IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱源機 図1
  • 特許-熱源機 図2
  • 特許-熱源機 図3
  • 特許-熱源機 図4
  • 特許-熱源機 図5
  • 特許-熱源機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】熱源機
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20230427BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F24H9/02 301D
F23L1/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019070096
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020169741
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020693(JP,A)
【文献】特開2008-151362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス成形することによって形成され、バーナが配設される板金製のバーナボディと、
前記バーナボディと接続され、燃料ガスと燃焼用空気との混合気を前記バーナに供給するファンが収容されるファンケースと、
前記ファンケースの上流側に連設され、ガス供給管と給気管とが接続されて前記燃料ガスと前記燃焼用空気とを混合させる混合装置と、
前記バーナボディのバーナ側接続流路の上流端を形成する流入口の周縁部のバーナ側接続端面と前記ファンケースのファン側接続流路の下流端を形成する吹出口の周縁部のファン側接続端面とを気密状態に接続する略矩形の環状パッキンと、
前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面との間に配置され、前記バーナボディに固定されるとともに、前記ファンケースに締結接続される板金製の連結部品と、を有し、
前記連結部品は、略矩形状の開口部と、前記開口部と前記バーナ側接続端面との間に前記環状パッキンを収容するパッキン収容部とを有しており、
前記パッキン収容部は、前記連結部品が前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面との間に配置された状態で、前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面と前記連結部品の前記開口部の各開口縁から突出する四辺の突出片とで囲まれることによって形成される凹部からなり、
前記開口部は、前記連結部品が前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面との間に配置された状態で、前記開口部の開口縁が前記流入口及び前記吹出口のそれらよりも外方に位置するように開口され
前記連結部品は、前記バーナボディに溶接接合されており、
前記連結部品と前記ファン側接続端面とを、前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面とが対向する方向にネジ締結することにより、前記環状パッキンが圧縮固定されている熱源機。
【請求項2】
請求項1に記載の熱源機において、
前記環状パッキンは、外周部に外方に突出する突片を有し、
前記突片は、前記開口部の周縁部に係合する熱源機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱源機において、
前記バーナボディは、前記バーナが配設されるバーナ本体と、前記バーナ本体の一部から上外方に突出し、側面に前記流入口を備えた前記バーナ側接続流路を形成する導入部とを有し、
前記連結部品は、前記バーナ本体の上外面、前記導入部の上外面、及び前記流入口の前記周縁部の前記バーナ側接続端面と溶接接合されている熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機に関する。特に、本発明は、バーナが配設されるバーナボディと、バーナボディと接続されるファンケースとを有する熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の熱源機の一例である給湯器を示す概略構成図である。図5に示すように、この給湯器は、燃焼面310aが下向きとなるように、バーナボディ300の下面に設けられた下向き燃焼式のバーナ310を有する。また、バーナ310の燃焼面310aの下方には、顕熱回収型の一次熱交換器210が設けられており、さらにその下方に、潜熱回収型の二次熱交換器220が設けられている。
