(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】医用センサ、医用センサのリユーザブル部分、および医用センサのディスポーザブル部分
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
A61B5/1455
(21)【出願番号】P 2019049555
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和正
(72)【発明者】
【氏名】上田 徳宜
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-122693(JP,A)
【文献】特開2018-175097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リユーザブル部分とディスポーザブル部分を備えている医用センサであって、
前記リユーザブル部分は、
光を出射する発光部と、
第一コネクタと、
を備え、
前記ディスポーザブル部分は、
透光部を有しており、被検者の身体に装着される支持体と、
前記支持体に支持されており、入射光量に応じた信号を出力する受光部と、
前記支持体に支持されており、前記第一コネクタと結合可能な第二コネクタと、
を備え、
前記第一コネクタと前記第二コネクタが結合された状態において、前記発光部は前記透光部
と第一方向に対向するように配置され、前記信号が前記第二コネクタを介して前記第一コネクタにより受信可能とさ
れ、
前記第一コネクタと前記第二コネクタの一方は、雄部分を有しており、
前記第一コネクタと前記第二コネクタの他方は、前記第一コネクタと前記第二コネクタの結合時において前記雄部分を収容する雌部分を有しており、
前記発光部は、前記雌部分の外側に位置するように配置されており、
前記雌部分による前記雄部分の収容は、前記第一方向から見て前記発光部と重なる位置においてなされる、
医用センサ。
【請求項2】
前記第一コネクタは、少なくとも前記発光部に対する防水構造を備えている、
請求項1に記載の医用センサ。
【請求項3】
前記第二コネクタは、前記第一コネクタと前記第二コネクタが結合された状態において両コネクタの間に挟まれる封止部材を備えている、
請求項2に記載の医用センサ。
【請求項4】
前記第一コネクタは、
前記雌部分の外側を前記
第一コネクタと前記第二コネクタの結合方向に延びて前記発光部を支持している突起を有している、
請求項
1に記載の医用センサ。
【請求項5】
前記ディスポーザブル部分は、前記第一コネクタと前記第二コネクタの結合時において結合方向
および前記第一方向と交差する
第二方向への前記発光部の変位を制限する制限部材を備えている、
請求項
1または
4に記載の医用センサ。
【請求項6】
リユーザブル部分とディスポーザブル部分を備えている医用センサであって、
前記リユーザブル部分は、
光を出射する発光部と、
第一コネクタと、
を備え、
前記ディスポーザブル部分は、
透光部を有しており、被検者の身体に装着される支持体と、
前記支持体に支持されており、入射光量に応じた信号を出力する受光部と、
前記支持体に支持されており、前記第一コネクタと結合可能な第二コネクタと、
を備え、
前記第一コネクタと前記第二コネクタが結合された状態において、前記発光部は前記透光部に対向するように配置され、前記信号が前記第二コネクタを介して前記第一コネクタにより受信可能とされ、
前記リユーザブル部分は、前記第一コネクタと電気的に接続されたケーブルを備えており、
前記支持体は、前記第一コネクタと前記第二コネクタの結合時において前記ケーブルを保持する保持部材を備えている
、
医用センサ。
【請求項7】
医用センサのリユーザブル部分であって、
光を出射する発光部と、
リユーザブルコネクタと、
を備え、
前記リユーザブルコネクタは、前記医用センサにおけるディスポーザブル部分のディスポーザブルコネクタと結合可能であり、
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、前記発光部は、被検者の身体に装着される前記ディスポーザブル部分の支持体が有する透光部
と第一方向に対向するように配置されており、
前記リユーザブルコネクタは、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、入射光量に応じて前記ディスポーザブル部分の受光部から出力される信号を、前記ディスポーザブルコネクタを介して受信可能であ
り、
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの一方は、雄部分を有しており、
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの他方は、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの結合時において前記雄部分を収容する雌部分を有しており、
