(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】点検口
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
E04F19/08 101K
E04F19/08 101L
E04F19/08 101C
(21)【出願番号】P 2019134229
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 克信
(72)【発明者】
【氏名】穴田 佳子
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-011991(JP,U)
【文献】特開2001-349047(JP,A)
【文献】実開昭56-010742(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
A47K 3/02
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の内周縁に配置される外枠と、
前記外枠の内側で開閉自在に配置される内枠と、
前記内
枠に設けられた係合部材と、
前記外
枠に設けられて前記係合部材に係合することで内枠の外枠に対する開きを防止する施錠板ばねと、
前記内枠と外枠との間に形成されて開錠具が挿入され得る隙間とを備え、
前記施錠板ばねが、前記隙間に挿入された開錠具を受ける受部を有し、
前記施錠板ばねが、前記受部で受けられた開錠具の操作により曲げ変形することで、前記係合部材との係合が解除されるものであ
り、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合による接触面が、前記外枠に対して内枠が開く方向に対して略垂直であり、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合を解除するための開錠具の操作が、前記接触面に沿った方向への受部の移動であることを特徴とする点検口。
【請求項2】
開口部の内周縁に配置される外枠と、
前記外枠の内側で開閉自在に配置される内枠と、
前記内
枠に設けられた係合部材と、
前記外
枠に設けられて前記係合部材に係合することで内枠の外枠に対する開きを防止する施錠板ばねと、
前記内枠と外枠との間に形成されて開錠具が挿入され得る隙間とを備え、
前記施錠板ばねが、前記隙間に挿入された開錠具を受ける受部を有し、
前記施錠板ばねが、前記受部で受けられた開錠具の操作により曲げ変形することで、前記係合部材との係合が解除されるものであ
り、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合による接触面が、前記外枠に対して内枠が開く方向に対して傾斜しており、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合を解除するための開錠具の操作が、前記受部で受けられた開錠具のさらなる挿入であることを特徴とする点検口。
【請求項3】
外枠に対して閉じられた内枠の全周に亘って、当該外枠が開口部の奥側から被さる構造であることを特徴とする請求項1
または2に記載の点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井点検口、壁点検口または床点検口などの点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、点検口には、天井に設けられる天井点検口、壁に設けられる壁点検口、および、床に設けられる床点検口などがある。例えば、天井点検口だと、天井に形成された矩形の開口部に設置される。前記天井点検口は、一般的に、前記開口部の内周縁に亘って取り付けられる外枠と、蓋の枠材として機能する内枠とを備える。このような天井点検口は、内枠の内側に天井材または石こうボード材など(以下、蓋板と称する)が張られた蓋を外枠に対して開閉するように設計される。
【0003】
点検口には、通常、外枠に対して内枠を施錠し得る施錠装置が設けられる。従来の天井点検口における施錠装置として、目立つことなく、施錠が簡単なものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に記載の天井点検口における施錠装置は、その
図2(D)および(E)に示すように、第1保持板51の回転軸である第1回動枢支部51cと、第2保持板52の回転軸である第2回動枢支部52dとを有する。すなわち、前記施錠装置は、第1回動枢支部51cおよび第2回動枢支部52dを有するように、2つの回転軸を有する複雑な機構となる。さらに、前記施錠装置は、前記特許文献1の
