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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】サンプル分析のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20230427BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G01N35/04 E
G01N1/00 101F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020533617
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018066874
(87)【国際公開番号】W WO2019126545
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】1721385.1
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】305041083
【氏名又は名称】ダイアグノスティクス フォー ザ リアル ワールド, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スタンカス, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】チュー, アイヴァン ヒン-クワン
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0033543(US,A1)
【文献】特許第4825263(JP,B2)
【文献】実開平06-018280(JP,U)
【文献】米国特許第04308028(US,A)
【文献】特表2001-513897(JP,A)
【文献】特開2010-091448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 33/48-33/98
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを分析するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の開口部を有する、前記サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、
前記サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、前記分析チャンバは、第2の開口部を有し、前記サンプルチャンバは、前記分析チャンバに対して移動可能であり、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置されると、前記サンプルチャンバと前記分析チャンバとの間の連通を可能にする、分析チャンバと、
前記分析チャンバの中に配置され、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置されると、前記試験紙を前記サンプルチャンバの中に押勢するために十分な力を前記試験紙に対して及ぼすように構成されている、弾性付勢部材と
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記弾性付勢部材は、前記分析チャンバの壁と前記試験紙との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記分析チャンバの壁は、前記第2の開口部の反対の端壁である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記弾性付勢部材は、前記分析チャンバの断面形状に対応する断面形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記弾性付勢部材は、略長方形である断面形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記弾性付勢部材は、ばねである、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ばねの端部は、前記ばねの他のコイルより小さい直径を有し、前記試験紙の端部に接触し、前記ばねが十分な力で前記試験紙を押勢することが可能であることを確実にする、閉鎖コイルを備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記分析チャンバの内壁は、前記試験紙と同軸方向に延在するリブを備え、これは、前記分析チャンバの壁と前記試験紙との間の接触面積を低減させる、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記リブは、前記分析チャンバの長さの少なくとも3分の1にわたって延在する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記サンプルチャンバは、前記試験紙を、前記サンプルチャンバの中に、誘導部材の間に誘導するための、第1および第2の誘導部材を備え、各誘導部材の遊離端は、前記試験紙が前記誘導部材の遊離端の間に配置されると、前記試験紙の、その移動方向を中心とした前記サンプルチャンバの中への有意な回転を防止するように成形されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
