(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】電気機械の固定子又はロータ用の巻き線棒の巻き線セットをプレアセンブリするための装置と方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20230427BHJP
H02K 15/085 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
H02K15/04 A
H02K15/085
(21)【出願番号】P 2020540424
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2019053273
(87)【国際公開番号】W WO2019207448
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】102018000004780
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512227384
【氏名又は名称】テクノマティック・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】TECNOMATIC S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・ルッギエリ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・タンクレディ
(72)【発明者】
【氏名】マウリリオ・ミクッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ・ラナッリ
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-278920(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0181897(US,A1)
【文献】特開2003-134751(JP,A)
【文献】特開2003-199304(JP,A)
【文献】特許第3975891(JP,B2)
【文献】特開2012-151996(JP,A)
【文献】特開2004-072839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/04
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線アセンブリ(290)をプレアセンブリするための装置(200)であって、
前記装置は、複数の基本導体(255)を含んでおり、
それぞれの前記基本導体(255)は、2つの脚部(255a,255b)を備えており、
前記2つの脚部は、2つの自由端(255aE,255bE)を備える略「U」字形状を形成するように、非円形断面と、前記2つの脚部の間における橋状接続部(255c)とを有しており、
前記装置(200)は、
少なくとも1つのリング(220,230)を備えており、
前記リングは、中心軸(X)に沿って伸びて、複数のスロット(222,232)を備えており、
前記複数のスロット(222,232)のそれぞれのスロットは、前記中心軸(X)と実質的に平行な深さ方向に沿って、且つ前記中心軸(X)に関して径方向に沿う開口部を形成しており、
前記それぞれのスロットは、前記深さ方向に沿って、1つ以上の前記基本導体(255)の少なくとも1つの自由端(255aE,255bE)を受容するように構成されており、
前記中心軸(X)に沿う前記少なくとも1つのリング(220,230)は、前記少なくとも1つの自由端(255aE,255bE)の第1挿入面、及び前記第1挿入面に対向する第2
出口面を有しており、
前記装置(200)は、
少なくとも1つのカムブロック(270,280)が、前記少なくとも1つのリング(220,230)の前記第1挿入面又は前記第2出口面のいずれかに対向して配置されており、
前記少なくとも1つのカムブロック(270,280)は、使用するとき、前記中心軸(X)と実質的に平行な方向の少なくとも一部において、前記2つの脚部(255a,255b)の一方と交差するように構成されている少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)を有しており、
前記少なくとも1つのリング(220,230)は、少なくとも一部において、前記複数のスロット(222,232)のそれぞれのスロットに沿う前記中心軸(X)と実質的に平行な方向に
前記2つの脚部(255a,255b)の一方と同時に交差するように構成されており、
自由円形
中心空間(295)が前記カムブロック(270,280)に形成されており、
前記自由円形
中心空間
(295)は、前記中心軸(X)と同心であり、且つ前記2つの脚部(255a,255b)と交差するように構成されており、
前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)の少なくとも1つの端部は開いており、
前記自由円形
中心空間(295)と前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)は
、前記カムブロックに関して前記少なくとも1つのリング(220,230)の相対的回転により、前記カムブロック(270,280)と前記少なくとも1つのリング(220,230)にそれぞれの前記2つの脚部(255a,255b)と共にそれぞれ挿入されている前記基本導体(255)が、前記2つの脚部(255a,255b)の一方と実質的に平行な軸に関して、最終位置に向けて移動して回転するように構成されており、
両方の前記脚部(255a,255b)が前記自由円形
中心空間(295)と交差する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数のスロット(222,232)の前記スロットは、前記少なくとも1つのリング(220,230)の開口部を通り、
前記第2
出口面は、前記少なくとも1つの自由端(255aE,255bE)の出口面であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリング(220,230)のそれぞれの前記スロット(222,232)は、第1スロット(222)及び第2スロット(232)により構成されており、複数の前記第1スロット(222)及び前記第2スロット(232)を形成しており、
前記第1スロット及び前記第2スロットは、それぞれ、前記中心軸(X)と実質的に平行な深さ方向に沿って、且つ前記中心軸(X)に関して径方向に沿う開口部を形成しており、
前記第1スロット及び前記第2スロットは、それぞれ、径方向に対向する開口端、及び反対側の閉口端を有しており、
前記第1スロット(222)及び前記第2スロット(232)は、前記深さ方向に沿って、1つ以上の前記基本導体(255)の前記少なくとも1つの自由端(255aE,255bE)を受容するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリング(220,230)は、
前記第2スロット(232)を示す、より小さな径の内側リング(230)と、
前記第1スロット(222)を示す、より大きな径の外側リング(220)とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
複数の前記第1スロット(222)及び/又は前記第2スロット(232)は、複数の径方向に格納できる挿入部(221)に形成されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
複数の前記径方向に格納できる挿入部(221)は、それぞれ、歯止め(223)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項4
に係る発明に基づいて、
前記径方向に格納できる挿入部は、より大きな径の前記外側リング(220)に設けられていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、
前記リング(220,230)の少なくとも1つの周囲面と、
前記周囲面の格納装置(210)とを備えており、
少なくとも1つの前記周囲面は、前記第1挿入面及び前記第2出口面と繋がっていることを特徴とする、請求項1~7の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記格納装置(210)は、前記少なくとも1つのリング(220,230)の前記周囲面に沿って格納を行う格納リング(210)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記カムブロック(270,280)は、内側ブロック(270)と外側ブロック(280)を備えて、
前記外側ブロックは、前記内側ブロック(270)を囲み、且つ径方向に対向しており、
前記内側ブロック(270)は少なくとも1つの内側エンベロープガイド(271)を有して、及び/又は、
前記外側ブロック(280)は
、前記2つの脚部が、少なくとも一部において、前記少なくとも1つのリング(220,230)と同時に交差する場合、少なくとも一部において、前記2つの脚部(255a,255b)のいずれかと交差するように構成されている少なくとも1つの外側エンベロープガイド(281)を有しており、
前記自由円形
中心空間(295)は前記内側ブロック(270)と前記外側ブロック(280)との間に形成されていることを特徴とする、請求項1~9の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記外側エンベロープガイド(281)は、前記リング(220,230)の相対的回転により、外側から前記自由円形
中心空間(295)に向けて前記外側エンベロープガイド(281)に挿入される1つ以上の基本連結部(255)の前記脚部(255b,255a)を取り込むように構成されており、
前記内側エンベロープガイド(271)は、前記少なくとも1つのリング(220,230)の相対的回転により、前記自由円形
中心空間(295)に向けて前記内側エンベロープガイド(271)に挿入される1つ以上の基本連結部(255)の前記脚部(255b,255a)を取り込むように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記中心軸(X)の第1の高さにおいて、前記中心軸(X)に関して径方向に伸びて、第1の一連のエンベロープガイド、及び第1の径方向の大きさを有する第1自由円形
中心空間(295)を備える第1カムブロックがあり、
前記中心軸(X)の第2の高さにおいて、前記中心軸(X)に関して径方向に伸びて、第2の一連のエンベロープガイド、及び第2の径方向の大きさを有する第2自由円形
中心空間(295)を備える第2カムブロックがあり、
前記第1の高さは前記第2の高さと異なり、
前記第1の径方向の大きさは前記第2の径方向の大きさと異なり、
前記第1カムブロックと前記第2カムブロックは
、前記複数のスロット(222,232)に関して同時且つ同期して回転する、又は固定し続けるように構成されていることを特徴とする、請求項1~11の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記第1の一連のエンベロープガイドと前記第2の一連のエンベロープガイドの間の比率、及び前記第1の径方向の大きさと前記第2の径方向の大きさの比率は、それぞれ、約1~2であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項4
に係る発明に基づいて、
前記内側リング(220)及び/又は前記外側リング(230)は、前記少なくとも1つのカムブロック(270,280)に関して一体的且つ反対側の方向に、又は前記少なくとも1つのカムブロック(270,280)に関して一方の方向に一方を、且つ反対側の方向に他方を回転するように構成されていることを特徴とする、請求項4又は請求項5~13の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記自由円形
中心空間(295)の中線上を進む分離パーティション(265)があり、
前記分離パーティション(265)は、例えば、予め形成された巻き取りアセンブリに対応するような厚みを有することを特徴とする、請求項1~14の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)は、前記2つの脚部の一方が、他方よりも、前記中心軸(X)に関して近くなるように、また前記基本導体の前記2つの脚部が、前記中心軸から最も離れた少なくとも前記脚部の自由空間に接近する動作に従って、少なくとも1組の前記基本導体(255)に対して前記自由円形
中心空間(295)に入れられるように構成されている、
前記基本導体(255)は、前記自由円形
中心空間(295)の内側に形成される前記少なくとも1つの巻き線アセンブリ(290)と一体となっているオブザーバの視点から見えるように前記2つの脚部を構成して、且つ一致する前記脚部のそれぞれに対して等しい運動経路と共に、前記脚部の間の等しい角度幅を有することを特徴とする、請求項1~15の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記装置(200)は、少なくとも1つの巻き線セットを組み立てるように構成されており、
前記巻き線セットは、前記基本導体(255)に加えて、
Iピンの第1端部と第2端部を有する単一の脚部により構成されている1組のIピン、及び/又は、
いずれかの一方の端部において橋状に接続されている3つ以上の脚部を備える1組のWピンを含んでおり、
前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)は
、少なくとも一部において、前記中心軸(X)と実質的に平行な方向に、前記第1端部又は前記第2端部から始まる前記Iピンの単一の脚部、及び/又は前記3つ以上の脚部の少なくとも1つの脚部と交差するように構成されており、
前記少なくとも1つのリング(220,230)と、前記単一の脚部
又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部
とは、
前記単一の脚部又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部が、同時に、少なくとも一部において、前記複数のスロット(222,232)のそれぞれのスロットに沿って、前記中心軸(X)と実質的に平行な方向に、前記少なくとも1つのリング(220,230)と交差
