(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】物品に適用されるCO2バイオインディケータコンポーネント、バイオインディケータアセンブリ、及びバイオインディケータアセンブリを使用する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 31/22 20060101AFI20230427BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20230427BHJP
A43C 19/00 20060101ALI20230427BHJP
G01N 31/00 20060101ALI20230427BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G01N31/22 121C
A41D13/00 102
A43C19/00
G01N31/00 E
C12Q1/02
(21)【出願番号】P 2021559709
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 IB2020053031
(87)【国際公開番号】W WO2020208465
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-07
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン, マティアス
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-089284(JP,A)
【文献】米国特許第04092221(US,A)
【文献】特表2002-515970(JP,A)
【文献】特開2003-007285(JP,A)
【文献】特表2003-504640(JP,A)
【文献】特開2006-214857(JP,A)
【文献】特表2017-526937(JP,A)
【文献】特開平09-187431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/22
A41D 13/00
A43C 19/00
G01N 31/00
C12Q 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の環境におけるCO
2のレベルを決定するためのバイオインディケータコンポーネントであって、
基材
層を含む複合布であって、
選択された環境条件によって分解する生分解性物質が前記基材
層に適用され
て生分解性物質層を形成している複合布と、
前記複合布に結合されて内部キャビティを画定する膜であって、半透過性である膜と、
CO
2に曝されると、色、形、形状、又は質感が変化する
1以上の微生物を含むバイオインディケータと、
前記複合布の背面に結合されたアタッチメント機構と、
を含む、バイオインディケータコンポーネント。
【請求項2】
前記基材
層が円形状である、請求項1に記載のバイオインディケータコンポーネント。
【請求項3】
前記アタッチメント機構がフックを含む、請求項2に記載のバイオインディケータコンポーネント。
【請求項4】
前記バイオインディケータは、CO
2に曝されると色が変わる、請求項1に記載のバイオインディケータコンポーネント。
【請求項5】
前記バイオインディケータが藻類を含む、請求項1に記載のバイオインディケータコンポーネント。
【請求項6】
前記藻類がユレモ属の一種である、請求項5に記載のバイオインディケータコンポーネント。
【請求項7】
前記バイオインディケータコンポーネントが閾値レベルのCO
2に曝されると、前記バイオインディケータコンポーネントが紫色になる、請求項5に記載のバイオインディケータコンポーネント。
【請求項8】
周囲の環境におけるCO
2のレベルを決定するためのバイオインディケータ
アセンブリであって、
物品と、
前記物品に適用されるバイオインディケータコンポーネントと、
を含み、
前記バイオインディケータコンポーネントは、
基材
層を含む複合布であって、
選択された環境条件によって分解する生分解性物質が前記基材
層に適用され
ることにより生分解性物質層を形成する複合布と、
前記複合布と結合して内部キャビティを画定する膜であって、半透過性である膜と、
CO
2に曝されると、色、形、形状、又は質感が変化する
、1以上の微生物を含むバイオインディケータと、
前記複合布の側面に結合されたアタッチメント機構と、
を含む、バイオインディケータ
アセンブリ。
【請求項9】
前記物品が衣類である、請求項8に記載のバイオインディケータアセンブリ。
【請求項10】
前記物品が履物具である、請求項8に記載のバイオインディケータ
アセンブリ。
【請求項11】
請求項8に記載のバイオインディケータ
アセンブリであって、
前記バイオインディケータは、CO
2に曝されると色が変わる藻類を含む、請求項8に記載のバイオインディケータ
アセンブリ。
【請求項12】
前記藻類がユレモ属の一種である、請求項11に記載のバイオインディケータ
アセンブリ。
【請求項13】
前記バイオインディケータコンポーネントが閾値レベルのCO
2に曝されると、バイオインディケータコンポーネントが異なる色に変化する、請求項12に記載のバイオインディケータ
アセンブリ。
【請求項14】
周囲の環境におけるCO
2の閾値レベルを決定することができるバイオインディケータ
アセンブリを使用する方法であって、
バイオインディケータコンポーネントをポーチから取り出すことであって、前記バイオインディケータコンポーネントが、
基材
層を含む複合布であって、
選択された環境条件によって分解する生分解性物質が前記基材
層に適用され
ることにより生分解性物質層を形成する複合布と、
前記複合布と結合して内部キャビティを画定する膜であって、半透過性である膜と、
CO
2に曝されると、色、形、形状、又は質感が変化する
、1以上の微生物を含むバイオインディケータと、
前記複合布の背面に結合されたアタッチメント機構と、を含むことと、
前記バイオインディケータコンポーネントに沿う前記アタッチメント機構を介して物品に前記バイオインディケータコンポーネントを適用することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記物品が衣類である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記物品が履物具である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオインディケータは、CO
