方、アルコールを用いなかった比較例2およびアルコールとしてメタノールを用いた比較例3の場合、第一の加熱工程後のテストピースの強度は高いものの、加熱減量(β)が3.5%超であり、注湯時にガスが発生しやすかった。また、第二の加熱工程を行うことで、ガスの発生量は削減できたものの、テストピースの強度が極端に低下した。
【符号の説明】
【0099】
10 鋳型造型用型
11 上型
12 下型
13 窪み
13a 中子本体に相当する部分の窪み
13b 幅木に相当する部分の窪み
14 穴
14a 円形の穴
14b スリット状の穴
15a 第一凸部
15b 第二凸部
15c 第三凸部
15d 第四凸部
16a 第一凹部
16b 第二凹部
16c 第三凹部
16d 第四凹部
20 鋳型造型用型
図1
図2