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特許7269946外科的手技をシミュレートするためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】外科的手技をシミュレートするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20230427BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20230427BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
G09B19/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020544166
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 FR2018052799
(87)【国際公開番号】W WO2019092382
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】1760601
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520159363
【氏名又は名称】ヴィルチュアリサージ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミニャン,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジョリヴェ,エルワン
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544373(JP,A)
【文献】特開2011-133830(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210315(JP,U)
【文献】特開2003-210386(JP,A)
【文献】特表2017-510826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的手技を行うための訓練装置(1)であって、前記装置(1)が、
-少なくとも1つの手術器具(8)を受け入れることを意図された操作インターフェースを画定する第1の表面(9)、及びベース(21)を形成する筐体(2)の残りの表面と、
-前記第1の表面(9)上に配置される開口部(4)と、
-前記開口部(4)の円周に維持される接続境界部(6)であって、前記接続境界部(6)が、シース(7)を受け入れ、支持するのに適する、接続境界部(6)と、
を含む筐体(2)を備え、
前記第1の表面(9)が前記ベース(21)に対して動かされるように構成された可動部分(10)を含み、前記開口部(4)が前記可動部分(10)に配置されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記第1の表面(9)が、前記可動部分(10)から離れた前記第1の表面(9)の別の部分に配置される別の開口部(4)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記可動部分(10)から離れた前記第1の表面(9)の別の部分が前記ベース(21)と一体であることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記可動部分(10)から離れた前記第1の表面(9)の別の部分も前記ベース(21)に対して可動であることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの可動部分(10)の並進運動を可能にするべく前記少なくとも1つの可動部分(10)と係合するように構成された少なくとも1つのスライドを含むことを特徴とする、請求項1乃至4の一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記接続境界部(6)が、そのヤング率が0.002MPaと50MPaとの間のエラストマー、発泡体、シリコーンゲル、又はプラスチック材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記筐体(2)が、少なくとも1つの開口部(4)の近くに配置される少なくとも1つのガイド境界部を備え、前記ガイド境界部が、シース(7)の長手部分(71)とのボールジョイント接続をもたらすことを特徴とする、請求項1乃至6の一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記接続境界部(6)が取り外し可能であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記装置(1)を支持体に取り付けるためのシステム(3)と、前記取り付けシステム(3)での前記装置(1)の位置を調節するための手段(5)をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
外科的手技の訓練のためのガイドシステムであって、
-請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置(1)と、
-前記装置(1)の開口部(4)のうちの1つに導入され、維持され、手術器具(8)を受け入れるのに適する、中空の長手部分(71)を含む第1のシース(7)であって、前記第1のシース(7)が、前記器具(8)の移動のための摺動ピボット接続をもたらす、第1のシース(7)と、
を含むことを特徴とする、ガイドシステム。
【請求項11】
前記装置(1)の第2の開口部(4)内に導入され、維持され、手術器具(8)を受け入れるのに適する、中空の長手部分(71)を含む第2のシース(7)をさらに含み、前記第2のシース(7)が、前記器具(8)の移動のための摺動ピボット接続をもたらすことを特徴とする、請求項10に記載のガイドシステム。
【請求項12】
少なくとも1つのシース(7)が、前記シース(7)の長手部分(71)の内面上に配置される弾性材料層(74)を備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載のガイドシステム。
【請求項13】
-レバー(82)と、
-前記訓練装置(1)の開口部(4)の1つに又は接続境界部(6)に導入することを意図されたシャフト(81)と、
-制御インターフェース(83)と、
-前記手術器具(8)の少なくとも1つの向きセンサ及び少なくとも1つの位置センサと、
-前記センサによって収集されたデータを遠隔コンピュータに送信するための少なくとも1つの通信インターフェースと、
を含む少なくとも1つの手術器具(8)を備えることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のガイドシステム。
【請求項14】
-前記制御インターフェース(83)の作動センサ、又は前記手術器具(8)上に配置され制御インジケータを生成する前記手術器具(8)の機能部センサと、
-前記レバー(82)上に配置されたセンサから受信したデータに応じて、一方では前記制御インジケータの値、他方ではディスプレイ上に表示する画像の向き及び位置を判定するためのコンピュータを含む、ディスプレイ上の患者の身体の領域の画像の生成器と、
-制御インジケータが生成され、患者の身体の領域(105)を表示するときに、少なくとも1つの手術器具の一部(106)の及びその作動に対する動きの再現を表示するビデオディスプレイと、
を備えることを特徴とする、請求項13に記載のガイドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科医の訓練のために外科的手技をシミュレートするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科専門医の学習は、現在、理論、実症例の観察、その後、より経験を積んだ外科医の監視の下での実際の患者に対する手技の実践を通じて行われている。