2に曝されると色が変わる藻類を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記藻類がユレモ属の一種である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バイオインディケータコンポーネントが閾値レベルのCO
2に曝されると、前記バイオインディケータコンポーネントが異なる色に変化する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記アタッチメント機構がフック及びループ構造を含む、請求項14に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、衣類などの物品に適用することができるバイオインディケータコンポーネント(bioindicator component)に関するものである。より具体的には、本開示は、大気周囲の1つ又は複数の濃度の感知された変化に基づいて、着用者の周囲の環境に反応して適応するバイオインディケータコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの消費者は、ワークアウト中や身体活動を行う際に、デバイスからの情報フィードバックを望んでいる。一般的に、このようなフィードバックは、携帯電話、腕時計、フィットネストラッカー、又は他のポータブル電子機器などの1つ又は複数の電子機器から得られる。このフィードバックは、心拍数、睡眠サイクル、移動距離などの、それらの機器が追跡して表示することが可能な情報を提供する。多くの場合、このタイプのフィードバックは、ユーザが特定の期間に望ましい運動量や睡眠量、又は望ましい心拍数を達成したことを確認するために、1つ又は複数のデータポイントを追跡又は監視するのに役立つ。現在、多くのフィードバックシステムは、情報を取得する1つ又は複数のセンサに接続された電子アセンブリを必要とし、感知した情報を示す信号をコントローラに送信し、そこで情報を合成してユーザに出力することができる。
【0003】
ある種の情報は、電子機器に接続された加速度計などの1つ又は複数のセンサによって容易に得ることができるが、かなりの量の望ましい情報は、費用対効果の高いセンサによって単純に取得され、電子機器に送信されることはない。例えば、正しい情報を取得してユーザに表示することに関連する多くの要因のために、リアルタイムの温度又は圧力情報を取得して表示することができる電子機器は、あったとしてもほとんど無い。
【0004】
さらに、他の望ましい環境情報のうち、オゾンレベル、CO2レベル、又は粒子状物質レベルを含むことができる大気状態に関連する情報を取得することができる電子デバイスは、あったとしてもほとんど無い。このような情報を取得して表示するには、消費者が慣れ親しんだコンパクトな電子機器にこれらのタイプのセンサを含めることができないという制限がある。さらに、コストを考慮すると、電子機器メーカはこのようなセンサを搭載できない場合がある。
【0005】
電子機器は、現在の大気の状態に関連する情報を効果的かつ効率的に取得及び表示することができるかもしれないが、周囲の大気に関連する特定の大気の状態を容易に決定するための効果的かつ有用なツールに対する別のニーズが存在する。より具体的には、周囲の大気が身体活動に適しているかどうかをユーザが簡単かつ効率的に判断する方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書に記載されているバイオインディケータコンポーネントは、様々な構成を有していてもよく、一般的には、衣類や履物具などの物品の外面に取り付けたり、外面から取り外したりすることができる。しかし、いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネントは、物品に恒久的に適用され、そこから除去可能な剥離可能又は除去可能な不浸透性層(inpermeable layer)を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、周囲の環境におけるCO2のレベルを決定するためのバイオインディケータコンポーネントは、基材を含む複合布を含み、生分解性物質が基材に適用されている。バイオインディケータコンポーネントは、さらに、複合布と結合して内部キャビティを画定する半透過性の膜と、CO2に曝されると、色、形、形状、又は質感が変化するバイオインディケータと、複合布の背面に結合されたアタッチメント機構とを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、基材は、円形状である。いくつかの実施形態では、アタッチメント機構は、フックを含む。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、CO2に曝されると、色が変わる。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、藻類(algae)を含む。いくつかの実施形態では、藻類は、ユレモ属(oscillatoria)の一種である。いくつかの実施形態では、バイオインディケータが閾値レベルのCO2に曝されると、バイオインディケータコンポーネントは紫色になる。
【0009】
いくつかの実施形態では、周囲の環境におけるCO2のレベルを決定するためのバイオインディケータセンブリは、物品と、物品に適用されるバイオインディケータコンポーネントとを含む。バイオインディケータコンポーネントは、基材を含む複合布であって、生分解性物質が適用された基材を含む複合布と、複合布と結合して内部キャビティを画定する半透過性の膜と、CO2に曝されると、色、形、形状、又は質感が変化するバイオインディケータと、複合布の側面に結合されたアタッチメント機構と、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、物品は、衣類である。いくつかの実施形態では、物品は、履物具である。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、CO2に曝されると、色が変わる藻類を含む。いくつかの実施形態では、藻類は、ユレモ属の一種である。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネントが閾値レベルのCO2に曝されると、バイオインディケータコンポーネントは異なる色に変わる。
【0011】