図3(C)に示すように、第1保持板51を開錠具9で押し上げなくても、第1保持板51を後方側に手で押せば簡単に開錠されるので、防犯性が高いとは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、簡素な機構で防犯性を向上させ得る点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の発明に係る点検口は、開口部の内周縁に配置される外枠と、
前記外枠の内側で開閉自在に配置される内枠と、
前記内枠に設けられた係合部材と、
前記外枠に設けられて前記係合部材に係合することで内枠の外枠に対する開きを防止する施錠板ばねと、
前記内枠と外枠との間に形成されて開錠具が挿入され得る隙間とを備え、
前記施錠板ばねが、前記隙間に挿入された開錠具を受ける受部を有し、
前記施錠板ばねが、前記受部で受けられた開錠具の操作により曲げ変形することで、前記係合部材との係合が解除されるものであり、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合による接触面が、前記外枠に対して内枠が開く方向に対して略垂直であり、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合を解除するための開錠具の操作が、前記接触面に沿った方向への受部の移動であるものである。
【0009】
前記課題を解決するため、第2の発明に係る点検口は、開口部の内周縁に配置される外枠と、
前記外枠の内側で開閉自在に配置される内枠と、
前記内枠に設けられた係合部材と、
前記外枠に設けられて前記係合部材に係合することで内枠の外枠に対する開きを防止する施錠板ばねと、
前記内枠と外枠との間に形成されて開錠具が挿入され得る隙間とを備え、
前記施錠板ばねが、前記隙間に挿入された開錠具を受ける受部を有し、
前記施錠板ばねが、前記受部で受けられた開錠具の操作により曲げ変形することで、前記係合部材との係合が解除されるものであり、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合による接触面が、前記外枠に対して内枠が開く方向に対して傾斜しており、
前記係合部材と施錠板ばねとの係合を解除するための開錠具の操作が、前記受部で受けられた開錠具のさらなる挿入であるものである。
【0010】
加えて、第3の発明に係る点検口は、第1または第2の発明に係る点検口において、外枠に対して閉じられた内枠の全周に亘って、当該外枠が開口部の奥側から被さる構造であるものである。
【発明の効果】
【0011】
前記点検口によると、係合部材と施錠板ばねとの係合により施錠され、当該施錠板ばねの曲げ変形により開錠されるので、施錠装置を簡素な機構にすることができる。また、施錠板ばねの曲げには反力に抗する必要があるので、施錠板ばねに万一手が届いても開錠が容易ではないことから、防犯性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る天井点検口の内枠および蓋板を閉じた状態での室内側から見た斜視図である。
【
図2】同天井点検口の内枠および蓋板を開いた状態での室内側から見た斜視図である。
【
図4】同天井点検口の外枠および施錠板ばねの拡大断面斜視図である。
【
図5】外枠および内枠を開錠具が挿入され得る切欠きの近傍で室内側から見た拡大図である。
【
図6】
図3で切欠きに開錠具が挿入された状態を示すA-A断面図である。
【
図7】切欠きに挿入された開錠具が受部で受けられた状態を示すA-A断面図である。
【
図8】開錠具の操作により開錠された状態を示すA-A断面図である。
【
図9】内枠および蓋板が開いた状態から閉じられる状態を示すA-A断面図である。
【
図10】
図9からさらに閉じられる状態を示すA-A断面図である。
【
図11】
図10からさらに閉じられて完全に閉じられた状態を示すA-A断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態2に係る天井点検口の切欠きに開錠具が挿入された状態を示すA-A断面図である。
【
図13】切欠きに挿入された開錠具が受部で受けられた状態を示すA-A断面図である。
【
図14】開錠具の操作により開錠された状態を示すA-A断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態3に係る天井点検口のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る点検口について説明する。この点検口は、天井に設けられる天井点検口、壁に設けられる壁点検口、および、床に設けられる床点検口などの様々な点検口に適用可能なものである。このような点検口の一例として、以下では天井点検口について説明する。
