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特許7269768テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/08 20060101AFI20230427BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20230427BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F01D11/08
F02C7/00 D
F01D25/00 X
F01D25/00 L
F02C7/00 C
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019056221
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2019203497
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】15/986,570
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512182267
【氏名又は名称】ロールス-ロイス コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】516173843
【氏名又は名称】ロールス-ロイス パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー アレン ウォルストン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ピーター マッキンタイア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ケント ベッターズ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-511302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0306783(US,A1)
【文献】特開2009-143230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0276007(US,A1)
【文献】特表2017-522254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F01D 13/00-15/12;23/00-25/36
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード先端を備えるブレードと、
基材と、前記基材上のアブレイダブルコーティング層とを備える、ブレードトラック又はブレードシュラウドセグメントとを備える、システムにおいて、
前記基材は、前縁及び後縁を形成し、
前記アブレイダブルコーティング層は、
前記基材の中央部分から前記基材の前記前縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に連続的にテーパーがつけられた第1のテーパー部分と、
前記基材の前記中央部分から前記基材の前記後縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分と、
前記第1のテーパー部分と前記第2のテーパー部分の間の延びるブレード摩擦部分とを備え、
前記ブレード先端が、前記ブレードの回転時に前記ブレード摩擦部分の少なくとも一部に接触するように構成され、前記アブレイダブルコーティングが前記前縁から前記後縁に延びており、
前記システムはガスタービンエンジンを備え、前記基材の前記前縁と前記後縁の間に延びている第1の軸線が前記ガスタービンエンジンの軸線方向にあり、
前記基材が、
前記ガスタービンエンジンのもう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接するセグメント間縁部と、
反対側の縁部とをさらに形成し、
第2の軸線が、前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、周方向にあり、
前記中央部分が、前記前縁と前記後縁の間及び前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、
前記アブレイダブルコーティング層が、前記中央部分から前記セグメント間縁部にまで連続的にテーパーがつけられた第3のテーパー部分をさらに形成し、
前記ブレード摩擦部分が、前記第1のテーパー部分、前記第2のテーパー部分、及び前記第3のテーパー部分の間に延び、
前記ブレード先端が、前記ブレードの周方向への回転時に前記ブレード摩擦部分と係合するより前に第3のテーパー部分と係合するよう構成される、システム。
【請求項2】
前記基材が前記前縁から前記後縁までの曲線状の面を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記基材が、前記中央部分から前記前縁までの第1の傾斜部分及び前記中央部分から前記後縁までの第2の傾斜部分を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基材の前記第1の傾斜部分及び前記第2の傾斜部分がそれぞれ、1°~30°の間の角度で前記中央部分に対して傾斜している、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記アブレイダブルコーティング層の前記ブレード摩擦部分が0.25mm~3mmの厚さを有し、前記第1のテーパー部分が0mmを超える最小厚さを有し、前記第2のテーパー部分が0mmを超える最小厚さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ブレード摩擦部分が、前記基材の前記前縁から前記後縁にアキシャル軸線に沿って測定された第1の幅を形成し、前記ブレード先端が前記アキシャル軸線に沿って測定された第2の幅を形成し、前記第1の幅が前記第2の幅より広い、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ブレードトラック又はブレードシュラウドが、少なくとも1つのボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層を前記基材上にさらに備え、前記アブレイダブルコーティング層が、前記少なくとも1つのボンドコート、EBC層、又はTBC層上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ブレード先端を備えるブレードと、
基材及び前記基材上のアブレイダブルコーティング層を備えるブレードトラック又はブレードシュラウドとを備えるシステムにおいて、
前記基材が、
ガスタービンエンジンのもう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接するセグメント間縁部と、
反対側の縁部とを形成し、
前記アブレイダブルコーティング層が、
前記基材の中央部分から前記セグメント間縁部まで連続的にテーパーがつけられたテーパー部分と、
前記基材の前記テーパー部分から前記反対側の縁部まで延びる非テーパー部分とを形成し、
前記ブレード先端が、前記ブレードの周方向への回転時に非テーパー部分と係合するより前に、前記テーパー部分と係合するように構成される、システム。
【請求項9】
前記基材が、前記セグメント間縁部から前記反対側の縁部まで曲線状の面を形成する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムがガスタービンエンジンを備え、第1の軸線が、前記基材の前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、前記ガスタービンエンジンの周方向にあり、前記基材が前縁及び後縁をさらに確定し、第2の軸線が、前記前縁と前記後縁の間に延び、軸線方向にあり、前記第2の軸線に沿って測定された前記テーパー部分の第1の幅が、前記前縁から前記後縁までの前記基材の第2の幅より小さい、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記アブレイダブルコーティング層の前記非テーパー部分が、0.25mm~3mmの厚さを有し、前記テーパー部分が0mmを超える最小厚さを有する、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記テーパー部分が少なくとも0.075mmの最小厚さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムはガスタービンエンジンを備え、第1の軸線が前記基材の前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、前記ガスタービンエンジンの周方向にあり、前記テーパー部分が第1のテーパー部分を備え、
前記基材が前縁及び後縁をさらに形成し、
第2の軸線が前記前縁と前記後縁に延び、軸線方向にあり、
前記中央部分が、前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間及び前記前縁と前記後縁の間に延び、
前記アブレイダブルコーティング層が、
前記基材の前記中央部分から前記基材の前記前縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分と、
前記基材の前記中央部分から前記基材の前記後縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に連続的にテーパーがつけられた第3のテーパー部分とを形成し、
前記非テーパー部分が、前記第1のテーパー部分と、前記第2のテーパー部分、前記第3のテーパー部分の間に延びる、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ブレードトラック又はブレードシュラウドが、少なくとも1つのボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層を前記基材上にさらに備え、前記アブレイダブルコーティング層が、前記少なくとも1つのボンドコート、EBC層、又はTBC層上にある、請求項に記載のシステム。
【請求項15】
第1の縁部及び第2の縁部を形成する基材の幾何学形状を受け取る段階と、
ブレードの周方向への回転時に少なくとも一部が前記ブレードのブレード先端に接触するように構成されている、アブレイダブルコーティング層のブレード摩擦部分の目標厚さを決定する段階と、
前記目標厚さを達成するようにコーティングパスの数又はコーティング装置の速度を決定する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層が、前記基材の中央部分から前記基材の前記第1の縁部又は前記第2の縁部に向かって前記第1の縁部又は前記第2の縁部に対して垂直な方向に連続的にテーパーがつけられた少なくとも1つのテーパー部分と、前記ブレード摩擦部分とを形成するように、前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布する段階とを含
前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布する段階が、
前記第1の縁部から前記第2の縁部まで測定される、前記基材の幅を決定する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層の前記ブレード摩擦部分の前記目標厚さ及びコーティングパスの数又は前記コーティング装置の前記速度に基づいて、コーティングパス減少幅を選択する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層の第1のコーティングパスを、前記第1の縁部又は前記第2の縁部の一方を含む第1の初期位置から、前記第1の縁部又は前記第2の縁部のもう一方を含む第1の終端位置まで塗布する段階と、
複数の次のコーティングパスを前記ブレード摩擦部分の前記目標厚さに達するまでそれぞれの次の初期位置から前記第1の終端位置まで塗布する段階とを含み、
各コーティングパスの次の各初期位置が、前のコーティングパスの前の初期位置と比べて、前記第1の終端位置により近い前記コーティングパス減少幅である、方法。
【請求項16】
前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布する段階が、
