(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】時計用クロノグラフ
(51)【国際特許分類】
G04B 19/02 20060101AFI20230427BHJP
G04B 27/04 20060101ALI20230427BHJP
G04B 13/02 20060101ALI20230427BHJP
G04F 7/08 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G04B19/02 Z
G04B27/04 B
G04B13/02 Z
G04F7/08 A
(21)【出願番号】P 2020550662
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2019056129
(87)【国際公開番号】W WO2019179824
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513114803
【氏名又は名称】ウブロ ソシエテ アノニム, ジュネーブ
【氏名又は名称原語表記】HUBLOT S.A., GENEVE
【住所又は居所原語表記】30, Rue du Rhone, CH-1204 Geneve
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライナー, クリストフ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01288743(EP,A1)
【文献】特開2004-245838(JP,A)
【文献】特表2007-518981(JP,A)
【文献】特開2009-265098(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第00288211(CH,A)
【文献】特開2001-349966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/02
G04B 27/04
G04B 13/02
G04F 7/04-7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメント用クロノグラフであって、
前記クロノグラフは、クロノグラフ秒針を支持可能であり、クロノグラフ歯車(31)が搭載されるクロノグラフ真(32)を含み、
前記クロノグラフは、時計ムーブメントの秒ディスクの駆動秒歯車(1)と噛合可能な下部秒クラッチ歯車(21)と、上部秒クラッチ歯車(25)とを含む秒クラッチディスクを含み、前記秒クラッチディスクは、振動軸周りの回転を通じて、一方では前記秒クラッチディスクの前記上部秒クラッチ歯車(25)が前記クロノグラフ歯車(31)と噛合するクロノグラフ係合構成に、他方では前記秒クラッチディスクの前記上部秒クラッチ歯車(25)がもはや前記クロノグラフ歯車(31)と噛合しない解放構成に対応する2つの位置を占めることができ、
前記秒クラッチディスクの
前記上
部秒クラッチ歯車
(25)は、
バックラッシュ補正付き歯車であり、
前記秒クラッチディスクは
、前記2つの上部(25)及び下部(21)秒クラッチ歯車が配置される秒クラッチ真(22)を含み、
前記係合構成と前記解放構成の2つの構成を占めることができるよう、前記秒クラッチ真(22)
の下部を支点(23)として配置された前記秒クラッチ真(22)に直角な振動軸周りに旋回可能である、
クロノグラフ。
【請求項2】
前記秒クラッチディスクの前記下部(21)秒クラッチ歯車は、バックラッシュ補正付き歯車である、
請求項1に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項3】
前記秒クラッチディスクの前記秒クラッチ真(22)は、垂直軸(C)の両側に配置される2つの軸(C1;C2)により定義される2つの位置の間で振動する、
請求項1または2に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項4】
前記上部秒クラッチ歯車(25)は、前記秒クラッチディスクの前記秒クラッチ真(22)の高さの上半分に、または高さの2/3の点を含みその上方に位置し、ここで高さは振動軸から測定され、及びまたは前記下部秒クラッチ歯車(21)は、前記秒クラッチディスクの前記秒クラッチ真(22)の高さの下半分に、または高さの1/3の点を含みその下方に位置する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項5】
前記上部秒クラッチ歯車(25)は、円形端部(27)のペナント(26)形状の歯を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項6】