するように構成されており、
前記自由円形
中心空間(295)は、前記単一の脚部、又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部と交差するように構成されており、
前記自由円形
中心空間(295)と前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)は
、前記少なくとも1つのリング(220,230)の相対的回転により、前記単一の脚部、又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部により挿入される前記Iピン又は前記Wピンが、それぞれ、前記カムブロック(270,280)及び前記リング(220,230)において、最終位置に向けて動いて、前記単一の脚部、又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部が前記自由円形
中心空間(295)と交差するように構成されていることを特徴とする、請求項1~16の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項18】
複数のエンベロープガイド(481,481)が設けられており、
前記複数のエンベロープガイド(481,481)の内の少なくとも2つのエンベロープガイドが、前記自由円形
中心空間(295)により囲まれている円周の内側、又は前記円周の外側にあることを特徴とする、請求項1~17の少なくともいずれかに記載の装置。
【請求項19】
電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線アセンブリ(290)を完全又は部分的にプレアセンブリするための方法であって、
前記方法は、複数の基本導体(255)を含んでおり、
前記複数の基本導体(255)は、それぞれ、2つの脚部(255a,255b)を備えており、
前記2つの脚部は、2つの自由端(255aE,255bE)を備える略「U」字形状を形成するように、非円形断面と、前記2つの脚部の間における橋状接続部(255c)とを有しており、
前記方法は、
スロット間の一定又は可変ピッチを有する少なくとも1つのリング(220,230)と共に、請求項1~18の
少なくともいずれかに記載の発明の電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線セット(290)をプレアセンブリするための第1の装置を与えるステップS1であって、
少なくとも1つのカムブロック(270,280)が、少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)と自由円形
中心空間(295)を有するステップS1と、
初期位置に向かう前記少なくとも1つのカムブロックに関して、両方の前記脚部(255b,255a)をそれぞれの前記エンベロープガイド(271,281)に挿入できるように、又は前記2つの脚部の一方を前記エンベロープガイド(271,281)に、且つ前記2つの脚部(255b,255a)の異なる脚部を前記自由円形
中心空間(295)に挿入できるように、前記少なくとも1つのリング(220,230)の全体又は一部を回転するステップS2と、
前記基本導体(255)の前記2つの脚部(255a,255b)を、前記少なくとも1つのリング(220,230)と異なるそれぞれのスロット(222,232)に、同時に前記エンベロープガイド(271,281)の一方の脚部、及び前記自由円形
中心空間(295)又は別の前記エンベロープガイド(271,281)の前記2つの脚部の他方により、前記カムブロック(270,280)に挿入するステップS3と、
最後に挿入された前記基本導体(255)の前記自由円形
中心空間(295)に向けて接近する動作を得るように、一方又は複数のスロットピッチにより、前記少なくとも1つのリング(220,230)及び/又は前記少なくとも1つのカムブロック(270,280)をそれぞれの方向に回転するステップS4と、
前記巻き線セット(290)の予め決められた数の前記基本導体(255)を挿入するまで、ステップS3とステップS4を繰り返すステップS5とを
備える、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記ステップS1の前記第1の装置は請求項17に記載されている発明であって、
前記ステップS2において、前記初期位置は、前記単一の脚部、又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部を挿入できて、
前記ステップS3において、前記単一の脚部、又は前記3つ以上の脚部の前記少なくとも1つの脚部は、前記スロット(222,232)、及び前記カムブロック(270,280)に挿入されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
追加のステップは、
前記ステップS5の後に行われて、
最後に挿入された前記基本導体(255)を形成するように、又は最後の前記Iピン若しくは前記Wピンが前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)から出るように、予め決められた角度により前記リングを回転するステップS6であることを特徴とする、
請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記基本導体(255)は、前記脚部の間において、予め決められた角度の開口部又はピッチを有して、ステップS1~S5において用いられており、
追加のステップは、
前記ステップS5の後に行われて、
前記巻き線アセンブリ(290)が完全又は部分的に組み立てられるまで、対応する前記ステップと異なる前記脚部の間において、予め決められた同じ角度の開口部を有する予め決められた数の前記基本導体(255)を用いて、ステップS1~S5又はステップS1~S6を繰り返すステップS9であることを特徴とする、
請求項19~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
より小さな同じ角度の開口部を有するすべての前記基本導体(255)が、より大きな同じ角度の開口部を有する前記基本導体の前に用いられることを特徴とする、
請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
同じ角度の開口部を有するすべての前記基本導体(255)が、前記基本導体の前に挿入されており、
前記基本導体の前記角度の開口部は、前記巻き線における最終位置に関して、前記同じ角度の開口部を備えることを特徴とする、
請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
前記方法の1つ以上の前記ステップは、複数の同心巻き線アセンブリを組み立てるように反復的に繰り返されており、
前記ステップS2又はS3は、別の巻き線アセンブリをプレアセンブリする最後のステップの終了前に始まり得ることを特徴とする、
請求項19~24の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項26】
ステップS4の回転は、
角度βが、2つの連続的に挿入される前記基本導体(255)の間にあり、前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)の一方において、連続的に挿入される前記基本導体(255)を挿入するための空間を取り除くように、2つの脚部(255a,255b)の一方の周りの前記基本導体(255)の回転に対応することであって、
前記角度βは、前記基本導体(255)の大きさ、及び前記少なくとも1つのエンベロープガイド(271,281)の構造により定まることを特徴とする、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ステップS7は、ステップS6の終了時に行われて、
プレアセンブリされた巻き線アセンブリ(290)は前記固定子又はロータコア(300)に適用されることを特徴とする、
請求項21~26の少なくともいずれかに記載の方
法。
【請求項28】
前記ステップS1の前記第1の装置は、
前記少なくとも1つの内側エンベロープガイド(271)、及び/又は前記少なくとも1つの外側エンベロープガイド(281)が、それぞれ、前記自由円形
中心空間(295)において、少なくとも1つの外側カム出口部(281a)と少なくとも1つの内側カム出口部(271a)を有しており、
前記ステップS7は、
外側カム出口部(281a)、及び/又は内側カム出口部(271a)を閉じるサブステップS7Aと、
前記巻き線セット(290)を前記固定子又はロータ(300)に挿入するサブステップS7Bとを備えることを特徴とする、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項10~14に記載の前記第1の装置が用いられており、
前記ステップS2は、前記内側ブロック(270)と前記外側ブロック(280)に関して行われており、
前記ステップS4において、前記内側リング(220)と前記外側リング(230)は、両方とも逆回転するように形成されている、又はいずれかの一方だけが回転するように形成されていることを特徴とする、
請求項19~28の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項30】
請求項5に記載の前記第1の装置が用いられており、
前記巻き線セット(290)の前記基本導体(255)の前記2つの自由端(255aE,255bE)が前記固定子又はロータコアに挿入されるとき、又はこのステップより前に、複数の前記径方向に格納できる挿入部(221)のいずれかは、前記巻き線アセンブリ(290)を放出するように径方向に移動することを特徴とする、
請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
代替として、
前記ステップS1の前記装置は請求項18
に記載されている発明であって、
前記ステップS1~S5,S6,又はS9において、前記基本導体(255)は、第1曲げ方向を有する前記橋状接続部(255c)と共に用いられる、
または、スロット(426)間の一定又は可変ピッチを有する少なくとも1つのリング(425)と共に、請求項18に
記載の発明の電気機械の固定子又はロータ用の巻き線アセンブリをプレアセンブリするための第2の装置(400)を与えるステップR1であって、
少なくとも1つのカムブロック(480)が、少なくとも2つのエンベロープガイド(481,482)と自由円形空間(495)を有するステップR1と、
前記ステップS5,S6,又はS9の前記第1の装置(200)から前記巻き線アセンブリ(290)を取り除くステップR2であって、
前記第1曲げ方向を有する前記橋状接続部(255c)を備える前記基本導体(255)が前記ステップS5,S6,又はS9において用いられるステップR2と、
前記巻き線アセンブリ(290)を前記第2の装置(400)の前記自由円形空間(495)に挿入するステップR3とが行われており、
前記ステップS5,S6,若しくはS9の後、且つステップS7の前、又はステップR3の後に、
初期位置までの前記少なくとも1つのカムブロック(480)に関して、前記少なくとも1つのカムブロック(480)において、前記2つの脚部により、少なくとも1つの前記基本導体(255,255r)をそれぞれの前記エンベロープガイド(481,482)に挿入できるように、前記少なくとも1つのリング(425)の全体又は一部を回転するステップR4と、
前記基本導体(255,255r)の前記2つの脚部を、前記少なくとも1つのリング(425)のそれぞれ異なる前記スロット(426)に、同時に2つの前記エンベロープガイド(481,482)のそれぞれの前記2つの脚部により、前記カムブロック(480)に挿入するステップR5と、
最後に挿入された前記基本導体(255,255r)の前記自由円形空間(495)に向けて接近する動作を得るように、一方又は複数のスロットピッチにより、前記少なくとも1つのリング(425)及び/又は前記少なくとも1つのカムブロック(480)をそれぞれの方向に回転するステップR6と、
予め決められた数の前記基本導体(255,255r)を前記少なくとも1つの巻き線セット(290)に挿入するまで、ステップR4~R6、又はステップR5,R6を繰り返すステップR7とが行われており、
予め決められた数の前記基本導体(255,255r)は、第2曲げ方向を有する前記基本導体(255r)を備えており、
前記第2曲げ方向は前記第1曲げ方向に対向することを特徴とする、
請求項19~30の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項32】
請求項17に記載の装置が用いられて、
前記ステップS5,S6,若しくはS9、又は前記ステップR2の前記巻き線アセンブリ(290)は
、1つ以上の巻き線レイヤ(290-1,290-4)における予め決められた数のIピン又はWピンを備えており、
予め決められた数の前記基本導体(255,255r)が、それぞれ、前記予め決められた数のIピン又はWピンの脚部と角度的に対応する前記少なくとも1つの脚部により挿入されることを特徴とする、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
代替として、
前記ステップS1の前記装置は請求項17,18
に記載されている発明であって、
前記ステップR7の後に、
前記スロット(426)間の一定又は可変ピッチを有する前記少なくとも1つのリング(425)と共に、請求項17,18に
記載の発明の電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線アセンブリをプレアセンブリするための第3の装置(400)を与えるステップL1であって、
前記少なくとも1つのカムブロック(480)が、少なくとも1つの前記エンベロープガイド(481,482)と前記自由円形空間(495)を有するステップL1と、
前記ステップR7の前記装置(400)から前記少なくとも1つの巻き線アセンブリ(290)を取り除くステップL2と、
前記少なくとも1つの巻き線アセンブリ(290)を前記第3の装置(400)の前記自由円形空間(495)に挿入するステップL3とが行われており、
前記ステップR7又はL3の後に、