各誘導部材は、前記試験紙が前記誘導部材の遊離端の間に配置されると、前記試験紙の有意な回転を防止するように十分にフレア状である遊離端を備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
サンプルを分析するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の開口部を有する、前記サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、
前記サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、第2の開口部を有する、分析チャンバと
を備え、
前記サンプルチャンバは、前記分析チャンバに対して移動可能であり、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置され、前記試験紙が前記サンプルチャンバに進入することを可能にすると、前記サンプルチャンバと前記分析チャンバとの間の連通を可能にし、前記分析チャンバの内壁は、前記試験紙と同軸方向に延在するリブを備え、これは、前記分析チャンバの壁と前記試験紙との間の接触面積を低減させる、デバイス。
【請求項13】
前記リブは、前記分析チャンバの長さの少なくとも3分の1にわたって延在する、請求項12に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル、より具体的には、試験紙を使用して捕捉および検出されるべき核酸を含む、サンプルを分析するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
第WO 2008/012550号および第WO 2014/140640号は、生物学的サンプルを処理するためのデバイス、システム、および方法を説明する。そのような方法によると、生物学的サンプルから抽出された核酸は、(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)等の手技、または転写ベースの増幅システム(TAS)等の等温増幅手技を使用して)特異的に増幅される。増幅された核酸は、試験紙を使用して捕捉および検出され、これは、視覚的に読取可能な結果を提供する。増幅された核酸の増幅、捕捉、および検出は、増幅デバイス内で生じる。
【0003】
第WO 2008/012550号に開示される増幅デバイスは、ユーザによって手動で動作され得、サンプルと、1つ以上の試薬とを受容するための入力ポートを有する、現場装置と、第1の開口部を有する、サンプルを受容するための、(第WO 2008/012550号において処理チャンバと称される)サンプルチャンバと、処理後にサンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、第2の開口部を有する、分析チャンバと、分析チャンバおよび入力ポートに対して移動可能であり、第1の開口部が、入力ポートと重複する関係で配置されると、サンプルチャンバと入力ポートとの間の連通を可能にし、第1の開口部が、第2の開口部と重複する関係で配置されると、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通を可能にする、サンプルチャンバと、サンプルの処理の間にサンプルチャンバおよび分析チャンバをシールするための、シール装置とを含み得る。
【0004】
代替として、増幅デバイスは、第WO 2014/140640号に説明されるシステムによって、自動的に動作されるように構成され得る。第WO 2014/140640号は、ピペットと、輸送装置と、空気ピストン装置と、ピペットを輸送装置に、かつ空気ピストン装置に結合させるための、アダプタとを備え、その中で、アダプタは、サンプルの処理の間の輸送装置を用いた移動のために、輸送装置および空気ピストン装置と除去可能に係合可能であり、輸送装置が、ピペットを位置付けるために制御可能であるように、かつ空気ピストン装置が、液体をピペットの中に引き込み、液体をピペットから排出するために制御可能であるように、ピペットに結合可能であり、その中で、アダプタは、ピペットと空気ピストン装置との間の液体またはエアロゾルの輸送を防止するための、フィルタを備える、自動化された生物学的サンプル処理システムを説明する。増幅デバイスは、第WO 2008/012550号に説明される、手動で動作される増幅デバイスに類似する構成を有してもよいが、第WO 2014/140640号に説明されるアダプタと係合するように構成されてもよい。
【0005】
第WO 2008/012550号および第WO 2014/140640号に説明される増幅デバイスに関して、重力が、試験紙をサンプルチャンバの中に導入するように作用する。サンプルチャンバ内の処理されたサンプル(増幅された核酸を含有する溶液)が、毛細管作用によって試験紙の上方に進行し、そこで、これは、試験紙の捕捉区域において捕捉および検出される。試験結果は、試験紙を視覚的に検査することによって読み取られ得る。第WO 2014/140640号に説明されるシステムでは、結果は、線走査カメラ等のカメラを使用して自動的に読み取られ、好適な画像処理アルゴリズムを使用して、試験紙上に特定の線が存在するかどうかを判定し得る。
【0006】
サンプルチャンバおよび分析チャンバが、相互と連通するときに、試験紙が、確実かつ正確にサンプルチャンバの中に導入されることが、重要である。これは、サンプル溶液の全ての毛細管輸送を確実にし、試験紙が、(視覚的または自動的にのいずれかで)検査され、試験結果を読み取り得ることを確実にするために必要であり、そうでなければ、試験は、無効にされ得る。試験結果が、カメラによって読み取られるべきである場合、試験紙は、カメラと正確に整合されなければならない。
