(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】通気バルブを備える軸方向流体スプレーノズル
(51)【国際特許分類】
F01P 3/08 20060101AFI20230427BHJP
F16K 31/363 20060101ALI20230427BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20230427BHJP
F01M 1/08 20060101ALI20230427BHJP
F01M 1/16 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F01P3/08 D
F16K31/363
F16K27/02
F01M1/08 B
F01M1/16 A
(21)【出願番号】P 2019568282
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 FR2018051363
(87)【国際公開番号】W WO2018229413
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515280296
【氏名又は名称】ボンタ サントル エール エ デー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペロット,ステファヌ,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】タロッティ,マルク,ウジェーヌ
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03794248(US,A)
【文献】特開2016-205418(JP,A)
【文献】特開2008-232145(JP,A)
【文献】特開昭51-087826(JP,A)
【文献】特開2001-099340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 3/00
F01M 1/08
F16K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向スプレーノズル(10)であって、
縦軸(XX´)上に延在する内導管(21)であり、当該縦軸(XX´)を中心に回転対称であり、第1端部(21a)と第2端部(21b)とを包含し、スプレーノズル本体(20)の内面により規定され、前記第2端部(21b)が流体出口(22b)を形成する導管(21)を包含するスプレーノズル(20)と、
前記内導管(21)の前記第1端部(21a)に載置され、前記スプレーノズルへの流体入口(22)を形成するポート(31)を包含するバルブシート(30)と、
管形スリーブ(50)と確保要素(60)とを包含するバルブガイド(40)であって、第1端部(52a)で開口して第2端部(52b)の底部(53)で密閉される通路(51)を前記管形スリーブ(50)が形成し、前記確保要素(60)が前記内導管と同軸に当該管形スリーブ(50)を前記導管(21)に保持し、前記第1端部(52a)が前記バルブシート(30)の前記ポート(31)に対向するとともに前記ポートから離隔され、前記流体入口と出口との間での流体流方向での流体流を可能にするように前記管形スリーブ(50)の周面(50a)と前記スプレーノズル本体(20)の前記内面との間に当該管形スリーブ(50)が空間(24)を残す、バルブガイド(40)と、
当該管形スリーブ(50)の前記通路(51)で軸方向に自由摺動するように取り付けられるプラグ(70)であって、前記バルブシート(30)の前記ポート(31)を密閉するように当該管形スリーブ(50)に収容されて当該管形スリーブ(50)の前記底部(53)との接触状態で当止する圧縮ばね(80)により、前記バルブシート(30)の前記ポート(31)との接触状態へ押圧されるプラグ(70)と、
を包含し、
漏出防止態様で前記流体流から隔離され、リザーブ区分(55b)で当該管形スリーブ(50)の内側を前記スプレーノズル本体(20)に形成された径方向貫通穿孔(92)に接続する通気路(91)を包含する径方向通気部(90)も前記バルブガイド(40)が包含し、
前記確保要素(60)の管形外面(62a)と前記内導管(21)の前記内面との間に周方向空間(66)が形成され、前記周方向空間(66)が、漏出防止態様で前記流体流から隔離されて前記通気路(91)と前記径方向貫通穿孔(92)との間に連通を設ける、軸方向スプレーノズル。
【請求項2】
