(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】構造物の設計方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/115 20060101AFI20230427BHJP
E21D 9/04 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
E02D3/115
E21D9/04 C
(21)【出願番号】P 2020040469
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智人
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 直俊
(72)【発明者】
【氏名】原田 慎
(72)【発明者】
【氏名】服部 佳文
(72)【発明者】
【氏名】末永 祐磨
(72)【発明者】
【氏名】日高 拳
(72)【発明者】
【氏名】庄司 和真
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143332(JP,A)
【文献】上田 保司, 生頼 孝博, 田村 武,"土の凍結線膨張率を取り込んだ3次元地盤変形解析",土木学会論文集C,日本,2007年09月,63巻,3号,p.835-847,https://doi.org/10.2208/jscejc.63.835
【文献】上田 保司,生瀬 孝博,田村 武,"凍土の変形係数に関する実験的研究",土木学会論文集C,Vol.63 No.2 ,日本,公益社団法人土木学会 ,2007年06月,p.577-589,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejc/63/2/63_2_577/_pdf/-char/ja
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00-3/115
E21D 1/00-9/04
G01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結工法に伴う凍結膨張圧が作用する構造物の設計方法であって、
構造物に作用する凍結膨張圧を数値解析により求める膨張圧算定ステップと、
前記構造物の構造モデルに前記凍結膨張圧を作用させて構造計算を行う構造計算ステップと、を備え、
前記膨張圧算定ステップでは、変形係数、ポアソン比および凍結膨張率を使用して計算を行い、
前記変形係数は、
前記構造物の施工予定箇所の周囲の地盤から採取された供試体に対して、氷点温度以下で、かつ、前記凍結工法の冷却温度以上の温度における凍土の圧縮試験により求めたものであることを特徴とする、構造物の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍土圧が作用する構造物の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下構造物を構築する場合に、周囲の地盤を冷媒により凍土化させることで、地盤を自立させる凍結工法が採用される場合がある。例えば、既設地下構造物へのトンネルの接合、トンネル同士の合流、道路トンネルの分岐または合流部における大断面地下空間の施工時において、周囲の地盤を凍結工法により自立させた状態で、構造物を形成する場合がある。
ところが、構造物の周囲の地盤を凍結させると、地盤の凍結膨張によって、構造物に影響が及ぶ恐れがある。そのため、凍結工法を併用する地下構造物の施工では、凍結工法により発生する地盤の凍結膨張圧を考慮して、構造物を設計する必要がある。
従来、構造物(トンネル等)に作用する凍結膨張圧の算定には、高志による無限円筒の式(以下、「円筒理論式」という。)が使用されている(例えば、特許文献1参照)。円筒理論式では、無限に広がる地盤中に単一の円筒状の凍土が成長していく場合の凍結膨張圧を算定できる。ところが、地下構造物を無限円筒で評価できるとは限らない。すなわち、無限円筒を対象とする円筒理論式では、限られた範囲内において凍土工法を用いて非円形の構造物を構築する場合に、適切に凍結膨張圧を算定することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、凍結工法を利用して地下構造物を構築する場合において、構造物の形状や周辺環境の条件に限定されることなく、適切な構造計算を可能とした構造物の設計方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明は、凍結工法に伴う凍結膨張圧が作用する構造物の設計方法であって、構造物に作用する凍結膨張圧を数値解析により求める膨張圧算定ステップと、前記構造物の構造モデルに前記凍結膨張圧を作用させて構造計算を行う構造計算ステップとを備えている。前記膨張圧算定ステップでは、変形係数、ポアソン比および凍結膨張率を使用して計算を行う。前記凍結膨張率は、凍上試験により求めたものであり、前記変形係数は、前記構造物の施工予定箇所の周囲の地盤から採取された供試体に対して、氷点温度以下で、かつ、前記凍結工法の冷却温度以上の温度、好ましくは凍土の平均温度、より好ましくは、氷点温度から氷点温度-3℃までの範囲内における凍土の圧縮試験により求めたものである。