前記基材の第1の縁部から第2の縁部まで目標厚さより厚いか又はそれに等しい厚さを有する前記アブレイダブルコーティング層を塗布する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層の前記少なくとも1つのテーパー部分を、記少なくとも1つのテーパー部分が、前記基材の前記中央部分から前記基材の前記第1の縁部又は前記第2の縁部に向かって前記第1の縁部又は前記第2の縁部に対して垂直な方向に、連続的にテーパーがつけられるように機械加工する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、少なくとも1つのボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層を塗布する段階をさらに含み、前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布段階が、前記アブレイダブルコーティング層を前記少なくとも1つのボンドコート、EBC層、又はTBC層に塗布する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記基材を製造する段階をさらに含み、前記基材を製造する段階が、前記中央部分から前記第1の縁部までの第1の傾斜部分又は前記中央部分から前記第2の縁部までの第2の傾斜部分のうちの少なくとも1つを持つ前記基材を製造するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してアブレイダブルコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンやコンプレッサ部品などの高性能システムの構成部品は過酷な環境で稼働する。例えば、商業用航空エンジンにおいて高温ガスに曝されるタービンブレード、ベーン、ブレードトラック、及びブレードシュラウドは、約1000℃の表面温度を経験することがある。
【0003】
高性能システムには、例えばシュラウドなどの周囲の構造に隣接して回転するブレードなどの回転部品が含まれうる。回転部品とシュラウドの間の隙間を狭くすると、高性能部品の出力と効率が向上する可能性がある。回転部品とシュラウドの間の隙間は、ブレードシュラウドをアブレイダブルコーティングでコーティングすることによって減少させることができる。このようにして、回転部品、例えばタービンブレードは、タービンブレードが回転するにつれて隣接する静止部品に塗布された固定アブレイダブルコーティングの一部を摩耗させる可能性がある。これは、何回もの回転にわたって、タービンブレードの経路に対応するアブレイダブルコーティングの溝を摩耗させる可能性がある。したがって、アブレイダブルコーティングは、回転部品と反対側のシュラウドの内壁との間の隙間を減少できるアブレイダブルシールを形成でき、回転部品の先端周りの漏れを減らし、回転部品の至るところで水蒸気や空気などの作動流体の漏れ流れを導き、高性能部品の出力及び効率を増強することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティングに関する物品、システム、及び技術を記載する。いくつかの例では、アブレイダブルコーティングは1つ以上のテーパー部分を含みうる。例えば、アブレイダブルコーティングは、基材上にあり、基材の中央部分から基材の前縁、後縁、又はもう一方の面まで実質的に連続的にテーパーがつけられた1つ以上のテーパー部分を含みうる。そのようなテーパー部分は、アブレイダブルコーティング及び/又は基材の面にわたる熱勾配を減少でき、その熱勾配の減少は次に基材及びアブレイダブルコーティングを含む物品への熱応力を減少させることができる。熱応力の減少は、アブレイダブルコーティングの剥離及び/又は層間剥離を減少させると同時に、高温環境下で基材を保護する。
【0005】
1つの例では、システムは、ブレード先端を含むブレードと、基材を含むブレードトラック又はブレードシュラウドセグメント、及び基材上のアブレイダブルコーティング層を含む。基材は前縁及び後縁を形成する。アブレイダブルコーティング層は、基材の中央部分から基材の前縁に向かって前縁又は後縁に対して垂直な方向に、実質的に連続的にテーパーがつけられた第1のテーパー部分、基材の中央部分から基材の後縁に向かって前縁又は後縁に対して垂直な方向に、実質的に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分、及び第1のテーパー部分と第2のテーパー部分の間に延びるブレード摩擦部分を含む。アブレイダブルコーティングは前縁から後縁まで延び、ブレード先端はブレードの回転時にブレード摩擦部分の少なくとも一部に接触するように構成される。
【0006】
別の例では、システムは、ブレード先端を含むブレードと、基材を含むブレードトラック又はブレードシュラウド、及び基材上のアブレイダブルコーティング層を含む。基材はセグメント間縁部及び反対側の縁部を形成する。セグメント間縁部は、ガスタービンエンジンのもう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接している。アブレイダブルコーティング層は、基材の中央部からセグメント間縁部まで実質的に連続的にテーパーがつけられたテーパー部及び基材のテーパー部から反対側の縁部まで延びる非テーパー部分を形成する。ブレード先端は、ブレードの周方向への回転時に非テーパー部分と係合するより前にテーパー部分と係合するように構成される。
【0007】
さらに別の例では、方法は、幾何学的形状の基材を受け取ること及びアブレイダブルコーティング層のブレード摩擦部分の目標厚さを決定することを含み、基材は、第1の縁部及び第2の縁部を形成し、少なくとも前記ブレード摩擦部分の一部は、ブレードの周方向への回転時にブレードのブレード先端に接触するように構成される。この方法は、目標の厚さを達成するようにコーティングパスの数又はコーティング装置の速度を決定すること及びアブレイダブルコーティング層を基材に塗布することをさらに含む。アブレイダブルコーティング層は、基材の中央部分から基材の第1の縁部又は第2の縁部に向かって第1の縁部又は第2の縁部に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた少なくとも1つのテーパー部分及びブレード摩擦部分を形成するように基材に塗布される。
【0008】
本開示の1つ又は複数の例の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、且つ特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的なガスタービンエンジンを図示する破断図である。
図2A】基材及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含む図1の例示的なブレードシュラウドの拡大断面図を示す概念図である。
図2B図1及び図2Aの例示的なブレードシュラウド並びに図1のブレードを含むシステムの拡大断面図を示す概念図である。
図3A】基材及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含む別の例示的なブレードシュラウドの拡大断面図を示す概念図である。
図3B図3Aの例示的なブレードシュラウド及びブレードを含むシステムの拡大断面図を示す概念図である。
図4A】基材及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含む別の例示的なブレードシュラウドの拡大断面図を示す概念図である。
図4B図4Aのブレードトラックの例及びブレードを含むシステムの拡大断面図を示す概念図である。
図5】3つのテーパー部分を含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含む例示的なシステムの上面図を示す概念図である。
図6】テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含むブレードトラック又はブレードシュラウドを形成する例示的な技術を図示する流れ図である。
図7】テーパーがつけられたアブレイダブル層を基材に塗布する例示的な技術を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティングに関する物品、システム、及び技術を記載する。アブレイダブルコーティングは、ガスタービンエンジンシュラウド又はブレードトラックなどの基材上にありうる。本明細書に記載のアブレイダブルコーティングは1つ以上のテーパー部分を含む。例えば、アブレイダブルコーティングは、基材の中央部基材から基材の前縁に向かって実質的に連続的にテーパーがつけられた第1のテーパー部分、基材の中央部分から後縁に向かって実質的に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分、又はその両方を含みうる。
【0011】
ガスタービンエンジンのシュラウド又はブレードトラックは、前縁から後縁への方向に沿って使用中に様々な温度を経験することがある。本明細書で使用される場合、前縁はシュラウド又はブレードトラックの最も上流の部分であり、後縁はシュラウド又はブレードトラックの最も下流の部分である。例えば、アブレイダブルコーティングの相異なる部分における異なる冷却ガス流に起因して、アブレイダブルコーティングのブレード摩擦部分は、前縁及び後縁に隣接するアブレイダブルコーティングの部分と比べて比較的高温になりうる。アブレイダブルコーティングが、前縁と後縁の間のブレードシュラウド又はブレードトラック上で一定の厚さである場合、ブレード摩擦部分と比べて、一定の厚さのアブレイダブルコーティングと相まった冷却空気は、基材の前縁及び後縁での入熱を低減しうる。これは、様々な部分の間の熱膨張差により、アブレイダブルコーティング及び基材に応力を生じさせる可能性がある。物品への熱応力は、アブレイダブルコーティングの破砕及び/又は層間剥離を引き起こす可能性があり、そうでなければアブレイダブルコーティング及び/又は基材の有効寿命を短くする可能性がある。
【0012】
本明細書に記載のアブレイダブルコーティングは、基材の中心から後縁、前縁、又はその両方までの1つ以上の実質的に連続したテーパー部分を含み、アブレイダブルコーティング及び/又は基材の面に沿った熱勾配を低減しうる。したがって、アブレイダブルコーティング及び/又は基材への熱応力、アブレイダブルコーティングの剥離又は層間剥離の可能性、コーティングを製造するための時間及びコスト、又は同種のものが低減される。
【0013】
いくつかの例では、アブレイダブルコーティングは、前縁、後縁、又はその両方に向かってテーパーがついていることにくわえて又はその代わりに、基材の中央部分から、もう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接する基材のセグメント間縁部まで実質的に連続的にテーパーがつけられたテーパー部分を含みうる。このテーパーは、ブレードがシュラウド又はブレードトラックの1つのセグメントから周方向に隣接するセグメントに移行するときに、アブレイダブルコーティングに対するガスタービンエンジンブレードの衝撃力を低減することができる。これは、衝撃力によるアブレイダブルコーティングの余分な部分の除去などのアブレイダブルコーティング又はブレードへの意図しない損傷の可能性を減らすことができる。前縁、後縁、又はセグメント間縁部までのテーパーは、個別に用いてもよく、任意の組み合わせで用いてもよい。
【0014】
図1は例示的なガスタービンエンジン10を示す破断図である。ガスタービンエンジン10は、ケース20に取り付けられたファン12、圧縮機セクション14、燃焼器16、及びタービンセクション18を含む。ファン12はタービンセクション18によって駆動され、航空機(air vehicle)などの乗り物(図示せず)を推進するための推力の一部を提供する。圧縮機セクション14は、空気を圧縮して燃焼器16に送るように構成され、燃焼器16は、燃料を圧縮空気と混合して燃料を点火するように構成される。燃焼器16内での燃焼反応は、高温高圧の生成物を生じさせ、その生成物はタービンセクション18に向けられる。次いでタービンセクション18は仕事を抽出して(extracts work)圧縮機セクション14及びファン12を駆動する。タービンセクション18は1つ又は複数の段を含み、各段はブレードトラック又はシュラウドによって囲まれた複数のブレードを含む。明瞭にするために、単一のブレード26及びブレードシュラウドセグメント24が標識付けされている。
【0015】
図2Aは、基材30及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を含む図1の例示的なブレードシュラウドセグメント24の拡大断面図を示す概念図である。図2Aの断面図は、ガスタービンエンジン10の吸気口からガスタービンエンジン10の排気口まで延びる、ガスタービンエンジン10の主軸線に沿って取られたものであり、すなわち、図2Aは長手方向又は軸線方向断面図である。ブレードシュラウドセグメント24は、ガスタービンエンジン10のタービン18のブレードシュラウドに関して記載されているが、他の例では、ブレードシュラウドセグメント24は、ガスタービンエンジン10の追加部分又は代替部分の一部(例えば高圧圧縮機の段又は同種のもの)でありうる。
【0016】
基材30は、高温環境での使用に適した材料を含みうる。いくつかの例では、基材30は、例えば、Ni、Co、Ni/Fe、又は同種のものをベースとする合金を含む超合金を含む。基材30が超合金材料を含む例では、基材30は、チタン(Ti)、コバルト(Co)、又はアルミニウム(Al)などの1つ又は複数の添加剤も含むことができ、例えば、靭性、硬度、温度安定性、耐食性、耐酸化性、又は同種のものを含む基材30の機械的性質を向上しうる。
【0017】
