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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/24 20060101AFI20230427BHJP
   G06F 9/4401 20180101ALI20230427BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G06F1/24 B
G06F9/4401
G06F1/26 303
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021146656
(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公開番号】P2023039513
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】三田村 公智
(72)【発明者】
【氏名】荒木 直幸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】福田 涼
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-146256(JP,A)
【文献】特開2013-008167(JP,A)
【文献】特開2012-073928(JP,A)
【文献】特開2020-095442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/24;1/26;1/28
G06F9/44-9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
BIOS(Basic Input Output System)を起動するためのプログラム及び前記BIOSBIOS設定に関する情報を記憶する不揮発性のメモリと、
前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより前記BIOSによる起動処理を実行するプロセッサと、
RTC(Real Time Clock)と、
前記プロセッサ及び前記RTCへ電源を供給する二次電池と、
前記二次電池が格納されている筐体の一部を覆うカバーであって前記二次電池の取り外しが可能なように開放可能な前記カバーと、
前記カバーが開放されたか否かを検出するカバー検出部と、
を備え、
前記プロセッサは、
前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止して供給を再開した場合、再開後に前記RTCへの電源の供給が停止されたことを示すRTC電源情報を記録し、
前記起動処理を実行する際に、
前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かを前記RTC電源情報に基づいて検出し、
前記RTCへの電源の供給が停止されたことを検出した場合、前記カバーが開放されたか否かによって前記BIOS設定に関する情報に基づいて前記BIOS設定のリセットを行うか否かを決定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記カバー検出部により前記カバーが開放されたことが検出されていた場合には前記BIOSを起動させる際に前記BIOS設定のリセットを行わず、前記カバー検出部により前記カバーが開放されたことが検出されていない場合には前記BIOSを起動させる際に前記BIOS設定のリセットを行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
リセットスイッチを備え、
前記リセットスイッチは、前記カバーを開放することなくユーザにより押下できるように配置されており、
ユーザによる前記リセットスイッチの押下に応じて、前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサとは異なるサブプロセッサをさらに備え、
前記サブプロセッサは、
前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かを検出し、
前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かと、前記カバー検出部により前記カバーが開放されたことが検出されたか否かとに基づいて、前記リセットスイッチが押下されたか否かを判定し、
前記プロセッサは、
前記サブプロセッサによる前記リセットスイッチが押下されたか否かの判定結果に基づいて前記BIOS設定のリセットを行うか否かを決定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
BIOS(Basic Input Output System)を起動するためのプログラム及び前記BIOSBIOS設定に関する情報を記憶する不揮発性のメモリと、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより前記BIOSによる起動処理を実行するプロセッサと、RTC(Real Time Clock)と、前記プロセッサ及び前記RTCへ電源を供給する二次電池と、前記二次電池が格納されている筐体の一部を覆うカバーであって前記二次電池の取り外しが可能なように開放可能な前記カバーと、前記カバーが開放されたか否かを検出するカバー検出部と、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止して供給を再開した場合、再開後に前記RTCへの電源の供給が停止されたことを示すRTC電源情報を記録するステップと、
前記起動処理を実行する際に、
前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かを前記RTC電源情報に基づいて検出するステップと、
