(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】段ロールユニット交換装置および方法
(51)【国際特許分類】
B65B 59/04 20060101AFI20230427BHJP
B31F 1/26 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B65B59/04
B31F1/26
(21)【出願番号】P 2019009458
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小路 幸和
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英生
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118390(JP,A)
【文献】特開昭58-138507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/04
B31F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルフェーサと段ロールユニット搬送台車との間で段ロールユニットの交換作業を行う段ロールユニット交換装置であって、
前記段ロールユニットの交換方向に沿って移動自在な交換台車と、
前記交換台車を前記交換方向に移動可能な移動装置と、
前記交換台車と前記段ロールユニットとを連結する連結装置と、
を備
え、
前記交換方向に沿ってガイドレールが設けられ、前記交換台車が前記ガイドレールに沿って移動自在に支持され、前記シングルフェーサより前記交換方向の一方側に前記交換台車の退避スペースが設けられると共に、前記シングルフェーサより前記交換方向の他方側に前記交換台車の連結スペースが設けられる、
ことを特徴とする段ロールユニット交換装置。
【請求項2】
前記連結装置は、前記交換台車に設けられ、前記段ロールユニットに係止する係止位置と係止を解除する解除位置とに移動自在な係止フックと、前記係止フックを移動可能な駆動装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項3】
前記係止フックが前記係止位置にあるとき、前記交換台車は、前記係止フックを介して前記段ロールユニットを前記交換方向の一方側に牽引して移動可能であると共に、前記交換方向の他方側に押して移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項4】
前記係止フックは、前記段ロールユニットの前記交換台車側の端部に設けられる係止ピンに係止可能であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項5】
前記シングルフェーサは、芯紙を挟持して波形加工を施す上下の段ロールと、複数の支持ロールに巻回されて波形加工された前記芯紙とライナとを前記上下の段ロールのいずれか一方と共に加圧して接合する無端の加圧ベルトとを有し、前記交換台車は、前記上下の段ロールの交換時に前記加圧ベルトの下降を阻止するベルト支持部材が設けられることを特徴とする請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項6】
前記ベルト支持部材は、前記交換方向に沿って配置され、前記交換方向の一方側の端部上面と他方側の端部上面に鉛直方向の下方側に向けて傾斜する傾斜案内面が設けられることを特徴とする
請求項5に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項7】
前記ベルト支持部材は、前記交換方向に沿って配置され、前記交換方向の一方側の上端部と他方側の上端部に案内ローラが設けられることを特徴とする
請求項5または請求項6に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項8】
前記上下の段ロールの交換時に前記加圧ベルトにおける前記交換方向のずれを阻止するベルト押え部材が設けられることを特徴とする
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の段ロールユニット交換装置。
【請求項9】
シングルフェーサと段ロールユニット搬送台車との間で段ロールユニットの交換作業を行う段ロールユニット交換方法であって、
前記シングルフェーサより前記段ロールユニットの交換方向の一方側の退避位置にある交換台車を前記シングルフェーサに装着された前記段ロールユニットに連結する工程と、
前記交換台車を前記段ロールユニットの
前記交換方向の他方側の連結位置に移動することで前記段ロールユニットを前記シングルフェーサから取外す工程と、
前記連結位置で前記交換台車と取外した前記段ロールユニットとの連結を解除する一方で前記交換台車と前記段ロールユニット搬送台車に搭載された前記段ロールユニットとを連結する工程と、
前記交換台車を
前記交換方向の一方側に移動することで前記段ロールユニット搬送台車に搭載された前記段ロールユニットを前記シングルフェーサに取付ける工程と、
前記交換台車と取付けた前記段ロールユニットとの連結を解除して前記交換台車を前記退避位置に移動する工程と、
を有することを特徴とする段ロールユニット交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形加工された中芯にライナを貼合わせて片面段ボールシートを製造するシングルフェーサにおいて、芯紙を波形加工して中芯を形成する上下の段ロールからなる段ロールユニットを交換する段ロールユニット交換装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシンは、片面段ボールシートを形成するシングルフェーサと、片面段ボールシートに表ライナ紙を貼り合わせて両面段ボールシートを形成するダブルフェーサとを備える。シングルフェーサは、芯紙(中芯)を波形に加工し、裏ライナを貼合せて片面段ボールシートを形成し、ダブルフェーサは、この片面段ボールシートに表ライナを貼り合わせて両面段ボールシートを形成する。このダブルフェーサにより製造された連続した両面段ボールシートは、スリッタスコアラにより所定の幅に切断され、カットオフ装置により所定の長さに切断されて段ボールシートとなる。
【0003】
コルゲートマシンのシングルフェーサにて、プレヒータにより加熱された裏ライナが加圧ベルトと上段ロールとのニップ部に移送される一方、プレヒータにより加熱された芯紙が上段ロールと下段ロールとの噛み合い部で波状に加工されて中芯が形成され、中芯の各段頂部に糊付けがなされた後、ニップ部に移送される。そして、このニップ部にて、中芯が裏ライナに貼り合わされて片面段ボールシートが形成される。
【0004】