前記下部秒クラッチ歯車(21)は、バックラッシュ補正付き分割歯(28)を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項7】
時計ムーブメントであって、前記ムーブメントは、請求項1から6のいずれか一項に記載のクロノグラフを含む、時計ムーブメント。
【請求項8】
前記ムーブメントは、前記クロノグラフの前記秒クラッチディスクの前記下部秒クラッチ歯車(21)と常時噛合する駆動秒歯車(1)を含む秒ディスクを含む、
請求項7に記載の時計ムーブメント。
【請求項9】
時計であって、当該時計は、請求項1から6のいずれか一項に記載のクロノグラフを含む、時計。
【請求項10】
時計ムーブメント用クラッチであって、
前記クラッチは、時計ムーブメントの第1ディスクの駆動第1歯車と噛合可能な下部クラッチ歯車と、上部クラッチ歯車とを含むクラッチディスクを含み、前記クラッチディスクは、振動軸周りの回転を通じて、一方では前記クラッチディスクの前記上部クラッチ歯車が時計ムーブメントの第2ディスクの第2歯車と噛合可能なクラッチ係合構成に、他方では前記クラッチディスクの前記上部クラッチ歯車がもはや時計ムーブメントの前記第2ディスクの前記第2歯車と噛合可能でない解放構成に対応する2つの位置を占めることができ、
前記クラッチディスクの前記上部クラッチ歯車は、バックラッシュ補正付き歯車である、
クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ムーブメント用クロノグラフに関する。本発明はまた、当該クロノグラフを含む、時計ムーブメントと時計に関する。本発明は最後に、時計ムーブメント用クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
時計クロノグラフは、通常、その動作及び停止を可能にするクラッチを含む。クロノグラフ針の動作は、当該クラッチを含む、複雑な歯車列の結果として得られる。既存の解決策に見られる第1の技術的問題は、当該複雑な歯車列を起因とする、クロノグラフ針のフラッタリング(不規則に速く動くさま)である。既存の解決策に見られる第2の技術的問題は、クロノグラフが開始する際にクロノグラフ針に突然の激しい動きをもたらすクラッチの動作に起因する、クロノグラフ針の開始ジャンプである。この開始ジャンプは、ユーザに、クロノグラフが故障したかのような印象を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記の問題を克服し、従来技術から既知の解決策を改善する、クロノグラフを提供することである。
【0004】
より具体的には、本発明の第1目的は、クロノグラフ針のあらゆるフラッタリングを最小化する、または除去する、クロノグラフを提案することである。
【0005】
本発明の第2の目的は、クロノグラフ針の開始時点のジャンプを最小化する、または除去する、クロノグラフを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明は、時計用クロノグラフに関し、ここで前記クロノグラフは、クロノグラフ秒針を支持可能であり、クロノグラフ歯車が搭載されるクロノグラフ真を含み、前記クロノグラフは、時計ムーブメントの秒ディスクの駆動秒歯車と噛合可能な下部秒クラッチ歯車と、上部秒クラッチ歯車とを含む秒クラッチディスクを含み、前記秒クラッチディスクは、振動軸周りの回転を通じて、一方では前記秒クラッチディスクの前記上部秒クラッチ歯車が前記クロノグラフ歯車と噛合するクロノグラフ係合構成に、他方では前記秒クラッチディスクの前記上部秒クラッチ歯車がもはや前記クロノグラフ歯車と噛合しない解放構成に対応する2つの位置を占めることができ、前記秒クラッチディスクの上部及び下部秒クラッチ歯車の2つのうち少なくとも1つが、ラッシ(可動部品間の隙間)補正付き歯車である。
【0007】
秒クラッチディスクは、その上に前記2つの上部及び下部秒クラッチ歯車が配置される秒クラッチ真を含んでもよく、それぞれ係合及び解放の2つの構成を占めることができるよう、その下部支点に位置する前記秒クラッチ真に直角な振動軸周りに旋回可能である。
【0008】
前記上部秒クラッチ歯車は、ラッシ補正付き歯車であってもよい。
【0009】
前記秒クラッチディスクの前記上部及び下部秒クラッチ歯車の両者が、ラッシ補正付き歯車であってもよい。
【0010】
前記秒クラッチディスクの前記秒クラッチ真は、垂直軸の両側に分配される2つの軸により定義される2つの位置の間で振動してもよい。
【0011】
前記上部秒クラッチ歯車は、前記秒クラッチディスクの前記秒クラッチ真の前記高さの前記上半分に、または前記高さの2/3の点を含みその上方に位置し、ここで高さは振動軸から測定され、また前記下部秒クラッチ歯車は、前記秒クラッチディスクの前記秒クラッチ真の前記高さの前記下半分に、または前記高さの1/3の点を含みその下方に位置してもよい。
【0012】