前記発光部は、前記雌部分の外側に位置するように配置されており、
前記雌部分による前記雄部分の収容は、前記第一方向から見て前記発光部と重なる位置においてなされる、
医用センサのリユーザブル部分。
【請求項8】
前記リユーザブルコネクタは、少なくとも前記発光部に対する防水構造を備えている、
請求項
7に記載の医用センサのリユーザブル部分。
【請求項9】
前記リユーザブルコネクタは、
前記雌部分の外側を前記
第一コネクタと前記第二コネクタの結合方向に延びて前記発光部を支持している突起を有している、
請求項
7に記載の医用センサのリユーザブル部分。
【請求項10】
医用センサのディスポーザブル部分であって、
透光部を有しており、被検者の身体に装着される支持体と、
前記支持体に支持されており、入射光量に応じた信号を出力する受光部と、
前記支持体に支持されており、前記医用センサにおけるリユーザブル部分のリユーザブルコネクタと結合可能なディスポーザブルコネクタと、
を備え、
前記透光部は、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、光を出射する前記リユーザブル部分の発光部
と第一方向に対向するように配置されており、
前記ディスポーザブルコネクタは、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、前記信号を、前記リユーザブルコネクタへ中継可能であ
り、
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの一方は、雄部分を有しており、
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの他方は、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの結合時において前記雄部分を収容する雌部分を有しており、
前記発光部は、前記雌部分の外側に位置するように配置されており、
前記雌部分による前記雄部分の収容は、前記第一方向から見て前記発光部と重なる位置においてなされる、
医用センサのディスポーザブル部分。
【請求項11】
前記ディスポーザブルコネクタは、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において両コネクタの間に挟まれる封止部材を備えている、
請求項
10に記載の医用センサのディスポーザブル部分。
【請求項12】
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの結合時において結合方向と交差する方向への前記発光部の変位を制限する制限部材を備えている、
請求項
10または
11に記載の医用センサのディスポーザブル部分。
【請求項13】
医用センサのディスポーザブル部分であって、
透光部を有しており、被検者の身体に装着される支持体と、
前記支持体に支持されており、入射光量に応じた信号を出力する受光部と、
前記支持体に支持されており、前記医用センサにおけるリユーザブル部分のリユーザブルコネクタと結合可能なディスポーザブルコネクタと、
を備え、
前記透光部は、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、光を出射する前記リユーザブル部分の発光部に対向するように配置されており、
前記ディスポーザブルコネクタは、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、前記信号を、前記リユーザブルコネクタへ中継可能であり、
前記支持体は、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタの結合時において前記リユーザブルコネクタと電気的に結合されたケーブルを保持する保持部材を備えている
、
医用センサのディスポーザブル部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リユーザブル部分とディスポーザブル部分を備えている医用センサに関する。本明細書で用いられる「リユーザブル部分」という語は、少なくとも一回の再利用が可能な医用センサの一部を意味する。本明細書で用いられる「ディスポーザブル部分」という語は、一度の使用の後に廃棄される医用センサの一部を意味する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、上記のような医用センサの一例として被検者の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を算出するために指先に装着されるセンサを開示している。当該センサは、発光素子と受光素子を備えている。発光素子は、被検者の指先の組織へ向けて光を出射する。