シングルフェーサでは、波形状が異なる複数種類の中芯を製造するため、製造する中芯の種類に応じて複数種類の上下段ロールが用意されており、シングルフェーサに対して上下段ロールからなる段ロールユニットを交換可能である。この場合、段ロールユニットを搭載した搬送台車は、シングルフェーサの近傍まで移動し、所定の交換位置に位置決めされた後、シングルフェーサに対する段ロールユニットの交換作業が実施される。段ロールユニット交換装置としては、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された段ロールユニット交換装置は、段ロールユニットを搭載した台車をガイドレールにより交換位置まで移動し、ここで、床面に配置された駆動ピニオンを上昇させ、段ロールユニットの下面に形成されたラックに噛みあわせ、駆動ピニオンを回転させることで、段ロールユニットの取外しと取付けを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、段ロールユニットは、波形状が異なる中芯の種類に応じて複数種類用意されており、各段ロールユニットは、搬送台車に搭載された状態で所定の保管場所に保管される。そのため、搬送台車は、段ロールユニットの種類の数だけ必要なる。特許文献1の段ロールユニット交換装置は、床面に駆動ピニオンを昇降可能に配置し、段ロールユニット側にラックを形成する必要がある。そのため、段ロールユニットの構造が複雑になると共に、製造コストが増加してしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、構造の簡素化および低コスト化を図る段ロールユニット交換装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための段ロールユニット交換装置は、シングルフェーサと段ロールユニット搬送台車との間で段ロールユニットの交換作業を行う段ロールユニット交換装置であって、前記段ロールユニットの交換方向に沿って移動自在な交換台車と、前記交換台車を前記交換方向に移動可能な移動装置と、前記交換台車と前記段ロールユニットとを連結する連結装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、連結装置により交換台車と段ロールユニットを連結し、移動装置により交換台車を段ロールユニットの交換方向に沿って移動自在することで、シングルフェーサから段ロールユニットを取り外したり、段ロールユニット搬送台車の段ロールユニットをシングルフェーサに取付けたりすることができる。そのため、段ロールユニット搬送台車に移動装置を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができると共に、低コスト化を図ることができる。
【0010】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記連結装置は、前記交換台車に設けられ、前記段ロールユニットに係止する係止位置と係止を解除する解除位置とに移動自在な係止フックと、前記係止フックを移動可能な駆動装置とを有することを特徴としている。
【0011】
従って、連結装置を交換台車に設け、駆動装置により係止フックを係止位置と解除位置に移動可能であることから、連結装置により交換台車と段ロールユニットを連結した状態で、交換台車を移動することで段ロールユニットを容易に交換方向に沿って移動することができる。
【0012】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記係止フックが前記係止位置にあるとき、前記交換台車は、前記係止フックを介して前記段ロールユニットを前記交換方向の一方側に牽引して移動可能であると共に、前記交換方向の他方側に押して移動可能であることを特徴としている。
【0013】
従って、駆動装置により係止フックを係止位置に移動した状態で、交換台車を移動することで段ロールユニットを容易に交換方向に沿って移動することができる。
【0014】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記係止フックは、前記段ロールユニットの前記交換台車側の端部に設けられる係止ピンに係止可能であることを特徴としている。
【0015】
従って、段ロールユニットに係止ピンに設けるだけで、交換台車側にある係止フックがこの係止ピンに係止することで、交換台車と段ロールユニットを連結することができ、構造の複雑化を抑制することができる。
【0016】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記交換方向に沿ってガイドレールが設けられ、前記交換台車が前記ガイドレールに沿って移動自在に支持され、前記シングルフェーサより前記交換方向の一方側に前記交換台車の退避スペースが設けられると共に、前記シングルフェーサより前記交換方向の他方側に前記交換台車の連結スペースが設けられることを特徴としている。
【0017】
従って、シングルフェーサの一方側に交換台車の退避スペースを設けると共に、シングルフェーサの他方側に交換台車の連結スペースを設けることから、シングルフェーサの作動中は、交換台車を退避スペースに移動することで、交換台車が作業の邪魔になることはなく、また、段ロールユニットの交換作業時は、交換台車を連結スペースに移動することで、段ロールユニットとの連結作業を容易に行うことできる。
【0018】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記シングルフェーサは、芯紙を挟持して波形加工を施す上下の段ロールと、複数の支持ロールに巻回されて波形加工された前記芯紙とライナとを前記上下の段ロールのいずれか一方と共に加圧して接合する無端の加圧ベルトとを有し、前記交換台車は、前記上下の段ロールの交換時に前記加圧ベルトの下降を阻止するベルト支持部材が設けられることを特徴としている。
【0019】
従って、上下の段ロールの交換時に、交換台車に設けられたベルト支持部材が加圧ベルトの下降を阻止することから、シングルフェーサから上下の段ロールを取り外すとき、シングルフェーサに上下の段ロールを取付けるとき、上下の段ロールと加圧ベルトとの接触を防止し、加圧ベルトの損傷を防止することができる。
【0020】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記ベルト支持部材は、前記交換方向に沿って配置され、前記交換方向の一方側の端部上面と他方側の端部上面に鉛直方向の下方側に向けて傾斜する傾斜案内面が設けられることを特徴としている。
【0021】
従って、ベルト支持部材の各端部上面に傾斜案内面を設けることから、ベルト支持部材が交換方向に移動して加圧ベルトを支持するとき、ベルト支持部材の端部と加圧ベルトの端面が当接することはなく、ベルト支持部材が加圧ベルトを適正に支持することができる。
