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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】ナノ粒子製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20230427BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20230427BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20230427BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230427BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230427BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20230427BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230427BHJP
   C07K 14/82 20060101ALI20230427BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A61K38/17 ZNA
A61K47/62
A61K9/14
A61K9/51
A61P37/04
A61P43/00 107
C12N5/0789
C12N15/62 Z
C07K14/82
C07K19/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022025388
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2020193475の分割
【原出願日】2017-12-01
(65)【公開番号】P2022060418
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】62/429,466
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511017508
【氏名又は名称】タイガ バイオテクノロジーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー ブライアン カーティス
(72)【発明者】
【氏名】バード グレゴリー アラン
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-501347(JP,A)
【文献】特表2015-524415(JP,A)
【文献】国際公開第2016/105542(WO,A2)
【文献】特表2014-527980(JP,A)
【文献】特表2015-525209(JP,A)
【文献】特表2006-519781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C12N
C07K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において、1種類もしくは複数種類の免疫細胞の活性化、生存、もしくは増殖のうちの一つもしくは複数を増大させるか、または免疫応答を増大させるための製剤であって、該製剤が、
1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団を含み、ここで、
a)該生物活性ナノ粒子の平均直径が約80nm~約150nmであり;
b)該製剤のpHが少なくとも約pH6.0でありかつ約pH8以下であり;かつ
c)T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞をMYC含有ポリペプチドナノ粒子組成物と接触させることによって、該T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、該MYCポリペプチド含有組成物と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大し、かつ、
前記MYC含有ポリペプチドが、MYCポリペプチドに連結されたタンパク質形質導入ドメインを含むMYC融合タンパク質を含む、
製剤
【請求項2】
前記1種類または複数種類の免疫細胞が、1種類または複数種類のアネルギー性免疫細胞を含む、請求項1に記載の製剤
【請求項3】
前記1種類または複数種類の免疫細胞がT細胞である、請求項2に記載の製剤
【請求項4】
前記T細胞が、ナイーブT細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、メモリーT細胞、活性化T細胞、アネルギー性T細胞、寛容T細胞、キメラB細胞、および抗原特異的T細胞からなる群より選択される、請求項3に記載の製剤
【請求項5】
前記1種類または複数種類の免疫細胞がB細胞である、請求項4に記載の製剤
【請求項6】
前記B細胞が、ナイーブB細胞、形質B細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、アネルギー性B細胞、寛容B細胞、キメラB細胞、および抗原特異的B細胞からなる群より選択される、請求項5に記載の製剤
【請求項7】
造血幹細胞の移植の前に1個または複数個の該造血幹細胞を組成物とインビトロで接触させる工程を含む、造血幹細胞移植(HSCT)後の生着を増強するために造血幹細胞を予備刺激する方法であって、該組成物が、
1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団を含み、ここで、
a)該生物活性ナノ粒子の平均直径が約80nm~約150nmであり;
b)該製剤のpHが少なくとも約pH6.0でありかつ約pH8以下であり;かつ
c)T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞をMYC含有ポリペプチドナノ粒子組成物と接触させることによって、該T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、該MYCポリペプチド含有組成物と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大し、かつ、
前記MYC含有ポリペプチドが、MYCポリペプチドに連結されたタンパク質形質導入ドメインを含むMYC融合タンパク質を含む、
方法
【請求項8】
1種または複数種のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団の調製のための方法であって、
(a)変性したMYC含有ポリペプチドを提供するために、6~8M尿素を含む緩衝可溶化溶液中でMYC含有ポリペプチドを変性させる工程;
(b)第1のポリペプチド混合物を提供するために、約3M尿素と約500mM NaClとを含む第1のリフォールド緩衝液を用いて、変性した該MYC含有ポリペプチドに対して第1のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;
(c)第2のポリペプチド混合物を提供するために、約1.5M尿素と約500mM NaClとを含む第2のリフォールド緩衝液を用いる緩衝液交換によって、該第1のポリペプチド混合物に対して第2のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;
(d)約500mM NaClを含む第3のリフォールド緩衝液を用いる緩衝液交換によって、該第2のポリペプチド混合物に対して第3のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;ならびに
e)約80nm~約150nmの数平均直径を有する生物活性ナノ粒子を作製するために十分な時間、該第3のリフォールド緩衝液中に該MYC含有ポリペプチドを維持する工程
を含み、
T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞を該生物活性ナノ粒子と接触させることによって、該T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、該生物活性ナノ粒子と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する、該方法。
【請求項9】
前記MYCポリペプチドがアセチル化されている、請求項1に記載の製剤
【請求項10】
前記MYC融合ペプチドが、前記タンパク質形質導入ドメインと前記MYCポリペプチドとを連結する1種類または複数種類のリンカーをさらに含む、請求項3に記載の製剤
【請求項11】
前記MYC含有ポリペプチドが、以下の一般構造:
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYC配列
を有するMYC融合ペプチドを含み、
ここで、-X-が、該タンパク質形質導入ドメインと該MYC配列とを連結するリンカーである、請求項1に記載の製剤
【請求項12】
前記タンパク質形質導入ドメイン配列がTATタンパク質形質導入ドメイン配列である、請求項1に記載の製剤
【請求項13】
前記TATタンパク質形質導入ドメイン配列が、TAT[48~57]およびTAT[57~48]からなる群より選択される、請求項12に記載の製剤
【請求項14】
前記MYCポリペプチドが、SEQ ID NO:1または10を含むMYC融合ペプチドである、請求項1に記載の製剤
【請求項15】
前記ナノ粒子が約100nm~約110nmの平均直径を有する、請求項1に記載の製剤
【請求項16】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤
【請求項17】
局所投与、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、頬側投与、直腸投与、または経皮投与のために製剤化されている、請求項1に記載の製剤
【請求項18】
前記ナノ粒子が、約90~140nmの平均直径を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項19】
前記ナノ粒子が、約10 4 ~10 6 ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項20】
前記ナノ粒子が、約200個のMYC含有ポリペプチド分子を含む、請求項1に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本願は、2016年12月2日に出願された米国特許仮出願第62/429,466号に基づく優先権を主張するものであり、その内容は参照によってその全体が組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
ポリペプチドの四次構造は、物理化学的特徴および生物学的特徴に大きく影響を及ぼし得る。タンパク質凝集または非ネイティブ凝集とは、タンパク質分子が2個またはそれ以上のタンパク質から構成される安定的な複合体へと組み立てられる過程をさし、その個々のタンパク質はモノマーと呼ばれる。凝集物は、しばしば、強力な非共有結合性の接触によって集合しており、モノマー間の強力な接触を形成する重要なアミノ酸ストレッチを提示するために、ある程度のコンフォメーションの歪み(アンフォールディングまたはミスフォールディング)を必要とする。凝集は、タンパク質の安定性を増大させる傾向を有するが、しばしば、そのためにタンパク質の生物学的活性が犠牲となり、組成物の均一性が減少し、いくつかのケースにおいては、タンパク質の免疫原性が増大し得る。これらの特性は、そのようなタンパク質を、処置のための生物製剤として使用する能力に、悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0003】
概要
本発明の技術は、MYC含有ポリペプチドの、定義されたサイズ範囲の生物活性粒子の集団への調節された組み立てに関する。生物活性を保持するMYC含有ナノ粒子の安定的な調製物の作製の方法が、本明細書中に提供される。細胞を処理するインビトロおよびインビボの方法を含む、処理のために生物活性粒子を使用する方法も、提供される。
【0004】
安定的な生物活性ナノ粒子として製剤化されたMYC含有ポリペプチドを含む組成物が、本明細書中に開示される。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、融合ペプチドを含み、ここで、融合ペプチドは、(i)タンパク質形質導入ドメイン;(ii)MYCポリペプチド配列を含み、ナノ粒子は、MYCの生物学的活性を示す。いくつかの態様において、融合ペプチドは、SEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、融合ペプチドは、SEQ ID NO:10を含む。
【0005】
ある種の態様において、1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団を含む組成物が、本明細書中に提供される。いくつかの態様において、生物活性ナノ粒子の数平均直径は、約80nm~約150nmである。いくつかの態様において、製剤のpHは、少なくとも約pH6.0であるが、約pH8以下である。いくつかの態様において、T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞をMYC含有ポリペプチドナノ粒子組成物と接触させることによって、T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、MYCポリペプチド含有組成物と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、アセチル化されている。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、MYCポリペプチドに連結されたタンパク質形質導入ドメインを含むMYC融合ペプチドを含む。いくつかの態様において、MYC融合ペプチドは、タンパク質形質導入ドメインとMYCポリペプチドとを連結する1種類または複数種類の分子をさらに含む。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、以下の一般構造:タンパク質形質導入ドメイン-X-MYC配列を有するMYC融合ペプチドを含み、ここで、-X-は、タンパク質形質導入ドメインとMYC配列とを連結する分子である。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメイン配列は、TATタンパク質形質導入ドメイン配列である。いくつかの態様において、TATタンパク質形質導入ドメイン配列は、TAT[48~57]およびTAT[57~48]からなる群より選択される。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、SEQ ID NO:1を含むMYC融合ペプチドである。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、SEQ ID NO:10を含むMYC融合ペプチドである。いくつかの態様において、ナノ粒子は、約80nm~約150nmの数平均直径を有する。いくつかの態様において、ナノ粒子は、約100nm~約110nmの数平均直径を有する。いくつかの態様において、組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、組成物は、局所投与、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、頬側投与、直腸投与、または経皮投与のために製剤化されている。
【0006】
ある種の態様において、それを必要とする対象において、1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団を含む本明細書中に提供された組成物の治療的に有効な量を投与することによって、1種類または複数種類の免疫細胞の活性化、生存、もしくは増殖のうちの一つもしくは複数を増大させるか、または免疫応答を増大させる方法も、本明細書中に提供される。いくつかの態様において、1種類または複数種類の免疫細胞は、1種類または複数種類のアネルギー性免疫細胞を含む。いくつかの態様において、1種類または複数種類の免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、ナイーブT細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、メモリーT細胞、活性化T細胞、アネルギー性T細胞、寛容T細胞、キメラB細胞、および抗原特異的T細胞からなる群より選択される。いくつかの態様において、1種類または複数種類の免疫細胞は、B細胞である。いくつかの態様において、B細胞は、ナイーブB細胞、形質B細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、アネルギー性B細胞、寛容B細胞、キメラB細胞、および抗原特異的B細胞からなる群より選択される。ある種の態様において、造血幹細胞の移植の前に、1個または複数個の造血幹細胞を1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団を含む本明細書中に提供された組成物とインビトロで接触させる工程を含む、造血幹細胞移植(HSCT)後の生着を増強するために造血幹細胞を予備刺激する方法も、本明細書中に提供される。
【0007】
