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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】呼吸装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
A61M16/00 380
A61M16/00 305A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020036840
(22)【出願日】2020-03-04
(62)【分割の表示】P 2015066476の分割
【原出願日】2015-03-27
(65)【公開番号】P2020078732
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】10 2014 004 850.0
(32)【優先日】2014-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517191714
【氏名又は名称】レーヴェンシュタイン メディカル テクノロジー エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】カール‐アンドレアス フェルダーン
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ セプケ
(72)【発明者】
【氏名】カール‐ハインツ ケーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ゲーベル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン クルーイン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ガーデイン
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/133889(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2703034(EP,A2)
【文献】特開2011-118226(JP,A)
【文献】特開2008-198246(JP,A)
【文献】特開平4-220624(JP,A)
【文献】登録実用新案第3096112(JP,U)
【文献】特開2007-143817(JP,A)
【文献】特開2000-24109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00-16/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸のための装置であって、前記装置は、制御ボード(23)と接続されたブロワ(9)を備え、前記制御ボード(23)も前記ブロワ(9)も、前記装置の1つのケーシング(1)内に配置されており、前記制御ボード(23)は、少なくとも1つの表示装置(2)および少なくとも1つの操作素子(3)と接続されている、装置であり、前記ブロワ(9)は、前記ケーシング(1)内で粘弾性またはエラストマの結合エレメント(12)により粘弾性またはエラストマの支持部材(11)に接続されており、前記支持部材(11)および前記結合エレメント(12)は一体的に形成されており、前記結合エレメント(12)は、フレームのように前記ブロワ(9)を取り囲んでおり、前記ブロワ(9)は、前記結合エレメント(12)および/または前記支持部材(11)により前記装置の内部の空間内に弾性に懸架されており、前記装置は、前記結合エレメント(12)および/または前記支持部材(11)と一体的に形成された複数の弾性の間隔エレメント(27)をさらに備え、前記表示装置(2)は、前記ケーシング(1)内でクランプホルダ(14a)によってフレーム形状のホルダエレメント(14)に固定され、前記ホルダエレメント(14)は、前記表示装置(2)の製造公差を前記クランプホルダ(14a)の張力を変動させることによって補償することができるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ケーシング(1)は、1つのフロントユニット(1a)および2つのケーシング部分(16,17)から成り、前記フロントユニット(1a)は前記表示装置(2)を備え、前記2つのケーシング部分(16,17)は、1つのブロワボックス(5)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持部材(11)は、前記2つのケーシング部分(16,17)の間に保持されており、前記2つのケーシング部分(16,17)のうち第1のケーシング部分(16)は、第1の高圧領域(16.1)