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特許7270068選択的展開のための拘束機構及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】選択的展開のための拘束機構及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20230427BHJP
【FI】
A61F2/966
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021566968
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 US2019031780
(87)【国際公開番号】W WO2020231390
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】タイソン ジェイ.スケルトン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-503559(JP,A)
【文献】特表2002-518086(JP,A)
【文献】特表2009-523565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00 - 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディカルデバイスを取り囲むワープニットを形成するように構成された少なくとも1つの拘束繊維を含み、ここで、前記ワープニットは、前記メディカルデバイスを展開するように分離及び取り外されるように構成され、そして、
前記少なくとも1つの拘束繊維は、前記ワープニットを形成する第一の一連のループを含み、前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含み、前記第二の部分は前記結び目に対する抵抗力を生じる、メディカルデバイス展開装置。
【請求項2】
前記ワープニットは、第二の一連のループを含む第二の拘束繊維を含み、そして前記第一の一連のループ及び前記第二の一連のループは結び目の列を形成する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記一連のループの第一の部分及び前記一連のループの第二の部分は、前記第二の一連のループを通して配置される、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記第一の一連のループの第二の部分は第二のループを含む、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記第一の一連のループの第二の部分は、前記結び目を形成する前記少なくとも1つの拘束繊維の長さを超えて延在している前記少なくとも1つの拘束繊維の長さを含む、請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの拘束繊維は、前記結び目に対して回転されている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記結び目の列の各結び目は、第一の一連のループ及び第二の一連のループによって形成されており、前記第一の一連のループの各々は前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記結び目を形成する第一の部分を含む前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、前記ワープニットの遠位端に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記結び目を形成する第一の部分を含む前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの拘束繊維を使用してメディカルデバイスを取り囲むようにワープニットを形成すること、及び、
前記ワープニット内に結び目を形成すること、
を含み、
前記ワープニットは、前記メディカルデバイスを展開するように分離及び取り外されるように構成され、そして第一の一連のループを含み、前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含み、前記第二の部分は前記結び目に対する抵抗力を生じる
メディカルデバイスを解放可能に拘束する方法。
【請求項11】
前記結び目を形成することは、前記ワープニットの遠位端で結び目を形成することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記結び目を形成することは、スリップノットを形成することを含み、前記第二の部分は前記スリップノットを超えて配置された長さである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記結び目を形成することは、第二のループに前記第二の部分を形成することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記結び目は、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記ワープニットは、第二の一連のループを含む第二の拘束繊維を含み、そして前記第一の一連のループ及び前記第二の一連のループは結び目の列を形成する、請求項10記載の方法。