いくつかの例では、基材30は、セラミック又はセラミックマトリックス複合材(CMC)を含みうる。好適なセラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は炭化ケイ素(SiC)などのケイ素含有セラミック、窒化ケイ素(Si3N4)、アルミナ(A1203)、アルミノケイ酸塩、遷移金属炭化物(例えば、WC、Mo2C、TiC)、シリサイド(例えば、MoSi2、NbSi2、TiSi2)、その組み合わせ、又は同種のものを挙げることができる。基材30がセラミックを含むいくつかの例では、セラミックは実質的に均質でありうる。基材30がCMCを含む例では、基材30はマトリックス材料と補強材料とを含みうる。マトリックス材及び補強材料は、例えば、本明細書に記載の任意のセラミックを含みうる。補強材料は連続的でも不連続的でもよい。例えば、補強材料は、不連続ウィスカー、小板、繊維、又は微粒子を含みうる。追加的又は代替的に、補強材料は、連続モノフィラメント又はマルチフィラメントの二次元又は三次元の織物、組紐(braid)、布地、又は同種のものを含みうる。いくつかの例では、CMCは、(単独で、又は残留Si金属を含む)SiCマトリックス材及びSiC補強材料を含む。
【0018】
基材30は前縁32と後縁34を形成する。いくつかの例では、前縁32及び後縁34は互いに実質的に平行であることができる。他の例では、前縁32と後縁34は互いに実質的に平行であることができない。場合によっては、前縁32と後縁34との間に延びる第1の軸線は、ガスタービンエンジン10の実質的に軸線方向にある(例えば、ガスタービンエンジン10の吸気口から排気口に延びる軸線と平行)。したがって、いくつかのそのような場合には、前縁32及び後縁34は、ガスタービンエンジン10の軸線方向に対して垂直又は実質的に垂直であることができる。
【0019】
図2Aの例では、基材30は、第1の傾斜部分38a及び第2の傾斜部分38bを含む。第1の傾斜部分38a及び第2の傾斜部分38bは、基材30の中央部分36に対して傾斜することができる。例えば、第1の傾斜部分38aは、中心部36に対して第1の角度α1傾斜することができる。第1の角度α1は、約1°~約30°又は約15°~約30°でありうる。同様に、第2の傾斜部分38bは中央部分36に対して第2の角度α2傾斜することができる。場合によっては、第2の角度α2は、約1°~約30°又は約15°~約30°でありうる。いくつかの例では、第1の角度α1及び第2の角度α2は実質的に同じであってよい。他の例では、第1の角度α1及び第2の角度α2は、中央部分36に対して異なる角度で傾斜してもよい。場合によっては、第1の傾斜部分38a又は第2の傾斜部分38bの一方又は両方は、基材30に対して一定ではない角度で傾斜しうる。例えば、第1の角度α1及び/又は第2の角度α2は、基材30に沿って徐々に変化してもよい。このように、第1及び第2のテーパー部分42及び44はテーパーの連続的な率又は程度を有していないことがあるが、テーパーは、段付きポケット(stepped pockets)を含む基材と比べると、中央部分36から前縁32又は後縁34までそれぞれ比較的緩やかで且つ連続的である。
【0020】
このように、基材30上のテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、第1の傾斜部分38aに沿って基材30の中央部分36から前縁32まで、且つ第2の傾斜部分38bに沿って基材30の中央部分36から後縁34までテーパーがつけられうる。第1の傾斜部分38a及び第2の傾斜部分38bは、基材30の中央部分36から前縁32及び後縁34までそれぞれ実質的に連続的なテーパーを形成しうる。したがって、第1及び第2の傾斜部分38a、38bを含む基材30は、ポケットを形成するための段付き面を含む基材と比べて、比較的緩やかな傾斜面を含み、物品をより空気力学的にし、物品に対する応力を低減し、集中(concentrated)熱勾配又は機械的応力又はそれらの組み合わせを低減又は実質的に防止しうる。
【0021】
さらに、いくつかの例では、第1及び第2の傾斜部分38a、38bを含む基材30は、基材内にポケットを形成するための段付き面を含むいくつかの基材よりも製造が容易でありうる。例えば、基材30を製造するためのレイアップ技術では、テープ及び/又は布地材料を積層しての基材30の形状を作り出す。基材がポケットを形成するための段付き面を含む例では、テープ及び/又は布地を比較的鋭い角度に曲げて段付きポケットを形成しなければならないことになり、これは、テープ及び/又は布地の残留応力に起因してレイアップ中又はその後のいずれかに、テープ及び/又は布地の破れ、ひび割れ、層間剥離、又は同種のものを生じさせる可能性がある。基材30が段付き面と比べて比較的緩やかなテーパーである第1及び第2の傾斜部分38a、38bを含む例では、テープ及び/又は布地はそのような鋭い角度で曲げられる必要がなく、テープ及び/又は布地を破れ、ひび割れ、及び/又は層間剥離から防ぐのに役立ちうる。
【0022】
いくつかの例では、ブレードシュラウドセグメント24は、基材30とテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング40の間に中間コーティング48を任意選択で含む。例えば、中間コーティング48は、ボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層のうちの少なくとも1つを含みうる。いくつかの例では、単一の中間コーティング48がこれらの機能のうちの2つ以上を果たしうる。例えば、EBC層は、環境保全、熱保護、及びカルシア-マグネシア-アルミナ-シリケート(CMAS)耐性を基材30にもたらすことができる。いくつかの例では、単一の中間コーティング48を含む代わりに、ブレードシュラウドセグメント24は、少なくとも1つのボンドコート、少なくとも1つのEBC層、少なくとも1つのTBC層、又はそれらの組み合わせなどの複数の中間コーティングを含みうる。
【0023】
ボンドコートを含む中間コーティング48は、基材30と、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40などの上層の間の付着を向上することができる。ボンドコートは、基材30とテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の間の付着を向上するように構成された任意の好適な材料を含みうる。いくつかの例では、中間コーティング48は、ボンドコートとテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の間に追加の層を含むことができる。そのような例では、ボンドコートの組成物は、基材30とボンドコート上にある層の間の付着を高めるように選択することができる。
【0024】
基材30が超合金を含む例では、ボンドコートは、MCrAlY合金(ここでMは、Ni、Co、若しくはNiCo)、β-NiAlニッケルアルミナイド合金(無修飾のもの若しくはPt、Cr、Hf、Zr、Y、Si、若しくはそれらの組み合わせによって修飾されたものいずれか)、γ-Ni+γ’-Ni3Alニッケルアルミナイド合金(無修飾のもの若しくはPt、Cr、Hf、Zr、Y、Si、若しくはそれらの組み合わせによって修飾されたものいずれか)、又は同種のものなどの合金を含みうる。基材30がセラミック又はCMCを含む例では、ボンドコートは、セラミック又は基材30が形成される材料と適合性のある他の材料を含みうる。例えば、ボンドコートは、ムライト(ケイ酸アルミニウム、Al6Si2O13)、ケイ素金属又は合金、二酸化ケイ素、シリサイド、又は同種のものなどを含みうる。ボンドコートは、ルテチウム(Lu)、イッテルビウム(Yb)、ツリウム(Tm)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ユーロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、プロメチウム(Pm)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、及び/又はスカンジウム(Sc)のケイ酸塩を含む希土類ケイ酸塩などの他の元素をさらに含みうる。
【0025】
中間コーティング48がEBC層を含む例では、EBC層は、希土類酸化物、希土類ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、又はアルカリ土類アルミノケイ酸塩のうちの少なくとも1つを含みうる。例えば、EBC層は、ムライト、バリウムストロンチウムアルミノシリケート(BSAS)、バリウムアルミノシリケート(BAS)、ストロンチウムアルミノシリケート(SAS)、少なくとも1つの希土類酸化物、少なくとも1つの希土類一ケイ酸塩(RE2SiO5、ここでREは希土類元素)、少なくとも1つの希土類二ケイ酸塩(RE2Si2O7、ここでREは希土類元素)、又はその組み合わせを含みうる。少なくとも1つの希土類酸化物、少なくとも1つの希土類一ケイ酸塩、又は少なくとも1つの希土類二ケイ酸塩の希土類元素は、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Pm、Nd、Pr、Ce、La、Y、又はScの少なくとも1つを含みうる。
【0026】
いくつかの例では、EBC層は、少なくとも1つの希土類酸化物とアルミナ、少なくとも1つの希土類酸化物と二酸化ケイ素、又は少なくとも1つの希土類酸化物と、二酸化ケイ素、アルミナを含みうる。いくつかの例では、EBC層は、EBC層の主成分にくわえて添加物を含みうる。例えば、添加物は、TiO2、Ta2O5、HfSiO4、アルカリ金属酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物のうちの少なくとも1つを含んでよい。添加物をEBC層に添加して、EBC層の1つ又は複数の所望の特性を改変することができる。例えば、添加物成分は、EBC層とCMASの反応速度の増減、CMASとEBC層の反応からの反応生成物の粘度の改変、基材30及び/若しくは他のコーティング層に対するEBC層の付着の増強、EBC層の化学的安定性の増減、又は同種のものを可能にする。
【0027】
いくつかの例では、EBC層は、ハフニア及び/又はジルコニアを実質的に含まない(例えば、含まない又はほとんど含まない)場合がある。ジルコニア及びハフニアはCMASによる化学的攻撃を受けやすいので、実質的にハフニア及び/又はジルコニアを含まないEBC層は、ジルコニア及び/又はハフニアを含むEBC層よりもCMAS攻撃に対してより耐性がありうる。EBC層は実質的に緻密な層であることができ、例えば、約10体積%未満の気孔率を含みうる。気孔率は、例えば、水銀ポロシメトリー、光学顕微鏡法、アルキメデスの原理に基づく方法、例えば流体飽和法などを用いて、EBC層の全体積と比較した開放空間の割合として測定される。EBC層はまた、CMASに対する耐性をもたらしうる。
【0028】
追加的又は代替的に、中間コーティング48はTBC層を含みうる。TBC層は、低い熱伝導率(例えば、TBC層を形成する材料の固有の熱伝導率と、構築されたTBC層の有効熱伝導率の両方)を有して、基材30及び/又は中間コーティング48の他のコーティング層に熱絶縁をもたらす。いくつかの例では、TBC層は、1つ又は複数の酸化物で安定化又は部分的に安定化できるジルコニア系又はハフニア系材料を含みうる。いくつかの例では、イッテルビア、サマリア、ルテチア、スカンジア、セリア、ガドリニア、ネオジミア、ユーロピア、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの希土類酸化物、単一又は複数の希土類酸化物で安定化されたジルコニア、単一又は複数の希土類酸化物で安定化されたハフニア、RE2Zr2O7(ここで、REは希土類元素)などのジルコニア-希土類酸化物化合物、RE2Hf2O7(ここで、REは希土類元素)などのハフニア-希土類酸化物化合物、及び同種のものを含むことは、TBC層の熱導電率を下げるのに役立ちうる。いくつかの例では、TBC層は、ジルコニア又はハフニアを含むベース酸化物、イッテルビアを含む第1の希土類酸化物、サマリアを含む第2の希土類酸化物、及びルテチア、スカンジア、セリア、ネオジミア、ユーロピア、又はガドリニアの少なくとも1つを含む第3の希土類酸化物を含みうる。TBC層は、TBC層の比較的低い熱伝導率に寄与しうる、円柱状微細構造又は微孔性微細構造などの多孔性を包含しうる。
【0029】
中間コーティング48は、例えば、溶射、例えば、エアプラズマ溶射、高速オキシ燃料(HVOF)溶射、低蒸気プラズマ溶射、懸濁プラズマ溶射、物理蒸着(PVD)、例えば、電子ビーム物理蒸着(EB-PVD)、directed vapor deposition(DVD)、陰極アーク蒸着、化学蒸着(CVD)、スラリー法蒸着、ゾルゲル法蒸着、電気泳動蒸着、又は同種のものを用いて基材30に形成することができる。
【0030】
ブレードシュラウドセグメント24は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を基材30上に含む。テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、基材30の前縁32から後縁34まで延びることができる。テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40又はテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の少なくとも一部は、ブレードシュラウドセグメント24とブレードの間を比較的密に塞ぐために、例えばガスタービンエンジンのブレードによって摩耗するように構成することができる。磨耗性は、充分な物理的な力に曝されたときに比較的小さな断片に砕ける性質を包含しうる。磨耗性は、破壊靭性及び破壊機構(例えば脆性破壊)などのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を形成する材料の材料特性、並びにテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の気孔率によって影響を受ける可能性がある。