【0022】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記ベルト支持部材は、前記交換方向に沿って配置され、前記交換方向の一方側の上端部と他方側の上端部に案内ローラが設けられることを特徴としている。
【0023】
従って、ベルト支持部材の各端部に案内ローラを設けることから、ベルト支持部材が加圧ベルトを支持して移動するとき、案内ローラによりベルト支持部材と加圧ベルトとの間の摩擦抵抗が軽減され、加圧ベルトの損傷を防止することができる。
【0024】
本発明の段ロールユニット交換装置では、前記上下の段ロールの交換時に前記加圧ベルトにおける前記交換方向のずれを阻止するベルト押え部材が設けられることを特徴としている。
【0025】
従って、上下の段ロールの交換時に加圧ベルトのずれを阻止するベルト押え部材を設けることから、シングルフェーサから上下の段ロールを取り外すとき、シングルフェーサに上下の段ロールを取付けるとき、加圧ベルトのずれを阻止し、加圧ベルトの損傷を防止することができる。
【0026】
また、本発明の段ロールユニット交換方法は、シングルフェーサと段ロールユニット搬送台車との間で段ロールユニットの交換作業を行う段ロールユニット交換方法であって、退避位置にある交換台車を前記シングルフェーサに装着された前記段ロールユニットに連結する工程と、前記交換台車を前記段ロールユニットの取外方向に沿って移動することで前記段ロールユニットを前記シングルフェーサから取外す工程と、前記交換台車と取外した前記段ロールユニットとの連結を解除する一方で前記交換台車と前記段ロールユニット搬送台車に搭載された前記段ロールユニットとを連結する工程と、前記交換台車を前記段ロールユニットの取付方向に沿って移動することで前記段ロールユニット搬送台車に搭載された前記段ロールユニットを前記シングルフェーサに取付ける工程と、前記交換台車と取付けた前記段ロールユニットとの連結を解除して前記交換台車を前記退避位置に移動する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0027】
従って、段ロールユニット搬送台車に移動装置を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができると共に、低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の段ロールユニット交換装置および方法によれば、搭載台に移動装置を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができると共に、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシンを表す概略図である。
【
図2】
図2は、シングルフェーサを表す概略構成図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の段ロールユニット交換装置を表す概略図である。
【
図4】
図4は、段ロールユニット搬送台車を表す側面図である。
【
図5】
図5は、段ロールユニット搬送台車を表す平面図である。
【
図6】
図6は、段ロールユニット交換装置を表す側面図である。
【
図7】
図7は、段ロールユニット交換装置を表す平面図である。
【
図8】
図8は、段ロールユニット交換装置を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明の段ロールユニット交換装置および方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0031】
図1は、段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシンを表す概略図である。
【0032】
図1に示すように、段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシン10は、波形加工された中芯Bに裏ライナCを貼り合わせて片面段ボールシートDを製造し、製造される片面段ボールシートDにおける中芯B側に表ライナAを貼り合わせて両面段ボールシートEとし、連続した両面段ボールシートEを所定長さに切断してシート状の両面段ボールシートFを製造するものである。
【0033】
コルゲートマシン10は、中芯Bのミルロールスタンド11およびプレヒータ12と、裏ライナCのミルロールスタンド13およびプレヒータ14と、シングルフェーサ15と、ブリッジ16と、表ライナAのミルロールスタンド17およびプレヒータ18と、グルーマシン19と、ダブルフェーサ20と、ロータリシャ21と、スリッタスコアラ22と、カットオフ23と、不良品排出装置24と、スタッカ25とを備える。
【0034】
ミルロールスタンド11は、両側にそれぞれ中芯Bがロール状に巻かれたロール紙が装着され、その上方に紙継ぎを行なうスプライサ11aが設けられる。一方のロール紙が残り少なくなると、スプライサ11aにより他方のロール紙に紙継ぎされることで、ミルロールスタンド11から下流側へ向けて連続的に中芯Bを繰り出すことができる。
【0035】
ミルロールスタンド13は、両側にそれぞれ裏ライナCがロール状に巻かれたロール紙が装着され、その上方に紙継ぎを行なうスプライサ13aが設けられる。一方のロール紙が残り少なくなると、スプライサ13aにより他方のロール紙に紙継ぎされることで、ミルロールスタンド13から下流側へ向けて連続的に裏ライナCを繰り出すことができる。
【0036】
プレヒータ12,14は、中芯Bと裏ライナCをそれぞれ予熱する。プレヒータ12,14は、内部に蒸気が供給される予熱ロール31,32を有し、ミルロールスタンド11,13から連続的に繰り出される中芯Bや裏ライナCを、予熱ロール31,32により加熱しながら搬送することで、中芯Bや裏ライナCを所定温度まで昇温する。
【0037】
シングルフェーサ15は、プレヒータ12で加熱された中芯Bを波形状に加工した後に各段頂部に糊付けし、プレヒータ14で加熱された裏ライナCを貼り合わせて片面段ボールシートDを形成する。シングルフェーサ15は、搬送方向下流側の斜め上方に取上げコンベア15aが設けられる。取上げコンベア15aは、一対の無端ベルトで構成され、シングルフェーサ15により形成された片面段ボールシートDを挟持してブリッジ16に搬送する。ブリッジ16は、シングルフェーサ15とダブルフェーサ20との速度差を吸収するために、片面段ボールシートDを一次的に滞留させる。
【0038】
ミルロールスタンド17は、両側にそれぞれ表ライナAがロール状に巻かれたロール紙が装着され、その上方に紙継ぎを行なうスプライサ17aが設けられる。一方のロール紙が残り少なくなると、スプライサ17aにより他方のロール紙に紙継ぎされることで、ミルロールスタンド17から下流側へ向けて連続的に表ライナAを繰り出すことができる。
