(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】ジェルシートマスク
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20230427BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230427BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230427BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230427BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230427BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20230427BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/00
A61K8/36
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/65
A61K8/02
(21)【出願番号】P 2019179886
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】鶴島 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】義永 隆明
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-089730(JP,A)
【文献】特開2009-108007(JP,A)
【文献】特開2009-073764(JP,A)
【文献】特開2010-155815(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002278(WO,A1)
【文献】特開2006-206540(JP,A)
【文献】国際公開第2003/002075(WO,A1)
【文献】Aqua Collagen Gel Super Moisture EX Damask Rose,ID 2174740,Mintel GNPD[online],2013年9月,[検索日2023.03.28],インターネット<https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
Mintel GNPD
CAplus/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に積層された粘着剤層とを備えるジェルシートマスクであって、
前記粘着剤層が、アスタキサンチン、オレイン酸、トコフェロール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン及び水を含有しており、
前記粘着剤層における前記オレイン酸の含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.15~2.8質量%であり、
前記粘着剤層における前記トコフェロールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.02~0.5質量%であり、
前記粘着剤層における前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で5~25質量%である、
ことを特徴とするジェルシートマスク。
【請求項2】
前記粘着剤層において、前記オレイン酸の含有量と前記トコフェロールの含有量との質量比(オレイン酸の含有量/トコフェロールの含有量)が、5~9であることを特徴とする請求項1に記載のジェルシートマスク。
【請求項3】
前記粘着剤層において、前記オレイン酸の含有量と前記水の含有量との質量比(オレイン酸の含有量/水の含有量)が、0.002~0.04であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジェルシートマスク。
【請求項4】
前記粘着剤層において、前記トコフェロールの含有量と前記アスタキサンチンの含有量との質量比(トコフェロールの含有量/アスタキサンチンの含有量)が、40~2000であることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のジェルシートマスク。
【請求項5】
前記粘着剤層において、前記ポリエチレングリコールの含有量と前記水の含有量との質量比(ポリエチレングリコールの含有量/水の含有量)が、0.06~0.4であることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のジェルシートマスク。
【請求項6】
前記粘着剤層が、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、エデト酸ナトリウム及び乳酸を更に含有することを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のジェルシートマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェルシートマスクに関するものであり、より詳しくは、支持体と、前記支持体上に積層された粘着剤層とを備えるジェルシートマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
アスタキサンチンは、抗酸化能力が高く、生体内の抗酸化剤や眼の調節機能改善、メタボリックシンドローム改善、老化防止等の用途が提案されている。また、シミやシワの改善作用があることも報告されており、美容素材としても注目されている。例えば、国際公開第2013/002278号(特許文献1)には、アスタキサンチンとリコピンとトコフェロールと油剤とを含むアスタキサンチン含有組成物が開示されており、それを用いた化粧料として、化粧水、美容液、乳液、クリーム、マスク、パック、洗髪用化粧品、フレグランス化粧品、液体ボディ洗浄料、UVケア化粧品、防臭化粧品、オーラルケア化粧品等が挙げられている。