初期位置までの前記少なくとも1つのカムブロック(480)に関して、前記少なくとも1つのカムブロック(480)において、少なくとも1つの前記基本導体(255)、又は少なくとも1つの前記Iピン若しくは前記Wピンをそれぞれの前記エンベロープガイド(481,482)に挿入できるように、前記少なくとも1つのリング(425)の全体又は一部を回転するステップL4と、
前記基本導体(255)、Iピン、又はWピンの前記脚部を、前記少なくとも1つのリング(425)のそれぞれ異なる前記スロット(426)に、同時に対応する前記エンベロープガイド(481,482)の前記脚部により、前記カムブロック(480)に挿入するステップL5と、
最後に挿入された前記基本導体(255)の前記自由円形空間(495)に向けて接近する動作を得るように、一方又は複数のスロットピッチにより、前記少なくとも1つのリング(425)及び/又は前記少なくとも1つのカムブロック(480)をそれぞれの方向に回転するステップL6と、
前記少なくとも1つの巻き線セット(290)の予め決められた数の前記基本導体(255)、及び/又はIピン、及び/又はWピンを挿入するまで、ステップL4~L6、又はステップL5,L6を繰り返すステップL7とが行われており、
前記予め決められた数の基本導体(255)は、前記第1曲げ方向を有する前記基本導体であることを特徴とする、
請求項31又は32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的モータのような電気機械の固定子又はロータに用いられる電気的な棒導体の巻き線セットをプレアセンブリするための方法と装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えばハイブリッド車(HEV)の適用に対して、発電機又は電気的モータのような電気機械の固定子又はロータを与えることが知られている。この固定子又はロータの巻き線は、「棒巻き線」又は「巻き線セット」としても知られている電気的な巻き線を形成するように、曲げられていて、且つ様々に相互接続している複数の棒導体により形成される。この曲げられている棒導体はまた、一方の端部に向かう橋部として繋がる1つ以上の脚部と共に、「ヘアピン導体」又は単純な「ヘアピン」として知られている。それぞれの「レイヤ」は、棒巻き線において区別され得る。それぞれの棒巻き線は、巻き線軸から径方向の同じ距離に配置されている等距離位置の円形配列、及び(以下の定義によれば)右側又は左側のいずれかの単一の種類のヘアピンを備える導体のセットにより形成されている。したがって、ヘアピンの脚部は、最も多くのレイヤの位置を占有する。巻き線セットにおける最大の濃度を有して、説明されている種類のセットは、「クラウン」と呼称されている。一部の場合、棒巻き線は、1つ以上の同心のクラウンにより構成されている。
【0003】
特に、(「円形ワイヤ導体」とも呼称される)円形断面又は長方形断面を有するヘアピンを備える巻き線は、従来技術に属している。これに関して、本明細書における「長方形」又は「正方形」の導線は、一般的に丸い縁により隣接する側面とそれぞれ繋がる4つの実質的に平坦な側面を有するワイヤを示す。台形状の断面を有する棒導体が知られている。
【0004】
上記基本導体は、一般的に、直線の棒導体から始まり、「U」字又は「P」字に曲げることにより予め形成されている。米国特許7,480,987号は、ヘアピンを形成するように、直線の棒導体を予め形成するための方法の例を記載している。「U」字又は「P」字形状に予め成形された導体は、技術分野において「予め形成された基本導体」とも一般的に呼称されており、等しい又は異なる長さの2つの隣接する脚部を一般的に有する。この脚部は、それぞれ、自由端部と反対側の端部を有する。この反対側の端部は接続部により他の脚部と繋がっている。
【0005】
図2(a)を参照すると、ヘアピン255は、線形導体(図示せず)から始まり、それぞれの自由端255aEを有する第1脚部255aと、それぞれの自由端255bEを有する第2脚部255bとを形成するように該線形導体を曲げることにより予め形成されている。曲げ形状は、同時に、2つの脚部255a,255bの間の橋状接続部255cを形成する。この例において、この予め形成されたヘアピンは平坦な「U」字の形状を有する。例えば、電気機械の固定子を形成するため、「U」字又は「P」字状に予め形成された棒導体に2つの異なる種類のねじりを受けさせることが知られている。
【0006】
「挿入側からのねじり」とも呼称される第1の種類のねじりにおいて、予め形成された棒導体は、対応する径方向に並ぶポケット又は「スロット」に適切に挿入されている。このポケット又は「スロット」は、ねじり装置に設けられていて、挿入後、この導体を変形するように構成されている。ねじり装置は、「U」字又は「P」字形状の脚部を拡げるように実質的に用いられる。したがって、それぞれの導体の2つの脚部は、装置から導体を取り出した後、対応する一対の固定子コアのスロットに連続して挿入され得る。この固定子コアのスロットは、予め決められている線形距離により、互いに角度的にオフセットされている。この線形距離はオフセット脚部の間の距離と実質的に等しい。
【0007】
図2(a)に示すような排他的でない例として、固定子(又はロータ)に挿入するための適切な形状のヘアピンは、予め形成されたヘアピンから始まり、例えば
図2(b)における形状を得るように、脚部255a,255bを拡げて、橋状接続部255cを成形するように形成されている。参照符号255pは、ヘアピンのピッチ、すなわち脚部の間の線形距離、又は角距離(開口部)、若しくはスロットピッチに関する距離を示す。注目すべきことは、形成されているヘアピンの中央頂部255c2は、導体の断面がヘアピンの内側面(ヘアピンの内側を通過して、2つの脚部を含む面)又はX軸のいずれかに関して180°回転を受ける領域である。
【0008】
米国公開特許2009/0178270号は、挿入側から、棒導体をねじり装置のポケットに挿入した後、予め形成された棒導体を一様なピッチでねじるためのねじり方法の例を開示している。このねじり装置において、ヘアピンは長方形断面を有する。
【0009】
従来技術によれば、
図3bを参照すると、ヘアピンはまた、スタンピングにより得られてもよい。すなわち、直線導体は、打ち抜きと型のシステムにおけるコントラスト部に押し付けられている。
図3b(a)は、スタンプされた導体を示す一方、ヘアピンの中央面に関して回転する断面を示さない。このスタンプされたヘアピン又は予め形成されたヘアピンは、溶接側にねじりを受けてもよい。この場合、上記回転及び脚部255a,255bの「階段状」の形状を導入することができる。例えば、
図3b(b)に示すように、脚部255a,255bの内の脚部255aは、第1直線部255a1,階段形状部255a2,第2直線部255a3を有する。
【0010】
図3cを参照すると、橋状接続部255cの形状は、(
図3cにおいて隠れている)第2脚部255bとの接続部から始まり、第1脚部255aとの接続部で終わる3つの部分255c1,255c3,255c2を備えてもよい。部分255c1は、主要伸長方向Bと曲率半径RBを有する。部分255c3は、主要伸長方向Aと曲率半径Rを有する。部分255c2は、主要伸長方向C(及び曲率)を有する。参照符号α1は方向A,Cの間の角度を示す。また、参照符号α2は方向A,Bの間の角度を示す。さらに、参照符号α3は方向B,Cの間の角度を示しており、角度α1と角度α2の合計に等しい。これは、ヘアピンの最終的に可能な唯一の形状である。橋状部と脚部の両方の異なる部分と構造を有する他のすべての形状は、本明細書に記載の装置及び方法と共に用いられ得る。
【0011】
また、伸びる単一の直線部(一般的に、第1端部と第2端部の間において適切に形成されている単一の脚部)を有して、スロットに収容されている「Iピン」と呼称される導体がある。この導体は、米国特許7,622,843号において、位相端子として用いられている。「W」字形状の導体も、例えば米国特許7,622,843号を示して、知られている。「W」字形状の導体は、Iピンを有するスタンプされたヘアピンを溶接することにより、又は第4導体を3つのIピンに溶接することにより形成され得る。一般的に、以下の「Wピン」は、橋状接続部により同じ側面と繋がる少なくとも3つの脚部を有する導体を示す。上記3つ以上の脚部の少なくとも1つの脚部は適切なカムに用いられる。
【0012】
さらに、
図3dを参照すると、曲げ点における傾斜断面(
図3d(a))、及びスロットに収容されているヘアピン部に沿う連続転置(
図3d(b)及び米国特許3,837,072号)を有する鎖状のヘアピンがある。図示しない変形例は、傾斜のない同様のヘアピンであってもよい。
【0013】
図3eは、スロットの異なる位置における2つのクラウン巻き線のヘアピンの脚部の考えられる構成を示す。参照符号A,Bは、(異なるヘアピンに属している)スロットに示す脚部が属しているクラウンを示す。巻き線ヘアピンを収容する固定子のスロットのレイヤは、同じ方向のスロットを細分化することにより径方向に得られる単一の脚部により占有されているスロット自体の部分である。スロットにおけるヘアピンの一部の考えられる構成は、AABB,ABBA,ABABである。これに関して、米国特許6,894,417号を参照する。
【0014】
固定子軸に関するヘアピンの径方向伸長は、脚部の間の径方向の距離であり、スロットレイヤに関して測定される。例えば、AABB巻き線を有するヘアピン、又は巻き線ABBAのクラウンBの径方向伸長は単一のレイヤと等しい。ヘアピンの脚部は、隣接するレイヤに属している。ABAB型巻き線のヘアピンの径方向伸長は、2つのレイヤと等しい。ABBA型巻き線のクラウンAのヘアピンの径方向伸長は、3つのレイヤと等しい。径方向伸長のないヘアピンも可能であり、すなわち、同じレイヤの脚部を有する。
【0015】
以下、「ヘアピン」という用語は、後述するすべての種類の「基本導体」を含む。
【0016】
基本導体は、第1の種類のねじりを受けた後、又はスタンプされた後、上述の巻き線セットにおいて一般的にプレアセンブリされている。プレアセンブリ装置は、それぞれのヘアピンの脚部を挿入するための一連のスロットを有して、ねじり装置と一般的に異なる。
【0017】
巻き線セットは、ブロックとして、(「挿入側」又は「挿入面」と呼称される)第1の側面を通して、該第1の側面と反対側のコアの(「溶接側」、「接続側」、「溶接面」、又は「出口面」と呼称される)第2の側面から突出しているそれぞれの自由端部と共に固定子コアのスロットに挿入されている。
【0018】
得られる特定の巻き線パターンに基づいて、溶接側から突出している基本導体の自由端部は、例えば、適切なねじり固定部に形成されているポケットに挿入された後、「溶接側からのねじり」と呼称される第2の種類のねじりを受け得る。本明細書において、ねじり固定部は、導体の自由端部を曲げる、又はねじり、この端部を適切に成形して、巻き線を完成するため、導体の間の適切な電気的接続を行うことを可能にする目的を有する。米国公開特許2009/0302705は、上記種類の溶接側からのねじり方法の例を記載している。
【0019】
例として、
図1は、従来技術に記載のプレアセンブリ装置を示す。このプレアセンブリ装置は、巻き線セットを製造するため、(特にスタータモータ用の)固定子又はロータに挿入される前に適用されている。この装置又はアセンブリ100は、円形断面を有するヘアピン110の同心リング140,190を用いて、すでに拡がっている。したがって、導体は、それぞれ、固定子コアの2つのスロットの間の角距離に対応する角度により分かれている脚部を示す。脚部は、このスロットに挿入される。参照符号120,180は、ヘアピンの脚部を垂直に支持するための「スロット」又は「ポケット」を示す。特に、ポケット120は、回転する前、ヘアピンを装着している間、垂直支持部を与えるように用いられている。参照符号150は、プレアセンブリ装置の軸に対する基準である。また、参照符号160は、巻き線セット170をプレアセンブリするための回転方向である。スロットは、同心リング140,190に設けられており、第3の同心要素195と共に軸方向に重ね合わせられる。径方向に伸びるガイドは、この第3の同心要素195にあり、最初にポケット120に収容されている脚部の動作をガイドする。上記回転の間、リング140と要素195は、リング190に関して拘束されて回転する。すなわち、リング190はリング140と要素195の両方に関して回転する。上記回転の開始時、それぞれのヘアピンの脚部の上部は、スロット120に収容されて、該スロットから現れる。このスロットは、要素195のガイド端部において、軸方向に重ね合わせられる。脚部自体の下部は、脚部がリング190に接近するまで、脚部の動作を拘束する上記ガイドに残る。
【0020】
回転方向は、固定脚部に配置されているオブザーバにより見られるヘアピンの脚部の間の接続部における曲げの(時計周り又は反時計周りの)方向(以下、曲げ方向)に関連している。この曲げは、例えば、一方のレイヤから他方のレイヤに向けてヘアピンを通過するため、必要である。一般的に、曲げ方向は、左向き又は右向きであってもよい。所定の場合、曲げの左側に位置している橋状接続部の部分は固定子の軸から離れている。同じ場合、左脚部は固定子の軸から離れている。他の場合、右脚部、及び曲げの右側に対する橋状接続部の部分は、固定子の軸から離れている。この2つの場合、曲げは、2つの脚部を通過する平面に関して質的に鏡面である。
【0021】
図1における装置により、巻き線を組み立てるために挿入されているすべてのヘアピン110は同時に回転している。この回転の支点は、導体を互いに接近させて、巻き線セット又は導体のクラウンを組み立てるように、それぞれのヘアピンの内側脚部(すなわち、ローラと第3の同心要素195内の脚部)である。この装置は、円形ワイヤ導体に対して便利に用いられ得る。一方、例えば、円形状と異なる断面を有する棒導体、例えば「長方形」導体及び「台形」導体と共に用いられることは適合していない。実際に、円形スロットにおいて、非円形断面を有するこの導体の回転は、あまり円滑でなく、ヘアピンを傷つける虞を伴う。ポケットの断面を長方形から円形に形成するためのブッシング、又は長方形断面を有するポケットを用いることは、ヘアピンの脚部を囲む壁部のヌルでない厚みにより、複雑であり、ヘアピンをヘアピンクラウン内の最終プレアセンブリ位置に向けて完全に取り込むことを可能にしない。実際に、
図3aを参照すると、ガイドシム261は、上述のローラが回転するとき、基本導体255の脚部をガイドするため、設けられている(ブッシング260の壁)。このローラは、クラウン290内のヘアピンの完全な閉鎖を妨げる。(簡単のため、非円形断面から円形断面に適合させることは示さない。)この妨げとなるものは、発明者に知られている文献において示さない一方、発明者自身により行われる実験的研究から現れる。