前記上部秒クラッチ歯車は、円形端部のペナント(長旗)形状の歯を含んでもよい。
【0013】
前記下部秒クラッチ歯車は、ラッシ補正付き分割歯を含んでもよい。
【0014】
本発明はまた、時計ムーブメントに関し、前記ムーブメントは、上述したクロノグラフを含む。
【0015】
前記時計ムーブメントは、前記クロノグラフの前記秒クラッチディスクの前記下部秒クラッチ歯車と常時噛合する駆動秒歯車を含む秒ディスクを含んでもよい。
【0016】
本発明はまた、時計、とりわけ腕時計に関し、当該時計は、上述のクロノグラフを含む。
【0017】
より一般的には、本発明は、上述の特徴を含む、時計ムーブメント用クラッチに関する。
【0018】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に関して非限定的例として与えられる特定の実施形態についての以下の説明において、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態にかかる、係合位置にあるクロノグラフの秒クラッチディスクの軸を通過する平面における断面概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態にかかる、解放位置にあるクロノグラフの断面概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態にかかる秒クラッチディスクの上部秒クラッチ歯車の図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態にかかる秒クラッチディスクの下部秒クラッチ歯車の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
説明を簡単にするために、慣習に基づき、垂直方向を時計及びクロノグラフの針の回転軸の方向と定める。このため、水平方向は、垂直方向に直角である。
【0021】
本発明の一実施形態にかかるクロノグラフは、部分的に
図1及び2に図示される。当該クロノグラフは、秒ディスクに固定された駆動秒歯車1を含む、第1部品を含む。クロノグラフは、図示しないクロノグラフ秒針を支持するクロノグラフ真32を回転運動で駆動することが意図されるクロノグラフ歯車31を含む、第3部品を含む。
【0022】
本実施形態にかかるクロノグラフは、追加で、振動する秒クラッチディスクの形状をとる、第2中間部品を含む。当該秒クラッチディスクは、その下部支点23に位置する実質的に水平な軸、すなわち秒クラッチ真22に直角な軸周りの小さな振幅の回転が与えられることがある、秒クラッチ真22を含む。このため、その上部ピボット24は、2つの位置を占めることができる。
図1に示すクロノグラフ係合構成に対応する第1位置において、秒クラッチ真22は、垂直軸Cに対して第1軸C
1に沿って第1側に傾斜し、
図2に示され、クロノグラフが解放される構成に対応する第2位置において、秒クラッチ真22は、垂直軸Cに対して第2軸C
2に沿って反対の第2側に傾斜し、その上部ピボット24は一つの側に設定される。ここで、秒クラッチ真22の下部ピボット23は固定されたままであることを注記する。
【0023】
秒クラッチディスクの秒クラッチ真22は、2つの秒クラッチ歯車を有し、常時回転している。特に、下部秒クラッチ歯車21は、軸B周りに1分間に1回転を行う秒歯車1と常時噛合する。上部秒クラッチ歯車25は、クロノグラフ歯車31と協働することが意図される。クロノグラフ係合構成において、上部秒クラッチ歯車25は、クロノグラフ歯車31と噛合する。このため、振動する秒クラッチディスクは、クロノグラフ歯車31をその軸D周りに回転駆動する。解放構成において、秒クラッチ真22は、上部秒クラッチ歯車25とクロノグラフ歯車31のそれぞれの歯がもはや互いに噛合しないように、上部秒クラッチ歯車25をクロノグラフ歯車31から離す方向に傾斜される。この解放構成において、秒クラッチ真22はもはやクロノグラフ歯車31を回転駆動せず、クロノグラフ秒針は回転されない。
【0024】
このため、秒クラッチディスクは、クロノグラフ用クラッチの役割を果たす。秒クラッチディスクは、クロノグラフの様々な機能(例えば開始、停止)の間、秒クラッチレバー4の軸A周りの回転により、動作可能である。
【0025】