【0003】
一方、肌に対する適度な粘着性と保湿性とを有しており、水分や保湿成分とともに美肌成分等の有効成分を肌に供給するジェルシートマスクが開発されており、例えば、特開2019-89730号公報(特許文献2)には、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン、ポリエチレングリコール、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、エデト酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、乳酸、美肌成分としての茶エキス又は酒粕エキス、香料としての茶香料又は酒粕香料、及び水を含有する粘着剤層が支持体上に積層されてなるジェルシートマスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/002278号
【文献】特開2019-89730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献2に記載のようなジェルシートマスクに、美肌成分としてアスタキサンチンを適用することを検討したところ、アスタキサンチンは酸化分解を受けやすいことから、保管中に性状変化して褐色から無色透明に変化しやすく(以下、このような性状変化を「褪色」という)、褪色によって美観が損なわれるとともに抗酸化作用が低下するという問題があることを見い出した。また、アスタキサンチンを含有するジェルシートマスクを開発するにあたっては、用いる成分によって、保存時や使用時に粘着剤層の一部が支持体に染み出すいわゆる「染み出し」や、保存時や使用時に粘着剤層が端面からはみ出すいわゆる「舌出し」、さらには粘着剤層の粘着性の低下といった問題も発生することから、前記褪色の防止とともに、これらの問題も同時に解決する必要があることを本発明者らは見い出した。
【0006】
本発明は、上記の本発明者らが見い出した課題に鑑みてなされたものであり、アスタキサンチンの酸化分解による褪色の発生が十分に防止されるとともに、保存時や使用時における粘着剤層の染み出しや舌出しの発生も十分に防止され、さらには粘着剤層の粘着性も適切な水準に維持されている、アスタキサンチンを含有するジェルシートマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン及び水を含有する粘着剤層において、アスタキサンチンを配合するにあたって、酸化防止剤として知られているトコフェロールとともに、油剤として知られている多数の化合物の中からオレイン酸を選択してそれぞれ所定の含有量となるように配合し、さらに保水成分として所定量のポリエチレングリコールを配合することにより、アスタキサンチンの酸化分解による褪色の発生が十分に防止されるとともに、保存時や使用時における粘着剤層の染み出しや舌出しの発生も十分に防止され、さらには粘着剤層の粘着性も適切な水準に維持されるようになることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明のジェルシートマスクは、支持体と、前記支持体上に積層された粘着剤層とを備えるジェルシートマスクであって、
前記粘着剤層が、アスタキサンチン、オレイン酸、トコフェロール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン及び水を含有しており、
前記粘着剤層における前記オレイン酸の含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.15~2.8質量%であり、
前記粘着剤層における前記トコフェロールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.02~0.5質量%であり、
前記粘着剤層における前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で5~25質量%である、
ことを特徴とするものである。
【0009】
本発明のジェルシートマスクにおいては、前記粘着剤層において、前記オレイン酸の含有量と前記トコフェロールの含有量との質量比(オレイン酸の含有量/トコフェロールの含有量)が、5~9であることが好ましい。
【0010】
また、本発明のジェルシートマスクにおいては、前記粘着剤層において、前記オレイン酸の含有量と前記水の含有量との質量比(オレイン酸の含有量/水の含有量)が、0.002~0.04であることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明のジェルシートマスクにおいては、前記粘着剤層において、前記トコフェロールの含有量と前記アスタキサンチンの含有量との質量比(トコフェロールの含有量/アスタキサンチンの含有量)が、40~2000であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のジェルシートマスクにおいては、前記粘着剤層において、前記ポリエチレングリコールの含有量と前記水の含有量との質量比(ポリエチレングリコールの含有量/水の含有量)が、0.06~0.4であることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明のジェルシートマスクにおいては、前記粘着剤層が、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、エデト酸ナトリウム及び乳酸を更に含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アスタキサンチンの酸化分解による褪色の発生が十分に防止されるとともに、保存時や使用時における粘着剤層の染み出しや舌出しの発生も十分に防止され、さらには粘着剤層の粘着性も適切な水準に維持されている、アスタキサンチンを含有するジェルシートマスクを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0016】