【0022】
従来技術の別の態様によれば、上述の同心ガイドリング140,190が備えるポケットは、すべて、同じ深さと閉じた底部を有する。したがって、この既知の固定部は、異なる長さと特徴の脚部を有する棒基本導体を備える巻き線アセンブリをプレアセンブリするように用いられることができない欠点を有する。この異なる長さと特徴の脚部は、複数の種類の巻き線セットを得るため、必要であってもよい。同様に、従来技術の装置は、異なるスパン又はピッチ(角度の開口部)を有するヘアピンを組み立てることができない。上述の同心リングによる既知の固定部の別の欠点は、この装置により形成されている巻き線セット170を取り出して、該巻き線セット170をそれぞれのコア固定子又はロータに挿入するため、固定部からブロック内の巻き線セットを取り出して、該巻き線セットを固定子コアに正確に挿入するように、追加の把持アセンブリを与えることが一般的に必要であることを示す。
【0023】
注目すべきことは、「ポケット」又は「スロット」の用語が、本明細書と請求項において一般的に用いられて、壁部を有するスロットを含むことである。この壁部を有するスロットは、単独又は他の壁部と共に、装置が動作するとき、回転又は並進しているヘアピンの2つの脚部の内の一方を含む。したがって、スロットは、部材の凹部又は窪みにより形成され得る。このスロットは、部材により、及び部材の空洞により完全に囲まれている。空洞の1つ以上の開口側は、隣接する構成要素の表面又は壁部により効率的に閉じるように構成されている。特に、スロットは、部材の止まり穴又は貫通穴であってもよい。
【0024】
電気機械用の棒巻き線の巻き線セットをプレアセンブリするための従来技術に関連する上述のアセンブリ及び方法に関する代替のアセンブリ及び方法を提案することが必要である。この代替のアセンブリ及び方法は、従来技術に関する上述の欠点を少なくとも部分的に克服し得る。
【0025】
特に、本発明の態様によれば、円形ワイヤ導体に関して異なる種類の棒導体を有する電気機械用の棒巻き線の巻き線セットをプレアセンブリすることを可能にする装置、アセンブリ、及び/又は方法を提供することが必要である。この円形ワイヤ導体は、円形断面を有する棒導体である。
【0026】
上述の態様に加えて、又は代替として、本発明の別の態様によれば、棒導体、すなわち例えば異なる長さ、又は異なるスパン/ピッチ/スローを有する上述のような棒導体を有する電気機械用の巻き線棒の巻き線セットをプレアセンブリすることを可能にする装置、アセンブリ、及び/又は方法を利用できるようにすることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、固定子又はロータ用の棒巻き線の1つ以上の巻き線セットをプレアセンブリするための装置及び方法を提供することである。この装置及び方法により、上記問題を解決して、従来技術の欠点の全体又は一部を克服する。
【0028】
本発明の主題は、添付の請求項に記載の装置及び方法である。
【0029】
本発明の別の主題は、電気機械の固定子又はロータである。本発明の方法により得られる棒巻き線の1つ以上の巻き線セットは、添付の固定子又はロータの請求項によれば、この固定子又はロータに挿入される。
【0030】
本発明の別の主題は、電気機械である。この電気機械は、添付の電気機械の請求項によれば、本発明により得られる固定子及び/又はロータを用いる。
【0031】
請求項は本明細書の不可欠な部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、添付図面を参照して実施例により説明する。
【
図1】
図1は、従来技術に記載のヘアピン巻き線をプレアセンブリするための装置を示す。
【
図2】
図2は、従来技術に記載の(a)平坦な「U」字に予め形成されているヘアピン、及び(b)完成したヘアピンを示す。
【
図3a】
図3aは、発明者による実験に係る、従来技術のプレアセンブリ装置のブッシングを用いることの詳細を示す。
【
図3b】
図3bは、(a)スタンプされた導体、及び(b)溶接側にねじりを受けた後の同じ導体を示す。
【
図3c】
図3cは、従来技術に記載の上方から見た
図3bのヘアピンを示す。
【
図3d】
図3dは、(a)曲げ点における傾斜断面を有する鎖状のヘアピン、及び(b)スロットに収容されているヘアピン部に沿う連続転置を示す。
【
図3e】
図3eは、スロットの様々な位置における2つのクラウン巻き線のヘアピンの脚部の3つの考えられる構成(a)~(c)を示す。符号A,Bは、(異なるヘアピンに属している)スロットに示す脚部が属しているクラウンを示す。
【
図4】
図4は、ヘアピン固定子巻き線のプレアセンブリ装置の実施形態の上面斜視図を示す。
【
図6】
図6は、
図4,5における装置の内側配列と外側配列の部分平面図を示す。
【
図7】
図7は、ヘアピンが挿入されている
図4~6の装置の部分斜視図を示す。
【
図9】
図9は、2つの連続的なヘアピンが挿入されている
図8の図面を示す。
【
図10】
図10は、4つの連続的なヘアピンが挿入されている
図8,9の図面を示す。
【
図11】
図11は、固定子巻き線の最後のヘアピンも挿入されている
図8~10の図面を示す。
【
図12】
図12は、固定子巻き線が完成して、プレアセンブリの終了時に閉じ得る内側カムと外側カムの入口点271b,281b及び出口点271a,281aを示す
図8~11の図を示す。
【
図13】
図13は、巻き線を解放するため、格納できる挿入部を取り除くことを示す。
【
図14】
図14は、挿入部を取り除く前の固定子におけるヘアピンの足部の挿入を示す。
【
図15】
図15は、(a)中央軸により形成されているエンベロープライン、及び(b)ヘアピンの脚部に沿って配置されている軸により形成されているエンベロープラインを、それぞれの該軸周りのヘアピンのそれぞれの回転と共に示す。
【
図16】
図16は、ヘアピンの脚部周りの回転と共に、本明細書に記載のヘアピンのアセンブリを示す。
【
図17a】
図17aは、(1)2つの脚部の一方の支点と(2)2つの脚部の他方の支点を備える左向きのヘアピン(時計周りの曲げ)を示す。このヘアピンの回転は曲げと逆方向(上方から見た脚部に関して反時計周りの回転)である。
【
図17b】
図17bは、本明細書の態様に記載の単一のクラウンのアセンブリに入れ子にされている異なるヘアピン(異なるスパン)を用いることを示す。
【
図18】
図18は、2つのクラウンを組み立てるための2つの種類の動作を示す。異なる瞬間における、(内側クラウンに対して着色されている一方、外側クラウンに対して着色されていない)同じヘアピンの連続的位置を(a)に示す。このヘアピンは、一般的に、脚部の一方に関する回転を有する回転並進を受ける。内側クラウンのヘアピンに対して、回転は反時計周りである。また、外側クラウンのヘアピンに対して、回転は時計回りである。破線は、ヘアピン(カム形状)の相対的回転における脚部の異なる位置を含む曲線を示す。外側クラウンのヘアピンが、図の左側の同じクラウンのヘアピンに関して鏡面であり、反時計周りに回転するという違いを有する(a)に類似している状況を(b)に示す。
【
図19】
図19は、一方の脚部における最後のヘアピンの回転、及び
図18(b)のような逆回転の配列による2つのクラウンのアセンブリの完了のステップの間、本明細書に記載の装置を示す。(a)は、スロットの配列又はリングを示し得る平面図を示す。(b)は、カムを示し得る底面図を示す。予め組み立てられたクラウンに対応するような厚みである分離パーティションをまた、クラウンの間に示す。
【
図20】
図20は、従来技術に記載のABBA型の巻き線を形成する、異なるクラウンの交差する2つのヘアピンの場合を示す。
【
図21】
図21は、本明細書に記載の2つのクラウンのアセンブリに対する動作の実施例を示す。この実施例において、異なる瞬間における、同様に交差する2つのヘアピンを示す。2つのヘアピンは、一般的に、ヘアピンの中心に関して生じる回転部分を有する回転並進を受ける。
【
図22】
図22は、
図21における2つのヘアピンの回転並進に対して、本明細書に記載の装置のカムの構成の実施例を示す。
【
図23】
図23は、ヘアピンの3つの変形例により構成されている、対応する固定子に挿入されるようにアセンブリされて、且つ用意されている巻き線クラウンの実施例を示す。第1の標準的なピッチは6つのスロットと等しい。第2の長い種類のピッチは7つのスロットと等しい。第3の短い種類のピッチは5つのスロットと等しい。
【
図24】
図24は、本明細書の態様によれば、2つの挿入点を有する2つのクラウンを平行に組み立てる一部のステップの実施例を示す。(a)内側クラウンの第1のヘアピンが円形空間に入るとき、第2のクラウンのヘアピンの回転していない脚部が、接近して、それぞれの挿入点、及び内側クラウンの第1のヘアピンに関して適切な角度により角度的にオフセットされているカムエンベロープになる。(b)2つのクラウンのアセンブリは(同時に)平行であり続ける。(c)外側クラウンのアセンブリの完了は、2つのクラウンの挿入点の角距離に応じて時間的にオフセットされている。
【
図25】
図25は、(a)単一の曲げ方向を有するヘアピンが用いられている4層巻き線セットのレイヤ間の相互接続図と、(b)他の曲げ方向に対向する曲げ方向を有する逆の種類のヘアピンも用いられる4層巻き線セットのレイヤ間の相互接続図とを示す。
【
図26】
図26は、第2レイヤが完成していない一方、第1レイヤが一連のIピンを含む本発明に記載の方法により得られる巻き線セットを示す。
【
図27】
図27は、(a)一連の逆のヘアピンが加えられる
図25の巻き線セット、(b)巻き線セットの詳細斜視図、及び(c)本発明に記載の逆のヘアピンの径方向接近動作を示す。
【
図28】
図28は、別の一連の(逆でない)ヘアピンが追加された
図27の巻き線セットを示す。
【
図29】
図29は、(a)~(d)において、本発明の実施形態に記載の装置の図面における、本発明に記載の方法の実施形態に対応する連続ステップを示す。
【
図30】
図30は、(a)一定数までの逆のヘアピンの挿入部を有する
図29の装置の全体平面図、及び(b)最後に挿入された逆のヘアピンの円形ガイドへの侵入部を有する同様の図面を示す。
【
図31】
図31は、(a)径方向の位置(レイヤ番号)及び角度位置(スロット番号)に応じて、逆のピン及び/Wピン導体のスロットに収容されている部分の位置の実施例を示す。巻き線の考えられる種類の1つが、36個のスロットと4つのレイヤを有する固定子に対して形成され得る。ボックスRevは、すべての逆のヘアピンの脚部の位置(例えば、スロット9のレイヤ2)を示す。ボックスI/Wは、すべてのI/Wピンの脚部の位置(例えば、スロット9のレイヤ4)を示す。図面(b)は、径方向の位置(レイヤ番号)及び角度位置(スロット番号)に応じて、逆のピン及び/Wピン導体のスロットに収容されている部分の位置の別の実施例を示す。巻き線の考えられる種類の1つが、36個のスロットと4つのレイヤを有する固定子に対して形成され得る。ボックスRevは、すべての逆のヘアピンの脚部の位置(例えば、スロット9のレイヤ2)を示す。ボックスI/Wは、すべてのI/Wピンの脚部の位置(例えば、スロット9のレイヤ4)を示す。
【0033】
注目すべきことは、当業者が後述する実施形態から簡単に分かるように、本発明の技術概念に関して制限のない別の実施形態を提供するため、後述する異なる実施形態の要素が共に組み合わせられ得ることである。
【0034】
本明細書はまた、例えば、同じ種類の解決手段において、従来技術で通常用いられる重要性の低い要素のような説明されていない詳細な特徴に関して、実施のための従来技術を参照する。
【0035】
ある要素が明細書又は請求項に導入されているとき、他に特定されていない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」であってもよいことが常に分かる。
【0036】
本明細書において、要素又は特徴のリストが記載されている場合、本明細書に記載の本発明は、そのような要素を「備える」、又は代替としてそのような要素から「構成されている」ことが分かる。
【0037】
添付図面における同様又は同等の要素を同じ参照符号により示す。
【0038】
本明細書の目的に対して、「平坦な」又は「正方形の」棒導体は、4つの実質的に平坦な側面を有する棒導体を示す。この平坦な側面は、それぞれ、隣接する側面と繋がり、一般的に丸い縁を形成する。したがって、棒導体の断面を説明するように用いられる「平坦」又は「正方形」という用語、若しくは同等の用語は一般的な意味において用いられる一方、この棒導体が、実質的に平坦な側面と繋がる大きな丸い角を有することを除くように解釈されてはならない。「平坦な導体」という表現は、導体が2つの対向する側面を有して、この2つの対向する側面の距離が他の2つの対向する側面の間の距離よりも大きいことを示す。本明細書の目的に対して、「長方形の導体」は、平坦な導体と正方形の導体の一般化を示しており、4つの側面が同じ大きさを有する長方形の導体の特別な場合、正方形の導体である。
【0039】
本明細書の目的に対して、「非円形導体」、「非円形ヘアピン導体」、又は「非円形ヘアピン」という表現は、いずれかの多角形状断面を有する導体を示すものとして、また「長方形導体」の一般化として分かる必要がある。例えば、この表現において、均一である、又は一様でない長方形、三角形、五角形、六角形の断面を有する導体を含む。同様に、楕円のような連続的に閉じた曲線断面を有する導体を含む。本明細書に記載の棒導体はまた、米国特許7,622,843号の図の例に対して記載しているような独特な形状を有する棒導体であってもよい。また、本明細書の装置と方法は、様々な代替方法において、1つ以上の異なる種類の一部のサンプルを有する種類のような導電性の棒を用いることを備える。
【0040】
本明細書の目的に対して、スロットは、部材の凹部又は窪みにより形成され得る。このスロットは、部材により、及び部材の空洞により完全に囲まれている。空洞の1つ以上の開口側は、隣接する構成要素の表面又は壁部により効率的に閉じるように構成されている。特に、スロットは、部材の止まり穴又は貫通穴であってもよい。ブロックの貫通穴の場合、ヘアピンの脚部の挿入面と出口面が形成されている。
【0041】