【0007】
したがって、サンプルチャンバおよび分析チャンバが、相互と連通するときに、試験紙が、確実にサンプルチャンバの中に導入される、デバイスを提供する必要性が存在する。また、サンプルチャンバおよび分析チャンバが、相互と連通し、試験結果が、例えば、カメラまたは光学リーダによって自動的に読み取られることを可能にするときに、試験紙が、正しく整合された状態で、確実にサンプルチャンバの中に導入される、デバイスを提供する必要性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2008/012550号
【文献】国際公開第2014/140640号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ここで参照されるべき添付の独立請求項による、サンプルを分析するためのデバイスを提供する。本発明の随意の特徴が、従属請求項において定義される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、サンプルを分析するためのデバイスであって、第1の開口部を有する、サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、分析チャンバは、第2の開口部を有し、サンプルチャンバは、分析チャンバに対して移動可能であり、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置されると、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通を可能にする、分析チャンバと、分析チャンバの中に配置され、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置されると、試験紙をサンプルチャンバの中に押勢するために十分な力を試験紙に対して及ぼすように構成される、弾性付勢部材とを備える、デバイスが、提供される。
【0011】
弾性付勢部材は、サンプルチャンバが、分析チャンバと連通するように移動されると、試験紙が、サンプルチャンバに進入することを確実にし、それによって、試験の無効化のいかなるリスクも最小限にする。
【0012】
随意に、サンプルチャンバは、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置されると、分析チャンバに対して回転可能であり、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通を可能にする。
【0013】
随意に、弾性付勢部材は、分析チャンバの壁と試験紙との間に配置される。随意に、分析チャンバの壁は、第2の開口部の反対の端壁である。
【0014】
随意に、弾性付勢部材は、試験紙がサンプルチャンバに進入しているとき、試験紙を定位置に維持し、試験紙がサンプルチャンバから外に出ないように防止するために十分に拡張する。
【0015】
随意に、弾性付勢部材は、試験紙の端部に接触する。随意に、弾性付勢部材は、試験紙が、サンプルチャンバに進入しているとき、試験紙の端部との接触を留保するように十分に拡張し、それによって、試験紙を定位置に維持し、試験紙がサンプルチャンバから外に出ないように防止する。
【0016】
随意に、弾性付勢部材は、試験紙が、サンプルチャンバに進入しているとき、その圧縮された長さの少なくとも2倍、3倍、または4倍の長さまで拡張する。
【0017】
試験紙が、完全に分析チャンバ内に位置する、またはこれが、サンプルチャンバの中に押勢されるかのいずれかのときに、弾性付勢部材によって及ぼされる力は、試験紙の変形を引き起こすほど過度に強くあるべきではないことを理解されたい。
【0018】
随意に、弾性付勢部材は、分析チャンバの内部の断面形状に対応する、断面形状を有する。
【0019】
随意に、弾性付勢部材は、試験紙をサンプルチャンバの中に押勢するとき以外は、分析チャンバ内にぴったりと嵌合し、分析チャンバ内での弾性付勢部材の移動を最小限にする。例えば、嵌合は、弾性付勢部材の側方移動が、弾性付勢部材の幅の4分の1まで、または5分の1までに制限されるようなものであってもよい。
【0020】
随意に、分析器チャンバは、略長方形の内部断面を有し、弾性付勢部材は、略長方形である、断面形状を有する。
【0021】
随意に、弾性付勢部材は、金属、例えば、鋼、特に、ステンレス鋼から作製される。
【0022】
随意に、弾性付勢部材は、ばねである。随意に、弾性付勢部材は、圧縮ばねである。随意に、ばねは、螺旋ばね、例えば、螺旋圧縮ばねである。随意に、ばねは、閉鎖ばね、例えば、閉鎖螺旋圧縮ばねである。一実施例では、ばねは、略長方形の断面の閉鎖螺旋圧縮ばねである。
【0023】
随意に、試験紙の端部に接触する、ばねの端部は、ばねの他のコイルより小さい直径を有し、ばねの試験紙の端部との信頼性のある接触を確実にする、閉鎖コイルを備える。
【0024】
随意に、ばねは、1~10mmの幅を有する。随意に、ばねは、断面が、約2mm×5mmである。随意に、ばねは、0.05~2mmのワイヤ直径を有する。随意に、ばねは、1~10mmの圧縮された長さを有する。随意に、ばねは、5~20mmの拡張された長さを有する。例えば、ばねは、約3mmの圧縮された長さと、約10mmの拡張された長さとを有し得る。
【0025】
随意に、ばねは、試験紙が、サンプルチャンバに進入しているときに、その圧縮された長さの少なくとも2つの倍、3倍、または4倍の長さまで拡張する。
【0026】