前記RTCへの電源の供給が停止されたことを検出した場合、前記カバーが開放されたか否かによって前記BIOS設定に関する情報に基づいて前記BIOS設定のリセットを行うか否かを決定するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BIOS(Basic Input Output System)で起動するパーソナルコンピュータは、起動時にROM(Read Only Memory)に格納されているBIOS設定に基づいて、各種デバイスの認識やリセットを行う(例えば、特許文献1参照)。従来、RTC電源の喪失後の起動では、復旧のためにBIOS設定のリセット処理が実行されるよう設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-366504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年RTC(Real Time Clock)電源としての専用の電池(コイン電池など)を備えず、メインバッテリからRTCへ電源が供給される製品が拡充されてきている。この場合、交換などを理由にメインバッテリを取り外したりメインバッテリの充電量が低下してRTCへ給電できなくなったりするとRTC電源の喪失が起きてしまうため、その後の起動時に、ユーザの意図しないBIOS設定のリセット処理が実行されることになる。BIOS設定のリセットの処理時間は長いため、ユーザは意図しないリセット処理によって待たされてしまうことになり、ハングアップと誤認識してしまう可能性もある。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制する情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、システムを起動するためのプログラム及び前記システムのシステム設定に関する情報を記憶する不揮発性のメモリと、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより前記システムによる起動処理を実行するプロセッサと、RTC(Real Time Clock)と、前記プロセッサ及び前記RTCへ電源を供給する二次電池と、前記二次電池が格納されている筐体の一部を覆うカバーであって前記二次電池の取り外しが可能なように開放可能な前記カバーと、前記カバーが開放されたか否かを検出するカバー検出部と、を備え、前記プロセッサは、前記起動処理を実行する際に、前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かを検出し、前記RTCへの電源の供給が停止されたことを検出した場合、前記カバーが開放されたか否かによって前記システム設定に関する情報に基づいて前記システム設定のリセットを行うか否かを決定する。
【0007】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記カバー検出部により前記カバーが開放されたことが検出されていた場合には前記システムを起動させる際に前記システム設定のリセットを行わず、前記カバー検出部により前記カバーが開放されたことが検出されていない場合には前記システムを起動させる際に前記システム設定のリセットを行ってもよい。
【0008】
上記情報処理装置は、リセットスイッチを備え、前記リセットスイッチは、前記カバーを開放することなくユーザにより押下できるように配置されており、ユーザによる前記リセットスイッチの押下に応じて、前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されてもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記プロセッサとは異なるサブプロセッサをさらに備え、前記サブプロセッサは、前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かを検出し、前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かと、前記カバー検出部により前記カバーが開放されたことが検出されたか否かとに基づいて、前記リセットスイッチが押下されたか否かを判定し、前記プロセッサは、前記サブプロセッサによる前記リセットスイッチが押下されたか否かの判定結果に基づいて前記システム設定のリセットを行うか否かを決定してもよい。
【0010】
本発明の第2態様に係る情報処理装置は、システムを起動するためのプログラム及び前記システムのシステム設定に関する情報を記憶する不揮発性のメモリと、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより前記システムによる起動処理を実行するプロセッサと、前記システムをリセットするための、前記プロセッサに直接的に接続されたリセットスイッチと、を備え、前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより、前記リセットスイッチがユーザにより押下されたことに応じて、前記システムを起動させるとともに、前記システムを起動させる際に前記システム設定に関する情報に基づいて前記システム設定のリセットを行う。
【0011】
本発明の第3態様に係る、システムを起動するためのプログラム及び前記システムのシステム設定に関する情報を記憶する不揮発性のメモリと、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより前記システムによる起動処理を実行するプロセッサと、RTC(Real Time Clock)と、前記プロセッサ及び前記RTCへ電源を供給する二次電池と、前記二次電池が格納されている筐体の一部を覆うカバーであって前記二次電池の取り外しが可能なように開放可能な前記カバーと、前記カバーが開放されたか否かを検出するカバー検出部と、を備える情報処理装置における制御方法は、前記プロセッサが、前記起動処理を実行する際に、前記二次電池から前記RTCへの電源の供給が停止されたか否かを検出するステップと、前記RTCへの電源の供給が停止されたことを検出した場合、前記カバーが開放されたか否かによって前記システム設定に関する情報に基づいて前記システム設定のリセットを行うか否かを決定するステップと、を含む。
【0012】
本発明の第4態様に係る、システムを起動するためのプログラム及び前記システムのシステム設定に関する情報を記憶する不揮発性のメモリと、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより前記システムによる起動処理を実行するプロセッサと、前記システムをリセットするための、前記プロセッサに直接的に接続されたリセットスイッチと、を備える情報処理装置における制御方法であって、前記プロセッサが、前記メモリに記憶された前記プログラムを実行することにより、前記リセットスイッチがユーザにより押下されたことに応じて、前記システムを起動させるステップと、前記システムを起動させる際に前記システム設定に関する情報に基づいて前記システム設定のリセットを行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観の一例を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置の機器筐体の内部を模式的に示す図。
図3】第1の実施形態に係る情報処理装置のリセット処理に関する構成の一例を示す図。
図4】第1の実施形態に係る電源生成部による電源供給の具体的な構成の一例を示す図。