【0031】
テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は任意の適切な材料を含みうる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、ブレード先端は接触によってテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を摩耗できるように、回転するブレードのブレード先端の硬度よりも比較的低い硬度を示す材料から形成されうる。したがって、ブレード先端の硬度に対するテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の硬度は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の磨耗性を表すことができる。
【0032】
いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40はマトリックス組成物を含みうる。テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40のそのようなマトリックス組成物は、窒化アルミニウム、二ホウ化アルミニウム、炭化ホウ素、酸化アルミニウム、ムライト、酸化ジルコニウム、炭素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ素金属、ケイ素合金、遷移金属窒化物、遷移金属ホウ化物、希土類酸化物、希土類ケイ酸塩、酸化ジルコニウム、安定化酸化ジルコニウム(例えば、イットリア安定化ジルコニア)、安定化酸化ハフニウム(例えば、イットリア安定化ハフニア)、バリウム-ストロンチウム-アルミニウムシリケート、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含みうる。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、ケイ素及び酸素を含む合成又は天然化合物を指しうる少なくとも1つのケイ酸塩を含む。好適なケイ酸塩としては、希土類二ケイ酸塩、希土類一ケイ酸塩、バリウムストロンチウムアルミニウムシリケート、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
場合によっては、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、ジルコニア又はハフニアのベース酸化物、並びに、例えば、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Tb、Eu、Sm、Pm、Nd、Pr、Ce、La、Y、及びScの酸化物などの少なくとも1つの希土類酸化物を含みうる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、少量の少なくとも1種の希土類酸化物と混合されたベース酸化物ジルコニア又はハフニアを主に(例えば主成分又は大部分)含みうる。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、ベース酸化物並びに、イッテルビアを含む第1の希土類酸化物、サマリアを含む第2の希土類酸化物、及びルテチア、スカンジア、セリア、ネオジミア、ユーロピア、又はガドリニアの少なくとも1つを含む第3の希土類酸化物を含みうる。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40が、ジルコニア、イッテルビア、サマリア、及びガドリニアを含むことができるように、第3の希土類酸化物はガドリニアを含みうる。
【0034】
テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、任意選択で他の元素又は化合物を含んで、例えば、相安定性、熱導電率、又は同種のものなどのコーティング層の所望の特徴をすることができる。追加要素又は化合物の例としては、例えば、希土類酸化物が挙げられる。主にジルコニアである層の中に、イッテルビア、ガドリニア、及びサマリアなどの1つ又は複数の希土類酸化物を含めることは、例えばジルコニア及びイットリアを含む組成物と比較して、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の熱伝導率を低下させるのに役立ちうる。
【0035】
テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の磨耗性は、層のそれぞれの組成物、例えば組成物の物理的及び機械的特性に依存しうるが、層の磨耗性は層の気孔率にも依存しうる。例えば、比較的多孔性の組成物は、比較的非多孔性の組成物と比べて、より高い磨耗性を示しうる。比較的高い気孔率を持つ組成物は、比較的低い気孔率を持つが他のすべては同じ組成物と比べて、より高い磨耗性を示しうる。さらに、比較的多孔性のテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、比較的低い気孔率又は緻密な微細構造を持つコーティング層と比べて減少した熱伝導率を有しうる。
【0036】
したがって、いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は複数の細孔を含んでよい。複数の細孔は、相互連結空隙、非連結空隙、部分連結空隙、回転楕円体状(spheroidal)空隙、楕円形空隙、不規則形状空隙、又は任意の所定の幾何学形状を有する空隙、又はそれらの網状組織のうちの少なくとも1つを含みうる。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、約10体積%~約50体積%、約10体積%~約40体積%、約15体積%~35体積%、又は約25体積%の気孔率を示しうる。ここで、気孔率は、細孔体積をテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の総体積で割った%割合として測定される。テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の気孔率は、水銀ポロシメトリー、光学顕微鏡法、アルキメデスの原理に基づく方法、例えば、流体飽和法、又は同種のものを用いて測定することができる。
【0037】
いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の気孔率は、コーティング材及びコーティング材添加物が2つの放射状粉末供給注入口(radial powder feed injection port)を用いてプラズマ流に投入される共溶射法技術(co-spray process technique)を用いてコーティング材をプラズマ溶射することによって生成及び/又は制御することができる。例えば、ブレードシュラウドセグメント24の使用温度で溶融又は燃焼するコーティング材添加物を、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を形成するコーティング材に組み込むことができる。コーティング材添加物は、例えば、グラファイト、六方晶窒化ホウ素、又はポリエステルなどのポリマーを含むことができ、基材30にコーティング材料を蒸着させるより前にコーティング材に組み込んでテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を形成することができる。次いで、コーティング材添加剤は、形成後熱処理において、又はブレードシュラウドセグメント24の動作中(例えば、ガスタービンエンジン10の動作中)に溶融又は燃焼除去されて、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40に細孔を形成することができる。蒸着後熱処理は、超合金を含む基材30を有する部品については最高で約1150℃で、又はCMC若しくは他のセラミックを含む基材30を有する部品について最高で約1500℃で行うことができる。
【0038】
他の例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の気孔率を異なる方法で付与若しくは制御でき、且つ/又はテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を異なる技術を用いて基材30上に蒸着させることができる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、例えば、溶射、例えば、エアプラズマ溶射、HVOF溶射、低蒸気プラズマ溶射、懸濁プラズマ溶射、PVD、例えば、EB-PVD、DVD、若しくは陰極アーク蒸着、CVD、スラリー法蒸着、ゾルゲル法蒸着、電気泳動蒸着、又は同種のものを含む多種多様なコーティング技術を用いて蒸着させることができる。
【0039】
図2Aに示すように、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、第1のテーパー部分42と第2のテーパー部分44を含む。さらに、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、第1のテーパー部分42と第2のテーパー部分44の間に延びるブレード摩擦部分46を含む。いくつかの例では、ブレード摩擦部分46の少なくとも一部は、ブレードの回転時にブレードのブレード先端によって接触されるように構成されうる。いくつかのそのような例では、ブレード先端はブレード摩擦部分46の一部を摩耗させるように構成されうる。
【0040】
図2Bは、図1及び図2Aの例示的なブレードシュラウドセグメント24並びに図1のブレード26を含むシステム50の拡大断面図を示す概念図である。図2Aの断面図のように、図2Bの断面図は、ガスタービンエンジン10の吸気口からガスタービンエンジン10の排気口まで延びる、ガスタービンエンジン10の主軸線に沿って取られたものており、すなわち、図2Bは長手方向又は軸線方向断面図である。図2Bが、ブレード26のブレード先端52によって摩耗されて、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40内にブレード経路54を形成したブレード摩擦部分46の部分を示すことを除いて、図2Bに示されるブレードシュラウドセグメント24は、図2Aに示されるブレードシュラウドセグメント24と同じである。
【0041】
第1のテーパー部分42及び第2のテーパー部分44は、ブレード先端52によって摩耗されるように構成されていない(例えば、ブレード先端52が第1のテーパー部分42又は第2のテーパー部分44に接触するようにブレード26に対して位置決めされない)ので、第1及び第2のテーパー部分42、44は、ブレード摩擦部分46のコーティング厚さほど厚いコーティング厚さを必要としない可能性がある。むしろ上述したように、基材30の前縁32から後縁34まで延びる一定の厚さのアブレイダブルコーティングは、基材30にわたって比較的大きな熱勾配をもたらし、その結果、基材30及びアブレイダブルコーティング層40に応力が生じる。したがって、第1のテーパー部分42及び/又は第2のテーパー部分44の最小厚さは、例えば約0.075mm(約0.003インチ)を超える最小厚さなどの、0mmを超える任意の厚さであることができる。場合によっては、第1のテーパー部分42は前縁32又はその近くでそれぞれの最小厚さを形成でき、第2のテーパー部分44は後縁34又はその近くでそれぞれの最小厚さを形成することができる。このように、第1及び第2のテーパー部分42、44の最小厚さは、一定の厚さのアブレイダブルコーティングと比べてブレードシュラウドセグメント24上の熱ひずみを、(例えば、前縁32及び後縁34を局所的に加熱することによって)低減しながら、システム22の過酷な動作環境から基材30を保護するのに役立ちうる。
【0042】
第1のテーパー部分42は、基材30の中央部分36から(例えば、ブレード摩擦部分46を起点として)基材30の前縁32に向かって、前縁32及び/又は後縁34に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられうる。同様に、第2のテーパー部分44は、基材30の中央部分36から(例えば、ブレード摩擦部分46を起点として)基材30の後縁34に向かって、前縁32及び/又は後縁34に垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられうる。
【0043】