当該組織を通過した光は、受光素子に入射する。受光素子は、受光強度に応じた信号を出力する。当該センサは、ディスポーザブル部分とリユーザブル部分を備えている。ディスポーザブル部分は、被検者の指先に巻き付けられる支持体を含んでいる。支持体は、発光素子と受光素子を支持している。リユーザブル部分は、コネクタとケーブルを含んでいる。コネクタは、受光素子から出力された信号を受け付け、ケーブルを通じてSpO2を算出する装置へ中継する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「OxiTip+ 成人/小児用センサー」添付文書 ジーイー横河メディカルシステム株式会社 発行 2004年10月1日 改訂第2版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、リユーザブル部分とディスポーザブル部分を備えた医用センサの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、リユーザブル部分とディスポーザブル部分を備えている医用センサであって、
前記リユーザブル部分は、
光を出射する発光部と、
第一コネクタと、
を備え、
前記ディスポーザブル部分は、
透光部を有しており、被検者の身体に装着される支持体と、
前記支持体に支持されており、入射光量に応じた信号を出力する受光部と、
前記支持体に支持されており、前記第一コネクタと結合可能な第二コネクタと、
を備え、
前記第一コネクタと前記第二コネクタが結合された状態において、前記発光部は前記透光部に対向するように配置され、前記信号が前記第二コネクタを介して前記第一コネクタにより受信可能とされる。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、医用センサのリユーザブル部分であって、
光を出射する発光部と、
リユーザブルコネクタと、
を備え、
前記リユーザブルコネクタは、前記医用センサにおけるディスポーザブル部分のディスポーザブルコネクタと結合可能であり、
前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、前記発光部は、被検者の身体に装着される前記ディスポーザブル部分の支持体が有する透光部に対向するように配置されており、
前記リユーザブルコネクタは、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、入射光量に応じて前記ディスポーザブル部分の受光部から出力される信号を、前記ディスポーザブルコネクタを介して受信可能である。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、医用センサのディスポーザブル部分であって、
透光部を有しており、被検者の身体に装着される支持体と、
前記支持体に支持されており、入射光量に応じた信号を出力する受光部と、
前記支持体に支持されており、前記医用センサにおけるリユーザブル部分のリユーザブルコネクタと結合可能なディスポーザブルコネクタと、
を備え、
前記透光部は、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、光を出射する前記リユーザブル部分の発光部に対向するように配置されており、
前記ディスポーザブルコネクタは、前記リユーザブルコネクタと前記ディスポーザブルコネクタが結合された状態において、前記信号を、前記リユーザブルコネクタへ中継可能である。
【0008】
上記の各態様のような構成によれば、医用センサは、発光部を備えたリユーザブル部分と受光部を備えたディスポーザブル部分に分割可能である。部品単価が比較的高い発光素子が再利用可能とされるので、医用センサの運用コストを低減できる。この効果は、医用センサが使用する発光素子の数が増えるほど顕著となる。
【0009】
他方、第一コネクタ(リユーザブルコネクタ)と第二コネクタ(ディスポーザブルコネクタ)を結合するのみで発光部が透光部に対向するように配置される。受光部は、ディスポーザブル部分の一部として予め支持体に固定されているので、受光部を支持体に位置決めする作業が省略され、医用センサが使用可能になるまでの時間を短縮できる。
【0010】
したがって、リユーザブル部分とディスポーザブル部分を備えた医用センサの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るセンサの外観を示している。
【
図2】
図1のセンサにおけるリユーザブル部分の外観を示している。
【
図3】
図1のセンサにおけるディスポーザブル部分の外観を示している。
【
図4】リユーザブル部分とディスポーザブル部分の結合を説明する図である。
【
図5】
図1のセンサにおけるリユーザブル部分の一部の断面を示している。
【