図5】第1の実施形態に係るBIOS起動処理の一例を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
図7】第2の実施形態に係る情報処理装置のリセット処理に関する構成例を示す図。
図8】第2の実施形態に係るリセットスイッチ判定処理の例を示すフローチャート。
図9】第2の実施形態に係るBIOS起動処理の一例を示すフローチャート。
図10】変形例に係る情報処理装置のリセット処理に関する構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0016】
[情報処理装置の概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。
図示する情報処理装置10は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。情報処理装置10は、表示部14(ディスプレイ)が搭載されたディスプレイ筐体101と、キーボード32が搭載された機器筐体102と、ヒンジ機構103とを備えている。ディスプレイ筐体101及び機器筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。
【0017】
ディスプレイ筐体101の側面の一つと機器筐体102の側面の一つとがヒンジ機構103を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りにディスプレイ筐体101と機器筐体102とが相対的に回動可能である。ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態に対してディスプレイ筐体101と機器筐体102とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とが相対的に回動された状態である。この図1に示す情報処理装置10の外観は、開状態の一例を示している。
【0018】
ここでは、ディスプレイ筐体101の表示部14が設けられている面をディスプレイ面101a、ディスプレイ面101aに対して反対側の面をトップ面101bと称する。また、機器筐体102のキーボード32が設けられている面をキーボード面102a、キーボード面102aに対して反対側の面をボトム面102bと称する。閉状態においてディスプレイ面101aとキーボード面102aとは互いに対面する側の面である。図示する例において、キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列された物理的なキーボードである。なお、キーボード面102aには、キーボード32以外にタッチパッドなどが設けられてもよい。
【0019】
閉状態では、ディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aと機器筐体102のキーボード面102aとが対面して重なり合うため、表示部14が視認できない状態、且つキーボード32への操作ができない状態となる。一方、開状態では、表示部14が視認可能な状態、且つキーボードへの操作が可能な状態となる。
【0020】
機器筐体102の内部には、電子部品やバッテリなどが収納されている。機器筐体102のボトム面102bは、ボトム面102bを開放可能なカバー部材を含んで構成されている。このカバー部材は、ボトム面102bの全体の領域を覆うものであってもよいし、ボトム面102bの一部を覆うものであってもよい。以下の記載において、このボトム面102bのカバー部材のことを、「ボトムカバー102b」と称する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10のボトムカバー102bを外して開放した状態の機器筐体102の内部を模式的に示す図である。機器筐体102の内部には、マザーボードMB、放熱ファン50、及びバッテリ60などが収納されている。マザーボードMBには、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサや、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置40などの電子部品が実装されている。バッテリ60は、これらのマザーボードMBに実装されている電子部品及び回路、放熱ファン50などへ電源を供給するメインバッテリ(二次電池)である。
【0022】
また、マザーボードMBには、ユーザがシステムをリセットする際に使用するリセットスイッチ34及びボトムカバー102bが開放されたか否かを検出するボトムタンパースイッチ36が実装されている。
【0023】
リセットスイッチ34は、例えばプッシュ型のスイッチである。例えば、ボトムカバー102bには、機器筐体102に取り付けた状態でリセットスイッチ34を押下できるように小径の穴が設けられている。即ち、リセットスイッチ34は、ボトムカバー102bを開放することなくユーザにより押下できるように配置されている。ユーザは、ボトムカバー102bに設けられている穴からリセットスイッチ34を押下することにより、システムをリセットすることができる。
【0024】
ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放されたか否かを検出可能なカバー検出部の一例である。例えば、ボトムタンパースイッチ36は、機器筐体102とボトムカバー102bとが密着した状態であるか或いは離間した状態であるかを検出することにより、ボトムカバー102bが開放されたか否かを検出する。
【0025】
一例として、ボトムタンパースイッチ36は、プッシュ型のスイッチでもよく、機器筐体102にボトムカバー102bが取り付けられて密着している状態(開放されていない状態)では押下され、ボトムカバー102bが外されて機器筐体102離間している状態(開放されている状態)では押下されない。これにより、ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放されたか否かを検出することができる。
【0026】
なお、ボトムカバー102bが開放されたか否かを検出できるものであれば、機械式のスイッチに限定されるものではない。例えば、ボトムカバー102bが開放されたか否かを検出するカバー検出部として、磁気センサや静電容量センサなどを用いて機器筐体102とボトムカバー102bとの密着及び離間を検出する構成としてもよい。
【0027】
ボトムカバー102bを開放することにより、機器筐体102に収納されているバッテリ60を交換することが可能になる。
【0028】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10におけるBIOS設定のリセットの方法について説明する。情報処理装置10は、RTC(Real Time Clock)を有するが、RTC電源として専用の電源(例えばコイン電池)を備えず、バッテリ60からRTCへ電源が供給される。そのため、例えば、交換などを理由にバッテリ60を取り外すと、RTC電源の喪失が起きる。
