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特許7269918デュタステリドを含む固形製剤およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】デュタステリドを含む固形製剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/473 20060101AFI20230427BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230427BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230427BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230427BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230427BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230427BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A61K31/473
A61P13/08
A61P17/14
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/44
A61K9/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020512578
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 KR2018010091
(87)【国際公開番号】W WO2019045501
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】10-2017-0111953
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511248722
【氏名又は名称】ジェイダブリュ ファーマセウティカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】イ、スク
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ミン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウォン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ミン-ソク
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1055412(KR,B1)
【文献】Int. J. Mol. Sci.,2015年,Vol.16,p.10821-10833
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形製剤の製造方法であって、
デュタステリド、オイル、および界面活性剤を混合して自己乳化組成物を製造するステップと、
前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成された多孔性賦形剤を、有機溶媒とコーティング剤とを混合して製造されたコーティング溶液に混合後乾燥して、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤を得るステップと、
前記自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤を混合して、前記自己乳化組成物が前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤のポア内に収容された固形粒子を製造するステップとを含み、
前記自己乳化組成物が、デュタステリド0.5重量部、オイル30~110重量部、および界面活性剤30~110重量部を含有し、
前記固形製剤が、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング剤でコーティングされた多孔性賦形剤を25~185重量部の含有量で含有し、
前記コーティング剤は、多孔性賦形剤83.5重量部に対して10~40重量部で含まれることを特徴とする固形製剤の製造方法。
【請求項2】
前記多孔性賦形剤は、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硬質無水ケイ酸マグネシウム、セルロースパウダー、微結晶セルロース、タルク、二酸化ケイ素、乳糖、およびリン酸カルシウム類の中から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項に記載の固形製剤の製造方法。
【請求項3】
前記コーティング剤は、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアルコール(Poly vinyl alcohol)、およびポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol grafted copolymer)の中から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項に記載の固形製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュタステリドを含む固形製剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デュタステリドは、米国特許第5565467号に下記化学式1の構造を有し、良性前立腺肥大症および男性型脱毛症の治療に有用であると知られている。