【0003】
この種の給湯器では、ファンケース400内のファン700を回転させることにより、混合装置620内で、給気管630から取り込まれる空気とガス供給管640から送り込まれる燃料ガスとが混合されて混合気が生成される。そして、混合気が、ファンケース400からバーナボディ300に送り込まれる。
【0004】
上記給湯器では、バーナ310の燃焼面310aは下向きに設けられているため、給湯運転中、ファン700の送風によりバーナ310からの火炎とともに燃焼排気が下方へ向かって噴出される。そして、燃焼排気が一次及び二次熱交換器210,220に送られた後、燃焼排気は排気ダクト660を通って排気口から給湯器外へ排出される。このとき、二次熱交換器220で潜熱が回収された燃焼排気の一部は、二次熱交換器220内で凝縮して酸性のドレンとなって、滞留する。
【0005】
また、上記給湯器では、給湯運転の停止によりバーナ310の燃焼が終了すると、ファン700による送風も停止する。このとき、バーナ310は一次及び二次熱交換器210,220の上方に設けられているため、二次熱交換器220内に滞留していた酸性のドレンが蒸発して酸性水蒸気が発生し、バーナボディ300へ上昇してくる。そのため、酸性水蒸気がバーナ310を越えて、ファンケース400や、さらに混合装置620に到達する場合がある。その結果、酸性水蒸気がこれらの内部で結露すると、ファンケース400内のファン700の羽根が錆びたり、混合装置620が腐食したりする。
【0006】
上記観点から、バーナボディ300とファンケース400との間に、逆止弁500が配設されている。逆止弁500のフラップ520は、混合気のガス流路の下流側へのみ開放するように設けられているため、ファン700の停止中、バーナボディ300よりも上流側への酸性水蒸気の到達が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-20693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ファン700の送風によってファンケース400からバーナボディ300に混合気を供給するためには、ファンケース400のファン側接続流路とバーナボディ300のバーナ側接続流路とを気密状態で接続する必要がある。そのため、特許文献1の給湯器では、図6に示すように、バーナボディ300のバーナ側接続流路の上流端側の接続端面に、逆止弁500の周縁部及び逆止弁500の上流側に配設される環状パッキン900が嵌り込む階段状の段差部を形成している。
【0009】
しかしながら、バーナボディ300とファンケース400との間に逆止弁500や環状パッキン900が挟まれた状態で気密性を確保するためには、バーナ側接続流路の上流端を形成する流入口の周縁部の接続端面及びファン側接続流路の下流端を形成する吹出口の周縁部の接続端面とにそれぞれフランジ380,440を形成し、対向するフランジ380,440をネジなどの締結手段により締結させる必要がある。そのため、バーナボディ300及びファンケース400をいずれもアルミダイキャストなどの鋳造により製作しなければならず、製造コストが増加するという問題がある。特に、特許文献1では、バーナ側接続流路の上流端側の接続端面に逆止弁500及び環状パッキン900を嵌め込むための段差部が形成される。そのため、密閉性を確保するためには、高精度な成形が必要となり、さらにコストを増加させる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ファンケースからバーナボディに混合気が供給される熱源機を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
プレス成形することによって形成され、バーナが配設される板金製のバーナボディと、
前記バーナボディと接続され、燃料ガスと燃焼用空気との混合気を前記バーナに供給するファンが収容されるファンケースと、
前記ファンケースの上流側に連設され、ガス供給管と給気管とが接続されて前記燃料ガスと前記燃焼用空気とを混合させる混合装置と、
前記バーナボディのバーナ側接続流路の上流端を形成する流入口の周縁部のバーナ側接続端面と前記ファンケースのファン側接続流路の下流端を形成する吹出口の周縁部のファン側接続端面とを気密状態に接続する略矩形の環状パッキンと、