【0039】
プレヒータ18は、片面段ボールシートDと表ライナAをそれぞれ予熱する。プレヒータ18は、内部に蒸気が供給される予熱ロール33,34を有し、片面段ボールシートDやミルロールスタンド17から連続的に繰り出される表ライナAを、予熱ロール33,34により加熱しながら搬送することで、片面段ボールシートDや表ライナAを所定温度まで昇温する。
【0040】
グルーマシン19は、糊付け装置を有する。予熱ロール33で加熱された片面段ボールシートDは、途中でグルーマシン19内に案内され、ライダロールと糊付ロールとの間を通過するときに、中芯Bの段の各頂部に糊付けされる。グルーマシン19により糊付けされた片面段ボールシートDは、ダブルフェーサ20に移送される。また、予熱ロール34で加熱された表ライナAもグルーマシン19内を通ってダブルフェーサ20に移送される。
【0041】
ダブルフェーサ20は、片面段ボールシートDおよび表ライナAの走行ラインに沿って、上流側のヒーティングセクション20Aと、下流側のクーリングセクション20Bとに分かれる。グルーマシン19で糊付けされた片面段ボールシートDは、ヒーティングセクション20Aにて、加圧ベルト20aと熱板20bとの間に搬入され、表ライナAは、片面段ボールシートDの中芯B側に重なるように加圧ベルト20aと熱板20bとの間に搬入される。片面段ボールシートDと表ライナAは、加圧ベルト20aと熱板20bとの間に搬入された後、上下に重なりあった状態で一体となってクーリングセクション20Bへ向けて移送される。この移送中、片面段ボールシートDと表ライナAは、加圧されながら加熱されることで、互いに貼り合わされて連続した両面段ボールシートEが形成される。両面段ボールシートEは、クーリングセクション20Bにて、加圧ベルト20aと搬送ベルト20cで挟持されながら搬送されるときに自然冷却され、ロータリシャ21に移送される。
【0042】
ロータリシャ21は、稼動初期段階で貼合せが安定するまでの間に、両面段ボールシートEを幅方向に全幅切断あるいは部分切断する。スリッタスコアラ22は、幅広の両面段ボールシートEを所定の幅を持つように搬送方向に沿って裁断し、且つ、搬送方向に延在する罫線を加工する。スリッタスコアラ22は、両面段ボールシートEの搬送方向に沿って配列された略同一構造をした第1スリッタスコアラユニット22aと第2スリッタスコアラユニット22bとから構成される。第1スリッタスコアラユニット22aおよび第2スリッタスコアラユニット22bは、両面段ボールシートEを挟んで対向配置される上罫線ロールと下罫線ロールとの組を幅方向に複数組有すると共に、両面段ボールシートEの下側に配置されるスリッタナイフを幅方向に複数組有する。
【0043】
カットオフ23は、スリッタスコアラ22によって搬送方向に裁断された両面段ボールシートEを幅方向に沿って切断し、所定長さをもった板状の両面段ボールシートFに形成する。不良品排出装置24は、不良検出装置により不良品と判定された両面段ボールシートFを搬送ラインから排出する。スタッカ25は、良品の両面段ボールシートFを積み上げて製品として機外に排出する。
【0044】
ここで、シングルフェーサ15について詳細に説明する。
図2は、シングルフェーサを表す概略構成図である。
【0045】
図2に示すように、シングルフェーサ15は、ベルトロール41と、張力ロール42と、加圧ベルト43と、上段ロール44と、下段ロール45を備える。
【0046】
ベルトロール41は、図示しない駆動装置により駆動回転可能である。張力ロール42は、ベルトロール41と所定間隔を空けて回転自在に支持される。加圧ベルト43は、無端のベルトであって、ベルトロール41と張力ロール42との間に掛け回される。上段ロール44は、図示しない駆動装置により駆動回転可能であり、外周面が波形状に形成される。上段ロール44は、ベルトロール41と張力ロール42との間で、加圧ベルト43の下方に配置され、波形状の外周面が加圧ベルト43の下面に加圧状態で当接する。下段ロール45は、上段ロール44と同様に、外周面が波形状に形成され、下段ロール45の下方でこの下段ロール45の外周面に噛み合う。
【0047】
そのため、裏ライナCは、ガイドロール46に巻き付けられた後、ベルトロール41により案内される加圧ベルト43と共に、加圧ベルト43と上段ロール44とのニップ部に移送される。一方、中芯Bは、上段ロール44と下段ロール45との噛み合い部で波形状に加工された後、上段ロール44により案内されて加圧ベルト43と上段ロール44とのニップ部に移送される。
【0048】
また、シングルフェーサ15は、糊付け装置51を備える。糊付け装置51は、上段ロール44の近傍に配置される。糊付け装置51は、糊ダム52と、糊付けロール53と、メータロール54と、糊掻きブレード55を備える。
【0049】
糊ダム52は、所定量の糊を貯留する。糊付けロール53は、糊ダム52に貯留された糊を上段ロール44により搬送される中芯Bに付着させて糊付けを行う。メータロール54は、糊付けロール53の外周面に接触して同期して回転することで、糊付けロール53の外周面への糊の付着量を調整する。糊掻きブレード55は、メータロール54の外周面に接触することで、糊付けロール53から除去してメータロール54の外周面に付着した余分な糊を掻き取る。
【0050】
そのため、糊ダム52に貯留された糊は、回転する糊付けロール53に付着し、メータロール54により外周面の糊の付着量が調整される。上段ロール44と下段ロール45との噛み合い部で波形状に加工された中芯Bは、糊付けロール53により各段頂部に糊付けされる。糊付けされた中芯Bは、加圧ベルト43と上段ロール44とのニップ部に移送されたとき、裏ライナCに貼り合わされ、片面段ボールシートDが形成される。
【0051】
なお、ベルトロール41、張力ロール42、上段ロール44、下段ロール45は、内部に蒸気が流通して加熱される。そのため、裏ライナCは、加圧ベルト43を介してベルトロール41と張力ロール42に接触するときに加熱される。中芯Bは、上段ロール44と下段ロール45との噛み合い部で加圧されて波形状に加工されるときに加熱される。また、中芯Bは、この噛み合い部から、加圧ベルト43と上段ロール44とで裏ライナCに重ねられるまで加熱される。中芯Bは、加熱されながら、糊付けロール53により各段頂部に糊が塗布され、加圧ベルト43と上段ロール44とのニップ部に移送される。ここで、裏ライナCと中芯Bに対して加圧されて接合される。糊は、所定量の熱を受けて粘着力が増加して固化するものであり、中芯Bと裏ライナCは、糊が熱をもらって固化することで貼り合わされ、片面段ボールシートDが形成される。
【0052】