【0003】
【化1】
【0004】
米国公開特許第2009/0069364号では、デュタステリドの平衡溶解度が、イソプロパノールで3.06g/100g、Capmul MCM NF(Capmul MCM NF)で2.75g/100g、トランスクトール(Transcutol)で2.41g/100g、プロピレングリコールで1.34g/100g、PEG400で0.39g/100g、エタノールで4.40g/100gであると開示されており、国際公開特許WO2006-099121号では、デュタステリドが水に溶けないと開示されている。すなわち、デュタステリドは、極めて難溶性の薬物として広く知られている。
【0005】
デュタステリドは、現在、軟質カプセル剤の商品名アヴォダルト(AVODART(登録商標))として市販されており、アヴォダルトは、0.5mgのデュタステリドを349.5mgのカプリル/カプリン酸のモノ-およびジ-グリセリドオイルとブチレーテッドヒドロキシトルエン(BHT)との混合物に溶解させて軟質カプセル内に充填した製品で、良性前立腺肥大症または男性型脱毛症の治療剤として使用される。
【0006】
しかし、軟質カプセル剤は、ゼラチン軟質カプセル中に液状の薬物を含む形態を有するので、高い温度で軟化しやすく、低い温度でゼラチンおよびオイルの硬化によって溶出が遅延するだけでなく、軟質カプセルの内部に充填される薬液組成物を製造し充填するための別途の生産施設が必要になるので、製造費用が非常に高いという欠点がある。また、軟質カプセル剤の特性上、製造、保管および移動などの過程でカプセルが破損する場合が発生するという欠点もあり、前記のような欠点を克服できる製剤に対する必要性が浮上している。
【0007】
このような理由から、多くの研究者らが軟質カプセル剤のアヴォダルトと同等またはそれ以上の薬物動力学的パラメータ(pharmacokinetic parameter)および生体利用率を示す固形製剤、特に錠剤を作ろうと努力しており、薬物の溶解度や溶出率が薬物の吸収および生体利用率を決定する非常に重要な要素であることに着目して、デュタステリドを含む固形粒子の溶解度を向上させるための多様な可溶化方法が試みられた。特に、デュタステリドをオイルに溶解させ、界面活性剤などを添加して製造された自己乳化組成物を所定の賦形剤(吸着剤)に吸着させて固形粒子化する研究が多数行われた。しかし、前記の方法で製造された固形粒子を用いて錠剤を作った場合、臨床試験で軟質カプセル剤のアヴォダルトより低い生体利用率を示し、薬物動力学的パラメータが異なる問題があった。
【0008】
これを克服するために研究を繰り返した結果、本発明者らは、アヴォダルト軟質カプセル内の薬液組成物に比べて溶解度を著しく上昇させながらもデュタステリドが均質に分布可能な固形粒子を開発することで、軟質カプセル剤のアヴォダルトと同等またはそれ以上の溶出率と生体利用率を示す固形製剤を開発できることを確認することにより、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5565467号
【文献】米国公開特許第2009/0069364号
【文献】国際公開特許WO2006-099121号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、アヴォダルトの軟質カプセル内の薬液組成物より著しく高い溶解度を有しながらもデュタステリドが均質に分布可能な固形粒子を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、本発明の固形粒子を用いてアヴォダルトと同等またはそれ以上の薬物動力学的パラメータおよび生体利用率を示す錠剤のような固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、固形製剤100重量部に対して、
デュタステリド0.1重量部~0.5重量部;オイル6重量部~110重量部;および界面活性剤6重量部~110重量部を含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤5重量部~185重量部を含む固形製剤を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記の課題を解決するために、デュタステリド、オイル、および界面活性剤を混合して自己乳化組成物を製造するステップと、
前記自己乳化組成物が収容される多数のポアが表面に形成された多孔性賦形剤をコーティング剤を用いてコーティングして、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤を得るステップと、