【請求項16】
インプラント可能なメディカルデバイス、
拘束構成で前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成された拘束体、
を含み、ここで、前記拘束体は、
拘束構成で前記メディカルデバイスを取り囲む第二の拘束繊維と織り合わされた第一の拘束繊維によって形成された結び目の第一の列、及び、
拘束構成で前記メディカルデバイスを取り囲む第三の拘束繊維と織り合わされた第二の拘束繊維によって形成された結び目の第二の列を含み、前記結び目の第一の列は、前記第一の拘束繊維の第一のループ及び前記第二の拘束繊維の第二のループによって形成された遠位の結び目を含み、前記第二のループは、前記結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含み、前記第二の部分は前記結び目に対する抵抗力を生じる、展開装置。
【請求項17】
前記第二の結び目の列の各結び目は、第一の一連のループ及び第二の一連のループによって形成され、前記第二の一連のループの各々は、前記結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第二の部分は第二のループを含む、請求項16記載の装置。
【請求項19】
前記遠位の結び目は、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている、請求項16記載の装置。
【請求項20】
前記第二の部分は、前記遠位の結び目を形成する第三の拘束繊維の長さを超えて延在している繊維の長さを含む、請求項16記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、インプラント可能なメディカルデバイスのデリバリーに使用される拘束体を含む装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、デバイスのデリバリー中の拡張可能なデバイスの選択的展開のための拘束体を含む装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ステント及びステントグラフトは、動脈、静脈、気道、胃腸管及び胆道を含む、体内の様々な管状通路を半径方向に支持するように利用されうる。これらのデバイスを配置するための好ましい方法は、処置する部位にデバイスを正確に配置及び展開するために特殊なデリバリーシステムを使用している。これらのデリバリーシステムにより、施術者はデバイスの配置に関連する外傷及び技術的な困難さを最小限に抑えることができる。デリバリーシステムの属性としては、低プロファイル、イントロデューサシースを通過する能力、蛇行する管系をスムーズかつ非外傷的に通り抜ける能力、拘束されたデバイスの保護、ならびに、デバイスを正確に配置及び展開する能力が挙げられる。
【0003】
ステント又はステントグラフトは、膨張可能なバルーンを使用することによって、又は、崩潰された又は拘束されたデリバリー直径から拡張及び展開直径まで弾性回復などにより自己拡張するなどして展開及び塑性変形されうる。幾つかのステントは、弾性回復特性を有する材料から機能直径で製造され、次いで半径方向に圧縮されてデリバリーカテーテルに取り付けられることによって弾性回復するように設計されている。
【0004】
これらのステント及びステントグラフトデバイスは、標的位置へのデリバリー前及びデリバリー中に、デリバリー構成において保持、圧縮又は拘束されうる。
【発明の概要】
【0005】
要旨
1つの例(「例1」)によれば、メディカルデバイス展開装置は、メディカルデバイスを取り囲むワープニットを形成するように構成された少なくとも1つの拘束繊維を含み、ここで、前記ワープニットは、前記メディカルデバイスを展開するように分離及び取り外されるように構成され、そして前記少なくとも1つの拘束繊維は、前記ワープニットを形成する第一の一連のループを含み、前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む。
【0006】
別の例(「例2」)によれば、例1の装置に加えて、前記ワープニットは、第二の一連のループを含む第二の拘束繊維を含み、そして前記第一の一連のループ及び前記第二の一連のループは結び目の列を形成する。
【0007】
別の例(「例3」)によれば、例2の装置に加えて、前記一連のループの第一の部分及び前記一連のループの第二の部分は、前記第二の一連のループを通して配置される。
【0008】
別の例(「例4」)によれば、例3の装置に加えて、前記第一の一連のループの第二の部分は第二のループを含む。
【0009】
別の例(「例5」)によれば、例3の装置に加えて、前記第一の一連のループの第二の部分は、前記結び目を形成する前記少なくとも1つの拘束繊維の長さを超えて延在している前記少なくとも1つの拘束繊維の長さを含む。
【0010】
別の例(「例6」)によれば、例5の装置に加えて、前記少なくとも1つの拘束繊維の長さは、前記結び目に対して回転されている。
【0011】
別の例(「例7」)によれば、例2の装置に加えて、前記結び目の列の各結び目は、第一の一連のループ及び第二の一連のループによって形成されており、前記第一の一連のループの各々は前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む。
【0012】