【0029】
従来は、RTC電源の喪失が起きると、その後の起動時にBIOS設定のリセット処理が実行される設計となっており、BIOS設定のリセットの処理時間は長いため、ユーザは意図しないリセット処理によって待たされてしまうことになり、ハングアップと誤認識してしまう可能性もある。
【0030】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置10は、バッテリ60の取り外しを起因としてRTC電源の喪失が起きた場合に、ユーザの意図しないBIOS設定のリセット処理の実行を抑制し、且つユーザの意図したタイミングで当該リセット処理を実行可能な構成とした。BIOS設定に関する情報は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)フラッシュメモリ(例えば、図6に示すBIOSメモリ22)などの不揮発性メモリに記憶されているため、RTC電源の喪失が起きたとしても、リセットを行う必要はない。このリセット処理に関する構成について、図3を参照して詳しく説明する。
【0031】
[情報処理装置のリセット処理に関する構成]
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10のリセット処理に関する構成の一例を示す図である。この図3において、図2に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。ここでは、BIOS設定のリセットを行うか否かを制御に関する主要な構成のみを図示している。情報処理装置10は、ホスト部110、リセットスイッチ34、電源生成部35、ボトムタンパースイッチ36、及びバッテリ60を備える。
【0032】
ホスト部110は、情報処理装置10において、OS(Operating System)、BIOSなどに基づく処理を実行するプロセッサ(例えばCPU)を少なくとも1つ含む構成である。
【0033】
ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放されたことを検出した場合、開放されたことを示すタンパー信号(-INTRUDER)をホスト部110へ出力する。ホスト部110は、ボトムタンパースイッチ36から当該タンパー信号を取得すると、ホスト部110内のタンパービットを設定する(例えば、「0」から「1」に設定する)。また、ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放された状態から閉じられた場合(ボトムカバー102bが機器筐体102に取り付けられた場合)、閉じられたことを示すタンパー信号(-INTRUDER)をホスト部110へ出力する。ホスト部110は、ボトムタンパースイッチ36から当該タンパー信号を取得すると、ホスト部110内のタンパービットの設定を解除する(例えば、「1」から「0」に戻す)。
【0034】
電源生成部35は、バッテリ60から供給される電源(VCC3V)に基づいてホスト部110へ電源(VCC3SW)を供給する。リセットスイッチ34は、ホスト部110へ電源(VCC3SW)を供給するか、或いは供給を停止するかを切り替える。ユーザによるリセットスイッチ34の押下に応じて、バッテリ60からホスト部110への電源の供給が停止される。例えば、リセットスイッチ34がユーザにより押下されていない状態では、ホスト部110へ電源(VCC3SW)が供給される(電源ON)。一方、リセットスイッチ34がユーザにより押下された状態では、ホスト部110への電源(VCC3SW)の供給が停止される(電源OFF)。
【0035】
図4は、電源生成部35による電源供給の具体的な構成の一例を示す図である。図示するように、リセットスイッチ34が押下されていない状態では、リセットスイッチ34の出力(-BAT_RST)は開放状態であり、電源生成部35は、バッテリ60から供給される電源(VCC3V)に基づいてホスト部110へ電源(VCC3SW)を供給する。なお、ACアダプタが接続された場合には、電源生成部35は、ACアダプタから供給される電源に基づいてホスト部110へ電源(VCC3SW)を供給する。一方、リセットスイッチ34が押下されると、リセットスイッチ34の出力(-BAT_RST)が接地されるため、バッテリ60またはACアダプタからの給電が停止され、ホスト部110への電源(VCC3SW)の供給が停止される。
【0036】
また、ホスト部110はRTC211を備えており、ホスト部110へ供給される電源(VCC3SW)は、少なくともRTC211へ供給される。つまり、バッテリ60の交換が行われた場合(ACアダプタからの給電が無い状態で)もリセットスイッチ34が押下された場合も同様に、RTC211への電源(VCC3SW)の供給が停止され、RTC電源の喪失が起きる。
【0037】
なお、電源生成部35は、この電源を供給する機能のみを有する構成としてもよいし、この電源を供給する機能とそれ以外の機能とが混在するICの一部として構成されてもよい。
【0038】
ホスト部110は、RTC211への電源(VCC3SW)の供給が停止(電源OFF)して供給を再開(電源ON)した場合、RTC電源がOFFになったことを記録する。例えば、ホスト部110は、RTC211への電源の供給が停止されたことを検出した場合、ホスト部110内のRTC電源ビットを設定する(例えば、「0」から「1」に設定する)。
【0039】
また、ホスト部110は、バッテリ60の交換が行われた場合と、ユーザが意図してリセットスイッチ34を押下した場合とのいずれもRTC211への電源の供給が停止されるが、それぞれの場合を判別して処理を行う。具体的には、ホスト部110は、バッテリ60からRTC211への電源の供給が停止されたか否かを検出し、RTC211への電源の供給が停止されたことを検出した場合、ボトムカバー102bが開放されたか否かによって、BIOSの起動処理を実行する際にBIOS設定のリセットを行うか否かを決定する。
【0040】
例えば、ホスト部110は、タンパービットを参照して、ボトムタンパースイッチ36によりボトムカバー102bが開放されたことが検出されていた場合には、BIOSの起動処理を実行する際にBIOS設定のリセットを行わない。一方、ホスト部110は、タンパービットを参照して、ボトムタンパースイッチ36によりボトムカバー102bが開放されたことが検出されていない場合には、BIOSの起動処理を実行する際にBIOS設定のリセットを行う。
【0041】
[BIOS起動処理の動作]