および第1の吸気領域(16.2)を有し、前記2つのケーシング部分(16,17)のうち第2のケーシング部分(17)は、第2の高圧領域(17.1)および第2の吸気領域(17.2)を有することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持部材(11)は、前記2つのケーシング部分(16,17)の間で垂直方向に配置されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記支持部材(11)は、前記2つのケーシング部分(16,17)と相互作用する密閉面(31,32)を有し、前記支持部材(11)は第1のパッキン(30)を形成し、前記第1のパッキンは、前記2つのケーシング部分(16,17)の密閉面(31,32)を密閉し、かつ前記支持部材は第2のパッキン(33)を形成し、前記第2のパッキン(33)は、前記2つのケーシング部分(16,17)の密閉面(34,35)を密閉し、それにより前記第1の高圧領域(16.1)および前記第2の高圧領域(17.1)を前記第1の吸気領域(16.2)および前記第2の吸気領域(17.2)から空気的に分離することを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記支持部材(11)は、前記ブロワボックス(5)内での空気の方向変換に用いられ、したがって音響減衰に用いられ、そのために少なくとも2つの開口部(11.1,11.2,11.3,11.4)を有し、前記空気は、前記2つのケーシング部分(16,17)のうち第1のケーシング部分(16)にある吸気開口部から、前記少なくとも2つの開口部のうち1つ(11.1)に向かって流れることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記支持部材(11)は少なくとも1つの開口部(11.4)を有し、前記開口部(11.4)は1つのカラー(28)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ブロワボックス(5)内には、呼吸ガス流のために少なくとも3つの方向変換部(A,B,C,D,E,F,G,H,I)が配置されており、前記方向変換部は、前記ブロワ(9)により搬送される空気を方向変換するように構成された部材であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ブロワボックス(5)内および/または前記支持部材(11)上に、少なくとも1つの音響減衰材料(11’,11’’,12,17’,28)が配置されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記フロントユニット(1a)は、少なくとも1つの操作素子を有することを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
表示装置(2)は、垂直方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ケーシング(1)は、三角形の側面を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記フロントユニットは、垂直方向に伸張する第1のセグメントと、垂直方向に対して傾斜した第2のセグメントとから成り、前記第2のセグメント内には表示装置(2)が配置されていることを特徴とする、請求項2~6および10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記表示装置(2)は、プレート形状のディスプレイ(13)として構成されており、前記ディスプレイは、前記ホルダエレメント(14)によって前記フロントユニット(1a)内に固定されていることを特徴とする、請求項2~6、10、および13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ホルダエレメント(14)は、前記フロントユニット(1a)内にネジ留め可能であることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの操作素子(3)は1つの機械的操作素子であり、前記1つの機械的操作素子(3)だけが、機器機能を作動するために前記制御ボード(23)に接続されていることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記1つの機械的操作素子(3)に対して補充的にさらなる操作フィールドが、タッチスクリーンとして構成されたディスプレイ(13)上に設けられていることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御部と接続されたブロワを有する呼吸装置に関するものであり、ここで前記制御部も前記ブロワも、1つのケーシング内に配置されており、前記制御部は、少なくとも1つの表示装置および少なくとも1つの操作素子と接続されている。