本発明のジェルシートマスクは、アスタキサンチン、オレイン酸、トコフェロール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン及び水が含有している粘着剤層を備えており、前記粘着剤層が支持体上に積層されている。そして、本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、
前記オレイン酸の含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.15~2.8質量%、
前記トコフェロールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.02~0.5質量%、
前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で5~25質量%、
となっている。
【0017】
本発明におけるアスタキサンチンとしては、狭義の化合物としてのアスタキサンチン(3,3’-ジヒドロキシ-β,β-カロテン-4,4’-ジオン)のみならず、そのエステル等の誘導体も包含する概念である。このようなアスタキサンチンとしては、植物類、藻類、バクテリア等の天然物に由来するものの他、常法に従って得られるものであれば、いずれのものも使用することができる。アスタキサンチンを含有する天然物としては、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、オキアミ等が挙げられる。また、前記天然物又はその培養物から分離・抽出物として得られたアスタキサンチン含有オイルとして、本発明に係る前記粘着剤層に配合されていてもよい。さらに、アスタキサンチンは、前記天然物からの分離・抽出物を必要に応じて適宜精製したものでもよく、また、合成品であってもよい。前記アスタキサンチン含有オイルとしては、ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトオイル)が品質、生産性等の点から好ましく、このようなヘマトコッカス藻抽出物としては市販品を用いることができる。
【0018】
本発明に係る前記粘着剤層におけるアスタキサンチンの含有量は、特に制限されるものではないが、前記粘着剤層の全質量基準で0.0001~0.003質量%であることが好ましく、0.00014~0.002質量%であることがより好ましい。アスタキサンチンの含有量が前記下限未満では添加効果が十分に得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると色が濃くなるため展延ムラが発生しやすくなる傾向にある。
【0019】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前記アスタキサンチンに加えてトコフェロールを配合する必要がある。
【0020】
本発明におけるトコフェロールとしては、狭義の化合物としてのトコフェロールのみならず、そのエステル等の誘導体も包含する概念である。このようなトコフェロールは、天然に存在するビタミンE同族体として知られており、具体的には、dl-α-トコフェロール、dl-β-トコフェロール、dl-γ-トコフェロール、dl-δ-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸-dl-α-トコフェロール、リノール酸-dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、前記トコフェロールが、後述するオレイン酸とともに前記アスタキサンチンに対する酸化防止剤として作用し、アスタキサンチンの酸化分解による褪色の発生が十分に防止されるようになる。
【0022】
本発明に係る前記粘着剤層においては、前記トコフェロールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.02~0.5質量%の範囲内であることが必要である。トコフェロールの含有量が前記下限未満では、褪色の発生が十分には防止されず、他方、前記上限を超えると、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されず、また、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなる。同様の観点から、前記トコフェロールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.03~0.4質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0023】
また、本発明に係る前記粘着剤層においては、前記トコフェロールの含有量と前記アスタキサンチンの含有量との質量比(トコフェロールの含有量/アスタキサンチンの含有量)が、40~2000であることが好ましく、60~800であることがより好ましい。トコフェロールの含有量が前記質量比の前記下限未満では、褪色の発生が十分には防止されにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されにくくなり、また、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなる傾向にある。
【0024】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前記アスタキサンチン及び前記トコフェロールに加えてオレイン酸を配合する必要がある。
【0025】
オレイン酸は、一般的に油剤(油性成分)として知られている多数の化合物の中の一種であり、通常は界面活性剤により乳化組成物とする場合等に用いられる。一方、本発明においては、オレイン酸が、前述のトコフェロールとともに前記アスタキサンチンに対する酸化防止剤として相乗的に作用し、アスタキサンチンの酸化分解による褪色の発生が十分に防止されるようになる。このような作用は、オレイン酸以外の他の油剤(油性成分)では得られるものではなく、オレイン酸をトコフェロールとともに用いることによってアスタキサンチンの酸化分解が十分に防止されるようになるという事実は、従来の知見からは予想されない、本発明者らが見い出した知見である。