前記管形スリーブ(50)の前記第1端部(52a)で開口して、前記管形スリーブ(50)の前記底部(53)を終端とする前記管形スリーブ(50)のリザーブ区分(55b)に隣接する前記管形スリーブ(50)の摺動区分(55a)のバルブ当止部(54)により、前記プラグ(70)の軸方向摺動が制限される、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項3】
前記通気路(91)が前記リザーブ区分(55b)での前記管形スリーブ(50)の前記通路(51)で開口している、請求項2に記載のスプレーノズル。
【請求項4】
当該管形スリーブ(50)との間に機械的接続を有する環状セグメント(61)を前記確保要素(60)が包含し、前記管形スリーブ(50)が当該導管(21)と同軸に係合し、当該環状セグメント(61)と当該管形スリーブ(50)との間に前記流体流のための空間が形成され、当該導管(21)の前記内面との周方向接触状態にある少なくとも一つの周面区分(65)を前記管形外面(62a)が包含する、請求項1から3の一項に記載のスプレーノズル。
【請求項5】
当該環状セグメント(61)と当該管形スリーブ(50)との間の当該機械的接続が、前記周面(50a)と前記環状セグメント(61)の管形内面(62b)との間に径方向に延在する少なくとも1本のスポーク(64)を包含する、請求項4に記載のスプレーノズル。
【請求項6】
前記内導管(21)が、前記内導管の前記第1端部(21a)と一致する一端部と、当止部(25c)が設けられる別の端部とを包含する第1管形導管区分(25a)を包含し、前記環状セグメント(61)が当該第1管形導管区分(25a)に収容されて、前記流体流方向に前記当止部(25c)との接触状態で当止する、請求項4または5に記載のスプレーノズル。
【請求項7】
前記当止部(25c)に閉止される前記環状セグメント(61)の配置が前記環状セグメント(61)の上端部(63a)と前記当止部(25c)との間の接触により行われ、前記接触が周方向かつ漏出防止性であり、前記周面区分(65)と前記スプレーノズル本体(20)の前記内面との間の周方向接触も漏出防止性である、請求項6に記載のスプレーノズル。
【請求項8】
前記スプレーノズル本体(20)の前記内面の周方向肩部により前記当止部(25c)が形成される、請求項7に記載のスプレーノズル。
【請求項9】
前記管形外面(62a)は、第1画分(62a1)と、当該第1画分(62a1)に隣接する第2画分(62a2)を備え、当該第2画分(62a2)は前記スプレーノズル本体(20)の前記内面の部分に或る距離をおいて対向し、前記管形外面(62a)の当該第2画分(62a2)と前記第2画分と対向する前記スプレーノズル本体(20)の前記内面の当該部分とが、前記周面区分(65)により、そして前記上端部(63a)と前記当止部(25c)との間の漏出防止性周方向接触により隔離される、漏出防止態様の前記周方向空間(66)を形成し、
前記周面区分(65)が、前記スプレーノズル本体(20)の前記縦軸と平行に前記環状セグメント(61)の下端部から延在して、前記管形外面(62a)の当該第1画分(62a1)に形成される、請求項7または8に記載のスプレーノズル。
【請求項10】
前記径方向通気部(90)の前記通気路(91)が、前記リザーブ区分(55b)から形成され少なくとも一つのスポーク(64)の内部を径方向に通過して前記周方向空間(66)に開口する径方向通路を包含し、前記径方向貫通穿孔(92)も前記周方向空間(66)で前記スプレーノズル本体(20)の前記内面に開口する、請求項9に記載のスプレーノズル。
【請求項11】
前記第1管形導管区分(25a)が、前記当止部(25c)から延在して前記管形外面(62a)の前記第2画分(62a2)の区分との周方向漏出防止性接触状態にある狭小区分(25a1)を包含する、請求項10に記載のスプレーノズル。
【請求項12】
前記管形スリーブ(50)の前記周面(50a)まで径方向に延在するとともに前記スプレーノズル本体(20)の前記内面との接触状態にあるセンタリングフィン(100)も前記バルブガイド(40)が備える、請求項10または11に記載のスプレーノズル。
【請求項13】
前記センタリングフィンが前記少なくとも一つのスポーク(64)を延長する、請求項12に記載のスプレーノズル。
【請求項14】
前記スプレーノズル本体(20)の前記縦軸上での前記バルブガイド(40)の変位を防止するように、前記センタリングフィンが前記管形スリーブの前記第1端部(52a)よりも延出して前記バルブシートとの接触状態で支承される、請求項12または13に記載のスプレーノズル。
【請求項15】
前記管形スリーブ(50)の前記内面の周方向肩部によりバルブ当止部(54)が形成される、請求項1から
14の一項に記載のスプレーノズル。
【請求項16】