図3は、秒クラッチディスクの上部秒クラッチ歯車25を、より具体的に図示する。上部秒クラッチ歯車は、秒クラッチ真22の高さの実質的に2/3の高さに、より一般的には秒クラッチ真22の高さの上半分に、より具体的にはこの高さの2/3を含めてそれより上方に位置され、この高さはその下部回転軸から測定される。実施形態によっては、当該上部秒クラッチ歯車25は、ラッシ補正付き歯車である。上部秒クラッチ歯車は、弾性ペナント26の形状の歯を含む。各弾性ペナント26は、歯車の回転方向に対して後方に延びる弾性ブレードの形状を取る。当該ブレードは、わずかな曲率を示し、その曲率中心は歯車の側面に位置する。各ペナントは、追加で、円形端部27を有する。当該円形端部は、小さな球体であって、その中心がペナント26の延長ではなく、延長の前方に位置する球体に例えることができる。円形端部27の弾性ペナントの形状の歯26は、クロノグラフ歯車31に属する従来の三角形歯と協働する。上部秒クラッチ歯車25のこのような歯の形状は、秒クラッチ真22の振動運動または数度にわたるわずかな回転を補完して、クロノグラフ歯車と円滑に係合することを可能にし、これは穏やかな係合に有利である。各端部27は、自身を2つの三角形歯の間に位置させ、その円形形状は、連続運動で、クロノグラフ歯車の歯の先端を叩くことなく2つの歯の2つの先端間に滑り込むことで挿入されることを可能にする。ペナントの弾力性によって、あらゆる噛合ラッシを排除し、あらゆるディスクの同心度の欠如を吸収するための、歯の組の根元間の深い係合が可能になる。更に、クロノグラフ歯車に多数の歯を、例えば180以上の数の歯を設けることが重要である。
【0026】
図4は、秒クラッチディスクの下部秒クラッチ歯車21を、より具体的に図示する。下部秒クラッチ歯車は、秒クラッチ真22の高さの実質的に1/3の高さ、より一般的には秒クラッチ真の高さの1/3を含めてそれより下方に、より一般的には秒クラッチ真22の高さの下半分に位置され、この高さはその下部回転軸から測定される。回転軸に近いこの位置は、当該下部秒クラッチ歯車21の、小さな並進運動に例えることができる小さな振幅の運動につながる。秒クラッチディスクの振動による小さな並進運動のため、固定された秒歯車1と下部秒クラッチ歯車21との間の相互噛合は、あまり大きく阻害されず、クラッチ機能の動作は、従来技術の水平クラッチ係合では引き起こされるクロノグラフ針の開始ジャンプを引き起こさない、または実質的に引き起こさない。加えて、係合時に秒歯車1と下部秒クラッチ歯車21との間の相互噛合が非常にわずかにしか変更されないことは、当該解決策を、クロノグラフ針のあらゆるフラッタリングを減少する、または排除するのに好ましい、ラッシ補正する歯プロファイルの使用と両立可能にする。このため、本実施形態によれば、当該下部秒クラッチ歯車21は、ラッシ補正付き歯車である。下部秒クラッチ歯車は、開口の両側にそれぞれ分配される2つの弾性ブレードで形成される分裂歯28を含む。従来技術の水平クラッチのように、秒歯車1に対する下部秒クラッチ歯車21のより大きな動きにつながりかねないクラッチの場合、ラッシ補正付き歯車を使用することは、開始ジャンプの欠点を増大させてしまうことを注記する。
【0027】
このため、軸周りの小さな回転または振動を通じてクラッチ機能を発揮する秒クラッチディスクの使用を、1以上のラッシを補正する歯車の使用と組み合わせることは、あらゆるフラッタリングとあらゆる開始ジャンプを大きく減少させる、または除去することを可能にすることが明らかである。
【0028】
もちろん、本発明は上述した実施形態に限定されない。特に、2つの秒クラッチ歯車21、25は、両者がラッシ補正機能を実行することを条件として、他の形状を示してもよい。例えば、ラッシ補正は、外縁と関連する弾性アームを介して実行されてもよく、この場合その歯は従来の形状を取ることができる。
【0029】
図示しない他の実施形態によれば、クラッチは、ラッシ補正プロファイル付の歯を含む2つの歯車のうち1つのみが設けられてもよく、この場合はクロノグラフの動作を、特にその開始ジャンプに関して、改善することができる。
【0030】
実施形態にかかるクロノグラフは、時計ムーブメント用および時計用が意図される。時計は、例えば、小型時計、特に腕時計である。時計は、機械式時計ムーブメントを含んでもよい。時計ムーブメントは、例えば、手動巻き上げまたは自動巻き上げ型である。
【0031】
クラッチ機構は、上記実施形態において、時計ムーブメントクロノグラフ内のものとして説明された。しかしながら当該機構は、より一般的な意味で、時計ムーブメントのあらゆる2つのディスク間のクラッチとして実施されてもよい。このため、本発明は、時計ムーブメント用クラッチにも関し、当該クラッチは、時計ムーブメントの第1ディスクの駆動第1歯車と噛合可能な下部秒クラッチ歯車と、上部秒クラッチ歯車とを含むクラッチディスクを含み、当該クラッチディスクは、振動軸周りの回転を通じて、一方ではクラッチディスクの上部クラッチ歯車が時計ムーブメントの第2ディスクの第2歯車と噛合可能なクラッチ係合構成に、他方ではクラッチディスクの上部クラッチ歯車がもはや時計ムーブメントの第2ディスクの第2歯車と噛合可能でない解放構成に対応する2つの位置を占めることができ、クラッチディスクの上部及び下部クラッチ歯車の2つのうち少なくとも1つが、ラッシ補正付き歯車である。当該クラッチは、クロノグラフ用秒クラッチディスクに関連して上述した全てのまたは一部の特徴を備えてもよい。