前記自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤を混合して、前記自己乳化組成物が前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤のポア内に収容された固形粒子を製造するステップとを含むことを特徴とする固形製剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の固形製剤は、固形製剤100重量部に対して、デュタステリド0.1重量部~0.5重量部;オイル6重量部~110重量部;および界面活性剤6重量部~110重量部を含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤5重量部~185重量部を含み、前記コーティング剤は、多孔性賦形剤の表面にコーティング膜を形成する役割を果たし、前記コーティング膜が多孔性賦形剤の表面のポア(pore)の深さを制御して微細表面が均質になり、多孔性賦形剤の表面の多数のポアのうち入口の狭いポアやサイズの微細なポアを塞ぐことで、入口の狭いポアやサイズの微細なポアに入った自己乳化組成物がポアの外部に放出されなかったり、放出遅延する場合を防止する効果を有する。水溶性ポリマーは、体液内で迅速な溶解で自己乳化組成物が迅速にエマルジョンを生成できるように補助する。したがって、デュタステリドを含む固形製剤の摂取後、デュタステリド固形製剤が体内の水溶性環境に入った時、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤の表面のコーティング剤が溶解しながら、前記コーティング賦形剤のポアに収容されていた自己乳化組成物が容易にポアから放出されて優れた溶出率が達成される効果を示し、前記固形製剤は、均一で迅速に放出されて優れた溶出率および生体利用率を有することから、錠剤またはハードカプセル剤のような剤形に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例2-1~2-3による固形粒子と、比較例1-3による固形粒子を撮影した写真である。
図2】本発明の実施例2-1~2-3による固形粒子と、比較例1-1および1-2による固形粒子の溶出率を比較したグラフである。
図3】本発明の実施例2-1~2-3による固形粒子と、比較例1-2による固形粒子の溶出率を比較したグラフである。
図4】本発明の実施例3による錠剤と、比較例2による市販製剤の生体利用率を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、固形製剤100重量部に対して、
デュタステリド0.1重量部~0.5重量部;オイル6重量部~110重量部;および界面活性剤6重量部~110重量部を含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤5重量部~185重量部を含む固形製剤を提供する。
【0017】
本発明の一実施例において、前記固形製剤は、デュタステリド0.1~0.5mg;オイル6mg~110mg;および界面活性剤6mg~110mgを含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤5mg~185mgを含むことができ、好ましくは、デュタステリド0.5mg;オイル30mg~110mg;および界面活性剤30mg~110mgを含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤25mg~185mgを含むことができる。より好ましくは、デュタステリド0.5mg;オイル30mg~75mg;および界面活性剤30mg~75mgを含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤93.5mg~123.5mgを含むことができる。
【0018】
本発明において、前記コーティング賦形剤は、多孔性賦形剤の表面がコーティング剤でコーティングされることを特徴とする。このようなコーティング賦形剤は、自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成された多孔性賦形剤をコーティング剤でコーティングして、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤を得るステップで得られ、例えば、有機溶媒とコーティング剤とを混合して製造されたコーティング溶液に多孔性賦形剤を混合後、乾燥することにより形成される。
【0019】
本発明において、前記自己乳化組成物は、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアルコール(Poly vinyl alcohol)、およびポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol grafted copolymer)の中から選択される1つ以上の水溶性ポリマーをさらに含むことができる。前記水溶性ポリマーは、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、およびポリビニルピロリドンの中から選択される1つ以上であってもよく、より好ましくは、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1つ以上であってもよく、最も好ましくは、ポリビニルピロリドンであってもよい。
【0020】
本発明において、前記自己乳化組成物は、水相に分散させると、エマルジョン粒子の平均サイズが15~180nm、サイズ分布は15~250nmの分布を有するデュタステリドの自己乳化エマルジョン組成物であってもよい。
【0021】