ある種の態様において、1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団の調製のための方法も、本明細書中に提供され、該方法は、(a)可溶化されたMYC含有ポリペプチドを提供するために、ある濃度の変性剤を含む可溶化溶液中にMYC含有ポリペプチドを可溶化する工程;(b)第1のポリペプチド混合物を提供するために、約0.35~約0.65倍濃度の工程(a)の変性剤と約100mM~約1Mのアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩とを含む第1のリフォールド緩衝液を用いて、可溶化されたMYC含有ポリペプチドに対して第1のリフォールディング工程を少なくとも約30~180分間実施する工程;(c)第2のポリペプチド混合物を提供するために、約0.10~約0.30倍濃度の工程(b)の変性剤と約100mM~1Mのアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩とを含む第2のリフォールド緩衝液を用いて、第1のポリペプチド混合物に対して第2のリフォールディング工程を少なくとも約30~180分間実施する工程;(e)約100mM~1Mのアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を含む第3のリフォールド緩衝液を用いて、第2のポリペプチド混合物に対して第3のリフォールディング工程を少なくとも約30~180分間実施する工程;ならびに(f)約80nm~約150nmの数平均直径を有する生物活性ナノ粒子を作製するために十分な時間、第3のリフォールド緩衝液中にMYC含有ポリペプチドを維持する工程を含み、T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞を生物活性ナノ粒子と接触させることによって、T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、生物活性ナノ粒子と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する。いくつかの態様において、第1のリフォールディング工程、第2のリフォールディング工程、および/または第3のリフォールディング工程は、緩衝液交換によって工程を実施することを含む。いくつかの態様において、タンジェンシャルフロー濾過を使用して緩衝液交換を実施する。いくつかの態様において、アルカリ金属塩は、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩のうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、アルカリ金属塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、臭化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硫酸水素リチウム、硫酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸カリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸カリウムのうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、アルカリ土類金属塩は、マグネシウム塩およびカルシウム塩のうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、アルカリ土類金属塩は、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、硫酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、および炭酸カルシウムのうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、アルカリ金属塩は、塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの態様において、第1、第2、および/または第3のリフォールド緩衝液は、約500mM NaClを含む。いくつかの態様において、工程(a)における変性剤の濃度は、約1M~約10Mである。いくつかの態様において、変性剤は、グアニジン、塩酸グアニジン、塩化グアニジン、チオシアン酸グアニジン、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、ベタイン、サルコシン、カルバモイルサルコシン、タウリン、ジメチルスルホキシド(DMSO);プロパノール、ブタノール、およびエタノールなどのアルコール;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、N-ラウロイルサルコシン、Zwittergent、非界面活性型スルホベタイン(NDSB)、TRITON X-100、NONIDET(商標)P-40、TWEEN(商標)シリーズ、およびBRIJ(商標)シリーズなどの界面活性剤;水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化物のうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、第1のリフォールド緩衝液、第2のリフォールド緩衝液、および/または第3のリフォールド緩衝液は各々独立して緩衝剤を含む。いくつかの態様において、緩衝剤は、TRIS(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン)、HEPPS(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N'-[3-プロパン-スルホン酸])、CAP SO(3-[シクロヘキシルアミノ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸)、AMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、CAPS(3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパンスルホン酸)、CHES(2-[N-シクロヘキシルアミノ]エタンスルホン酸)、アルギニン、リジン、およびホウ酸ナトリウムのうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、緩衝剤は独立して約1mM~約1Mの濃度で存在する。いくつかの態様において、第1のリフォールド緩衝液、第2のリフォールド緩衝液、および/または第3のリフォールド緩衝液は各々独立して酸化剤および還元剤を含み、酸化剤と還元剤のモル比は、約2:1~約20:1である。いくつかの態様において、酸化剤は、システイン、グルタチオンジスルフィド(「酸化型グルタチオン」)、または両方を含む。いくつかの態様において、酸化剤は、約0.1mM~約10mMの濃度で含まれる。いくつかの態様において、還元剤は、βメルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、シスチン、システアミン、チオグリコール酸、グルタチオン、および水素化ホウ素ナトリウムのうちの1種類または複数種類を含む。いくつかの態様において、還元剤は、約0.02mM~約2mMの濃度で含まれる。いくつかの態様において、変性剤は、尿素を含む。いくつかの態様において、変性剤は、6~8M尿素を含む。いくつかの態様において、第1、第2、および/または第3のリフォールド緩衝液は、グルタチオンおよび/または酸化型グルタチオンを含む。いくつかの態様において、第1、第2、および/または第3のリフォールド緩衝液は、5mMグルタチオンおよび/または1mM酸化型グルタチオンを含む。いくつかの態様において、第1、第2、および/または第3のリフォールド緩衝液は、グリセロールを含む。いくつかの態様において、工程(f)を少なくとも5時間実施する。いくつかの態様において、工程(f)を少なくとも10時間実施する。いくつかの態様において、工程(f)を10~12時間実施する。いくつかの態様において、工程(f)は、第3のリフォールド緩衝液中のMYC含有ポリペプチドを1000rpm未満で撹拌することをさらに含む。
【0008】
いくつかの態様において、本明細書中に提供される方法は、組換えMYC含有ポリペプチドを微生物宿主細胞から単離する工程をさらに含む。いくつかの態様において、微生物宿主細胞は、大腸菌(E.coli)である。いくつかの態様において、組換えMYC含有ポリペプチドを微生物宿主細胞から単離する工程は、誘導性プロモーターからMYC含有ポリペプチドを発現させることを含む。いくつかの態様において、組換えMYC含有ポリペプチドを微生物宿主細胞から単離する工程は、アフィニティクロマトグラフィおよび/または陰イオン交換クロマトグラフィを使用してMYC含有ポリペプチドを精製することを含む。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、アセチル化されている。いくつかの態様において、本明細書中に提供されるナノ粒子組成物およびその作製のための方法のMYC含有ポリペプチドは、組換えポリペプチドである。いくつかの態様において、本明細書中に提供されるナノ粒子組成物のMYC含有ポリペプチドは、MYCポリペプチドに連結されたタンパク質形質導入ドメインを含むMYC融合ペプチドを含む。いくつかの態様において、MYC融合ペプチドは、タンパク質形質導入ドメインとMYCポリペプチドとを連結する1種類または複数種類の分子をさらに含む。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、以下の一般構造:タンパク質形質導入ドメイン-X-MYC配列を有するMYC融合ペプチドを含み、ここで、-X-は、タンパク質形質導入ドメインとMYC配列とを連結する分子である。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメイン配列は、TATタンパク質形質導入ドメイン配列である。いくつかの態様において、TATタンパク質形質導入ドメイン配列は、TAT[48~57]およびTAT[57~48]からなる群より選択される。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、SEQ ID NO:1を含むMYC融合ペプチドである。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、SEQ ID NO:10を含むMYC融合ペプチドである。いくつかの態様において、ナノ粒子は、約80nm~約150nmの数平均直径を有する。いくつかの態様において、ナノ粒子は、約100nm~約110nmの数平均直径を有する。
【0009】
例示的な態様において、1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団の調製のための方法が、本明細書中に提供され、該方法は、(a)変性したMYC含有ポリペプチドを提供するために、6~8M尿素を含む緩衝可溶化溶液中でMYC含有ポリペプチドを変性させる工程;(b)第1のポリペプチド混合物を提供するために、約3M尿素と約500mM NaClとを含む第1のリフォールド緩衝液を用いて、変性したMYC含有ポリペプチドに対して第1のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;(c)第2のポリペプチド混合物を提供するために、約1.5M尿素と約500mM NaClとを含む第2のリフォールド緩衝液を用いる緩衝液交換によって、第1のポリペプチド混合物に対して第2のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;(d)約500mM NaClを含む第3のリフォールド緩衝液を用いる緩衝液交換によって、第2のポリペプチド混合物に対して第3のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;ならびに(f)約80nm~約150nmの数平均直径を有する生物活性ナノ粒子を作製するために十分な時間、第3のリフォールド緩衝液中にMYC含有ポリペプチドを維持する工程を含み、T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞を生物活性ナノ粒子と接触させることによって、T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、生物活性ナノ粒子と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する。
[本発明1001]
1種類または複数種類のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団を含む組成物であって、
a. 該生物活性ナノ粒子の平均直径が約80nm~約150nmであり;
b. 該製剤のpHが少なくとも約pH6.0でありかつ約pH8以下であり;かつ
c. T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞をMYC含有ポリペプチドナノ粒子組成物と接触させることによって、該T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、該MYCポリペプチド含有組成物と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する、該組成物。
[本発明1002]
前記MYCポリペプチドがアセチル化されている、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
前記MYC含有ポリペプチドが、MYCポリペプチドに連結されたタンパク質形質導入ドメインを含むMYC融合ペプチドを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1004]
前記MYC融合ペプチドが、前記タンパク質形質導入ドメインと前記MYCポリペプチドとを連結する1種類または複数種類の分子をさらに含む、本発明1003の組成物。
[本発明1005]
前記MYC含有ポリペプチドが、以下の一般構造:
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYC配列
を有するMYC融合ペプチドを含み、
ここで、-X-が、該タンパク質形質導入ドメインと該MYC配列とを連結する分子である、本発明1001の組成物。
[本発明1006]
前記タンパク質形質導入ドメイン配列がTATタンパク質形質導入ドメイン配列である、本発明1003または本発明1005の組成物。
[本発明1007]
前記TATタンパク質形質導入ドメイン配列が、TAT[48~57]およびTAT[57~48]からなる群より選択される、本発明1006の組成物。
[本発明1008]
前記MYCポリペプチドが、SEQ ID NO:1または10を含むMYC融合ペプチドである、本発明1001の組成物。
[本発明1009]
前記ナノ粒子が約100nm~約110nmの平均直径を有する、本発明1001の組成物。
[本発明1010]
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、本発明1001~1009のいずれかの組成物。
[本発明1011]
局所投与、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、頬側投与、直腸投与、または経皮投与のために製剤化されている、本発明1001~1010のいずれかの組成物。
[本発明1012]
それを必要とする対象において、本発明1001の製剤の治療的に有効な量を投与することによって、1種類もしくは複数種類の免疫細胞の活性化、生存、もしくは増殖のうちの一つもしくは複数を増大させるか、または免疫応答を増大させる方法。
[本発明1013]
前記1種類または複数種類の免疫細胞が、1種類または複数種類のアネルギー性免疫細胞を含む、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記1種類または複数種類の免疫細胞がT細胞である、本発明1013の方法。
[本発明1015]
前記T細胞が、ナイーブT細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、メモリーT細胞、活性化T細胞、アネルギー性T細胞、寛容T細胞、キメラB細胞、および抗原特異的T細胞からなる群より選択される、本発明1014の方法。
[本発明1016]
前記1種類または複数種類の免疫細胞がB細胞である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記B細胞が、ナイーブB細胞、形質B細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、アネルギー性B細胞、寛容B細胞、キメラB細胞、および抗原特異的B細胞からなる群より選択される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
造血幹細胞の移植の前に1個または複数個の該造血幹細胞を本発明1001の組成物とインビトロで接触させる工程
を含む、造血幹細胞移植(HSCT)後の生着を増強するために造血幹細胞を予備刺激する方法。
[本発明1019]
1種または複数種のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団の調製のための方法であって、
(a)可溶化されたMYC含有ポリペプチドを提供するために、ある濃度の変性剤を含む可溶化溶液中にMYC含有ポリペプチドを可溶化する工程;
(b)第1のポリペプチド混合物を提供するために、約0.35~約0.65倍濃度の工程(a)の変性剤と約100mM~約1Mのアルカリ金属塩および/またはアルカリ金属塩とを含む第1のリフォールド緩衝液を用いて、可溶化された該MYC含有ポリペプチドに対して第1のリフォールディング工程を少なくとも約30~180分間実施する工程;
(c)第2のポリペプチド混合物を提供するために、約0.10~約0.30倍濃度の工程(b)の変性剤と約100mM~1Mのアルカリ金属塩および/またはアルカリ金属塩とを含む第2のリフォールド緩衝液を用いて、該第1のポリペプチド混合物に対して第2のリフォールディング工程を少なくとも約30~180分間実施する工程;ならびに
(e)約100mM~1Mのアルカリ金属塩および/またはアルカリ金属塩を含む第3のリフォールド緩衝液を用いて、該第2のポリペプチド混合物に対して第3のリフォールディング工程を少なくとも約30~180分間実施する工程;
(f)約80nm~約150nmの数平均直径を有する生物活性ナノ粒子を作製するために十分な時間、該第3のリフォールド緩衝液中に該MYC含有ポリペプチドを維持する工程
を含み、
T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞を該生物活性ナノ粒子と接触させることによって、該T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、該生物活性ナノ粒子と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する、該方法。
[本発明1020]
前記第1のリフォールディング工程、前記第2のリフォールディング工程、および/または前記第3のリフォールディング工程が、緩衝液交換によって該工程を実施することを含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
タンジェンシャルフロー濾過を使用して緩衝液交換を実施する、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩のうちの1種類または複数種類を含む、本発明1019~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記アルカリ金属塩が、塩化ナトリウム(NaCl)、臭化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硫酸水素リチウム、硫酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸カリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸カリウムのうちの1種類または複数種類を含む、本発明1019~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記アルカリ塩が、マグネシウム塩およびカルシウム塩のうちの1種類または複数種類を含む、本発明1019~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記アルカリ金属塩が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、硫酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、および炭酸カルシウムのうちの1種類または複数種類を含む、本発明1019~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記アルカリ金属塩が塩化ナトリウム(NaCl)を含む、本発明1019~1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