別の例(「例8」)によれば、例1の装置に加えて、前記結び目を形成する第一の部分を含む前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、前記ワープニットの遠位端に配置されている。
【0013】
別の例(「例9」)によれば、例1の装置に加えて、前記結び目を形成する第一の部分を含む前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている。
【0014】
1つの例(「例10」)によれば、メディカルデバイスを解放可能に拘束する方法は、少なくとも1つの拘束繊維を使用してメディカルデバイスを取り囲むようにワープニットを形成すること、ここで、前記ワープニットは、前記メディカルデバイスを展開するように分離及び取り外されるように構成され、そして第一の一連のループを含む、及び、前記ワープニット内に結び目を形成すること、ここで、前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、を含む。
【0015】
別の例(「例11」)によれば、例10の方法に加えて、前記結び目を形成することは、前記ワープニットの遠位端で結び目を形成することを含む。
【0016】
別の例(「例12」)によれば、例10の方法に加えて、前記結び目を形成することは、スリップノットを形成することを含み、前記第二の部分は前記スリップノットを超えて配置された長さである。
【0017】
別の例(「例13」)によれば、例10の方法に加えて、前記結び目を形成することは、第二のループに前記第二の部分を形成することを含む。
【0018】
別の例(「例14」)によれば、例10の方法に加えて、前記結び目は、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている。
【0019】
別の例(「例15」)によれば、例10の方法に加えて、前記ワープニットは、第二の一連のループを含む第二の拘束繊維を含み、そして前記第一の一連のループ及び前記第二の一連のループは結び目の列を形成する。
【0020】
1つの例(「例16」)によれば、展開装置は、インプラント可能なメディカルデバイス、拘束構成で前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成された拘束体を含み、ここで、前記拘束体は、拘束構成で前記メディカルデバイスを取り囲む第二の拘束繊維と織り合わされた第一の拘束繊維によって形成された結び目の第一の列、及び、拘束構成で前記メディカルデバイスを取り囲む第三の拘束繊維と織り合わされた第二の拘束繊維によって形成された結び目の第二の列を含み、前記結び目の第一の列は、前記第一の拘束繊維の第一のループ及び前記第二の拘束繊維の第二のループによって形成された遠位結び目を含み、前記第二のループは、前記結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む。
【0021】
別の例(「例17」)によれば、例16の装置に加えて、前記第二の結び目の列の各結び目は、第一の一連のループ及び第二の一連のループによって形成され、前記第二の一連のループの各々は、前記結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む。
【0022】
別の例(「例18」)によれば、例16の装置に加えて、前記第二の部分は第二のループを含む。
【0023】
別の例(「例19」)によれば、例16の装置に加えて、前記遠位の結び目は、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている。
【0024】
別の例(「例20」)によれば、例16の装置に加えて、前記第二の部分は、前記遠位の結び目を形成する第三の拘束繊維の長さを超えて延在している繊維の長さを含む。
【0025】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限し又は他の方法で狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な実施例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0027】
図1図1は、1つの実施形態による、拘束体を備えたカテーテルを含むデリバリーシステムの上面図である。
【0028】
図2図2は、1つの実施形態による、拘束体を含むインプラント可能なメディカルデバイスの側面図である。
【0029】
図3図3は、1つの実施形態による、例示的な展開装置の図である。
【0030】
図4図4は、1つの実施形態による、例示的な展開装置の図である。
【0031】
図5A図5Aは、1つの実施形態による、デリバリー構成におけるデリバリーシステムの画像である。
【0032】
図5B図5Bは、1つの実施形態による、半展開構成における図5Aに示されるデリバリーシステムの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
定義及び用語