いくつかの実施形態では、周囲の環境におけるCO2の閾値レベルを決定することができるバイオインディケータセンブリを使用する方法は、バイオインディケータコンポーネントをポーチ(pouch)から取り出すステップを含む。バイオインディケータコンポーネントは、基材を含む複合布であって、生分解性物質が適用された基材を含む複合布と、複合布と結合して内部キャビティを画定する半透過性の膜と、CO2に曝されると、色、形、形状、又は質感が変化するバイオインディケータと、複合布の背面に結合されたアタッチメント機構とを備える。本方法は、バイオインディケータコンポーネントに沿うアタッチメント機構を介して物品にバイオインディケータコンポーネントを適用するステップと、バイオインディケータコンポーネントを第1の環境からCO2レベルが第1の環境よりも大きい第2の環境に移すステップと、バイオインディケータコンポーネントをポーチに入れるステップと、をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、物品は、衣類である。いくつかの実施形態では、物品は、履物具である。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、CO2に曝されると色が変わる藻類を含む。いくつかの実施形態では、藻類は、ユレモ属の一種である。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネントが閾値レベルのCO2に曝されると、バイオインディケータコンポーネントは異なる色に変わる。いくつかの実施形態では、アタッチメント機構は、フック及びループ構造を含む。
【0013】
その特徴及び利点を含む衣類の他の態様は、本明細書の図及び詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。したがって、履物具のすべてのそのような態様は、詳細な説明及びこの要約に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示によるバイオインディケータコンポーネントの正面等角図である。
【
図2】
図2は、
図1のバイオインディケータコンポーネントの背面等角図である。
【
図3】
図3は、
図1のバイオインディケータコンポーネントの上面図である。
【
図4】
図4は、
図3のバイオインディケータコンポーネントの線4-4を通る側断面図である。
【
図5】
図5は、再封止可能なポーチ内の
図1のバイオインディケータコンポーネントの等角図である。
【
図6】
図6A~6Cは、第1の状態から第2の状態、第3の状態へと遷移する
図1のバイオインディケータコンポーネントの概略図である。
【
図7】
図7A~7Cは、第1の状態から第2の状態、第3の状態へと移行する
図1のバイオインディケータコンポーネントの追加の概略図である。
【
図8】
図8は、Tシャツから分離して示された
図1のバイオインディケータコンポーネントの正面図である。
【
図9】
図9は、着用者が着用している衣類に示されたバイオインディケータコンポーネントの等角図である。
【
図10】
図10A~10Cは、それぞれ、第1の状態、第2の状態もしくはスモッグ環境、及び第3の状態もしくは部分的に晴れた環境の衣類において拡大して示された
図1のバイオインディケータコンポーネントの等角図である。
【
図11】
図11は、履物具の上に示された
図1のバイオインディケータコンポーネントの等角図である。
【
図12】
図12は、履物具のソール構造に沿ったバイオインディケータコンポーネントの別の実施形態の等角図である。
【
図13】
図13は、リストバンドに沿って配置されたバイオインディケータコンポーネントのさらに別の実施形態の等角図である。
【
図14】
図14A~14Cは、バイオインディケータコンポーネントが適用されたもしくは配置されたキャップ又は帽子の概略図である。
【
図15】
図15は、バイオインディケータコンポーネントを使用する方法を提供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の議論及び添付の図は、衣類又は別の物品に適用されるか、又はそれらと一体化したバイオインディケータコンポーネントの様々な実施形態又は構成を開示するものである。バイオインディケータコンポーネントの実施形態は、物品、例えば、シャツなどに取り付け可能であり、物品から取り外し可能であることが開示されているが、バイオインディケータコンポーネントの実施形態に関連する概念は、例えば、ショーツ、ソックス、アンダーウェア、ジャケット、又はレギンスなどを含む広範囲の運動用衣類物品に適用することができる。また、バイオインディケータコンポーネントの概念は、スポーツコート、ドレス、タキシードなどの非運動着と考えられる衣類にも適用できる。衣類に加えて、本明細書に記載されている特定の概念は、履物、靴、ヘルメット、当て物(padding)又は保護パッド、すね当て、手袋など、他の種類のアパレル又は他の運動装備に適用して組み込むこともできる。さらに、本明細書に記載されている特定の概念は、クッション、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、又はその他の民生品や工業製品に組み込むことができる。したがって、本明細書に記載された概念は、様々な製品に利用することができる。
【0016】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、衣類又は履物具、又は本明細書の開示の実施形態を含む可能性のある他の製造物品に使用される典型的な測定及び製造手順、これらの手順における不注意なエラー、組成物又は混合物を作るため、又は方法を実施するために使用される成分の製造、出所、又は材料の純度の違いなどによって生じる可能性のある数値量の変動を意味する。本開示全体を通して、「約」及び「およそ」という用語は、その用語が先行する数値の±5%の範囲を意味する。
【0017】
本明細書で使用される用語「weight percent(重量パーセント)」、「wt-%」、「percent by weight」、「% by weight」及びその変形は、物質又は成分の濃度を、その物質又は成分の重量を例えば組成物又は組成物の特定の成分の総重量で割って100を掛けたものとして表す。本明細書では、「パーセント」、「%」などの言葉は、「重量パーセント」、「wt-%」と同義と理解することができる。
【0018】
本明細書で使用される用語「バイオインディケータ」及びそのバリエーションは、刺激物又は刺激に反応して色、形、形状、又は質感を変化させる微生物を含む組成物を指す。バイオインディケータに使用するために選択された微生物は、環境中の刺激物又は刺激に反応するような1つ又は複数の有益な特性を有する。
【0019】
刺激物又は刺激を用いて、分解を促したり、加速したり、減速したりすることができる。例えば、いくつかの態様では、分解又は生分解を促す又は加速するために使用される刺激は、温度の変化(熱の増加又は減少など)、光、紫外光、圧力の変化、湿度の変化、pHの変化、液体(例えば、水、塩水、酸性溶液、塩基性溶液)への曝露、ガス(例えば、CO2、NH3、NO2、O2)への曝露、又は溶媒を含むが、これらに限定されない。