他方では、ブレード摩擦部分46は、第1のテーパー部分42又は第2のテーパー部分44の一方又は両方の最小厚さよりを超える厚さを形成することができる。例えば、ブレード摩擦部分46は、下にあるコーティング層(例えば中間コーティング48)又は基材30に接触する且つ/又はそれを摩耗させることなく、ブレード先端52が、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を摩耗してブレード経路54を形成できるのに充分な厚さでよい。いくつかの例では、ブレード摩擦部分46は、約0.025mm(約0.01インチ)~約3mm(約0.12インチ)の厚さを有しうる。他の例では、ブレード摩擦部分46は他の厚さを有してもよい。例えば、ブレード摩擦部分46は、下にあるコーティング層(例えば中間コーティング48)又は基材30に接触する且つ/又はそれを摩耗させることなく、ブレード先端52が、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40を摩耗してブレード経路54を形成できるような任意の厚さでよい。
【0044】
いくつかの例では、ブレード摩擦部分46はブレード先端52の幅より広くてよい。例えば、ブレード摩擦部分46は、アキシャル軸線(axial axis)に沿って測定されたブレード先端52の第2の幅より広い、基材30の前縁32から後縁34まで延びるアキシャル軸線(axial axis)に沿って測定された第1の幅を形成しうる。このようにして、ブレード先端52は、下にあるコーティング層(例えば、中間コーティング48)又は基材30に接触する且つ/又はそれを摩耗させることなくブレード経路54を形成することができる可能性がある。他の例では、ブレード摩擦部分46の幅は、ブレード先端52(及びブレード先端52の任意の潜在的な軸線方向移動)の幅以下でありうる。次に、ブレード先端52によって形成されたブレード経路54は、図2Bに示すように、ブレード摩擦部分46に溝付き(trenched)ブレード経路54を形成するのではなく、むしろ第1のテーパー部分42及び第2のテーパー部分44と実質的に連続しうる(例えば、ブレード摩擦後、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は第1のテーパー部分42から第2のテーパー部分44まで実質的に平らでありうる)。例えば、ブレード経路54(又はブレード経路54の縁部)は、第1のテーパー部分42の縁部及び第2のテーパー部分44の縁部(例えばブレード摩擦部分46に隣接する縁部)と実質的に同一平面上にあってよい。いくつかのそのような例では、ブレード先端52によって形成されたブレード経路54が、ブレード摩擦部分46に隣接する第1及び/又は第2のテーパー部分42、44の縁部と実質的に同一平面上にあるように、テーパー角β1、β2、又は第1及び/若しくは第2のテーパー部分42、44のテーパーの率を選択することができる。したがって、場合によっては、テーパー角β1、β2、又は第1及び/若しくは第2のテーパー部分42、44のテーパーの率、並びに/又はブレード摩擦部分46の幅は、ブレード先端52(及びブレード先端52の任意の潜在的な軸線方向移動)の幅に基づいて選択することができる。いくつかの例では、ブレード摩擦部分46の所望の厚さは、ブレード先端52によって形成されるブレード経路54が第1及び/又は第2のテーパー部分42、44の縁部と実質的に同一平面にあるように構成されないブレード摩擦部分の厚さを超えることがある。
【0045】
さらに、いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、ブレード摩擦領域46内で(例えば、ブレード摩擦部分46の第1の幅にわたって)比較的一定の厚さを有することができる。次に、ブレード26の振動、複数のブレード26の不完全な周方向のアラインメント、複数のブレード先端52の幅の不一致、又は同種のものが、下にあるコーティング層(例えば中間コーティング48)なしに、又はブレード先端によって基材30が接触及び/若しくは摩耗されることなく、ブレード経路54の形成を依然として可能にしうる。
【0046】
テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の第1及び第2のテーパー部分42、44は、実質的に線形テーパー部分として図示されているが、他の例では、第1及び第2のテーパー部分42、44の一方又は両方は実質的に非線形テーパー部分であってもよい。例えば、第1及び第2のテーパー部分42、44は湾曲していてもよい。同様に、第1及び第2の傾斜部分38a、38bの一方又は両方は、例えば曲面などの実質的に非線形の面でありうる。他の例では、第1のテーパー部分42、第2のテーパー部分44、第1の傾斜部分38a、及び/又は第2の傾斜部分38bのいずれかは、線形又は湾曲以外の異なる形状であってもよい。いくつかの例では、第1のテーパー部分42、第2のテーパー部分44、第1の傾斜部分38a、及び/又は第2の傾斜部分38bのいずれかの非線形形状は、製造又はテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40として塗布するのがより容易又は安価でありうる。追加的に又は代替的に、第1のテーパー部分42、第2のテーパー部分44、第1の傾斜部分38a、及び/又は第2の傾斜部分38bのいずれかの非線形形状は、実質的に線形形状と比べて熱勾配のさらなる低減を可能にしうる。
【0047】
いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、(例えば、ブレード経路54の形成より前に)比較的曲線状の外面56を形成し、一方で、下にある基材30の第1及び第2の傾斜部分38a、38bに起因して、やはり第1及び第2のテーパー部分42、44を含む(例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の外面56自体はテーパーがつけられていない)。例えば、曲線状の面を形成する外面56は、ブレードシュラウドの複数のブレードシュラウドセグメント24の(例えば、図1に見られるように)ガスタービンエンジンの長手方向軸線と実質的に平行な軸線を形成する円柱面などの円柱面の円弧でありうる。図2A及び図2Bでは比較的平らな外面56として図示されているが、明瞭にするために、外面56(例えば、曲線状の外面56)の湾曲は省略されている。他の例では、ブレードシュラウドセグメント24は、ブレードシュラウドのより大きなセグメント又はブレードシュラウドの全体を形成しうる。例えば、場合によっては、ブレードシュラウドセグメント24は、円柱面を形成することができ、したがって、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の外面もまた円柱形の外面を形成することができる。別の例として、ブレードシュラウドセグメント24又はブレードシュラウドは非対称でありうる。例えば、ブレードシュラウドセグメント24は、比較的円錐形の形状を持つガスタービンエンジンのケースのセグメントであることができ、したがって、ブレードシュラウドセグメント24は比較的円錐形の形状の一部を形成することができる。さらに別の例として、ブレードシュラウドセグメント24及び/又はテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の外面56は、比較的平らでありうる。テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40の外面56の形状は、ケース20の形状、ブレードシュラウドセグメント24のサイズ、ブレードシュラウドを形成するセグメントの数、ブレードシュラウドを持つブレードシュラウドセグメント24のセグメントの位置、又は同種のものに依存しうるブレードシュラウドセグメント24の形状に依存しうる。
【0048】
いくつかの例では、第1のテーパー部分42の第1のテーパー角度β1は、第1の傾斜部分38aの第1の角度α1と(例えば、中央部分36に対して)実質的に同じでありうる。第2のテーパー部分44の第2のテーパー角度β2は、第2の傾斜部分38bの第2の角度α2と(例えば、中央部分36に対して)実質的に同じでありうる。したがって、いくつかのそのような例では、第1のテーパー角度β1は約1°~約30°でありうる。第2のテーパー角度β2は約1°~約30°でありうる。いくつかの例では、第1のテーパー角度β1及び第2のテーパー角度β2の一方又は両方は、約15°~約30°でありうる。
【0049】
他の例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40は、比較的非曲線の外面を形成しうる。例えば、場合によっては、基材は比較的曲線状の面を有し(例えば傾斜部分がない)、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティングはテーパーがつけられた外面を有しうる。
【0050】
図3Aは、基材62及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を含む別の例示的なブレードシュラウドセグメント60の拡大断面図を示す概念図である。図3Bは、図3Aの例示的なブレードシュラウドセグメント60及びブレード26を含むシステム80の拡大断面図を示す概念図である。
【0051】
基材62は、図2A及び図2Bの基材30と実質的に同じでありうる。例えば、基材62は前縁64及び後縁66を含む。くわえて、基材62は、上記の基材30に関して説明した材料のいずれかを含みうる。しかし、図3A及び図3Bの例では、基材62はいかなる傾斜部分も含まない。このようにして、基材62は、前縁64から後縁66まで(例えば、ガスタービンエンジンの円柱形シュラウドのセグメントとして)実質的に曲線状の面68を形成しうる。
【0052】
ブレードシュラウドセグメント60はまた、中間コーティング48及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を含む。中間コーティング48は、図2A及び図2Bに関して説明したものと同一又は実質的に同一でありうる。上記の層の任意の1つ又は複数を含みうる。テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70は、実質的にテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40と実質的に類似しうるが、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40に関して説明したように、(例えば円柱形シュラウドのセグメントとして)比較的曲線状の外面を形成しない可能性がある。
【0053】
例えば、基材62が、実質的に曲線状の面68又は傾斜部分を含まない他の形状を形成することに起因して、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70が、前縁64から後縁66まで比較的一定の面ではなく、むしろ第1のテーパー部分72及び第2のテーパー部分74を含むように、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70はテーパーがつけられた外面を形成する。したがって、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40と同様に、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70は、基材62の中央部分から基材62の前縁64に向かって前縁64又は後縁66に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた第1のテーパー部分72を含み、基材62の中央部分から後縁66に向かって前縁64又は後縁66に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分74を含む。いくつかの例では、第1のテーパー部分72は、約1°~約30°又は約15°~約30°の第1テーパー角度β1を形成しうる。第2テーパー部分74は、約1°~約30°又は約15°~約30の第2テーパー角度β2を形成しうる。
【0054】
このようにして、第1及び第2のテーパー部分72、74は、基材62を過酷な稼働環境から保護するための最小厚さなどの最小厚さを形成できるので、ブレードシュラウドセグメント60も一定厚さのアブレイダブルコーティングと比べて熱勾配が減少でき、且つブレード摩擦部分76は、中間コーティング48及び/又は基材62がブレード先端52によって接触されることなく、ブレード先端52によって摩耗されるのに充分な厚さを形成することができる。いくつかの例では、第1のテーパー部分72は、少なくとも約0.075mm(約0.003インチ)などの0mmを超える最小厚さを有することができ、第2のテーパー部分74は、少なくとも約0.075mm(約0.003インチ)などの0mmを超える最小厚さを有することができ、ブレード摩擦部分76は、約0.25mm(約0.01インチ)~約3mm(約0.12インチ)の厚さを有することができる。さらに、ブレードシュラウドセグメント60は、基材62の段を含まない。次に、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を含むブレードシュラウドセグメント60は、熱応力が減少し、且つ/若しくはブレードシュラウドセグメント60全体に応力をより良好に分散でき、より空気力学的であることができ、且つ/又はテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70は、一定の厚さのアブレイダブルコーティング若しくは基材のポケットにアブレイダブルコーティングを含む基材と比べて剥離及び/又は層間剥離しにくい可能性がある。