測定値の範囲に関して本明細書で使用される用語として、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用され、前記測定値は、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含むことができるが、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的誤差、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある、関連技術の当業者により理解され、容易に確認されるように合理的に少量だけ異なることができる。
【0034】
本開示は、限定的な方法で読まれることが意図されない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0035】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用され、前記測定値は、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含むことができる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、当業者により理解され、容易に確認されるように合理的に少量だけ、記載された測定値から逸脱することができる。このような逸脱は、例えば、測定誤差、又は、性能を最適化するために行われた微小調整に起因することができる。関連技術の当業者がそのような合理的に少量の差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0036】
本明細書において、便宜上においてのみ、特定の用語を使用している。例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上向き(upward)」、「下向き(downward)」などの単語は、図中に示された構成を単に記載し、又は、取り付け位置での部品の向きを単に記載している。実際、参照される構成要素は任意の方向に向けることができる。同様に、プロセス又は方法が示され又は記載される本開示全体を通して、方法が特定の動作を最初に行うことに依存されることが文脈から明らかでない限り、方法は任意の順序で又は同時に実行されうる。
【0037】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0038】
本開示の様々な態様は、拘束体を形成又は製造することを含む装置、システム及び方法を対象とする。拘束機構は、標的位置へのデリバリー前及びデリバリー中に、デリバリー構成においてインプラント可能なメディカルデバイス(例えば、ステント、ステントグラフト、バルーン、フィルタ又は他の拡張可能なメディカルデバイス)を保持、圧縮又は拘束するように構成されている。特定の例において、拘束体は、一緒に配置された1つ以上の繊維を含むことができる。繊維は、デバイスの周囲方向に織り合わされるか、縫い合わされるか又はさもなければ互いにインターロックされることができる。拘束体を取り除くために、1つ以上の繊維は拘束体内の他の繊維から解きほどかれるか、又は破壊されることができる。
【0039】
拘束されたデバイスは、自然直径又は展開直径よりも小さい直径に拘束された結果としてエネルギーを蓄積する可能性がある。したがって、デバイスは、拘束体に対して半径方向の変位力を示す可能性がある。拘束されたデバイスの展開中に、半径方向の力は、拘束体が自己解除するように、ユーザの関与なしに拘束体の解きほぐしを強制する可能性がある。しかしながら、本開示の態様は、この時期尚早な展開を排除する。以下でさらに詳細に論じられるように、拘束体は、時期尚早な展開を軽減するパターン又は結び目構造を含むことができる。
【0040】
図1は、幾つかの実施形態による、拘束体102を備えたカテーテル100の上面図である。図1に示されるように、拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104をデリバリー構成に拘束するように構成されている。拘束体102は、拘束構成に拘束体102を維持するために、インプラント可能なメディカルデバイス104の周囲に配置された1つ以上の繊維106を含むことができる。
【0041】
拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104のある長さに沿って配置されている。拘束体102はまた、インプラント可能なメディカルデバイス104の周りに周囲方向に配置され、デリバリーのためにインプラント可能なメディカルデバイス104を実質的に覆うことができる。1つ以上の繊維106は、カテーテル100の管腔(図示せず)内に配置され、インプラント可能なメディカルデバイス104のデリバリー中に患者の外部に配置されたカテーテル100の近位端に向かって延在することができる。1つ以上の繊維106は、拘束体102を解放し、インプラント可能なメディカルデバイス104を展開するために、ユーザが張力を加えることができる近位端108を含む。
【0042】
特定の例において、1つ以上の繊維106は、インターロッキング部分(例えば、オーバーラッピング繊維又は結び目)がインプラント可能なメディカルデバイス104の長さに沿って連続的に解放されるように、リップコードと同様に解放される。下記により詳細に説明されるように、拘束体102は、1つ以上の繊維106をインプラント可能なメディカルデバイス104上で直接インターロックすることによって形成される。拘束体102は、一緒に編まれ、次いで、拘束されたデバイスの周りに配置されることができる。又は、拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104の上に直接形成される。拡張可能なメディカルデバイス104は、ステント、ステントグラフト、バルーン又は同様のデバイスであることができる。