前記オイルは、デュタステリドを溶解させるための可溶化剤として、グリセリルカプリレート/カプレート(Glyceryl Caprylate/Caprate)、グリセロールトリカプリレート/カプレート(Glycerol Tricaprylate/Caprate)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Glyceryl Tricaprylate/Tricaprate)、プロピレングリコールモノカプリレート(Propylene glycol monocaprylate)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Propylene glycol Dicaprylate/Dicaprate)、プロピレングリコールモノラウレート(Propylene glycol monolaurate)、およびグリセリルモノオレエート(Glyceryl monooleate)の中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、グリセリルカプリレート/カプレート(Glyceryl Caprylate/Caprate)、グリセロールトリカプリレート/カプレート(Glycerol Tricaprylate/Caprate)、およびプロピレングリコールモノカプリレート(Propylene glycol monocaprylate)の中から選択される1つ以上であってもよい。
【0022】
前記界面活性剤は、オイル成分を水中で安定して乳化させて安定したエマルジョンを形成させる役割を果たし、前記界面活性剤は、ポリオキシルヒマシ油およびその誘導体類、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、トゥイーン(Tween)類、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、およびラウリル硫酸ナトリウムの中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、ポリオキシルヒマシ油およびその誘導体類、より好ましくは、ポリオキシル35ヒマシ油であってもよい。
【0023】
本発明において、前記多孔性賦形剤は、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硬質無水ケイ酸マグネシウム、セルロースパウダー、微結晶セルロース、タルク、二酸化ケイ素、乳糖、およびリン酸カルシウム類の中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、ケイ酸アルミン酸マグネシウムまたはケイ酸カルシウムのうちの1つ以上であってもよく、より好ましくは、ケイ酸アルミン酸マグネシウムであってもよい。
【0024】
本発明において、前記自己乳化組成物は、水相に分散させると、エマルジョン粒子の平均サイズが15~180nm、サイズ分布は15~250nmの分布を有することができ、好ましくは、前記自己乳化組成物は、水相に分散させると、エマルジョン粒子の平均サイズが15~100nm、サイズ分布は15~150nmの分布を有することができる。
【0025】
本発明において、前記固形製剤は、酸化および加水分解現象を抑制するために、ブチレーテッドヒドロキシアニソール、ブチレーテッドヒドロキシトルエン、およびジブチルヒドロキシトルエンの中から選択された1つ以上の安定化剤をさらに含むことができる。
【0026】
本発明において、前記固形製剤の剤形は、錠剤、ハードカプセル剤、圧縮コーティング錠、二重錠、または三重錠であってもよく、好ましくは、錠剤であってもよい。
【0027】
本発明において、前記コーティング剤は、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体の中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフト共重合体、およびポリビニルピロリドンの中から選択される1つ以上であってもよく、より好ましくは、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1つ以上であってもよく、最も好ましくは、ポリビニルピロリドンであってもよい。
【0028】
前記コーティング剤は、多孔性賦形剤の表面にコーティング膜を形成するが、このようなコーティング膜は、多孔性賦形剤の表面のポア(pore)の深さを制御し、微細径のポア(pore)を塞いで自己乳化組成物のポア(pore)の出入りを容易にする。
【0029】
本発明の一実施例において、前記固形製剤は、公知の1日投与量を考慮する時、デュタステリドを0.1~0.5mg含むことができる。
【0030】
本発明の一実施例において、前記固形製剤は、経口投与することが好ましい。
【0031】
本発明は、デュタステリド、オイル、および界面活性剤を混合して自己乳化組成物を製造するステップと、
前記自己乳化組成物が収容される多数のポアが表面に形成された多孔性賦形剤をコーティング剤を用いてコーティングして、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤を得るステップと、
前記自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤を混合して、前記自己乳化組成物が前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤のポア内に収容された固形粒子を製造するステップとを含むことを特徴とする固形製剤の製造方法を提供する。
【0032】