【0003】
訓練を受ける外科医は、習得すべき実施に慣れるために外科的手技の実施を重ねる必要がある。さらに、外科専門医には、器具の誤操作を防ぐために、厳密さ、正確さ、及び繊細さが要求される。1つの問題は、患者が存在するときに、誤操作が、血管又は臓器を穿孔する又は破るなどの合併症につながる場合があることである。前述のタイプの事故は、患者の生存のための侵襲的な潜在的に危険な手術による患者の緊急処置を伴うことが多い。
【0004】
それゆえ、外科医が患者を伴わずに実際の外科的手技を練習できることが重要である。
【0005】
したがって、患者に実施するときに潜在的に危険な操作の練習を行うために、外科医の訓練の中で、操作段階と実施学習段階とを確保する必要がある。
【0006】
訓練シミュレータによる手術訓練方法が存在する。例えば、訓練生外科医は、ジョイスティックを操作して仮想環境と対話することで外科的手技をシミュレートする。外科的手技のシミュレーションを制御及びガイドするための手の位置の感知システムも存在する。
【0007】
しかしながら、第1の欠点は、学習者が手術中と同じ感覚状態を得られないことである。
【0008】
文献EP0935796は、最小限に侵襲的な外科的手技を行うべく人を訓練することを意図したシステムを開示している。前記装置は、器具を挿入するための開口部を有するハウジングを備える。挿入されると、器具は、軸方向の並進運動と回転運動をすることができる。前記器具は、ハウジング内でガイドシステムとセンサシステムに接続される。装置は、呼吸サイクルと心拍によってアニメーション化される患者の身体を示すビデオを映すスクリーンも備える。スクリーンは、前記ビデオ上に、外科医の器具の仮想世界での位置を重ね合わせる。
【0009】
手術器具と、手術器具の運動を制限するように構成された支持構造体とを備える訓練装置を説明する文献US2016/133158も公知である。或るボリューム内の器具の運動の制限は、最小限に侵襲的な手術で直面する運動の制限を模擬する。前記文献は、仮想環境を生成することと、生成された仮想環境に前記器具の表現を組み込むために器具の運動を追跡することも開示している。
【0010】
文献US2017/251900も、表面とシースを収容するためのスロットとを備える訓練装置を開示している。前記文献は、装置内部をスクリーン上に再現するためのカメラシステムを開示している。
【0011】
第1の欠点は、学習者の感覚が、手術時に外科医が感じる感覚と一致しないことである。特に、器具の運動の自由度、及び、前記器具と患者の身体又は他の医療器具との相互作用は、実際の状況を表すものではない。
【0012】
第2の欠点は、前述のタイプの装置は、非常に特異的な外科的手技の実施を練習することにのみ適することである。前述の欠点は、このような装置に属するハウジングの表面に複数の開口部が想定されるときに、これらの開口部が、該当する病変部に特異的に関連する介入領域に対応する所定の位置に従って配置されることから根本的に生じる。結果として、別の病変部の範囲内に介入するべく医療スタッフを訓練するためには、ハウジングを交換しなければならず、これは追加の、しばしば複雑な、費用がかさむ操作を伴う。
【0013】
したがって、実際の外科的手技中に知覚される感覚を最適化された様態で模擬する外科的手技を行うための、及び、複数の外科的手技をシミュレートするための訓練装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、従来技術の欠点を克服した、外科的手技を行うための訓練装置に関する。
【0015】
したがって、本発明は、外科的手技を行うための訓練装置に関する。本発明はまた、外科的手技をガイドするためのシステムに関する。
【0016】
一態様によれば、本発明は、外科的手技を行うための訓練装置であって、筐体を備え、前記筐体が、少なくとも1つの手術器具を受け入れることを意図された操作インターフェースを画定する少なくとも1つの第1の表面、及びベースを形成する前記筐体の残りの表面と、前記第1の表面上に配置される開口部と、前記開口部の円周に維持される接続境界部であって、前記接続境界部が、シースを受け入れ、支持するのに適する、接続境界部とを備えることを特徴とする装置に関する。
【0017】
有利なことに、本発明は、実際の外科的手技中に知覚される感覚を最適化された様態で模擬することにより、及び、複数の外科的手技をシミュレートすることを可能にすることにより、外科的手技、特に微小侵襲外科的手技を再現することを可能にする。
【0018】
特定の実施形態において、訓練装置は、単独で、又はすべての可能な技術的組み合わせに従って、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに備え得る。
【0019】
一実施形態において、第1の表面は、ベースに対して可動部分を含み、前記開口部は前記可動部分に配置される。前記第1の表面のこのような構成は、可動部分に配置される開口部の位置を修正することを可能にする。したがって、当該外科的手技に関連して施されることが意図される切開の位置を最適化された様態で再現できるので、これは特に有利な構成である。このように、実際の状態を最適化された様態で再現しながら、同じ装置で複数の外科的手技を練習することが可能である。可動部分を有する訓練装置の構造は、各患者の形態に適応させることも可能にする。
【0020】
一実施形態において、第1の表面は、前記可動部分から離れた第1の表面の別の部分に配置される別の開口部を含む。第1の表面のこのような構成は、シースの数、したがって、最終的にチャンバに導入される可能性がある手術器具の数を増加させることができるので有利である。
【0021】
一実施形態において、前記他の部分は、ベースと一体である。したがって、前記構成によれば、2つの開口部間のギャップの修正は、単一の可動部分の位置の修正からもたらされる。このようなレイアウトは、所与の外科的手技に適合させるのに僅かな操作を必要とする、単純な設計の装置を得ることを可能にする。
【0022】
1つの代替的な実施形態において、前記他の部分もベースに対して可動である。したがって、前記構成によれば、各開口部は、可動部分に配置され、可動部分は互いに離れている。このようなレイアウトは、特に、訓練装置が密集した環境におかれているために各可動部分の可動性の振幅が低減するときに、2つの開口部間のギャップの修正の可能性を高めることができる。患者の様々な形態への装置の適応性も向上する。
【0023】
一実施形態において、装置は、少なくとも1つの可動部分の並進運動を可能にするべく前記少なくとも1つの可動部分と係合するように構成された少なくとも1つのスライドを含む。
【0024】
一実施形態において、前記接続境界部は、エラストマー、発泡体、シリコーンゲル、又はプラスチック材料を含む。一実施形態において、接続境界部は、そのヤング率が0.002MPaと50MPaとの間の少なくとも1つの要素を備える。
【0025】
一実施形態において、筐体は、少なくとも1つの開口部の近くに配置される少なくとも1つのガイド境界部を備え、前記ガイド境界部は、シースの長手部分とのボールジョイント接続をもたらす。
【0026】
有利なことに、前記実施形態は、手術、特に微小侵襲手術での実際の状況で感じられる感覚フィードバックを最適化された様態で再現することを可能にする。
【0027】
一実施形態において、接続境界部は、ガイド境界部である。一実施形態において、接続境界部は、取り外し可能である。
【0028】
一実施形態において、訓練装置は、前記装置を支持体に取り付けるためのシステムと、前記取り付けシステムでの前記装置の位置を調節するための手段をさらに備える。したがって、装置は、複数のユーザに適応可能であり、且つ、様々な支持体上に設置されるように有利に構成される。
【0029】
別の態様によれば、本発明は、外科的手技の訓練のためのガイドシステムであって、本発明に係る訓練装置と、前記装置の開口部の1つに導入され、維持され、手術器具を受け入れるのに適する、中空の長手部分を含む第1のシースとを含み、前記第1のシースが、前記器具の移動のための摺動ピボット接続をもたらすことを特徴とする、ガイドシステムに関する。