【0043】
図2は、1つの実施形態による、拘束体102を含むデバイス104の側面図である。示されるように、デバイス104は、デリバリー直径D1と、前記デリバリー直径D1よりも大きい展開直径D2(図示せず)とを含む。取り外し可能な拘束体102は、そのデリバリー直径D1でデバイス104に取り付けられている。示されるように、拘束体102は、ワープニットの形態で少なくとも2つの拘束繊維を含む。例えば、拘束体102は、第一の拘束繊維110及び第二の拘束繊維112を含むことができる。第一の拘束繊維及び/又は第二の拘束繊維110、112は、例えば、展開ライン120(これは、以下でさらに詳細に論じられるように、1つ以上の結び目の列114に結合されうる)に加えられた力に応答して、拘束体102を解放し、デバイス104をデリバリー直径D1から展開直径D2に移行させるように構成された展開ライン120として動作しうる。
【0044】
デバイス104は、例えば、約5mm~15mm又は6mm~9mm又は6mm~12mm、10mm~20mm、15mm~30mm、25mm~45mmの所望の展開直径D2、及び、展開直径D2よりも小さいデリバリー直径D1を有することができる。例えば、幾つかの例において、デバイス104のデリバリー直径D1/デバイス104の展開直径D2(図示せず)の比は、約0.3未満、約0.29未満、約0.28未満、約0.27未満又は約0.26未満である。参考までに、「直径」という用語は、円形の断面を必要とすることを意味するのではなく、代わりに、デバイス104の最大横断面寸法を指すように広く理解されるべきである。
【0045】
図3は、1つの実施形態による、例示的な展開装置の図である。図3は、少なくとも1つの拘束繊維110を含む展開装置の態様を示す。特定の例において、少なくとも1つの拘束繊維110は、それ自体にループしてニット列114を形成する。他の例において、少なくとも1つの拘束繊維110は第一の拘束繊維110及び第二の拘束繊維112を含む。説明を容易にするために、図3の記載は、第一の拘束繊維110及び第二の拘束繊維112を指す。
【0046】
特定の例において、少なくとも1つの拘束繊維100は、メディカルデバイスを取り囲むワープニットを形成するように構成されて配置される。ワープニットは、メディカルデバイスを展開するために分離及び取り外しされるように構成されている。さらに、少なくとも1つの拘束繊維100は、ワープニットを形成する第一の一連のループを含むことができ、第一の一連のループ318の少なくとも1つ(例示を容易にするために強調表示されたもの)は、結び目326を形成する第一の部分320及び結び目326に加えて配置された第二の部分322を含む。
【0047】
特定の例において、第一の拘束繊維110及び第二の拘束繊維112は拘束体102を形成することができる。拘束体102の遠位端(例えば、結び目の列114の遠位端)において、遠位の結び目326は、少なくとも1つの拘束繊維110(又は第一の拘束繊維110及び第二の拘束繊維112)のループによって形成されうる。特定の例において、第二の一連の複数のループ324(例示を容易にするために強調表示されているもの)及び第一の一連のループ318及び第二の一連のループ324を含む第二の拘束繊維112は結び目の列114を形成する。
【0048】
図3に示されるように、一連のループ318の第一の部分320及び一連のループ318の第二の部分322は第二の一連の複数のループ324を通して配置される。第一の部分320及び第二の一連の複数のループ324は結び目の列114を形成することができる。特定の例において、遠位の結び目326は、一連のループ318の第一の部分320及び一連のループ318の第二の部分322を含むことができ、結び目の列114内の残りの結び目は、一連のループ318の第二の部分322の余剰長さを含まない。例えば、一連のループ318の第一の部分320は、第二の一連の複数のループ324と結び目を形成する長さである。一連のループ318の第二の部分322によって提供される追加の長さ(結び目を形成するための長さに加えて)は、結び目326を解きほぐすために拘束繊維材料の追加の変位を必要とする。追加の変位は、拘束体102の展開を容易にし、時期尚早な展開に抵抗する。展開ライン又は少なくとも1つの拘束繊維110に加えられた張力に応答して、ワープニットは解きほぐれる。一連のループ318の第二の部分322によって提供される追加の長さは、結び目326(又は一連のループ318の第二の部分322によって提供される追加の長さを有する結び目の列114内の複数の結び目)を解きほぐすのに必要な範囲内で摩擦を増加させる。これは時期尚早な展開に抵抗する。
【0049】
特定の例において、一連のループ318の第二の部分322は第二のループを含み、ここで、第一の部分318は第一のループである。特定の例において、一連のループ318の第二の部分322(又は結び目326に加えての長さ)は、結び目326に対して回転され又はねじれている。さらに、第一の部分320を含む第一の一連のループ318は、結び目326を形成し、メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されうる。
【0050】