随意に、分析チャンバの内壁は、試験紙と同軸方向に延在する、リブを備え、これは、分析チャンバの壁と試験紙との間の接触面積を低減させる。低減された接触面積は、試験紙と分析チャンバの壁との間の摩擦を低減させ、試験紙が、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置されると、確実にサンプルチャンバの中に押勢されることを確実にするために役立つ。
【0027】
本発明によると、サンプルを分析するためのデバイスであって、第1の開口部を有する、サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバとを備え、分析チャンバは、第2の開口部を有し、サンプルチャンバは、分析チャンバに対して移動可能であり、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置され、試験紙がサンプルチャンバに進入することを可能にすると、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通を可能にし、分析チャンバの内壁は、試験紙と同軸方向に延在するリブを備え、これは、分析チャンバの壁と試験紙との間の接触面積を低減させる、デバイスもまた、提供される。
【0028】
随意に、リブは、分析チャンバの長さの少なくとも3分の1、または少なくともその半分にわたって延在する。
【0029】
随意に、リブは、分析チャンバの閉鎖された端部から、分析チャンバに沿った経路の少なくとも3分の1、または少なくともその半分まで延在する。
【0030】
随意に、サンプルチャンバは、試験紙を、サンプルチャンバの中に、誘導部材の間に誘導するための、第1および第2の誘導部材を備え、各誘導部材の遊離端は、試験紙が誘導部材の遊離端の間に配置されると、試験紙の、その移動方向を中心としたサンプルチャンバの中への有意な回転を防止するように成形される。
【0031】
本発明によると、サンプルを分析するためのデバイスであって、第1の開口部を有する、サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバとを備え、分析チャンバは、第2の開口部を有し、サンプルチャンバは、分析チャンバに対して移動可能であり、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置され、試験紙がサンプルチャンバに進入することを可能にすると、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通を可能にし、試験紙を、サンプルチャンバの中に、誘導部材の間に誘導するための、第1および第2の誘導部材を備え、各誘導部材の遊離端は、試験紙が誘導部材の遊離端の間に配置されると、試験紙の、その移動方向を中心としたサンプルチャンバの中への有意な回転を防止するように成形される、デバイスがさらに、提供される。
【0032】
随意に、各誘導部材は、誘導部材の遊離端の間に配置される、試験紙の有意な回転を防止するように十分にフレア状である遊離端を備える。
【0033】
随意に、各誘導部材のフレア状の遊離端は、試験紙の幅の半分を上回る、好ましくは、その3分の2を上回る、幅を有する。
【0034】
誘導部材は、試験紙上の結果の読取のための、サンプルチャンバ内での試験紙の正しい整合を確実にする。
【0035】
随意に、誘導部材の遊離端は、相互に対向して配置され、試験紙がそれらの間を通過してサンプルチャンバの中に入ることを可能にするために十分に大きいが、それらの間に配置されているとき、試験紙の有意な回転を防止するために十分に小さい距離だけ、相互から離間される。
【0036】
用語「有意な回転を防止する」は、本明細書では、試験紙が、試験紙上の結果が、線走査カメラ等のカメラによって、または光学リーダによって読み取られないように防止するために十分に回転し得ないことを意味するために使用される。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、70°を上回って回転することはできない。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、60°を上回って回転することはできない。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、50°を上回って回転することはできない。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、40°を上回って回転することはできない。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、30°を上回って回転することはできない。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、20°を上回って回転することはできない。随意に、試験紙は、誘導部材の間に配置されると、10°を上回って回転することはできない。
【0037】
試験紙の有意な回転を防止するために、誘導部材の遊離端がフレア状である必要がある範囲は、試験紙の幅と、誘導部材の遊離端間の間隔と、試験紙上の結果が、線走査カメラ等のカメラによって、または光学リーダによって読み取られないように防止することなく許容され得る、試験紙の回転の程度とに依存するであろうことを理解されたい。
【0038】
随意に、各誘導部材は、サンプルチャンバの側壁からサンプルチャンバの閉鎖された端部に向かって内向きに延在する、突出部を備える。
【0039】
サンプルチャンバは、リングの側壁からサンプルチャンバの閉鎖された端部に向かって内向きに延在する、第1および第2の誘導部材を伴う、上側リングを備える、挿入体を備えてもよい。