【0055】
いくつかの例では、シュラウドの中央部分からシュラウドの前縁、後縁、又はその両方に向までテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含むことにくわえて、又はその代わりに、シュラウド又はブレードトラックは、アブレイダブルコーティング層の中央部分からセグメント間縁部までテーパーがつけられたアブレイダブルコーティングを含みうる。図4Aは、基材92及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102を含む別の例示的なブレードシュラウドセグメント90の拡大断面図を示す概念図である。図4Bは、図4Aの例示的なブレードトラック90及びブレード26を含むシステム110の拡大断面図を示す概念図である。図4A及び図4Bの断面図は、ガスタービンエンジン10の長手方向の軸線に対して垂直に取られている。すなわち、図4A及び図4Bは半径方向断面図(radial cross-sectional views)を示す。ブレードシュラウドセグメント90は、基材92及びテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング102を含む。いくつかの例では、ブレードシュラウドセグメント90はまた中間コーティング48を含みうる。基材92、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102、及び中間コーティング48は、本明細書に記載の違いを除いて、図2A図3Bに関して本明細書に記載の基材、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層、及び中間コーティングと同じ又は実質的に同様でありうる。例えば、基材92、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102、及び中間コーティング48は、同じ若しくは実質的に同じ材料から、且つ/又は上記と同じ若しくは実質的に同じ技術を用いて形成することができる。いくつかの例では、図4A及び図4Bの例は、図2A及び図2Bのブレードシュラウドセグメント24及びシステム50又は図3A及び図3Bのブレードシュラウドセグメント60及びシステム80の断面図を示しうる。
【0056】
基材92は、セグメント間縁部94及び反対側の縁部96を形成する。セグメント間縁部94は、ガスタービンエンジンのもう一方のブレードシュラウドのセグメントに、例えばブレードの回転方向とは反対の方向に隣接しうる(図4Bを参照)。例えば、ガスタービンエンジンは、複数のブレードを囲むブレードシュラウドを形成するために周囲に配置された複数のブレードシュラウドセグメントを含みうる。したがって、場合によっては、反対側の縁部96は、もう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接しうる(例えば、セグメント間縁部94と異なるセグメントがブレードの回転方向に隣接している、図4Bを参照)。すなわち、ブレード26の通常の周方向への回転時に、ブレード先端52は、図4Bに示すように矢印Aの方向に移動するように構成されうる。
【0057】
テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102は、テーパー部分104及び非テーパー部分106を含む。テーパー部分104は、基材92の中央部分からセグメント間縁部94まで実質的に連続的にテーパーが付けられうる。非テーパー部分106は、テーパー部分104(例えば基材92の中央部分)から反対側の縁部96まで延びうる。このようにして、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102は、セグメント間縁部94と反対側の縁部96の間に延びうる。
【0058】
いくつかの例では、基材92の中央部分からセグメント間縁部94まで実質的に連続的にテーパーがつけられたテーパー部分104を含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102の先端摩擦能力(tip rub capability)を向上させうる。例えば、ブレード26は矢印Aの方向に移動し、最初にセグメント間縁部94の近くでテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102と係合するので、テーパー部分104は、セグメント間縁部94におけるテーパー部分104に起因して、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102と徐々に係合するブレード先端52をもたらす。例えば、ブレードシュラウドの隣接するセグメント間の不一致のためにブレード先端がアブレイダブルコーティング層の突き出ている段に遭遇するのではなく、むしろブレード先端52は、ブレード26は周方向に回転するにつれて、一度に少しずつテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102のテーパー部分104と比較的穏やかに係合しうる。したがって、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102は、ブレード26の回転中(すなわち、シュラウド90の1つのセグメントからシュラウド90の次のセグメントへの移行中)、ブレード26への衝撃力を低減することができる。さらに、ブレード先端52は、より大きな段のアブレイダブルコーティングに遭遇するのではなく、むしろ一度に少しずつテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102と係合することができるので、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102及び/又はブレード先端52は、一定の厚さのアブレイダブルコーティングを含むシステムと比べて、比較的強引な(aggressive)先端摩擦事象に良好に耐えることができる可能性がある。
【0059】
いくつかの例では、テーパー部分104は、0mmを超える最小厚さ(例えば、少なくとも約0.075mm(約0.003インチ)を形成しうる。非テーパー部分106は、約0.25mm(約0.01インチ)~約3mm(約0.12インチ)の厚さを形成しうる。他の例では、テーパー部分104及び/又は非テーパー部分106は代替の厚さを形成しうる。
【0060】
場合によっては、(例えば、基材92の前縁と後縁の間に延びる軸線に沿って測定される)テーパー部分104の幅は、前縁から後縁までの基材92の幅より狭くてもよい。例えば、場合によっては、テーパー部分104の幅は、ほぼブレード先端52(及びブレード先端52の任意の潜在的な軸線方向移動)の幅であるか、又はブレード先端52(及びブレード先端52の任意の潜在的な軸線方向移動)の幅よりわずかに広い。次に、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102は、ブレード先端52上の漏れの量を低減することができる。さらに、基材92にテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102を塗布するのに溶射技術が用いられる例では、基材92にコーティング層を塗布する間に、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102を形成するためのコーティング材料が少なくて済む。
【0061】
1つのテーパー部分104のみを含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102として示されているが、他の場合では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102は、基材92の中央部分から反対側の縁部94まで実質的に連続的にテーパーがつけられた追加のテーパー部分を含みうる。いくつかのそのような例では、基材92は、(例えば、図2A及び図2Bの基材30と同様に)中央部分から反対側の縁部94まで中央部分に対して傾斜した傾斜部分を含みうる。
【0062】
いくつかの例では、基材は、3つ以上のテーパー部分を含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含みうる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層は、図5に示されるように、基材の中央部分から基材の前縁に向かって、基材の中央部分から基材の後縁に向かって、基材の中央部分から基材のセグメント間縁部に向かってテーパーがつけられうる。
【0063】
図5は、3つのテーパー部分を含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122を含む例示的なシステム120の上面図を示す概念図である。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、図3A及び図3Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70と、図4A及び図4Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102の組み合わせでありうる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、基材の中央部分(図示せず)から前縁64まで実質的に連続的にテーパーがつけられた第1のテーパー部分72、中央部分から後縁66まで実質的に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分74、及び中央部分からセグメント間縁部94まで実質的に連続的にテーパーがつけられた第3のテーパー部分104を含む。基材の中央部分は、前縁64と、後縁66、セグメント間縁部94、反対側の縁部96の間に延びうる。
【0064】
次に、3つのテーパー部分72、74、及び104を含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、基材にわたる温度勾配を減少させ、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122を含む物品への応力を減少させ、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122のブレード摩擦能力を向上しうる。さらに、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、一定の厚さのアブレイダブルコーティングと比べて、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122を形成するのに必要なコーティング材料が少なくてよい。
【0065】
いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、4つ以上のテーパー部分を含みうる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、基材の中央部分から基材の反対側の縁部96まで実質的に連続的にテーパーがつけられた第4のテーパー部を含みうる。追加的に又は代替的に、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層122は、図3A及び図3Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70と図4A及び図4Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102の組み合わせの代わりに、図2A及び図2Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層40と図4A及び図4Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102の組み合わせ、又は本明細書に記載のその他のテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層でありうる。
【0066】
図6は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を含むブレードトラック又はブレードシュラウドを形成するための例示的な技術を示す流れ図である。図6の技術は、図3Aのブレードシュラウドセグメント60に関して記載することになる。しかし、他の例では、図6の技術は、例えば、図2Aのブレードシュラウドセグメント24などの、図3Aのブレードシュラウドセグメント60以外の物品を形成するのに使用されてもよい。さらに他の例では、本明細書に記載のテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を形成するのに追加又は代替の技術が使用されてもよい。
【0067】