本発明において、前記オイルは、グリセリルカプリレート/カプレート(Glyceryl Caprylate/Caprate)、グリセロールトリカプリレート/カプレート(Glycerol Tricaprylate/Caprate)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Glyceryl Tricaprylate/Tricaprate)、プロピレングリコールモノカプリレート(Propylene glycol monocaprylate)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Propylene glycol Dicaprylate/Dicaprate)、プロピレングリコールモノラウレート(Propylene glycol monolaurate)、およびグリセリルモノオレエート(Glyceryl monooleate)の中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、グリセリルカプリレート/カプレート(Glyceryl Caprylate/Caprate)、グリセロールトリカプリレート/カプレート(Glycerol Tricaprylate/Caprate)、およびプロピレングリコールモノカプリレート(Propylene glycol monocaprylate)の中から選択される1つ以上であってもよい。
【0033】
本発明において、前記界面活性剤は、ポリオキシルヒマシ油およびその誘導体類、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、トゥイーン(Tween)類、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、およびラウリル硫酸ナトリウムの中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、ポリオキシルヒマシ油およびその誘導体類、より好ましくは、ポリオキシル35ヒマシ油(Polyoxyl 35 Castor oil)であってもよい。
【0034】
本発明において、前記コーティング剤は、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアルコール(Poly vinyl alcohol)、およびポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol grafted copolymer)の中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol grafted copolymer)、およびポリビニルピロリドンの中から選択される1つ以上であってもよく、より好ましくは、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1つ以上であってもよく、最も好ましくは、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)であってもよい。
【0035】
前記コーティング剤は、多孔性賦形剤の表面にコーティング膜を形成するが、このようなコーティング膜は、多孔性賦形剤の表面のポア(pore)の深さを制御し、微細径のポア(pore)を塞いで自己乳化組成物のポア(pore)の出入りを容易にする。
【0036】
前記多孔性賦形剤は4~130重量部含まれ、多孔性賦形剤が前記含有量範囲に含まれる場合、コーティング剤は1~55重量部含まれる。
【0037】
好ましい一例として、前記多孔性賦形剤は4~130mgが好ましく、前記多孔性賦形剤が4~130mgの時、前記コーティング剤は1~55mgが好ましい。特に、前記コーティング剤が55mgを超える場合には、自己乳化組成物の出入りが円滑な径を有するポアまでも過度に塞がれる現象が発生しうる。
【0038】
本発明において、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl Methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl Cellulose)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアルコール(Poly vinyl alcohol)、およびポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol grafted copolymer)の中から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol blockcopolymer)、およびポリビニルピロリドンの中から選択される1つ以上であってもよく、より好ましくは、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1つ以上であってもよく、最も好ましくは、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)であってもよい。前記コーティング剤と前記水溶性ポリマーによって体液内で迅速で均質な薬物の放出と優れた溶出率および生体利用率が達成される効果を示す。
【0039】
本発明において、前記デュタステリド、オイル、および界面活性剤を混合して自己乳化組成物を製造するステップは、グリセリルカプリレート/カプレート(Glyceryl Caprylate/Caprate)、グリセロールトリカプリレート/カプレート(Glycerol Tricaprylate/Caprate)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Glyceryl Tricaprylate/Tricaprate)、プロピレングリコールモノカプリレート(Propylene glycol monocaprylate)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Propylene glycol Dicaprylate/Dicaprate)、プロピレングリコールモノラウレート(Propylene glycol monolaurate)、およびグリセリルモノオレエート(Glyceryl monooleate)の中から選択された1つ以上のオイルを撹拌して混合するステップと、