前記周方向肩部を形成するように前記管形スリーブ(50)の摺動区分(55a)の直径が前記リザーブ区分(55b)の直径より大きい、請求項
15に記載のスプレーノズル。
【請求項17】
前記バルブ当止部(54)との接触状態で前記プラグ(70)が当止した時に前記圧縮ばね(80)の隣り合う巻きが互いに接触するのを防止するように、前記周方向肩部の位置が調節される、請求項
15または
16に記載のスプレーノズル。
【請求項18】
前記バルブガイド(40)が熱可塑性材料を包含する、請求項
15から
17の一項に記載のスプレーノズル。
【請求項19】
前記バルブシート(30)が前記スプレーノズル本体(20)に圧着される、請求項1から
18の一項に記載のスプレーノズル。
【請求項20】
前記プラグ(70)が、前記バルブシート(30)の前記ポート(31)を閉塞し前記ポート(31)と相補的な形状を有してピストンヘッドと呼ばれるピストン端部を有するピストンである、請求項1から
19の一項に記載のスプレーノズル。
【請求項21】
前記ピストンヘッドが面取りされる、請求項
20に記載のスプレーノズル。
【請求項22】
請求項1から
21の一項に記載の少なくとも一つのスプレーノズル(10)を包含する油圧または空気圧回路。
【請求項23】
前記油圧または空気圧回路は、内燃エンジンの一部である、請求項
22に記載の油圧または空気圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体分配システム、詳しくは通気バルブを備える軸方向オイルスプレーノズルに関する。より詳しくは、本発明は、自動車分野での油圧または空気圧回路、例えば内燃エンジンの油圧回路での使用のため、さらに詳しくは内燃エンジンのピストンを冷却するために設計された通気バルブを備える軸方向オイルスプレーノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1aおよび1bは、先行技術で周知であって特許文献1に記載されている軸方向オイルスプレーノズルを表す。
【0003】
この軸方向オイルスプレーノズルは、
縦軸XX´上に延在して第1端部2aと第2端部2bとを包含する内導管2であって、ノズル本体1の内表面2cにより画定される導管2を包含するノズル本体1と、
内導管2の第2端部2bに載置されてオイルスプレーノズルへのオイル入口を形成するポート4aを包含するバルブシート4と、
スプレーノズル本体の内導管2に収容され、内導管2に設置される当止部との接触状態で支承される圧縮ばね6によりバルブシート4のポートとの接触状態に押圧されるプラグ5と、
を包含する。
【0004】
プラグ、例えば(
図1aおよび1bに図示されているような)ピストンは、内導管2に収容されてバルブシート4と協働する。特に、オイル圧力が所定圧力を下回るとすぐにバルブシート4のポートを密閉するように、圧縮ばね6によりプラグが押圧される。
【0005】
プラグが閉位置にあるオイルスプレーノズルが
図1aに示されている。スプレーノズルへの入口を閉塞することでオイル循環を防止するように、プラグはシートに当接している。
【0006】
スプレーノズル入口でのオイル圧力が、圧縮ばねによりプラグに加えられる力を超えるのに充分になるとすぐに、プラグが内向きにスプレーノズルへ押圧され、それから(
図1bに示されているように)スプレーノズルへの入口を開放する。その結果、
図1bに矢印で記されているように入口から出口へのスプレーノズル内でのオイル流が生じる。
【0007】
しかしながら、先行技術で周知の軸方向オイルスプレーノズルは満足できるものではない。
【0008】
特に、このタイプのスプレーノズルは挙動が不安定かつ予測不能である。
【0009】
特に、オイルが内導管2内を流れている時には、この流れの方向と反対の背圧がプラグに加えられるので、プラグと協働する要素、詳しくは圧縮ばね6とバルブシートとガイドの寿命がプラグの挙動により損なわれる。
【0010】
この背圧は、流体流の間に大きなヘッドロスを発生させるバルブの漸進的な開口を誘発する。このヘッドロスは、流れを制限するのでスプレーノズルの性能にとって有害である。
【0011】
また、この構成では、圧縮ばねがオイル流通路にそのままで設けられるので、オイルスプレーノズルが開口している時にはオイルがこの通路を通過する。
【0012】
ばねにおけるこのオイル通過はその動作を妨害し、その機械的反応性を低下させて変形または回転させることがあり、これも摩耗を加速する。
【0013】
径方向オイルスプレーノズルと呼ばれる別のタイプのオイルスプレーノズルもあり、内導管は急なY字岐路を包含する。
【0014】
径方向オイルスプレーノズルの径方向寸法は大きい。
【0015】