図6の技術は、所望の幾何学形状を持つ基材62を得ること(130)を含みうる。例えば、場合によっては、前縁64から後縁66まで実質的に曲線状の面を持つ基材62が得られうる。他の例では、平面、円錐形、円錐形の一部などの他の面形状が得られうる。さらに他の場合では、1つ以上の傾斜部分(例えば、図2Aの例にあるような第1及び/又は第2の傾斜部分38a、38b)を含む基材が得られうる。いくつかの例では、所望の幾何学形状を持つ基材62を得ることは、所望の幾何学形状を持つ基材62を製造することを含みうる。例えば、基材62は、前縁64から後縁66まで実質的に曲線状の面を形成するように製造されうる。同様に、基材は1つ以上の傾斜部分を形成するように製造されうる。いくつかのそのような例では、基材は所望の端部形状に製造されうる。他の例では、基材は、基材内に1つ以上の傾斜部分を形成するように機械加工されうる。
【0068】
いくつかの例では、図6の技術は、基材62に中間コーティング48を塗布すること(132)を任意選択で含む。いくつかの例では、中間コーティング48を基材62に塗布することは、ボンドコート、EBC層、TBC層、又はCMAS耐性層のうちの少なくとも1つを基材62に塗布することを含む。中間コーティング48は、任意の好適な技術を用いて基材62に塗布することができる。例えば、中間コーティング48は、溶射、例えば、エアプラズマ溶射、HVOF溶射、低蒸気プラズマ溶射、懸濁プラズマ溶射、PVD、例えば、EB-PVD、DVD、若しくは陰極アーク蒸着、CVD、スラリー法蒸着、ゾルゲル法蒸着、電気泳動蒸着、又は同種のものによって基材62に塗布することができる。他の例では、中間コーティング48は、追加又は代替の技術を用いて基材62に塗布することができる。
【0069】
図6の技術は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を基材62に塗布すること(134)をさらに含む。中間コーティング48と同様に、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70は、例えば、溶射、例えば、エアプラズマ溶射、HVOF溶射、低蒸気プラズマ溶射、懸濁プラズマ溶射、PVD、例えば、EB-PVD、DVD、若しくは陰極アーク蒸着、CVD、スラリー法蒸着、ゾルゲル法蒸着、電気泳動蒸着、又は同種のものなどの任意の好適な技術を用いて基材62に塗布することができる。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を基材62に塗布するために、基材62の幾何学形状、ブレード摩擦部分76の目標厚さ、第1のテーパー部分72及び/若しくは第2のテーパー部分74の最小厚さ、第3及び/若しくは第4のテーパー角度β3、β4、又は同種のものが考慮されうる。例えば、溶射技術(例えば、コーティングパスの数、コーティング装置の速度、又は同種のもの)は、基材62の幾何学的形状、ブレード摩擦部分76の目標厚さ、第1のテーパー部分72及び/若しくは第2のテーパー部分74の最小厚さ、又は第3及び/若しくは第4のテーパー角β3、β4のうちの1つ又は複数に基づいて定義することができる。
【0070】
図7は、テーパーがつけられたアブレイダブル層を基材に塗布する例示的な技術を示す流れ図である。図7の技術は、図3Aのブレードシュラウドセグメント60に関して記載することになる。しかし、他の例では、図7の技術は、例えば、図2Aのブレードシュラウドセグメント24などの、図3Aのブレードシュラウドセグメント60以外の物品を形成するのに使用されてもよい。さらに他の例では、本明細書に記載のテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層を形成するのに追加の又は代替の技術が使用されてもよい。
【0071】
図7に示した技術は、コンピューティングシステムによって、基材62の幾何学形状を受け取ること(140)を含む。いくつかの例では、コンピューティングシステムは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーション、サーバ、メインフレーム、クラウドコンピューティングシステム、ロボットコントローラ、又は同種のものを含みうる。コンピューティングシステムは、例えば、コーティングされる物品を固定するためのステージ及びマウント、物品の面幾何学形状を測定するための測定装置、及び/又はコーティングを施すためのコーティング装置を含むコーティングシステムの動作を制御するように構成されうる。コンピューティング装置は、それぞれの有線及び/又は無線通信接続、例えば、イーサネット若しくは他のネットワーク接続、USB、IEEE1394、又は同種のものなどのネットワークリンクを使用して、ステージ、マウント、測定装置、及び/又はコーティング装置に通信可能に接続されうる。
【0072】
いくつかの例では、基材62の幾何学形状は、前縁64から後縁66までの実質的に曲線状の面を含みうる。他の例では、基材62の幾何学形状は、(例えば図2A及び図2Bに示されるように)1つ又は複数の傾斜部分を含みうる。いくつかの例では、基材62の幾何学形状を受け取ることは、コンピューティング装置によって、測定装置から基材62の三次元面幾何学形状(例えば幾何学形状)を表すデータを決定することを含みうる。例えば、測定装置は、例えば、機械式、光学式、レーザー、若しくは同種のものでありうるCMMプローブを含む三次元測定機、構造化光三次元スキャナー、別の非接触光学式測定装置、デジタル画像相関、写真測量法、又は同種のものを含みうる。このように、幾何学的形状は、基材62の面(例えば、実質的に曲線状の面68)の複数の位置の三次元座標を含みうる。
【0073】
基材62の幾何学形状を表すデータを受け取った後、図7の技術は、コンピューティング装置によって、基材62に塗布されるテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70の少なくとも一部の目標厚さを決定すること(142)を含む。例えば、コンピューティング装置は、ブレード摩擦部分76の目標厚さ、第1のテーパー部分72の最小厚さ、又は第2のテーパー部分74の最小厚さのうちの1つ又は複数を決定することができる。上記のように、ブレード摩擦部分76の目標厚さは、ブレード26の回転中にブレード先端52が中間コーティング48及び/又は基材62に接触又は摩耗しないような厚さを含みうる。
【0074】
テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70の少なくとも一部の目標厚さを決定した後、図7の技術は、目標厚さを達成するために、コンピューティング装置によって、コーティング装置のパスの数、コーティング装置が基材62の面上を移動することになる速度、又はその両方を決定すること(144)を含む。
【0075】
いくつかの例では、パスの数及び/又は速度は、所定のテンプレートコーティングプログラムに基づきうる。いくつかの例では、所定のテンプレートプログラムはコーティング方法のパラメータを定めることができ、実験的に検証することができる。いくつかの例では、これらのパラメータの各々は固定されてもよく、基材62に対するパスの数及び/又はコーティング装置の速度のみがコンピューティング装置によって変更されてもよい。いくつかのそのような例では、所定のテンプレートプログラムは複数のサブルーチンを含むことができ、コンピューティング装置は基材62の面の各位置についてコーティングデバイスのパスのそれぞれの数(例えば、所定のテンプレートプログラムのそれぞれ各サブルーチンが実行(executed)又は実行(performed)されるべきそれぞれの数)を決定することができる。一例として、コーティングパスの数は、第1のテーパー部分72又は第2のテーパー部分74の幅を5で除算し、次いで40をその数で除算することによって決定することができる。例えば、第1のテーパー部分72が25mmの幅を有する場合、8回のコーティングパスが、アブレイダブルコーティング層70の目標厚さを達成するのに用いられうる(例えば、25/5=5、40/5=8回のコーティングパス)。
【0076】
追加的又は代替的に、コンピューティング装置は、基材62の面のそれぞれの位置ごとに基材62に対するコーティング装置の速度(例えば、コーティング装置のそれぞれのサブルーチンごとのそれぞれの速度)を決定することができる。このようにして、いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を塗布してブレード摩擦部分76などの少なくとも一部分の目標厚さを達成するためのコーティングプログラムを決定するために、図7の技術は、コンピューティング装置によって、基材62の面の各位置に対するコーティング装置のパスの数、基材62の面の各位置に対するコーティング装置の速度、又はその両方を決定することを含むことができる。
【0077】
いくつかの例では、第1のテーパー部分72、第2のテーパー部分74、及びブレード摩擦部分76を含むテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を塗布するためのコーティングプログラムは、目標厚さが達成されるまで、コーティング施行中に複数のコーティングパスの次のコーティングパスの各幅が減少できる技術(例えばコーティングパス減少技術(coating pass reduction technique))を含みうる。例えば、基材62の幅(例えば、前縁62から後縁64まで)が決定されうる。いくつかの例では、基材62の幾何学的形状が決定されるときに、基材62の幅が決定されうる。他の例では、基材62の幅は異なる時点で決定されうる。
【0078】
次に、コーティングパス減少幅は、(例えばブレード摩擦部分76の)テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70の目標厚さ並びにコーティングパスの数及び/又はコーティング装置の速度に基づいて選択することができる。場合によっては、追加のパラメータが、コーティングパス減少幅を選択するのに使用されることがある。例えば、ブレード摩擦部分76、第1のテーパー部分72、及び/若しくは第2のテーパー部分74の幅、第1及び/若しくは第2のテーパー部分72、74の最小厚さ、又は同種のものが、コーティングパス減少幅を選択するのに使用されうる。いくつかの例では、コーティングパス減少幅は約5mmでありうる。場合によっては、コーティングパス減少幅は異なる幅であってもよい。例えば、コーティングパス減少幅は、第1のテーパー部分72及び/又は第2のテーパー部分74の長さに基づいて決定されうる。
【0079】
このようにして、コーティングプログラムは、基材62上の初期位置から基材62上の終端位置までテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70の第1のコーティングパスを塗布することを含むことができる。例えば、初期位置は前縁64を含むことができ、終端位置は後縁66を含むことができる。第2のコーティングパスは、基材62上の次の初期位置から基材62上の次の終端位置まで基材62に施すことができる。次の初期位置は、前の初期位置(例えば上記初期位置)から終端位置に向かう方向におけるコーティングパス減少幅の距離でありうる。同様に、次の終端位置は、前の終端位置(例えば上記終端位置)から初期位置に向かう方向におけるコーティングパス減少幅の距離でありうる。追加のコーティングパスは、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70の部分の目標厚さが達成されるまで、同様の方法で基材62に施すことができる。例えば、各コーティングパスの次の各初期位置は、前のコーティングパスの前の初期位置と比べて、概ね終端位置により近いコーティングパス減少幅でありうる。同様に、各コーティングパスの後続の各終端位置は、前のコーティングパスの前の終端位置と比べて、概ね初期位置により近いコーティングパス減少幅でありうる。いくつかの例では、目標厚さが達成されると、1つ又は複数の追加のコーティングパスを基材62に塗布することができる。例えば、ブレード摩擦部分76の幅を有する複数のコーティングパスは、ブレード摩擦部分76が、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70の実質的に一定の厚さの部分を形成するように基材62に塗布することができる。
【0080】
いくつかの例では、次の初期位置又は次の終端位置のうちの1つのみが、コーティングパス減少幅によって調整されうる。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70が1つのテーパー部分(例えば図4A及び図4Bのテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層102)のみを含む例では、コーティングパス減少技術を含むコーティングプログラムを使用して1つのテーパー部分のみが形成されればよい。
【0081】
さらに、場合によっては、その後の各コーティングパスがコーティングパス幅によって調整することができない。例えば、場合によっては、コーティングパスの幅は、3、5、8、10、又は20回のコーティングパスごとにコーティングパス減少幅によって調整されうる。追加的に又は代替的に、コーティングプログラムは、コーティングプログラム全体にわたって(例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を形成するように複数のコーティングパスにわたって)、同じ間隔で、同一のコーティングパス減少幅又は同種のものによってコーティングパス幅を調整することができない。
【0082】