【0040】
随意に、各誘導部材は、パドル形状である。
【0041】
随意に、本デバイスは、2つの誘導部材のみを備える。
【0042】
随意に、試験紙は、クロマトグラフィー試験紙である。用語「クロマトグラフィー試験紙」は、本明細書では、毛細管現象によって溶液を搬送することが可能である材料の任意の多孔性試験紙を意味するために使用される。クロマトグラフィー試験紙は、吸水性または非吸水性の側方流動が可能であり得るが、好ましくは、吸水性の側方流動が可能であり得る。用語「非吸水性の側方流動」は、その中で液体の分解または分散された成分の全てが、実質的に等しい率で、かつ「吸水性の側方流動」で生じるであろうような1つ以上の成分の優先的な留保とは対照的に、膜を側方に通した比較的に減損されていない流動を用いて搬送される、液体流動を意味する。吸水性の側方流動が可能である、材料は、紙、ニトロセルロース、およびナイロンを含む。好ましい実施例は、ニトロセルロースである。
【0043】
随意に、試験紙は、長方形の試験紙である。随意に、試験紙は、その幅より少なくとも2、3、4、または5倍長い。例えば、試験紙は、約5mm×55mmであってもよい。
【0044】
随意に、本発明のデバイスは、第WO 2008/012550号または第WO 2014/140640号に説明される、増幅デバイスの付加的特徴のいずれかを備えてもよい。
【0045】
随意に、本発明のデバイスは、
サンプルと、1つ以上の試薬とを受容するための入力ポートを有する、現場装置と、
第1の開口部を有する、サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、
サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、分析チャンバは、第2の開口部を有し、前記サンプルチャンバは、分析チャンバおよび入力ポートに対して移動可能であり、第1の開口部が入力ポートと重複する関係で配置されると、サンプルチャンバと入力ポートとの間の連通を可能にし、第1の開口部が第2の開口部と重複する関係で配置されると、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通を可能にする、分析チャンバと
を備えてもよい。
【0046】
随意に、本発明のデバイスはさらに、サンプルチャンバと分析チャンバとの間の連通全体を通して、サンプルチャンバおよび分析チャンバをシールするための、シール装置を備えてもよい。
【0047】
随意に、本発明のデバイスはさらに、処理試薬を含有するために好適な、1つ以上の試薬チャンバを含んでもよい。使用時、サンプルチャンバは、試薬チャンバと連通するように、次いで、分析チャンバと連通するように順次移動され、試薬とサンプルを混合し、その後、処理プロトコルまたは方法を実装する。随意に、本デバイスはまた、サンプルの処理全体を通して、サンプルチャンバおよび試薬チャンバまたは複数のチャンバをシールするための、シール装置を含む。
【0048】
随意に、本発明のデバイスはさらに、サンプルの処理に先立って入力ポートをシールするための、シールキャップを備えてもよい。
【0049】
随意に、本発明のデバイスは、第WO 2014/140640号に説明されるシステムによって自動的に動作されるように構成されてもよい。特に、本デバイスは、第WO 2014/140640号に説明されるアダプタと係合するように構成されてもよい。例えば、本デバイスは、サンプルの処理に先立って入力ポートをシールするためのシールキャップであって、アダプタと係合するように構成される、シールキャップを備えてもよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
サンプルを分析するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の開口部を有する、前記サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、
前記サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、前記分析チャンバは、第2の開口部を有し、前記サンプルチャンバは、前記分析チャンバに対して移動可能であり、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置されると、前記サンプルチャンバと前記分析チャンバとの間の連通を可能にする、分析チャンバと、
前記分析チャンバの中に配置され、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置されると、前記試験紙を前記サンプルチャンバの中に押勢するために十分な力を前記試験紙に対して及ぼすように構成されている、弾性付勢部材と
を備える、デバイス。
(項目2)
前記弾性付勢部材は、前記分析チャンバの壁と前記試験紙との間に配置されている、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記分析チャンバの壁は、前記第2の開口部の反対の端壁である、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記弾性付勢部材は、前記分析チャンバの断面形状に対応する断面形状を有する、前記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目5)
前記弾性付勢部材は、略長方形である断面形状を有する、前記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目6)