本明細書の目的に対して、方向又は軸に関して形成されている「径方向」又は「円周」という表現、若しくは他の同様の表現は、方向又は軸に対して直角な平面にあり、且つ該方向又は軸において中心を有する円周に対して呼称されている。また、本明細書の目的に対して、方向又は軸に関して形成されているような「角度的に離間している」という表現(又は他の同様の表現)は、方向又は軸に対して直角な平面にあり、且つ該方向又は軸において中心を有する円の2つの径の間の角度に対して呼称される必要がある。
【0042】
本明細書の目的に対して、円筒は、円形断面又は近似的な円形断面を有する。例えば、この近似は、製作公差、又は固定子又はロータ溶接の特定の構成が原因であり、15%、好ましくは10%又は5%以内で円形と僅かに異なる。
【0043】
また、本明細書の目的に対して、円筒は、説明されているような近似と共に、均一である、又は一様でない多角形断面を有するプリズムとして分かり得る。また、特定の必要な工業的実施形態によれば、本明細書に記載の円筒はまた、楕円、双曲線、又は放物線の準線を有しており、一部の場合、傾斜及び/又は切断されている。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書は、固定子又はロータ用の1組の巻き線棒をプレアセンブリするための装置(又はアセンブリ)及び方法に関する。巻き線セットは、非円形断面、例えば長方形又は正方形を有する(有利であるように、銅から形成されている)ヘアピンにより構成されている、又は備える。後述する参照は、「ヘアピン導体」又は「基本導体」を示すように、「ヘアピン」に対して形成されている。以下に説明するように、「基本導体」は、予め形成されたヘアピン、又は最終形状のヘアピン(溶接側において曲げがない脚部を有するヘアピン)を示す。また、本明細書はまた、2つ以上の溶接部、同心部、及び一部の実施形態における隣接セットを同時にプレアセンブリすることに関する。
【0045】
本明細書の実施形態において、
図4~13を参照すると、装置200は、上述のような非円形断面又は「基本導体」を有するヘアピン255から始まり、固定子又はロータの巻き線をプレアセンブリするため、提供されている。
【0046】
装置200は、回転対称軸Xと共に、また有利であるように、外側格納リングの下部レイヤ211及び外側格納リングの上部レイヤ212と共に、外側格納リング210(一般的に、例えば、第1挿入面と第2出口面を接続するリング220,230の周囲面に作用する格納装置又は格納手段)を任意で備えてもよい。「上部」と「下部」は、軸Xに沿う、特に軸Xが重力により実質的に配向されているとき、地面に向かう連続位置を示す。
【0047】
外側格納リング210の内側且つ実質的に隣接して、(少なくとも)1つの外側配列(又は「リング」)220は、格納できる挿入部221の操作機構(図示せず)を備える、又は操作機構と繋がるように構成されている。この格納できる挿入部221は、配列自体の一部を構成する。外側リング又は配列220は、円形断面により(中心軸X周りに)リング状に形成されて、有利であるように、該円形断面と実質的に垂直な周囲面を有してもよい。周囲面は、有利であるように、円形断面の外側表面にあり、好ましくは実質的に平坦なリングの2つの対向面を組み合わせる。格納できる挿入部と対応するためのハウジングは、(円周の中心に最も近い)円形断面の内周に沿って設けられ得る。
【0048】
格納できる挿入部221は単一のブロックに形成され得る。格納できる挿入部221は、スロット222(
図6参照)を備えており、好ましくは、S字形状部に対応する形状を有する。閉端部222aは便宜上正方形である。また、S字形状部の幅は実質的に一定である。これにより、ヘアピンに対して固定された隣接部を有することができる。ヘアピンの脚部をガイドする高さの面取り(図示せず)が要求されている場合、丸みによるマージンを有する閉端部を与えることもできる。スロット222は、残りの大部分のヘアピンと異なるピッチ、スパン、スローのヘアピンを挿入するため、互いに異なり得る。一般的に、スロット222,又は232は、上記中心軸Xと実質的に平行な深さ方向に沿い、上記中心軸Xに関して径方向に沿うそれぞれの開口部を形成し得る。それぞれのスロットは、上記深さ方向に沿って、1つ以上の基本導体255の少なくとも1つの自由端255aE,255bE(すなわち、他の脚部と橋状に繋がらない端部)を受容するように構成され得る。
【0049】
特に
図13を参照すると、格納できる挿入部221は、有利であるように、同じ格納できる挿入部221の径方向操作に対して、歯止め223を備える。この歯止め223は、本明細書に記載の巻き線セットをプレアセンブリする方法に関して後述される。
【0050】
他の装置又は格納手段は、格納リング210の代わりに用いられて、例えば、スロットが、方向Xに関するそれぞれの側面において閉じている開口部である場合のように、スロットと一体となり得る、又はスロットを有する単一の部品に形成され得る。
【0051】
好ましくは、内側配列230が、同心且つ外側配列220と径方向に隣接するような作動位置に配置されている。外側配列220の場合のように、この内側配列230は、有利であるように、実質的に平坦な2つの対向面を組み合わせる周囲面により、リング状に形成されてもよい。内側配列230は、好ましくは、1つの部品に形成されており、複数の径方向の内側配列開口スロット232を示す。この内側配列開口スロット232は、S字形状部に対応する形状を有する。このS字形状部において、閉端部は便宜上正方形である。また、S字の幅は実質的に一定である。一方、上述の面取りに関して、他の実施形態が考えられる。外側配列220の場合のように、それぞれの開口スロットは、同じ理由のため、他と異なり得る。
【0052】
本明細書の態様によれば、内側配列は、径方向開口動作が、軸Xに向かい、且つ外側配列に関して軸Xから離れない違いと共に、格納できる挿入部(図示せず)を備えて、上述のように作動し得る。
【0053】
本明細書の態様によれば、内側リング又は配列230、及び外側リング又は配列220は、一体的又は逆回転するように構成されている。いずれかの場合、本明細書における回転は、常に、ある要素の別の要素に関する相対的回転として分かり得る。
【0054】
図6を参照すると、外側配列スロット222及び内側配列スロット232は、それぞれの開口端部222b,232bと隣接するとき、配列及び「S」字形状の平面における閉スロット又は閉スリットを形成する。このS字形状は必須ではない一方、ヘアピンが(脚部と平行であり、且つ脚部の間の仲介となる)中心軸に関して回転するとき、閉スリットの幅を減少することを可能にするため、有利である。代替として、ヘアピンが、ヘアピンの脚部の一方と一致する軸に関して回転するとき、スロットの最適な形状が円周の円弧に縮小する。本明細書の異なる態様によれば、あらゆる他の準最適な形状も想定される。
【0055】
有利であるように、外側配列(又はリング)220及び内側配列(又はリング)230は、上記格納ブロック210の種類の格納ブロックにより、自己支持装置(図示せず)に対する固定システム又は適切な支持部に機械的に支持されている。
【0056】
本明細書によれば、スロットは、2つの(互いに)対向するスロット222,232に分割することなく形成され得る。スロットは、「S」字形状と異なる形状を有する、又は単一の部品若しくは2つ以上の部品において得られてもよい。
【0057】
詳細に後述するように(
図5参照)、外側配列220及び内側配列230の格納リング210のアセンブリは、支持ハブ240と繋がり得る。
【0058】
また、好ましくは、格納できる挿入部の上記操作機構(図示せず)は、共通支持部(図示せず)に配置され得る。本発明の態様によれば、スロット配列は、軸方向において、カムブロックと隣接し得る。本明細書の態様によれば、スロット配列の1つ以上の部品が用いられ得る。カムは、スロット配列の1つ以上の部品の間に配置されている(軸方向に挟まれている)。2つの配列(外側又は内側)の一方の軸方向に並ぶスロット(軸方向におけるカムより上方に1つと下方に1つ)が、同じ格納できる挿入部において形成され得る。
【0059】
また、
図4は、(円形、正方形、又はいずれかの他の断面を有する)ヘアピン255の挿入機器250を示す。この挿入機器250は、有利であるように、第1垂直ロッド253及び第2垂直ロッド254を有する。この第1垂直ロッド253及び第2垂直ロッド254は、有利であるように、第1垂直ロッド253及び第2垂直ロッド254における窪みとして、それぞれ、好ましくは、第1スライドガイド253aと第2スライドガイド254aを有する。この挿入機器により、ヘアピン255の一方の脚部は第1スライドガイド253aに配置されている。また、ヘアピン255の他方の脚部は第2スライドガイド254aに配置されている。適切に形成された付勢部品又はブレード251は、2つの垂直ロッド253,254の間においてスライドするように形成されており、2つの脚部255a,255bを上述の2つのスロット222,232(特に、「S」字の端部)内に挿入するようにヘアピン255を付勢する。付勢は、付勢部品251と繋がるハンドル252により便宜上与えられ得る。挿入機器の図示された形状は、考えられる唯一ではなく、巻き線セットのプレアセンブリを考慮して、ヘアピン255を挿入するために構成されている手段の例である。例えば、それぞれのヘアピン255を挿入するため、ツール250又は別のツールを用いる自動的なピッカを与えることができる。
【0060】
図7は、上方から見た斜視図において、本発明に記載の装置200に挿入されているヘアピン255の実施例を示す。
【0061】
代替として、
図5は、下方から見た斜視図において、本発明に記載の装置200に挿入されているヘアピンの実施例を示す。ヘアピンの挿入端(脚部の端部)255aE,255bEを示し得る。本明細書の実施例によれば、これらの脚部は隣接部を満たさない。このため、脚部255a,255bは、従来技術において生じることに反して、異なる長さを有してもよい。電気的な機能の観点から、これは、同じレイヤにおいて異なる長さを有する棒導体が本明細書のシステムにより管理され得ることを示す。本明細書の目的に対して、特殊な導体は、基本導体に対して、巻き線を完成するため、用いられる棒導体を示す。この特殊な導体は、本質的に既知の方法において、例えば、ジャンパ、位相端子、固定子の同じ側面に対向する2つ以上の端部を繋げるために必要なスターポイント導体を含む。
【0062】
また、
図5,6は、ヘアピン255の脚部255a,255bの係合機構を示す。内側カムを有する内側カムブロック270、及び外側カムを有する外側カムブロック280が、それぞれ、(内側配列230及び外側配列220の2つの対向する平坦面の内の一方の側面、すなわち有利であるように、ハブ240が回転対称軸Xを有して伸びる側面から)内側配列220と外側配列230より上方(又は下方)に配置されている。外側ブロック280は、有利であるように、内側ブロック270を囲み、且つ内側ブロック270と径方向に対向する。
【0063】
(好ましくは、スルーカットを有する)内側エンベロープガイド271は、内側カムを形成するため、有利であるように、内側カムブロック270に形成されて、且つ本明細書のプレアセンブリの間、ヘアピン255の脚部255a,255bの様々な位置のエンベロープを形成するように構成されている。実際に、
図12を参照すると、内側エンベロープガイド271は、外側カムブロック280に対向する表面における内側カムの出口点271aから始まり、有利であるように、ハブ240(
図4,5において、ハブ240を示す。)に向けて(軸Xに向かう径方向において)伸びるため、内側カムブロック270に向けて螺旋状に伸びる。
【0064】
(好ましくは、スルーカットを有する)外側エンベロープガイド281は、外側カムを形成するため、有利であるように、外側カムブロック280に形成されて、且つ内側エンベロープガイド271の同じ回転方向において、ヘアピン255の脚部255b,255aのエンベロープを形成するように構成されている。実際に、外側エンベロープガイド281は、内側カムブロック270に対向する表面における外側カムの出口点281aから始まり、外側格納リング210に向けて伸びるため、外側カムブロック280において螺旋状に伸びる。
【0065】
本明細書の態様によれば、カムブロックはまた、1つの部品、又は2つ以上の部品にあり、同心になるように又は同心でないように配置されている。
【0066】
エンベロープガイド271,281は、全体又は部品としてカムブロックのカムを構成している。カムの形状は、少なくとも、導体の回転中心の位置、すなわちカム自体の位置とヘアピンの形状に応じる。
【0067】
本明細書の態様によれば、
図5~14に示すように、外側エンベロープガイド281は、リング220,230の相対的回転により、自由円形空間295に向けて外側エンベロープガイド281に挿入される1つ以上のヘアピン255の脚部255b,255aを取り込むように構成されている。代替として、又は追加として、内側エンベロープガイド271は、少なくとも1つのリング220,230の相対的回転により、上記自由円形空間295に向けて内側エンベロープガイド271に挿入される1つ以上のヘアピン255の脚部255b,255aを取り込むように構成されている。
【0068】
詳細に後述するように、装置は、挿入点271b,281bが「S」字の閉端部222a,232a(すなわち配列の平面における径方向のスロット、すなわちスロット底部)におけるそれぞれの回転ピッチにおいて配置されているように構成され得る。
【0069】
異なるスパンを有するヘアピンが組み立てられ得るため、それぞれのカムブロックに対して、複数の異なるエンベロープガイドがあってもよい。ヘアピンの回転軸は、ヘアピンの脚部と平行な軸のいずれか1つであってもよい。2つではなく、1つだけのカム(空の中心空間295と1つだけのエンベロープガイドを有する単一のブロック)が、単一のクラウンを組み立てるために十分であってもよい。この場合、ヘアピンは2つの脚部の一方の周りを回転する。また、ヘアピンの挿入部の2つの点の一方が、2つの脚部に対応して、脚部自体が組み立て手順の終了時にある位置に既にある。
図15(b)は、巻き線クラウンの軸から見えるように、ヘアピンの動作の直感的表現を示す。明確性のため、
図15(b)は、上述の2つの同心のカムにより誘導されるヘアピンの動作を示す。(
図12に示す)出口点271a,281aは閉じ得る。(これは、ヘアピン255の対応する脚部が入らないことを示す。)この閉鎖は、(以下に説明する)方法において、最後のヘアピンの脚部が出口点におけるロック部から挿入されることを防ぐため、(軸Xの方向において、配列(ヘアピンの脚部の出口側、又は「溶接側」)の下方から挿入される)ディスクを逆回転する(図示せず)、例えば、部品を閉じることによる多くの方法において得られてもよい。