かかる構造物の設計方法によれば、周辺地盤の凍結膨張時の変形係数や荷重により、数値解析(例えば、有限要素法、有限差分法、個別要素法等)により構造物に作用する凍結膨張圧を算出するため、構造物の形状に限定されることなく、適切な構造計算を行うことができる。
なお、変形係数は、構造物の施工予定箇所または当該施工予定箇所の周囲の地盤から採取された供試体に対して圧縮試験を実施して求めたものであってもよいし、過去に実施した圧縮試験により求められたものであってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の構造物の設計方法によれば、凍結工法を利用して地下構造物を構築する場合において、構造物の形状や周辺環境の条件に限定されることなく、構造物に作用する凍結膨張圧を利用した適切な構造計算を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る構造物の設計方法において使用するFDMモデル図の一例である。
【
図2】実施例1の実験供試体の概要を示す斜視図である。
【
図3】実施例1の実験供試体の概要を示す図であって、(a)は平面図、(b)は横断図である。
【
図4】実施例1のFDMモデルを示す斜視図である。
【
図5】実施例2の実験供試体の概要を示す斜視図である。
【
図6】実施例2の実験供試体の概要を示す図であって、(a)は平面図、(b)は横断図である。
【
図7】実施例2のFDMモデルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態では、凍結工法を利用して非円形断面のトンネル(地下構造物11)を構築する場合について説明する(
図1参照)。
図1は、本実施形態のFDMモデル10の一例を示す図である。地下構造物11は、三つの円を横方向に連設した形状を有している。地下構造物11には凍結工法に伴う凍結膨張圧が作用するため、地下構造物11の設計には、凍結膨張圧を考慮する必要がある。本実施形態の地下構造物11は、非円形断面のトンネルであるため、高志の円筒理論式を適用することができない。
本実施形態の構造物の設計方法は、地下構造物11に作用する凍結膨張圧を有限差分法により求める膨張圧算定ステップと、地下構造物11の構造モデルに凍結膨張圧を作用させて構造計算を行う構造計算ステップとを備えている。
【0009】
膨張圧算定ステップでは、
図1に示すように、FDMモデル10を作成した上で、解析を行う。本実施形態では、地下構造物(トンネル覆工)11をシェル要素でモデル化するとともに、地下構造物11の周辺地盤12をソリッド要素でモデル化する。なお、モデル化において、各要素の構成は限定されるものではなく、例えば、地下構造物11をソリッド要素により構成してもよい。FDMモデル10を作成する際には、地盤の応力状態、凍結管の配置、外部拘束条件を考慮した上で作成する。
膨張圧算定ステップでは、変形係数、ポアソン比および凍結膨張率を使用して有限差分法(FDM)により静的解析を行う。FDM解析は、三次元解析であってもよいし、二次元解析であってもよい。膨張率は、3方向のひずみまたは応力に換算して入力する。また、本実施形態では、有限差分法により解析を行うものとしたが、数値解析手法は有限差分法に限定されるものではなく、例えば、有限要素法や個別要素法により行ってもよい。
凍結膨張率は、地下構造物11の施工予定箇所または施工予定箇所の周囲の地盤から採取された供試体を用いた三軸凍上試験により求める。なお、凍結膨張率を求める際の凍上試験は、必ずしも三軸凍上試験である必要はない。凍土試験の方法は、供試体の土質等に応じて適宜決定すればよい。また、凍結膨張率は、現地サンプリングの供試体に対して試験を行って求めることが好ましいが、類似の土質条件の実績値から決定してもよいし、過去の実績データから決定してもよい。
また、変形係数は、地盤から採取された供試体を用いた凍土の一軸圧縮試験により求める。変形係数は、氷点付近の温度(本実施形態では-1℃)における凍土に対して求めた値とする。なお、変形係数を求める際の凍土の温度は-1℃に限定されるものではなく、氷点温度よりも低く、かつ、凍結工法の冷却温度よりも高い温度であることが好ましく、氷点温度から氷点温度-3℃までの範囲内であることがより好ましい。なお、変形係数は、必ずしも一軸圧縮試験により求める必要はない。変形係数を求めるための土質試験は、供試体の土質等に応じて適宜決定すればよい。また、変形係数は、現地サンプリングの供試体に対して圧縮試験を実施して求めることが好ましいが、例えば、過去に実施した圧縮試験から求めた値であってもよい。