【0026】
本発明に係る前記粘着剤層においては、前記オレイン酸の含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.15~2.8質量%の範囲内であることが必要である。オレイン酸の含有量が前記下限未満では、褪色の発生が十分には防止されず、他方、前記上限を超えると、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されず、また、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなる。同様の観点から、前記オレイン酸の含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で0.2~2.4質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0027】
また、本発明に係る前記粘着剤層においては、前記オレイン酸の含有量と前記トコフェロールの含有量との質量比(オレイン酸の含有量/トコフェロールの含有量)が、5~9であることが好ましく、6~8であることがより好ましい。オレイン酸の含有量が前記質量比の前記下限未満では、褪色の発生が十分には防止されにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されにくくなり、また、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなる傾向にある。
【0028】
さらに、本発明に係る前記粘着剤層においては、前記オレイン酸の含有量と後述する水の含有量との質量比(オレイン酸の含有量/水の含有量)が、0.002~0.04であることが好ましく、0.0025~0.038であることがより好ましい。オレイン酸の含有量が前記質量比の前記下限未満では、褪色の発生が十分には防止されにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されにくくなり、また、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなる傾向にある。
【0029】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前記アスタキサンチン、前記トコフェロール及び前記オレイン酸に加えてポリエチレングリコールを配合する必要がある。
【0030】
ポリエチレングリコールは、一般的に保水成分(保湿成分)として知られている化合物の一種であり、本発明においては、前記アスタキサンチン、前記トコフェロール及び前記オレイン酸を含有する粘着剤層にポリエチレングリコールを配合することにより、保存時や使用時における粘着剤層の染み出しや舌出しの発生が十分に防止されるようになる。このような効果は、ポリエチレングリコール以外の他の保水成分では得られるものではなく、従来の知見からは予想されない、本発明者らが見い出した知見である。また、保水性を高める観点から、ポリエチレングリコールとしては、マクロゴール400(第17改正日本薬局方)等の、平均分子量が350~450であるポリエチレングリコールが好ましい。
【0031】
本発明に係る前記粘着剤層においては、前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で5~25質量%の範囲内であることが必要である。ポリエチレングリコールの含有量が前記下限未満では、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されず、他方、前記上限を超えると、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなり、また、過剰量のポリエチレングリコールにより却って染み出しや舌出しが発生しやすくなる。同様の観点から、前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記粘着剤層の全質量基準で7~21質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0032】
また、本発明に係る前記粘着剤層においては、前記ポリエチレングリコールの含有量と前記水の含有量との質量比(ポリエチレングリコールの含有量/水の含有量)が、0.06~0.4であることが好ましく、0.08~0.35であることがより好ましい。ポリエチレングリコールの含有量が前記質量比の前記下限未満では、染み出しや舌出しの発生が十分には防止されにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粘着剤層の粘着性が低下して適切な水準に維持されにくくなり、また、過剰量のポリエチレングリコールにより却って染み出しや舌出しが発生しやすくなる傾向にある。
【0033】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前記アスタキサンチン、前記トコフェロール、前記オレイン酸及び前記ポリエチレングリコールに加えて、ポリアクリル酸部分中和物及びゼラチンを配合する必要がある。
【0034】
ポリアクリル酸部分中和物及びゼラチンは、いずれも水溶性高分子として知られている化合物であり、本発明においては、得られる粘着剤層の粘着性、凝集性、保型性、吸水能等の観点から、ポリアクリル酸部分中和物とゼラチンとの組み合わせが採用される。
【0035】
本発明に係る前記粘着剤層におけるポリアクリル酸部分中和物の含有量は、特に制限されるものではないが、前記粘着剤層の全質量基準で3~9質量%であることが好ましく、5~7質量%であることがより好ましい。ポリアクリル酸部分中和物の含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層の凝集性、保型性、吸水能等が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の粘着性が低くなる傾向にある。