前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面との間に配置され、前記バーナボディに固定されるとともに、前記ファンケースに締結接続される板金製の連結部品と、を有し、
前記連結部品は、略矩形状の開口部と、前記開口部と前記バーナ側接続端面との間に前記環状パッキンを収容するパッキン収容部とを有しており、
前記パッキン収容部は、前記連結部品が前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面との間に配置された状態で、前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面と前記連結部品の前記開口部の各開口縁から突出する四辺の突出片とで囲まれることによって形成される凹部からなり、
前記開口部は、前記連結部品が前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面との間に配置された状態で、前記開口部の開口縁が前記流入口及び前記吹出口のそれらよりも外方に位置するように開口され
前記連結部品は、前記バーナボディに溶接接合されており、
前記連結部品と前記ファン側接続端面とを、前記バーナ側接続端面と前記ファン側接続端面とが対向する方向にネジ締結することにより、前記環状パッキンが圧縮固定されている熱源機が提供される。
【0012】
上記熱源機によれば、鋳造に比べて安価なプレス成形によりバーナボディが製作される。一方、バーナボディを板金により製作する場合、流入口の周縁部にバーナボディとファンケースとを締結接続するためのフランジを形成することができない。また、板金製のバーナボディに直接、締結部を形成した場合、混合気がバーナボディから漏洩する虞がある。
【0013】
しかしながら、上記熱源機によれば、バーナ側接続端面とファン側接続端面との間に、バーナボディに固定されるとともに、ファンケースに締結接続される板金製の連結部品が配設され、環状パッキンは連結部品の開口部とバーナ側接続端面との間に形成されたパッキン収容部に収容される。また、上記連結部品の開口部は、連結部品がバーナ側接続端面とファン側接続端面との間に配置された状態で、開口部の開口縁が流入口及び吹出口のそれらよりも外方に位置するように開口されている。従って、締結手段によってバーナボディに固定された連結部品とファンケースとを締結させていけば、上記パッキン収容部に収容されている環状パッキンをバーナ側接続端面とファン側接続端面とに気密状態で接触させることができる。これにより、バーナボディとファンケースとを連結部品及び環状パッキンを介して気密状態で接続させることができる。
【0014】
なお、バーナボディとファンケースとの間に連結部品を配設すると、バーナボディと連結部品との間及び連結部品とファンケースとの間の2つの境界の気密性を確保する必要がある。しかしながら、上記熱源機によれば、連結部品のパッキン収容部に収容された環状パッキンをバーナ側接続端面とファン側接続端面とに密接させることができるから、1つの環状パッキンによりバーナボディとファンケースとの間の気密性を確保することができる。
【0015】
さらに、上記熱源機によれば、連結部品はバーナボディに固定されており、環状パッキンは連結部品に設けられたパッキン収容部に収容されているから、組み付け工程における環状パッキンの脱落や位置ずれを防止することができる。
【0017】
また、上記熱源機によれば、環状パッキンは、開口部とバーナ側接続端面との間に形成される凹部に収容されるから、組み付け工程における環状パッキンの脱落や位置ずれを確実に防止することができる。
【0018】
好ましくは、上記熱源機において、
前記環状パッキンは、外周部に外方に突出する突片を有し、
前記突片は、前記開口部の周縁部と係合する。
【0019】
上記熱源機によれば、環状パッキンが開口部の周縁部と係合する突片を有しているから、バーナボディとファンケースとを接続する前に環状パッキンを開口部とバーナ側接続端面との間のパッキン収容部に仮固定するとき、環状パッキンがパッキン収容部から脱落し難い。これにより、組み付け作業を効率化することができる。
【0020】
好ましくは、上記熱源機において、
前記バーナボディは、前記バーナが配設されたバーナ本体と、前記バーナ本体の一部から上外方に突出し、側面に前記流入口を備えた前記バーナ側接続流路を形成する導入部とを有し、
前記連結部品は、前記バーナ本体の上外面、前記導入部の上外面、及び前記流入口の前記周縁部の前記バーナ側接続端面と溶接接合され