【0070】
自由距離(自由円形中心空間295)が、内側カムブロック270と外側カムブロック280の間において保たれて、2つ以上の連続して挿入されるヘアピン255が干渉しないように形成される。
図2を示して、ガイドの端部(出口点271a,281a)の間の線形距離は、ヘアピンの2つの脚部の間の距離255pに対応する。
【0071】
当然、本発明の態様によれば、上述のように、単一の挿入ガイドがあるとき、単一の出口点がある。
【0072】
本明細書に記載の装置200において、好ましくは、上述の方法によれば、上述の閉じたS字形状スロット222,232はまとめて移動する。一方、内側カムブロック270と外側カムブロック280は、好ましくは、固定され続ける。この逆もできる一方、ヘアピンの挿入機器250の配置が位置を変える必要があるため、より複雑である。したがって、一方だけでなく、2つの円形動作がある。(カムブロック270,280及びツール250が移動する必要がある。)本明細書の態様によれば、スロット配列は、カムに関して一体的又は反対側の方向に回転し得る。
【0073】
カムブロック270,280及び配列220,230は、ヘアピン255が動作に従う必要がある経路を与える。実際に、カムブロックと配列との間の相対的動作は、ヘアピンが予め決められた動作に従うことを強いる。
【0074】
本明細書の態様によれば、
図19を参照すると、装置をプレアセンブリすることは、形成される巻き線セット290の2つのクラウンの間において把持されるように、自由円形空間295の内側の中線に挿入される分離パーティション265を備えてもよい。クラウンの間の分離パーティション265の厚みが、予め組み立てられたクラウンに対応するものであってもよい。
【0075】
本明細書に記載の巻き線方法は、
図8~13を参照して記載されている。この方法は、以下のステップを備える。
ヘアピン255のそれぞれの脚部による交差におけるカムエンベロープの挿入点を開くための適切な方法において、それぞれのカムに関して配列を配置して、スロットの配列の歯の障害を可能な限り取り除くステップ1。(これは、Iピン及びWピンなどの基本導体の挿入に適用する。)
ヘアピン255を配列に挿入するステップ2。スライドガイド253a,254aにそれぞれ挿入されるヘアピン255の脚部255a,255bは、挿入ブレード251により配列220,230(
図4)に付勢される。
(図示しない、本明細書に記載の装置の外部により)有利であるように、配列のスロットピッチ又は複数のスロットピッチを回転するステップ3。第1ピッチの挿入後、一方のスロットピッチにより配列を回転する。また、カムブロック270,280によりガイドされる脚部255a,255bは、回転して、最終位置に徐々に近づく位置に配置される。この最終位置は、プレアセンブリされる巻き線アセンブリ290において、カムブロック270,280が(両方の脚部と共に)有する(
図12参照)位置である。
(好ましくは同じ種類の)最後のヘアピン255を挿入して、連続する追加の回転を行う(図示せず)ステップ4。最後に挿入されたヘアピン255は、動作を完了して、内側カムブロック270と外側カムブロック280の経路から出るため、追加の回転を必要とし得る。この追加の回転は、特定の適用の場合におけるヘアピンと装置の大きさに応じて定まり得る。
同じ種類の連続するヘアピン255を挿入するステップ5。ステップ1,3は反復的に繰り返される。すなわち、ほぼすべてのヘアピン255が、挿入されて、巻き線セット又は「ヘアピンクラウン」290を完成する。
それぞれのカムエンベロープの挿入点に挿入されるように、(好ましくは、可能な限り異なるピッチ/スパン/スローを有するヘアピンの異なる種類に対して)ステップ1~5を繰り返すステップ6。
別のステップ7が、少なくとも1つのエンベロープガイド271,281から出口に挿入された最後の基本導体255、最後のIピン、又は最後のWピンを形成するため、予め決められた角度によりリングを回転することで構成されている。
【0076】
固定子又はロータの巻き線が構成されているとき、異なるクラウン(巻き線セット)に対してステップ1~6を繰り返すステップ8。アセンブリが複数のクラウンに同時に行われ得る。または、クラウンのヘアピンの挿入が、同じ巻き線の他のクラウンの部分的なアセンブリの後、始まり得る。また、基本導体の予め決められた数は、異なる予め決められた距離、すなわち脚部の間における予め決められた角度の開口部を有して用いられ得る。ステップ3の回転は、カムブロック270,280の構造により、以下を生じる。
それぞれのヘアピン255が、回転ピッチ又は複数の回転ピッチに対して、回転軸に関して実質的に回転する。この回転軸は、脚部の間の中央、中間位置、又はヘアピンの先端(
図3cにおける要素の中心点255c2)において、一方の脚部に配置されている。
それぞれのヘアピン255が、連続するヘアピン255の挿入空間を解放するため、回転ピッチ又は複数の回転ピッチに対して移動する。
【0077】
ヘアピンが、後期において、配列の回転方向における隣接部又は前のスロットに入るように挿入されることは必要でない。ヘアピンは、複数のスロットの距離において挿入され得る。ヘアピンの脚部は開始位置における自由円形空間に既にない。
【0078】
図15を参照すると、回転軸の位置に関して、(a)中央軸により形成されているエンベロープライン、及び(b)ヘアピンの脚部に沿って配置されている軸により形成されているエンベロープラインを、それぞれの軸周りのヘアピンのそれぞれの回転と共に示す。
【0079】
ステップ2~4において、ヘアピン255は配列220,230により(例えば、スロットを通る橋状部255cにより)支持されている。代替として、ヘアピン255は、低コントラスト要素により支持され得る。リング220,230は、基本導体を支持することに加えて、基本導体を移動する、及び/又は配置するように構成され得る。
【0080】
本明細書の態様によれば、ステップ1,2は、上述の内側ブロック270と外側ブロック280に関して行われる。ステップ3において、内側リング220と外側リング230の両方が逆回転する。または、2つの内の一方だけが回転する。もしくは、2つのリングが同じ方向に回転する。
【0081】
上述のステップは、ヘアピンの種類を変えることにより、例えばヘアピンを用いて繰り返され得る。このヘアピンにおいて、脚部と平行な予め決められた軸に関する脚部の角度の開口部は、予め用いられているヘアピンの角度の開口部と異なる。同じ方法において、所望の数の一様なヘアピンのセットが導入され得る。より大きな角距離を有するヘアピンの前に、より小さな角距離を有するヘアピンを用いることは、好ましく、常に必須でない。これは、小さな角距離のヘアピンと大きな角距離のヘアピンが入れ子にされているときだけ、すなわち一方の軸挿入が他の軸挿入により防がれるとき、必須である。巻き線を組み立てるように行われる一連の動作において、幅が大きいヘアピンは、幅が小さいヘアピンを挿入した後、強制的に挿入される必要がある。この幅が大きいヘアピンは、組み立てられた巻き線の構成において、幅が小さいヘアピンと交差する。関連している2つのヘアピンを含むことは同時でなくてもよい。上述の制限に関して、標準的なピッチ又は異なるピッチのいずれか一方のヘアピンは、別のヘアピンの前又は後に挿入され得る。
【0082】
ヘアピンのクラウン290は、ステップ6の終了時、形成される一方、装置200に挿入されたままである。固定子又はロータコアに適用するため、様々な方法で進めることができる。
図14を参照すると、以下の互いに連続するステップ(図示せず)が、好ましくは行われる。
ヘアピンの移動を防ぐため、カムブロック270,280の出口ダクト271a,271bを閉じるステップ8。このヘアピンを、カムブロックの開口部271a,271bにおいて示す。
ヘアピンのクラウン290を固定子コア300に挿入するステップ9。
【0083】
上述のステップ8の間、固定リングの形態におけるコントラスト、又はスロットの配列の全体が用いられ得る。これにより、形成された円形クラウンの脚部の径方向の動作を防ぐ。
【0084】
クラウン又は巻き線290のヘアピン255の端部が固定子又はロータコア300に挿入されるとき、又はこのステップの前に、格納できる外側又は内側要素230を備える配列は、ヘアピンのクラウン290を解放するように離れ得る。本明細書の態様によれば、
図13に示すように、これは、有利であるように、歯止め223(径方向の抽出に対して用いられる外側カムブロック280のタペット)により径方向外側に向けて(軸Xから離れて)格納できるセクタ又は挿入部221により生じ得る。
【0085】
その他、把持部は、ヘアピンのクラウン290を取り出して、固定子又はロータコア300に配置するため、用いられ得る。
【0086】
本明細書の態様によれば、プレアセンブリ装置は、2つ以上の同心レイヤを同時にプレアセンブリするため、構成され得る。この目的のため、スロット配列とカムブロックの回転に関して、2つのクラウンのヘアピンの回転の種類を定めることができる。
【0087】
図17aは、ヘアピンの中心曲げの方向に応じて、ヘアピンの回転モードを示す。
図17aは、詳細には、2つの脚部の一方の支点と共に、左向きのヘアピン(反時計方向の曲げ、すなわち曲げのレベルにおける下方の矢印)、及び曲げの方向(上方の矢印の時計回りの回転)に対して反対方向のヘアピンの回転を示す。
図15,16のように、同じ検討が、反対方向の中央曲げを有するヘアピンの場合に当てはまる。
図17aの中央矢印の方向を反転することにより、単純に、右向きの曲げ方向を有することができる。実際に、ヘアピンを構成している「U」字の橋部は、単一の曲率中心を有する平面又は表面に設けられない。2つの脚部の一方から始まり、第1位置、第1位置により不連続の角度を形成する中央位置、不連続の新しい角度を有する第2位置がある。これは、U字が、単一の曲率中心を有する曲線に沿う橋部により取り込まれること、及び頂部から見て、且つ参照点(脚部の一方)を固定するとき、橋部の中央部が左向き又は右向きにねじられることのようである。
【0088】
図17bを参照すると、ある態様において、本発明に記載の装置と方法により、単一のリングのアセンブリにおいて入れ子にされている異なるヘアピン(例えば、異なるスパン)を用いることができる。特に、この図において、径方向の幅が1つのレイヤと等しく、またスパン/ピッチ/スローが、同じレイヤにおいて一致する脚部をそれぞれ有する5,7スロットと等しい2つの同心ヘアピンを見つけることができる。
【0089】
図18を参照すると、ヘアピンの回転軸の位置をヘアピン自体に対して設定可能にすることにより、2つの巻き線クラウンを組み立てることを可能にする。この場合、2つのカム、すなわちそれぞれのリングに対して1つのカムが必要である。(完成した巻き線における)ヘアピンの最も外側(内側)の脚部が回転中心としての役目を果たすとき、カムは、作動して、形成されるクラウンの内側(外側)にある。カムは、ヘアピンの脚部、すなわち、ヘアピンの回転中心が配置されている脚部の支点に配置されているオブザーバにより分かるように、U字形状部の曲げの方向と反対方向のヘアピンの回転を誘導する必要がある。
図18は、2つのクラウンを組み立てるための動作を示して、異なる瞬間における(内側クラウン、外側クラウンの輪郭全体に対して着色されている)ヘアピン自体の位置を示す。
【0090】
ヘアピンは、一般的に、回転並進を受ける。
【0091】
図18(a)に示す場合、回転は、脚部の一方に関して生じて、内側ヘアピンに対して反時計回りであり、外側ヘアピンに対して、すなわち回転中心としての役目を果たす脚部に配置されているオブザーバに対して時計回りである。破線は、ヘアピン(カム形状又はエンベロープガイド)の相対的回転における脚部の異なる位置を含む曲線を示す。内側及び外側スロット配列は、動作を誘導するように、カムに関して拘束されて回転する。
【0092】
図18(b)に示す場合、
図18(a)に関して、外側クラウンのヘアピンが、変化して、この場合、図の左側の同じクラウンのヘアピンに関して鏡面であり、回転中心としての役目を果たす脚部のオブザーバに対するヘアピンの反時計回りの回転を想定する。内側及び外側スロット配列は、この動作を誘導するように、カムに関して逆方向に回転する。
図18(a),(b)は、上述の空の中心空間を示す2つの円形線の弧を示して、明確性のため、離れて示す。
【0093】
図19は、アセンブリの終了に向けて同時に組み立てられている2つのクラウン290,290’を示す。また、本明細書によれば、注目すべきことは、完全に任意で、分離パーティションがクラウンの間にあることである。このクラウンは、1つ以上の予め組み立てられたクラウンに対応するような厚みを有して、少なくとも3つのクラウンのサンドイッチ(図示せず)を形成し得る。
【0094】
図20~22を参照して、ABAB又はABBA型巻き線を組み立てるように入れ子にされているヘアピンを有する2つのクラウンは、本明細書に記載の装置により得られてもよい。
図21から明らかであるように、この場合、2つのクラウンは、ヘアピンの2つの脚部の間の中央軸に関する動作により得られてもよい。
【0095】
図23に示すように、ABBA型巻き線を組み立てるため、2対のカムエンベロープが、異なる角度位置において、対称軸Xに関して、エンベロープガイドの異なる大きさと共に構成され得る。中心ガイドの一方の大きさは、より大きな脚部を有するヘアピンの1対の脚部の厚みに関連している。また、他方の大きさは、2つの交差するヘアピンの2対の脚部の累積厚みに関連している。
図21(b)に示す固定子の一方の側面から見えるように、平坦なヘアピンの脚部の場合(2対の脚部が平坦でない、すなわち、同じ線上で終端がなくてもよい。)、最終的なクラウンにおける2つのヘアピンは、互いに交差して、従来技術に関する追加の利点を得る。
【0096】
本明細書の態様によれば、一般的に、2つの脚部の一方は、他方よりも、中心軸X又は自由円形空間295に関して近い。また、少なくとも1つの上記エンベロープガイド271,281は、基本導体255の少なくとも1つのグループに対して、基本導体の上記脚部が、中心軸Xから最も離れた少なくとも脚部の上記自由円形空間295に向かう上記基本導体255の動作に従って、上記自由円形空間295に入れられるように構成されている。基本導体は、一致する脚部のそれぞれに対して等しい運動経路と共に、中心軸Xに関する脚部の間の等しい角度幅を有する。この一致する脚部は、上記自由円形空間295の内側の上記少なくとも1つの巻き線アセンブリ290と一体となっているオブザーバの視点から、脚部のそれぞれを構成する。
【0097】