次に、図5を参照して、情報処理装置10のホスト部110が実行するBIOS起動処理の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係るBIOS起動処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
ホスト部110は、BIOSの起動処理を開始すると、RTC電源の喪失が発生したか否かを判定する(ステップS101)。例えば、ホスト部110は、RTC電源の喪失が発生したか否かの情報を、RTC電源ビットを確認することにより判定する。ホスト部110は、RTC電源の喪失が発生していない(例えば、RTC電源ビットが「0」)と判定した場合(ステップS101:NO)、BIOS設定のリセットを行わない通常の起動処理を実行する(ステップS109)。一方、ホスト部110は、RTC電源の喪失が発生した(例えば、RTC電源ビットが「1」)と判定した場合(ステップS101:YES)、タンパービットを確認する(ステップS103)。
【0043】
ホスト部110は、ステップS103でタンパービットを確認すると、タンパービットが設定されているか否か(「1」に設定されているか否か)を判定する(ステップS105)。ホスト部110は、タンパービットが設定されている(「1」に設定されている)と判定した場合(ステップS105:YES)、リセットスイッチ34が押下されていないと判定する(ステップS107)。そして、ホスト部110は、BIOS設定のリセットを行わない通常の起動処理を実行する(ステップS109)。
【0044】
一方、ホスト部110は、タンパービットが設定されていない(「0」に設定されている)と判定した場合(ステップS105:NO)、リセットスイッチ34が押下されたと判定する(ステップS111)。そして、ホスト部110は、BIOS設定のリセットを行い、起動処理を実行する(ステップS113)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、BIOSメモリ22(不揮発性のメモリの一例)と、ホスト部110(プロセッサの一例)と、RTC211と、バッテリ60(二次電池の一例)と、ボトムカバー102b(カバーの一例)と、ボトムタンパースイッチ36(カバー検出部の一例)と、を備える。BIOSメモリ22は、BIOS(システムの一例)を起動するためのプログラム及びBIOSのBIOS設定に関する情報を記憶する。ホスト部110は、BIOSメモリ22に記憶されたプログラムを実行することによりBIOSによる起動処理を実行する。バッテリ60は、ホスト部110及びRTC211へ電源を供給する。ボトムカバー102bは、バッテリ60が格納されている機器筐体102(筐体の一例)の一部を覆うカバーであってバッテリ60の取り外しが可能なように開放可能である。ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放されたか否かを検出する。
そして、ホスト部110は、起動処理を実行する際に、バッテリ60からRTC211への電源の供給が停止されたか否かを検出し、RTC211への電源の供給が停止されたことを検出した場合、ボトムカバー102bが開放されたか否かによって、BIOS設定に関する情報に基づいてBIOS設定のリセットを行うか否かを決定する。
【0046】
これにより、情報処理装置10は、ボトムカバー102bが開放されたか否かによってBIOS設定のリセットを行うか否かを決定するため、例えばバッテリ60の交換などによってRTC電源の喪失が起きた場合には、その後の起動処理においてBIOS設定のリセットを行わないようにすることができる。よって、情報処理装置10は、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。例えば、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動時間を短縮することができる。
【0047】
例えば、ホスト部110は、ボトムタンパースイッチ36によりボトムカバー102bが開放されたことが検出されていた場合にはBIOSを起動させる際にBIOS設定のリセットを行わない。一方、ホスト部110は、ボトムタンパースイッチ36によりボトムカバー102bが開放されたことが検出されていない場合にはBIOSを起動させる際にBIOS設定のリセットを行う。
【0048】
これにより、情報処理装置10は、バッテリ60の交換などによってRTC電源の喪失が起きた場合には、その後の起動処理においてBIOS設定のリセットを行わないため、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。例えば、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動時間を短縮することができる。
【0049】
また、情報処理装置10は、リセットスイッチ34を備えている。リセットスイッチ34は、ボトムカバー102bを開放することなくユーザにより押下できるように配置されている。そして、ユーザによるリセットスイッチ34の押下に応じて、バッテリ60からRTC211への電源の供給が停止される。
【0050】
これにより、情報処理装置10は、ユーザがリセットスイッチ34を押下した場合に、ボトムカバー102bが開放されないことからBIOS設定のリセットを行うため、ユーザの意図したタイミングでリセット処理の実行が可能となる。
【0051】
また、BIOSメモリ22と、ホスト部110と、RTC211と、バッテリ60と、ボトムカバー102bと、ボトムタンパースイッチ36と、を備える情報処理装置10における制御方法は、ホスト部110が、起動処理を実行する際に、バッテリ60からRTC211への電源の供給が停止されたか否かを検出するステップと、RTC211への電源の供給が停止されたことを検出した場合、ボトムカバー102bが開放されたか否かによって、BIOS設定に関する情報に基づいてBIOS設定のリセットを行うか否かを決定するステップと、を含む。
【0052】
これにより、情報処理装置10は、ボトムカバー102bが開放されたか否かによってBIOS設定のリセットを行うか否かを決定するため、例えばバッテリ60の交換などによってRTC電源の喪失が起きた場合には、その後の起動処理においてBIOS設定のリセットを行わないようにすることができる。よって、情報処理装置10は、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。例えば、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動時間を短縮することができる。