【背景技術】
【0002】
この種の呼吸装置は、典型的にはエネルギー供給のために電源網に接続され、呼吸チューブを介して呼吸マスクと接続される。患者は、呼吸をしている間、呼吸マスクを顔面部に装着する。
【0003】
例えばこの種の呼吸装置は、CPAP療法、APAP療法またはBi-Level呼吸を実施するために使用される。基本的に機器の制御部により、任意の呼吸経過を設定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭に述べ形式の装置を、より良い使用品質が提供されるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による呼吸装置は、制御部と接続されたブロワを有し、ここで前記制御部も前記ブロワも、1つのケーシング内に配置されており、前記制御部は、少なくとも1つの表示装置および少なくとも1つの操作素子と接続されており、前記ブロワは、前記ケーシング内で粘弾性またはエラストマの支持部材により保持されている。
【0006】
この装置は、前記ケーシングが、前記表示装置を有するフロントユニットから成り、前記ケーシングは、2つのさらなるケーシング部分を有し、当該ケーシング部分は1つのブロワボックスを形成する、ことを特徴とする。
【0007】
この装置は、前記支持部材が前記複数のケーシング部分の間に保持されており、前記2つのケーシング部分はそれぞれ、相応の高圧領域と吸気領域のチャンバ半分を有する、ことも特徴とする。
【0008】
この装置は、前記支持部材が、前記複数のケーシング部分の間で垂直方向に配置されている、ことも特徴とする。
【0009】
この装置は、前記支持部材が1つのパッキンを形成し、当該パッキンは前記ケーシング部分の密閉面を密閉し、かつ前記支持部材が第2のパッキンを形成し、当該第2のパッキンは前記2つのケーシング部分の密閉面を密閉し、かつ前記第2のパッキンは、高圧領域を吸気領域から空気的に分離する、ことも特徴とする。
【0010】
この装置は、前記支持部材が前記ブロワボックス内での空気の方向変換に、したがって音響減衰に用いられ、そのために少なくとも2つの開口部を有する、ことも特徴とする。
【0011】
この装置は、前記支持部材が少なくとも1つの開口部を有し、当該開口部は、1つのカラーによって少なくとも部分的に取り囲まれている、ことも特徴とする。
【0012】
この装置は、前記支持部材が空気流の偏向に用いられ、そのために開口部または切欠部を有し、前記支持部材は同様に音響減衰に用いられ、そのために少なくとも開口部に1つのカラーを有し、前記支持部材は、同様に音響分離およびブロワの保持に用いられ、したがってエラストマ材料から作製されており、そのために前記ブロワを保持する結合エレメントを有し、当該結合エレメントはさらにビードを有することができ、前記支持部材はさらに、環境に対して前記ケーシング部分を密閉するための少なくとも1つのパッキンを有し、かつ吸気領域と高圧領域を密閉するためのさらなる1つのパッキンを有し、前記支持部材はさらに、締め付けまたは付勢またはネジ留めによって前記複数のケーシング部分の間に保持される、ことも特徴とする。
【0013】
この装置は、前記ブロワボックス内に、呼吸ガス流のために少なくとも3つの方向変換部が配置されている、ことも特徴とする。
【0014】
この装置は、前記ブロワボックス内および/または前記支持部材に、少なくとも1つの音響減衰エレメントが配置されている、ことも特徴とする。
【0015】
この装置は、前記フロントユニット内には前記表示装置および1つのフロントフィルムが収容されており、前記フロントフィルムは少なくとも1つの操作素子を有する、ことも特徴とする。
【0016】
この装置は、表示装置が垂直方向に対して傾斜して配置されている、ことも特徴とする。
【0017】
この装置は、前記ケーシングが三角形の横断面を有する、ことも特徴とする。
【0018】
この装置は、前記フロントユニットが、垂直方向に伸張する第1のセグメントと、垂直方向に対して傾斜した第2のセグメントとから成り、当該第2のセグメント内には表示装置が配置されている、ことも特徴とする。
【0019】
この装置は、前記表示装置がプレート形状のディスプレイとして構成されており、当該ディスプレイは、フレーム形状のホルダエレメントによって前記フロントユニット内に固定されている、ことも特徴とする。
【0020】
この装置は、前記ホルダエレメントが、前記ディスプレイを固定するためのクランプホルダを備え、または前記ホルダエレメントは前記フロントユニット内にネジ留め可能である、ことも特徴とする。
【0021】