前記第1のリフォールド緩衝液、前記第2のリフォールド緩衝液、および/または前記第3のリフォールド緩衝液が約500mM NaClを含む、本発明1019~1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
工程(a)における変性剤の濃度が約1M~約10Mである、本発明1019~1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記変性剤が、グアニジン、塩酸グアニジン、塩化グアニジン、チオシアン酸グアニジン、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、ベタイン、サルコシン、カルバモイルサルコシン、タウリン、ジメチルスルホキシド(DMSO);プロパノール、ブタノール、およびエタノールなどのアルコール;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、N-ラウロイルサルコシン、Zwittergent、非界面活性型スルホベタイン(NDSB)、TRITON X-100、NONIDET(商標)P-40、TWEEN(商標)シリーズ、およびBRIJ(商標)シリーズなどの界面活性剤;水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化物のうちの1種類または複数種類を含む、本発明1019~1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
前記第1のリフォールド緩衝液、前記第2のリフォールド緩衝液、および/または前記第3のリフォールド緩衝液が各々独立して緩衝剤を含む、本発明1019~1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記緩衝剤が、TRIS(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン)、HEPPS(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N'-[3-プロパン-スルホン酸])、CAP SO(3-[シクロヘキシルアミノ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸)、AMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、CAPS(3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパンスルホン酸)、CHES(2-[N-シクロヘキシルアミノ]エタンスルホン酸)、アルギニン、リジン、およびホウ酸ナトリウムのうちの1種類または複数種類を含む、本発明1030の方法。
[本発明1032]
各緩衝剤が独立して約1mM~約1Mの濃度で存在する、本発明1030または本発明1031の方法。
[本発明1033]
前記第1のリフォールド緩衝液、前記第2のリフォールド緩衝液、および/または前記第3のリフォールド緩衝液が各々独立して酸化剤および還元剤を含み、酸化剤と還元剤のモル比が約2:1~約20:1である、本発明1019~1032のいずれかの方法。
[本発明1034]
前記酸化剤が、システイン、グルタチオンジスルフィド(「酸化型グルタチオン」)、または両方を含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
前記酸化剤が約0.1mM~約10mMの濃度で含まれる、本発明1033または本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記還元剤が、βメルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、シスチン、システアミン、チオグリコール酸、グルタチオン、および水素化ホウ素ナトリウムのうちの1種類または複数種類を含む、本発明1033~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
前記還元剤が約0.02mM~約2mMの濃度で含まれる、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記変性剤が尿素を含む、本発明1019~1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
前記変性剤が6~8M尿素を含む、本発明1019~1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記第1のリフォールド緩衝液、前記第2のリフォールド緩衝液、および/または前記第3のリフォールド緩衝液が、グルタチオンおよび/または酸化型グルタチオンを含む、本発明1019~1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
前記第1のリフォールド緩衝液、前記第2のリフォールド緩衝液、および/または前記第3のリフォールド緩衝液が、5mMグルタチオンおよび/または1mM酸化型グルタチオンを含む、本発明1019~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
前記第1のリフォールド緩衝液、前記第2のリフォールド緩衝液、および/または前記第3のリフォールド緩衝液がグリセロールを含む、本発明1019~1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
工程(f)を少なくとも5時間実施する、本発明1019~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
工程(f)を少なくとも10時間実施する、本発明1019~1042のいずれかの方法。
[本発明1045]
工程(f)を10~12時間実施する、本発明1019~1042のいずれかの方法。
[本発明1046]
工程(f)が、前記第3のリフォールド緩衝液中の前記MYC含有ポリペプチドを1000rpm未満で撹拌することをさらに含む、本発明1019~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
MYC含有ポリペプチドが組換えポリペプチドである、本発明1019~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
組換えMYC含有ポリペプチドを微生物宿主細胞から単離する工程をさらに含む、本発明1047の方法。
[本発明1049]
前記微生物宿主細胞が大腸菌(E.coli)である、本発明1048の方法。
[本発明1050]
組換えMYC含有ポリペプチドを微生物宿主細胞から単離する工程が、誘導性プロモーターから該MYC含有ポリペプチドを発現させることを含む、本発明1048または本発明1049の方法。
[本発明1051]
組換えMYC含有ポリペプチドを微生物宿主細胞から単離する工程が、アフィニティクロマトグラフィおよび/または陰イオン交換クロマトグラフィを使用して該MYC含有ポリペプチドを精製することを含む、本発明1048~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記MYC含有ポリペプチドがアセチル化されている、本発明1019~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記MYC含有ポリペプチドが、MYCポリペプチドに連結されたタンパク質形質導入ドメインを含むMYC融合ペプチドを含む、本発明1019~1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記MYC融合ペプチドが、前記タンパク質形質導入ドメインと前記MYCポリペプチドとを連結する1個または複数個の分子をさらに含む、本発明1053の方法。
[本発明1055]
前記MYC含有ポリペプチドが、以下の一般構造:
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYC配列
を有するMYC融合ペプチドを含み、
ここで、-X-が、該タンパク質形質導入ドメインと該MYC配列とを連結する分子である、本発明1019~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記タンパク質形質導入ドメイン配列がTATタンパク質形質導入ドメイン配列である、本発明1053~1055のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記TATタンパク質形質導入ドメイン配列が、TAT[48~57]およびTAT[57~48]からなる群より選択される、本発明1056の方法。
[本発明1058]
前記MYC含有ポリペプチドが、SEQ ID NO:1または10を含むMYC融合ペプチドである、本発明1019~1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記ナノ粒子が約100nm~約110nmの平均直径を有する、本発明1019~1058のいずれかの組成物。
[本発明1060]
1種または複数種のMYC含有ポリペプチドを含む生物活性ナノ粒子の集団の調製のための方法であって、
(a)変性したMYC含有ポリペプチドを提供するために、6~8M尿素を含む緩衝可溶化溶液中でMYC含有ポリペプチドを変性させる工程;
(b)第1のポリペプチド混合物を提供するために、約3M尿素と約500mM NaClとを含む第1のリフォールド緩衝液を用いて、変性した該MYC含有ポリペプチドに対して第1のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;
(c)第2のポリペプチド混合物を提供するために、約1.5M尿素と約500mM NaClとを含む第2のリフォールド緩衝液を用いる緩衝液交換によって、該第1のポリペプチド混合物に対して第2のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;
(d)約500mM NaClを含む第3のリフォールド緩衝液を用いる緩衝液交換によって、該第2のポリペプチド混合物に対して第3のリフォールディング工程を少なくとも約120分間実施する工程;ならびに
(f)約80nm~約150nmの数平均直径を有する生物活性ナノ粒子を作製するために十分な時間、該第3のリフォールド緩衝液中に該MYC含有ポリペプチドを維持する工程
を含み、
T細胞増殖に適した条件下で抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞を該生物活性ナノ粒子と接触させることによって、該T細胞の活性化、生存、または増殖のうちの一つまたは複数が、該生物活性ナノ粒子と接触していない抗CD3活性化または抗CD28活性化T細胞と比較して増大する、該方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aおよび図1Bは、フローサイトメトリー法を使用した、抗CD3活性化および抗CD28活性化T細胞の増殖に対する、MYC含有ナノ粒子製剤C2Aの効果を示す。図1Aは、緩衝液対照試料におけるT細胞の増殖を示す。図1Bは、MYC含有ナノ粒子製剤C2Aと共に24時間インキュベートされたT細胞の増殖を示す。
図2A】非対称フロー式フィールドフローフラクショネーション(AF4)および多角度レーザー光散乱(MALLS)によって分析された、選択されたMYC含有ナノ粒子製剤のクロマトグラムを示す。図2Aは、製剤F01の分析から得られたクロマトグラムを示す。トレースt1およびt2は、25℃で保存された試料から得られた。トレースt2*およびt4*は、5℃で保存された試料から得られた。時間(t)は、週で測定され、tの後の数値で示される(即ち、t1=1週間、t2=2週間など)。
図2B】非対称フロー式フィールドフローフラクショネーション(AF4)および多角度レーザー光散乱(MALLS)によって分析された、選択されたMYC含有ナノ粒子製剤のクロマトグラムを示す。図2Bは、製剤F02の分析から得られたクロマトグラムを示す。トレースt1およびt2は、25℃で保存された試料から得られた。トレースt2*およびt4*は、5℃で保存された試料から得られた。時間(t)は、週で測定され、tの後の数値で示される(即ち、t1=1週間、t2=2週間など)。
図3】Sepax SRT-C 2000カラムおよび300カラムをタンデムに使用したサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)による、生物活性MYC含有ナノ粒子製剤および生物不活性MYC含有ナノ粒子製剤の分画から得られたクロマトグラムの比較を示す。生物活性ナノ粒子製剤C12およびC13ならびに生物不活性製剤R147の分画を示すトレースが示される。
図4A】多角度光散乱分析によるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC-MALS)を使用したMYC含有ナノ粒子製剤C2Aの分析を示す。図4Aは、屈折率(左座標、RV×RI)または分子サイズ(右座標、RV×MW)の関数としての保持体積(ml)を示す。
図4B】多角度光散乱分析によるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC-MALS)を使用したMYC含有ナノ粒子製剤C2Aの分析を示す。図4Bは、生物活性MYC含有ナノ粒子製剤および生物不活性製剤の分画を示すクロマトグラムを示す。
図5A】動的光散乱(DLS)法によって分析された、選択された製剤におけるMYC含有ナノ粒子のサイズ分布を示す。図5Aは、DLSによるMYC含有ナノ粒子製剤C2Aのサイズ分布を示す。
図5B】動的光散乱(DLS)法によって分析された、選択された製剤におけるMYC含有ナノ粒子のサイズ分布を示す。図5Bは、0.5mg/mlの濃度で試験された生物活性ではないMYC含有ナノ粒子製剤R149のサイズ分布を示す。
図5C】動的光散乱(DLS)法によって分析された、選択された製剤におけるMYC含有ナノ粒子のサイズ分布を示す。図5Cは、0.5mg/mlの濃度で試験された生物活性MYC含有ナノ粒子製剤C12のナノ粒子サイズ分布を示す。
図5D】動的光散乱(DLS)法によって分析された、選択された製剤におけるMYC含有ナノ粒子のサイズ分布を示す。図5Dは、0.5mg/mlの濃度で試験された生物活性MYC含有ナノ粒子製剤C13のナノ粒子サイズ分布を示す。
図6A】ナノ粒子トラッキング分析(NTA)法を使用したMYC含有ナノ粒子製剤C2Aの分析を示す。図6Aは、ナノ粒子製剤C2Aの三つ組測定から観察されたトレーシングを示す。
図6B】ナノ粒子トラッキング分析(NTA)法を使用したMYC含有ナノ粒子製剤C2Aの分析を示す。図6Bは、図6Aに示されるC2Aナノ粒子製剤の分析から得られた三つ組測定のコンセンサストレーシングを示す。
図7】電子顕微鏡法を使用したMYC含有ナノ粒子製剤C2Bの分析を示す。
図8】ペプチドマッピング分析法による、生物活性MYC含有ナノ粒子製剤および生物不活性MYC含有ナノ粒子製剤のAsp-Nエンドプロテイナーゼ消化物の比較を示す。生物活性MYC含有ナノ粒子製剤C2B、C6、およびC7(「機能性」)を、生物不活性MYC含有ナノ粒子製剤C4、147、および149(「非機能性」)と比較した。
図9】同定された個々のペプチドピークを含む、MYC含有ナノ粒子製剤C13についての代表的なペプチドマップを示す。
図10図10A~Cは、ナノ粒子製剤C13についてのRP-HPLCクロマトグラムを示す。図10Aは、完全クロマトグラムを示す。図10Bおよび図10Cは、図10Aの完全クロマトグラムの2種類の異なるズームビューを示す。
図11】波長(nm)の関数としての平均残基モル楕円率(デシモル当たりのdeg cm2)として示された、ナノ粒子製剤C13の遠紫外CD分光分析の結果を示す。
図12】波長(nm)の関数としての平均残基モル楕円率(デシモル当たりのdeg cm2)として示された、ナノ粒子製剤C13の近紫外CD分光分析の結果を示す。
図13】ウシ血清アルブミン(BSA)の2個の対照試料と比較した、ナノ粒子製剤C14の4個の別々の試料についての正規化二次導関数フーリエ変換赤外スペクトル(FTIR)を示す。
図14】ナノ粒子製剤C13についての分析用超遠心分離(AUC)データを示す。
図15図15Aおよび図15Bは、それぞれ、ナノ粒子製剤C13についての非還元型(NR)および還元型(R)の変性SECクロマトグラムを示す。各クロマトグラム上の重ねられたトレースは、2℃~8℃で保存された試料についての、およそ1ヶ月間隔で実施された試験を表す。
図16図16Aおよび図16Bは、TAT-MYCナノ粒子製剤およびTAT-3AMYCナノ粒子製剤の変性SECクロマトグラムを示す。図16Bは、TAT-MYCについてのクロマトグラムを示す。TAT-MYCタンパク質複合体は、6~7分に溶出する。より小さいタンパク質多量体および賦形剤は、8~15分に溶出する。図16Bは、機能性TAT-MYCタンパク質調製物と比較した、TAT-3AMYCについてのクロマトグラムを示す。非機能性TAT-3AMYCタンパク質調製物の大部分は、より小さいタンパク質多量体から構成され、賦形剤ピークは、8~17分の間に溶出することが分かる。
図17】T細胞有効性アッセイ法の結果を示す。TAT-MYCは、未処理(NT)と比較して、生T細胞集団の3倍の増加を示した。TAT-3AMYCは、未処理(NT)と比較して、生T細胞集団の増加を示さなかった。
図18】動的光散乱(DLS)法によって分析された、ミドリザルTAT-MYCの選択された製剤におけるMYC含有ナノ粒子のサイズ分布を示す。
図19】ヒトTAT-MYCと比較したミドリザルTAT-MYCについてのRP-HPLCクロマトグラムを示す。
図20】ヒトTAT-MYCと比較したミドリザルTAT-MYCについてのSEC-HPLCクロマトグラムを示す。
図21】ヒトTAT-MYCと比較したミドリザルTAT-MYCについてのT細胞有効性アッセイ法の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示は、本開示の個々の局面の単なる例示として意図される、本願において記載された具体的な態様によって限定されるべきではない。本開示の様々な態様が、全て、本明細書中に記載されるわけではない。当業者に明白であるように、本開示の多くの改変物および変形物が、その本旨および範囲から逸脱することなく作製され得る。上記の説明から、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および装置が、本明細書中に列挙されたものに加えて、当業者に明白になるであろう。そのような改変物および変形物は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲と共に、限定されるべきである。
【0012】
本開示は、具体的な使用、方法、試薬、化合物、組成物、または生物システムに限定されず、それらは当然変動し得ることが、理解されるべきである。本明細書中で使用される用語法は、具体的な態様を記載するためのものに過ぎず、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0013】