図22は、内側ブロックと外側ブロックの両方が2つのエンベロープガイド及び2つの挿入点を有する場合を示す。一般的に、それぞれのブロックは、いくつかのエンベロープガイドを有してもよい。
【0098】
本明細書の態様によれば、
図23は、(a)におけるスロット配列の側面から、また(b)におけるカムの側面から、2つのクラウンのプレアセンブリがあり、またカムブロックの外側ブロックと内側ブロックの両方が、180°に互いに配置されている2つのエンベロープガイドを有する実施形態を示す。ヘアピンは単一又は入れ子であってもよい。この構成の有利な点は、巻き線を急速に完成することである。
【0099】
また、図示しない本明細書の態様によれば、
図20に示す、異なる長さを有する異なるピッチのヘアピンをプレアセンブリするため、本発明に記載の装置において、上記中心軸Xの第1の高さにおいて、中心軸Xに関して径方向に伸びて、第1の一連のエンベロープガイド、及び第1の径方向の大きさを有する第1自由円形空間295を備える第1カムブロックがある。また、上記中心軸Xの第2の高さにおいて、中心軸Xに関して径方向に伸びて、第2の一連のエンベロープガイド、及び第2の径方向の大きさを有する第2自由円形空間295を備える第2カムブロックがある。この第1の高さは第2の高さと異なる。第1の径方向の大きさは第2の径方向の大きさと異なる。上記第1カムブロックと上記第2カムブロックは、使用するとき、同時且つ同期して回転する、又は固定し続けるように構成されている。これにより、それぞれのヘアピンを別々に動作することができる。また、異なる高さの2つのガイドは単一のブロックに構成され得る。さらに、上記第1の一連のエンベロープガイド及び上記第2の一連のエンベロープガイドの要素の数は、互いに1対2の比率であってもよい。また、これは、第1の径方向の大きさ及び第2の径方向の大きさに適用する。このオプションは、入れ子にされているクラウンの内側クラウンの内側ヘアピンに対するガイドが両方のカムブロック、すなわち上方のカムブロックと下方のカムブロックに配置されて、その他、内側ヘアピンの挿入と回転が上方のカムブロックにより防がれる検討から生じる。代替として、外側ヘアピンのガイドは下方のカムブロックにない。一方、複数の挿入点が外側ヘアピンに対してだけあるため、数の比率は常に1対2である。
【0100】
図24は、本明細書に記載の2つのクラウンの同時巻き線の簡略図を与える。一方、全体的に同様の方法が3つ以上のクラウンに適用する。(a)内側クラウンの第1のヘアピンが円形空間に入るとき、第2の(最も外側の)クラウンのヘアピンの回転していない脚部が、接近して、それぞれの挿入点、及び内側クラウンの第1のヘアピンに関して適切な角度により角度的にオフセットされているカムエンベロープになる。(b)2つのクラウンのアセンブリは(同時に)平行であり続ける。(c)外側クラウンのアセンブリの完了は、2つのクラウンの挿入点の角距離に応じて時間的にオフセットされている。本明細書に記載の動作は、2つ以上のクラウンのアセンブリに対して一般化されている。
【0101】
最後に、上記IピンとWピンを用いることは、本明細書に記載の装置と方法を適切に用いてできる。このため、記載されているプレアセンブリの間、Iピン又はWピンを受容するように構成されている1つ以上の対の空間を残すため、ヘアピンの予め決められたセットを挿入することが防がれる。
【0102】
本発明の態様によれば、Iピン及び/又はWピンを受容するための空間の代替として、Iピン及び/又はWピンのプレアセンブリは、非導電性の(例えば硬い)機械的接続手段により機械的に接続されるアセンブリとして行われ得る。この方法において、Iピン及び/又はWピンは、自由円形空間295に最初に配置され得る。再び、この方法において、Iピン及び/又はWピンを様々なサブセットに加えて、サブセットを自由円形空間に挿入することができる。また、機械的接続手段が可逆であり、巻き線セットを作る間、Iピンが機械的接続を有することなく放置されることができる。最後に、基本導体と同じカムガイド及びスロットを用いて、Iピン及び/又はWピンを組み立てることができる。このカムガイド及びスロットは、両方の種類のアセンブリに対して構成されている。カムガイドにおけるIピンの単一の脚部、及び/又はWピンの3つ以上の脚部の内の少なくとも1つの脚部を挿入することができる。Iピン及びWピンは、自由円形空間におけるスロットの相対的回転の後、最終的に配置されている。
【0103】
要約すると、本発明に記載の方法は、電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線アセンブリ290を完全又は部分的にプレアセンブリするための方法である。この方法は複数の基本導体255を含む。上記複数の基本導体255は、それぞれ、2つの脚部255a,255bを備える。この2つの脚部255a,255bは、2つの自由端255aE,255bEを備える略「U」字形状を形成するように、非円形断面と、2つの脚部の間における橋状接続部255cとを有する。この方法は、以下のステップを備える。
スロット間の一定又は可変ピッチを有する少なくとも1つのリング220,230と共に、上述の電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線セット290をプレアセンブリするための第1の装置を与えるステップS1であって、少なくとも1つのカムブロック270,280が、少なくとも1つのエンベロープガイド271,281と自由円形空間295を有するステップS1。
初期位置に向かう少なくとも1つのカムブロックに関して、両方の脚部255b,255aをそれぞれのエンベロープガイド271,281に挿入できるように、又は2つの脚部の一方をエンベロープガイド271,281に、且つ2つの脚部255b,255aの異なる脚部を自由円形空間295に挿入できるように、上記少なくとも1つのリング220,230の全体又は一部を回転するステップS2。
基本導体255の2つの脚部255a,255bを、少なくとも1つのリング220,230と異なるそれぞれのスロット222,232に、同時に前記エンベロープガイド271,281の一方の脚部、及び自由円形空間295又は別のエンベロープガイド271,281の2つの脚部の他方により、上記カムブロック270,280に挿入するステップS3。
最後に挿入された基本導体255の自由円形空間295に向けて接近する動作を得るように、一方又は複数のスロットピッチにより、少なくとも1つのリング220,230及び/又は少なくとも1つのカムブロック270,280をそれぞれの方向に回転するステップS4。
巻き線ユニット290の予め決められた数の基本導体255を挿入するまで、ステップS2~S4、又はステップS3とステップS4を繰り返すステップS5。
【0104】
本発明によれば、基本導体255は、脚部の間において、予め決められた角度の開口部又はピッチを有して、ステップS1~S5において用いられている。また、この方法の以下の追加の反復ステップが、ステップS5の後に行われる。
ステップS1~S5又はステップS1~S6を繰り返すステップS9。このステップS9において、予め決められた数の基本導体255が用いられて、巻き線アセンブリ290が完全又は部分的に組み立てられるまで、対応する上記ステップと異なる脚部の間において、予め決められた同じ角度の開口部を有する。
【0105】
この状況において、例えば、同じ角度の開口部を有するすべての基本導体255は、巻き線における最終位置に関して、上記同じ角度の開口部を備える角度の開口部の基本導体の前に挿入され得る。
【0106】
また、ステップS2又はS3は、同心巻き線アセンブリの複数のセットを組み立てるための方法のステップの反復において、別の巻き線アセンブリのプレアセンブリの最後のステップの終了前に開始し得る。
【0107】
図9を参照すると、ステップS4の回転は、角度βが、2つの連続的に挿入される基本導体255の間にあり、少なくとも1つのエンベロープガイド271,281の一方において、連続的に挿入される基本導体255を挿入するための空間を取り除くように、2つの脚部255a,255bの一方の周りの基本導体255の回転に対応することである。上記角度βは、基本導体255の大きさ、及び上記少なくとも1つのエンベロープガイド271,281の構造により定まる。
【0108】
この第1の装置において、上記少なくとも1つのエンベロープガイド481,482は、単に、上記自由円形空間295により囲まれている円周の内側、又は該円周の外側だけにあってもよい。代替として、様々なエンベロープガイドが、上記円周の内側及び外側にいくつかあってもよい。
【0109】
図25~30は、本発明に記載の装置及び方法の別の実施形態を示す。この実施形態は、上述したことを用いる。
【0110】
図25(a)は、巻き線セットのヘアピンの間の接続の種類を示す。この巻き線セットは、単一の曲げ方向を有するヘアピン又は基本導体を用いる。基本導体は、線形化された固定子ブロックに関して、上方から挿入されて、下方に溶接される。電気的経路は、レイヤ1とレイヤ2に戻るため、レイヤ1からレイヤ2へ進む。その後、電気的経路は、レイヤ3,4を通り、再びレイヤ3,4に戻る。
【0111】
代替として、
図25(b)は、異なる曲げ方向を有するヘアピンを用いる巻き線セットの部分を示す。基本導体は、固定子コアの同じ側面に挿入される。巻き線の端子は、この側面から現れる。一方の脚部によりレイヤ2に挿入されて、且つ(電流の方向に関して)連続する脚部によりレイヤ1に挿入される基本導体、及び一方の脚部によりレイヤ4に挿入されて、且つ(電流の同じ方向に関して)連続する脚部によりレイヤ3に挿入される基本導体は、すべて、同じ曲げ方向を有する。一方の脚部によりレイヤ2に挿入されて、且つ(電流の同じ方向に関して)連続する脚部によりレイヤ3に挿入される基本導体は、すべて、上記曲げ方向に対向する曲げ方向を有する。このため、後者の基本導体は「逆」と呼称される。Iピン及び/又はWピンの導体のセットは、巻き線を完成して、基本導体により放置されている固定子のスロットの位置に配置されている。この位置は、関係している図面において、最も外側のレイヤと最も内側のレイヤに属している。レイヤからレイヤに向かう電気的経路は、1-2-1-2-3-4-3-4の順番に直観的にまとめられ得る。巻き線の他の表現において、異なる数のモジュール2-1又は4-3、若しくは溶接接続部2-3があってもよい。
【0112】
図25(b)に示すように、工業的及び適用の必要性のため、電気的経路は、複数のレイヤと複数のクラウンを有する巻き線において要求されて、(クラウンのヘアピンの曲げに関して異なる曲げを有する)「逆」の基本導体により少なくとも部分的に装着される少なくとも1対のレイヤ、及びIピン及び/又はWピンの少なくとも2つの対応するレイヤを用いる。この場合、巻き線のクラウンのインタレースは、上述の装置と方法により容易に克服されないアセンブリの問題を示す。したがって、本発明は、設けられている「逆」ヘアピンを有する巻き線セットを組み立てるため、ステップと特性を上述に追加する装置と方法を備える。
【0113】
図31により、逆の基本導体及びI/Wピンの構成の実施例が与えられる。
【0114】
図26に示すように、例えば、本発明に記載の装置200は、最も内側のレイヤ290-4において、一連のIピン及び/又はWピンを含む不完全な巻き線のセットを有するように用いられ得る。一方、レイヤ290-3におけるヘアピンの残りは、すべてに対して同じである単一の曲げ方向を有する2つの脚部のヘアピンである。巻き線セットの不完全性はレイヤ290-3にある。したがって、ヘアピンの脚部により占有されていない自由な部分がある。
【0115】
この時点で、逆のヘアピンを追加するように求められる場合、両方の脚部を、径方向動作の構成要素を有する巻き線セット290に接近させることが必要である。その他、少なくとも1つの脚部の軸方向の挿入が、レイヤ3,4に挿入されるヘアピンの接続橋があることにより防がれる。
図27(b)に示すように、逆のヘアピンの2つの見える脚部に対する第1の2つの上部レイヤの一方のヘアピン(ドット付きのヘアピンを参照)の橋状部は、最終位置において軸方向に該脚部を挿入することを試みる場合、該逆のヘアピンの該脚部の軸方向の挿入を妨げる。
図27(c)において、発明の方法の種類を示す。一般的に、
図27(c)に示す動作が始まるときから開始動作の一定時間における逆のヘアピンの位置は、組み立てられているヘアピン、又は同じ時間に組み立てるステップの間のヘアピンの橋状接続部の位置に対応する必要がある。実際に、その他、この橋状接続部は、巻き線に関して最終位置に配置されていなくても、逆のヘアピンを組み立てることを妨げる。
図27(a)は、複数の逆のヘアピン255rが加えられて、レイヤ290-2を形成することを始める巻き線セットを示す。逆のヘアピンのセットは「Nr」のヘアピンにより形成される。この「Nr」のヘアピンは、傷のついた固定子において、内側クラウンの放置されているレイヤ(図面を参照すると、この表現において、これは、Iピンの単一のレイヤがある角度のクラウン部である。)における上記自由なレイヤ全体を占有するための脚部と、内側面に隣接するクラウンの内側のレイヤにおける他の脚部とを有する。内側クラウンのヘアピンの頂点部(又は橋状接続部)の曲げの方向は、反時計周り(又は時計周り)である。脚部から見ると、上記逆のヘアピンの一方の頂点部の曲げの方向は、左向き又は右向きである(
図17(a)参照)。一般的に、基本導体255に対する第1の曲げ方向、及び基本導体255rに対する第2の曲げ方向について述べることができる。
【0116】
図28は、
図27の巻き線セットから得られる巻き線セットを示す。図において、逆でないヘアピンが、レイヤ290-1をほぼ完全に形成するように連続的に加えられる。巻き線セットは、Iピン及び/又はWピンにより完成し得る。この挿入が、逆のヘアピンの挿入の後、行われ得る。
図26の巻き線アセンブリは、第1の曲げ方向とIピン及び/又はWピンを有する基本導体を組み立てることができる本発明に記載の第1の装置により得られる。
図27の巻き線アセンブリは、第2の曲げ方向を有する基本導体を組み立てることができる本発明に記載の第2の装置により得られる。
図28の巻き線アセンブリは、第1の曲げ方向とIピン及び/又はWピンを有する基本導体を組み立てることができる本発明に記載の第3の装置により得られる。
【0117】
また、形成される巻き線セットを取り除く必要がないようなエンベロープガイドを有する単一の装置を用いることができる。
【0118】
図26~28の巻き線が、最も内側のレイヤから最も外側のレイヤに向けて組み立てられる。一方、アセンブリは、3つの装置を用いる順序を適切に変えることにより、外側から内側に向けて同様に行われ得る。