【0020】
刺激物は、1つ又は複数の刺激物による1回の暴露後に、バイオインディケータへの変化を促し、加速し、又は減速してもよく、又はバイオインディケータは、刺激物又は刺激物への繰り返しの暴露後に応答するように調整されてもよい。いくつかの側面では、刺激物は、湿度又は圧力を含む1つ又は複数の自然要素への曝露などの環境刺激物であってもよく、分解は、特定の閾値に達した後又は一定期間が経過した後に環境刺激物に反応するように調整されてもよい。さらに別の態様では、刺激物又は刺激は、温度の変化を含んでもよく、バイオインディケータは、特定の閾値に達した後又は一定期間が経過した後に、温度又は温度の変化に応答するように調整されてもよい。さらに別の態様では、刺激物は、紫外光、可視光、又は赤外線などの所定の波長の光であってもよく、又は幅広いスペクトルの光であってもよく、バイオインディケータは、特定の閾値に達した後、又は一定期間が経過した後に、光に反応するように調整されてもよい。いくつかの実施形態では、刺激物又は刺激は、CO2、NO2、酸素、粒子状物質、又はオゾンを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、刺激物はCO2であり、これは、粒子状物質などの他の高レベルの汚染物質の代理となり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、微生物は、一定量の光と水を必要とする光合成、およびCO2を同化して別の化合物に変える代謝経路を通じて、CO2を検出及び/又はCO2に応答する。CO2への反応は、微生物が光合成を行っているか、CO2を代謝しているかによって異なる。いくつかの側面では、バイオインディケータは、CO2濃度の変化に反応する光合成微生物を含む。
【0022】
微生物は、バクテリア、アクチノバクテリア、プロテオバクテリア、バクテロイデス門(bacteroidetes)、菌類、酵母、藻類、又は原生動物であってもよい。本明細書に記載されたバイオインディケータに使用するのに適した微生物は、当技術分野で知られており、使用されている。例えば、微生物は、Oscillatoria(例えば、Oscillatoria rubescens)、Trichodesmium(例えば、Trichodesmium erythraceum)、Hammatoidea、Heterohormogonium、Scytonema、Gleocapsa、Pleurocapsa、Albrightia、Scytonematopsis、Thalopophilia、Myxocarcina、Colteronema、Phormidium corallactinium、Chlamydomonas reinhardtii、Planktothrix rubescens、及び/又はSynechococcusであってもよく、これに限られるものではない。
【0023】
いくつかの実施形態では、バイオインディケータに使用される微生物は、目的の色素を発現することが知られている微生物の1つ以上のタンパク質、酵素、又は遺伝子を発現するように遺伝子操作された組換え微生物であってもよいし、微生物の色を変化させるように遺伝子操作されたものであってもよい。本明細書に記載のバイオインディケータは、微生物の生存及び成長に適した任意の培地中の微生物を含む。媒体は、ゲル、ヒドロゲル、液体、クリーム、油、泡、ペースト、粉末、及び/又はフィルムを含む任意の形態であってよい。培地の成分には、寒天培地、アガロース、ペプトン、ポリペプトン、グルコース、酵母エキス、モルトエキス、ポリエチレングリコール、塩、緩衝剤、水、溶媒、及びそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、培地及び微生物は、バイオインディケータ内で拘束されず、自由に流れ、位置を変えることができる。いくつかの実施形態では、培地及び/又は微生物は、固定された位置にある。
【0024】
バイオインディケータの色の変化のタイミング及び/又は期間は、調整又は制御されてもよい。例えば、微生物の応答を調整するために、培地又はバイオインディケータ組成物に1つ又は複数の添加剤を加えてもよい。添加物は、色の変化を変えるために、又は微生物が刺激に対してより多く又はより少なく反応するように加えることもできる。添加物は、色素や染料であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、微生物はバイオフィルムとしてバイオインディケータに導入されてもよい。いくつかの実施形態では、バイオインディケータはバイオフィルムを含んでもよい。本明細書では、「バイオフィルム」という用語は、バクテリア(bacteria)又は真菌(fungi)の細胞間接着を促進する細胞外高分子物質の基質(matrix)の集合によって形成されたバクテリア又は真菌のフィルム状の層を指す。バイオフィルムは、分解すべきポリマーや物質の表面などへの細胞の吸着を促進する。バイオフィルムは、それ自体でバイオインディケータに導入されてもよいし、微生物の成長と生存、及びバイオフィルムの維持を促進する培地とともに導入されてもよい。いくつかの実施形態では、バイオフィルムの形成及び成長を視覚化するために、及び/又はバイオインディケータで使用するためにバイオフィルムを着色するために、1つ又は複数の色素をバイオフィルムに添加してもよい。
【0026】
バイオインディケータの色の変化を促す環境刺激は、光、紫外光、圧力の変化、湿度の変化、pHの変化、水、又はCO2を含んでもよい。刺激物は、刺激物への1回の曝露後にバイオインディケータの色の変化を促してもよいし、刺激物への繰り返しの曝露により色の変化を促してもよい。あるいは、2つ以上の刺激に1回だけ曝された後、あるいは繰り返し曝された後に、色の変化が反応するように調整されていてもよい。刺激物は、紫外光、可視光、赤外光などの所定の波長の光であってもよいし、幅広いスペクトルの光であってもよく、バイオインディケータの色の変化は、特定の閾値に達した後、又は一定の期間が経過した後に、光に反応するように調整されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、刺激物はCO2であり、色の変化は、ユーザが遭遇したCO2のレベルに反応する。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、約0℃から約85℃の間の温度、例えば、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、又は約85℃で使用することができる。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、約20%の相対湿度と約100%の相対湿度の間の湿度、例えば、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の湿度で使用することができる。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、約30℃以下、約25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、又は約0℃以下の温度で活性が低下するか、完全に不活性化される。いくつかの実施形態では、バイオインディケータは、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、又は約2%以下の湿度で活性が低下するか、完全に不活性化される。