【0021】
上記熱源機によれば、連結部品は、バーナ本体の上外面、バーナ本体の一部から上外方に突出する導入部の上外面、及び流入口の周縁部のバーナ側接続端面と溶接接合されているから、バーナボディとファンケースとが接続される前に、開口部が流入口と対向する所定の位置に配置されるように、バーナボディに連結部品を固定することができる。また、上記熱源機によれば、連結部品はファン側接続端面とネジ締結されているから、メンテナンス等においてバーナボディとファンケースとの接続を容易に解除することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、板金製のファンケースを用いることができるから、ファンケースからバーナボディに混合気が供給される熱源機を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る熱源機を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る熱源機を示す要部分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る熱源機の逆止弁が開いた状態を示す要部拡大断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る熱源機の逆止弁が閉じた状態を示す要部拡大断面図である。
図5】従来の熱源機を示す概略構成図である。
図6】従来の熱源機を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の熱源機を具体的に説明する。図1は、給湯器に適用した本発明の実施の形態に係る熱源機の概略構成図であり、図2は、熱源機の要部を示す分解斜視図である。
【0025】
給湯器のケーシング100内には、下向きの燃焼面31aを有するバーナ31を備えるバーナボディ30と、これに連通するファンケース40とが設けられている。ファンケース40は、横倒し状態で配設されている。ファンケース40内には、空気と燃料ガスの混合気をバーナボディ30内のバーナ31に送り込む縦軸型のファン70が収容されている。なお、本明細書では、便宜上、バーナボディ30とファンケース40とが並列している方向を左右方向、左右方向と水平方向に交差する方向を前後方向、左右方向と鉛直方向に交差する方向を上下方向という。また、ファン70の回転によって形成される混合気のガス流路に従って、ファンケース40側を上流側、バーナボディ30側を下流側という。
【0026】
バーナボディ30内のバーナ31の下方には、バーナ31からの燃焼排気で加熱される顕熱熱交換器である第1熱交換器21と、潜熱熱交換器である第2熱交換器22とが設置されている。また、ファンケース40の上流側には、空気と燃料ガスとを混合させる混合装置62が連設されている。混合装置62には、空気が供給される給気管63と、燃料ガスが供給されるガス供給管64とが接続されている。
【0027】
図2に示すように、ファンケース40は、上方に開放し、ファン70を収容可能なファン収容部41aを有する下ケース41と、モータが収容されたモータ収容部42aを有する上ケース42とを備える。下ケース41及び上ケース42はそれぞれ、例えば、アルミダイキャストなどの鋳造により製作される。下ケース41のファン収容部41aの下面には、ファン70の回転によって混合装置62から送られてくる混合気が流入する給気口48が開設されている。また、下ケース41のファン収容部41aの外周面に続く下流側には、上方に開放する略U字状の下通路部41bが延設されている。下通路部41bの下流端の周縁には、外方に張り出す取り付けフランジ41cが形成されている。また、上ケース42のモータ収容部42aの下流側には、下通路部41bの上方開放部を覆う通路蓋部42bが延設されている。通路蓋部42bの下流端は、上方に張り出す取り付けフランジ41cの上流側の端面に当接するように設定されている。従って、本実施の形態では、下ケース41と上ケース42とを接合させると、下ケース41の下通路部41bと、上ケース42の通路蓋部42bとによって、混合気がファンケース40からバーナボディ30へ向かって流れるファンケース40の下流側接続流路である略矩形状のファン側接続流路4が形成される。また、側方に開口する下ケース41の下通路部41bの下流端によって、ファンケース40の下流端開口部である混合気が吹き出される吹出口44が形成される。さらに、取り付けフランジ41cによって平面状のファン側接続端面410が形成される。なお、ファンケース40を構成する下ケース41や上ケース42の構造は、特に限定されない。例えば、ファンケース40は、中間の高さで分割された下ケース41と上ケース42とを接合することによって形成されてもよい。また、取り付けフランジ41cの一部は、上ケース42に形成されてもよい。