【0030】
一実施形態において、前記ガイドシステムは、前記装置の第2の開口部内に導入され、維持され、手術器具を受け入れるのに適する、中空の長手部分を含む第2のシースをさらに備え、前記第2のシースは、前記器具の移動のための摺動ピボット接続をもたらす。
【0031】
一実施形態において、少なくとも1つのシースは、前記シースの長手部分の内面上に配置された弾性材料層を備える。
【0032】
一実施形態において、前記ガイドシステムは手術器具をさらに備え、前記手術器具は、レバーと、訓練装置の開口部の1つに又は接続境界部に導入することを意図されたシャフトと、制御インターフェースと、手術器具の少なくとも1つの向きセンサ及び少なくとも1つの位置センサと、前記センサによって収集されたデータを遠隔コンピュータに送信するための少なくとも1つの通信インターフェースとを含む。
【0033】
一実施形態において、前記ガイドシステムは、制御インターフェースの作動センサ、又は手術器具上に配置され制御インジケータを生成する前記手術器具の機能部センサと、レバー上に配置されたセンサから受信したデータに応じて、一方では制御インジケータの値、他方ではディスプレイ上に表示する画像の向き及び位置を判定するためのコンピュータを含む、ディスプレイ上の患者の身体の領域の画像の生成器と、制御インジケータが生成され、患者の身体の領域を表示するときに少なくとも1つの手術器具の一部の及びその作動に対する動きの再現を表示するビデオディスプレイと、をさらに備える。
【0034】
したがって、ガイドシステムは、ユーザが仮想世界で、手術する人体の部分のシミュレーションだけでなく、操作する手術器具の動き及び作動の表現も見ることを可能にする。
【0035】
本発明は、限定ではない例によって与えられ、以下の図面を参照して行われる、以下の説明を読むと、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】筐体が閉じている訓練装置の図である。
図1B】筐体が開いている訓練装置の図である。
図2A】開口部の断面図である。
図2B】開口部と、取り外し可能な接続境界部の断面図である。
図2C】開口部と、硬質内壁を備える取り外し可能な接続境界部の断面図である。
図3A】シースが挿入されている開口部の断面図である。
図3B】シースが挿入されている開口部と、取り外し可能な接続境界部の断面図である。
図4】シースに手術器具のシャフトが挿入されている開口部の断面図である。
図5】装置の開口部にシースが挿入され、前記シースに手術器具のシャフトが挿入されている、訓練装置の断面図である。
図6】弾性材料層を備えるシースの断面図である。
図7】2つの開口部を備え、各開口部にシースが挿入されている、訓練装置の断面図である。
図8】2つの開口部間の距離を調節するための手段を備える装置の断面図である。
図9】2つの開口部間の距離を調節するための手段を備える装置の断面図である。
図10】複数の開口部を備える訓練装置の第1の表面の図である。
図11】ガイドシステムによって生成される画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
前記図面において、1つの図から別の図にわたって同一の参照符号は、同一の又は類似の要素を示す。明快さのために、図示した要素は、他に規定されない限り縮尺通りではない。
【0038】
本発明は、訓練装置と、前記訓練装置を備えるガイドシステムに関する。一実施形態において、装置は、外科的手技をシミュレートするために手術器具を受け入れることを意図されている。一実施形態において、前記手術装置及び/又は手術器具は、以下「仮想世界」とも呼ばれるインタラクティブな仮想現実を生成するためにプロセッサに接続される。一実施形態において、前記インタラクティブな仮想現実は、患者の身体の一部と、前記身体の一部における手術器具の位置をシミュレートする。
【0039】
本発明は、実際の状況で外科医が感じる感覚、特に、外受容感覚を訓練装置で再現することを目的とする。
【0040】
「外科的手技」は、患者に対する少なくとも1つの外科的行為又は複数の外科的行為の実行を意味する。一実施形態において、「外科的手技」は、外科手術の初めから終わりまでの外科的手技のステップの組又は外科的手技の侵襲的又は微小侵襲ステップも意味する。図1Aに例示したように、訓練装置1は、筐体2を備える。一実施形態において、筐体2は、閉じた体積の境界を定める。
【0041】
一実施形態において、筐体2は、少なくとも1つの第1の表面9を備え、筐体2の残りの表面はベース21を形成する。前記第1の表面9は、操作インターフェースを画定する。一実施形態において、前記第1の表面9は、少なくとも1つの又は少なくとも2つの開口部4を備える。したがって、前記操作インターフェースは、その開口部4の少なくとも1つを通して少なくとも1つの手術器具を受け入れることを意図されている。
【0042】
限定ではない例として図1Aに例示した一実施形態において、第1の表面9は平面である。ベース21は、その一部に関して、筐体2の表面全体が直方体の形状をとるように形状設定される。
【0043】
一実施形態において、前記開口部4は、仮想世界で患者の切開をシミュレートすることを可能にする。一実施形態において、訓練装置1は、開口部4に挿入された手術器具の位置、運動、及び/又は制御の状態を記録するためのセンサを備える。
【0044】
一実施形態において、前記開口部4は、シース7を受け入れ、支持するのに適する。シース7は、患者の皮膚に挿入されたトロカールの存在をシミュレートすることを可能にする。一実施形態において、前記開口部4は、接続境界部6を備える、又は、シース7を受け入れるのに適した接続境界部6を受けるように構成される。
【0045】
図1B及び図10に例示した一実施形態において、筐体2の形状又は第1の表面9の形状は、患者の腹部の形状に対応する。図1Bに例示したように、筐体2は、第1の表面9だけで形成されてもよい。
【0046】
一実施形態において、第1の表面9は、少なくとも1つの湾曲部を備える。一実施形態において、第1の表面9の湾曲部は、患者の腹部の湾曲に対応するように予め画定される。
【0047】
図2Aに例示したように、開口部4は、筐体2の壁の間の自由空間である。一実施形態において、装置1は、前記少なくとも1つの開口部4の円周に維持される接続境界部6を備える。一実施形態において、接続境界部6は、シースを挿入するための中空中心部を有する。
【0048】
一実施形態において、前記接続境界部6は、少なくとも1つの可撓性材料を備える。一実施形態において、前記可撓性材料は、接続境界部6の中空中心部へのシースの挿入領域での患者の生体組織の剛性又は弾力性を表す。
【0049】
図2Bに例示した一実施形態において、接続境界部6は、開口部4から取り外し可能であり、取り外すことができる。一実施形態において、開口部4は、円筒形である。一実施形態において、開口部4と接続境界部6は、開口部4への接続境界部6の挿入及び/又は位置決めを容易にするための平坦区域(図示せず)を備える。
【0050】
平坦区域の利点は、特に、前記開口部4が第1の表面9の湾曲部に又は第1の表面の水平に対して傾斜を有する部分に位置するときに、開口部4内で接続境界部6を安定化させることである。開口部4内の接続境界部6の安定化は、同時に、ユーザの感触への干渉を回避することを可能にする。第2に、接続境界部6の安定化はまた、開口部4の正確な位置と仮想表現での前記開口部4の位置とのより正確な並列性を可能にする。
【0051】
図2B及び図3Bに例示した一実施形態において、接続境界部6は、硬質外壁61を備える。一実施形態において、前述の硬質外壁61は、可撓性材料62を包囲する。硬質外壁61は、接続境界部6を第1の表面9の開口部4に挿入することを可能にする。
【0052】
図2Cに例示した一実施形態において、接続境界部6は、硬質内壁63も備える。一実施形態において、可撓性材料62は、硬質外壁61と硬質内壁63との間に配置される。一実施形態において、前述の2つの壁(61、63)は、中空円筒を画定する。