【0119】
図29,30を参照すると、装置400の特性、及びプレアセンブリのための方法のステップを詳細に示す。
【0120】
装置400は、一部の違いを有して、装置200に類似している。カムブロック480が同様にある。参照符号481,482により、2つのエンベロープガイド(必要条件によれば、2より大きな任意の数であってもよい。)を示す。この2つのエンベロープガイドは、自由円形空間495により囲まれている円周の内側にだけ、又は上記円周の外側にだけある。一般的に、上記装置200は、この方法において、形成され得る。
【0121】
上記巻き線セット290を終了させる前に、交互に、ステップS1の装置が請求項18において形成される、または以下のステップが行われる。
電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線アセンブリをプレアセンブリするための第2の装置400を与えるステップR1。少なくとも2つのエンベロープガイド481,482が、スロット426間の一定又は可変ピッチを有する少なくとも1つのリング425と共に、(符号が異なる一方、自由円形空間295と実質的に同一の)自由円形空間495において囲まれている円周の内側にだけ、又は上記円周の外側にだけある。また、少なくとも1つのカムブロック480が、少なくとも2つのエンベロープガイド481,482と自由円形空間495を有する。
ステップS5,S6,又はS9の第1の装置200から少なくとも1つの上記巻き線アセンブリ290を取り除くステップR2。第1曲げ方向を有する橋状接続部を備える基本導体255が、ステップS5,S6,又はS9において用いられる。
少なくとも1つの巻き線アセンブリ290を上記第2の装置400の上記自由円形空間495に挿入するステップR3。
また、ステップS5,S6,又はS9の後、且つステップS7の前に、以下の別のステップが行われる。このステップにおいて、基本導体255は、第1曲げ方向を有する橋状接続部255cと共に用いられる。または、ステップR3の後に、以下の別のステップが行われる。
初期位置までの少なくとも1つのカムブロック480に関して、上記少なくとも1つのカムブロック480において、2つの脚部により、少なくとも1つの基本導体255,255rをそれぞれのエンベロープガイド481,482に挿入できるように、上記少なくとも1つのリング425の全体又は一部を回転するステップR4。
基本導体255,255rの2つの脚部を、少なくとも1つのリング425のそれぞれ異なるスロット426に、同時に2つのエンベロープガイド481,482のそれぞれの2つの脚部により、上記カムブロック480に挿入するステップR5。
最後に挿入された基本導体255,255rの自由円形空間495に向けて接近する動作を得るように、一方又は複数のスロットピッチにより、少なくとも1つのリング425及び/又は少なくとも1つのカムブロック480をそれぞれの方向に回転するステップR6。
予め決められた数の基本導体255,255rを少なくとも1つの巻き線セット290に挿入するまで、ステップR4~R6、又はステップR5,R6を繰り返すステップR7。
基本導体255,255rのプリセット番号は、第2曲げ方向を有する基本導体255rのサブセットを備える。
第2曲げ方向は上記第1曲げ方向に対向する。
【0122】
ステップR2の巻き線セット290は、1つ以上の巻き線レイヤ290-1,290-4において、予め決められた数のIピン又はWピンを備えてもよい。基本導体255rの上記サブセットは、それぞれ、上記予め決められた数のIピン又はWピンの脚部において角度的に、少なくとも1つの脚部により挿入される。明らかに、エンベロープガイドと自由円形空間は、Iピン及び/又はWピンを挿入して加工できるように構成されている必要がある。一般的に、Iピン又はWピンは、異なるレイヤ(対応する奇数又は偶数)の逆の基本導体の脚部と等しい角度位置において、所定のレイヤ(奇数又は偶数)に配置されている脚部を有する。
図28を参照すると、Iピン又はWピンが、基本導体255rの脚部により占有されている角度位置において、巻き線の最も内側のレイヤにあることを示し得る。図示しなくても、Iピン又はWピンは、最も外側のレイヤ290-1に挿入される。
【0123】
ステップR7の後、代替として、ステップS1の装置は、自由円形空間の円周の外側又は内側の少なくとも2つのエンベロープガイドにより、Iピン及び/又はWピンを加工するように構成され得る。または、ステップR7の後、以下の追加のステップが行われる。
ステップR1において形成されるような電気機械の固定子又はロータ用の少なくとも1つの巻き線アセンブリをプレアセンブリするための第3の装置400を与えるステップL1。この第3の装置400は、スロット426間の一定又は可変ピッチを有する少なくとも1つのリング425と共に、Iピン及び/又はWピンを組み立てるように構成されている。また、少なくとも1つのカムブロック480が、少なくとも1つのエンベロープガイド481,482と自由円形空間495を有する。
ステップR7の装置400から少なくとも1つの巻き線アセンブリ290を取り除くステップL2。
上記少なくとも1つの巻き線アセンブリ290を上記第3の装置400の上記自由円形空間495に挿入するステップL3。
ステップR7又はL3の後に、以下の別のステップが行われる。
初期位置までの少なくとも1つのカムブロック480に関して、少なくとも1つの基本導体255、又は少なくとも1つのIピン若しくはWピンを挿入できるように、上記少なくとも1つのリング425の全体又は一部を回転するステップL4。上記少なくとも1つのカムブロック480において、2つの脚部がそれぞれのエンベロープガイド481,482に挿入される。
基本導体255、Iピン、又はWピンの脚部を、少なくとも1つのリング425のそれぞれ異なるスロット426に、同時に対応するエンベロープガイド481,482の脚部により、上記カムブロック480に挿入するステップL5。
最後に挿入された基本導体255の自由円形空間495に向けて接近する動作を得るように、一方又は複数のスロットピッチにより、少なくとも1つのリング425及び/又は少なくとも1つのカムブロック480をそれぞれの方向に回転するステップL6。
少なくとも1つの巻き線セット290の予め決められた数の基本導体255、及び/又はIピン、及び/又はWピンを挿入するまで、ステップL5,L6を繰り返すステップL7。
上記予め決められた数の基本導体255は、上記第1曲げ方向を有する前記基本導体である。
【0124】
ステップR7の後、上記少なくとも1つの巻き線セットは、ステップR1~R7において、また必要ではない一方、可能な限りステップL1~L7において、予め決められた数のレイヤによる最後のステップR7、及び最終的なステップL1~L7における少なくとも1つの最終的な巻き線セットを得るための予め決められた数の反復に対して再び用いられ得る。これは、外側のレイヤと内側のレイヤの間における中間のレイヤに配置されているIピンを有する巻き線を形成して、他のヘアピンをまたいで配置されている隣接しないレイヤにおける脚部を有するように逆のヘアピンを必要とすることを示し得る。
【0125】
複数の異なる装置を用いる特定の実施例において、この反復の方法により、一般的に、2×n-1個の装置において、巻き線アセンブリはn個のレイヤに対して得られる。このn個のレイヤは、n/2個のクラウンを組み合わせる逆のヘアピンのn/2-1個のセットを含む。巻き線のセットは、所望の電気的経路を形成するため、異なるレイヤ(好ましくは、対向する外側のレイヤ290-1,290-4)におけるIピン及び/又はWピンの1個又は2個のセットを便宜上含む。
【0126】
本明細書に記載の装置と方法により、巻き線セットを形成するため、挿入されたすべてのヘアピンを同時に回転させることを必要とすることなく、ヘアピンの巻き線セットの製造を自動化することができる。
【0127】
また、本明細書に記載の装置と方法は、スロット又は非円形スロットに対する適合を用いることを必要とすることなく、円形ワイヤ棒導体、及び「長方形」導体及び「台形」導体のような円形と異なる断面を有する棒導体と共に便宜上用いられ得る。この方法において、本明細書に記載の装置と方法により、ヘアピンの隣接する脚部に完全に接近することができる。
【0128】
本明細書に記載の装置と方法は、1以上、特に2以上のスロット当たりのワイヤの数を有する固定子に対して有効である。複数の巻き線セットの場合、この方法は、それぞれの巻き線セット又はレイヤを形成すること、及び固定子又はロータに再び連結することを想定する。
【0129】
また、本明細書に記載の装置と方法により、棒導体の脚部に対して軸方向に停止する隣接部を形成する底壁がないため、異なる長さの脚部を有する棒導体を管理することができる。
【0130】
さらに、本明細書の装置と方法によれば、固定子において巻き線を挿入するための抽出把持部を用いることは必要でない。
【0131】
本明細書に記載の本発明の利点の包括的でないリストを以下に与える。
1.クラウン自体を完成するため、順番に、又は「特別な」ヘアピンと平行に追加することによる、ヘアピンのクラウンの一部のアセンブリ。
a.異なるスパン/ピッチ/スローを有するヘアピンを備えるクラウンを組み立てる可能性。
b.ヘアピンが挿入される固定子の側面における端子を備えるクラウンを組み立てる可能性。
c.スターポイント接続部に対して用いられる、フォーク形状又は「W」字形状のヘアピンを備えるクラウンを組み立てる可能性。
2.複数のクラウンのアセンブリ。
3.同じレイヤ及び隣接するスロットに配置されている一致する脚部を有して、また異なるピッチのU字形状の曲げを有する同心のヘアピンを備えるクラウンのアセンブリ。このピッチは、所定のヘアピン用の標準的なピッチの7/6と等しく、別のヘアピン用の標準的なピッチの5/6と等しい。
4.ABBA,ABAB,及びAABBパターン(米国特許6,894,417号の
図6参照)において重複するクラウンのアセンブリ。
5.重ねられたヘアピン(米国公開特許20030214196号の
図1参照)を備えるクラウンのアセンブリ。
【符号の説明】
【0132】
100:固定子モータ用の円形断面のヘアピンを有するロータの巻き線を形成するための装置(従来技術)
110:円形断面のヘアピン
120:ピンを挿入するためのポケット
130:回転支持リング
140:ポケット120が配置されている回転外側リング
195:第3の同心要素
180:ピンを挿入するためのポケット
190:ポケット180が配置されている内側リング
150:装置の軸
160:回転外側リング又は内側リングの回転方向
170:ヘアピンを有するロータ巻き線
200:本発明に記載の非円形断面のヘアピンを有する固定子/ロータの巻き線を形成するための装置
210:外側格納リング
211:外側格納リングの下方のレイヤ
212:外側格納リングの上方のレイヤ
220:格納できる挿入部221の操作機構を備える外側配列
221:格納できる挿入部(外側配列要素)
222:格納できる挿入部の開口スロット、すなわち長方形S字部
222a:径方向における、格納できる挿入部のスロットの閉端部
222b:径方向における、格納できる挿入部のスロットの開口端部
223:格納できる挿入部を操作するための格納できる挿入部の歯止め
230:内側配列
232:内側配列の開口スロット
232a:径方向における、内側配列のスロットの閉端部
232b:径方向における、開口端部222bに対向する内側配列のスロットの開口端部
240:支持ハブ
250:(円形断面、正方形断面、又は他の断面を有する)ヘアピン挿入機器
251:ヘアピンの付勢部品
252:ヘアピンの付勢部品のハンドル
253:挿入機器の第1垂直ロッド
253a:第1垂直ロッドのスライドガイド
254:挿入機器の第2垂直ロッド
254a:第2垂直ロッドのスライドガイド
255:ヘアピン
255a:ヘアピンの第1脚部
255aE:ヘアピンの第1脚部の自由端
255a1:ヘアピンの脚部の第1直線部
255a2:ヘアピンの脚部の階段状部
255a3:ヘアピンの脚部の第2直線部
255b:ヘアピンの第2脚部
255bE:ヘアピンの第2脚部の自由端
255c:ヘアピンの脚部の橋状接続部
255c1:第2脚部と繋がる橋状接続部の部分
B:部分255c1の伸長の主な方向
RB:部分255c1の曲率半径
255c3:第1脚部と繋がる橋状接続部の部分
A:部分255c3の伸長の主な方向
RA:部分255c3の曲率半径
255c2:橋状接続部の中央部
C:部分255c2の伸長の主な方向
α1:方向A,Cの間の角度
α2:方向A,Bの間の角度
α3:α1とα2の合計に等しい方向B,Cの間の角度
255i:Iピン
255p:ヘアピンの脚部の間の距離(ピッチ)
255r:逆のヘアピン
260:ブッシング
261:ガイドの厚み
265:クラウンの間の分離パーティション
270:内側カムブロック
271:内側カムブロックのエンベロープガイド
271a:(空の円形空間における、閉じ得る)内側カムブロックの出口点
271b:内側カムブロックの挿入点
280:外側カムブロック
281:内側カムブロックの挿入ガイド
281a:(中央の空の円形空間における、閉じ得る)外側カムブロックの出口点
281b:外側カムブロックの挿入点
β:次のヘアピンを挿入するための空間を開けるために必要であり、ヘアピンの大きさに応じて、連続して挿入される2つのヘアピンの間の角度(従来技術において、βはより大きい。また、プレアセンブリは同時に行われる。)
290:ヘアピンのクラウン(巻き線セット)
290’:ヘアピンの別のクラウン(巻き線セット)
295:カムブロック内、又はカムブロックの間の自由円形空間
300:固定子パック
400:装置200と異なる、本発明に記載の非円形断面のヘアピンを有する固定子/ロータの巻き線を形成するための装置
425:装置400のリング
426:リング425のスロット
480:装置400のカムブロック
481,482:カムブロック480のエンベロープガイド
485:自由円形空間495により囲まれている円周に関する内側カムブロックの部分
495:カムブロック480の自由円形空間
255,255r:装置400と共に用いられ得る基本導体
290-1:巻き線セットの第1レイヤ
290-2:巻き線セットの第2レイヤ
290-3:巻き線セットの第3レイヤ
290-4:巻き線セットの第4レイヤ
RF:リング425における参照点
【0133】
本明細書において、好ましい実施形態を記載して、本発明の一部の変形例を示した。一方、添付されている請求項により定められているように、当業者が、それぞれの保護の範囲から逸脱することなく、変更を行うことができることが分かる。