また、図示しないが、上段ロール44と加圧ベルト43とによる中芯Bおよび裏ライナCの加圧力を調整可能な加圧力調整装置が設けられる。加圧力調整装置は、油圧シリンダを有し、駆動ロッドの先端部が張力ロール42の支持軸に連結される。そのため、ベルトロール41に対して、油圧シリンダにより張力ロール42を接近離反させることで加圧ベルト43の張力を調整し、上段ロール44と加圧ベルト43の間に搬送される中芯Bおよび裏ライナCの加圧力を調整することができる。
【0053】
このように構成されたシングルフェーサ15は、波形状が異なる複数種類の中芯Bを形成する必要があるため、形成する中芯Bの種類に応じて複数種類の上段ロール44および下段ロール45が設けられる。上段ロール44および下段ロール45などからなる段ロールユニット40は、シングルフェーサ15に対して交換可能である。段ロールユニット40は、上段ロール44、下段ロール45、糊付け装置51などから構成される。
【0054】
以下、本実施形態の段ロールユニット交換装置について説明する。
図3は、本実施形態の段ロールユニット交換装置を表す概略図である。以下の説明では、段ロールユニットの交換方向となる第1水平方向をX方向、第1水平方向であるX方向に交差する第2水平方向をY方向、X方向およびY方向に交差する鉛直方向をZ方向とする。なお、X方向およびY方向を水平方向としたが、X方向およびY方向は、水平方向に対して所定の傾斜角度があってもよい。また、段ロールユニットの交換方向は、第1水平方向であるX方向であるが、段ロールユニットの取付方向をX1方向とし、段ロールユニットの取外方向をX2方向とする。
【0055】
図3に示すように、段ロールユニット交換装置100は、シングルフェーサ15と段ロールユニット搬送台車110との間で段ロールユニット40の交換作業を行うものである。段ロールユニット交換装置100は、交換台車101と、移動装置102と、連結装置103とを備える。
【0056】
まず、段ロールユニット搬送台車110について、詳細に説明する。
図4は、段ロールユニット搬送台車を表す側面図、
図5は、段ロールユニット搬送台車を表す平面図である。
【0057】
図4および
図5に示すように、段ロールユニット搬送台車110は、搭載台111と、第1車輪112と、第2車輪113とを備える。搭載台111は、段ロールユニット40を搭載して収容可能である。
【0058】
搭載台111は、矩形の板形状をなし、シングルフェーサ15から取り外す段ロールユニット40を収容する第1収容部N1と、シングルフェーサ15に取り付ける段ロールユニット40を収容する第2収容部N2を有する。搭載台111は、第1収容部N1と第2収容部N2にそれぞれ段ロールユニット40をX方向に沿って移動自在に支持する一対のガイドレール114,115が上面部に設けられる。
【0059】
搭載台111は、下面に4つの第1車輪112が設けられると共に、4つの第2車輪113が設けられる。第1車輪112は、図示しない第1駆動装置により駆動回転可能であり、第2車輪113は、図示しない第2駆動装置により駆動回転可能である。また、第2車輪113は、図示しない昇降装置によりZ方向に沿って移動可能である。
【0060】
そのため、昇降装置により第2車輪113を上昇させると、第2車輪113が床面Gから離間する一方、第1車輪112が床面Gに接地する。この状態で、第1駆動装置により第1車輪112を駆動回転すると、搭載台111を段ロールユニット40の交換方向となるX方向に沿って移動することができる。また、昇降装置により第2車輪113を下降させると、第2車輪113が床面Gに接地する一方、第1車輪112が床面Gから離間する。この状態で、第2駆動装置により第2車輪113を駆動回転すると、搭載台111を段ロールユニット40の交換方向に交差するY方向に沿って移動することができる。
【0061】
なお、段ロールユニット搬送台車110は、X方向とY方向に移動することができれば、上述した構成に限定されるものではない。
【0062】
次に、段ロールユニット交換装置100について詳細に説明する。
図6は、段ロールユニット交換装置を表す側面図、
図7は、段ロールユニット交換装置を表す平面図、
図8は、段ロールユニット交換装置を表す正面図である。
【0063】
図3、
図6および
図7に示すように、段ロールユニット交換装置100は、交換台車101と、移動装置102と、連結装置103とを備える。シングルフェーサ15において、一対のフレーム121,122は、所定間隔を空けて床面G上に設置され、連結梁123により連結されている。段ロールユニット40は、一対のフレーム121,122の間に配置されて支持される。シングルフェーサ15は、段ロールユニット40(上段ロール44、下段ロール45)の他に、ベルトロール41、張力ロール42、加圧ベルト43などを有するが、
図3では省略している。
【0064】
段ロールユニット40の交換方向であるX方向に沿って一対のガイドレール130が配置される。一対のガイドレール130は、段ロールユニット搬送台車110の搭載台111上に設けられた一対のガイドレール114,115と同じ高さであると共に、同じ幅となっている。すなわち、段ロールユニット搬送台車110がシングルフェーサ15に接近したとき、一対のガイドレール130は、段ロールユニット搬送台車110の一対のガイドレール114または一対のガイドレール115と直列に配置可能となる。そのため、一対のガイドレール130と一対のガイドレール114,115との間で段ロールユニット40を移動することができる。
【0065】
交換台車101は、一対のガイドレール130によりX方向に沿って移動自在に支持される。交換台車101は、台車本体131と、4本のフレーム132と、上部梁133とを有する。台車本体131は、4個の車輪134が設けられ、4個の車輪134により一対のガイドレール130に沿って移動自在に支持される。4個の車輪134は、四隅にフレーム132がZ方向に沿って固定され、4本のフレーム132の上端部に上部梁133が固定される。
【0066】
移動装置102は、交換台車101を一対のガイドレール130によりX方向に移動可能である。移動装置102は、ガイドレール130の下方に配置される。移動装置102は、駆動モータ135と、駆動スプロケット136と、従動スプロケット137と、チェーン138とを有する。駆動モータ135は、ガイドレール130の長手方向に一方側の下方に配置され、駆動軸に駆動スプロケット136が固定されている。従動スプロケット137は、ガイドレール130の長手方向に他方側の下方に配置され、回転自在に支持される。チェーン138は、駆動スプロケット136と従動スプロケット137に掛け回され、一端部が図示しないスプロケットを介して交換台車101における移動方向の一端部に連結され、他端部が図示しないスプロケットを介して交換台車101における移動方向の他端部に連結される。
【0067】