【0053】
前記硬質内壁63の利点は、接続境界部6へのシース7の挿入を容易にすることである。
【0054】
前記利点は、可撓性材料の静止時の接続境界部6の硬質内壁63の内径(D)よりもシース7の挿入部の直径が大きいときに増大する。前記シナリオでは、硬質内壁63は、シース7の挿入中に可撓性材料62を保護すること又は可撓性材料62が裂けるのを防ぐことを可能にする。
【0055】
一実施形態において、硬質内壁63は、可撓性材料62の圧縮により接続境界部6の内径(D)が拡大することを可能にするべく可撓性材料62の内径円周部を覆う。
【0056】
一実施形態において、接続境界部6の高さ(H)は、実質的に腹壁の高さに対応する。一実施形態において、接続境界部6の高さは、1cmと15cmとの間である。例えば10cmと15cmとの間の顕著な高さを備える接続境界部6は、例えば、顕著な肥満症の人に対する手術をシミュレートすることを可能にする。
【0057】
一実施形態において、中空中心部は、円筒形であり、シースの接続境界部6への挿入部の外径よりも僅かに小さい静止時直径(D)を有する。「静止時直径」は、可撓性材料がその自然な形状にある又はどのような拘束も受けていないときの直径を意味する。
【0058】
一実施形態において、可撓性材料62は、エラストマー、シリコーンゲル、発泡体、又はプラスチック材料を含む。一例によれば、前記接続境界部6は、0.002及び50MPaの間のヤング率を有する少なくとも1つの部分を備える。
【0059】
一実施形態において、可撓性材料の弾性特性は、皮膚の弾性特性と類似している。一例によれば、前記接続境界部6は、0.002及び15MPaの間のヤング率を有する少なくとも1つの部分を備える。したがって、このような範囲は、訓練を受けることを望む医療スタッフのために、皮膚で行われる実際の外科的手技中に得られる感触と同一の感触を生み出すことを可能にする。したがって、これは、求められる感触を非常に正確にターゲットとすることを可能にし、医療スタッフを当該外科的手技に最適な様態で訓練することに寄与する。言い換えれば、このような範囲のターゲティングは、皮膚に対する外科的手技に関連した同じ感覚を、他の感覚、例えば、体のより深部の層、典型的には静脈、神経、靱帯などで実施される外科的手技に関連した感覚と混同することを回避できるようにする。したがって、このような範囲の可撓性材料を有することは、実際の状態で被検者に実施される外科的手技中に起こり得る誤操作を有利に低減することが理解される。
【0060】
接続境界部6のヤング率に関するこのような範囲の選択は、本発明の1つの代替的な実施形態を構成するにすぎない。したがって、接続境界部6の可撓性材料62の弾性特性が例えば腹壁などの身体の別の部分の弾性特性と類似するように異なる範囲を有することを除外するものは何もない。この例によれば、前記接続境界部6は、1と35MPaとの間のヤング率を有する少なくとも1つの部分を備える。
【0061】
前記接続境界部6の利点は、トロカールと患者の切開部との相互作用を再現することである。このようにして、器具の操作中に、ユーザは、手術、特に最小限に侵襲的な手術での実際の状況で感じるフィードバックと類似したフィードバックを知覚する。
【0062】
一実施形態において、接続境界部6の可撓性材料62の弾性特性は、等方性である。一実施形態において、可撓性材料は、少なくとも90%を超える等方性を有する。有利なことに、前記等方性の可撓性材料62は、皮膚の弾性特性を再現することを可能にする。
【0063】
1つの代替的な実施形態において、接続境界部6の可撓性材料62の弾性特性は、異方性である。例えば、接続境界部6の可撓性材料62は、材料を形成する同じ方向に配向された繊維を含んでよく、その場合、ヤング率は、繊維に垂直な方向よりも平行な方向により高い。繊維は、接続境界部6を構成してよく、又は複合材料を形成するマトリクス内に含まれてよい。
【0064】
有利なことに、前記異方性の可撓性材料62は、皮膚の線維層を再現することを可能にする。したがって、本発明に係る装置は、人体のあらゆる部分の切開をシミュレートすることができる。
【0065】
一実施形態において、少なくとも1つの開口部4は、接続境界部6を受け入れ、維持するように設計される。維持されている状態で、接続境界部6は、シース7を受け入れ、支持するように設計される。
【0066】
一実施形態において、筐体2は、少なくとも1つのガイド境界部も備える。一実施形態において、ガイド境界部は、開口部4の少なくとも1つの近くに配置される。
【0067】
一実施形態において、前記ガイド境界部は、筐体2と前記筐体の開口部4に挿入された手術器具との間でボールジョイント接続をもたらす。一実施形態において、ガイド境界部は、筐体2と前記開口部4に挿入されたシース7との間でボールジョイント接続をもたらす。
【0068】
「ボールジョイント接続」とは、ここでは、ガイド境界部が筐体2と手術器具/シース7との間で係合をなすことを指しており、前記係合は、回転自由度が3である。
【0069】
図2Aに限定ではない例として示した一実施形態において、接続境界部6は、ガイド境界部でもある。前記実施形態において、接続境界部6とシース7との相互作用は、外科的手技中のトロカールと患者に施された切開部との相互作用を最適化された様態で再現することを可能にする。
【0070】
有利なことに、前記接続境界部6とシース7との接続は、トロカールの挿入領域の生体組織とトロカールとの接続を示す。
【0071】
図2Aに例示したように、接続境界部6は、開口部4の縁にしっかりと維持される実質的に円筒形の環状形状を有する。接続境界部6のこのような幾何学的構成は、筐体2とその中に挿入される手術器具/シース7との間でボールジョイント接続をなすのに有利である。それでも、接続境界部6の特定の形状の選択は、本発明の1つの代替的な実施形態を構成するにすぎないことに留意されたい。したがって、一方では、他の形状を有することを除外するものは何もなく、他方では、例えば図2B及び図2Cに例示した実施形態に関連してより詳細に後述するように、その特定の回転自由度は、そのそれぞれの振幅に制限される。
【0072】
一実施形態において、ガイド境界部は、筐体2とシース7の又は手術器具8の長手部分との接続をもたらす。一例によれば、前記接続は、回転自由度が2である。前記例によれば、回転接続度は、シース7の長手部分71の縦軸に沿って定義される。
【0073】
一実施形態において、シース7の長手部分71は、その少なくとも一部に、接続境界部6との摺動を制限するのに適した表面状態の外面を備える。一実施形態において、シース7の長手部分71は、接続境界部6との摺動を制限するように予め定められた表面状態の外面73を備える。一実施形態において、前記表面状態は、開口部4内のシースのその縦軸を中心とした回転摺動を阻止するのに適する。
【0074】
一実施形態において、前記ガイド境界部は、シース7が、開口部4に挿入されている状態で3の回転自由度を有することを可能にする。実際には、シース7は、挿入及び抜去運動に対応する少なくとも1の並進自由度も保つことができる。一実施形態において、シースのフレア部分72は、所定の距離だけ押し込まれたときに、シースの並進運動を阻止することを可能にする。したがって、フレア部分は、前記並進自由度を一方向に制限することを可能にする。一実施形態において、フレア部分はまた、シース7への手術器具の導入を容易にすることができる。
【0075】
一実施形態において、少なくとも2の回転自由度は、角度で制限される。一実施形態において、挿入中心軸Aと直交する軸に沿った回転自由度は、角度で制限される。実際には、第1の表面9に対するシース7の傾きは、切開部に挿入されたトロカールの自由度を再現するように角度で制限される。
【0076】
一実施形態において、ガイド境界部におけるシースのボールジョイント接続は、90°、45°、又は好ましくは30°の回転に制限される。
【0077】