さらに、本開示の特色または局面がマーカッシュ群によって記載される場合、本開示はマーカッシュ群の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループによっても記載されることを、当業者は認識するであろう。
【0014】
当業者によって理解されるように、任意の全ての目的のため、特に、書面の説明の提供に関して、本明細書中に開示された全ての範囲は、任意の全ての可能な部分範囲およびそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。列挙された範囲は、同範囲が少なくとも半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに等分されることを十分に記載し可能にすることが、容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書中に記述された各範囲は、下方の3分の1、中央の3分の1、および上方の3分の1などに容易に分類され得る。また、当業者によって理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「超」、「未満」などのような全ての言語が、明記された数を含み、前述のような部分範囲にその後に分類され得る範囲をさす。最後に、当業者によって理解されるように、範囲には、個々の各メンバーが含まれる。従って、例えば、1~3個の細胞を有する群とは、1個の細胞、2個の細胞、または3個の細胞を有する群をさす。同様に、1~5個の細胞を有する群とは、1個の細胞、2個の細胞、3個の細胞、4個の細胞、または5個の細胞を有する群をさし、他も同様である。
【0015】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される専門用語および科学用語は、全て、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。
【0016】
I. 定義
本明細書中で使用される用語法は、具体的な態様を記載するためのものに過ぎず、本開示を限定するためのものではない。本明細書中で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、前後関係が明白に他のことを示さない限り、複数形も同様に含まれるものとする。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、値が、+/- 20%、+/- 15%、+/- 10%、または+/- 5%変動したとしても、本開示の範囲内に残存し得ることを意味する。例えば、「約200IU/mLの濃度」には、160IU/mL~240IU/mLの濃度が包含される。
【0018】
本明細書中で使用される場合、作用物質の対象への「投与」という用語には、その意図された機能を実施するために、作用物質を対象へ導入または送達する任意の経路が含まれる。投与は、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下を含む任意の適切な経路によって実施され得る。投与には、自己投与および他者による投与が含まれる。
【0019】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸をさし、天然に存在するアミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体もさす。天然にコードされたアミノ酸は、20種類の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)、ならびにピロリジンおよびセレノシステインである。アミノ酸類似体とは、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどの、天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造、即ち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基と結合しているα炭素を有する作用物質をさす。そのような類似体は、(ノルロイシンのように)修飾されたR基または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造を保持している。いくつかの態様において、ポリペプチドを形成するアミノ酸は、D型である。いくつかの態様において、ポリペプチドを形成するアミノ酸は、L型である。いくつかの態様において、ポリペプチドを形成する第1の複数のアミノ酸はD型であり、第2の複数はL型である。
【0020】
アミノ酸は、一般的に公知の3文字記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨された1文字記号のいずれかによって本明細書中で言及される。ヌクレオチドも、同様に、一般的に認められている1文字コードによって言及される。
【0021】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーをさすように交換可能に本明細書中で使用される。これらの用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーにも、1個または複数個のアミノ酸残基が天然に存在しないアミノ酸、例えば、アミノ酸類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用する。これらの用語には、アミノ酸残基が共有結合性のペプチド結合によって連結されている、全長タンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖が包含される。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「対照」は、比較目的のために実験において使用される代替的な試料である。対照は、「陽性」または「陰性」であり得る。例えば、実験の目的が特定の型の疾患のための処置について治療剤の有効度の相関を決定することである場合、陽性対照(所望の治療効果を示すことが既知の組成物)および陰性対照(治療を受容しないかまたはプラセボを受容する対象または試料)が、典型的には用いられる。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「有効量」または「治療的に有効な量」という用語は、所望の治療効果を達成するために十分な作用物質の量をさす。治療的適用に関して、対象へ投与される治療用ペプチドの量は、感染の型および重症度、ならびに全身健康状態、年齢、性別、体重、および薬物に対する耐容能などの個体の特徴に依り得る。それは、疾患の程度、重症度、および型にも依り得る。当業者は、これらおよびその他の因子に依存して適切な投薬量を決定することができるであろう。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドがmRNAへ転写される過程、および/または転写されたmRNAが、その後、ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質へ翻訳される過程をさす。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現には、真核細胞におけるmRNAのスプライシングが含まれ得る。遺伝子の発現レベルは、細胞試料または組織試料の中のmRNAまたはタンパク質の量を測定することによって決定され得る。一つの局面において、ある試料からの遺伝子の発現レベルを、対照試料または参照試料からのその遺伝子の発現レベルと直接比較することができる。別の局面において、ある試料からの遺伝子の発現レベルを、本明細書中に開示された組成物の投与の後の同一試料からのその遺伝子の発現レベルと直接比較することができる。「発現」という用語は、以下のイベントのうちの一つまたは複数もさす:(1)細胞内での(例えば、転写による)DNA配列からのRNA鋳型の作製;(2)細胞内での(例えば、スプライシング、編集、5'キャップ形成、および/または3'末端形成による)RNA転写物のプロセシング;(3)細胞内でのポリペプチドまたはタンパク質へのRNA配列の翻訳;(4)細胞内でのポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾;(5)細胞表面上のポリペプチドまたはタンパク質の提示;ならびに(6)ポリペプチドまたはタンパク質の細胞からの分泌または提示または放出。
【0025】
「リンカー」という用語は、2種類の配列を接続または連結する、例えば、2つのポリペプチドドメインを連結する合成配列(例えば、アミノ酸配列)をさす。いくつかの態様において、リンカーは、アミノ酸配列のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個を含有している。
【0026】
本明細書中で使用される場合の「凍結乾燥した」、「凍結乾燥」などの用語は、乾燥させるべき材料(例えば、ナノ粒子)を、まず凍結させ、次いで、真空環境での昇華によって、氷または凍結した溶媒を除去する過程をさす。保存中の凍結乾燥生成物の安定性を増強するために、予め凍結乾燥した製剤に賦形剤が含まれてもよい。凍結乾燥した試料は、付加的な賦形剤をさらに含有していてもよい。
【0027】
本明細書中で使用される場合、免疫細胞という用語は、免疫応答において役割を果たす任意の細胞をさす。免疫細胞は、造血系に由来し、B細胞およびT細胞などのリンパ球;ナチュラルキラー細胞;単球、マクロファージ、樹状細胞、好酸球、好中球、マスト細胞、好塩基球、および顆粒球などの骨髄系細胞を含む。
【0028】
「リンパ球」という用語は、組織特異的な変種および特殊な変種を含む、全ての未熟型、成熟型、未分化型、および分化型の白色リンパ球集団をさす。それには、非限定的な例として、B細胞、T細胞、NKT細胞、およびNK細胞が包含される。いくつかの態様において、リンパ球には、プレB細胞、前駆B細胞、初期プロB細胞、後期プロB細胞、大型プレB細胞、小型プレB細胞、未熟B細胞、成熟B細胞、形質B細胞、メモリーB細胞、B-1細胞、B-2細胞、およびアネルギー性AN1/T3細胞集団を含む、全てのB細胞系統が含まれる。
【0029】
本明細書中で使用される場合、T細胞という用語には、ナイーブT細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、メモリーT細胞、活性化T細胞、アネルギー性T細胞、寛容T細胞、キメラB細胞、および抗原特異的T細胞が含まれる。
【0030】
「(1つまたは複数の)B細胞」という用語は、非限定的な例として、プレB細胞、前駆B細胞、初期プロB細胞、後期プロB細胞、大型プレB細胞、小型プレB細胞、未熟B細胞、成熟B細胞、ナイーブB細胞、形質B細胞、活性化B細胞、アネルギー性B細胞、寛容B細胞、キメラB細胞、抗原特異的B細胞、メモリーB細胞、B-1細胞、B-2細胞、およびアネルギー性AN1/T3細胞集団をさす。いくつかの態様において、B細胞という用語には、その細胞表面上に免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖を発現するB細胞が含まれる。いくつかの態様において、B細胞という用語には、免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖を発現し分泌するB細胞が含まれる。いくつかの態様において、B細胞という用語には、細胞表面上の抗原に結合する細胞が含まれる。本明細書中に開示されたいくつかの態様において、B細胞またはAN1/T3細胞が、記載された過程において用いられる。ある種の態様において、そのような細胞は、例えば、造血幹細胞、ナイーブB細胞、B細胞、プレB細胞、前駆B細胞、初期プロB細胞、後期プロB細胞、大型プレB細胞、小型プレB細胞、未熟B細胞、成熟B細胞、形質B細胞、メモリーB細胞、B-1細胞、B-2細胞、アネルギー性B細胞、またはアネルギー性AN1/T3細胞集団を含む、抗体を発現するのに適している任意の動物細胞、抗体を発現すること(例えば、誘導性発現)ができる任意の動物細胞、または抗体を発現するのに適した細胞に分化することができる任意の動物細胞に任意で置換される。
【0031】
「MYC」および「MYC遺伝子」という用語は、同義語である。それらは、MYCポリペプチドをコードする核酸配列をさす。MYC遺伝子は、NCBIアクセッション番号NM_002467.5と少なくとも60%~100%同一または相同、例えば、少なくとも60、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%同一である、または約70%~約100%のその他のパーセントで同一である、少なくとも120ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、MYC遺伝子は、癌原遺伝子である。ある種の場合において、MYC遺伝子は、8番染色体上の8q24.21に見出される。ある種の場合において、MYC遺伝子は、pterから128,816,862bpで始まり、pterから128,822,856bpで終わる。ある種の場合において、MYC遺伝子は、約6kbである。ある種の場合において、MYC遺伝子は、少なくとも8種類の別々のmRNA配列、すなわち、オルタナティブスプライシングを受けた5種類のバリアントとオルタナティブスプライシングを受けていない3種類のバリアントとをコードする。
【0032】
「MYCタンパク質」、「MYCポリペプチド」、および「MYC配列」という用語は、同義語であり、ヒトmycアイソフォーム2であるNCBIアクセッション番号NP_002458.2(以下に提供される)またはUniProtKB/Swiss-Prot:P01106.1に開示されたアミノ酸残基のポリマー、およびその機能性の相同体、バリアント、類似体、または断片をさす。この配列は、以下に示される。
【0033】
いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、完全なMYCポリペプチド配列である。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、部分的なMYCポリペプチド配列である。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、c-MYCである。いくつかの態様において、MYCポリペプチド配列は、以下に示される配列を含む。
【0034】
いくつかの態様において、MYCポリペプチド配列は、以下に示される配列を含む。
【0035】
いくつかの態様において、MYCポリペプチド配列は、非ヒト種由来のMYCポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、非ヒト種は、類人猿、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマの種からなる群より選択される。いくつかの態様において、MYCポリペプチド配列は、クロロセブス・サベウス(Chlorocebus sabaeus)(ミドリザル)由来である、以下に示される配列(XP_007999715.1)を含む。
【0036】
いくつかの態様において、MYCポリペプチド配列は、以下に示される配列を含む。
【0037】
いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、NCBIアクセッション番号NP002458.2の配列(SEQ ID NO:2)と少なくとも40%~100%同一である、例えば、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または約40%~約100%のその他のパーセントで同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、MYCポリペプチドとは、NP002458.2(SEQ ID NO:2)の420個、421個、422個、423個、424個、425個、426個、427個、428個、429個、430個、431個、432個、433個、434個、435個、436個、437個、438個、439個、440個、441個、442個、443個、444個、445個、446個、447個、448個、449個、450個、451個、452個、453個、454個の連続アミノ酸のポリマーをさす。いくつかの態様において、MYCポリペプチドとは、翻訳後修飾を受けていないNP002458.2(SEQ ID NO:2)の435アミノ酸のポリマーをさす。いくつかの態様において、MYCポリペプチドとは、翻訳後修飾を受けたNP002458.2(SEQ ID NO:2)の435アミノ酸のポリマーをさす。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、48,804kDaである。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、塩基性ヘリックスループヘリックスロイシンジッパー(bHLH/LZ)ドメインを含有している。いくつかの態様において、bHLH/LZドメインは、
である配列を含む。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、転写因子(例えば、転写因子64)である。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、EボックスDNA結合ドメインを含有している。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、CACGTGを含む配列に結合する。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、細胞の生存および/または増殖のうちの一つまたは複数を促進する。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、前記のもののうちの一つまたは複数を含み、一つまたは複数の翻訳後修飾を含む(例えば、アセチル化)。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、ポリペプチドのN末端またはC末端に1個または複数個の付加的なアミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、融合タンパク質である。いくつかの態様において、MYCポリペプチドは、ポリペプチドのN末端またはC末端において、1種類または複数種類の付加的なペプチドに連結されている。
【0038】