結果的に、オイルスプレーノズルが小さい径方向寸法を有さなければならない時には常に、径方向構成は使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の一つの目的は、先行技術で周知の軸方向流体スプレーノズルよりも良好な反応性を持つ軸方向流体スプレーノズルを開示することである。
【0018】
本発明の別の目的は、ヘッドロスが減少し、同じ圧力で高い流体噴射速度が可能である軸方向流体スプレーノズルを開示することである。
【0019】
本発明の別の目的は、バルブを備えるより安定的な軸方向流体スプレーノズルを提案することであり、その構造はプラグの振動挙動を低減させるか消滅すらさせうる。
【0020】
最後に、本発明の最終目的は、小型化が可能なバルブを備える軸方向流体スプレーノズルを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
縦軸XX´上に延在する内導管であって、縦軸XX´を中心として回転対称であり、第1および第2端部を包含してスプレーノズル本体の内表面により規定され、第2端部が流体出口を形成する導管を包含するスプレーノズル本体と、
内導管の第1端部に載置されて、スプレーノズルへの流体入口を形成するポートを包含するバルブシートと、
管形スリーブと確保要素とを包含するバルブガイドであって、第1端部で開口して第2端部で底部により密閉される通路をスリーブが形成し、確保要素が内導管と同軸にスリーブを内導管に保持し、第1端部がバルブシートのポートに対向してポートからセットバックされ、流体入口と出口との間で流体流方向での流体流を可能にするようにスリーブが周面とスプレーノズル本体の内面との間に空間を残す、バルブガイドと、
スリーブの通路で同軸に自由摺動するように取り付けられるプラグであって、バルブシートのポートを密閉するように、スリーブに収容されてスリーブの底部との接触状態で当止する圧縮ばねによりバルブシートのポートとの接触状態に押圧されるプラグと、
を包含し、
漏出防止態様で流体流から隔離されて、リザーブ区分の管形ガイドスリーブの内側をスプレーノズル本体に形成された径方向貫通穿孔に接続する通気路を包含する径方向通気部もバルブガイドが包含する、
通気バルブを備える軸方向流体スプレーノズルにより、上述した目的が少なくとも部分的に達成される。
【0022】
一実施形態によれば、確保要素の管形外面と内導管の内面との間に周方向空間が形成され、周方向空間は漏出防止態様で流体流から隔離され、通気路と径方向貫通穿孔との間に連通を設ける。
【0023】
一実施形態によれば、環状セグメントとスリーブとの間の機械的接続は、周面と環状セグメントの管形内面との間で径方向に延在する少なくとも1本のスポークを包含する。
【0024】
一実施形態によれば、スリーブの第1端部で開口して、スリーブの底部を終端とするスリーブのリザーブ区分に隣接するスリーブの摺動区分のバルブ当止部によってプラグの軸方向摺動が制限され、リザーブ区分のスリーブの通路に通気路が有利に開口している。
【0025】
一実施形態によれば、確保要素は、スリーブに機械的に接続される環状セグメントを包含し、スリーブは同軸に係合し、環状セグメントへのスリーブの同軸係合は、セグメントとスリーブとの間に摺動空間を形成し、環状セグメントは、スプレーノズル本体の内面との周方向接触状態にある少なくとも一つの周面区分を包含する管形外面を包含する。
【0026】
一実施形態によれば、内導管は、第1端部と一致する一端部と、当止部が設けられる別の端部とを備える第1管形導管区分を包含し、環状セグメントは第1導管区分に収容され、流体流方向において当止部との接触状態で当止する。
【0027】
一実施形態によれば、当止部に環状セグメントが閉止される配置は、環状セグメントの上端部と当止部との間の接触により設けられ、接触は周方向かつ漏出防止性であって、周面区分とスプレーノズル本体の内面との間の周方向接触も漏出防止性であり、スプレーノズル本体の内面の周方向肩部により当止部が有利に形成されている。
【0028】
一実施形態によれば、周面区分はスプレーノズル本体の縦軸と平行に環状セグメントの下端部から延在し、管形外面の第1画分に限定され、第1画分に隣接する管形外面の第2画分はスプレーノズル本体の内面から或る距離にあり、管形外面の第2画分と、これと対向するスプレーノズル本体の内面部分とは、第一に周面区分により、第二に上端部と当止部との間での漏出防止性周方向接触により隔離される漏出防止性の周方向空間を形成する。
【0029】
一実施形態によれば、径方向通気部の通気路は、スポークの内部を径方向に通過するリザーブ区分から形成されて周方向空間に開口する径方向通路を包含し、径方向貫通穿孔も周方向空間でスプレーノズル本体の内面に開口する。