図7の技術は、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を基材62に塗布すること(146)をさらに含む。例えば、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を基材62に塗布することは、決められたパスの数及び/又はコーティング装置の速度を用いてテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を基材に塗布して目標厚さを達成するようにコーティング装置を制御することを含みうる。別の例として、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70は、例えば本明細書に記載のコーティングパス減少技術を含むコーティングプログラムなどのコーティングプログラムを使用して基材62に塗布することができる。いくつかの例では、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を基材62に塗布することは、テーパー状アブレイダブルコーティング層70を形成するためのコーティング材料が少なくて済むこと、塗布したコーティングの縁部の不連続性に対する感度を下げること、ブレードシュラウドセグメント60に対する応力を減少させること、コーティング材(例えば、無駄になるコーティング材)の過剰溶射を減らすこと、又は同種のものの可能性がある。
【0083】
さらに別の例として、場合によっては、テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70は、前縁64から後縁66までの目標厚さ以上の厚さを(例えば、比較的一定の厚さで)有する基材62に塗布でき、次いで、塗布されたコーティングを機械加工して、少なくとも1つのテーパー部分(例えば、第1のテーパー部分72及び/又は第2のテーパー部分74)を形成することができる。いくつかの例では、層を機械加工することなく(又は層を実質的に機械加工することなく)テーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70を塗布することは、より安価であり、テーパー状アブレイダブルコーティング層70を形成するためのコーティング材を無駄にせず、且つ/又はテーパーがつけられたアブレイダブルコーティング層70、60における残留応力を少なくすることができる。
【0084】
様々な例が説明されている。それらの例及び他の例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
ブレード先端を備えるブレードと、
基材と、前記基材上のアブレイダブルコーティング層とを備える、ブレードトラック又はブレードシュラウドセグメントとを備える、システムにおいて、
前記基材は、前縁及び後縁を形成し、
前記アブレイダブルコーティング層は、
前記基材の中央部分から前記基材の前記前縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた第1のテーパー部分と、
前記基材の前記中央部分から前記基材の前記後縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分と、
前記第1のテーパー部分と前記第2のテーパー部分の間の延びるブレード摩擦部分とを備え、
前記ブレード先端が、前記ブレードの回転時に前記ブレード摩擦部分の少なくとも一部に接触するように構成され、前記アブレイダブルコーティングが前記前縁から前記後縁に延びる、システムである。
第2の態様は、
前記基材が前記前縁から前記後縁までの実質的に曲線状の面を形成する、第1の態様におけるシステムである。
第3の態様は、
前記基材が、前記中央部分から前記前縁までの第1の傾斜部分及び前記中央部分から前記後縁までの第2の傾斜部分を形成する、第1の態様におけるシステムである。
第4の態様は、
前記基材の前記第1の傾斜部分及び前記第2の傾斜部分がそれぞれ、約1°~約30°の間の角度で前記中央部分に対して傾斜している、第3の態様におけるシステムである。
第5の態様は、
前記アブレイダブルコーティング層の前記ブレード摩擦部分が約0.25mm~約3mmの厚さを有し、前記第1のテーパー部分が0mmを超える最小厚さを有し、前記第2のテーパー部分が0mmを超える最小厚さを有する、第1の態様におけるシステムである。
第6の態様は、
前記ブレード摩擦部分が、前記基材の前記前縁から前記後縁にアキシャル軸線に沿って測定された第1の幅を形成し、前記ブレード先端が前記アキシャル軸線に沿って測定された第2の幅を形成し、前記第1の幅が前記第2の幅より広い、第1の態様におけるシステムである。
第7の態様は、
前記ブレードトラック又はブレードシュラウドが、少なくとも1つのボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層を前記基材上にさらに備え、前記アブレイダブルコーティング層が、前記少なくとも1つのボンドコート、EBC層、又はTBC層上にある、第1の態様におけるシステムである。
第8の態様は、
前記システムはガスタービンエンジンを備え、前記基材の前記前縁と前記後縁の間に延びている第1の軸線が前記ガスタービンエンジンの実質的に軸線方向にあり、
前記基材が、
前記ガスタービンエンジンのもう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接するセグメント間縁部と、
反対側の縁部とをさらに形成し、
第2の軸線が、前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、実質的に周方向にあり、
前記中央部分が、前記前縁と前記後縁の間及び前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、
前記アブレイダブルコーティング層が、前記中央部分から前記セグメント間縁部にまで実質的に連続的にテーパーがつけられた第3のテーパー部分をさらに形成し、
前記ブレード摩擦部分が、前記第1のテーパー部分、前記第2のテーパー部分、及び前記第3のテーパー部分の間に延び、
前記ブレード先端が、前記ブレードの周方向への回転時に前記ブレード摩擦部分と係合するより前に第3のテーパー部分と係合するよう構成される、第1の態様におけるシステムである。
第9の態様は、
ブレード先端を備えるブレードと、
基材及び前記基材上のアブレイダブルコーティング層を備えるブレードトラック又はブレードシュラウドとを備えるシステムにおいて、
前記基材が、
ガスタービンエンジンのもう一方のブレードシュラウドのセグメントに隣接するセグメント間縁部と、
反対側の縁部とを形成し、
前記アブレイダブルコーティング層が、
前記基材の中央部分から前記セグメント間縁部まで実質的に連続的にテーパーがつけられたテーパー部分と、
前記基材の前記テーパー部分から前記反対側の縁部まで延びる非テーパー部分とを形成し、
前記ブレード先端が、前記ブレードの周方向への回転時に非テーパー部分と係合するより前に、前記テーパー部分と係合するように構成される、システムである。
第10の態様は、
前記基材が、前記セグメント間縁部から前記反対側の縁部まで実質的に曲線状の面を形成する、第9の態様におけるシステムである。
第11の態様は、
前記システムがガスタービンエンジンを備え、第1の軸線が、前記基材の前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、前記ガスタービンエンジンの実質的に周方向にあり、前記基材が前縁及び後縁をさらに確定し、第2の軸線が、前記前縁と前記後縁の間に延び、実質的に軸線方向にあり、前記第2の軸線に沿って測定された前記テーパー部分の第1の幅が、前記前縁から前記後縁までの前記基材の第2の幅より小さい、第9の態様におけるシステムである。
第12の態様は、
前記アブレイダブルコーティング層の前記非テーパー部分が、約0.25mm~約3mmの厚さを有し、前記テーパー部分が0mmを超える最小厚さを有する、第9の態様におけるシステムである。
第13の態様は、
前記テーパー部分が少なくとも約0.075mmの最小厚さを有する、第12の態様におけるシステムである。
第14の態様は、
前記システムはガスタービンエンジンを備え、第1の軸線が前記基材の前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間に延び、前記ガスタービンエンジンの実質的に周方向にあり、前記テーパー部分が第1のテーパー部分を備え、
前記基材が前縁及び後縁をさらに形成し、
第2の軸線が前記前縁と前記後縁に延び、実質的に軸線方向にあり、
前記中央部分が、前記セグメント間縁部と前記反対側の縁部の間及び前記前縁と前記後縁の間に延び、
前記アブレイダブルコーティング層が、
前記基材の前記中央部分から前記基材の前記前縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた第2のテーパー部分と、
前記基材の前記中央部分から前記基材の前記後縁に向かって前記前縁又は前記後縁に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた第3のテーパー部分とを形成し、
前記非テーパー部分が、前記第1のテーパー部分と、前記第2のテーパー部分、前記第3のテーパー部分の間に延びる、第9の態様におけるシステムである。
第15の態様は、
前記ブレードトラック又はブレードシュラウドが、少なくとも1つのボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層を前記基材上にさらに備え、前記アブレイダブルコーティング層が、前記少なくとも1つのボンドコート、EBC層、又はTBC層上にある、第9の態様におけるシステムである。
第16の態様は、
第1の縁部及び第2の縁部を形成する基材の幾何学形状を受け取る段階と、
ブレードの周方向への回転時に少なくとも一部が前記ブレードのブレード先端に接触するように構成されている、アブレイダブルコーティング層のブレード摩擦部分の目標厚さを決定する段階と、
前記目標厚さを達成するようにコーティングパスの数又はコーティング装置の速度を決定する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層が、前記基材の中央部分から前記基材の前記第1の縁部又は前記第2の縁部に向かって前記第1の縁部又は前記第2の縁部に対して垂直な方向に実質的に連続的にテーパーがつけられた少なくとも1つのテーパー部分と、前記ブレード摩擦部分とを形成するように、前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布する段階とを含む、方法である。
第17の態様は、
前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布する段階が、
前記第1の縁部から前記第2の縁部まで測定される、前記基材の幅を決定する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層の前記ブレード摩擦部分の前記目標厚さ及びコーティングパスの数又は前記コーティング装置の前記速度に基づいて、コーティングパス減少幅を選択する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層の第1のコーティングパスを、前記第1の縁部又は前記第2の縁部の一方を含む第1の初期位置から、前記第1の縁部又は前記第2の縁部のもう一方を含む第1の終端位置まで塗布する段階と、
複数の次のコーティングパスを前記ブレード摩擦部分の前記目標厚さに達するまでそれぞれの次の初期位置から前記第1の終端位置まで塗布する段階とを含み、
各コーティングパスの次の各初期位置が、前のコーティングパスの前の初期位置と比べて、概ね前記第1の終端位置により近い前記コーティングパス減少幅である、第16の態様における方法である。
第18の態様は、
前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布する段階が、
前記基材の第1の縁部から第2の縁部まで目標厚さより厚いか又はそれに等しい厚さを有する前記アブレイダブルコーティング層を塗布する段階と、
前記アブレイダブルコーティング層の前記少なくとも1つのテーパー部分を、記少なくとも1つのテーパー部分が、前記基材の前記中央部分から前記基材の前記第1の縁部又は前記第2の縁部に向かって前記第1の縁部又は前記第2の縁部に対して垂直な方向に、実質的に連続的にテーパーがつけられるように機械加工する段階とを含む、第16の態様における方法である。
第19の態様は、
前記方法は、少なくとも1つのボンドコート、耐環境コーティング(EBC)層、又は遮熱コーティング(TBC)層を塗布する段階をさらに含み、前記アブレイダブルコーティング層を前記基材に塗布段階が、前記アブレイダブルコーティング層を前記少なくとも1つのボンドコート、EBC層、又はTBC層に塗布する段階を含む、第16の態様における方法である。
第20の態様は、
前記方法は、前記基材を製造する段階をさらに含み、前記基材を製造する段階が、前記中央部分から前記第1の縁部までの第1の傾斜部分又は前記中央部分から前記第2の縁部までの第2の傾斜部分のうちの少なくとも1つを持つ前記基材を製造するステップを含む、第16の態様における方法である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7