前記撹拌されたオイルにデュタステリドを投入し混合して完全に溶解させるステップと、
デュタステリドが完全に溶解した撹拌されたオイルに、ポリオキシルヒマシ油およびその誘導体類、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、トゥイーン(Tween)類、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、およびラウリル硫酸ナトリウムの中から選択された1つ以上の界面活性剤を投入し再撹拌して混合するステップとを含むことができる。
【0040】
本発明において、前記撹拌されたオイルにデュタステリドを投入し混合して完全に溶解させるステップにおいて、前記撹拌されたオイルに、ブチレーテッドヒドロキシアニソール、ブチレーテッドヒドロキシトルエン、およびジブチルヒドロキシトルエンの中から選択された安定化剤をさらに投入して完全に溶解させることができる。
【実施例
【0041】
以下、本発明について、下記の実施例によってさらに具体的に説明する。
実施例
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0042】
実施例1.自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤の製造
市販中の多孔性賦形剤を下記表1に記載の成分および含有量の水溶性ポリマー(以下、「コーティング剤」)でコーティングすることにより、実施例1-1および実施例1-2の自己乳化組成物が収容されるポアが表面に形成され、コーティング賦形剤を製造した。
【0043】
具体的には、無水エタノールが入っている容器に、コーティング剤として水溶性ポリマーのポリビニルピロリドン(PVP K-25)を投入し混合してコーティング溶液を製造した。表面に多数のポア(Pore)が形成された多孔性賦形剤であるメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusilin US2)と前記コーティング溶液とを高速ミキサー(High speed mixer)で混合し、この混合物を約60℃で乾燥して、自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤を製造した。このように、自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤では、コーティング剤によって多孔性賦形剤の表面のポアのうち径の微細なポアは入口が閉鎖されるか、そのポア内部が埋められ、自己乳化組成物粒子の出入りが円滑な程度の径を有するポアはその内面がコーティングされた状態で維持される。ここで、前記径の微細なポアは、デュタステリドを含む自己乳化組成物と類似するか小さい程度の入口径または内径を有するものであって、自己乳化組成物の出入りが円滑でない程度の入口径または内径を有するポアをいう。これは、本発明に係る固形製剤を服用した患者の体内でデュタステリドを含む自己乳化組成物が多孔性賦形剤のポア内に閉じ込められて遅れて放出されるか、放出されないことを防止する。
【0044】
【表1】
【0045】
ここで、前記多孔性賦形剤としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの代わりに、ケイ酸カルシウム、硬質無水ケイ酸マグネシウム、セルロースパウダー、微結晶セルロース、タルク、二酸化ケイ素、乳糖、およびリン酸カルシウム類などが使用されてもよいし、前記コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Poly vinyl alcohol-Poly ethylene glycol grafted copolymer)、およびポリビニルピロリドンなどから選択される1つ以上が使用されてもよい。一方、前記多孔性賦形剤は20~130mgが好ましく、前記コーティング剤は5~55mgが好ましい。特に、前記コーティング剤が55mgを超える場合には、自己乳化組成物の出入りが円滑な径を有するポアまでも過度に塞がれる現象が発生しうる。
【0046】
実施例2.デュタステリドを含む固形粒子の製造
下記表2に記載の成分および含有量を用いてデュタステリドを含有する固形粒子を製造した。
【0047】
具体的には、オイルとして、グリセリルカプリレート/カプレート(Capmul MCM NF)およびグリセロールトリカプリレート/カプレート(Captex355)を容器に入れた後、撹拌してよく混合し;前記撹拌されたオイルに、一定時間の後、デュタステリドと、安定化剤としてブチレーテッドヒドロキシトルエンとを投入し混合して完全に溶解させ;デュタステリドが完全に溶解した撹拌されたオイルに、界面活性剤としてポリオキシル35ヒマシ油(Kolliphor EL)を投入し再撹拌してオイル溶液を製造した。無水エタノールが入っている容器に、水溶性ポリマーのポリビニルピロリドン(PVP K-25)を投入し混合して均質化溶液を製造し、この均質化溶液と前記オイル溶液とを混合して自己乳化組成物を製造した。このように製造された自己乳化組成物は、水相に分散させると、エマルジョン粒子の平均サイズが15~180nm、サイズ分布は15~250nmを有する。
【0048】
本発明では、オイルと界面活性剤の量を調節することにより、アヴォダルト薬液組成物以上の溶出率を示す固形粒子を達成することができ、追加的に、本実施例では、水溶性ポリマーがコーティング剤とともに相互作用して、自己乳化組成物がコーティング賦形剤のポアの出入りを容易にしながらも体内でエマルジョンの形成が迅速で均質に起こるようにして、迅速で均質な薬物の放出と優れた溶出率および生体利用率が達成されるようにする。