【0030】
一実施形態によれば、第1管形導管区分は、当止部から延在して管形面の第2画分の区分との周方向漏出防止性接触状態にある狭小区分を包含する。
【0031】
一実施形態によれば、バルブガイドは、スリーブの周面まで径方向に延在してスプレーノズル本体の内面との接触状態にあるセンタリングフィンを備え、フィンが少なくとも一つのスポークを有利に延長する。
【0032】
一実施形態によれば、フィンは、スリーブの第1端部よりも延出し、スプレーノズル本体の縦軸上でのバルブガイドのいかなる変位も防止するようにシートとの接触状態で支承される。
【0033】
一実施形態によれば、スリーブの内面の周方向肩部によりバルブ当止部が形成される。
【0034】
一実施形態によれば、周方向肩部を形成するようにスリーブの摺動区分の直径はリザーブ区分の直径より大きい。
【0035】
一実施形態によれば、バルブ当止部との接触状態でプラグが当止した時に圧縮ばねが隣接の屈曲部を有するのを防止するように、周方向肩部の位置が調節される。
【0036】
一実施形態によれば、バルブガイドは熱可塑性材料を包含する。
【0037】
一実施形態によれば、バルブシートはスプレーノズル本体に圧着される。
【0038】
一実施形態によれば、プラグは、バルブシートのポートを閉塞してポートと相補的な形状を有する、ピストンヘッドと呼ばれるピストン端部を有するピストンである。
【0039】
一実施形態によれば、ピストンヘッドは面取り部を備える。
【0040】
一実施形態によれば、プラグはボールである。
【0041】
一実施形態によれば、スプレーノズルは、流体スプレーノズルの出口での焼き嵌めにより、ろう接により、溶接により、または圧着により、本体に組み付けられてその所定箇所に保持される流体分配管も包含する。
【0042】
本発明は、少なくとも一つの流体スプレーノズルを包含する油圧または空気圧面にも関しており、油圧または空気圧回路が内燃エンジンの回路であると有利である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、以下の説明と添付の図面を読んだ後でより理解されるだろう。
【0044】
【
図1a】先行技術で周知の軸方向オイルスプレーノズルの、長手断面での図表示であり、バルブは閉位置にある。
【
図1b】
図1aに示されているものと同一のバルブを備える、先行技術で周知の軸方向オイルスプレーノズルの長手断面での図表示であり、バルブは開位置にあり、矢印はオイル循環方向を記している。
【
図2】本発明の一実施形態によるバルブを備える軸方向オイルスプレーノズルの分解状態での斜視図表示である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバルブを備える軸方向オイルスプレーノズルの(縦軸XX´に平行な)長手断面での図表示であり、バルブは開位置にあって、矢印はスプレーノズルでのオイル流を図で示す。
【
図4】本発明の特定の一実施形態によるスプレーノズル本体の(縦軸XX´に平行な)長手断面での図表示である。
【
図5a】本発明によるオイルスプレーノズルで使用されうるバルブシートの斜視表示である。
【
図5b】径方向断面でのバルブシートの図表示である。
【
図6a】本発明によるオイルスプレーノズルで使用されうるバルブガイドの斜視底面図である。
【
図6b】XX´軸線上の断面における
図6aのバルブガイドの図表示である。
【
図6c】
図6aのバルブガイドの斜視底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に詳しく記載される発明は、径方向通気バルブを包含する軸方向オイルスプレーノズルを使用する。
【0046】
図2から6cは、本発明による通気バルブを備える軸方向オイルスプレーノズル10の実施形態例を示す。このタイプのスプレーノズルは、ピストンを冷却するのに、または内燃エンジンのチェーンを潤滑するのに特に適している。
【0047】
図2から4では、内導管21(
図4)を包含するスプレーノズル本体20が示されている。
【0048】
内導管21は、縦軸XX´上に延在し、縦軸XX´を中心として回転対称である。内導管21は第1端部21aと第2端部21bも包含し、スプレーノズル本体20の内面21cにより規定され、第2端部21aはオイル出口22bを形成する。
【0049】
本開示を通して、縦軸XX´を中心とする回転対称である要素または区分は可変直径を有しうる。言い換えると、内導管21は直径の異なる区分を有しうる。
【0050】
スプレーノズル本体は、内燃エンジンの動作により課せられる応力に耐えうる材料で製作されることが好ましい。スプレーノズル本体は金属材料で製作されうる。