【0053】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態で説明したホスト部110の構成の具体例について、より詳しく説明する。本実施形態では、ホスト部110が複数のプロセッサを含んで構成されている場合の例について説明する。以下、本実施形態に係る情報処理装置10の詳細構成について説明する。
【0054】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
図6は、本実施形態に係る情報処理装置10の主要なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、情報処理装置10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、エンベデッドコントローラ31と、キーボード32と、電源回路33と、リセットスイッチ34と、電源生成部35と、ボトムタンパースイッチ36と、放熱ファン50と、バッテリ60とを備える。なお、この図6において、図1~3の各部に対応する構成には同一の符号を付しており、その説明を適宜省略する。
【0055】
CPU11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10の全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOSなどのプログラムに基づく処理を実行する。
【0056】
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0057】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0058】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0059】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。図6では、複数のデバイスの例として、BIOSメモリ22と、エンベデッドコントローラ31と、記憶装置40とがチップセット21に接続されている。また、チップセット21は、RTC211を備えている。
【0060】
BIOSメモリ22は、例えば、SPIフラッシュメモリや、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアや、BIOS設定に関する情報などを記憶する。
【0061】
記憶装置40は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などを含んで構成される。例えば、記憶装置40は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。情報処理装置10は、SSD40が記憶するデータを利用して各種情報処理を実行する。
【0062】
エンベデッドコントローラ31は、OSやBIOSの処理を実行するCPU11とは別のプロセッサである。例えば、エンベデッドコントローラ31は、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31には、それぞれの入力端子を介して、例えば、キーボード32、電源回路33、及び放熱ファン50などが接続されている。また、エンベデッドコントローラ31は、BIOS設定のリセットを行うか否かを制御するための構成として、ボトムタンパースイッチ36と、電源生成部35を介してリセットスイッチ34とが接続されている。電源生成部35の出力は、エンベデッドコントローラ31の他に、ここでは図示していないが、少なくともRTC211に接続されている。
【0063】
キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列された入力デバイスである。キーボード32は、図1に示すように、機器筐体102のキーボード面102aに設けられている。キーボード32は、ユーザの操作により入力された入力情報(例えば、キーボードに対して操作されたキーを示す操作信号)をエンベデッドコントローラ31へ出力する。なお、キーボード32以外の入力デバイスとして、ポインティング・デバイス、タッチパッドなどの任意の入力デバイスが任意の場所に設けられてもよい。
【0064】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路33は、外部電源又はバッテリ60から情報処理装置10が備える各部に供給する電源を生成する。図3、4で説明したバッテリ60から供給される電源(VCC3V)も、電源回路33を介して所定の電圧(例えば、3V)に変換して電源生成部35へ供給される。
【0065】
[情報処理装置のリセット処理に関する構成]
次に、図7を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10のリセット処理に関する構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報処理装置10のリセット処理に関する構成の一例を示すブロック図である。この図7において、図3に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。ここでは、図3と同様にBIOS設定のリセットを行うか否かを制御に関する主要な構成のみを図示している。ホスト部110の詳細例として、CPU11とエンベデッドコントローラ(EC)31とを図示している点が図3と異なる。情報処理装置10は、CPU11、エンベデッドコントローラ31、リセットスイッチ34、電源生成部35、ボトムタンパースイッチ36、及びバッテリ60を備える。
【0066】
なお、CPU11とエンベデッドコントローラ31との間には図6に示すチップセット21が存在してCPU11とエンベデッドコントローラ31との通信の中継などを行うが、ここではCPU11の中に含まれるものとして記載及び説明を省略する。
【0067】
CPU11は、OS(Operating System)、BIOSなどに基づく処理を実行する。CPU11は、BIOSの処理により、エンベデッドコントローラ31を介して、リセットスイッチ34の押下、及びボトムカバー102bの開放などを検出する。
【0068】
ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放されたことを検出した場合、開放されたことを示すタンパー信号(-INTRUDER_EC)をエンベデッドコントローラ31へ出力する。エンベデッドコントローラ31は、ボトムタンパースイッチ36から当該タンパー信号を取得すると、エンベデッドコントローラ31内のタンパービットを設定する(例えば、「0」から「1」に設定する)。また、ボトムタンパースイッチ36は、ボトムカバー102bが開放された状態から閉じられた場合(ボトムカバー102bが機器筐体102に取り付けられた場合)、閉じられたことを示すタンパー信号(-INTRUDER_EC)をエンベデッドコントローラ31へ出力する。エンベデッドコントローラ31は、ボトムタンパースイッチ36から当該タンパー信号を取得すると、エンベデッドコントローラ31内のタンパービットの設定を解除する(例えば、「1」から「0」に戻す)。