【0036】
また、本発明に係る前記粘着剤層におけるゼラチンの含有量は、特に制限されるものではないが、前記粘着剤層の全質量基準で0.5~3質量%であることが好ましく、1~2質量%であることがより好ましい。ゼラチンの含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層の凝集性、保型性、吸水能等が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の粘着性が低くなる傾向にある。
【0037】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前記諸成分に加えて、水を含有している。前記粘着剤層に含有される水としては、特に制限されるものではないが、イオン交換、蒸留、濾過等の精製を施された水であることが好ましく、例えば、日本薬局方(第十七改正日本薬局方)に記載の「精製水」を好適に用いることができる。
【0038】
本発明に係る前記粘着剤層における水の含有量は、特に制限されるものではないが、前記粘着剤層の全質量基準で50~90質量%であることが好ましく、60~85質量%であることがより好ましい。水の含有量が前記下限未満では、前記粘着剤層中の諸成分の分散・溶解が不十分となり、また、肌への保湿効果が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の凝集性や保型性が低くなる傾向にある。
【0039】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前記諸成分及び水に加えて、架橋剤や、トコフェロール以外の酸化防止剤や、pH調整剤をさらに含有していることが好ましい。
【0040】
架橋剤としては、水難溶性アルミニウム化合物、多官能性エポキシ化合物等が挙げられるが、本発明においては、染み出しや舌出しの発生がより十分に防止されるようになり、かつ、展延しやすくなるという観点から、合成ケイ酸アルミニウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムとを組み合わせて用いることが特に好ましい。本発明に係る前記粘着剤層に架橋剤を配合する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、合成ケイ酸アルミニウムの含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.5~6質量%であることが好ましく、3~5質量%であることがより好ましい。また、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.2~0.6質量%であることが好ましく、0.3~0.5質量%であることがより好ましい。
【0041】
トコフェロール以外の酸化防止剤としては、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられるが、本発明においては、基剤(粘着剤層)との相溶性という観点から、エデト酸ナトリウムを用いることが特に好ましい。本発明に係る前記粘着剤層にトコフェロール以外の酸化防止剤を配合する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、エデト酸ナトリウムの含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.05~0.5質量%であることが好ましく、0.3~0.4質量%であることがより好ましい。
【0042】
pH調整剤としては、乳酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、アミン類等が挙げられるが、本発明においては、基剤(粘着剤層)との相溶性という観点から、乳酸を用いることが特に好ましい。本発明に係る前記粘着剤層にpH調整剤を配合する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、乳酸の含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.01~0.2質量%であることが好ましく、0.05~0.15質量%であることがより好ましい。また、得られる粘着剤層のpHは、特に制限されるものではないが、精製水で20倍希釈時のpHが5~8が好ましく、5.5~7.5がより好ましい。
【0043】
本発明のジェルシートマスクの前記粘着剤層においては、前述の諸成分に加えて、防腐剤、充填剤、紫外線吸収剤、色素、冷感付与剤、温感付与剤、香料等をさらに適宜含有していてもよい。
【0044】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、1,2-ペンタンジオール、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、塩化ベンザルコニウム等が挙げられるが、本発明においては、抗菌スペクトルの広さと安全性とのバランスがよいという観点から、パラオキシ安息香酸メチルを用いることが特に好ましい。本発明に係る前記粘着剤層に防腐剤を配合する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、パラオキシ安息香酸メチルの含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.2~0.3質量%であることが好ましい。
【0045】
充填剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、含水シリカ、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、無水ケイ酸、ベントナイト等が挙げられる。