また、シングルフェーサ15よりX方向の一方側に交換台車101の退避スペースM1が設けられ、シングルフェーサ15よりX方向の他方側に交換台車101の連結スペースM2が設けられる。そのため、駆動モータ135を駆動すると、駆動スプロケット136が駆動回転し、チェーン138が長手方向に移動することで、交換台車101を一対のガイドレール130に沿って移動することができる。このとき、交換台車101は、退避スペースM1と連結スペースM2との間を移動することができる。
【0068】
連結装置103は、交換台車101と段ロールユニット40とを連結するものである。連結装置103は、交換台車101に設けられ、係止フック141と、駆動装置142を有する。交換台車101は、フレーム132に取付ブラケット143が固定され、係止フック141は、長手方向の中間部が支持軸144により取付ブラケット143回動自在に支持される。係止フック141は、S字形状をなし、Y方向に沿う支持軸144により支持されることで、一端部に形成された係止凹部141aがZ方向の上方を向くように配置される。交換台車101は、フレーム132に取付ブラケット145が固定され、駆動装置142は、一端部が支持軸146により取付ブラケット143に支持される。駆動装置142は、流体圧シリンダ(例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ)147であって、下方に延びる駆動ロッド148の先端部が係止フック141の他端部に連結軸149により回動自在に連結される。
【0069】
一方、
図4および
図5に示すように、段ロールユニット40は、取付方向X1の端部にブラケット151を介してY方向に沿う係止ピン152が固定される。連結装置103の係止フック141は、段ロールユニット40の係止ピン152に係止可能である。
【0070】
そのため、
図6に示すように、駆動装置142を駆動すると、係止フック141を回動することで、係止フック141を段ロールユニット40の係止ピン152に係止する係止位置(
図6の二点鎖線位置)と、係止ピン152との係止を解除する解除位置(
図6の実線位置)とに移動可能である。すなわち、係止フック141が解除位置にあるとき、流体圧シリンダ147により駆動ロッド148を伸長すると、係止フック141が
図6の時計回り方向に回動する。すると、係止フック141は、係止凹部141aが上昇し、段ロールユニット40の係止ピン152に係止する係止位置に移動する。
【0071】
そして、連結装置103は、係止フック141が係止ピン152に係止する係止位置にあるとき、交換台車101と段ロールユニット40とを一体に連結する。移動装置102が交換台車101をX方向に移動すると、交換台車101と共に段ロールユニット40をX方向に移動することができる。すなわち、交換台車101は、係止フック141を介して段ロールユニット40を牽引して取付方向X1に移動可能であると共に、係止フック141を介して段ロールユニット40を押して取外方向X2に移動可能である。
【0072】
図6から
図8に示すように、交換台車101は、段ロールユニット40(上段ロール44、下段ロール45)の交換時に、加圧ベルト43の下降を阻止するベルト支持部材161が設けられる。ベルト支持部材161は、X方向に沿って配置され、且つ、Y方向に所定幅を有する板形状をなし、交換台車101の上端部に固定されている。ベルト支持部材161は、X方向において、交換台車101より長く、長手方向の各端部が交換台車101の各端部より前方及び後方に延出している。ベルト支持部材161は、X方向の一方側の端部上面と他方側の端部上面に鉛直方向の下方側に向けて傾斜する傾斜案内面162,163がそれぞれ設けられる。すなわち、ベルト支持部材161は、傾斜案内面162,163によりX方向の各端部の上面が下方側に向けて傾斜している。また、ベルト支持部材161は、X方向の一方側の上端部と他方側の上端部に複数の案内ローラ164,165がそれぞれ設けられる。すなわち、ベルト支持部材161は、X方向の各端部に複数の案内ローラ164,165が上方に突出している。
【0073】
また、
図8に示すように、段ロールユニット交換装置100は、段ロールユニット40(上段ロール44、下段ロール45)の交換時に、加圧ベルト43における幅方向(X方向)のずれを阻止するベルト押え部材171が設けられる。シングルフェーサ15は、フレーム(図示略)に流体圧シリンダ(例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ)172が固定され、流体圧シリンダ172は、下方に延びる駆動ロッド173の先端部にベルト押え部材171が固定される。ベルト押え部材171は、加圧ベルト43における幅方向の一端部側であって、ベルトロール41と張力ロール42に支持される加圧ベルト43の上方に配置される。また、シングルフェーサ15は、フレーム(図示略)に支持部材174が固定されている。支持部材174は、加圧ベルト43における幅方向の一端部側であって、ベルトロール41と張力ロール42に支持される加圧ベルト43の内側に配置される。すなわち、ベルトロール41と張力ロール42との間で駆動する上方側の加圧ベルト43の下方に配置され、ベルト押え部材171と支持部材174は、加圧ベルト43を挟んで対向する。
【0074】
ここで、本実施形態の段ロールユニット交換装置100による段ロールユニットの交換方法について説明する。
【0075】
本実施形態の段ロールユニット交換装置100による段ロールユニットの交換方法は、退避位置にある交換台車101をシングルフェーサ15に装着された段ロールユニット40に連結する工程と、交換台車101を段ロールユニット40の取外方向X2に沿って移動することで段ロールユニット40をシングルフェーサ15から取外す工程と、交換台車101と取外した段ロールユニット40との連結を解除する一方で交換台車101と段ロールユニット搬送台車110に搭載された段ロールユニット40とを連結する工程と、交換台車101を段ロールユニット40の取付方向X1に沿って移動することで段ロールユニット搬送台車110に搭載された段ロールユニット40をシングルフェーサ15に取付ける工程と、交換台車101と取付けた段ロールユニット40との連結を解除して交換台車101を退避位置に移動する工程とを有する。
【0076】
図4および
図5に示すように、段ロールユニット搬送台車110は、搭載台111の第1収容部N1が空であり、第2収容部N2に新たに取り付ける段ロールユニット40が収容される。
図3に示すように、作業者は、まず、段ロールユニット搬送台車110をX方向に移動し、シングルフェーサ15に接近した位置で停止する。作業者は、次に、段ロールユニット搬送台車110をY方向に移動し、搭載台111の第1収容部N1が既設の段ロールユニット40に対向する第1交換位置で停止する。
【0077】
この第1交換位置は、X方向とY方向とZ方向において、段ロールユニット搬送台車110の搭載台111の第1収容部N1が、既設の段ロールユニット40に対向する位置である。このとき、段ロールユニット搬送台車110の一対のガイドレール114が、段ロールユニット交換装置100の一対のガイドレール130と直列に配置される。