【0069】
電源生成部35は、図3及び図4を参照して説明したように、バッテリ60から供給される電源(VCC3V)に基づいてエンベデッドコントローラ31へ電源(VCC3SW)を供給する。リセットスイッチ34は、EC31へ電源(VCC3SW)を供給するか、或いは供給を停止するかを切り替える。ユーザによるリセットスイッチ34の押下に応じて、バッテリ60からエンベデッドコントローラ31への電源の供給が停止される。例えば、リセットスイッチ34がユーザにより押下されていない状態では、エンベデッドコントローラ31へ電源(VCC3SW)が供給される(電源ON)。一方、リセットスイッチ34がユーザにより押下された状態では、エンベデッドコントローラ31への電源(VCC3SW)の供給が停止される(電源OFF)。
【0070】
なお、このエンベデッドコントローラ31へ供給される電源(VCC3SW)は、少なくともRTC211にもRTC電源として供給される。つまり、電源(VCC3SW)がRTC211に供給されているときはエンベデッドコントローラ31にも供給されており、電源(VCC3SW)がRTC211に供給されていないときはエンベデッドコントローラ31にも供給されない。エンベデッドコントローラ31は、自身への電源(VCC3SW)の供給が停止(電源OFF)され、その後供給が再開(電源ON)された場合、RTC211への電源の供給が停止(RTC電源がOFF)になったとして記録する。例えば、エンベデッドコントローラ31は、RTC211への電源の供給が停止されたことを検出した場合、エンベデッドコントローラ31内のRTC電源ビットを設定する(例えば、「0」から「1」に設定する)。
【0071】
エンベデッドコントローラ31は、バッテリ60からRTC211への電源(VCC3SW)の供給が停止されたか否かを検出し、RTC211への電源の供給が停止されたか否かと、ボトムカバー102bが開放されたことが検出されたか否かとに基づいて、リセットスイッチ34が押下されたか否かを判定する。
【0072】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、タンパービットが設定されている(「1」に設定されている)場合には、リセットスイッチ34が押下されていないと判定し、リセットスイッチ34のステイタスを、押下されていないことを示す値(例えば、「0」)に設定する。一方、エンベデッドコントローラ31は、タンパービットが設定されてない(「0」に設定されている)場合には、リセットスイッチ34が押下されたと判定し、リセットスイッチ34のステイタスを、押下されたことを示す値(例えば、「1」)に設定する。
【0073】
CPU11は、BIOSの起動処理を開始すると、エンベデッドコントローラ31からリセットスイッチ34のステイタスを取得して、BIOS設定のリセットを行うか否かを決定する。例えば、CPU11は、リセットスイッチ34のステイタスが押下されていないことを示す値(例えば、「0」)に設定されている場合、BIOSを起動させる際にBIOS設定のリセットを行わない。一方、CPU11は、リセットスイッチ34のステイタスが押下されたことを示す値(例えば、「1」)に設定されている場合、BIOSを起動させる際にBIOS設定のリセットを行う。
【0074】
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態におけるBIOS起動処理の動作について説明する。本実施形態では、エンベデッドコントローラ31がRTC電源の喪失(RTC電源ビット)とボトムカバー102bの開放(タンパービット)を確認してリセットスイッチ34が押下されたか否かのステイタスを設定し、CPU11(BIOS)がリセットスイッチ34のステイタスをエンベデッドコントローラ31のから取得して、BIOS設定のリセットを行うか否かを制御する。
【0075】
[ECによるリセットスイッチ判定処理の動作]
まず、図8を参照して、エンベデッドコントローラ31が実行するリセットスイッチ34が押下されたか否かの判定処理の動作について説明する。図8は、本実施形態に係るリセットスイッチ判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
エンベデッドコントローラ31は、RTC電源の喪失が発生したか否かを判定する(ステップS201)。例えば、エンベデッドコントローラ31は、RTC電源ビットが「0」から「1」に設定された場合、RTC電源の喪失が発生したと判定し(ステップS201:YES)、タンパービットを確認する(ステップS203)。一方、エンベデッドコントローラ31は、RTC電源の喪失が発生していないと判定した場合(ステップS201:NO)、再びステップS201の判定処理を行う。
【0077】
エンベデッドコントローラ31は、ステップS203でタンパービットを確認すると、タンパービットが設定されているか否か(「1」に設定されているか否か)を判定する(ステップS205)。エンベデッドコントローラ31は、タンパービットが設定されている(「1」に設定されている)と判定した場合(ステップS205:YES)、リセットスイッチ34のステイタスを、押下されていないことを示す値(例えば、「0」)に設定(押下無しに設定)する(ステップS207)。
【0078】
一方、エンベデッドコントローラ31は、タンパービットが設定されていない(「0」に設定されている)と判定した場合(ステップS205:NO)、リセットスイッチ34のステイタスを、押下されたことを示す値(例えば、「1」)に設定(押下ありに設定)する(ステップS209)。
【0079】
[BIOS起動処理の動作]
次に、図9を参照して、CPU11が実行するBIOS起動処理の動作について説明する。
図9は、本実施形態に係るBIOS起動処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
CPU11は、BIOSの起動処理を開始すると、RTC電源の喪失が発生したか否かを判定する(ステップS301)。例えば、CPU11は、RTC電源の喪失が発生したか否かの情報を、エンベデッドコントローラ31のRTC電源ビットを確認することにより判定する。CPU11は、RTC電源の喪失が発生していないと判定した場合(ステップS301:NO)、BIOS設定のリセットを行わない通常の起動処理を実行する(ステップS309)。
【0081】