本明細書中に記載された方法において使用するのに適したタンパク質には、本明細書中に記載されたタンパク質のアミノ酸配列と比較して、1~15個のアミノ酸変化、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個のアミノ酸の置換、欠失、または付加を有するタンパク質を含む、機能性バリアントも含まれる。他の態様において、変更されたアミノ酸配列は、本明細書中に記載された任意のタンパク質阻害物質のアミノ酸配列と少なくとも75%同一、例えば、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。そのような配列バリアントタンパク質は、変更されたアミノ酸配列が本明細書中に記載された組成物および方法において機能性であるために十分な生物学的活性を保持する限り、本明細書中に記載された方法に適している。アミノ酸置換が行われる場合、置換は、保存的なアミノ酸置換であり得る。一般的な天然に存在するアミノ酸において、例えば、「保存的なアミノ酸置換」は、以下の各群内のアミノ酸の置換によって例示される:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、(3)セリンおよびトレオニン、(4)アスパラギン酸およびグルタミン酸、(5)グルタミンおよびアスパラギン、ならびに(6)リジン、アルギニン、およびヒスチジン。BLOSUM62表は、関連タンパク質の500個を越える群の高度に保存された領域を表すタンパク質配列セグメントの約2,000種類のローカルマルチプルアライメントから得られたアミノ酸置換行列である(Henikoff et al.,(1992),Proc.Natl Acad.Sci.USA,89:10915-10919)。従って、BLOSUM62置換頻度は、いくつかの態様において、本明細書中に記載または開示されたアミノ酸配列へ導入される保存的なアミノ酸置換を定義するために使用される。(前述の通りに)化学的特性にのみ基づきアミノ酸置換を設計することは可能であるが、「保存的なアミノ酸置換」という語は、好ましくは、-1より大きいBLOSUM62値によって表される置換をさす。例えば、アミノ酸置換が、0、1、2、または3のBLOSUM62値を特徴とする場合、その置換は保存的である。このシステムによると、好ましい保存的なアミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1、2、または3)のBLOSUM62値を特徴とし、より好ましい保存的なアミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM62値を特徴とする。
【0039】
「Eボックス配列」および「エンハンサーボックス配列」という語句は、交換可能に本明細書中で使用され、Nが任意のヌクレオチドであるヌクレオチド配列CANNTGを意味する。ある種の場合において、Eボックス配列は、CACGTGを含む。ある種の場合において、MYCによってコードされた転写因子の塩基性ヘリックスループヘリックスドメインは、Eボックス配列に結合する。ある種の場合において、Eボックス配列は、遺伝子の上流に位置する(例えば、p21、Bc1-2、またはオルニチンデカルボキシラーゼ)。ある種の場合において、MYCポリペプチドは、EボックスDNA結合ドメインを含有している。ある種の場合において、EボックスDNA結合ドメインは、
である配列を含む。ある種の場合において、MYCによってコードされた転写因子のEボックス配列との結合は、RNAポリメラーゼがEボックス配列の下流の遺伝子を転写することを可能にする。
【0040】
「MYC活性」または「MYC生物学的活性」または「生物活性MYC」という用語は、細胞生存、細胞増殖、および/または抗体産生の増強または誘導のうちの一つまたは複数を含む。例としてかつ非限定的に、MYC活性には、抗CD3活性化および抗CD28活性化T細胞の増大の増強、ならびに/または長期的な自己再生性造血幹細胞の増殖の増大が含まれる。MYC活性には、細胞の核への進入、核酸配列との結合(例えば、Eボックス配列との結合)、および/またはMYC標的遺伝子の発現の誘導も含まれる。
【0041】
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は、交換可能に本明細書中で使用され、動物、典型的には、哺乳動物をさす。好ましい態様において、患者、対象、または個体は、哺乳動物である。特に好ましい態様において、患者、対象、または個体は、ヒトである。
【0042】
「タンパク質形質導入ドメイン(PTD)」または「トランスポーターペプチド配列」(細胞透過性タンパク質(CPP)または膜転移配列(MTS)としても呼ばれる)という用語は、古典的なエンドシトーシスとは無関係の、はるかに大きい分子を細胞内に輸送することができる小さいペプチドをさすように、交換可能に本明細書中で使用される。いくつかの態様において、細胞核への分子のさらなる転移を媒介する核移行シグナルが、タンパク質形質導入ドメイン内に見出され得る。
【0043】
本明細書中で使用される場合の「処置すること」または「処置」という用語は、ヒトような対象における疾患の処置をカバーし、かつ、(i)疾患を阻害すること、即ち、その発症を阻止すること、(ii)疾患を軽減すること、即ち、疾患の退縮を引き起こすこと;(iii)疾患の進行を遅くすること;および/または(iv)疾患の一つもしくは複数の症状を阻害するか、軽減するか、もしくはその進行を遅くすることを含む。
【0044】
記載される医学的な疾患および状態の処置または防止の様々な様式は、「実質的」を意味するものであることも、認識されるべきである。「実質的」には、完全な処置または防止のみならず、ある程度の生物学的または医学的に適切な結果が達成される不完全な処置または防止も含まれる。処置は、慢性疾患のための継続的な長期的な処置であってもよいか、または急性状態の処置のための単回もしくは少数回の投与であってもよい。
【0045】
本明細書中で使用される場合の「治療的」という用語は、処置および/または予防を意味する。治療効果は、疾患状態の抑制、寛解、または根治によって得られる。
【0046】
II. ナノ粒子MYCペプチドを含む組成物
安定的な生物活性ナノ粒子として製剤化されたMYC含有ポリペプチドを含む組成物、および組成物を作製および使用する方法が、本明細書中に開示される。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、MYCポリペプチドとタンパク質形質導入ドメイン、例えば、HIV TATとの融合物である。いくつかの態様において、MYC融合ポリペプチドは1個または複数個のタグ配列も含む。いくつかの態様において、MYC融合ポリペプチドはSEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、MYC融合ポリペプチドはSEQ ID NO:10を含む。
【0047】
以下により詳細に記述され、実施例において例示されるように、本発明の技術の生物活性MYC含有ポリペプチド組成物は、いくつかの態様において、約104~106ダルトンの分子量を有する約90~140nmのナノ粒子を含む。いくつかの態様において、粒子は、約200個のMYC含有ポリペプチド分子を含む。
【0048】
いくつかの態様において、生物活性ナノ粒子組成物は、翻訳後修飾を受けたMYCタンパク質を含む。例として、非限定的に、いくつかの態様において、タンパク質は、少なくとも1個のアセチル基を含む。
【0049】
A. MYC含有ポリペプチドの発現および精製
提供されたナノ粒子組成物において使用するための、MYC含有ポリペプチドの作製の方法が、本明細書中に提供される。本発明の方法において、MYC含有ポリペプチドは、微生物発酵によって組換え作製される。いくつかの態様において、微生物発酵は、約1~約10,000リットルの発酵体積、例えば、約10~約1000リットルの発酵体積で実施する。発酵は、任意の適切な微生物宿主細胞および培養培地を用いることができる。例示的な態様において、大腸菌が、微生物宿主細胞として用いられる。別の態様において、他の微生物、例えば、S. セレビシエ(S. cerevisiae)、P. パストリス(P. pastoris)、ラクトバチルス(Lactobacilli)、バチルス(Bacilli)、およびアスペルギルス(Aspergilli)が使用され得る。例示的な態様において、微生物宿主細胞は、BL-21 Star(商標)大腸菌株(Invitrogen)である。例示的な態様において、微生物宿主細胞は、BLR DE3大腸菌株である。
【0050】
いくつかの態様において、宿主微生物細胞コドンバイアスを克服して発現タンパク質の翻訳を改善するために用いられるレアコドン用tRNAを提供するように宿主細胞は改変される。例示的な態様において、AGGコドン、AGAコドン、AUAコドン、CUAコドン、CCCコドン、GGAコドンのためのtRNAを発現するpRARE(CamR)などのプラスミドを用いて形質転換された宿主細胞(例えば、大腸菌)。特定のコドンのためのtRNAを提供するのに適した付加的なプラスミドまたは構築物は、当技術分野において公知であり、提供された方法において用いられ得る。
【0051】
組込み型または自己複製型のベクターが、MYC含有ポリペプチド発現カセットを選択された宿主細胞へ導入する目的のため、使用され得る。発現カセットにおいて、MYC含有ポリペプチドのコード配列は、誘導性プロモーターなどのプロモーターに機能的に連結されている。誘導性プロモーターは、培養条件の何らかの変化、例えば、栄養素の有無または温度の変化に応答して、調節下にあるDNAからの転写を、増加したレベルで開始するプロモーターである。いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドをコードする核酸は、細菌発現のためにコドン最適化される。
【0052】
多様な可能性のある宿主細胞によって認識される例示的なプロモーターは、周知である。これらのプロモーターは、存在する場合、制限酵素消化によって、起源DNAからプロモーターを取り出し、単離されたプロモーター配列をベクターへ挿入することによって、MYC含有ポリペプチドをコードするDNAに機能的に連結され得る。微生物宿主と共に使用するのに適したプロモーターには、βラクタマーゼおよびラクトースプロモーターシステム(Chang et al.,(1978)Nature,275:617-624;Goeddel et al.,(1979)Nature,281:544)、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーターシステム(Goeddel(1980)Nucleic Acids Res.8:4057;EP 36,776)、およびtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーター(deBoer et al.,(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21-25)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。選択された宿主細胞による発現に適した任意のプロモーターが使用され得る。適切なヌクレオチド配列は公開されており、それによって、当業者は、必要とされる制限部位を供給するためのリンカーまたはアダプターを使用して、それらをMYC含有ポリペプチドをコードするDNAに機能的にライゲートすることができる(例えば、Siebenlist et al.,(1980)Cell 20:269を参照すること)。例示的な態様において、細菌システムにおいて使用するためのプロモーターは、コード配列に機能的に連結されたシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を含有していてよい。いくつかの態様において、誘導性プロモーターは、当技術分野において周知であるような、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導されるlacZプロモーターである。プロモーターおよび発現カセットは、関心対象のDNA配列を合成するための周知の技法を使用して新規に合成されてもよい。例示的な態様において、本明細書中のMYC含有ポリペプチドの発現のための発現ベクターは、pET101/D-Topo(Invitrogen)である。
【0053】
MYC含有ポリペプチドの発現のためには、MYC含有ポリペプチドをコードする発現ベクターを含有している微生物宿主を、典型的には、発酵リアクタにおいて高密度に成長させる。いくつかの態様において、リアクタは、グルコースの調節された供給を有する。いくつかの態様において、まず、抗生物質が補足された培地において、発酵槽接種材料を培養する(例えば、一夜培養)。次いで、発酵槽接種材料を、タンパク質の発現のための発酵槽培養物に接種するために使用する。発酵槽培養物についての少なくとも約15、一般的には、少なくとも約20、少なくとも25、少なくとも約30、またはそれ以上のOD600で、組換えタンパク質の発現を誘導する。例示的な態様において、誘導性プロモーターがlacZプロモーターである場合、MYC含有ポリペプチドの発現を誘導するためにIPTGが発酵培地に添加される。一般に、IPTGは、対数増殖期を表すOD600で発酵槽培養物に添加される。
【0054】
提供された方法のある種の態様において、誘導されたタンパク質発現は、誘導後約2前後~約5時間前後維持され、かつ、誘導後約2時間前後~約3時間前後であってもよい。より長い誘導期間は、組換えタンパク質の分解のため、望ましくない場合がある。誘導中の反応混合物の温度は、好ましくは、約28℃~約37℃、一般的には、約30℃~約37℃である。具体的な態様において、誘導は、約37℃でなされる。
【0055】
MYC含有ポリペプチドは、典型的には、微生物細胞においてサイトゾル封入体として発現される。封入体を採集するためには、細胞ペレットを、誘導後、発酵培養物の遠心分離によって収集し、-70℃またはそれ未満で凍結させ、解凍し、破砕緩衝液に再懸濁させる。細胞を、従来の方法、例えば、超音波処理、均質化などによって溶解する。次いで、一般的には、タンパク質を可溶化するために有効な濃度、例えば、約5M、6M、7M、8M、9M前後、またはそれ以上の尿素の存在下で、溶解物を可溶化緩衝液に再懸濁させる。再懸濁は、均質性を達成するために、ペレットを機械的に破壊して、撹拌することを必要とし得る。いくつかの態様において、細胞ペレットを、尿素緩衝液に直接再懸濁させ、均質になるまで混合する。いくつかの態様において、再懸濁/可溶化緩衝液は、8M尿素、50mMリン酸、pH7.5であり、懸濁物は、ホモジナイザーに通される。
【0056】
いくつかの態様において、均質化された懸濁物は、スルホニル化される。例えば、いくつかの態様において、均質化された懸濁物は、200mM亜硫酸ナトリウムおよび10mMテトラチオン酸ナトリウムを含むよう調整される。次いで、その溶液を、均質になるまで、室温で混合する。次いで、混合された溶解物を、スルホニル化が完了するよう付加的な期間(例えば、2~8℃で12時間以上)混合する。次いで、スルホニル化された溶解物を、1時間、遠心分離した。次いで、スルホニル化されたMYC含有ポリペプチドを含有している上清を、遠心分離によって収集し、細胞ペレットを廃棄する。次いで、溶解物を清澄化するために、上清を、フィルター、例えば、0.22μmメンブランフィルターに通す。
【0057】
次いで、可溶化されたタンパク質を精製する。精製方法には、アフィニティクロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、ゲル排除クロマトグラフィなどが含まれ得る。いくつかの態様において、アフィニティクロマトグラフィが使用される。例えば、タンパク質には、便利な精製のためにエピトープタグまたはヒスチジン6タグが提供される。本発明の方法において、例示的なmyc含有ポリペプチドは、Ni樹脂を使用したNiアフィニティクロマトグラフィを使用した精製のために、ヒスチジン6タグを含む。
【0058】
例示的な態様において、Ni樹脂カラムは、尿素を含有している緩衝液で平衡化される。いくつかの態様において、平衡化緩衝液は、6M尿素、50mMリン酸、500mM NaCl、および10%グリセロール溶液である。次いで、MYC含有ポリペプチドを含むスルホニル化され清澄化された上清を、Ni樹脂カラムに負荷する。次いで、カラムを、洗浄緩衝液、例えば、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、500mM NaCl、pH7.5によって洗浄する。次いで、カラムを、減少する塩濃度を有する洗浄緩衝液によって連続的に洗浄した。例えば、例示的なその後の洗浄は、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、および2M NaCl、pH7.5を含み、その後、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、50mM NaCl、および30mMイミダゾール、pH7.5のさらなる洗浄を含む。
【0059】
洗浄緩衝液の連続適用の後、100~300mMイミダゾールの勾配を有する溶出緩衝液、例えば、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、および50mM NaCl、pH7.5を添加することによって、MYC含有ポリペプチドをカラムから溶出させ、画分が収集される。次いで、プールされるタンパク質含有画分を、0.22μm膜で濾過する。タンパク質収率の査定は、任意の適切な方法、例えば、UV波長280での分光測光法を使用して測定され得る。
【0060】
いくつかの態様において、1種類または複数種類の付加的な精製方法が、単離されたMYC含有ポリペプチドをさらに精製するために用いられ得る。例示的な態様において、Niセファロースクロマトグラフィ工程からのプールされた画分は、Qセファロース樹脂を使用した陰イオン交換クロマトグラフィによってさらに精製される。いくつかの態様において、Niセファロースクロマトグラフィ工程からのプールは、第2の洗浄緩衝液(例えば、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、2M NaCl、pH7.5)によって、Qセファロース緩衝液の伝導率(17.52 +/- 1mS/cm)まで試料を希釈することによって、Qセファロースカラムへの負荷のために準備される。次いで、希釈されたプールが、Qセファロースカラムに負荷され、その後、チェイス(chase)緩衝液(例えば、6M尿素、50mMリン酸、300mM NaCl、および10%グリセロール)を使用した2回のチェイス工程が行われ、UVトレースが基線に到達し、タンパク質がカラムから溶出したことが示されるまで、チェイス緩衝液がさらに連続的に適用される。
【0061】
B. ナノ粒子へのMYC含有ポリペプチドのリフォールディング
本発明の技術の組成物は、以下の方法によって、単離されたMYC含有ポリペプチドから調製され得る。
【0062】
いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、生物活性ナノ粒子を作製するためにリフォールディングされる。いくつかの態様において、方法は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)またはクロスフロー濾過を含む。TFFは、マルチレベル構造(カセット)に収容された膜の表面を横断して(即ち、膜表面に対して「接線方向」)試料を循環させるためにポンプを使用する過程である。適用された膜内外の圧力が、溶質および低分子を膜を通して輸送するための駆動力として作用する。膜表面上の液体のクロスフローが、保持する分子を表面から押し流し、循環ストリーム中にそれらを維持する。
【0063】
いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドは、尿素などの変性剤によって変性する。次いで、MYC含有ポリペプチドは、限外濾過/ダイアフィルトレーション(UFDF)膜における複数のTFF工程、および減少する濃度の変性剤、例えば、尿素を有するリフォールド緩衝液の連続的な添加を使用してリフォールディングされる。いくつかの態様において、連続的なリフォールド緩衝液の尿素濃度は、約3M尿素から<0.001M尿素、または尿素なしにまで減少する。いくつかの態様において、連続的なリフォールド緩衝液は、リン酸、NaCl、グリセロール、GSH(還元型グルタチオン)、およびGSSG(酸化型グルタチオン)を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約50mMリン酸を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、アルカリ金属塩を含む。いくつかの態様において、アルカリ金属塩は、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、またはカリウム(K)の塩である。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、NaClなどのナトリウム塩を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約100mM~2Mの濃度のアルカリ金属塩を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約200mM~1Mの濃度のアルカリ金属塩を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約500mM~1Mの濃度のアルカリ金属塩を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約100mM~2Mの濃度のNaClを含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約200mM~1Mの濃度のNaClを含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約200mM~800mMの濃度のNaClを含む。具体的な態様において、リフォールド緩衝液は、約200~500mM NaClを含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約500mM NaClを含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約300mOsm~1000mOsmのモル浸透圧濃度を有する。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約1~20%グリセロールを含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約10%グリセロールを含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約0.1~50mM GSH(還元型グルタチオン)を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約5mM GSH(還元型グルタチオン)を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約0.1~50mM GSSG(酸化型グルタチオン)を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約1mM GSSG(酸化型グルタチオン)を含む。例示的な態様において、リフォールド緩衝液は、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、および1mM GSSG(酸化型グルタチオン)を含む。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、約5.0~8.0のpH値を有する。いくつかの態様において、リフォールド緩衝液は、7.5のpH値を有する。
【0064】
例示的な態様において、MYC含有ポリペプチドは、限外濾過/ダイアフィルトレーション(UFDF)膜における3回のTTF工程を使用してリフォールディングされる。例示的な態様において、第1のリフォールド工程は、約120分間のリフォールド緩衝液1(例えば、3M尿素、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))の交換を含む。いくつかの態様において、第2のリフォールド工程は、およそ120分間のリフォールド緩衝液2(1.5M尿素、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))の交換、およびその後のおよそ120分の再循環を含む。いくつかの態様において、第3のリフォールディング工程は、およそ120分間のリフォールド緩衝液3(50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))の交換、およびその後のおよそ120分の再循環を含む。
【0065】
最終リフォールディング工程が完了した後、最終リフォールド溶液を、0.2μm膜で濾過し、タンパク質濃度を調整することができる。
【0066】
リフォールディングの後、ナノ粒子製剤は、広範囲のサイズおよび安定性を有するナノ粒子を含有している。従って、いくつかの態様において、第3のリフォールド工程の後に、インキュベーション工程または平衡化工程を実施する。例えば、いくつかの態様において、リフォールディングされたMYC含有ポリペプチドは、約80nm~約150nmの数平均直径を有する生物活性ナノ粒子を作製するために十分な時間、第3のリフォールド緩衝液中に維持される。理論によって拘束はされないが、平衡化工程は、ナノ粒子製剤が、より狭いサイズ範囲およびより高い安定性を有する安定的なナノ粒子へと平衡化することを可能にすると考えられる。いくつかの態様において、これらの安定的なナノ粒子の数平均直径は、約80nm~約150nmである。いくつかの態様において、平衡化工程は、少なくとも5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、または12時間、またはそれ以上の時間実施する。例示的な態様において、平衡化工程は、少なくとも10~12時間または約10~12時間実施する。例示的な態様において、平衡化工程は、第3のリフォールド緩衝液中の、リフォールディングされたMYC含有ポリペプチドのナノ粒子製剤を、穏やかに撹拌することを含む。例示的な態様において、平衡化工程は、第3のリフォールド緩衝液中のMYC含有ポリペプチドの製剤を1000rpm未満で撹拌することを含む。
【0067】
いくつかの態様において、投与に適した製剤緩衝液に、例えば注射に適した緩衝液に、リフォールド緩衝液を交換するために、最終リフォールド緩衝液3の付加的な交換を実施する。例示的な態様において、リフォールド緩衝液3中のリフォールディングされたTAT-MYCは、適切な製剤緩衝液に対して透析される。例示的な態様において、リフォールド緩衝液3中のリフォールディングされたTAT-MYCは、限外濾過/ダイアフィルトレーション(UFDF)膜におけるTFFを使用して透析される。例示的な態様において、製剤緩衝液は、緩衝剤を含む。例示的な態様において、緩衝剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、およびクエン酸の中から選択される。
【0068】
例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、5.5~8.0のpH値を有する製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、6.0~8.0のpH値を有する製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、または約8.0のpH値を有する製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、約pH7.5のpH値を有する製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、約pH7.5 +/- pH0.3の製剤において安定している。
【0069】
例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、300mOsmより大きいモル浸透圧濃度を有する製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、400mOsmより大きいモル浸透圧濃度を有する製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、300mOsm~1000mOsm、例えば400mOsm~800mOsmのモル浸透圧濃度を有する製剤において安定している。
【0070】
例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、100mMを越えるNaClを含む製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、150mMを越えるNaClを含む製剤において安定している。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYC製剤のNaCl濃度は、約150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、または550mM NaClである。例示的な態様において、リフォールディングされたTAT-MYC製剤のNaCl濃度は、約500mM +/- 50mM NaClである。
【0071】
いくつかの態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、約1.2mg/mLまでの濃度で保存され得る。本明細書中で使用される場合、保存条件に関する「安定性」とは、リフォールディングされたTAT-MYCが、保存前のリフォールディングされたTAT-MYCのMYC生物学的活性と比較して、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のMYC生物活性を保存後に保持する能力をさす。いくつかの態様において、リフォールディングされたTAT-MYCは、-80℃で、2年までの間、安定している。いくつかの態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、1ヶ月までの間、安定している。例示的な態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、2ヶ月までの間、安定している。例示的な態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、3ヶ月までの間、安定している。例示的な態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、4ヶ月までの間、安定している。例示的な態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、5ヶ月までの間、安定している。例示的な態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、6ヶ月までまたはそれ以上の間、安定している。例示的な態様において、解凍後、リフォールディングされたTAT-MYCは、4℃で保存された場合、100日までまたはそれ以上の間、安定している。従って、本明細書中に提供されたリフォールディングされたTAT-MYCの安定性は、およそ34分という半減期を有する野生型MYCポリペプチドの安定性と比較して、有意に増大している(Kaptein et al.(1996)JBC 271,18875-18884)。
【0072】
C. ナノ粒子のサイズ
本発明の技術のナノ粒子のサイズおよび量は、当技術分野において周知の方法によって決定され得る。例として、非限定的に、そのような方法には、サイズ排除クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、動的光散乱、ナノ粒子トラッキング分析、および電子顕微鏡法が含まれる。
【0073】
いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約70nm~約140nm、例えば70nm~140nmである。いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約80nm~約120nm、例えば80nm~120nmである。いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約80nm~約110nm、例えば80nm~110nmである。いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約80nm~約90nm、例えば80nm~90nmである。いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約84nmまたは84nmである。いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約100nm~約120nm、例えば100nm~120nmである。いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の平均粒子サイズは、約111nmまたは111nmである。
【0074】
いくつかの態様において、製剤中の粒子の平均分子量は、約103~107ダルトン、例えば103~107ダルトンである。いくつかの態様において、製剤中の粒子の平均分子量は、約104~107ダルトン、例えば104~107ダルトンである。いくつかの態様において、製剤中の粒子の平均分子量は、約105~107ダルトン、例えば105~107ダルトンである。いくつかの態様において、製剤中の粒子の平均分子量は、約106~107ダルトン、例えば106~107ダルトンである。いくつかの態様において、製剤中の粒子の平均分子量は、約2×106または2×106ダルトンである。
【0075】
いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.01%未満または0.01%未満が、200nm超、300nm超、400nm超、500nm超、600nm超、700nm超、または800nm超の粒子サイズを有する。いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.001%未満が、200nm超、300nm超、400nm超、500nm超、600nm超、700nm超、または800nm超の粒子サイズを有する。いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.01%未満または0.01%未満が、800nm超の粒子サイズを有する。いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.001%未満または0.001%未満が、800nm超の粒子サイズを有する。
【0076】
いくつかの態様において、製剤中のナノ粒子の約0.01%未満または0.01%未満が、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、または10nm未満の粒子サイズを有する。いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.001%未満または0.001%未満が、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、または10nm未満の粒子サイズを有する。いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.01%未満または0.01%未満が、50nm未満の粒子サイズを有する。いくつかの態様において、組成物中のナノ粒子の約0.001%未満または0.001%未満が、50nm未満の粒子サイズを有する。
【0077】
D. MYC融合タンパク質
いくつかの態様において、MYC含有ポリペプチドの生物活性ナノ粒子組成物は、MYC融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、MYC融合タンパク質は、タンパク質形質導入ドメイン、細胞の生存または増殖のうちの一つまたは複数を促進するMYCポリペプチドを含み、かつ、タンパク質タグドメイン、例えば、融合タンパク質の精製を容易にする1種類または複数種類のアミノ酸配列を任意で含む。いくつかの態様において、MYCポリペプチド(例えば、本発明の技術のナノ粒子製剤)と接触した細胞は、(例えば、MYCと接触していない同一の細胞もしくは同型の類似した細胞と比較して)増加した生存時間、および/または(例えば、MYCと接触していない同一の細胞もしくは同型の類似した細胞と比較して)増大した増殖を示す。
【0078】
いくつかの態様において、融合タンパク質は、(a)タンパク質形質導入ドメイン;および(b)MYCポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、融合ペプチドは、式(I):
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列
のペプチドである。
【0079】
いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)タンパク質形質導入ドメイン;(b)MYCポリペプチド配列;および(c)タンパク質形質導入ドメインとMYCポリペプチド配列とを連結する1種類または複数種類の分子を含む。いくつかの態様において、融合ペプチドは、式(II):
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYCポリペプチド配列
のペプチドであり、式中、-X-は、タンパク質形質導入ドメインとMYCポリペプチド配列とを連結する分子である。いくつかの態様において、-X-は、少なくとも1個のアミノ酸である。
【0080】
いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)タンパク質形質導入ドメイン;(b)MYCポリペプチド配列;(c)少なくとも2種類のタンパク質タグを含み;任意で、(d)リンカーを含む。いくつかの態様において、融合ペプチドは、式(III~VI):
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYCポリペプチド配列-X-タンパク質タグ1-X-タンパク質タグ2(式(III))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-X-タンパク質タグ1-X-タンパク質タグ2(式(IV))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-タンパク質タグ1-X-タンパク質タグ2(式(V))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-タンパク質タグ1-タンパク質タグ2(式(VI))
のペプチドであり、式中、-X-はリンカーである。いくつかの態様において、-X-は、1個または複数個のアミノ酸である。
【0081】
いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)タンパク質形質導入ドメイン;(b)MYCポリペプチド配列;(c)6ヒスチジンタグ;(d)V5エピトープタグを含み:任意で、(e)リンカーを含む。いくつかの態様において、融合ペプチドは、式(VII~XIV):