【0028】
図2及び図3に示すように、下ケース41の下通路部41bの下流端よりも上流側の所定位置には、下通路部41bの内面を外方に凹ませた下溝部41dが形成されている。また、下ケース41と上ケース42とを接合させたとき、上ケース42の通路蓋部42bにおける下溝部41dに対応する位置には、通路蓋部42bの内面を外方に凹ませた上溝部42dが形成されている。これらの上下溝部42d,41dには、後述する逆止弁5のケース体50のフランジ片51が嵌め込まれる。なお、上下溝部42d,41dは、ファン側接続流路4を形成する構成壁の全ての内面に形成する必要はなく、フランジ片51に対応する位置に設けられる。
【0029】
上ケース42の通路蓋部42bは、上溝部42dよりも下流側で上方に突設されている。そのため、下ケース41と上ケース42とを接合させると、上溝部42dよりも下流側のファン側接続流路4は、上溝部42dよりも上流側のファン側接続流路4よりも上方に広がっており、上溝部42dの下流側に上方に凹んだ凹部13が形成されている。この凹部13には、後述する逆止弁5の軸支部53が収容される。また、下ケース41の下通路部41bの下流端に形成される吹出口44の上縁は、凹部13が形成されている通路蓋部42bの内面よりも下方(すなわち、ファン側接続流路4の内方)に位置している。
【0030】
下ケース41の下通路部41bの下流端から上下方向に張り出す取り付けフランジ41cには、ファンケース40と、後述する取り付け用枠体80とを接続するための複数のネジ挿通孔Hが穿設されている。
【0031】
逆止弁5は、ファンケース40の吹出口44よりも上流側の所定位置に収容されている。逆止弁5は、略矩形筒状のケース体50と、ケース体50の外周面の上流側の端縁から外方に張り出すフランジ片51と、ケース体50の開口部50aの下流側に設けられ、混合気の流れによって下流側へのみ開放するフラップ52と、フラップ52を回動自在に軸支する軸支部53とを備える。
【0032】
ケース体50の下流側の端面は、下端が上端よりも下流側に位置するように傾斜している。このため、ケース体50の開口部50aがフラップ52によって閉じられると、フラップ52は、開口部50aの傾斜に沿って、フラップ52の下端が軸支部53に軸支された上端よりも下流側に位置する。
【0033】
既述したように、フランジ片51は、下ケース41の下通路部41bの内面に形成された下溝部41d及び上ケース42の通路蓋部42bの内面に形成された上溝部42dに嵌め込まれる。これにより、逆止弁5の上下及び左右方向における移動が規制され、逆止弁5がファン側接続流路4内に固定される。なお、本実施の形態では、フランジ片51はケース体50の外周面の全周にわたって形成されているが、略矩形筒状のケース体50が用いられる場合、フランジ片51はケース体50の2つの対向する一対の側壁の外周面のうち、上下及び前後方向の少なくともいずれか一方向において対向する一対の側壁の外周面に形成されてもよい。
【0034】
フラップ52を軸支する軸支部53は、ケース体50の上側壁上であって、上方のフランジ片51の下流側に設けられている。また、既述したように、軸支部53は、ファン側接続流路4内に形成される凹部13に収容されている。このため、図3に示すように、吹出口44の上縁は、軸支部53の下端よりも下方(すなわち、ファン側接続流路4の内方)に位置している。これにより、ファン側接続流路4内を上流側から流れてきた混合気は、軸支部53によって阻害されることなく、円滑に吹出口44に向かって流れる。
【0035】
また、図4に示すように、逆止弁5は、混合気がファン側接続流路4を流れておらず、フラップ52が閉じているとき、フラップ52が吹出口44よりも上流側に位置するように、ファン側接続流路4内に配設されている。このため、バーナボディ30とファンケース40とを接続させるとき、フラップ52が吹出口44から下流側に突出しない。これにより、フラップ52の干渉による取り付け不良の発生を防止することができる。
【0036】
さらに、図3に示すように、逆止弁5は、混合気がファン側接続流路4を流れて、フラップ52が開放しているとき、フラップ52が、後述するバーナボディ30の流入口35の上縁に当接するように、ファン側接続流路4内に配設されている。これにより、大量の混合気がファン側接続流路4を流れる場合でも、フラップ52の回動が流入口35の上縁によって規制される。このため、フラップ52がゴムなどの変形しやすい材料からなる場合でも、フラップ52の変形や引っ掛かりを防止することができる。