【0010】
構造計算ステップでは、凍結工法に伴って作用する凍結膨張圧、凍結工法による地盤の隆起、融解後の地盤の沈下等による影響を考慮した演算を行う。
構造計算では、地下構造物11に作用する断面力(曲げモーメント、軸力、せん断力)を算出する。断面力は、外圧(土水圧)と凍結膨張圧が地下構造物11に作用するものとして算定を行う。
【0011】
本実施形態の構造物の設計方法によれば、周辺地盤の凍結膨張時の変形係数や荷重により、円筒理論式を用いることなく、有限差分法により構造物に作用する凍結膨張圧を算出するため、適切な構造計算を行うことができる。そのため、構造物の形状や長さ等に限定されることなく、地下構造物の構造計算を実施できる。
【0012】
次に、モデル実験による凍結膨張圧の計測結果とFDM解析結果による凍結膨張圧とを比較することで、FDM解析による凍結膨張圧の解析の妥当性を確認した結果について説明する。
<実施例1>
実施例1では、
図2に示すように、断面円形のシールドトンネル(構造物)から周辺地盤に向けて放射状に配管された凍結管24により、シールドトンネルの周辺地盤を凍結させるモデル実験を行い、凍土が形成される際の凍結膨張圧を測定した。また、このモデル実験と同条件のFDMモデルを作成し、FDM解析を行った。なお、
図2はモデル実験の実験供試体20の概要を示す斜視図である。
【0013】
図3の(a)に実験供試体20の平面図を示し、(b)に同断面図を示す。
実験供試体20は、外径φ1.6m、高さ(長さ)2.4mの円筒状の内側鋼材21と、内側鋼材21の外側に間隔をあけて配設された内径φ3.0m、高さ(長さ)2.4mの円筒状の外側鋼材22と、内側鋼材21と外側鋼材22との間の空間に充填された地盤23とを備えている。内側鋼材21および外側鋼材22は、同芯、かつ、中心軸が鉛直になるように配設した。内側鋼材21および外側鋼材22は、架台(図示せず)により支持する。内側鋼材21と外側鋼材22との間の空間の上下は、蓋板25と底板26とにより遮蔽する。蓋板25および底板26は、それぞれ内側鋼材21および外側鋼材22の上端または下端から0.2mの位置に設けた。地盤23は、サンドゲル(砂と樹脂製のゲル材との混合材)を内側鋼材21、外側鋼材22、蓋板25および底板26により囲まれた空間(高さ2.0mの円筒状の空間)に充填することで作成した。内側鋼材21の軸方向(上下方向)中央において、内側鋼材21と外側鋼材22との間に周方向に沿って所定の間隔をあけて複数の凍結管24を配管した。
また、内側鋼材21の外面と外側鋼材22の内面に、それぞれ土圧計27を設置して、地盤凍結時の凍結膨張圧を測定した。土圧計27は、中心軸を挟んで対向する位置に、それぞれ凍結管24の前後に2カ所ずつ設置した。すなわち、内側鋼材21と外側鋼材22には、それぞれ8個(計16個)の土圧計27を設置した。
【0014】
モデル実験では、凍結管24に冷媒を供給し、凍結管24を中心に凍結した凍土の厚さが1.0mとなった段階で凍結完了とした。
凍結完了時における内側鋼材21の凍結膨張圧は886kN/m2で、外側鋼材22の凍結膨張圧は1138kN/m2であった。
【0015】
FDM解析は、
図4に示すFDMモデル30に対して実施した。FDMモデル30は、直径1.6mの円筒状の内側構造体31をシェル要素でモデル化し、内側構造体31の外側に直径3mの外側構造体32をシェル要素でモデル化した。また、内側構造体31と外側構造体32との間の地盤33は、ソリッド要素でモデル化した。また、軸方向(高さ方向)中央部に凍結管34を配管するものとし、凍結管34を中心とした1mの範囲を凍土とし、凍土の前後50cmの範囲をそれぞれ未凍土とした。
凍結膨張率は、モデル実験で地盤23に用いたサンドゲルにより形成した供試体に対して三軸凍上試験を実施した結果により設定する。方向別の凍結膨張率を表1に示す。
また、凍土の変形係数は、モデル実験で地盤23に用いたサンドゲルにより形成した供試体を-5℃と-11℃に凍結させた状態で一軸圧縮試験を実施し、その結果を外挿して-1℃の変形係数を算定して求めた。また、未凍土の変形係数は、同じくサンドゲルで形成した供試体を0℃以上に保ちながら三軸圧縮強度試験を実施して求めた。凍土と未凍土の変形係数を含む地盤23の物性値を表2に示す。
さらに、内側構造体31と外側構造体32の物性値を表3に示す。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
表4に、モデル実験で得られた凍結膨張圧と、FDM解析で求めた凍結膨張圧をそれぞれ示す。
表4に示すように、モデル実験における凍結膨張圧は、内側鋼材21に対して886kN/m2、外側鋼材22に対して1138kN/m2であった。これに対し、FDM解析結果では、内側構造体31に対して2685kN/m2、外側構造体32に対して3300kN/m2となり、それぞれモデル実験に対して3倍程度の値であった。