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYCポリペプチド配列-X-6ヒスチジンタグ-X-V5エピトープタグ(式(VII))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-X-6ヒスチジンタグ-X-V5エピトープタグ(式(VIII))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-6ヒスチジンタグ-X-V5エピトープタグ(式(IX))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-6ヒスチジンタグ-V5エピトープタグ(式(X))、または
タンパク質形質導入ドメイン-X-MYCポリペプチド配列-X-V5エピトープタグ-X-6ヒスチジンタグ(式(XI))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-X-V5エピトープタグ-X-6ヒスチジンタグ(式(XII))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-V5エピトープタグ-X-6ヒスチジンタグ(式(XIII))、または
タンパク質形質導入ドメイン-MYCポリペプチド配列-V5エピトープタグ-6ヒスチジンタグ(式(XIV))
のペプチドであり、式中、-X-はリンカーである。いくつかの態様において、-X-は、1個または複数個のアミノ酸である。
【0082】
前述の通りに、いくつかの態様において、MYC融合タンパク質は、1種類または複数種類のリンカー配列を含む。リンカー配列は、融合タンパク質のタンパク質形質導入ドメイン、MYCポリペプチド配列、V5エピトープタグ、および/または6ヒスチジンタグを連結するために用いられ得る。いくつかの態様において、リンカーは、1個または複数個のアミノ酸を含む。いくつかの態様において、リンカーのアミノ酸配列は、KGELNSKLE(SEQ ID NO:11)を含む。いくつかの態様において、リンカーは、RTGのアミノ酸配列を含む。
【0083】
1. タンパク質形質導入ドメイン(PTD)
いくつかの態様において、MYC融合タンパク質は、タンパク質形質導入ドメインを含む。ペプチド輸送は、細胞膜を横切って、低分子、タンパク質、または核酸を、細胞の細胞内区画へ送達するための代替的な方法を提供する。十分に特徴決定されているタンパク質形質導入ドメイン(PTD)の一つの非限定的な例は、TAT由来ペプチドである。Frankelら(例えば、米国特許第5,804,604号、米国特許第5,747,641号、米国特許第5,674,980号、米国特許第5,670,617号、および米国特許第5,652,122号)は、TATのアミノ酸48~57を含有しているペプチドを、積荷タンパク質(βガラクトシダーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲートすることによる、細胞内への積荷タンパク質の輸送を証明した。いくつかの態様において、TATタンパク質形質導入ドメインは、MRKKRRQRRR(SEQ ID NO:7)のアミノ酸配列を含む。
【0084】
PTDの別の非限定的な例は、ペネトラチンである。ペネトラチンは、細胞膜を横切って親水性高分子を輸送することができる(参照によってその全体が本明細書中に組み入れられるDerossi et al.,Trends Cell Biol.,8:84-87(1998))。ペネトラチンは、培養中の細胞に内部移行するショウジョウバエ(Drosophila)転写因子アンテナペディア(Antennapedia)のホメオドメインのアミノ酸43~58に相当する16アミノ酸ペプチドである。
【0085】
PTDのさらに別の非限定的な例は、VP22である。単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)由来の外被タンパク質であるVP22は、細胞膜を横切ってタンパク質および核酸を輸送する能力を有する(参照によってその全体が本明細書中に組み入れられるElliot et al.,Cell 88:223-233,1997)。VP22の残基267~300は、必要であるが、輸送のために十分とはなり得ない。輸送機能を担う領域が同定されていないため、VP22タンパク質全体が、細胞膜を横切って積荷タンパク質および積荷核酸を輸送するために一般的に使用される(Schwarze et al.,Trends Pharmacol Sci,21:45-48,2000)。
【0086】
いくつかの態様において、MYC融合ポリペプチドは、タンパク質形質導入ドメインを含む。例として、非限定的に、いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、TAT、ペネトラチン、VP22、vpr、EPTD、R9、R15、VP16、およびアンテナペディアのうちの1種類または複数種類のタンパク質形質導入ドメインを含む。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、TAT、ペネトラチン、VP22、vpr、およびEPTDのうちの1種類または複数種類のタンパク質形質導入ドメインを含む。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、TAT、ペネトラチン、VP22、vpr、EPTD、R9、R15、VP16、およびアンテナペディアのうちの少なくとも1種類のタンパク質形質導入ドメインを含む。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、合成タンパク質形質導入ドメイン(例えば、ポリアルギニンまたはPTD-5)を含む。具体的な態様において、タンパク質形質導入ドメインは、TATタンパク質形質導入ドメインを含む。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、MYCポリペプチドに共有結合で連結される。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、ペプチド結合を介してMYCポリペプチドに連結される。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインは、リンカー配列を介してMYCポリペプチドに連結される。いくつかの態様において、リンカーは、短いアミノ酸配列を含む。例として、非限定的に、いくつかの態様において、リンカー配列は、1アミノ酸長、2アミノ酸長、3アミノ酸長、4アミノ酸長、5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、または10アミノ酸長である。
【0087】
本発明の技術のMYC融合タンパク質は、任意の所望の順序で配置され得る。例えば、いくつかの態様において、MYC融合タンパク質は、(a)MYCポリペプチドにインフレームで連結されたタンパク質形質導入ドメイン、(b)V5ドメインにインフレームで連結されたMYCポリペプチド、および(c)6ヒスチジンエピトープタグにインフレームで連結されたV5ドメインの順序で配置され得る。いくつかの態様において、MYC融合タンパク質は、(a)タンパク質形質導入ドメインとインフレームで連結されたMYCポリペプチド、(b)V5ドメインとインフレームで連結されたタンパク質形質導入ドメイン、および(c)6ヒスチジンエピトープタグとインフレームで連結されたV5ドメインの順序を有する。いくつかの態様において、付加的なアミノ酸配列が、各配列の間に含まれていてもよい。いくつかの態様において、付加的なアミノ酸が、ポリペプチド配列の最初および/または最後に含まれていてもよい。
【0088】
いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインはTATタンパク質形質導入ドメインである。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインはTAT[48~57]である。いくつかの態様において、タンパク質形質導入ドメインはTAT[57~48]である。
【0089】
2. タンパク質タグドメイン
いくつかの態様において、MYC融合タンパク質は、融合タンパク質の精製を容易にする1種類または複数種類のアミノ酸配列を含むタンパク質タグドメインを含む。いくつかの態様において、タンパク質タグドメインは、ポリヒスチジンタグおよびエピトープタグのうちの1種類または複数種類を含む。例として、非限定的に、例示的なタグには、V5、ヒスチジンタグ(例えば、6ヒスチジンタグ)、HA(赤血球凝集素)タグ、FLAGタグ、CBP(カルモジュリン結合ペプチド)、CYD(共有結合性であるが解離可能なNorpDペプチド)、Strepll、またはHPC(プロテインCの重鎖)のうちの1種類または複数種類が含まれる。いくつかの態様において、タンパク質タグドメインは、約10~20アミノ酸長を含む。いくつかの態様において、タンパク質タグドメインは、2~40アミノ酸長、例えば、6~20アミノ酸長を含む。いくつかの態様において、前記の列挙されたタグのうちの2種類(例えば、V5およびhisタグ)が、タンパク質タグドメインを形成するために共に使用される。
【0090】
いくつかの態様において、ヒスチジンタグは、6ヒスチジンタグである。いくつかの態様において、ヒスチジンタグは、配列HHHHHHを含む。いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、V5エピトープタグを含む。いくつかの態様において、V5タグは、GKPIPNPLLGLDSTのアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、V5タグは、IPNPLLGLDのアミノ酸配列を含む。
【0091】
タンパク質タグは、任意の適切な方法によって、本明細書中に開示された融合タンパク質に付加され得る。例として、非限定的に、いくつかの態様において、TAT-MYCポリペプチド配列は、1種類または複数種類のタンパク質タグ、例えば、ポリHisタグおよび/またはV5タグをコードする発現ベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、ポリヒスチジンタグおよび/またはV5タグは、PCRによって付加される(即ち、PCRプライマーはポリヒスチジン配列および/またはV5配列を含む)。
【0092】
C. MYC融合ペプチドの構築
本明細書中に開示されたMYC融合ペプチド(例えば、TAT-MYC融合ペプチド)は、当技術分野において周知の方法によって構築され得る。例として、非限定的に、PCRによって、TAT-MYC融合ペプチドをコードするヌクレオチド配列を生成することができる。いくつかの態様において、ヒトMYC配列のための順方向プライマーは、TATタンパク質形質導入ドメインのインフレームN末端9アミノ酸の配列(例えば、RKKRRQRRR)を含む。いくつかの態様において、ヒトMYC配列のための逆方向プライマーは、終止コドンを除去するために設計される。いくつかの態様において、PCR産物は、任意の適切な発現ベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、発現ベクターは、ポリヒスチジンタグおよびV5タグを含む。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)TATおよび(b)c-MYCを含む。いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)TAT[48~57]および(b)c-MYCを含む。いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)TAT[57~48]および(b)c-MYCを含む。
【0094】
いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは、(a)TAT、(b)c-MYC、(c)リンカー、(d)V5タグ、および(e)6ヒスチジンタグを含む。いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは(a)TAT[48~57]、(b)c-MYC、(c)リンカー、(d)V5タグ、および(e)6ヒスチジンタグを含む。いくつかの態様において、本明細書中に開示された融合ペプチドは(a)TAT[57~48]、(b)c-MYC、(c)リンカー、(d)V5タグ、および(e)6ヒスチジンタグを含む。
【0095】
いくつかの態様において、MYC融合ペプチドのMYC部分は、本明細書中に記載される任意のMYCポリペプチドを含む。いくつかの態様において、MYC融合ペプチドのMYC部分は、以下に示される配列を含むMYCポリペプチド配列を含む。
【0096】
いくつかの態様において、MYC融合ペプチドは、SEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、MYC融合ペプチドは、SEQ ID NO:1である。
【0097】
いくつかの態様において、MYC融合ペプチドのMYC部分は、以下に示される配列を含むMYCポリペプチド配列を含む。
【0098】
いくつかの態様において、MYC融合ペプチドは、SEQ ID NO:10を含む;いくつかの態様において、MYC融合ペプチドは、EQ ID NO:10である。
【0099】
前記融合タンパク質は、1種類または複数種類の官能基を含むよう合成中または合成後に修飾されてもよい。例として、非限定的に、タンパク質は、アセチル基、リン酸基、酢酸基、アミド基、アルキル基、および/またはメチル基のうちの1種類または複数種類を含むよう修飾され得る。このリストは、網羅的なものではなく、例示的なものに過ぎない。いくつかの態様において、タンパク質は、少なくとも1個のアセチル基を含む。
【0100】
III. 本発明の技術の製剤を使用する方法
本発明の技術の組成物(例えば、安定的な生物活性ナノ粒子として製剤化されたMYC含有ポリペプチドを含む組成物)は、MYC活性を提供し、従って、インビボで(例えば、アジュバント、免疫系増強剤などとして)、ならびに、インビトロで(例えば、造血幹細胞(HSC)などの幹細胞の成長および増殖を刺激するために、造血幹細胞移植後の生着を増強するためにHSCを前処理するために、免疫細胞の活性化、成長、増殖、生存能、もしくは生存を誘導もしくは増強するために、かつ/または培養中の免疫細胞による抗体産生を増強するためになど)有用である。
【0101】
例としてかつ非限定的に、本発明の技術のMYC含有ナノ粒子組成物は、例えば、以下に限定されるわけではないが、重症複合免疫不全症などの免疫関連の疾患または障害を有する患者への移植のためのドナーHSC(例えば、患者の単離されたHSCまたは第三者ドナーのHSC)を予備刺激するために使用され得る。
【0102】
重症複合免疫不全症(SCID)は、T細胞およびB細胞の量および機能を損なう欠陥によって引き起こされる、生命を脅かす原発性免疫不全疾患である。SCIDを有する乳児は、生命を脅かす感染に繰り返し罹患し、それによって、一般的には、3~6ヶ月齢までに診断される。未処置のままにされた場合、子供は、重度の生命を脅かす感染を経験し続け、2歳までに死を経験する。SCIDを有する子供は、現在、正常な免疫系を再構成するために設計されたHSCTを使用して処置されている。これらの移植の転帰は、重度の感染に罹患する前に移植を受ける最も低月齢の乳児(これらの乳児の大部分が、発端者の同胞であるか、または新生児スクリーニングプログラムによって同定される)、およびヒト白血球抗原(HLA)が適合する家族ドナーを有する患者において、最も良好である。対照的に、より高月齢の乳児に対して実施された移植および代替ドナー由来の細胞によって実施された移植の結果は、より不利である。
【0103】
いくつかの態様において、造血幹・前駆細胞(HSPC)を含む、T細胞およびB細胞を枯渇させたドナー造血細胞が、一例として本発明の技術のMYC含有ナノ粒子組成物と共にエクスビボでインキュベートされる(「予備刺激」)。インキュベーション後、予備刺激された細胞が洗浄され患者に移植される。本発明の技術の組成物とのドナー細胞のインキュベーションは、移植後の長期自己再生性造血幹細胞の増殖を増大させた。
【0104】
いくつかの態様において、ドナー造血細胞が患者から単離される。いくつかの態様において、ドナー造血細胞は、本発明の技術のナノ粒子MYC含有組成物と共に、30分間、60分間、90分間、または120分間、インキュベートされる。いくつかの態様において、ドナー造血細胞は、10μg/ml、20μg/ml、30μg/ml、40μg/ml、50μg/ml、60μg/ml、70μg/ml、80μg/ml、90μg/ml、または100μg/mlの本発明の技術のナノ粒子MYC含有組成物と共にインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、50μg/mlのナノ粒子MYC含有組成物と共に60分間インキュベートされる。いくつかの態様において、組成物のナノ粒子は、約80~150nm、約90~140nm、約100~120nm、または約100~110nmの平均粒子サイズを有し、かつSEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、組成物のナノ粒子は、約80~150nm、約90~140nm、約100~120nm、または約100~110nmの平均粒子サイズを有し、かつSEQ ID NO:10を含む。
【0105】
インビボ使用のために、いくつかの態様において、本明細書中に記載されたナノ粒子MYC含有タンパク質を含み、1種類または複数種類の付加的な治療用化合物を任意で含み、かつ1種類または複数種類の薬学的に許容される賦形剤を任意で含む薬学的製剤は、非限定的な例として、経口、非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮の投与経路などの複数の投与経路のうちの一つまたは複数を含む任意の様式で個体へ投与される。本明細書中に記載された薬学的製剤には、水性液体分散物、自己乳化分散物、固溶体、リポソーム分散固溶体、エアロゾル、固体剤形、粉末、即時放出型製剤、放出制御型製剤、急速融解型製剤、錠剤、カプセル、丸剤、徐放性製剤、長期放出型製剤、拍動性放出型製剤、多粒子製剤、および即時放出・放出制御混合型製剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。薬学的製剤の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington is Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 1999)に見出される。
【0106】