【0037】
図2及び図3に示すように、バーナボディ30は、下面にバーナ31が取り付けられた略矩形状の扁平なバーナボディ本体33と、バーナボディ本体33の一部の上面から上外方に突出する筒状の導入部34とを備える。バーナボディ本体33及び導入部34は、一枚の金属板を所定形状にプレス成形することにより一体に製作される。バーナ31は、全一次空気燃焼式のバーナであり、例えば、下向きに開口する多数の炎孔を有するセラミックス製の燃焼プレート、または金属繊維をネット状に編み込んだ燃焼マットからなる。バーナ31は、下向きの燃焼面31aを有しており、ファンケース40から送られてくる混合気を燃焼させる。
【0038】
導入部34は、下方に開口し、バーナボディ本体33と連通する導入口(図示せず)と、側方に開口する略矩形状の流入口35とを有する。従って、バーナボディ30とファンケース40とを接続させると、流入口35と既述したファンケース40の下流端開口部である吹出口44とを介して、バーナボディ30とファンケース40とが連通する。また、導入部34の内部空間がバーナボディ30の上流側接続通路であるバーナ側接続流路3を形成し、流入口35がバーナボディ30の上流端開口部を形成する。
【0039】
導入部34の構成壁のうち、上壁34a及び流入口35が開設された側壁34bは、平面状に形成されている。また、流入口35が開設された側壁34bは、正面側端部がバーナボディ本体33の上面の正面側寄りの左右方向中央部に位置し、背面側端部がバーナボディ本体33の上面の背面側寄りの右側方に位置するように、傾斜して設けられている。この流入口35が開設された側壁34bの上流側の端面が、バーナ側接続端面340を形成する。バーナ側接続端面340と、下ケース41の下通路部41bの下流端から外方に張り出す取り付けフランジ41cによって形成されるファン側接続端面410とは、後述する取り付け用枠体80及び環状パッキン90を介して接続される。
【0040】
流入口35は、導入部34の側壁34bをバーリング加工することによって形成されている。そのため、流入口35には、バーナボディ30の上流端である流入口35から下流側に向かって突出するバーリング部35aが形成されている。これにより、逆止弁5のフラップ52が下流側に回動して、フラップ52が流入口35の上縁に当接しても、フラップ52の引っ掛かりや変形を確実に防止することができる。
【0041】
また、流入口35の上縁は、吹出口44のそれよりも低く形成されている。既述したように、吹出口44は、上縁がそれより上流側のファン側接続流路4を形成する通路蓋部42bの内面よりも下方に位置するように設けられている。そのため、吹出口44に対向する流入口35が開設される側壁34bの高さ、すなわち、導入部34の高さを低く設定できる。これにより、コンパクトなバーナボディ30を形成することができる。さらに、導入部34の高さが抑えられるため、板金を絞り加工することにより導入部34を有するバーナボディ30を製作することができる。
【0042】
流入口35の開口幅は、フラップ52の幅よりも若干大きく形成されている。また、既述したように、吹出口44の上縁は軸支部53の下端よりも下方に位置し、流入口35の上縁は吹出口44のそれよりも下方に位置している。さらに、フラップ52の回動は、流入口35の上縁によって規制される。従って、混合気の流量が多くなって、フラップ52が最大開度で開放したときでも、フラップ52の下端は軸支部53よりも下方に位置する。これにより、フラップ52の過度の回動が防止され、フラップ52の変形を確実に防止することができる。
【0043】
取り付け用枠体(連結部品)80は、一枚の金属板を縦断面略クランク状にプレス成形することにより製作される。取り付け用枠体80は、圧縮変形可能な環状パッキン90を収容するパッキン収容部84が形成された略矩形状の主枠体81と、主枠体81の上端から下流側に延設された階段状の接合片82と、主枠体81の下端から上流側に延設された階段状の下片83とを有する。主枠体81には、環状パッキン90の外周縁と略同一の大きさの略矩形状の枠体開口部(開口部)85が開設されている。また、枠体開口部85の開口縁の四辺には、下流側のバーナ側接続端面340に向かって突出する突出片86が形成されている。また、4つの突出片86のうち前後2つの突出片86は、突出端が内方に向かって折り曲げられている。従って、図3及び図4に示すように、取り付け用枠体80がバーナボディ30と固定されると、これらの突出片86によって枠体開口部85とバーナ側接続端面340を形成する側壁34bとの間に所定の深さの凹部が形成され、凹部がパッキン収容部84として機能する。