[実施の形態1]
【0014】
図1および
図2に示すように、この天井点検口1は、天井Cに形成された開口部O(
図2参照)の内周縁に配置される外枠2と、この外枠2の内側で開閉自在に配置される内枠3とを備える。必要に応じて、前記内枠3の内側には、蓋板4が配置される。
図1は、外枠2に対して内枠3および蓋板4が閉じている状態を示し、
図2は、外枠2に対して内枠3および蓋板4が室内側(開口部Oの手前側)に開いている状態を示す。
【0015】
前記天井点検口1は、前記外枠2に対して内枠3および蓋板4が閉じている状態を維持し得る施錠装置を備える。以下、この施錠装置を主として説明する。
【0016】
図3に示すように、前記天井点検口1は、施錠装置として、前記内枠3に設けられた係合部材5と、前記外枠2に設けられて前記係合部材5に係合することで内枠3の外枠2に対する開きを防止する施錠板ばね6とを有する。
【0017】
前記天井点検口1の外枠2は、室内側に露出する周面材である外枠用外方フランジ22および外枠用内方フランジ23と、前記外枠用外方フランジ22および外枠用内方フランジ23の境界から立ち上がる外枠用ウェブ29とを有する。前記施錠板ばね6は、前記外枠用ウェブ29に固定されるとともに、前記外枠用内方フランジ23の上面に配置される。前記天井点検口1の内枠3は、室内側に露出する周面材である内枠用外方フランジ32および内枠用内方フランジ33と、前記内枠用外方フランジ32および内枠用内方フランジ33の境界から立ち上がる内枠用ウェブ39とを有する。前記係合部材5は、前記内枠用ウェブ39に固定されるとともに、前記施錠板ばね6と接触面7で接触することで係合が維持される。前記接触面7は、例えば、前記外枠2に対して内枠3が開く方向(鉛直方向)に対して略垂直である。なお、前記外枠用外方フランジ22は天井Cの板材に接触し、前記内枠用内方フランジ33は蓋板4に接触する。
【0018】
図4および
図5に示すように、前記外枠用内方フランジ23には、施錠装置として、後述する開錠具が挿入され得る大きさの切欠き24(隙間の一例である)が形成されている。
図4には、前記外枠2およびこの外枠2に設けられた前記施錠板ばね6を示し、内枠3および蓋板4を省略する。なお、前記開錠具は、例えば、ステンレス製定規などの長尺の金属片である。
【0019】
図6に示すように、前記施錠板ばね6は、前記切欠き24に挿入された開錠具Rを受ける受部66を有する。
図7および
図8に示すように、前記施錠板ばね6は、前記受部66で受けられた開錠具Rの操作により曲げ変形することで、前記係合部材5との係合が解除されるものである。前記開錠具Rの操作は、前記接触面7に沿った方向への受部66の移動である。
【0020】
ここで、前記係合部材5および施錠板ばね6の構成を詳細に説明する。
図3に示すように、前記係合部材5は、内枠用ウェブ39の外側面にねじ等35で取り付けられる部材取付部59と、外枠用ウェブ29に向けて突出するとともに前記接触面7を形成する突出部57とを有する。
図3および
図4に示すように、前記施錠板ばね6は、外枠用ウェブ29の内側面にねじ等26で取り付けられる取付部69と、外枠用内方フランジ23の上面に配置されて弾性力を発生させる弾性部63と、係合部材5の突出部57(接触面7)に向けて延びるとともに開錠具Rを案内する案内部64と、この案内部64から内枠用内方フランジ33または内枠用外方フランジ32に向けて突出した前記受部66と、前記係合部材5の突出部57に接触面7で接触する係合部67とを有する。前記施錠板ばね6は、例えば、一枚の金属片を曲げることで、前記取付部69、弾性部63、案内部64、受部66および係合部67が形成されるように製造される。
【0021】
また、前記天井点検口1は、前記施錠板ばね6を、天井裏側(開口部Oの奥側)から手で触れられないように構成されている。具体的には、
図3に示すように、前記外枠2は、前記外枠用ウェブ29の天井裏側端部から内側に突出した封止枠部28を有する。前記天井点検口1は、この封止枠部28と内枠用ウェブ39の天井裏側端部との間に配置された気密材8を有する。すなわち、前記気密材8を介して、前記内枠3と外枠2とが全周に亘って接触している。なお、必ずしも、前記内枠3と外枠2とが全周に亘って直接的または間接的に接触している必要はなく、内枠3(内枠用ウェブ39)の全周に亘って外枠2(封止枠部28)が天井裏側から被さる構造であればよい。
【0022】
以下、前記天井点検口1の作用について説明する。