この装置は、ただ1つの機械的操作素子だけが機器機能を作動するために設けられている、ことも特徴とする。
【0022】
この装置は、ただ1つの機械的操作素子に対して補充的にさらなる操作フィールドが、タッチスクリーンとして構成されたディスプレイ上に設けられている、ことも特徴とする。
【0023】
この装置は、機器内には、圧力測定部を接続するための管路案内部が、第1の直径の管路部分と第2の直径の管路部分とから形成されており、前記第2の直径は前記第1の直径よりも小さい、ことも特徴とする。
【0024】
図面には本発明の実施例が概略的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】傾斜して配置されたディスプレイを備える機器の斜視図である。
図2】変更された機器構成の斜視図である。
図3】フロントユニット、および取り付けられたブロワボックスの斜視図である。
図3a】フロントユニット、および取り付けられたブロワボックスのさらなる斜視図である。
図4】ブロワボックス内に配置されたブロワの斜視図であり、ここでブロワは周回するダイヤフラム構造によって保持されている。
図4a】周回するダイヤフラムにより保持されたブロワのさらなる斜視図である。
図5】部分的に分解され、空気供給が図示されたブロワボックスの斜視図である。
図6】空気供給が図示されていない、図5に対応する図である。
図7】ケーシング部分の内側斜視図である。
図8】ディスプレイとして構成された表示装置を、フレームを使用してケーシング内に保持することを説明するための斜視図である。
図9】ディスプレイとホルダフレームのさらなる斜視図である。
図10】ディスプレイとホルダフレームの組み立て図である。
図11】配設された外部操作ユニットを備える呼吸器のさらなる斜視図である。
図12】機器ケーシング内に配置された、圧力測定チューブを備える制御ボードの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、呼吸器(1)を示す。呼吸器(1)には、1つの表示装置(2)、少なくとも1つの操作素子(3)、および1つのチューブ接続部(4)が設けられている。
【0027】
チューブ接続部(4)は、典型的には、図示しない呼吸ガスチューブとの接続に用いられ、この呼吸ガスチューブは、前記チューブ接続部(4)とは反対側の延長領域において、同様に図示しない呼吸マスクと接続されている。図示しない呼吸マスクは、同様に図示しない患者の呼吸ガス供給のために用いられる。チューブ接続部の領域には、オプションで、呼吸チューブを加熱するための(図示しない)電気接続部を取り付けることができる。
【0028】
呼吸器(1)には、典型的には少なくとも1つの通信インタフェース(6)が設けられている。このインタフェース(6)は、ここでは側面領域に配置されている。インタフェース(6)は水平に対して傾斜しており、ディスプレイの空間的に近傍に配置されている。好ましくは呼吸器はさらに1つのインタフェース(6’)を有し、このインタフェースはモジュール(8)との結合に用いられる。
【0029】
図示の実施例では、呼吸器(1)が呼吸ガス加湿器(7)と結合されている。呼吸器(1)は、オプションとして、呼吸ガス加湿器(7)付きでも、無しでも稼働することができる。
【0030】
図1に図示された実施例によれば、呼吸器(1)のケーシングは、垂直方向の切断面に三角形の横断面を有する。
【0031】
図1の実施形態によれば、呼吸器(1)には必要に応じて補助エレメント(8)を結合することができ、この補助エレメントは少なくとも1つのさらなる機器機能を提供する。ディスプレイ(13)はここではユーザインタフェースとして、例えば呼吸器(1)のタッチスクリーンとして構成されている。ディスプレイ(13)の領域には複数の入力キーが設けられており、これらの入力キーは、ユーザ入力を受信するように構成されている。ディスプレイ(13)は、シフトロジックでキーと接続されており、複数の情報フィールドを有する。ここで各情報フィールドは対応する1つの入力キーに割り当てられており、対応する入力キーの種々の機能を表すグラフィック情報を指示するように構成されている。入力キーは、ディスプレイ(13)の領域にある接触感知性の平面である。本発明によれば、少なくとも1つのさらなる操作素子(3)が設けられている。この操作素子(3)は機械的に操作可能であり、したがってディスプレイ上の接触面とは異なる。本発明によれば、呼吸器は操作素子(3)を介してスイッチオンおよびスイッチオフされ、したがって患者に適した基本的な治療を、ただ1つのキーによって作動することができる。そのために操作素子(3)は、シフトロジックでブロワモータと接続されており、これを作動すると共にメモリを作動することにより、ファイルされた治療データ、例えば圧力値を呼び出し、適用する。補充的に入力キーを介して個々の値、例えば圧力値を適合することができる。しかし本発明によれば、タッチスクリーン(13)の入力キーを介する操作は、治療をスタートさせるためには必要ない。