一実施形態において、接続境界部の可撓性材料62は、接続境界部6の挿入中心軸Aと直交する2つの軸に沿ってシース7の制限された回転を可能にする。一実施形態において、可撓性材料62は、シースの回転を可能にするべく圧縮することができる。その場合、回転自由度の角度制限は、可撓性材料62の圧縮制限によって決まる。
【0078】
一実施形態において、シース7の回転は、可撓性材料62の厚さ(E)により、及び/又は接続境界部6の前記可撓性材料62の弾性により制限される。一実施形態において、可撓性材料62の厚さ(E)は、0.5及び15cmの間で変化する。厚さは自由度を保証する。
【0079】
可撓性材料62の厚さ(E)、その弾性、及び接続境界部6の高さ(H)は、皮膚又は腹壁の機械的抵抗を再現するように決定される。
【0080】
したがって、取り外し可能な接続境界部の利点は、同じ開口部上で、接続境界部を、したがって、第1の表面9とシース7との接続部の高さ及び機械的特性を修正できることである。このようにして、同じ装置1で使用のバリエーションを増やすことができ、これにより、切開される身体の部分又は壁のタイプを変えることができるだけでなく、個人の多様性を考慮に入れることもできる。
【0081】
図3A及び図3Bに例示したように、前記接続境界部6の利点は、筐体2とシース7との間で接続をなすことである。
【0082】
一実施形態において、シース7は、トロカールの存在をシミュレートすることを可能にする。一実施形態において、シース7は、中空円筒形のシャフトの形態で存在する。一実施形態において、シース7は、開口部4に挿入されるように構成された第1の長手部分71を備える。一実施形態において、第1の長手部分71は、中空円筒を備える。一実施形態において、第1の長手部分71は、外径と内径を備える。一実施形態において、第1の長手部分71は、少なくとも1つの手術器具を受け入れることを意図されている。
【0083】
一実施形態において、シース7は、第2のフレア部分72を備え、その内径は、第1の長手部分71の内径よりも大きい。シースは、フレア部分72が筐体2の外側に位置するように、その長手部分71を通じて開口部4に挿入されるように有利に構成される。その場合、前記フレア部分72は、手術器具の長手部分を導入するように構成される。
【0084】
一実施形態において、シース7は、その長手部分71の直径(図示せず)を調節するための手段を備える。前記シース7の長手部分71の直径を調節するための手段は、手術器具に応じて、すなわち、訓練に用いられる手術器具のシャフトの直径に応じて、前記直径を変えることを可能にする。
【0085】
一実施形態において、シース7は、トロカール又は外科手術中に用いられるのと同じようなトロカールの再現である。
【0086】
図10に例示した一実施形態において、第1の表面9は、少なくとも2つの開口部4を含む開口部4の組を備える。一実施形態において、第1の表面9は、複数の開口部、例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は少なくとも10個の開口部4を備える。一実施形態において、開口部4は、腹部の微小侵襲手術、例えば、内臓又は肥満症手術で施される切開の位置に対応するように第1の表面9上に配置される。
【0087】
シミュレートする手術及び外科技術のタイプに応じて、前記開口部4の一部を使用することができる。図示していない一実施形態において、装置は、訓練中に使用されない開口部4を塞ぐために所定の数のプラグを備える。
【0088】
したがって、装置1は、開口部の位置及び向きにより様々なタイプの外科的手技を訓練することを可能にする。
【0089】
一実施形態において、装置1は、少なくとも1つの開口部4の直径又はサイズを調節するための手段を備える。前記開口部の直径又はサイズを調節するための手段は、開口部のサイズ又は直径を変えることを可能にする。例えば、装置1は、その中心が開口部の中心に対応するダイヤフラム又はアイリスを備えていてよい。一実施形態において、前記ダイヤフラム又は前記アイリスは、開口部4の直径の縮小又は拡大をもたらすように構成された作動手段に接続されてよい。
【0090】
このように、開口部4の直径又はサイズを変えることができ、したがって、開口部4は、多様な直径のシース7及び/又は多様な接続境界部6に向けて意図され得る。利点は、同じ装置1で、実際には異なるサイズのトロカールを必要とする様々なタイプの手術を練習できることである。
【0091】
一実施形態において、装置1は、異なる寸法の少なくとも2つの開口部4を備える。前記レイアウトは、同じ装置1で様々な外科手術をシミュレートすることを可能にする。実際は、シミュレートする外科的手技に応じて、切開部は様々な長さであり得る。例えば、腹壁を介して施される切開は、血管手術のために施される同じ切開よりも大きい寸法を有することになる。本発明は、手技を行うのと同じ練習を行うべく、ユーザに現実的なサポートを提供することを可能にする。
【0092】
一実施形態において、装置1は複数の開口部4を備え、そのうち少なくとも2つの開口部4は、異なる接続境界部6を備える。「異なる接続境界部」は、可撓性材料の高さ、弾性、及び/又は可撓性材料の厚さが互いに異なる接続境界部6を意味する。したがって、装置1は、それぞれ身体の様々な部分の切開、例えば、皮膚の切開又は腹壁の切開を再現することができる、複数の開口部4を備える。
【0093】
したがって、装置1は、様々な外科手術のシミュレーションに適合する。
【0094】
一実施形態において、装置1は、前記装置1を支持体に取り付けるためのシステム3をさらに備える。取り付けシステムは、締め付け手段を備え得る。一実施形態において、取り付けシステム3は、テーブルの縁と係合するためのU字形のラグを備える。第1の例によれば、取り付けシステム3は、万力による取り付けシステムを備える。第2の例によれば、取り付けシステム3は、吸着パッドである。
【0095】
一実施形態において、装置1は、前記装置1に対する取り付けシステム3の位置を調節するための手段5も備える。
【0096】
例えば、取り付けシステム3は、長手要素31を備え得る。一実施形態において、装置1は、長手要素31に沿って摺動するように構成された位置調節手段5を備える。図1Aに例示したように、位置調節手段5は、筐体2の取り付けシステム3に対向する位置に取り付けるために取り付けシステム3の長手要素31の穴に挿入することを意図された取り外し可能な要素51を備える。
【0097】
より詳細には、位置を調節するための手段5は、取り外し可能な要素である長手要素31に沿った筐体の並進運動を可能にする、筐体2の一体部分を備える。
【0098】
図1Bに例示した一実施形態において、装置1は、筐体2の傾きを調節するための手段も備える。位置を調節するための手段5は、筐体2の傾きを調節するための手段である。一実施形態において、向きを調節するための手段は、長手要素31との接続部での筐体2の傾きの調節を可能にする。
【0099】
有利なことに、位置を調節するための手段5は、開口部がユーザに関する人間工学的な位置に対応できるように筐体2を移動することを可能にする。好ましくは、ユーザは、腕を下ろした又は楽な位置にするときに開口部4がユーザの手と実質的に同じ垂直高さにあるように筐体2の位置を調節することになる。
【0100】
したがって、位置を調節するための手段5は、複数のユーザに適するように構成される。加えて、位置の調節5は、任意の支持体上で使用され得るように装置の可動性をもたらす。
【0101】
一実施形態において、筐体2は、位置及び向き特定システムを備える。
【0102】
一実施形態において、筐体2は、開口部4内の接続境界部6の存在を識別するための検出器を備える。検出器は、例えば、その高さ、可撓性材料62の弾性、又は可撓性材料62の厚さなどの接続境界部6のパラメータを識別することも可能にする。
【0103】
筐体2が閉じた体積の境界を定める一実施形態において、筐体2に空気が充填される。別の実施形態では、特定の外科的手技のシミュレーションのために、筐体2に材料、好ましくは軟質又は粘稠な材料、又は液体が充填される。
【0104】