【0078】
この第1交換位置にて、移動装置102により退避位置(
図3の二点鎖線の位置)にある交換台車101をガイドレール130に沿って取外方向X2に移動し、シングルフェーサ15に接近させる。ここで、連結装置103を作動し、係止フック141により交換台車101とシングルフェーサ15に装着された段ロールユニット40とを連結する。そして、移動装置102により交換台車101を段ロールユニット40の取外方向X2に沿って更に移動する。すると、交換台車101は、段ロールユニット40を押して移動し、段ロールユニット40は、シングルフェーサ15から取り外され、ガイドレール130,114に沿って段ロールユニット搬送台車110まで移動し、第1収容部N1に収容される。段ロールユニット40が段ロールユニット搬送台車110に収容されると、連結装置103を作動し、係止フック141による交換台車101と段ロールユニット40との連結を解除する。
【0079】
この交換台車101がシングルフェーサ15内の段ロールユニット40を移動し、段ロールユニット40をシングルフェーサ15の外部に排出するとき、
図8に示すように、ベルト支持部材161が加圧ベルト43の下降を阻止する。すなわち、移動装置102により交換台車101がシングルフェーサ15に接近するとき、ベルト支持部材161の先端部が加圧ベルト43と上段ロール44との間に侵入し、加圧ベルト43を支持する。このとき、ベルト支持部材161は、
図6に示すように、先端部に傾斜案内面163が設けられていることから、加圧ベルト43を持ち上げて加圧ベルト43と上段ロール44との間にスムースに侵入することができる。また、ベルト支持部材161は、上部に複数の案内ローラ164,165が突出していることから、加圧ベルト43に対して摩擦抵抗が軽減されて加圧ベルト43を適正に支持することができる。そして、
図3に示すように、段ロールユニット40がシングルフェーサ15から排出された後も、加圧ベルト43を支持して下降を阻止している。
【0080】
また、
図8に示すように、ベルト押え部材171が加圧ベルト43におけるX方向のずれを阻止する。すなわち、交換台車101が取外方向X2に移動してシングルフェーサ15に接近し、ベルト支持部材161の先端部が加圧ベルト43と上段ロール44との間に侵入とき、流体圧シリンダ172が作動し、駆動ロッド173と共にベルト押え部材171が下降し、このベルト押え部材171と支持部材174とで加圧ベルト43を挟持する。そのため、その後、交換台車101がシングルフェーサ15内の段ロールユニット40を移動して取り外しても、加圧ベルト43がベルト押え部材171に押さえ付けられていることから、段ロールユニット40と共に取外方向X2にずれることがない。
【0081】
既設の段ロールユニット40が搭載台111の第1収容部N1に収容されると、作業者は、段ロールユニット搬送台車110をY方向に移動し、搭載台111の第2収容部N2が既設の段ロールユニット40が取り外された空所に対向する第2交換位置で停止する。
【0082】
この第2交換位置は、X方向とY方向とZ方向において、段ロールユニット搬送台車110の搭載台111の第2収容部N2が、既設の段ロールユニット40が取り外された空所に対向する位置である。このとき、段ロールユニット搬送台車110の一対のガイドレール115が、段ロールユニット交換装置100の一対のガイドレール130と直列に配置される。
【0083】
この第2交換位置にて、連結装置103を作動し、係止フック141により交換台車101と段ロールユニット搬送台車110の第2収容部N2に収容された段ロールユニット40とを連結する。そして、移動装置102により交換台車101を段ロールユニット40の取付方向X1に沿って移動する。すると、交換台車101は、段ロールユニット40を牽引して移動し、段ロールユニット40は、段ロールユニット搬送台車110からガイドレール115,130に沿ってシングルフェーサ15まで移動し、このシングルフェーサ15に装着される。
【0084】
この交換台車101が段ロールユニット搬送台車110にある段ロールユニット40を移動し、段ロールユニット40をシングルフェーサ15内に移動するとき、ベルト支持部材161が加圧ベルト43を支持して下降を阻止している。そのため、段ロールユニット40が加圧ベルト43に接触して損傷させることがなく、段ロールユニット40をスムースにシングルフェーサ15内に移動することができる。また、このとき、ベルト押え部材171が加圧ベルト43におけるX方向のずれを阻止している。そのため、交換台車101と共に段ロールユニット40がシングルフェーサ15内に移動しても、段ロールユニット40と共に取付方向X1にずれることがない。
【0085】
段ロールユニット40がシングルフェーサ15に装着されると、連結装置103を作動し、係止フック141による交換台車101と段ロールユニット40との連結を解除する。そして、段ロールユニット40の交換作業が完了すると、作業者は、段ロールユニット搬送台車110をX方向に移動し、シングルフェーサ15から退避させる。
【0086】
このように本実施形態の段ロールユニット交換装置にあっては、シングルフェーサ15と段ロールユニット搬送台車110との間で段ロールユニット40の交換作業を行う段ロールユニット交換装置100であって、段ロールユニット40の交換方向であるX方向に沿って移動自在な交換台車101と、交換台車101をX方向に移動可能な移動装置102と、交換台車101と段ロールユニット40とを連結する連結装置103とを備える。
【0087】
従って、連結装置103により交換台車101と段ロールユニット40を連結し、移動装置102により交換台車101をX方向に沿って移動自在することで、シングルフェーサ15から段ロールユニット40を取り外したり、段ロールユニット搬送台車110の段ロールユニット40をシングルフェーサ15に取付けたりすることができる。そのため、段ロールユニット搬送台車110に移動装置を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができると共に、低コスト化を図ることができる。
【0088】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、連結装置103を交換台車101に設け、段ロールユニット40に係止する係止位置と係止を解除する解除位置とに移動自在な係止フック141と、係止フック141を移動可能な駆動装置142とを設けている。従って、連結装置103により交換台車101と段ロールユニット40を連結した状態で、交換台車101を移動することで段ロールユニット40を容易に交換方向に沿って移動することができる。