したがって、FDM解析によれば、凍結膨張させる地盤要素の剛性を氷点付近とすることで、構造物に作用する凍結膨張圧を安全側に評価できることが確認できた。
【0020】
【0021】
<実施例2>
実施例2では、
図5に示すように、断面円形のシールドトンネル(構造物)に沿って配設された貼付凍結管28により、シールドトンネルの周辺地盤を凍結させるモデル実験を行い、凍土によって構造物に作用する凍結膨張圧を測定した。また、このモデル実験と同条件のFDMモデルを作成し、FDM解析を行った。なお、
図5は、モデル実験の実験供試体20の概要を示す斜視図である。
図6の(a)に実験供試体20の平面図を示し、(b)に同断面図を示す。
実験供試体20は、外径φ1.6m、長さ2.4mの円筒状の内側鋼材21と、内側鋼材21の外側に間隔をあけて配設された内径φ3.0m、長さ2.4mの円筒状の外側鋼材22と、内側鋼材21と外側鋼材22との間の空間に充填された地盤23とを備えている。内側鋼材21および外側鋼材22は、同芯、かつ、中心軸が鉛直になるように配設した。内側鋼材21および外側鋼材22は、架台により支持する。内側鋼材21と外側鋼材22との間の空間の上下は、蓋板25と底板26とにより遮蔽する。蓋板25および底板26は、それぞれ内側鋼材21および外側鋼材22の上端または下端から0.2mの位置に設けた。地盤23は、サンドゲル(砂と樹脂製のゲル材との混合材)を内側鋼材21、外側鋼材22、蓋板25および底板26により囲まれた空間(高さ2.0mの円筒状の空間)に充填して作成した。内側鋼材21の外面には、軸方向(高さ方向)中央部から上下にそれぞれ1.0m(計2.0m)の範囲に貼付凍結管28を周設した。
また、内側鋼材21の外面と外側鋼材22の内面に、それぞれ土圧計27を設置して、地盤凍結時の凍結膨張圧を測定した。土圧計27は、中心軸を挟んで対向する位置において、高さ方向中央から上下にそれぞれ0.16mの位置において、内側鋼材21の外面と外側鋼材22の内面にそれぞれ設置した。また、底板26の上面に、4個の土圧計27を等間隔に配置した。すなわち、内側鋼材21と外側鋼材22の間の空間には、合計12個の土圧計27を設置した。
【0022】
モデル実験では、貼付凍結管28に冷媒を供給し、内側鋼材21から外側鋼材22に向けて凍結させた凍土の厚さが0.6mに達した段階で凍結完了とした。
凍結完了時における内側鋼材21の凍結膨張圧は486kN/m2で、外側鋼材22の凍結膨張圧は1295kN/m2であった。
【0023】
FDM解析は、
図7に示すFDMモデル30に対して実施した。FDMモデル30は、直径1.6mの円筒状の内側構造体31をシェル要素でモデル化し、内側構造体31の外側に直径3mの外側構造体32をシェル要素でモデル化した。また、内側構造体31と外側構造体32との間の地盤33をソリッド要素でモデル化した。
凍結膨張率は、モデル実験で地盤23に用いたサンドゲルにより形成した供試体に対して三軸凍上試験を実施して求めた。方向別の凍結膨張率を表5に示す。
また、凍土の変形係数は、モデル実験で地盤23に用いたサンドゲルにより形成した供試体を-5℃と-11℃に凍結させた状態で一軸圧縮試験を実施し、その結果を外挿して-1℃の変形係数を算定して求めた。また、未凍土の変形係数は、同じくサンドゲルで形成した供試体を0℃以上に保ちながら三軸圧縮強度試験を実施して求めた。凍土と未凍土の変形係数を含む地盤23の物性値を表6に示す。
さらに、内側構造体31と外側構造体32の物性値を表7に示す。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
表8に、モデル実験で得られた凍結膨張圧とFDM解析で求めた凍結膨張圧をそれぞれ示す。
表8に示すように、モデル実験における内側鋼材21に対する凍結膨張圧は、486kN/m2であったのに対し、FDM解析結果では約2倍の926kN/m2であった。また、モデル実験における外側鋼材22に対する凍結膨張圧は1295kN/m2であったのに対し、FDM解析結果では約3倍の4110kN/m2であった。
したがって、FDM解析によれば、凍結膨張させる地盤要素の合成を氷点付近とすることで、構造物に作用する凍結膨張圧を安全側に評価できることが確認できた。
【0028】
【0029】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、地下構造物11の断面形状は限定されるものではない。また、地下構造物11は、トンネルに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
10 FDMモデル
11 地下構造物(構造物)
12 周辺地盤
20 実験供試体
21 内側鋼材
22 外側鋼材
23 地盤
30 FDMモデル
31 内側構造体
32 外側構造体
33 地盤