【0028】
図1~3は、本開示に従ったバイオインディケータコンポーネント20の一実施形態を示す。バイオインディケータコンポーネント20は、複合材料で構成されており、複合布22と膜24とを含む。膜24は、特定の分子又はイオンの通過を可能にする一種の生体膜又は合成高分子膜であってもよい。いくつかの実施形態では、膜24は、シリカ、ゼオライト、金属有機構造体(metal-organic framework)、及び/又はペロブスカイトを含み、これらは、強い耐熱性及び耐薬品性に加えて、透過性及び選択性の向上につながる高いチューナビリティ(改変及び機能化される能力)を有するために使用され得る。膜24は、1つ又は複数の化合物が異なる速度で横切って移動するか又はまったく移動しない透過性バリアとして作用することによって、混合ガスを分離するために使用されてもよい。
【0029】
また、膜24は、気体透過性ポリマーなどの他のタイプの材料を含んでもよい。そのために、膜24は、気体透過性であってもよく、上述したような刺激物又は刺激が膜24を通って拡散することを可能にするが、他のタイプの物質が膜24を拡散するか又は他の方法で通過することを防止するように構成されてもよい。膜24は、分子サイズ、拡散性、及び/又は溶解度に応じて、気体分子が透過するように調整することができる。膜24は、ネット又は穴あきフォイルを含んでもよく、これにより、バイオインディケータ物質26が膜24の外面28を通って離脱するのを防ぐことができ、周囲の環境気体がバイオインディケータ物質26に接触することを許容する。また、膜24が双方向拡散性気体透過性層を含むことも期待される。いくつかの実施形態では、バイオインディケータ物質26は、識別された閾値を超える周囲の気体又は粒子状物質のレベルなどの環境条件に応答して、色又は形態を変化させてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、膜24は、薄膜複合体(TFC)膜を含んでもよく、これは、高分子量の非晶質ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(エーテルブロックアミド)(HMA-PEO/Pebax(登録商標)2533)層及び/又は高透過性ポリジメチルシロキサン(PDMS)中間層を含んでもよく、これらは、ポリアクリロニトリル(PAN)微多孔性基材上にプレコートされてもよい。いくつかの実施形態では、より高い透過特性を示すTFC膜を含むことが有利な場合がある。さらに別の実施形態では、膜24は、ポリイミド、熱再転位ポリマー(thermally rearranged polymer)(TRs)、置換ポリアセチレン、固有微多孔性を有するポリマー(polymers with intrinsic microporosity)(PIM)、及び/又はポリエーテルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、調整されたマクロ構造及び/又はミクロ構造、ならびに目標とする表面特性を有する材料を選択することが有利な場合がある。
【0031】
引き続き
図1~3を参照すると、複合布22は、複合布22に適用された生分解性物質(図示せず)を含む複合物質であってもよい。いくつかの実施形態では、生分解性物質は、パターンで、特に、小さなパッチ(patch)のパターンで複合布22に適用又は接着されてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のバイオインディケータコンポーネント20が含まれていてもよく、これらはその中に同じバイオインディケータ物質26を含んでいてもよいし、異なるバイオインディケータを含んでいてもよい。また、バイオインディケータ物質26は、代替的な配置で配置されてもよく、
図1~3に描かれているような円形状に限定される必要はない。
【0032】
特に
図1を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20の正面等角図が示されている。バイオインディケータコンポーネント20は、シリコンで構成されていてもよい複合布22と、膜24とを含む。膜24及び複合布22は、組み合わせると、バイオインディケータ物質26が配置される内部キャビティ30を画定する。上述したように、膜24は、気体が内部キャビティ30に出入りするのを可能にするように、半透過性である。気体が内部キャビティ30に出入りすることは可能であるが、流体やバイオインディケータ物質26が内部キャビティ30から出ることはできないように、半透過性である。バイオインディケータ物質26は、より高濃度のバイオ物質を有する第1の部分32と、より低濃度のバイオインディケータ物質26を有する第2の部分34、又はその逆を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分32はバイオインディケータ物質を含み、第2の部分34は上述のように生分解性物質を含むか、又はその逆である。いくつかの実施形態では、第1の部分32はバイオインディケータ物質26を含み、一方、第2の部分34は、上述したように、添加剤などの別の物質を含む。
【0033】
引き続き
図1を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、バイオインディケータコンポーネント20の周縁部を規定する外縁部36を含んでいる。本実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、円形状であり、これは、シャツ又は他のタイプの衣類に適用されること以外の多数の用途を可能にするのに有利である場合がある。さらに、バイオインディケータコンポーネント20の円形の形状は、バイオインディケータコンポーネント20を他の着用物(wearables)及び/又は靴に使用又は適用することができるように、配置の多様性を可能にすることができる。代替的な実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20の外縁36は、楕円形、長円形、三角形、長方形、正方形、五角形、六角形、八角形、又は他のタイプの多角形の形状である。