図4は、1つの実施形態による、例示的な展開装置の図である。拘束体102は、織り合わせられた繊維のシートとして示されているが、拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイスの周りに周囲方向に配置されることができる。拘束体102は、図3を参照して上記で記載されるように、第一の拘束繊維110及び第二の拘束繊維112を含むことができる。例えば、図4に示されるように、拘束体102は、第一の拘束繊維110、第二の拘束繊維112、第三の拘束繊維438及び第四の拘束繊維440を含む。拘束繊維110、112、438、440は、複数の結び目の列114、442、444、446を形成するように一緒に配置されうる。特定の例において、拘束繊維110、112、438、440の数は、結び目の列114、442、444、446の数に等しくてよい。さらに、拘束繊維110、112、438、440は、結び目の列114、442、444、446を形成するために、互いに織り合わせられるか、又は、インターロックされることができる。
【0051】
特定の例において、拘束体102の結び目の第一の列114は、第二の拘束繊維112と織り合わせられた第一の拘束繊維110によって形成されうる。示されるように、第一の拘束繊維110は第二の拘束繊維112と織り合わされて、ワープニットで結び目の列114を形成する。
【0052】
さらに、結び目の第二の列442は、第三の拘束繊維438と織り合わされた第二の拘束繊維112によって形成されうる。第二の拘束繊維112は、第三の拘束繊維438と織り合わされて結び目の列442を形成することができる。さらに、結び目の第三の列444は、第四の拘束繊維440と織り合わせられた第三の拘束繊維438によって形成でき、結び目446は、第一の拘束繊維110と織り合わせられた第四の拘束繊維440によって形成できる。
【0053】
特定の例において、結び目の列114、442、444、446のそれぞれは、拘束体102が拘束構成でメディカルデバイスを取り囲まれるときに、ワープニットであることができる。図3を参照して上記で記載されるように、拘束体102は、1つ以上の拘束繊維110によって形成されうる。拘束構成から拘束体102を展開するために、張力は、拘束繊維110の1つに加えられることができる。特定の例において、結び目326は、ワープニット内に形成され、第一の一連のループ318のうちの少なくとも1つは第一の部分320及び結び目326に加えて配置された第二の部分322を含む。特定の例において、結び目326は、拘束体102又は結び目の列114の端部にあることができる。結び目326、及び、結び目の列114内のすべての結び目は、第二の拘束繊維112によって形成されたループ324(説明を容易にするために強調表示されたもの)で形成されうる。
【0054】
特定の例において、第二の拘束繊維112の第二の一連のループ324はまた、第一の部分448及び結び目326に加えて配置された第二の部分450を含むことができる。第二の部分322、450のそれぞれは、結び目326を形成する拘束繊維の長さ(例えば、第一の部分310、448)の長さを超えて延在している拘束繊維110、112の長さを含むことができる。特定の例において、第二の一連のループ324は、図3に示されるような単一のループであることができる。さらに、結び目の列114における各結び目は、追加の長さの第二の部分322、450を含むことができる。他の例において、第一の拘束繊維110又は第二の拘束繊維のみが、追加の長さの第二の部分322、450を含むことができる。
【0055】
特定の例において、結び目326はスリップノットであることができる。さらに、結び目326又は複数の結び目は、メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されうる。さらに、他の結び目の列442、444、446は、結び目の列442、444、446の結び目に加えて、余剰長さを含むように同様に構成されうる。
【0056】
図4に示される拘束体102のワープニットパターン(これは、単一の結び目326、単一の結び目の列114の複数の結び目、複数の結び目の列114、442、444、446の単一の遠位の結び目326、又は、複数の結び目の列114、442、444、446における複数の結び目を第二の部分又は余剰長さとともに含むことができる)は、拘束体102が解きほぐされるときの時期尚早な展開又は誤った展開を減らす。例えば、余剰長さ及びより長いループは、それを解きほぐすために追加の変位が必要である。より長いループは、結び目の列114、442、444、446において、事前に作製された結び目のループの周りでループを二重にすることによって作製される。ループが二重ループから解きほぐされると、それは捩れループになり、それも解きほぐすことができる。捩れループを解きほぐすために、単一のループから作られたループよりもループをさらに引っ張る必要がある。二重ループを引き出すために必要な追加の長さは、構造物を自己解除するための追加の周囲方向の変位を必要とし、したがって時期尚早な展開(例えば、自己解除又は加速展開)の可能性を減らすことができる。
【0057】
図5Aは、1つの実施形態による、デリバリー構成におけるデリバリーシステム10の画像である。図5Bは、1つの実施形態による、半展開構成におけるデリバリーシステム10の画像である。示されるように、結び目の列の拘束繊維の1つ(例えば、第二の拘束繊維112)を途絶えさせると、図5Bに示されるように、拘束体102の少なくとも一部の解きほぐしが開始される。