【0051】
例えば、スプレーノズル本体は、鋼、アルミニウム合金、銅合金、熱可塑性材料から選択される少なくとも一つの材料を含みうる。
【0052】
オイルスプリンクラー10は、内導管21の第1端部21aに配置されるバルブシート30(
図2,3,5a,5b)も包含する。
【0053】
バルブシートは、オイルスプレーノズル10へのオイル入口22aを形成するポート31(
図5a,5b)を包含する。
【0054】
言及する必要はないが、バルブシート30は概ね、スプレーノズル本体20の内導管21へ調節により挿入されうるような輪郭を有するディスクの形である。
【0055】
さらに、ポート31は、バルブシート30に形成されてスプレーノズル本体の縦軸XX´を中心として概ね回転対称である貫通穿孔を指す。
【0056】
バルブシート30は、鋼、アルミニウム合金、銅合金、熱可塑性材料から選択される少なくとも一つの材料を含みうる。
【0057】
バルブシート30はスプレーノズル本体10に圧着されうる。
【0058】
オイルスプレーノズル10はバルブガイド40も包含する。
【0059】
バルブガイド(
図2,3,6aから6c)は、管形スリーブ50と確保要素60(
図3,6a,6b)とを包含する。
【0060】
管形スリーブ50は、第1端部52aで開口して第2端部52bの底部53で密閉される通路51を形成する(
図6b)。
【0061】
確保要素60は、内導管21において管形スリーブ50を導管21と同軸に確保するのに適応している。
【0062】
言い換えると、確保要素60は、管形スリーブ50を内導管21に確保してこれをセンタリングするのである。
【0063】
さらに、オイル入口と出口(
図3)との間の流体流を可能にするように、内導管21に保持された管形スリーブ50は周面50aとスプレーノズル本体10の内面21との間に空間24を残す。
【0064】
さらに、管形スリーブ50の第1端部52aがバルブシート30のポート31と対向して置かれてこれからセットバックされるように、管形スリーブ50が確保要素60により確保される。
【0065】
言及する必要はないが、確保要素60は流体通路も含み、例えば確保要素には穴が形成される。
【0066】
図2および3に図示されているように、オイルスプレーノズル10は、管形スリーブ50の通路51で軸方向に自由摺動するように取り付けられるプラグ70も包含する。
【0067】
軸方向摺動は、管形スリーブ50の通路51で摺動することにより調節されるように取り付けられるプラグ70を意味する。摺動調節は漏出防止性であり、数百分の1ミリメートルでありうる。
【0068】
さらに、管形スリーブ50の通路51でのプラグ70の軸方向摺動は、管形スリーブ50の第1端部52aで開口する管形スリーブ50の第2摺動区分55a(
図6b)のバルブ当止部54により制限されうる。
【0069】
摺動区分55aは、管形スリーブ50の底部53を終端とする管形スリーブ50のリザーブ区分55bに隣接している(
図6b)。
【0070】
さらに、管形スリーブ50の通路51には圧縮ばね80が収容される。
【0071】
圧縮ばね80は、管形スリーブ50の底部53に支承されて、ポート31を塞ぐようにバルブシート30のポート31(
図2,3)との接触状態にプラグ70を押圧する。
【0072】
動作中には、スプレーノズル10への入口22aでのオイル圧力が所定のオイル圧力に達すると、スプレーノズル10の空間24でのオイル流が動き始める。
【0073】
所定のオイル圧力とは、管形スリーブ50の通路51でプラグ70を摺動させてバルブシート30のポート31を開放するように圧縮ばね80によってこのプラグ70に加えられる力を超えるのに必要な圧力である。
【0074】
管形スリーブ50の内面の周方向肩部54(
図3,6b)によりバルブ当止部54が有利に形成される。
【0075】
周方向肩部54を形成するように管形スリーブ50の摺動区分55aの内径がリザーブ区分55bの内径より大きいと、特に有利である。
【0076】
プラグ70がバルブ当止部54との接触状態で当止した時に圧縮ばねの巻きが接触するのを防止するように、周方向肩部の位置が調節されても有利である。
【0077】
バルブガイド40は熱可塑性材料を含み、可塑性射出により形成されると有利である。
【0078】
プラグ70は、ピストンヘッドと呼ばれるピストン端部を有し、バルブシートのポートを閉塞してこのポートと相補的な形状を有するピストンでありうる。
【0079】
代替的に、プラグ70はボールでありうる。
【0080】
バルブガイド40はまた、リザーブ区分55bで管形スリーブ50の内側を、スプレーノズル本体10(