【0034】
図2を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20の背面等角図が示されている。外縁36は、本実施形態では、複数のフック42を含むアタッチメント機構40とともに図示されており、このフック42は、例えば、ベルクロ(登録商標)のような面ファスナー構造のコンポーネントであってもよい。アタッチメント機構40は、バイオインディケータコンポーネント20を衣類に容易に取り付け及び/又は衣類から取り外すことを可能にする。いくつかの実施形態では、アタッチメント機構40は、接着剤、磁石、ストラップ、又は1つ以上の留め具を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アタッチメント機構40は、バイオインディケータコンポーネント20を別のコンポーネントとスライド式又は嵌め込み式に係合させることができるロック及びキー機能を含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20の外周に沿って外側フランジが設けられている。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、衣類に固定的に取り付けられる。
【0035】
ここで
図3を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20の平面図が示されている。この図では、バイオインディケータコンポーネント20の円形の輪郭が明確に示されており、第1の部分32及び第2の部分34がより明らかになっている。
図4を参照すると、
図3の線4-4を通る側断面図が示されている。断面図に示すように、バイオインディケータコンポーネント20は、複合布22に取り付けられた下端44に沿ったアタッチメント機構40、すなわちフック42を含む。バイオインディケータ物質26は、複合布22の上に設けられているが、膜24によって形成された内部キャビティ30内にある。代替的な実施形態では、追加の層が含まれるが、衣類、靴、帽子などに装着される可能性があるため、バイオインディケータコンポーネント20のサイズを小さくするように、層の数を制限することが望ましい場合がある。
【0036】
図5を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20をポーチ50に入れた状態の等角図が示されている。ポーチ50は、再封止可能であってもよいし、本明細書で特に言及しない機構を用いて封止可能であってもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、ポーチ50は、ポーチ50によって規定されるポーチキャビティ52に気体が入るのを防ぐように、バイオインディケータコンポーネント20の周囲を閉じてもよい。上述したように、バイオインディケータコンポーネント20が使用されていないとき、着用者は、バイオインディケータコンポーネント20が外部環境54と相互作用するのを防ぐために、バイオインディケータコンポーネント20を再密封可能なポーチ50に戻してもよい。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、再密封可能なポーチ50に入れられることによって、バイオインディケータコンポーネント20が影響を受けていない色、形状、形態、又はテクスチャ、すなわち、ゼロの状態(null state)に戻るように、「回復」(recharge)することができる。バイオインディケータコンポーネント20が再密封可能なポーチ50から取り出されると、バイオインディケータコンポーネント20は、以下でより詳細に説明するように、別の色、形状、形態、又はテクスチャに変化してもよい。
【0037】
図6A~6Cは、バイオインディケータコンポーネント20が第1又はゼロの状態から第2の状態、第3の状態へと遷移する様子を示す概略図である。異なる状態の以下の説明は、情報提供のみを目的としたものであり、限定することを意図したものではない。さらに、追加の状態が企図されており、バイオインディケータコンポーネント20が、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の異なる状態の間で、異なる色、形態、形状、又はテクスチャを呈することができるようになっている。具体的には、
図6Aを参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、バイオインディケータコンポーネント20が再密封可能なポーチ50の内部にあるか、又は再密封可能なポーチ50から取り出されたばかりのときであるかもしれない、第1の状態で示されている。
図6Bを参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、第2の状態で示されており、これは、バイオインディケータコンポーネント20が、第1のレベルのCO
2又は別のタイプの刺激物によって定義され得る第1の外部環境に曝されたときであってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第2の状態は、バイオインディケータコンポーネント20がポーチ50から取り出された後、ほぼ瞬間的に達成されてもよい。
図6Cを参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、第3の状態で示されており、この状態は、バイオインディケータコンポーネント20が周囲の雰囲気に長時間曝された後に達成されてもよく、又はバイオインディケータコンポーネント20が、第2のレベルのCO
2又は別の種類の刺激物によって定義され得る第2の外部環境に曝されたときに達成されてもよい。バイオインディケータコンポーネント20は、バイオインディケータコンポーネント20を識別された時間、例えば60分の間、再密封可能なポーチに戻すことによって、第1の状態に戻されてもよい。
【0038】
図6A~6Cの間に示される異なる状態は、一般に、バイオインディケータコンポーネント20が第1の色から第2の色、第3の色へと遷移することを示している。上述したように、第4の状態、第5の状態、第6の状態などがあるような、色の追加の変化が企図される。しかし、バイオインディケータコンポーネント20は、色を変える必要はなく、むしろ形態を変えてもよい。
図7A~7Cは、バイオインディケータコンポーネント20が第1の状態から第2の状態、第3の状態へと遷移する様子を示す追加の概略図である。