図6】別例に係るディスポーザブル部分の外観を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。以降の説明に現れる「前」、「後」、「上」、および「下」という方向を示す表現は、説明の便宜のために用いているに過ぎず、図示された構造の使用時における姿勢を限定する意図はない。
【0013】
図1は、一実施形態に係るセンサ1の外観を示している。センサ1は、血中吸光物質濃度を算出するために被検者の指先に装着される。センサ1は、医用センサの一例である。指先は、被検者の身体の一例である。血中吸光物質濃度としては、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が例示されうる。
【0014】
センサ1は、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えている。リユーザブル部分2は、少なくとも一回の再利用が可能な部分である。ディスポーザブル部分3は、一度の使用の後に廃棄または再生処理に供される部分である。
【0015】
リユーザブル部分2は、第一コネクタ21を備えている。すなわち、第一コネクタ21は、少なくとも一回の再利用が可能とされている。第一コネクタ21は、リユーザブルコネクタの一例である。
【0016】
図2の(A)は、第一コネクタ21を上前方から見た外観を示している。
図2の(B)は、第一コネクタ21を下前方から見た外観を示している。
図2の(C)は、第一コネクタ21を上後方から見た外観を示している。
【0017】
第一コネクタ21は、雌ハウジング211を備えている。雌ハウジング211は、雌部分の一例である。雌ハウジング211は、収容空間212を区画している。収容空間212内には、複数の雄端子213が配置されている。
【0018】
リユーザブル部分2は、発光部22を備えている。発光部22は、光を出射する部分である。本実施形態においては、発光部22は、雌ハウジング211に支持されている。
【0019】
発光部22は、不図示の複数の発光素子を含んでいる。複数の発光素子は、雌ハウジング211に収容されている。複数の発光素子の各々は、所定の波長を含む光を出射する半導体発光素子である。半導体発光素子としては、発光ダイオードやレーザダイオードが例示されうる。発光素子の数と波長の値は、取得される血中吸光物質濃度の種別に応じて適宜に定められる。
【0020】
リユーザブル部分2は、ケーブル23を備えている。リユーザブル部分2は、ケーブル23を介して不図示のパルスフォトメータに接続される。ケーブル23は、給電線と制御信号線を収容している。給電線と制御信号線は、雌ハウジング211内に収容された不図示の駆動回路に接続されている。給電線は、パルスフォトメータからの電力を駆動回路へ供給する。制御信号線は、パルスフォトメータから送信される各発光素子の点消灯を制御するための制御信号を、駆動回路へ供給する。
【0021】
図3の(A)に示されるように、ディスポーザブル部分3は、支持体31を備えている。支持体31は、被検者の指先に装着される部分である。装着の仕方については、後述する。
【0022】
ディスポーザブル部分3は、第二コネクタ32を備えている。すなわち、第二コネクタ32は、一度の使用の後に廃棄または再生処理に供される。第二コネクタ32は、ディスポーザブルコネクタの一例である。
【0023】
図3の(B)に示されるように、第二コネクタ32は、雄ハウジング321を備えている。雄ハウジング321は、雄部分の一例である。雄ハウジング321は、収容空間322を区画している。収容空間322内には、複数の雌端子323が配置されている。
【0024】
図3の(A)に示されるように、ディスポーザブル部分3は、受光部33を備えている。受光部33は、受光面を有する受光素子を備えている。受光素子は、受光面における受光量に応じた受光信号を出力する。受光素子としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタなどが例示されうる。受光部33は、支持体31に支持されている。受光素子の受光面は、支持体31の裏面に露出する。
【0025】
支持体31は、第一部分311、第二部分312、および第三部分313を備えている。第二コネクタ32は、第一部分311に支持されている。受光部33は、第二部分312に支持されている。第三部分313は、第一部分311と第二部分312を一体に接続している。
【0026】
複数の雌端子323と受光素子は、給電線と受光信号線を介して電気的に接続されている。給電線と受光信号線は、第三部分313内を延びるように、支持体31に支持されている。
【0027】
図4の(A)に示されるように、支持体31は、透光部314を有している。透光部314は、発光部22から出射される光の波長に対して透明性を有する材料によって形成されている。透光部314は、第一部分311における第二コネクタ32の近傍に位置している。
【0028】