【0023】
まず、
図1に示すように、外枠2に対して内枠3および蓋板4が閉じている状態において、
図6に示すように、切欠き24に開錠具Rを挿入していく。切欠き24に挿入された開錠具Rは、施錠板ばね6の案内部64に案内されて受部66に達する。そして、
図7に示すように、受部66で開錠具Rが受けられると、開錠具Rの室内側における端部を外枠2側から内枠3側へ水平方向に動かすことで、
図8に示すように、係合部材5と施錠板ばね6との接触面7に沿った方向(内枠3側から外枠2側)に受部66が移動する。これにより、係合部材5と施錠板ばね6との係合が解除されて、
図2に示すように、外枠2に対して内枠3および蓋板4が重力により開く。
【0024】
また、外枠2の封止枠部28と内枠3の内枠用ウェブ39とが気密材8を介して接触しているので、天井裏側から施錠板ばね6には手が届かない。すなわち、前記外枠2に対して閉じられた内枠3(内枠用ウェブ39)の全周に亘って外枠2(封止枠部28)が天井裏側から被さる構造であるから、天井裏側から施錠板ばね6には手が届かない。仮に、このような構造ではなく、天井裏側から施錠板ばね6には手が届いたとしても、開錠するまで施錠板ばね6を動かすには、当該施錠板ばね6の反力に抗する必要がある。この反力は、弾性体である施錠板ばね6の弾性力と、この施錠板ばね6が受けている内枠3(内枠3に固定されている蓋板4などの部材群も含む)の重量とからなる。
【0025】
このように、前記天井点検口1によると、係合部材5と施錠板ばね6との係合により施錠され、当該施錠板ばね6の曲げ変形により開錠されるので、施錠装置を簡素な機構にすることができる。また、施錠板ばね6の曲げには反力に抗する必要があるので、天井裏側から施錠板ばね6に万一手が届いても開錠が容易ではないことから、防犯性を向上させることができる。
【0026】
また、前記天井点検口1の開錠のためには、開錠具Rの切欠き24への単なる挿入だけではなく、受部66を接触面7に沿って移動させる必要があるので、開錠のための操作が複雑になることにより、防犯性をより向上させることができる。
【0027】
さらに、内枠3の全周に亘って外枠2が天井裏側から被さる構造により施錠板ばね6に天井裏側から手が届かないので、天井裏側から内枠3を外枠2に対して開くことは不可能であり、防犯性をより一層向上させることができる。
【0028】
ところで、前記外枠2に対して内枠3および蓋板4を閉じるには、前記開錠具Rなどを必要とせず、単に前記外枠2に(天井裏側に)向けて内枠3および蓋板4を押していくだけで足りる。具体的には、
図9および
図10に示すように、内枠3および蓋板4を天井裏側に押していくと、前記係合部材5の突出部57が施錠板ばね6の案内部64に案内されながら天井裏側に移動する。そして、前記突出部57が係合部67よりも天井裏側まで移動すると、
図11に示すように、当該係合部67が施錠板ばね6の弾性力により係合部材5側へ移動することで、前記係合部67と突出部57とが接触面7で接触し、自動的に施錠がされる。
[実施の形態2]
【0029】
以下、本発明の実施の形態2に係る天井点検口1について説明する。前記実施の形態1に係る天井点検口1は、係合部材5と施錠板ばね6との係合による接触面7が、前記外枠2に対して内枠3が開く方向に対して略垂直であるが、本実施の形態2に係る天井点検口1は、前記接触面7が、前記外枠2に対して内枠3が開く方向に対して傾斜したものである。以下、前記実施の形態1との違いである前記接触面7に着目して説明するとともに、前記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図12に示すように、本実施の形態2に係る天井点検口1は、係合部材5と施錠板ばね6との接触面7が、外側ほど天井裏側に近づくように傾斜している。この構成により、切欠き24に開錠具Rを挿入していくと、開錠具Rが施錠板ばね6の案内部64に案内されて、
図13に示すように、受部66で開錠具Rが受けられる。そして、
図14に示すように、開錠具Rのさらなる挿入により、係合部材5と施錠板ばね6とが接触面7で摺動することで係合が解除される。
【0031】
このように、本実施の形態2に係る天井点検口1によると、前記実施の形態1の効果に加えて、接触面7を外枠2に対して内枠3が開く方向に対して略垂直にしなくてよいので、施錠装置をより簡素な機構にすることができる。
[実施の形態3]
【0032】