【0032】
図2に図示された実施形態によれば、図1の機器構成において、呼吸ガス加湿器(7)が呼吸器(1)から取り外されている。
【0033】
図1図2を参照すると、呼吸ガス加湿器(7)の使用には関係なく、常に同じチューブ接続部(4)が使用可能であることが分かる。したがって機器機能に応じて呼吸チューブを差し替える必要はない。
【0034】
図3は、呼吸器(1)が、その機械的な基本構造に関しては2つの構成エレメントから成ることを示す。これらの構成エレメントは、操作素子(3)と表示装置(2)を備えるフロントユニット(1a)、およびブロワボックス(5)である。前記ブロワボックスは、前方部(16)、ブロワ(9)を備える支持部材(11)、および後方部(17)を有する。前方部(16)と後方部(17)は、シェル形状に機器内部空間(18)を取り囲む。ケーシング部(16)および(17)には、好ましくは発泡材から成る音響減衰材料(16’ないし17’)が装填されている。
【0035】
図3図3aは、呼吸器(1)を、構成部材であるブロワボックス(5)とフロントユニット(1a)に分解して示す。これら図面から、構成部材の組み立ての際の簡単な取り扱いが明白である。フロントユニット(1a)は、ケーシングの他にとりわけ1つの表示装置(2)、1つの操作素子(3)および1つの制御ボード(23)、並びに少なくとも2つのインタフェースを含む。好ましくはフロントユニット(1a)は、垂直に対して傾斜しており、表示装置(2)、少なくとも1つの操作素子(3)、および前記表示装置(2)に対して平行に配置された少なくとも1つの制御ボード(23)、並びに少なくとも2つのインタフェースを含む。フロントユニット(1a)とブロワボックス(5)との組み立ては、フロントユニット(1a)にあるフック(1b)を介して行われ、これらのフックはブロワボックス(5)の後方領域(5a)を把持する。フロントユニットは、前記フック(1b)と前記領域(5a)から成る回転点を介して旋回される。付加的に、ブロワボックス(5)に配置されたスナップ(5b)がフロントユニット(1a)の開口部(1c)に係合する。保護のためにフロントユニット(1a)は2つのネジだけによってブロワボックス(5)と接続され、このようにして呼吸器(1)のケーシングを形成する。フロントユニット(1a)をブロワボックス(5)から取り外すためには、ネジを外し、スナップ(5b)を解除するだけで良い。
【0036】
図4の実施形態によれば、ブロワボックス(5)内に1つのブロワ(9)が配置されている。このブロワ(9)は、典型的には電気モータ(10)により駆動される。
【0037】
簡単な取り付けと取り外しを支援するために、ブロワ(9)は、好ましくは弾性または粘弾性の、支持部材(11)により保持することができ、この支持部材はブロワボックス(5)内に装着可能である。
【0038】
固体伝搬音分離を支援するために、ブロワ(9)は、同様に(粘)弾性の結合エレメント(12)によって前記支持部材(11)と接続されている。好ましくは支持部材(11)と結合エレメント(12)はワンピースに構成されている。これらは例えば1つのエラストマ材料から作製することができる。エラストマ材料は、これが弾性特性も粘性特性も有し、したがって振動エネルギーを吸収し、ないし熱に変換するという利点を有する。好ましい一実施形態によれば、結合エレメント(12)はブロワ(9)をフレーム形状に取り囲む。それぞれの適用要求に応じて、結合エレメント(12)はリング形状に構成することができる。好ましくは結合エレメント(12)は、ビードまたは例えばスピーカで使用される弾性の懸架エレメントに類似する同様の形態エレメントを有し、これにより比較的長い分離経路にわたって振動を良好に吸収することができる。ブロワ(9)は、(粘)弾性の結合エレメント(12)および/または支持部材(11)によって弾性に機器内部空間内に懸架されている。これにより、ケーシング(1,16,17)への固体伝搬音の伝達が効果的に回避される。付加的に、好ましくは結合エレメント(12)および/または支持部材(11)とワンピースに構成された弾性の間隔エレメント(27)を設けることができる。これらの間隔エレメントは、ブロワとケーシング(1,16,17)との接触を効果的に回避する。そのために間隔エレメントは、結合エレメント(12)および/または支持部材(11)の片側または両側に設けることができ、例えば垂直方向に伸張する。
【0039】
結合エレメント(12)を備える支持部材(11)は、好ましくは粘弾性材料、例えばシリコーンから作製される。
【0040】