リユーザブル部分2の第一コネクタ21とディスポーザブル部分3の第二コネクタ32は、結合可能とされている。第二コネクタ32の雄ハウジング321が第一コネクタ21の収容空間212に嵌入されることによって、結合がなされる。このとき、第一コネクタ21の複数の雄端子213と第二コネクタ32の複数の雌端子323が、電気的に接続される。
【0029】
ケーブル23に収容された給電線は、第一コネクタ21の雄端子213にも接続されている。したがって、パルスフォトメータからの電力は、雌端子323と支持体31に支持された給電線を介して受光部33の受光素子にも供給される。すなわち、第一コネクタ21と第二コネクタ32を結合することにより、受光素子の駆動も可能とされる。
【0030】
図4の(B)は、結合状態にある第一コネクタ21と第二コネクタ32を示している。このとき、発光部22は、支持体31の透光部314に対向するように配置される。これにより、
図1に示された状態のセンサ1が得られる。
【0031】
センサ1は、以下のようにして被検者の指先に装着される。まず、支持体31の第一部分311が指の爪側と腹側の一方に配置される。第一部分311の裏面は、粘着性を有している。続いて、第三部分313を指の先端に対向させつつ支持体31を折り曲げることによって、第二部分312が指の爪側と腹側の他方に配置される。第二部分312の裏面は、粘着性を有している。その後、第一部分311の両側部に形成された一対の羽部分と第二部分312の両側部に形成された一対の羽部分を指の両側部に巻き付けることにより、センサ1の指先への固定が完了する。
【0032】
これにより、発光部22は、指の爪側と腹側の一方に対向する。他方、受光部33は、指の爪側と腹側の他方に対向する。発光部22から出射された光は、支持体31の透光部314を通過して被検者の指先の組織に入射する。当該組織を通過した光は、受光部33の受光面に入射する。受光部33の受光素子から出力された受光信号は、受光信号線を介して第二コネクタ32の雌端子323へ送られる。
【0033】
ケーブル23は、受光信号線も収容している。受光信号線は、第一コネクタ21の雄端子213とパルスフォトメータを電気的に接続している。したがって、第二コネクタ32の雌端子323へ送られた受光信号は、雄端子213とケーブル23を通じてパルスフォトメータへ送られる。当該受光信号は、パルスフォトメータにおいて適宜の処理に供される。
【0034】
次回の使用時においては、リユーザブル部分2が再利用され、新たなディスポーザブル部分3が用意される。再利用に供された第一コネクタ21と新たな第二コネクタ32が結合され、新たなセンサ1が得られる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係るセンサ1は、発光部22を備えたリユーザブル部分2と受光部33を備えたディスポーザブル部分3に分割可能である。部品単価が比較的高い発光素子が再利用可能とされるので、センサ1の運用コストを低減できる。この効果は、センサ1が使用する発光素子の数が増えるほど顕著となる。
【0036】
他方、第一コネクタ21と第二コネクタ32を結合するのみで発光部22が透光部314に対向するように配置される。受光部33は、ディスポーザブル部分3の一部として予め支持体31に固定されているので、受光部33を支持体31に位置決めする作業が省略され、センサ1が使用可能になるまでの時間を短縮できる。
【0037】
したがって、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えたセンサ1の利便性を高めることができる。
【0038】
図5に示されるように、第一コネクタ21の雌ハウジング211により区画される収容空間212には、封止部材214が配置されうる。封止部材214は、収容空間212を通じて雌ハウジング211の内部に水分が侵入することを防止する。封止部材214は、防水構造の一例である。本例においては、封止部材214は、ゴム製のパッキンである。封止部材214としては、Oリング、ガスケット、樹脂モールドなどが適宜に採用されうる。
【0039】
医療現場においては、血液、体液、消毒液、輸液などが使用中のセンサ1に付着する事態が生じうる。上記のような構成によれば、このような液体から発光部22などの電気的要素を保護できる。また、センサ1の使用後は、ディスポーザブル部分3を分離してリユーザブル部分2を流水洗浄や浸漬消毒に供することが可能である。これにより、リユーザブル部分2の再利用のための医療従事者による洗浄・消毒作業の負担を軽減できる。したがって、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えたセンサ1の利便性をさらに高めることができる。
【0040】