【0046】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メンチル、ウンベリフエロン、エスクリン、ケイ皮酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ペンゾトリアゾール、4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリソべンゾン、ベンゾレソルシノール、オクチルジメチルパラアミノべンゾエート、エチルへキシルパラメトキシサイナメート等が挙げられる。
【0047】
色素としては、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルルミン)等の法定色素が挙げられる。
【0048】
冷感付与剤としては、テルペン系炭化水素化合物、メントール類縁化合物等を挙げることができ、具体的にはリモネン、テルピノレン、メンタン、テルピネン等のp-メンタン及びこれらから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物;l-メントール、d-メントール、dl-メントール、イソプレゴール、3,1-メントキシプロパン-1,2-ジオール、1-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(3-ニトロフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロキシピリミジン-2-オン、エチルメンタンカルボキサミド、p-メンタン-3,8-ジオール、トリアルキル置換シクロヘキサンカルボキシアマイド等が挙げられる。
【0049】
温感付与剤としては、カプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体;カプシコシド、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来成分;ニコチン酸ベンジル;ニコチン酸β-ブトキシエチル;N-アシルワニルアミド;ノニル酸ワニルアミド等が挙げられる。
【0050】
香料としては、化粧品、医薬品、食品等の分野において公知の各種の香料成分を適宜用いることができる。
【0051】
本発明のジェルシートマスクは、前記粘着剤層を支持する支持体を備えており、さらに、前記粘着剤層を保護するためのライナーを備えていてもよい。
【0052】
支持体としては、前記粘着剤層を支持し得るものであればよく、特に制限されるものではないが、ジェルシートマスクの支持体として公知のものを適宜採用することができる。本発明に係る支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等;ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;セルロース誘導体;ポリウレタン等の合成樹脂や、アルミニウム等の金属が挙げられる。前記支持体の形態としては、例えば、フィルム;シート、シート状多孔質体、シート状発泡体等のシート類;織布、編布、不織布等の布帛;箔;及びこれらの積層体が挙げられる。また、前記支持体の厚みとしては、特に制限されるものではないが、ジェルシートマスクを貼付する際の作業容易性及び製造容易性の観点からは、5~2000μm程度が好ましい。
【0053】
また、ライナーとしては、前記粘着剤層を保護し得るものであればよく、特に制限されるものではないが、ジェルシートマスクのライナー(剥離ライナー)として公知のものを適宜採用することができる。本発明に係るライナーの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等;ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;セルロース誘導体;ポリウレタン等の合成樹脂や、アルミ、紙等の材質からなるフィルムやシート及びこれらの積層体が挙げられる。このようなライナーとしては、前記粘着剤層から容易に剥離できるように前記粘着剤層と接触する側の面に含シリコーン化合物コートや含フッ素化合物コート等の離型処理が施されたものであることが好ましい。
【0054】
なお、本発明のジェルシートマスクにおいて、前記粘着剤層の質量(貼付面の単位面積あたりの質量)は、特に制限されるものではないが、付着性や冷却感の観点からは、800~1200g/m2程度が好ましい。
【0055】
次に、本発明のジェルシートマスクの製造方法について説明する。本発明のジェルシートマスクの製造方法は、特に制限されるものではないが、例えば以下の方法により好適に本発明のジェルシートマスクを得ることができる。
【0056】
すなわち、先ず、前記粘着剤層を構成する前記成分を撹拌機中で均一に混合及び/又は溶解して本発明に係る前記粘着剤層となる粘着剤組成物を得る。そして、得られた粘着剤組成物を前記支持体の面上に所望の単位面積あたり質量となるように展延して前記粘着剤層を形成した後に、前記粘着剤層の前記支持体と反対の面上に前記ライナーを貼り合わせ、必要に応じて所望の形状に裁断することにより、本発明のジェルシートマスクを得ることができる。また、前記粘着剤組成物を先ず前記ライナーの一方の面上に所望の単位面積あたり質量となるように展延して前記粘着剤層を形成した後に、前記粘着剤層の前記ライナーと反対の面上に前記支持体を貼り合わせ、必要に応じて所望の形状に裁断することによって本発明のジェルシートマスクを得てもよい。さらに、得られたジェルシートマスクは、必要に応じて、保存用包装容器(例えば、アルミニウム包装袋)に封入して包装体としてもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における各種試験は、それぞれ以下に示す方法により行った。
【0058】
(1)粘着剤層の褪色の確認試験