図3)に形成された径方向貫通穿孔92に漏出防止態様で接続する通気路91を包含する径方向通気部90を含む。通気路91は、管形スリーブの内側を径方向穿孔92に接続する管を含みうる。
【0081】
「漏出防止態様で接続する」とは、空間24を流れるオイルがリザーブ区分55bにも径方向通気部90にも流入できないことを意味する。
【0082】
確保要素60の管形外面62aと内導管21の内面との間には周方向空間66が形成され、周方向空間66は、漏出防止態様で流体流から隔離され、通気路91と径方向貫通穿孔92との間に連通を設ける。
【0083】
この構成によれば、管形スリーブの内部に載置される圧縮ばね80も、漏出防止態様で流体流から隔離される。その際に圧縮ばね80の動作はオイル流に妨害されないため、オイル出口22bでは良質のオイル噴射が得られる。
【0084】
また、このオイル流からの圧縮ばね80の隔離は摩耗を制限する。
【0085】
さらに、径方向通気部90は圧縮ばね80をより安定させるので、オイルスプレーノズルの開口機構は通気部のないオイルスプレーノズルよりも予測可能である。
【0086】
最後に、本発明によるプラグ70は、その挙動が安定的かつ予測可能であって圧力上昇時に高速になるようにオイル流からのいかなる背圧も受けない。当止部54との接触状態にある時にプラグ70の振動挙動が見られないと、圧縮ばね80およびバルブ全体の摩耗も抑制できる。
【0087】
特定の一レイアウトによれば、内導管21は、第1端部21aと一致する一端部と当止部25cが設けられる別の端部とを包含する第1管形導管区分25aを包含しうる。
【0088】
内導管21は、当止部25cで第1導管区分25aに隣接する第2円錐台形区分25b(
図4)も包含しうる。
【0089】
管形導管区分または管形面は、縦軸XX´を中心とする回転対称を持つ区分を意味する。
【0090】
円錐台形区分は、円錐体の一区分を意味する。また、本発明によれば、円錐台形区分の基部は円筒体部分により延長され、その直径は基部の直径と等しい。残りの説明は、基部を包含する円錐台形区分に限定されるが、基部の語は円錐の底面と上に定義された円筒体部分により延長された基部とを等しく含むことが理解されるはずである。
【0091】
第2円錐台形区分25bは、スプレーノズル本体10の内面21に周方向肩部を形成するように第1管形導管区分25aの直径より小さい基部直径を有し、周方向肩部は当止部25cを形成する。
【0092】
やはりこの特定の配置によれば、第1管形導管区分25aの壁には径方向貫通穿孔92が形成されうる。
【0093】
確保要素60は、スリーブ50に機械的に接続される環状セグメント61を包含し、スリーブ50は同軸に係合する。環状セグメント61へのスリーブ50の同軸係合は、セグメント61とスリーブ50との間に流空間を形成するのに適応している。
【0094】
環状セグメント61は、スプレーノズル本体20の内面との周方向接触状態にある少なくとも一つの周面区分65を包含する管形外面62aを包含しうる。
【0095】
特に、確保要素60は、上面63aにより上端部で、下面により下端部で接続される管形外面62aと同軸の管形内面62bという二つの管形面を包含しうる(
図6b,6c)。上端部63aがオイル流方向において当止部25cで有利に当止する。
【0096】
オイル流方向は、オイルスプレーノズルの入口から出口へのオイルの流れを意味する。
【0097】
管形内面62bの直径は、管形スリーブ60の周面50aから或る距離に管形内面62bを保持するように調節される。言い換えると、確保要素の環状セグメント61はオイル通路24を塞がない。
【0098】
環状セグメント61はリザーブ区分55bで管形スリーブ50を囲繞しうる。
【0099】
オイルが流れる空間を環状セグメント61が縮小することは重大である。この作用を補うため、リザーブ区分55bの外径は摺動区分55aの外径より小さい。言い換えると、管形スリーブ50の周面50aは、直径の異なる二つの隣接の周面を有する。二つの区分のうち第1周面区分と呼ばれる第一の区分は第1端部52aから延在し、第2周面区分と呼ばれて第1周面区分の直径より小さい直径を持つ第二の区分は第2端部52bを終端とする。ゆえに、管形内面62bは第2周面区分と対向してこれから或る距離にある。
【0100】
さらに、少なくとも1本のスポーク64、例えば2本のスポーク64、さらには3本のスポークにより、環状セグメント61が管形スリーブ50に機械的に接続される(
図6b,6c)。
【0101】
スポーク64は、管形スリーブ50の周面50aと管形内面62bとの間に径方向に延在する。特に、スポーク64は、リザーブ区分55bの周面と管形内面62aとの間に径方向の機械的接続を設ける。