粘稠な材料又は液体の存在は、筐体2内を移動する手術器具8の少なくとも1つのシャフト81の移動に対する抵抗をシミュレートすることを可能にする。一実施形態において、筐体2内に入れられる材料又は液体の粘度は、4・10-3Pa.sよりも高い。一実施形態において、筐体2内に入れられる材料の弾性率は、0.002MPaよりも高い。前記種々の粘弾性は、体内の、例えば、血液を包囲するボリューム内の、筋肉又はさらには臓器内の、手術器具8の運動をシミュレートすることを可能にする。
【0105】
図4及び図5に例示した一実施形態において、シース7は、手術器具8のシャフト81を受け入れることを意図されている。
【0106】
開口部4のうちの1つに中空の長手部分71が維持されているシース7は、手術器具8を受け入れることを可能にする。
【0107】
「手術器具」は、ここでは、患者の体内に挿入されるように構成された長手部分81(以下「シャフト」とも呼ぶ)と、手術中に外科医によって操作されることを意図されたレバー82とを備える任意の手術器具を意味する。「手術器具」は、例えば、3Dプリンティングにより複製された器具などのこのような器具のあらゆる複製も意味する。
【0108】
一実施形態において、「手術器具」は、内視鏡カメラ又は関節鏡カメラなどの、外科的手技中に患者の体内の画像を記録するためのイメージングシステムも包含する。
【0109】
一実施形態において、シース7と手術器具8のシャフト81は、摺動ピボット接続をなす。図5に例示した一実施形態において、シャフト81とシース7によってなされる接続と、シース7とガイド境界部によってなされる接続は、シャフト81と筐体2との間で3の回転自由度と1の並進自由度を含む接続をなすように組み合わされる。
【0110】
一実施形態において、シャフト81の3の回転自由度にわたって、シャフト81は、挿入中心軸Aに沿って又はシャフト81の縦軸に沿って完全に自由である。一実施形態において、1又は2の回転自由度は、手術中の手術器具の運動の自由度を再現するように角度で制限される。一実施形態において、角度で制限される回転自由度は、挿入中心軸Aと直交する軸に沿った回転自由度である。
【0111】
一実施形態において、シース7の長手部分71の内径は、手術器具8のシャフト81の外径よりも僅かに大きいか又は等しい。
【0112】
図7に例示した一実施形態において、筐体2は、第1の表面9に配置される少なくとも2つの開口部4を備える。一実施形態において、少なくとも2つの開口部4は、それぞれ接続境界部6を備える。一実施形態において、少なくとも2つの開口部4は、それぞれシース7を受け入れるのに適する。
【0113】
説明の残りは、本発明の一実施形態を詳細に説明することを目的としており、第1の表面9は、ベース21に対する可動部分10を含み、前記可動部分10に開口部4が配置される。前記第1の表面9のこのような構成は、ベース21に対して可動部分10に配置される開口部4の位置を修正することを可能にする。このようにして、当該外科的手技に関連して施されることが意図される切開の位置を最適化された様態で再現することが可能である。したがって、接続境界部6によって実際の状態を最適化された様態で再現しながら、同じ装置1で複数の外科的手技を練習することが可能である。装置1を各患者の形態に適応させることも可能である。
【0114】
「可動」とは、ここでは、ベース21と可動部分10との距離を修正するための、取り付けられていると考えられるベース21に対する相対運動を指す。したがって、第1の表面9の可動部分10は、ユーザ又はさらにはそれ自体が公知の自動手段によって、第1の位置、所謂出発位置と、第2の位置、所謂到着位置との間で動かされるのに適する表面要素に対応する。本発明の性質に鑑みて、前記出発位置と到着位置は、それぞれ、安定した位置、つまり、可動部分10が維持される位置に対応することが当業者には暗黙的に分かるであろう。言い換えれば、装置1は、可動部分10を安定した位置に止めるための手段を備える。一般に、当業者に公知の任意の止め手段(ブレーキ、ストップなど)が実装されてよく、止め手段の選択は、本発明の1つの代替的な実施形態を構成するにすぎない。
【0115】
図8及び図9は、筐体2の実施形態の好ましい例を概略的に示しており、第1の表面9に2つの開口部が設けられており、2つの開口部は、医療スタッフのメンバーが練習を望む外科的手技に応じて前記2つの開口部間のギャップを調節できるように構成される。
【0116】
図8及び図9に例示したように、第1の表面9は、前記可動部分10から離れた第1の表面9の別の部分に配置される別の開口部4を含む。前記開口部4は、前述のようにシース7を受け入れ、支持するのに適する。
【0117】
前記第1の表面9のこのような構成は、2つの開口部4の位置を、一方を他方に対して修正する、したがって、それらを分離するギャップを変化させることを可能にする。それゆえ、当該外科的手技に関連して施されることが意図される複数の切開の位置を最適化された様態で再現することが可能である。このようにして、訓練を望む医療スタッフは、実際の状態を最適化された様態で再現しながら、複数の外科的手技を単一の同じ装置で練習することができる。
【0118】
図8及び図9に示した例では、前記他の部分11は、ベース21と一体である。「一体」とは、ここでは、前記他の部分11がベース21に対して取り付けられたままであることを指す。前記実施形態の例では、前記一体部分11は、ベース21の延長部により形成され、前記延長部は、前記ベース21の材料に由来する。したがって、前述の構成によれば、2つの開口部4間のギャップの修正は、単一の可動部分10の位置の修正からもたらされ、他の部分は、ベース21に対して取り付けられたままである。このようなレイアウトは、所与の外科的手技に適合させるのに僅かな操作を必要とする、単純な設計の装置1を得ることを可能にする。
【0119】
同じ材料に由来することに限らず、ベース21との一体部分11を有することを除外するものは何もないことに留意されたい。一般に、他の部分11を取り付け位置に維持するためのあらゆる手段が可能であり、維持手段の選択は、本発明の1つの代替的な実施形態を構成するにすぎない。このような維持手段(溶接、接着など)をどのように選択するかを当業者は知っているであろう。したがって、本発明の前述の態様は上記で詳細に説明していない。
【0120】
1つの代替的な実施形態において(図面には示されていない)、前記他の部分11もベース21に対して可動である。したがって、前記構成によれば、各開口部4は、可動部分に配置され、可動部分は互いに離れている。このようなレイアウトは、2つの開口部4間のギャップ修正能力を高めることを可能にする。実際は、装置1は、前記装置1の近傍に立っている支援スタッフ又はさらには当該外科的手技に必要な器具の他のアイテムのいずれによるかに関係なく、密集した環境におかれることがある。その場合、前述のタイプの環境では、可動部分10の動きの振幅は、2つの可動部分を有することが前記各可動部分の振幅の減少を補償するのに非常に有利な程度に制限され得ると理解される。これは、患者の様々な形態への装置1の適応性にも寄与する。
【0121】
図8及び図9に示した実施形態の例では、可動部分10は、並進運動で動かされるのに適する。この目的のために、装置は、前記可動部分10と係合するようにそれ自体が公知の様態に構成されたスライド(図面には示されていない)を含む。このようなスライドの使用は、第1の表面9を延長した平面に平行な平面に沿って安定した並進運動をもたらすことを可能にする。本発明は単一のスライドの実装に限定されないことが当業者には明らかに分かるであろう。例えば、並進運動の安定性をさらに高めるために、装置1は、互いに反対側に配置され、可動部分10の2つの反対側の側部と係合するように構成された、2つのスライドを備えていてもよい。
【0122】
さらに、第1の表面9が2つの可動部分を含む場合、各可動部分がそれ専用の1つ以上のスライドと係合すること、又はさらには2つの可動部分が共通のスライドと係合することを除外するものは何もない。
【0123】