以下、本発明の実施の形態3に係る天井点検口1について説明する。前記実施の形態1および2に係る天井点検口1は、係合部材5が内枠3に設けられて、施錠板ばね6が外枠2に設けられたが、本実施の形態3に係る天井点検口1は、係合部材5が外枠2に設けられて、施錠板ばね6が内枠3に設けられたものである。以下、前記実施の形態1および2との違いである前記係合部材5および施錠板ばね6に着目して説明するとともに、前記実施の形態1および2と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図15に示すように、本実施の形態3に係る天井点検口1の前記係合部材5は、外枠用ウェブ29の内側面にねじ等25で取り付けられる部材取付部59と、内枠用ウェブ39に向けて突出するとともに前記接触面7を形成する突出部57とを有する。本実施の形態3に係る天井点検口1の前記施錠板ばね6は、内枠用ウェブ39の外側面にねじ等36で取り付けられるとともに弾性力を発生させる取付弾性部60と、外枠2の封止枠部28に向けて延びるとともに開錠具Rを案内する案内部64と、この案内部64から外枠用内方フランジ23または外枠用外方フランジ22に向けて突出した前記受部66と、前記係合部材5の突出部57に接触する係合部67とを有する。
【0034】
前記天井点検口1の係合部材5は、施錠板ばね6との接触面7において、当該施錠板ばね6よりも室内側に位置する。この構成により、図示しないが、切欠き24に開錠具Rを挿入していくと、開錠具Rが施錠板ばね6の案内部64に案内されて、受部66で開錠具Rが受けられる。そして、開錠具Rの室内側における端部を内枠3側から外枠2側へ水平方向に動かすことで、係合部材5と施錠板ばね6との接触面7に沿った方向(外枠2側から内枠3側)に受部66が移動する。これにより、係合部材5と施錠板ばね6との係合が解除される。
【0035】
このように、本実施の形態3に係る天井点検口1によると、前記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0036】
ところで、前記実施の形態1~3では、開錠具Rが挿入され得る隙間として外枠2(具体的には外枠用内方フランジ23)の切欠き24として説明したが、これに限定されず、内枠3と外枠2との隙間で開錠具Rが挿入可能な空間であればよい。
【0037】
また、前記実施の形態1~3では、施錠板ばね6の具体的な形状について説明および図示したが、これらは一例に過ぎない。施錠板ばね6は、外枠2/内枠3に設けられて前記係合部材5に係合することで内枠3の外枠2に対する開きを防止するものであり、前記隙間に挿入された開錠具Rを受ける受部66を有し、前記受部66で受けられた開錠具Rの操作により曲げ変形することで、前記係合部材5との係合が解除されるものであればよい。
【0038】
さらに、係合部材5として、前記実施の形態1および2では内枠3に設けられたものとして説明し、前記実施の形態3では外枠2に設けられたものとして説明したが、係合部材5は、内枠3/外枠2と異なる部材に限られず、内枠3/外枠2と一体化された部材であってもよい。係合部材5が内枠3/外枠2と一体化された部材の場合も、係合部材5は、内枠3/外枠2に設けられたと称する。
【0039】
加えて、前記実施の形態1~3では、気密材8について説明したが、気密材8は、内枠3と外枠2とを気密(気体に対して密封)することを必ずしも必要とせず、気密ではないが外枠2に対する内枠3の緩衝材として機能するものでもよい。
【0040】
また、前記実施の形態1~3では、内枠3の全周に亘って外枠2が天井裏側から被さる構造の例として、内枠用ウェブ39の全周に亘って封止枠部28が天井裏側から被さる構造について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、内枠3を構成する部材または内枠3に取り付けられた部材の全周に亘って、外枠2を構成する部材または外枠2に取り付けられた部材が天井裏側から被さる構造であればよい。
【0041】
また、前記実施の形態1~3は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記実施の形態で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」での第1の発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
C 天井
O 開口部
R 開錠具
1 天井点検口
2 外枠
3 内枠
4 蓋板
5 係合部材
6 施錠板ばね
7 接触面
8 気密材
22 外枠用外方フランジ
23 外枠用内方フランジ
24 切欠き
29 外枠用ウェブ
28 封止枠部
32 内枠用外方フランジ
33 内枠用内方フランジ
39 内枠用ウェブ
57 突出部
59 部材取付部
63 弾性部
64 案内部
66 受部
67 係合部
69 取付部