【0102】
また、上面63aは内面21の肩部25cとの周方向接触状態にある。
【0103】
管形外面62aは、スプレーノズル本体20の内面との周方向接触状態にある少なくとも一つの周面区分65を包含しうる。特に、周方向接触は漏出防止性でありうる。
【0104】
周面区分65は、スプレーノズル本体10の縦軸XX´と平行に環状セグメント61の下端部から延在しうる。周面区分65は、管形外面62aの第1画分62a1(
図6a,6b)にも延在する。
【0105】
管形外面62aは、スプレーノズル本体10の内面21から或る距離にあって第1画分62a1に隣接する管形外面62aの第2画分62a2も包含する。
【0106】
ゆえに、管形外面62aの第2画分62a2とこれと対向するスプレーノズル本体の内面部分とは、第一に周面区分65により、第二に上面63aと内面2の肩部25cとの間の漏出防止性接触により、漏出防止態様で隔離される周方向空間66を形成する(
図3)。
【0107】
「漏出防止態様で隔離される」とは、オイル流とオイル流が発生しうる圧力とから隔離されることを意味する。
【0108】
径方向通気路91と穿孔92とが周方向空間66に有利に開口している。整合の制約および/または穿孔92に対する径方向通気路91の調節の制約を緩和することが可能であるため、この構成は特に有利である。そしてスプレーノズル本体の部分を形成する要素を製造してこれらを組み立てる方法が単純化される。
【0109】
非常に有利で非限定的な例として、径方向通気路91は、リザーブ区分55bから始まるように形成され、スポーク64の内部を径方向に通過し、周方向空間66で開口する径方向通路を包含しうる(
図3,6b)。
【0110】
さもなければ、この通気路は、オイルスプレーノズルのオイル流から密封状態で隔離される。
【0111】
第1導管区分25aは、縦軸XX´と平行に肩部25cから延在する狭小区分25a1を包含する。さらに、狭小区分25a1は、管形外面62aの第2画分62a2の区分67との漏出防止性周方向接触状態にあり、区分67は、スプレーノズル本体10の縦軸と平行に上端部63aから始まるように延在する(
図3)。
【0112】
周方向空間を維持するように狭小区分25a1が従来のように調節されることも理解されるはずである。言い換えると、周面区分65と狭小区分25a1との間には接触は生じない。
【0113】
バルブガイド40は、管形スリーブ50の周面50aから、スプレーノズル本体10の内面21との接触状態で延在するセンタリングフィン100を有利に備える。
【0114】
センタリングフィン100の範囲は、スプレーノズル本体20の内側での管形スリーブ50の同軸確保を微調整するように調節される(
図3,6a,6b)。
【0115】
センタリングフィン100の各々が少なくとも1本のスポーク64から選択されるスポークを有利に延長させており、2本のセンタリングフィン100の間の空間は流路を画定する。
【0116】
センタリングフィン100がバルブシート30に支承されてスプレーノズル本体の縦軸上でのバルブガイドの変位を防止すると有利である。
【0117】
このセンタリングフィン100の支承は、第1端部52aよりもフィン100を延長することにより得られる。
【0118】
より詳しく記すと、バルブシート30へのセンタリングフィン100の支承はポート31を塞がないように適応化される。
【0119】
バルブシートへのセンタリングフィン100の支承は、縦軸XX´上でのバルブガイド40の移動を防止する。
【0120】
スプレーノズルは、本体に組み込まれて、オイルスプレーノズル出口での焼き嵌めにより、ろう接により、溶接により、または圧着により本体の所定箇所に保持されるオイル分配管も包含しうる。
【0121】
動作中に、オイル入口でのオイル圧力の作用を受けた縦軸XX´上でのプラグ70の変位によりオイルスプレーノズルが開口する。
【0122】
変位中に、プラグ70は圧縮ばね80を圧縮し、これが載置された空間を縮小する。径方向通気部90は、ばねの動作を妨害する過圧がこの内部で生じるのを防止する。そしてプラグの変位はより反応性であり、この配置による装置はオイル流の急速な増大を達成できる。
【0123】
本発明は、上に記載したように通気バルブを備える少なくとも一つのスプレーノズルを包含する、例えば自動車産業において油圧または空気圧回路で使用される通気バルブを備える軸方向オイルスプレーノズルにも関する。
【0124】
例えば、通気バルブを備えるオイルスプレーノズルは、特に内燃エンジンのピストンを冷却するために内燃エンジンの油圧回路で使用されうる。
【0125】
本発明によるスプレーノズルは、例えば空調システムで空気噴射による冷却にも使用されうる。