【0058】
本出願の本発明の概念は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の概念の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
メディカルデバイスを取り囲むワープニットを形成するように構成された少なくとも1つの拘束繊維を含み、ここで、前記ワープニットは、前記メディカルデバイスを展開するように分離及び取り外されるように構成され、そして、
前記少なくとも1つの拘束繊維は、前記ワープニットを形成する第一の一連のループを含み、前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、メディカルデバイス展開装置。
(態様2)
前記ワープニットは、第二の一連のループを含む第二の拘束繊維を含み、そして前記第一の一連のループ及び前記第二の一連のループは結び目の列を形成する、態様1記載の装置。
(態様3)
前記一連のループの第一の部分及び前記一連のループの第二の部分は、前記第二の一連のループを通して配置される、態様2記載の装置。
(態様4)
前記第一の一連のループの第二の部分は第二のループを含む、態様3記載の装置。
(態様5)
前記第一の一連のループの第二の部分は、前記結び目を形成する前記少なくとも1つの拘束繊維の長さを超えて延在している前記少なくとも1つの拘束繊維の長さを含む、態様3記載の装置。
(態様6)
前記少なくとも1つの拘束繊維の長さは、前記結び目に対して回転されている、態様5記載の装置。
(態様7)
前記結び目の列の各結び目は、第一の一連のループ及び第二の一連のループによって形成されており、前記第一の一連のループの各々は前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、態様2記載の装置。
(態様8)
前記結び目を形成する第一の部分を含む前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、前記ワープニットの遠位端に配置されている、態様1記載の装置。
(態様9)
前記結び目を形成する第一の部分を含む前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている、態様1記載の装置。
(態様10)
少なくとも1つの拘束繊維を使用してメディカルデバイスを取り囲むようにワープニットを形成すること、及び、
前記ワープニット内に結び目を形成すること、
を含み、
前記ワープニットは、前記メディカルデバイスを展開するように分離及び取り外されるように構成され、そして第一の一連のループを含み、前記第一の一連のループのうちの少なくとも1つは第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、
メディカルデバイスを解放可能に拘束する方法。
(態様11)
前記結び目を形成することは、前記ワープニットの遠位端で結び目を形成することを含む、態様10記載の方法。
(態様12)
前記結び目を形成することは、スリップノットを形成することを含み、前記第二の部分は前記スリップノットを超えて配置された長さである、態様10記載の方法。
(態様13)
前記結び目を形成することは、第二のループに前記第二の部分を形成することを含む、態様10記載の方法。
(態様14)
前記結び目は、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている、態様10記載の方法。
(態様15)
前記ワープニットは、第二の一連のループを含む第二の拘束繊維を含み、そして前記第一の一連のループ及び前記第二の一連のループは結び目の列を形成する、態様10記載の方法。
(態様16)
インプラント可能なメディカルデバイス、
拘束構成で前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成された拘束体、
を含み、ここで、前記拘束体は、
拘束構成で前記メディカルデバイスを取り囲む第二の拘束繊維と織り合わされた第一の拘束繊維によって形成された結び目の第一の列、及び、
拘束構成で前記メディカルデバイスを取り囲む第三の拘束繊維と織り合わされた第二の拘束繊維によって形成された結び目の第二の列を含み、前記結び目の第一の列は、前記第一の拘束繊維の第一のループ及び前記第二の拘束繊維の第二のループによって形成された遠位の結び目を含み、前記第二のループは、前記結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、展開装置。
(態様17)
前記第二の結び目の列の各結び目は、第一の一連のループ及び第二の一連のループによって形成され、前記第二の一連のループの各々は、前記結び目を形成する第一の部分及び前記結び目に加えて配置された第二の部分を含む、態様16記載の装置。
(態様18)
前記第二の部分は第二のループを含む、態様16記載の装置。
(態様19)
前記遠位の結び目は、前記メディカルデバイスの時期尚早な展開に抵抗するように構成されている、態様16記載の装置。
(態様20)
前記第二の部分は、前記遠位の結び目を形成する第三の拘束繊維の長さを超えて延在している繊維の長さを含む、態様16記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B