図3の(B)に示されるように、第二コネクタ32は、封止部材324を備えうる。封止部材324は、第一コネクタ21と第二コネクタ32が結合された状態において、両者の間に挟まれるように配置される。封止部材324としては、弾性を有するOリングなどのガスケットが例示されうる。
【0041】
このような構成によれば、第一コネクタ21と第二コネクタ32が結合されたセンサ1の使用時において、血液、体液、消毒液、輸液などの液体が第二コネクタ32に侵入することを防止できる。これにより、このような液体から受光部33などの電気的要素を保護できる。したがって、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えたセンサ1の利便性をさらに高めることができる。
【0042】
本実施形態においては、第一コネクタ21が雌ハウジング211を備え、第二コネクタ32が雄ハウジング321を備えている。しかしながら、第二コネクタ32がハウジングを備え、当該雌ハウジングに収容される雄ハウジングを第一コネクタ21が備えている構成も採用されうる。いずれの場合においても、
図4の(B)に示されるように、発光部22の少なくとも一部は、第一コネクタ21と第二コネクタ32の結合時において、結合方向D1と交差する上下方向D2から見て雌ハウジングと重なる位置に配置されうる。
【0043】
このような構成によれば、第一コネクタ21と第二コネクタ32の結合のために生じる空間を効率的に利用して発光部22を配置できる。これにより、センサ1の大型化を抑制できるので、装着時における被検者の負担を軽減できる。したがって、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えたセンサ1の利便性をさらに高めることができる。
【0044】
このような発光部22の配置を実現するために、
図4の(A)に示されるように、第一コネクタ21は、雌ハウジング211の下方において結合方向D1に沿って延びる突起215を備えている。発光部22は、突起215に支持されている。
【0045】
図3の(B)に示されるように、第二コネクタ32は、一対の突起325を備えている。一対の突起325は、
図4の(B)に示されるように、第一コネクタ21と第二コネクタ32の結合時において、左右方向D3から突起215を挟持する。これにより、一対の突起325は、結合方向D1と交差する左右方向D3への発光部22の変位を制限する。一対の突起325は、制限部材の一例である。そのような変位の制限が可能であれば、突起325の数は一つでもよいし、三つ以上でもよい。
【0046】
このような構成によれば、第一コネクタ21と第二コネクタ32が結合されたセンサ1の使用時において、発光部22が定位置(透光部314に対向する位置)からずれることを防止できる。これにより、センサ1による血中吸光物質濃度の測定精度の低下を抑制できる。したがって、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えたセンサ1の利便性をさらに高めることができる。
【0047】
図1と
図3の(A)に示されるように、支持体31は、保持部材315を備えうる。保持部材315は、第二コネクタ32と結合された第一コネクタ21に接続されているケーブル23を保持する。保持部材315は、図示の例のように一対の弧状の突起により実現されてもよいし、ケーブル23が延びる方向から見てC字状の断面形状を有する単一のフックより実現されてもよいし、支持体31の表面と結合可能な面ファスナを備えたベルトにより実現されてもよい。
【0048】
このような構成によれば、支持体31とケーブル23の相対変位を抑制できる。これにより、センサ1の使用時におけるケーブル23の変位に伴う煩わしさを軽減できる。したがって、リユーザブル部分2とディスポーザブル部分3を備えたセンサ1の利便性をさらに高めることができる。
【0049】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0050】
ディスポーザブル部分3の支持体31の形状は、用途に応じて適宜に定められうる。例えば
図6に示される別例のように、支持体31は、一端部に第二コネクタ32が支持されたベルト形状をとりうる。本例の場合、支持体31を被検者の身体に巻き付けることによって固定がなされる。
【0051】
本発明の思想が適用される医用センサの用途は、血中吸光物質濃度の検出に限られない。生体パラメータを光学的に検出する医用センサであれば、適宜の形状変更を通じて本発明の思想を適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1:センサ、2:リユーザブル部分、21:第一コネクタ、211:雌ハウジング、214:封止部材、215:突起、22:発光部、23:ケーブル、3:ディスポーザブル部分、31:支持体、314:透光部、315:保持部材、32:第二コネクタ、321:雄ハウジング、325:一対の突起、D1:結合方向、D2:上下方向、D3:左右方向