図7Aは、例えば、バイオインディケータコンポーネント20が再密封可能なポーチ50から取り出されると実現され得る、第1の状態のバイオインディケータコンポーネント20を図示している。
図7Bは、バイオインディケータ物質26が第1のサイズから第1のサイズよりも大きい第2のサイズに成長した、第2の状態のバイオインディケータコンポーネント20を示している。
図7Cは、第3の状態のバイオインディケータコンポーネント20を示しており、バイオインディケータ物質26は、第2のサイズから第2のサイズよりも小さい第3のサイズまで縮小している。バイオインディケータコンポーネント20が再密封可能なポーチ50に戻されると、バイオインディケータコンポーネント20は、
図7Aに示すように、第1のサイズに戻ってもよい。上述したサイズ差は、バイオインディケータがどのように形状を変化させるかの非限定的な例であるが、第1、第2、及び第3の状態の間には、任意の数の変化するサイズ/形状の遷移が企図される。さらに、追加の状態が企図されている。
【0039】
図8を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20の詳細な正面図が、物品、すなわち、本実施形態ではTシャツである衣類60から分解して示されている。バイオインディケータコンポーネント20は、衣類60から分離して示されているが、衣類60の前部64に配置位置62が明確に示されている。バイオインディケータコンポーネント20は、衣類60の任意の部分に配置されてもよいが、着用者がバイオインディケータコンポーネント20を容易に見てアクセスできるように、衣類60の前部64に沿ってバイオインディケータコンポーネント20を中心に配置することが有利である。その意味で、衣類60は、左部分70、中央部分72、及び右部分74を、下部分76、中間部分78、及び上部分80とともに有するものとして定義することができる。部分70、72、74、76、78、80は、一般に、衣類60の等しい領域を含んでもよく、衣類60を特定の領域に分離することを意図している。本実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、中央部分72及び上部分80内に配置されている。衣類60に沿ったバイオインディケータコンポーネント20の中央及び上部の位置は、着用者がバイオインディケータコンポーネント20をより容易に見て、着用者が高い又は望ましくないレベルのある種の気体、汚染物質(pollutant)、又は汚染要因物(contaminant)を有する領域にいるかどうかを判断することを可能にするかもしれない。ただし、バイオインディケータコンポーネント20は、部分70、72、74、76、78、80のいずれかの中に配置されてもよい。
【0040】
次に、
図9を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、人82が着用している衣類60上に示されている。バイオインディケータコンポーネント20は、人82によって着用されている衣類60(本実施形態ではタンクトップである)の概して左部分70及び上部分80に配置されていることが示されているが、バイオインディケータコンポーネント20は、衣類60の他の部分に配置されてもよい。バイオインディケータコンポーネント20は、人物82が屋外でのランニングなどの身体活動を行う前に、衣類60に適用されてもよい。バイオインディケータコンポーネント20は、外部環境54が身体活動にとって安全であることを示すように人82に役立つものであってもよいし、身体活動に従事することが望ましくないかもしれないことを人82に示すように、色、形状、質感、又は形態を変化させてもよい。
【0041】
図10A~10Cは、それぞれ、第1の状態、第2の状態もしくはスモッグ環境、及び第3の状態もしくは部分的に晴れた環境において、衣類と結合されたバイオインディケータコンポーネント20の図を示す。
図10Aを参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、衣類60に沿って及び衣類60から分解されて示されている。
図10Aでは、バイオインディケータコンポーネント20は、ポーチ50から取り出された直後を示されており、周囲の環境54がその中のバイオインディケータ物質26の色、形態、形状、又は質感に影響を与える時間が最小限であるようになっている。
図10B及び
図10Cは、周囲の環境54の内容に基づいて、バイオインディケータコンポーネント20が遷移する可能性のある異なる状態を示す。
図10Bは、スモッグ環境を示すことができる第2の状態を図示している。スモッグ環境では、バイオインディケータコンポーネント20は、スモッグ環境を示す色、形状、形態、又はテクスチャを有する状態に遷移してもよく、これは、大気中のCO
2のレベルに基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、CO
2のレベルは、オゾンや粒子状物質などの他の汚染物質が周囲の環境内に存在するかどうかを示すための代替として使用されてもよい。
図10Cは、第3の状態を示しており、この状態は、日当たりの良い環境又は一部日当たりの良い環境を示す場合がある。第3の状態では、バイオインディケータコンポーネント20は、清潔な環境又は汚染されていない環境を示す色、形状、形態、又はテクスチャを有する状態に遷移してもよい。
【0042】
ここで
図11を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、履物具90に適用された状態が示されている。本実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、概して、上述したのと同じ形態であるが、サイズ、形状、又はアタッチメント機構40などのバイオインディケータコンポーネント20の特定の側面は、履物具90で使用可能であるように変更されてもよい。履物具90は、任意のタイプの履物具90であってもよく、バイオインディケータコンポーネント20は、履物具90の任意の部分に沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、履物具90の踵領域92に沿って配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、履物具90の中足領域94、前足領域96、及び/又は舌(tongue)98に沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、及び後述するように、バイオインディケータコンポーネント20は、履物具90のソール構造100に沿って配置されてもよい。
【0043】