【0089】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、係止フック141が係止位置にあるとき、交換台車101は、係止フック141を介して段ロールユニット40をX方向の一方に牽引して移動可能であると共に、X方向の他方側に押して移動可能である。従って、交換台車101を移動することで、段ロールユニット40を容易にX方向に沿って移動することができる。
【0090】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、係止フック141は、段ロールユニット40の交換台車101側の端部に設けられる係止ピン152に係止可能である。従って、段ロールユニット40に係止ピン152に設けるだけで、交換台車101側にある係止フック141がこの係止ピン152に係止することで、交換台車101と段ロールユニット40を連結することができ、構造の複雑化を抑制することができる。
【0091】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、X方向に沿ってガイドレール130を設け、交換台車101をガイドレール130に沿って移動自在に支持し、シングルフェーサ15よりX方向の一方側に交換台車101の退避スペースM1を設けると共に、シングルフェーサ15よりX方向の他方側に交換台車101の連結スペースM2を設けている。従って、シングルフェーサ15の作動中は、交換台車101を退避スペースM1に移動することで、交換台車101が作業の邪魔になることはなく、また、段ロールユニット40の交換作業時は、交換台車101を連結スペースM2に移動することで、段ロールユニット40との連結作業を容易に行うことできる。
【0092】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、交換台車101は、段ロールユニット40の交換時に加圧ベルト43の下降を阻止するベルト支持部材161を設けている。従って、シングルフェーサ15から段ロールユニット40を取り外すとき、シングルフェーサ15に段ロールユニット40を取付けるとき、段ロールユニット40と加圧ベルト43との接触を防止し、加圧ベルト43の損傷を防止することができる。
【0093】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、ベルト支持部材161をX方向に沿って配置し、X方向の一方側の端部上面と他方側の端部上面にZ方向の下方側に向けて傾斜する傾斜案内面162,163を設けている。従って、ベルト支持部材161がX方向に移動して加圧ベルト43を支持するとき、ベルト支持部材161の端部と加圧ベルト43の端面が当接することはなく、ベルト支持部材161が加圧ベルト43を適正に支持することができる。
【0094】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、ベルト支持部材161をX方向に沿って配置し、X方向の一方側の上端部と他方側の上端部に案内ローラ164,165を設けている。従って、ベルト支持部材161が加圧ベルト43を支持して移動するとき、案内ローラ164,165によりベルト支持部材161と加圧ベルト43との間の摩擦抵抗が軽減され、加圧ベルト43の損傷を防止することができる。
【0095】
本実施形態の段ロールユニット交換装置では、段ロールユニット40の交換時に、加圧ベルト43におけるX方向のずれを阻止するベルト押え部材171を設けている。従って、シングルフェーサ15から段ロールユニット40を取り外すとき、シングルフェーサ15に段ロールユニット40を取付けるとき、加圧ベルト43のずれを阻止し、加圧ベルトの損傷を防止することができる。また、加圧ベルト43がずれたときの位置調整作業を不要とすることができる。
【0096】
また、本実施形態の段ロールユニット搬送方法にあっては、退避位置にある交換台車101をシングルフェーサ15に装着された段ロールユニット40に連結する工程と、交換台車101を段ロールユニット40の取外方向X2に沿って移動することで段ロールユニット40をシングルフェーサ15から取外す工程と、交換台車101と取外した段ロールユニット40との連結を解除する一方で交換台車101と段ロールユニット搬送台車110に搭載された段ロールユニット40とを連結する工程と、交換台車101を段ロールユニット40の取付方向X1に沿って移動することで段ロールユニット搬送台車110に搭載された段ロールユニット40をシングルフェーサ15に取付ける工程と、交換台車101と取付けた段ロールユニット40との連結を解除して交換台車101を退避位置に移動する工程とを有する。従って、段ロールユニット搬送台車110に移動装置を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができると共に、低コスト化を図ることができる。
【0097】
なお、上述した実施形態では、移動装置102を、駆動モータ135と駆動スプロケット136と従動スプロケット137とチェーン138とから構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、交換台車101の下面にラックを設け、床面Gに設けられた駆動モータの駆動ピニオンをラックに噛み合うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 コルゲートマシン(段ボールシートの製造装置)
11 ミルロールスタンド
12 プレヒータ
13 ミルロールスタンド
14 プレヒータ
15 シングルフェーサ
16 ブリッジ
17 ミルロールスタンド
18 プレヒータ
19 グルーマシン
20 ダブルフェーサ
21 ロータリシャ
22 スリッタスコアラ
23 カットオフ
24 不良品排出装置
25 スタッカ
40 段ロールユニット
41 ベルトロール
42 張力ロール
43 加圧ベルト
44 上段ロール
45 下段ロール
51 糊付け装置
100 段ロールユニット交換装置
101 交換台車
102 移動装置
103 連結装置
110 段ロールユニット搬送台車
111 搭載台
112 第1車輪
113 第2車輪
114,115 ガイドレール
121,122 フレーム121,122
123 連結梁
131 台車本体
132 フレーム
133 上部梁
134 車輪
135 駆動モータ
136 駆動スプロケット
137 従動スプロケット
138 チェーン
141 係止フック
141a 係止凹部
142 駆動装置
147 流体圧シリンダ
152 係止ピン
161 ベルト支持部材
162,163 傾斜案内面
164,165 案内ローラ
171 ベルト押え部材
172 流体圧シリンダ
174 支持部材
A 表ライナ
B 中芯
C 裏ライナ
D 片面段ボールシート
E,F 両面段ボールシート
G 床面
M1 退避スペース
M2 連結スペース
N1 第1収容部
N2 第2収容部
X1 取付方向
X2 取外方向