一方、CPU11は、RTC電源の喪失が発生したと判定した場合(ステップS301:YES)、エンベデッドコントローラ31からリセットスイッチ34のステイタスを取得する(ステップS303)。そして、CPU11は、取得したリセットスイッチ34のステイタスを参照して、リセットスイッチ34が押下されたか否かを判定する(ステップS305)。
【0082】
CPU11は、リセットスイッチ34が押下されたと判定した場合(ステップS305:YES)、BIOS設定のリセットを行い、起動処理を実行する(ステップS307)。一方、CPU11は、リセットスイッチ34が押下されていないと判定した場合(ステップS305:NO)、BIOS設定のリセットを行わない通常の起動処理を実行する(ステップS309)。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、CPU11(プロセッサの一例)とは異なるエンベデッドコントローラ31(サブプロセッサの一例)をさらに備える。エンベデッドコントローラ31は、バッテリ60からRTC211への電源の供給が停止されたか否かを検出し、RTC211への電源の供給が停止されたか否かと、ボトムカバー102bが開放されたことが検出されたか否かとに基づいて、リセットスイッチ34が押下されたか否かを判定する。CPU11は、エンベデッドコントローラ31によるリセットスイッチ34が押下されたか否かの判定結果に基づいてBIOS設定のリセットを行うか否かを決定する。
【0084】
これにより、情報処理装置10は、ボトムカバー102bが開放されたか否かによってBIOS設定のリセットを行うか否かを決定するため、例えばバッテリ60の交換などによってRTC電源の喪失が起きた場合には、その後の起動処理においてBIOS設定のリセットを行わないようにすることができる。よって、情報処理装置10は、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。よって、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動時間を短縮することができる。また、情報処理装置10は、ユーザがリセットスイッチ34を押下した場合にBIOS設定のリセットを行うため、ユーザの意図したタイミングでリセット処理の実行が可能となる。
【0085】
CPU110は、BIOSの起動処理において、バッテリ60からRTCへの電源の供給が停止(RTC電源が喪失)されたか否かを検出し、RTCへの電源の供給が停止されたことを検出した場合、リセットスイッチ34が押されたか否かを判定する。
【0086】
これにより、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動の際に、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。よって、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動時間を短縮することができる。
【0087】
例えば、情報処理装置10は、RTC専用の電源を備えず、バッテリ60からRTCへ電源が供給される構成である。
【0088】
これにより、情報処理装置10は、バッテリ60の交換などによってRTC電源の喪失が起きることになるが、RTC電源の喪失が起きた後の起動の際に、ユーザの意図しないリセット処理の実行を抑制することができる。よって、情報処理装置10は、RTC電源の喪失が起きた後の起動時間を短縮することができる。
【0089】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0090】
上記実施形態では、リセットスイッチ34が押下された場合も、バッテリ60を交換した場合も同様にRTC電源が喪失するため、ボトムカバー102bが開放されたか否かによって両者を判別してリセット処理の実行の有無を制御した。しかしながら、リセットスイッチ34からの信号線が直接的にホスト部110や、CPU11またはエンベデッドコントローラ31へ接続される構成とした場合、エンベデッドコントローラ31(或いはホスト部110)は、リセットスイッチ34が押下されたか否かを直接的に判定することができる。そのため、ホスト部110(例えば、CPU11)は、リセットスイッチ34がユーザにより押下されたことに応じて、BIOSを起動させるとともに、BIOSを起動させる際にBIOS設定に関する情報に基づいてBIOS設定のリセットを行うことで、ユーザの意図したタイミングでBIOS設定のリセットを行うことができる。図10は、変形例に係るリセット処理に関する構成の一例を示す図であり、リセットスイッチ34からの信号線が直接的にエンベデッドコントローラ(EC)31に接続された場合の構成の一例を示す。この図に示すCPU11及びエンベデッドコントローラ(EC)31を、図3に示すホスト部110としてもよい。ホスト部110は、前述したように、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、CPU)を含む構成である。
【0091】
なお、エンベデッドコントローラ31は、CPU11とは異なるサブプロセッサとしてのマイクロコンピュータの一例であって、これに限定されるものではない。
【0092】
また、上記実施形態において、RTC電源として専用の電池を備えていない構成を例に説明したが、RTC電源として専用の電池を備えている構成に対しても、リセットスイッチ34の押下に応じてBIOS設定のリセット処理を実行するように構成してもよい。
【0093】
また、上述した情報処理装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10(10A)のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0094】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0095】
また、上述した実施形態における情報処理装置10が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 情報処理装置、101 ディスプレイ筐体、101a ディスプレイ面、101b トップ面、102 機器筐体、102a キーボード面、102b ボトムカバー(ボトム面)、103 ヒンジ機構、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、21 チップセット、22 BIOSメモリ、31 エンベデッドコントローラ、32 キーボード、33 電源回路、34 リセットスイッチ、35 電源生成部、36 ボトムタンパースイッチ、40 記憶装置、50 放熱ファン、60 バッテリ、110 ホスト部、211 RTC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10