図12は、履物具90のソール構造100に沿って配置されるバイオインディケータコンポーネント120の別の実施形態を示す図である。本実施形態では、バイオインディケータコンポーネント120は、円形ではなく、むしろソール構造100に沿って長手方向に延びている。バイオインディケータコンポーネント120は、履物具90のソール構造100と一体的に形成されてもよく、又はそこから分離可能であってもよい。いくつかの実施形態において、バイオインディケータコンポーネント120は、バイオインディケータコンポーネント120を剥がすことによってソール構造100から分離可能である。その意味で、バイオインディケータコンポーネント120の下面に沿ったアタッチメント機構(図示せず)は、ソール構造100への脱着を可能にするように形成されてもよい。
【0044】
図13は、リストバンド122に沿って配置されたバイオインディケータコンポーネント20のさらに別の実施形態を示す。バイオインディケータコンポーネント20は、リストバンド122に沿って台座124に着脱可能であってもよい。いくつかの実施形態では、リストバンド122は、腕時計のヘッド(図示せず)、又はリストバンド122をユーザの手首から取り外すための掛け留め機構126などの構成要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、バイオインディケータコンポーネント20は、より小さな輪郭を有するが、上述のバイオインディケータコンポーネントと同様に、円形の形状を維持してもよい。バイオインディケータコンポーネント20は、リストバンド122の任意の部分に沿って配置されてもよい。
【0045】
図14A~14Cは、バイオインディケータコンポーネント20を有するキャップ又は帽子130の概略図を示しており、バイオインディケータコンポーネント20は、
図6A~6Cに関して示されたのと同様の方法で、第1又はゼロの状態から第2の状態、第3の状態へと遷移する。上述したように、追加の状態が企図されており、バイオインディケータコンポーネント20は、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の異なる状態の間で、異なる色、形態、形状、又はテクスチャを提示してもよい。
図14Aを具体的に参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、第1の状態で示されており、これは、バイオインディケータコンポーネント20が再密封可能なポーチ50の内部にあるか、又は再密封可能なポーチ50から取り出されたばかりで、帽子130に適用されたときであり得る。
図14Bを参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、第2の状態で示されており、これは、バイオインディケータコンポーネント20が、第1のレベルのCO
2又は別のタイプの刺激物によって定義され得る第1の外部環境に曝されたときに起こり得るものである。さらに、いくつかの実施形態では、第2の状態は、バイオインディケータコンポーネント20がポーチ50から取り出された後、ほぼ瞬間的に達成されてもよい。
図14Cを参照すると、バイオインディケータコンポーネント20は、第3の状態で示されており、この状態は、バイオインディケータコンポーネント20が周囲の大気に長時間曝された後に達成されてもよく、又はバイオインディケータコンポーネント20が、第2のレベルのCO
2又は別の種類の刺激物によって定義され得る第2の外部環境に曝されたときに達成されてもよい。バイオインディケータコンポーネント20は、バイオインディケータコンポーネント20を識別された時間、例えば60分、再密封可能なポーチに戻すことによって、第1の状態に戻されてもよい。
【0046】
図15を参照すると、バイオインディケータコンポーネント20を使用する方法140がフローチャートを通して描かれている。ステップ142において、本方法は、ポーチ50からバイオインディケータコンポーネント20を取り外すステップを含む。ステップ144で、本方法は、バイオインディケータコンポーネント20に沿って、アタッチメント機構40を介して、バイオインディケータコンポーネントを衣類60などの物品に適用するステップを含む。ステップ146で、方法140は、バイオインディケータコンポーネントを第1の環境から第2の環境に移すステップをさらに含み、第2の環境ではCO
2レベルが第1の環境よりも大きい。最後に、ステップ148で、方法140は、バイオインディケータコンポーネント20をポーチ50に戻すステップを含む。
【0047】
本明細書に記載された実施形態のいずれも、異なる実施形態に関連して開示された構造又は方法論のいずれかを含むように変更することができる。さらに、本開示は、特に示されたタイプの履物具に限定されない。さらに、本明細書に開示された実施形態のいずれかの履物具の側面は、任意のタイプの履物、アパレル、又は他の運動装備と連携するように変更されてもよい。
【0048】
先に述べたように、本発明を特定の実施形態及び例に関連して上述したが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、多数の他の実施形態、例、用途、又は、実施形態、例及び用途からの変更及び逸脱が、本明細書に添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図されていることが、当業者には理解されるであろう。本明細書で引用した各特許及び刊行物の開示全体は、そのような各特許又は刊行物が本明細書で参照により個別に組み込まれているかのように、参照により組み込まれる。本発明の様々な特徴及び利点は、以下の請求項に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の数多くの変更は、前述の説明を考慮して当業者に明らかになるであろう。したがって、この説明は例示的にのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を製造及び使用することを可能にし、それを実施するための最良の態様を教示する目的で提示されている。添付された請求項の範囲内にあるすべての変更に対する排他的権利は留保されている。
【0050】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2019年4月8日に出願され、“物品に適用されるCO2バイオインディケータコンポーネント”と題された米国特許出願第16/378,431号に基づき、優先権を主張し、その全体を参照して本明細書に組み込む。
【0051】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する参考資料]
該当なし
【0052】
[シーケンスリスト]
該当なし