【0044】
枠体開口部85は、取り付け用枠体80がバーナ側接続端面340を形成する側壁34bとファン側接続端面410を形成する取り付けフランジ41cとの間に配置されたとき、枠体開口部85の開口縁が流入口35及び吹出口44のそれらよりも外方に位置するように主枠体81に開口されている。また、取り付け用枠体80の主枠体81の上端は、導入部34の上壁34aよりも上方に延設されている。パッキン収容部84よりも上方の主枠体81及び下片83には、ネジ16を挿通させるネジ挿通孔Hが穿設されている。従って、これらの主枠体81及び下片83は、取り付け用枠体80とファンケース40とを締結接続させる接続フランジとして機能する。
【0045】
取り付け用枠体80は、バーナボディ30とファンケース40とを接続させる前に、接合片82、下片83、及び前後2つの突出片86の折り曲げ部分をそれぞれ、導入部34の上壁34aの上外面、バーナボディ30の上外面、及びバーナ側接続端面340を形成する導入部34の側壁34bにスポット溶接することにより、バーナボディ30に固定される。これにより、パッキン収容部84に収容される環状パッキン90と流入口35との位置ずれを防止することができる。
【0046】
環状パッキン90は、略矩形状の環状体である。環状パッキン90の内周縁は、ファンケース40の吹出口44と略同一の大きさを有する。また、既述したように環状パッキン90の外周縁は、枠体開口部85と略同一の大きさを有する。従って、環状パッキン90がパッキン収容部84に収容されると、環状パッキン90の外周縁はパッキン収容部84を形成する突出片86の内面に略当接する。図示しないが、環状パッキン90の前後の対向する側辺部は、外周縁から一定幅の領域の肉厚が内周縁のそれよりも薄くなるように形成されている。そのため、環状パッキン90は、内周縁と外周縁との間に段差部を有する。これらの段差部には、内方に折り曲げられた前後の突出片86が係合する。環状パッキン90がパッキン収容部84に嵌め込まれると、環状パッキン90の上流側の端面がパッキン収容部84の上流側の端面から僅かに上流側に突出し、環状パッキン90の内周縁近傍の下流側の端面がパッキン収容部84の下流側の端面から僅かに下流側に突出するように設定されている。さらに、環状パッキン90の外周縁の上方の前後両方の角部には、外方に突出する突片91が形成されている。これらの突片91は、環状パッキン90がパッキン収容部84に嵌め込まれると、突片91が枠体開口部85の周縁部と係合する。
【0047】
バーナボディ30とファンケース40とを接続させる場合、まず、取り付け用枠体80のパッキン収容部84に環状パッキン90を嵌め込み、突片91を枠体開口部85の周縁部に係合させる。次いで、バーナ側接続端面340を形成する側壁34b及びファン側接続端面410を形成する取り付けフランジ41cとの間に取り付け用枠体80が挟まれるように、バーナボディ30とファンケース40とを対向配置させる。そして、取り付けフランジ41c及び取り付け用枠体80に形成されたネジ挿通孔Hにネジ16を挿通させ、さらにネジ16とナット26とを締結させる。これにより、ネジ16をナット26に螺入させていくと、枠体開口部85より上方の主枠体81及び下片83の上流側の端面と取り付けフランジ41cの下流側のファン接続端面410とが当接し、対向するファンケース40の下流端開口部である吹出口44とバーナボディ30の上流端開口部である流入口35とが取り付け用枠体80及び環状パッキン90を介して連通する。また、締結によってガス流路の流路方向に環状パッキン90が圧縮され、環状パッキン90の上流側の端面が吹出口44の周縁部のファン接続端面410に密接し、環状パッキン90の下流側の端面が流入口35の周縁部のバーナ側接続端面340に密接する。さらに、圧縮によって環状パッキン90の外周縁が外方に延びて、パッキン収容部84を形成する突出片86の内面に環状パッキン90の外周縁が当接する。これにより、バーナボディ30とファンケース40とが気密状態で接続される。
【0048】
図3及び図6の対比から理解されるように、鋳造製のバーナボディと異なり、板金製のバーナボディ30は流入口35の周縁部にバーナボディ30とファンケース40とを締結接続するためのフランジを形成することができない。また、図3及び図4に示すように、板金製のバーナボディ30の導入部34に直接、締結部を形成した場合、混合気がバーナボディ30から漏洩する虞がある。