【0049】
前記自己乳化組成物を実施例1-1で製造した自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤と高速ミキサー内で混合した後、約60℃で乾燥して、実施例2-1~実施例2-3の自己乳化組成物が収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤の表面のポアに自己乳化組成物が収容された状態の固形粒子を製造した。
【0050】
【表2】
【0051】
一方、本発明者らは、界面活性剤および/またはオイルの含有量が過剰の場合には、固形粒子が互いにかたまって製剤の均質性の確保が難しいだけでなく、錠剤またはハードカプセル剤のような固形製剤への製造も容易でないことを確認することができた。このようなかたまり現象を防止しながらも所定以上の溶出率を示すための界面活性剤とオイルの好ましい含有量は、デュタステリド0.5mgを基準として、それぞれ30mg~110mgであった。
【0052】
前記界面活性剤としては、ポリオキシルヒマシ油だけでなく、その誘導体類、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、トゥイーン(Tween)類、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、およびラウリル硫酸ナトリウムなどが使用できる。
【0053】
前記オイルとしては、表2に使用されたもの以外に、グリセリルカプリレート/カプレート(Glyceryl Caprylate/Caprate)、グリセロールトリカプリレート/カプレート(Glycerol Tricaprylate/Caprate)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Glyceryl Tricaprylate/Tricaprate)、プロピレングリコールモノカプリレート(Propylene glycol monocaprylate)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Propylene glycol Dicaprylate/Dicaprate)、プロピレングリコールモノラウレート(Propylene glycol monolaurate)、およびグリセリルモノオレエート(Glyceryl monooleate)などが使用できる。
【0054】
実施例3.デュタステリド固形粒子を含む錠剤(固形製剤)の製造
前記実施例2-2の固形粒子を作った後、下記表3に記された外部賦形剤および滑沢剤を用いて錠剤を製造し、外部コーティング剤でコーティングした。
【0055】
具体的には、前記固形粒子と、外部賦形剤として、クロスポビドン、乳糖水和物、無水リン酸カルシウム、および微結晶セルロースをV型混合機(V-mixer)に投入し混合した。混合が終わったV型混合機の内部に、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを前記混合物に追加投入した後、最終混合して滑沢工程を完了した。前記混合された最終混合物をロータリー打錠機を用いて錠剤に製造した。この時、錠剤の硬度は7~9kpであり、摩損度試験結果は1%以下である。
【0056】
下記表3に記された外部コーティング剤の10倍数に相当する無水エタノールと精製水との混合液に撹拌して外部コーティング溶液を製造した。この時、無水エタノールと精製水との割合は8:2にした。用意された外部コーティング液で前記錠剤をコーティングして錠剤、すなわち、コーティング錠を製造した。
【0057】
【表3】
【0058】
比較例1.オイルと界面活性剤を本発明対比低量または過剰含有するデュタステリドを含む固形粒子
下記表4に記載の成分および含有量を用いてデュタステリドを含有する比較例1-1~1-3による固形粒子を製造した。オイルと界面活性剤を除いた成分の含有量と製造方法は、実施例2と同一である。
【0059】
【表4】
【0060】
比較例2.アヴォダルト
デュタステリド0.5mgに相当する現在市販中のアヴォダルト(AVODART(登録商標))0.5mgの軟質カプセルを、比較例2として用いた。
【0061】
実験例1.実施例2-1~2-3による固形粒子と、比較例1-3の固形粒子の外形の比較評価
実施例2-1~2-3および比較例1-3による固形粒子の外表面を確認するために、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)を用いて1000倍、3000倍の倍率で外部の様子を測定した。結果は下記図1の通りである。図1から確認できるように、オイルおよび界面活性剤の量が増加するにつれ、コーティング賦形剤の表面のポアが満たされて球に近くなることが確認され、比較例1-3のように、デュタステリド0.5mgを基準としてそれぞれ120mgのオイルと120mgの界面活性剤が一緒に入った場合、コーティング賦形剤間でかたまり現象が発生し、粒子形態が不均質に生成されるだけでなく、コーティング賦形剤のポアに入れなかった一部の自己乳化組成物によって固形製剤への製造が容易でないことを確認することができた。
【0062】
実験例2.実施例2の固形粒子のエマルジョンの平均粒子サイズおよび分布