支持部材(11)は、結合エレメント(12)の他に種々の空気開口部(11.1,11.2,11.3,11.4)を含み、これにより比較的に長い空気経路を達成し、したがってさらなる音響減衰を達成する。流れをさらに方向変換することも、結合エレメントによって達成することができる。
【0041】
支持部材(11)は、ケーシング(9)の収容およびブロワボックス(5)の機器内部空間(18)を通る、図5に示される所期のガスの流れに用いられる他、ケーシング部分(16)と(17)との間の密閉にも用いられる。支持部材(11)の外側輪郭は、ケーシング部分(16と17)の輪郭を受けて、そうすることでケーシング部分(16と17)の間の縁部領域を密閉する。好ましくは支持部材(11)は、ケーシング部分(16と17)の間に垂直に張架され、または敷設され、ケーシング部分(16と17)の固定によって(例えばネジ留めによって)互いに保持される。そして支持部材(11)の粘弾性特性によりケーシング部分(16と17)が密閉される。そのために支持部材は、例えば周回するまたは断続的な、例えばエッジとして構成されたパッキン(30)を有する。ケーシング部分(16と17)は、密閉エッジ(30)に対して相補形の密閉面(31,32)を有する。
【0042】
支持部材(11)は、空気流の偏向に用いられ、そのために開口部または切欠部(11.1,11.2,11.3,11.4)を有する。支持部材(11)は同様に音響減衰に用いられ、そのために少なくとも1つの開口部(11.4)にカラー(28)を有する。支持部材(11)は同様に音響分離とブロワの保持に用いられ、したがってエラストマ材料から作製されており、そのためにブロワを保持するための結合エレメント(12)を有する。さらに結合エレメント(12)はビードを有し、これにより固体伝搬音の伝達を緩和する。さらに支持部材(11)は、密閉面(31,32)を介してケーシング部分(16と17)を環境に対して密閉するために少なくとも1つのパッキン(30)を有し、かつ、吸気領域および高圧領域を、密閉面(34,35)を介して密閉するためのさらなるパッキン(33)を有する。支持部材はさらにワンピースに構成されており、締め付けまたは付勢またはネジ留めによってケーシング部分(16と17)の間に保持される。
【0043】
図4aは、支持部材(11)を別の視野から示す。ここではブロワ(9)の吸気領域(9’)と空気吹き出し部(9’’)が図示されている。付加的な発泡材エレメント(11’)がジャーナル(11’’)により支持部材(11)上に保持される。この発泡材エレメントは、空気方向変換および音響減衰に用いられる。
【0044】
図5は、ブロワボックス(5)を通る典型的な空気の流れを示す。Aにしたがい空気が後方部(16)にある吸気開口部を通して吸引され、Bにしたがい支持部材(11)内の開口部(11.1)を通って流れる。Cにしたがい空気の流れは、前方部(17)にあるチャンバ(17.1)により垂直に方向変換され、支持部材(11)にある開口部(11.2)を通って、領域(16.2)内のエアチャンバへと後方部(16)に戻される。そこで空気は対角方向に方位変換され、Dにしたがって開口部(11.3)を通って流れ、対角方向に方向変換され、さらに領域(9’)においてEにしたがいブロワ(9)に流入する。ブロワ(9)により搬送された空気は、前方部(17)にある領域(17.2)においてFにしたがいエア吹き出し部(9’’)を通ってブロワを去り、さらにGにしたがって支持部材(11)にある開口部(11.4)を通って流れる。Hにしたがって空気の流れは、領域(16.1)において後方部(16)に達し、そこの流量測定装置を通流し、Iにしたがって再度方向変換され、後方部(16)を去って音響減衰器または呼吸ガス加湿器に達する。
【0045】
図6は、図5による構成部材を、機械的構造を詳細に説明するために示すものであり、ここではガス流の流れ矢印はプロットされていない。支持部材(11)は好ましくは少なくとも1つの開口部または切欠部(11.1,11.2...)を有し、これは空気偏向に用いられる。支持部材(11)は好ましくは少なくとも1つの開口部または切欠部(11.4)を有し、これは隆起するカラー(28)によって少なくとも部分的に取り囲まれている。カラーは、切欠部(11.4)の片側または両側に設けることができる。カラー(28)は支持部材(11)とワンピースに連結されており、空気の偏向および空気伝搬音の減衰に用いられる。ブロワ(9)により搬送される空気は、空気吹き出し部(9’’)を通ってブロワを去る。空気吹き出し部の直後で加速された空気が、流れ方向変換器(29)により約90°方向変換され、カラー(28)を備える切欠部(11.4)の方向に案内される。
【0046】
図7は、前方部(17)にあるケーシング内部空間(18)を、装着された音響減衰材料(17’)、並びにエアチャンバ(17.1)および(17.2)と共に示す。
【0047】