本発明は、例えば、前述の並進運動などの、可動部分10の特定のタイプの1つの運動モードに縮小することはできないことに留意されたい。したがって、例えば、この端部に構成されたレバーアーム(例えば、一端が回転方向に可動であり、別の反対端が可動部分としっかりと係合するレバーアーム)による実質的に円弧運動での可動部分10を有すること、又はさらには1つ以上のヒンジにより回転する可動部分10を有することを除外するものは何もない。また、第1の表面9が複数の可動部分を含むときに、前記各可動部分の運動が互いに異なることを除外するものは何もない。
【0124】
さらに、本発明は、最大2つの可動部分を備えるところまで説明されてきた。それでも、可動部分の数は、最大2つに制限することはできない。より具体的には、可動部分の数は、最大で、第1の表面9に設けられる開口部4の数に等しい。さらに、開口部4の最大数は、医療スタッフが同じ装置1で訓練され得る外科的手技の範囲に応じて適応される。限定ではない例として、開口部の数は、5に等しく、可動部分の数は、0と5との間であり、例えば2に等しい。
【0125】
別の態様によれば、本発明は、外科的手技の訓練のためのガイドシステムからなる。一実施形態において、前記システムは、訓練装置1と、前記訓練装置1の開口部4の1つに導入され維持される中空の長手部分71を有する少なくとも1つの第1のシース7を備える。一実施形態において、シース7は、手術器具8のシャフト81を受け入れるのに適する。一実施形態において、前記第1のシース7は、前記手術器具8の移動のための摺動ピボット接続をもたらす。一実施形態において、手術システムは、訓練装置1の開口部の1つに導入され維持される第2のシース7を備える。
【0126】
一実施形態において、ガイドシステムは、前述のように少なくとも1つの手術器具8も備える。
【0127】
図6に例示した1つの代替的な実施形態において、シース7の長手部分71は、弾性材料層74も備える。前記弾性材料層74は、シース7の長手部分71の中心中空部分に位置する物体により変形されるように構成される。
【0128】
一実施形態において、前記弾性材料層74は、シース7の長手部分71の内面上に配置される。一実施形態において、前記層74は、シース7の内面に取り付けられる。取り付けは、接着又は熱接着によって実施されてよい。
【0129】
前記実施形態において、前記弾性材料層74は、シャフト81の通過中に圧縮変形するように構成される。一実施形態において、シャフト81の外径は、シース7の長手部分71の内径よりも大きい。一実施形態において、シャフト81がシース7に挿入されると、弾性材料層74は、その元の形状に戻る傾向があり、したがって、シース7の内径とシャフト81の外径との差異をなくすことになる。
【0130】
一実施形態において、シース7の長手部分71の内径は、弾性材料層74が「静止時」形状である場合の第1の直径と、弾性材料層74がその弾性の最大限に圧縮される場合の第2の直径との間で変化する。一実施形態において、シャフトの外径は、前記第1の直径と前記第2の直径との間である。
【0131】
このようにして、有利なことに、シャフト81とシース7の壁との間のギャップの出現が阻止される。さらに、これは、同じシース7上で様々な直径のシャフト81を備える手術器具8を用いることも可能にする。前記可能性は、手術手技の様々な状況に対して最適化された構成を得ることを可能にする。このように、訓練と様々な手術器具の使用のシミュレーションのために、したがって、様々な外科的手技のシミュレーションのために、同じシース7を用いることができる。
【0132】
図示していない1つの代替的な実施形態において、弾性材料層74は、シース7の長手部分71の第1の長手端にある第1の部分と、シース7の長手部分71の第2の長手端にある第2の部分を備える。前記モードは、使用される材料の量を減らし、シースを軽量にすることを可能にする。
【0133】
一実施形態において、第1の部分と第2の部分は、シャフト82の通過中の弾性材料層74の変形を容易にするべくその幾何学的形状が非円形である断面を有する。一実施形態において、第1の部分と第2の部分は、それぞれ星形断面を有する。
【0134】
一実施形態において、前記弾性材料層74は、シース7に挿入されたシャフトとの摺動ピボット接続をもたらすのに十分に平滑な表面を備える。
【0135】
一実施形態において、手術器具8のレバー82は、少なくとも1つの制御インターフェース83を備える。前記制御インターフェースは、スイッチ、押しボタン、はさみ、又は任意の作動手段であり得る。
【0136】
実際の介入中に、前記制御インターフェースは、手術器具の遠位端にある機能部を作動させる、例えばプライヤを作動させることを可能にする。一実施形態において、前記制御インターフェース83は、仮想世界で、手術器具の遠位端の作動を再現することと、制御インターフェース83の状態を再現することも可能にするであろう。
【0137】
一実施形態において、手術器具8は、制御インターフェース83の少なくとも1つの作動センサを備える。一実施形態において、前記制御インターフェース83の作動センサは、制御インジケータを生成する。
【0138】
図示していない一実施形態において、シャフト82は、制御インターフェース83によって作動することができる機能部を備える。一実施形態において、手術器具8は、機能部の作動センサを備える。限定ではない例によれば、機能部は、制御インターフェース83を介して作動させることができるプライヤであり、作動センサは、プライヤの開角度又は前記プライヤの2つのジョー間の距離を測定する。一実施形態において、前記作動センサは、制御インジケータを生成する。
【0139】
一実施形態において、機能部は、シャフト82の遠位端の近くに又は遠位端上に位置する。
【0140】
したがって、制御インジケータは、制御インターフェース83から、或いは、手術器具8の機能部の位置又は状態によって生成されてよい。
【0141】
図5に例示したように、制御インターフェース83は、例えばユーザの指から、ユーザによって容易に動かされるように構成された可動部分であり得る。一実施形態において、制御インターフェース83の作動センサは、基準に対する移動の割合又は移動であり得るインジケータを生成する。
【0142】
したがって、ユーザは、実際の外科手術中に用いられるのと同様のレバー82で練習する。加えて、前記センサは、シミュレーション中に、ユーザが例えば生成されるインジケータの値に比例してプライヤを開閉するべく制御インターフェース83を作動したときにシャフトの機能部の作動をシミュレートした画像を生成することを可能にし得る。
【0143】
一実施形態において、手術器具8は、少なくとも1つの位置センサを備える。一実施形態において、手術器具8は、少なくとも1つの位置センサ及び/又は少なくとも1つの向きセンサを備える。
【0144】
一実施形態において、手術器具8は、手術器具8のセンサによって収集されたデータを遠隔コンピュータに送信するための少なくとも1つの通信インターフェースを備える。一実施形態において、前記通信インターフェースは、無線又は有線であり得る。一実施形態において、前記通信インターフェースは、制御インターフェース83の少なくとも1つの作動センサの、又は手術器具8の機能部の少なくとも1つの作動センサの、データを送信することも可能にする。
【0145】
一実施形態において、手術器具8は、少なくとも1つの触覚フィードバック手段を備える。一実施形態において、前記触覚フィードバック手段は、バイブレータ又は振動子である。前記触覚フィードバック手段は、シミュレーションが、仮想世界でシミュレートされる手術器具と物体との接触を検出するときに、ユーザに前記接触を感じさせることを可能にする。
【0146】
一実施形態において、ガイドシステムは、仮想世界で外科的手技をシミュレートするための手段も備える。一実施形態において、ディスプレイ装置が、患者の身体の一部を含む外科的手技のシミュレーション、及びユーザにより操作される少なくとも1つの手術器具のシャフトのシミュレーションをリアルタイムで生成する。
【0147】
ディスプレイ装置を通じて、ユーザは、仮想世界で手術される人体の部分のシミュレーションだけでなく、同じく操作する手術器具の運動の表現も見る。