前記弾性付勢部材は、ばねである、前記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目7)
前記ばねの端部は、前記ばねの他のコイルより小さい直径を有し、前記試験紙の端部に接触し、前記ばねが十分な力で前記試験紙を押勢することが可能であることを確実にする、閉鎖コイルを備える、前記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目8)
前記分析チャンバの内壁は、前記試験紙と同軸方向に延在するリブを備え、これは、前記分析チャンバの壁と前記試験紙との間の接触面積を低減させる、前記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目9)
前記リブは、前記分析チャンバの長さの少なくとも3分の1にわたって延在する、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記サンプルチャンバは、前記試験紙を、前記サンプルチャンバの中に、誘導部材の間に誘導するための、第1および第2の誘導部材を備え、各誘導部材の遊離端は、前記試験紙が前記誘導部材の遊離端の間に配置されると、前記試験紙の、その移動方向を中心とした前記サンプルチャンバの中への有意な回転を防止するように成形されている、前記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目11)
各誘導部材は、前記試験紙が前記誘導部材の遊離端の間に配置されると、前記試験紙の有意な回転を防止するように十分にフレア状である遊離端を備える、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
サンプルを分析するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の開口部を有する、前記サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、
前記サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、第2の開口部を有する、分析チャンバと
を備え、
前記サンプルチャンバは、前記分析チャンバに対して移動可能であり、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置され、前記試験紙が前記サンプルチャンバに進入することを可能にすると、前記サンプルチャンバと前記分析チャンバとの間の連通を可能にし、前記サンプルチャンバは、前記試験紙を、前記サンプルチャンバの中に、前記誘導部材の間に誘導するための、第1および第2の誘導部材を備え、各誘導部材の遊離端は、前記試験紙が前記誘導部材の遊離端の間に配置されると、前記試験紙の、その移動方向を中心とした前記サンプルチャンバの中への有意な回転を防止するように成形されている、デバイス。
(項目13)
各誘導部材は、前記誘導部材の遊離端の間に配置された前記試験紙の有意な回転を防止するように十分にフレア状である、遊離端を備える、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
各誘導部材の前記フレア状の遊離端は、前記試験紙の幅の半分を上回る、好ましくは、その3分の2を上回る、幅を有する、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
2つの誘導部材のみが存在する、項目12から14のいずれかに記載のデバイス。
(項目16)
前記誘導部材は、パドル形状である、項目12から15のいずれかに記載のデバイス。
(項目17)
前記誘導部材は、前記試験紙が前記誘導部材の間に配置されると、前記試験紙の50°を上回る回転を防止する、項目12から16のいずれかに記載のデバイス。
(項目18)
サンプルを分析するためのデバイスであって、前記デバイスは、
第1の開口部を有する、前記サンプルを受容するためのサンプルチャンバと、
前記サンプルを分析するための試験紙を含有する、分析チャンバであって、第2の開口部を有する、分析チャンバと
を備え、
前記サンプルチャンバは、前記分析チャンバに対して移動可能であり、前記第1の開口部が前記第2の開口部と重複する関係で配置され、前記試験紙が前記サンプルチャンバに進入することを可能にすると、前記サンプルチャンバと前記分析チャンバとの間の連通を可能にし、前記分析チャンバの内壁は、前記試験紙と同軸方向に延在するリブを備え、これは、前記分析チャンバの壁と前記試験紙との間の接触面積を低減させる、デバイス。
(項目19)
前記リブは、前記分析チャンバの長さの少なくとも3分の1にわたって延在する、項目18に記載のデバイス。
【0050】
本発明の実施形態は、ここで、付随の図面を参照して、実施例としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1aは、試験紙が、完全に本デバイスの分析チャンバ内に位置する構成における、本発明のある実施形態による、デバイスの側面図を示し、図1bは、試験紙が、サンプルチャンバの中に押勢されている構成における、図1aに示されるデバイスの側面図を示す。
図2図2は、図1aに示されるデバイスの斜視図を示す。