実施例2-1~2-3による固形粒子を精製水50mLに分散させて形成されたエマルジョン粒子の平均サイズとサイズ分布をELS-Z Particle size analyzerで測定した。結果は下記表5の通りである。表5から確認できるように、本発明の実施例2-1~2-3による固形粒子は、含有されたオイルおよび界面活性剤などの含有量の変化にもエマルジョン粒子のサイズの差および分布の差が大きくなく均質であることを確認することができた。
【0063】
【表5】
【0064】
実験例3.実施例2-1~2-3と、比較例1-1および1-2による固形粒子の溶出率評価1
実施例2-1~2-3と比較例1-1および1-2により製造された固形粒子を、以下の条件で溶出実験を実施した。
【0065】
本発明の溶出性評価では、胃液条件であるpH1.2の媒質で、界面活性剤の添加なく溶出試験を実施した。大韓薬典に収載された溶出試験法のうちパドル法によって回転速度を50rpmにし、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、120分経過時点で溶出液を採取した後、0.45μmメンブレンフィルタを用いて濾過した液を検液にした。分析のために高性能液体クロマトグラフィー法を利用し、測定波長は210nmであった。
【0066】
その結果は図2に示した。図2から確認できるように、本発明に係る実施例2-1~2-3による固形粒子は、界面活性剤のない媒質条件でも溶出されることを確認することができたが、オイルおよび界面活性剤それぞれの量がデュタステリド0.5mgを基準として30mg未満の場合には、実施例2-1~2-3による固形粒子の溶出率より溶出率が低いことを確認することができた。
【0067】
実験例4.実施例2-1~2-3と、比較例1-2による固形粒子の溶出率評価2
実施例2-1~2-3および比較例1-2により製造された固形粒子を、以下の条件で溶出実験を実施した。
【0068】
実施例2-1~2-3の固形粒子と、比較例1-2の固形粒子の溶出率の差を確認するために、0.1N HClに2%ラウリル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)が溶けている溶出液900mlを用いて溶出実験を実施した。大韓薬典に収載された溶出試験法のうちパドル法によって回転速度を50rpmにし、5分、10分、15分、30分経過時点で溶出液を採取した後、0.45μmメンブレンフィルタを用いて濾過した液を検液にした。分析のために高性能液体クロマトグラフィー法を利用し、測定波長は210nmであった。
【0069】
その結果は図3および表6に示した。図3および表6から確認できるように、本発明の実施例2の固形粒子は88.6~94.9%の最終溶出率を示したのに対し、実施例2-1~2-3の固形粒子よりオイルおよび界面活性剤の含有量が低い比較例1-2の固形粒子は相対的に低い81.2%の最終溶出率を示した。
【0070】
【表6】
【0071】
実験例5.デュタステリドの生体利用率の比較評価
実施例3で製造された錠剤(固形製剤)および比較例2の市販製剤であるアヴォダルト(Avodart(登録商標))軟質カプセルを用いて経口投与時、ビーグル犬での生体利用率の比較試験を実施した。各群あたり、ビーグル犬5匹ずつ計10匹を使用し、前日16時間節食したビーグル犬に、それぞれ実施例3で製造された錠剤、または比較例2の市販製剤であるアヴォダルトをデュタステリドとして0.5mg/個体が投与されるように経口投与し、水10mLを飲ませた。経口投与後0、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、6、8、10、12、24、36、48、72時間経過時点で採血して、デュタステリドの薬物動力学的パラメータ(pharmacokinetic parameter)を分析した。最大血中濃度(Cmax)と最大血中濃度での時間(Tmax)は血中濃度グラフから直接求め、投与後72時間までの血中濃度曲線下面積(AUC)は台形公式により計算した。その結果を下記表6と図4に示した。表7と図4から確認できるように、実施例3による錠剤が、比較例2の市販製剤対比同等またはそれ以上の薬物動力学的パラメータを示し、個体間の偏差が小さいことを確認することができた。
【0072】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の固形製剤は、固形製剤100重量部に対して、デュタステリド0.1重量部~0.5重量部;オイル6重量部~110重量部;および界面活性剤6重量部~110重量部を含む自己乳化組成物と、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤5重量部~185重量部を含み、前記コーティング剤は、多孔性賦形剤の表面にコーティング膜を形成する役割を果たし、前記コーティング膜が多孔性賦形剤の表面のポア(pore)の深さを制御して微細表面が均質になり、多孔性賦形剤の表面の多数のポアのうち入口の狭いポアやサイズの微細なポアを塞ぐことで、入口の狭いポアやサイズの微細なポアに入った自己乳化組成物がポアの外部に放出されなかったり、放出遅延する場合を防止する効果を有する。水溶性ポリマーは、体液内で迅速な溶解で自己乳化組成物が迅速にエマルジョンを生成できるように補助する。したがって、デュタステリドを含む固形製剤の摂取後、デュタステリド固形製剤が体内の水溶性環境に入った時、前記自己乳化組成物の収容されるポアが表面に形成されたコーティング賦形剤の表面のコーティング剤が溶解しながら、前記コーティング賦形剤のポアに収容された自己乳化組成物が容易にポアから放出されて優れた溶出率が達成される効果を示し、前記固形製剤は、均一で迅速に放出されて優れた溶出率および生体利用率を有することから、錠剤またはハードカプセル剤のような剤形に適用可能である。
図1
図2
図3
図4