【0049】
しかしながら、本実施の形態によれば、バーナボディ30の流入口35の周縁部のバーナ側接続端面340と、ファンケース40の吹出口44の周縁部のファン側接続端面410との間には、バーナボディ30に予め溶接接合された取り付け用枠体80が配設され、環状パッキン90は取り付け用枠体80の枠体開口部85とバーナ側接続端面340との間に形成されたパッキン収容部84に収容される。また、枠体開口部85は、取り付け用枠体80がバーナ側接続端面340とファン側接続端面410との間に配置された状態で、枠体開口部85の開口縁が流入口35及び吹出口44のそれら(すなわち、流入口開口縁及び吹出口開口縁)よりも外方に位置するように開口されている。従って、ネジなどの締結手段によってバーナボディ30に接続された取り付け用枠体80とファンケース40とを締結させていけば、上記パッキン収容部84に収容されている環状パッキン90をバーナ側接続端面340とファン側接続端面410とに気密状態で接触させることができる。これにより、バーナボディ30とファンケース40とを連結部品である取り付け用枠体80及び環状パッキン90を介して気密状態で接続させることができる。また、連結部品である取り付け用枠体80とバーナボディ30とはガス流路の外部で溶接接合されているため、これらの接合に高精度の溶接を行う必要もない。従って、本実施の形態によれば、板金製のバーナボディ30を用いることができ、製造コストを低減することができる。
【0050】
なお、バーナボディ30とファンケース40との間に取り付け用枠体80が配設されると、バーナボディ30と取り付け用枠体80との間及び取り付け用枠体80とファンケース40との間の2つの境界の気密性を確保する必要がある。しかしながら、本実施の形態によれば、取り付け用枠体80のパッキン収容部84に収容された環状パッキン90の下流側の端面がバーナ側接続端面340に密接し、環状パッキン90の上流側の端面がファン側接続端面410に密接するから、1つの環状パッキンにより気密性を確保することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態によれば、取り付け用枠体80はバーナボディ30に固定されており、環状パッキン90は取り付け用枠体80に設けられたパッキン収容部84に収容されているから、組み付け工程における環状パッキン90の脱落や位置ずれを防止することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、環状パッキン90が取り付け用枠体80の枠体開口部85の周縁部と係合する突片91を有しているから、環状パッキン90をパッキン収容部84に仮固定するとき、環状パッキン90がパッキン収容部84から脱落し難い。これにより、組み付け工程を効率化することができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、取り付け用枠体80とファンケース40とはネジ締結によって接続されているから、メンテナンス等の作業を行うとき、バーナボディ30とファンケース40との接続を容易に解除することができる。
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、給湯器が用いられているが、ボイラなどの熱源機が用いられてもよい。
(2)上記実施の形態では、連結部品である取り付け用枠体の主枠体、下片、及び突出片がそれぞれ、導入部の上外面、バーナボディ本体の上外面、及びバーナ側接続端面に固定されている。しかしながら、連結部品とバーナ側接続端面との固定は省略されてもよい。
(3)上記実施の形態では、連結部品である取り付け用枠体とバーナボディとは溶接接合されている。しかしながら、連結部品とバーナボディとは、カシメや接着により固定されてもよい。
(4)上記実施の形態では、締結手段としてネジが使用されている。しかしながら、リベットなどの他の締結手段が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
30 バーナボディ
31 バーナ
35 流入口
40 ファンケース
44 吹出口
70 ファン
80 取り付け用枠体(連結部品)
84 パッキン収容部(凹部)
85 枠体開口部(開口部)
90 環状パッキン
91 突片
340 バーナ側接続端面
410 ファン側接続端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6