本発明によれば、エアチャンバ(17.1)と(17.2)は、高圧領域(17.1)および低圧領域ないし吸気領域(17.2)である。対応して2つのケーシング部分(16,17)はそれぞれ、相応の高圧領域(16.1,17.1)と吸気領域(16.2,17.2)のチャンバ半分を有する。
【0048】
支持部材(11)は、高圧領域(16.1,17.1)と吸気領域(16.2,17.2)の分離のためにパッキン(33)を有する。このパッキンは、ケーシング部材(16と17)の間に垂直に張架され、ケーシング部分(16と17)の固定によって(例えばネジ留めによって)互いに保持される。ケーシング部分(16と17)は、前記パッキン(33)に対して相補形の密閉面(34,35)を有する。
【0049】
支持部材とケーシング部分(16,17)との相互作用で、互いに密閉された種々の空間が生じる。支持部材(11)は、高圧領域(16.1,17.1)を吸気領域(16.2,17.2)から密閉する。さらに支持部材(11)は、2つのケーシング部分(16,17)を分離する。したがって4つのチャンバが創出され、これらのチャンバは開口部(11.1,11.2,11.3,11.4)によって相互に連通し、空気を偏向する。
【0050】
図8の実施形態によれば、表示装置(2)はディスプレイ(13)として構成されている。ディスプレイ(13)はプレート形状に構成されており、フレーム形状のホルダエレメント(14)によってケーシング(5)内部に固定されている。好ましくはディスプレイ(13)がホルダエレメント(14)に装着され、クランプホルダ(14a)によってホルダエレメント(14)に固定されることが考えられる。これはケーシング内でディスプレイをより良く固定するのに役立つ。なぜならディスプレイはオーバヘッドにケーシングに取り付けられ、クランプホルダを備えないと落下することがあるからである。さらにホルダエレメント(14)は、ディスプレイ(13)の製造公差をクランプホルダ(14a)の種々の張力によって補償できるように構成されている。個別の部材が図9に示され、ディスプレイ(13)とホルダエレメント(14)から成る予め組み立てられたユニットが図10に示されている。予め組み立てられたユニットは、ネジ(15)を使用してケーシング(5)に対して付勢される。好ましくはディスプレイ(13)とケーシング(1a)との間にパッキン(14b)が配置されている。例えば他の製造業者の他のディスプレイ(13)を使用する場合には、この実施形態では、ホルダエレメント(14)だけをそのディスプレイに適合すれば良く、ケーシング構造はそのまま維持できる。
【0051】
例えばディスプレイは外側からもフロントユニットに装着することができ、その場合、フレームはこの前方部の切り離せない構成部分である。この実施形態では、前方部は、フロントフィルムまたは操作フィルムを付加的に使用して構成され、このフィルムも同様に前方からフロントエレメントに装着される。これによりディスプレイはケーシング部分とフロントフィルムとの間に収容され、保持される。さらなる好ましい一実施形態では、操作フィルムが、前方部の外から可視である部分を実質的に覆う。ディスプレイ上の前記接触感知性面とは択一的にまたは補充的に、さらなる操作機能をフロントフィルムに組み込むことができる。
【0052】
図11は、通信モジュールとして構成された補助エレメント(8)が呼吸器(1)に設けられた一実施形態を示す。この補助エレメント(8)は、ここでは睡眠ポリグラフ機器(PSG)(19)との接続に用いられる。PSG(19)の接続は、ケーブル(20)を使用して行うことができ、このケーブルはコネクタ(21)を介して補助エレメント(8)のインタフェース(22)と接続することができる。
【0053】
図12は、制御ボード(23)の上面図であり、この制御ボードは呼吸器(1)のフロントユニット(1a)内に配置することができる。制御ボード(23)は圧力測定を支援し、圧力を前方に送るために差込可能なチューブ(24)が設けられている。
【0054】
図示の実施例によれば、チューブ(24)は、第1の直径を備える第1のチューブ部分(25)と、第2の直径を備える第2のチューブ部分(26)とから成る。前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きい。
【0055】
第1のチューブ部分(25)と第2のチューブ部分(26)とを組み合わせることにより、とりわけ圧力信号中に存在する高調波をろ波除去する信号フィルタが提供される。チューブ部分(25,26)によりフィルタを機械的に実現する代わりに、基本的に、電気的、電子的またはソフトウエアに基づくフィルタリングも可能である。
図1
図2
図3
図3a
図4
図4a
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12