図3図3は、図1に示されるデバイスの分析チャンバの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1-3に示されるデバイスは、第WO 2014/140640号の38ページの24行目から39ページの8行目において、図11を参照して説明されるものと同一のタイプのデバイスである。本デバイスは、サンプル処理プロトコルの一部として、第WO 2014/140640号の図1および2を参照して説明されるタイプの自動化されたシステムとの併用に好適である。本明細書に説明される実施形態のデバイスは、分析チャンバ内への螺旋圧縮ばね、およびサンプルチャンバ(サンプルチャンバは、第WO 2014/140640号に説明されるデバイスにおいて処理チャンバと称される)内への第1および第2の誘導部材の組み込みによって、第WO2014/140640号の図11を参照して説明されるデバイスと異なる。本明細書の図1-3は、サンプルの処理に先立って入力ポートをシールするためのシールキャップであって、アダプタと係合するように構成される、シールキャップを除去するように単純化されている。本明細書の図1-3に示されるデバイスは、下記により詳細に説明される。
【0053】
デバイス10は、両方とも、成型可能なプラスチック材料から形成される、上側部分12と、下側部分14とを備える。上側および下側部分は両方とも、円形であり、相互と回転可能に係合可能である。サンプルチャンバ16は、下側部分の中に形成される。入力ポート18および分析チャンバ20は、上側部分の中に形成される。サンプルチャンバ16は、それを通してサンプルおよび試薬(ならびに試験紙)が、サンプルチャンバに進入し得る、上向きに面する開口部を有する。
【0054】
分析チャンバ20は、略長方形の内部断面の、細長いチャンバであり、試験紙22を含有する。分析チャンバは、透明であり、試験紙が、視覚的に検査される、または光学リーダによって読み取られることを可能にする。分析チャンバは、それを通して試験紙が、通過し得る、下向きに面する開口部を有する。(図に図式的に示される)螺旋圧縮ばね24が、分析チャンバの中に、分析チャンバの閉鎖された上端26と試験紙の上端28との間に配置される。図2および3に見られるように、螺旋圧縮ばねは、断面が略長方形であり(すなわち、螺旋ばねのコイルが、略長方形の経路を辿る)、分析チャンバの閉鎖された上端内にぴったりと嵌合する。ばねの下端における閉鎖コイル29が、ばねの他のコイルより小さい直径を有し、試験紙の上部に沿ったほぼ中間において、試験紙の上端に接触する。これは、信頼性のある接触が、ばねの下端と試験紙の上端との間で行われることを確実にする。
【0055】
図1aは、下側部分14によって分析チャンバの中に保持される、試験紙を示す。本初期位置において、螺旋圧縮ばね24は、分析チャンバ20の閉鎖された端部26と試験紙22の上端28との間で圧縮される。図2および3(螺旋ばねが、その圧縮された位置にある)に見られるように、分析チャンバの内部側壁30は、試験紙と同軸方向に延在する、リブ32を備える。リブは、分析チャンバの閉鎖された上端から、分析チャンバの下方のほぼ中間まで延在する。リブ32は、分析チャンバの側壁と試験紙の接触面積を低減させる。
【0056】
サンプルチャンバは、上側リング36と、第1(38)および第2(40)の、可撓性であるが、弾性の誘導部材とを備える、挿入体34を備える。各誘導部材38、40は、上側リング36の側壁からサンプルチャンバの閉鎖された下端42に向かって内向きに延在する、突出部を備える。各突出部の遊離端は、各誘導部材が、パドル形状であるように、フレア状である。誘導部材のフレア状の遊離端は、相互に対向して配置され、試験紙の下端44が、それらの間を通過することを可能にするように十分遠くに離間されているが、誘導部材の遊離端の間に配置されると、サンプルチャンバ内での試験紙の有意な回転を防止するように、ともに十分に近接している。
【0057】
いったんサンプルが、処理され、特異的な増幅された核酸の存在に関してサンプルを試験することが所望されると、上側部分は、下側部分に対して、サンプルチャンバの開口部が、分析チャンバの開口部と重複する関係にある位置まで回転される。試験紙は、試験紙の下端が、サンプルチャンバ内の処理されたサンプルと接触するように、螺旋ばねによってサンプルチャンバの中に押勢される。図1bに示される本位置では、螺旋ばねは、拡張されている。螺旋ばねの下端は、試験紙の上端と接触したままであり、試験紙をサンプルチャンバ内の定位置に保定する。螺旋ばねによって試験紙に対して及ぼされる力は、サンプルチャンバの開口部が、分析チャンバの開口部と重複する関係にあるとき、試験紙をサンプルチャンバの中に押勢するために十分であるが、螺旋ばねによって及ぼされる力による試験紙の、その圧縮または拡張された、いずれかの位置における変形を引き起こすほど強くはない。リブ32は、試験紙と分析チャンバの側壁の接触面積を低減させ、それによって、試験紙のサンプルチャンバの中への移動に対して作用する摩擦力を低減させる。
【0058】
試験紙が、螺旋ばねの作用によってサンプルチャンバの中に押勢されるにつれて、試験紙の下端は、サンプルチャンバ内のパドル形状の誘導部材の間を通過する。誘導部材は、試験紙をサンプルチャンバ内の定位置に誘導し、誘導部材のフレア状の端部は、試験紙が、いったん定位置に置かれた状態になると、これが、試験紙上の結果を読み取ることが可能である、光学リーダ(図示せず)と正しく整合された状態にあるように、有意に回転しないことを確実にする。ばねによって及ぼされる力は、試験紙の下端44が、サンプルチャンバ内のサンプルの全てが、毛細管作用によって試験紙の上方に毛細管輸送されるように、サンプルチャンバの底部に接触することを確実にする。試験紙は、特定の核酸の存在に敏感であり、これが、その核酸を含有するサンプルに接触した場合、試験紙上に線等の可視インジケーションを提供する。
図1a
図1b
図2
図3