【0148】
一実施形態において、コンピュータは、少なくとも1つの手術器具と患者の身体との相互作用をシミュレートするように構成される。一実施形態において、コンピュータは、手術器具8の触覚フィードバック手段に情報を送信するように構成される。一実施形態において、コンピュータは、例えば仮想世界で手術器具が患者の身体に触れるときにユーザがイベントを感じるように情報を送信する又は触覚フィードバック手段を作動するように構成される。
【0149】
一実施形態において、ガイドシステムは、ディスプレイ上の患者の身体の領域の画像の生成器を備える。一実施形態において、生成器は、手術器具のセンサによって及び/又は制御インターフェースによって送信されたデータを受信するためのコンピュータを備える。一実施形態において、生成器は、手術器具によって送信されたデータを受信するための及び前記手術器具8に情報を送信するためのコンピュータを備える。
【0150】
一実施形態において、コンピュータは、
制御インジケータの値を判定する、及び/又は
手術器具上に配置されたセンサにより受信したデータからディスプレイ上に表示する手術器具の位置及び向きを判定する、
ように構成される。
【0151】
一実施形態において、生成器は、前記手術器具8のセンサから受信したデータから、少なくとも1つの手術器具の視覚表現を含む第1の画像を生成する。前記手術器具の視覚表現は、例えば、身体の領域の表現上に、又は臓器及びその環境の表現上に重ね合わされてよい。
【0152】
一実施形態において、手術器具の位置は、リアルタイムで計算される。したがって、第1の生成画像は、仮想患者の身体内の手術器具の遠位部の位置をシミュレートすることを可能にする。一実施形態において、第1の生成画像は、手術器具の機能部と、その作動状態を含む。
【0153】
有利なことに、前記第1の画像は、手術中に患者の体内に導入されたカメラによって撮られ、外科医の動作をガイドするべく手術室のスクリーン上に表示される画像をシミュレートする。
【0154】
一実施形態において、生成画像は、ビデオディスプレイに送信される。
【0155】
一実施形態において、生成器は、第2の画像を生成する。一実施形態において、前記第2の生成画像は、第1の生成画像を含む。一実施形態において、第2の生成画像は、手術中の外科医のビューのシミュレーションである。一例によれば、前記外科医のビューのシミュレーションは、第1の生成画像を含むスクリーンを含む。
【0156】
一実施形態において、第2の生成画像は、ユーザにより操作される少なくとも1つの手術器具の視覚表現を含む。一実施形態において、少なくとも1つの手術器具8は、仮想世界で全く同様に示される。一実施形態において、手術器具は、第2の生成画像の視覚表現で全く同様に示される。一実施形態において、手術器具8の位置、向きが、第2の生成画像に示される。一実施形態において、制御インターフェース83の状態又は配置が、第2の生成画像に示される。
【0157】
したがって、ユーザは、第2の生成画像で、患者の身体に対するその器具の位置、及び制御インターフェースが作動されているかどうかを有利に見ることができる。一実施形態において、第2の画像は患者の腹部を含む。一実施形態において、生成器は、筐体2の位置及び向き特定システムに接続される。一実施形態において、前記特定システムが受信したデータから第2の画像が生成される。その場合、筐体2の位置及び向きは、例えば患者の腹部をシミュレートするべく仮想世界で再現される。加えて、第2の生成画像は、患者の切開部に挿入されたトロカールを含み得る。図示したトロカールは、ガイドシステムのシース7に対応する。
【0158】
一実施形態において、第2の画像の腹部の形状は、筐体2の形状に対応する又は第1の表面9の形状に対応する。
【0159】
一実施形態において、第2の生成画像は、患者を含む。
【0160】
一実施形態において、コンピュータは、空間内の前記手術器具の位置及び向き、及び/又はその機能部及び/又はそのレバーの作動を判定するために、手術器具のレバーのセンサから来るデータを解釈するように構成される。
【0161】
したがって、一実施形態において、ガイドシステムは、制御インジケータが生成されるときに少なくとも1つの手術器具の一部の及びその作動に対する動きの再現を表示するビデオディスプレイを備える。
【0162】
一実施形態において、ビデオディスプレイは、生成器によって第1の生成画像を又は生成器によって第2の生成画像を表示するように構成される。
【0163】
一実施形態において、ビデオディスプレイは、患者の身体の領域の再現も表示する。
【0164】
一実施形態において、ビデオディスプレイは、スクリーンである。
【0165】
一実施形態において、ビデオディスプレイは、仮想現実ヘッドセットである。
【0166】
図11に例示した一実施形態において、第2の生成画像100は、手術される患者の領域102、患者の切開部に挿入された少なくとも1つのトロカール103、前記トロカール103に挿入された少なくとも1つの手術器具104の表現を含む。
【0167】
第2の生成画像は、第1の生成画像101も含む。一実施形態において、前記第1の画像101が、スクリーンの第2の画像100内に示される。前記第1の生成画像は、患者の身体の少なくとも1つの領域105(ここでは臓器)及びその環境を含む。第1の生成画像は、手術器具の少なくとも1つの部分106(ここでは手術器具の遠位端)及び/又は手術器具8の制御インターフェース83により作動させることができるその機能部(ここではプライヤ)も含む。
【0168】
別の態様によれば、本発明は、最小限に侵襲的な外科的手技を行うべく人を訓練することを意図したシステムであって、
本発明に係る訓練装置と、
本発明に係る少なくとも1つのシース及び少なくとも1つの手術器具と、
ビデオディスプレイ手段と、
患者の臓器の及びその環境の視覚表現上に重ね合わされた装置の前記器具のビデオ画像シミュレーションをもたらすことを意図されたビデオイメージングシステムと、
器具の位置及び向きを判定するために前記装置のレバーのセンサから来るデータを解釈するように構成されたプロセッサと、
を備え、前記プロセッサはまた、前記ディスプレイ手段の視覚シミュレーションをもたらすべくビデオイメージングシステムを制御する、システムに関する。
【0169】
より一般には、上記で考慮した実施形態は、限定ではない例として説明されていることと、その結果、他の代替が可能であることに留意されたい。
【0170】
特に、本発明は、人を訓練することを意図したシステムを考慮して説明されており、前記システムは、特に、操作を実行する人の視覚支援に有利なビデオイメージングシステムを装備している。他の例によれば、訓練装置が透明な材料で製造された第1の表面を含む、又はさらには筐体全体がこのような透明な材料で製造される、訓練を意図したシステムを考慮することを除外するものは何もない。このような場合、操作を実行する人がその動作の直接の視覚的知覚を得る場合に、透明な材料は、視覚支援補助もなす。もちろん、このような透明な材料の使用は、最適な視覚支援を有するようにビデオイメージングシステムと適合する。
【符号の説明】
【0171】
1-訓練装置
2-筐体
21-ベース
3-取り付けシステム
31-長手要素
4-開口部
5-位置を調節するための手段
51-取り外し可能な要素
6-接続境界部
61-硬質外壁
62-可撓性材料
63-硬質内壁
7-シース
71-長手部分
72-フレア部分
73-シースの外面
74-シースの弾性材料層
8-手術器具
81-シャフト
82-レバー
83-制御インターフェース
9-第1の表面
10-第1の表面の可動部分
11-第1の表面の一体部分
A-挿入中心軸
100-第2の生成画像
101-スクリーン上に表示された第1の生成画像
102-患者の腹部
103-患者の切開部に挿入されたトロカール
104-トロカールに挿入された手術器具
105-患者の臓器
106-手術器具
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11