各実施例及び各比較例において得られたジェルシートマスクを、アルミニウム包装袋に封入し、60℃で1週間静置した後、包装袋を開封し、粘着剤層の表面における褪色の有無を以下の手順で目視により観察して評価した。すなわち、比較用の初期品の色を確認した後に、評価対象試料の色を確認し、判定基準に基づいて評価した。そして、各実施例及び各比較例においてそれぞれ3枚のジェルシートマスクについて同様の評価を行い、評価結果にずれがないことを確認した。評価結果において、Aを許容と判定した。
[判定基準]
A:褪色していない
B:部分的に褪色が認められる
C:明らかな褪色が認められる。
【0059】
(2)粘着剤層の染み出しの確認試験
各実施例及び各比較例において得られたジェルシートマスクを、アルミニウム包装袋に封入し、60℃で1週間静置した後、包装袋を開封し、粘着剤層と反対側の支持体表面を指で触れた際に、指に液体又は粘着剤の付着によりべたつきを感じるか否かで評価した。そして、各実施例及び各比較例においてそれぞれ3枚のジェルシートマスクについて3人の評価者が同様の評価を行い、評価結果にずれがないことを確認した。評価結果において、Aを許容と判定した。
[判定基準]
A:べたつきなし
B:部分的にべたつきあり
C:全体的にべたつきあり。
【0060】
(3)粘着剤層の舌出しの確認試験
各実施例及び各比較例において得られたジェルシートマスクを、アルミニウム包装袋に封入し、60℃で1週間静置した後、包装袋を開封し、支持体の辺縁よりも外側に粘着剤層がはみ出しているかどうかを目視により観察して評価した。そして、各実施例及び各比較例においてそれぞれ3枚のジェルシートマスクについて同様の評価を行い、評価結果にずれがないことを確認した。評価結果において、Aを許容と判定した。
[判定基準]
A:はみ出しなし
B:1mm未満のはみ出しあり
C:1mm以上のはみ出しあり。
【0061】
(4)粘着力(付着性)の確認試験(ローリングボールタック試験)
各実施例及び各比較例において得られたジェルシートマスクを、アルミニウム包装袋に封入し、60℃で1週間静置した後、包装袋を開封し、以下の手順で粘着剤層の粘着力(付着性)を評価した。そして、各実施例及び各比較例においてそれぞれ3枚のジェルシートマスクについて同様の評価を行い、平均値を評価結果とした。評価結果において、25mm以下を許容と判定した。
[測定手順]
サインカーブからなる傾斜台(傾斜面の高さ:17.3cm、長さ:30cm、勾配:58%)の水平な底部に、ライナーを除去したジェルシートマスクの粘着剤層が上面となるように配置し、傾斜台の傾斜面の高さ17.3cmの位置から11号鋼球(直径11/32インチ)を転がして粘着剤層上でボール(鋼球)が停止するまでの距離(mm)を測定した。
【0062】
(実施例1~5及び比較例1~14)
表1~表4に示す粘着剤層を構成する成分を同表に示す組成となるようにそれぞれ秤取し、撹拌機中約38℃で均一になるまで混合して粘着剤組成物を得た。そして、得られた粘着剤組成物をライナー(剥離処理されたポリエステル製フィルム)の面上に1000g/m2となるように展延して粘着剤層を形成した後、前記粘着剤層の面上に支持体(PET不織布)を貼り合わせ、所定の大きさ(縦18cm、横21.5cmの顔型)に裁断してジェルシートマスクを得た。得られたジェルシートマスクに関し、前記(1)~(4)の試験を行った結果を表1~表4に示す。
【0063】
なお、成分としては以下の市販品を用いた。
・ヘマトオイル:商品名「アスタキサンチンオイル原液」、国産ヘマトコッカス藻色素由来、アスタキサンチン含量:11.2質量%。
・オレイン酸:日油株式会社製、商品名「精製オレイン酸」。
・ステアリン酸:日油株式会社製、商品名「NAA-180」。
・ラウリン酸:日油株式会社製、商品名「NAA-122」。
・トコフェロール:DSM株式会社製、商品名「dl-α-トコフェロール」。
・ポリエチレングリコール:日油株式会社製、商品名「マクロゴール400R」、平均分子量:400。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
表1~表4に示した結果から明らかな通り、トコフェロールとともにオレイン酸をそれぞれ所定の含有量となるように配合し、さらに所定量のポリエチレングリコールを配合することにより、褪色の発生が十分に防止されるとともに、粘着剤層の染み出しや舌出しの発生も十分に防止され、さらには粘着剤層の粘着性も適切な水準に維持されるようになることが確認された(実施例1~5)。
【0069】
一方、トコフェロール及びオレイン酸のうちの少なくとも一方が配合されていない場合(比較例5~8)、あるいはそれらの配合量が本発明で規定される範囲より少ない場合(比較例11)は、褪色の発生が十分には防止されず、粘着剤層の染み出しや舌出しが発生する場合もあることが確認された。
【0070】
また、オレイン酸に代えてオレイン酸以外の他の油性成分をトコフェロールと組み合わせて配合しても(比較例9、10)、褪色の発生は十分に防止されず、粘着剤層の染み出しや舌出しが発生する場合もあることが確認された。
【0071】
また、トコフェロール及びオレイン酸が配合されると、ポリエチレングリコール以外の他の保水成分を用いた場合(比較例1~4)においては粘着剤層の染み出しや舌出しが発生するようになったのに対して、ポリエチレングリコールを用いた場合(実施例1)においては粘着剤層の染み出しや舌出しの発生が十分に防止されるようになることが確認された。
【0072】
さらに、オレイン酸の配合量が本発明で規定される範囲より多い場合(比較例12、14)は、粘着剤層の粘着性が適切な水準より低くなり、また、ポリエチレングリコールの配合量が本発明で規定される範囲より多い場合(比較例13、14)は、粘着剤層の粘着性が適切な水準より低くなるとともに粘着剤層の染み出しや舌出しが発生するようになることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、本発明によれば、アスタキサンチンの酸化分解による褪色の発生が十分に防止されるとともに、保存時や使用時における粘着剤層の染み出しや舌出しの発生も十分に防止され、さらには粘着剤層の粘着性も適切な水準に維持されている、アスタキサンチンを含有するジェルシートマスクを提供することが可能となる。