いくつかの態様において、本明細書中に提供されるナノ粒子製剤は、適切な緩衝液を含む。例示的な緩衝液には、Tris、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、またはクエン酸に基づく緩衝液が含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、本明細書中に提供される製剤は、マグネシウムを含有している。いくつかの態様において、本明細書中に提供される製剤は、1種類または複数種類の界面活性剤を含有している。本明細書中で使用される場合、「界面活性剤」という用語には、撹拌および剪断などの機械的ストレスからタンパク質製剤を保護するために使用される薬学的に許容される賦形剤が含まれ得る。薬学的に許容される界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が含まれる。適切な界面活性剤には、(商標Tween20(登録商標)で販売されている)ポリソルベート20および(商標Tween80(登録商標)で販売されている)ポリソルベート80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。適切なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーは、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(登録商標)の名称で販売されているものである。適切なポリオキシエチレンアルキルエーテルは、商標Brij(登録商標)で販売されているものである。適切なアルキルフェノールポリオキシエチレンエステルは、商標Triton-Xで販売されている。ポリソルベート20(Tween20(登録商標))およびポリソルベート80(Tween80(登録商標))が使用される場合、それらは、約0.001~約1%、約0.005~約0.2%、約0.01%~約0.1%w/v(重量/体積)の濃度範囲で一般に使用される。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書中に提供されるナノ粒子製剤は、安定剤を含む。本明細書中で使用される場合、「安定剤」という用語には、製造、保存、および適用の間、化学的分解および/または物理学的分解から活性薬学的成分および/または製剤を保護する薬学的に許容される賦形剤が含まれ得る。タンパク質医薬の化学的および物理学的な分解経路は、Cleland et al.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.,70(4):307-77(1993);Wang,Int.J.Pharm.,7S5(2):129-88(1999);Wang,Int.J.Pharm.,203(1-2):1-60(2000);およびChi et al,Pharm.Res.,20(9):1325-36(2003)によって概説されている。安定剤には、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 3000、PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、キレート剤、例えば、下記に定義されるようなEDTAが含まれるが、これらに限定されるわけではない。前述の通りに、安定剤は、約10~約500mMの量、約10~約300mMの量、または約100mM~約300mMの量で製剤中に存在し得る。
【0108】
いくつかの態様において、本明細書中に記載された融合ペプチドナノ粒子を含む組成物の1日投薬量は、約0.001~1000.0mg/kg体重、例えば約0.01~100.0mg/kg体重、例えば約0.1~10.0mg/kg体重である。個々の処置計画に関する変数の数は多く、これらの推奨された値からの相当の逸脱は稀でないため、上記の範囲は示唆的なものに過ぎない。いくつかの態様において、そのような投薬量は、多数の変数、以下に限定されるわけではないが、使用される本明細書中に記載された作用物質または組成物の活性、処置すべき障害または状態、投与の様式、個々の対象の必要条件、処置される障害または状態の重症度、および実務家の判断に依存して任意で変更される。
【0109】
LD50(集団の50%に致死の用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定を含むがこれらに限定されるわけではない、そのような治療計画の毒性および治療有効度は、細胞培養物または実験動物において任意で判定される。毒性効果と治療効果の用量比は、治療指数であり、LD50とED50の比として表される。高い治療指標を示す、本明細書中に記載された作用物質または組成物が好ましい。細胞培養物アッセイ法および動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量の範囲を製剤化する際に任意で使用される。本明細書中に記載されたそのような作用物質または組成物の投薬量は、好ましくは、最小の毒性と共にED50を含む循環血中濃度の範囲内にある。投薬量は、使用される剤形および用いられる投与ルートに依存してこの範囲内で任意で変動する。
【実施例
【0110】
VII. 実施例
以下の実施例は、例示を目的とするものに過ぎず、非限定的な態様である。従って、前記の教示を考慮すれば、本開示の多くの改変物、等価物、および変形物が可能であり、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本開示が、具体的に記載された以外に実施され得ることが理解されるべきである。
【0111】
実施例1:本発明の技術のTAT-MYC融合ペプチドの構築
HIV-1のTATタンパク質形質導入ドメインのインフレームN末端10アミノ酸の配列を含有している順方向プライマー(MRKKRRQRRR(SEQ ID NO:7))、および終止コドンを除去する逆方向プライマーを使用した、ヒトMYCのコード領域のPCR増幅によって、プラスミドpTAT-MYC-V5-6×Hisを作製した。PCR産物を、C末端V5エピトープタグおよび6ヒスチジンタンパク質タグを含むpET101/D-Topo(Invitrogen)ベクターにクローニングした。
【0112】
A. タンパク質発現のために使用された細菌株
AGGコドン、AGAコドン、AUAコドン、CUAコドン、CCCコドン、GGAコドンのためのtRNAを発現するBL21 Rosetta細胞(Novagen)から単離されたpRARE(CamR)を用いてBL-21 Star(商標)大腸菌株(Invitrogen)を形質転換することによって、BL-21 RARE細胞を作出した。
【0113】
B. タンパク質の誘導および精製
発酵槽接種材料を調製するために、TAT-MYC Master Cell Bank(MCB)のバイアルを解凍し、LB培地を含有しており、選択のための抗生物質(40μg/mLカナマイシン)が補足されたシェーカーフラスコに接種するために使用した。細胞を、オービタルシェーカー/インキュベータにおいて、14~16時間増大させた。次いで、増大した培養物を、発酵槽培養物に接種するために使用した。細胞が対数増殖期(約4.0のOD)にある時に、IPTG(およそ0.5~1mM)を培養物に添加することによって、37℃で発酵を誘導した。DO(溶存酸素)スパイクが観察されるまで、約3~6時間、細胞を誘導した。誘導後、細胞ペーストを遠心分離によって採集し、さらなる加工まで-70℃またはそれ未満で保存した。封入体に含有されていたタンパク質の大部分が、TAT-MYCである。
【0114】
細胞ペーストを、8M尿素、50mMリン酸、pH7.5に再懸濁させた。懸濁物を、均質になるまで、室温で混合した。次いで、懸濁物をホモジナイザーに通した。次いで、均質化された懸濁物を、200mM亜硫酸ナトリウムおよび10mMテトラチオン酸ナトリウムを含むよう調整した。均質になるまで、溶液を室温で混合した。スルホニル化された溶解物を、2~8℃で12時間以上混合した。次いで、スルホニル化された溶解物を、1時間遠心分離した。上清を収集し、ペレットを廃棄した。上清を0.22μm濾過膜に通した。
【0115】
スルホニル化されたTAT-MYC溶液を、Ni樹脂を使用したNiアフィニティクロマトグラフィによって精製した。カラムを、6M尿素、50mMリン酸、500mM NaCl、および10%グリセロール溶液で平衡化した。次いで、スルホニル化され清澄化されたTAT-MYCを、カラムに負荷した。カラムを、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、500mM NaCl、pH7.5によって洗浄した。次いで、カラムを、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、および2M NaCl、pH7.5によって洗浄し、その後、6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、50mM NaCl、および30mMイミダゾール、pH7.5によってさらに洗浄した。100~300mMイミダゾールの勾配を有する6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、および50mM NaCl、pH7.5を含有している溶出緩衝液を流し、画分を収集することによって、産物をカラムから溶出させた。プールすべきタンパク質含有画分を0.22μm膜で濾過し、タンパク質濃度をUV280を使用して測定した。
【0116】
Niセファロースクロマトグラフィ工程からのプールされた画分を、Qセファロース樹脂を使用した陰イオン交換クロマトグラフィによってさらに精製した。Niセファロースクロマトグラフィ工程からのプールを、第2の洗浄緩衝液(6M尿素、50mMリン酸、10%グリセロール、2M NaCl、pH7.5)によってQセファロース緩衝液の伝導率(17.52 +/- 1mS/cm)まで希釈することによって、カラムに負荷するために準備した。次いで、希釈されたプールをカラムに負荷し、その後、6M尿素、50mMリン酸、300mM NaCl、および10%グリセロールを使用して、2回のチェイス工程を行い、UVトレースが基線に達するまで、さらなるチェイスを行った。
【0117】
実施例2:ナノ粒子TAT-MYC組成物の調製
実施例1からのQセファロースフロースループール中のTAT-MYCタンパク質のリフォールディングを、UFDF(限外濾過/ダイアフィルトレーション)膜を使用したタンジェンシャルフロー濾過に基づくリフォールディング方法を使用して達成した。リフォールディング過程は、一連の3回のリフォールディング工程を含んでいた。第1のリフォールディング工程は、約120分間のリフォールド緩衝液1(3M尿素、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))の交換を含んでいた。第2のリフォールディング工程は、およそ120分間のリフォールド緩衝液2(1.5M尿素、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))の交換、およびその後のおよそ120分の再循環を含んでいた。第3のリフォールディング工程は、およそ120分間のリフォールド緩衝液3(50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))の交換、およびその後の12時間の再循環からなっていた。第3のリフォールディング工程が完了した後、リフォールド3溶液を0.2μm膜で濾過し、タンパク質濃度を調整した。
【0118】
SEQ ID NO:1のTAT-MYC融合物のタンパク質濃度を、ウシ血清アルブミンの標準曲線と比較して、ブラッドフォードタンパク質アッセイ法(Sigma)によって測定した。
【0119】
リフォールディングされたTAT-MYCのいくつかのロットを、記載された方法によって調製した。これらの実施例のために、提示されたロットは「F01」、「C2A」、「C2B」、「C6」、「C7」、「C12」、「C13」、および「C14」と呼ばれる。アルギニンを付加的に含有していたC2A製剤を除き、リフォールド緩衝液3による第3のリフォールド工程の後に得られた、試験された各ロットは、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン)を含有していた。
【0120】
リフォールディングされたTAT-MYCは、pH感受性であり、pH7.5 +/- pH0.3の製剤において安定していた。リフォールディングされたTAT-MYCは、NaCl濃度にも感受性であり、約500mM +/- 50mM NaClで安定していた。リフォールディングされたTAT-MYCは、1.2mg/mLの濃度まで安定していた。リフォールディングされたTAT-MYCは、-80℃で、2年まで、または約2年の間、安定している。解凍後、それは、4℃で保存された場合に、1ヶ月まで、または約1ヶ月の間、活性を維持する。
【0121】
実施例3:ナノ粒子TAT-MYC組成物の機能分析
以下の通りにTAT-MYC組成物を活性について試験した。
【0122】
脾臓をC57BL/6j(Jackson)マウスから採集し、ワイヤーメッシュを通して機械的に解離させた。赤血球を除去し、市販の単離過程(Dynabead)を使用してCD4陽性T細胞を単離し、1μg/mlの抗CD3抗体および抗CD28抗体によってT細胞を活性化した。細胞を、1mlの培地で1ウェル当たり細胞1.5×106個で48穴クラスタディッシュに播種した。24時間後、TAT-MYC製剤を、細胞に添加し(1ウェル当たり全部で12μg)、24時間インキュベートした。タンパク質の添加から24時間後に、培地を交換し、細胞を48時間インキュベートした。初回活性化の96時間後に、フローサイトメトリー(前方散乱×側方散乱)によって、生存度について細胞を査定した。(実施例2に従って調製された)C2Aについての結果が、図1に示される。
【0123】
図1A(左側のプロット)は、未処理の活性化T細胞の増殖を示す(12.8)。図1B(右側のプロット)は、6μgのTAT-MYC製剤C2Aによって24時間処理された活性化T細胞の増殖を示す。示されるように、T細胞の増殖は、C2A処理によって2倍超になる。
【0124】
これらの実施例において、TAT-MYCの活性を有する調製物、組成物、製剤、または画分は、対照T細胞と比較して少なくとも2倍のT細胞増殖の増大を提供するものである。
【0125】
【表1】
【0126】
実施例4:ナノ粒子製剤の特徴決定
実施例2に記載されたように調製され、かつ実施例3に記載されたように生物学的活性について試験された、ナノ粒子TAT-MYCタンパク質の組成物は、(a)本発明の技術の方法によって調製されたTAT-MYCタンパク質が、驚くべきことに、予想外に、控え目なサイズ範囲を有するナノ粒子を形成すること;(b)この範囲内のナノ粒子の一部分のみが、生物活性、例えば、MYC活性を有すること;(c)活性が粒子サイズおよび1種類または複数種類の翻訳後修飾の両方に関係することを証明するために、数種類の多様な技法を使用して特徴決定された。
【0127】
A. 機能性製剤の安定性
試料中の全成分の量およびサイズ分布に関する情報を提供するために、F01およびF02と呼ばれるTAT-MYCタンパク質の2種類の異なる調製物を、2つの異なる温度で、非対称フロー式フィールドフローフラクショネーション(AF4)および多角度レーザー光散乱(MALLS)によって評価した。F01は、実施例2に従ってリフォールディングされた。F02は、後述されるように調製された。AF4-MALLS分析は、F01が控え目なサイズ範囲を有する粒子の単一の集団を主として含むこと、粒子サイズが、経時的に、変動する温度において、安定していることを例示した。
【0128】
前述の通りに、F01は、実施例2の方法に従って調製された。F02は、実施例1Bに記載されたように調製された。リフォールドの後、F02を、F01製剤、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH、1mM GSSG(還元型グルタチオン)、pH7.5(酸化型グルタチオン)のために、50mMリン酸、250mM NaCl、10%グリセロール、pH7.0の最終製剤に移動させた。
【0129】
図2Aは、F01についての結果を示す。異なる4個の試料が図2Aに示される:25℃で実行された2個のF01試料および5℃で実行された2個のF01試料が提示される。図2Aに示されるように、ほぼ同一の相対スケールの単一のメジャーピークが、両方の温度において、全ての試料について、約24~約32分に見られる。これは、控え目なサイズの粒子の安定的な集団を含む組成物を示している。
【0130】
図2Bは、F02についての結果を提供する。再び、4個の異なる試料が示される:25℃で実行された2個のF02試料、および5℃で実行された2個のF02試料。F01の結果とは対照的に、いくつかのピークが、様々な時点で同定され、それらは全て相対スケールが異なっていた。10~20分に現れるピークについて、1番目のトレースおよび3番目のトレースは25℃で実行された試料からの結果を表し;2番目および4番目のトレースは、5℃で実行された試料を表す。24分~32分の間に出現するピークについて、上から3番目までのトレースは、5℃試料の両方および25℃試料のうちの1個を含み、この時間枠の一番下のトレースは、25℃で実行された第2の試料を表す。40分時点のピークは、5℃試料のうちの1個を一番下のトレースとして、残りの3個の試料を上のトレースとして示す。
【0131】
F01は、実施例3に記載されたようなT細胞アッセイ法において機能を示したが、F02は示さなかった。
【0132】
従って、本発明の技術の製剤は、控え目なサイズの安定的なTAT-MYC粒子を含み、生物学的機能を有する。
【0133】
B. 本発明の技術の製剤の生物活性は粒子サイズに関係する
1. サイズ排除クロマトグラフィおよび高速液体クロマトグラフィによって生物活性TAT-MYC調製物中に控え目な粒子サイズが存在することが確証される
TAT-MYCタンパク質の機能が控え目なサイズのナノ粒子に関係することを確証するために、TAT-MYCの3個の異なる調製物を評価した。(「C12」および「C13」と呼ばれる)2個の機能性調製物、および1個の非機能性調製物(「R147」)を、以下の通りのサイズ排除クロマトグラフィ後の高速液体クロマトグラフィによって特徴決定した。
【0134】
機能性のC12およびC13は、実施例2に概説された手法によって作製された。実施例1Bにおいて詳述されたように、120分、120分、および14時間かかるリフォールド工程を行う必要性を調査するために、TFFリフォールド工程が加速されたランの間中、R147が生成された。代わりに、リフォールディング全体が、60分で達成された。
【0135】
TAT-MYCを分析するためのSEC-HPLC手法を、Agilent 1100シリーズにおいて実施した。3個のカラムをタンデムに配置した。セットアップは、以下の通りであった:ガードカラム-2000A-500A-300A。移動相は、1.0ml/分の流速による50mMリン酸ナトリウム、500mM NaCl、pH7.0であり、各ランの長さは40分であり、タンパク質は100μLのインジェクション体積でカラムに導入された。
【0136】
3個の試料のトレースが、図3に示される。SEC-HPLCは、粒子サイズ分布の高分解能を可能にし、約13分および16分に2個の別個のピークを示す。13分でのピークは活性粒子を有したが、その一方、24分でのピークは活性粒子を含む。22~24分に観察されたピークは、リフォールド緩衝液中の賦形剤の結果であることに注意すること。
【0137】
2. 粒子サイズを測定するためのサイズ排除クロマトグラフィおよび多角度静的光散乱分析
カラムとの予想外の分子相互作用について制御してこれを排除するために粒子サイズ(分子量)を確認するために、SEC-多角度静的光散乱(MALS)も使用して同一の3個の試料を分析した。
【0138】
結果は、図4Aおよび4Bに示される。図4Aは、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン)、250mM Arg、pH7.5において製剤化された試料C2Aの屈折率(破線)および分子量(実線)を示すグラフである。図4Bは、グルタチオンを含みArgを含まないC2Aリフォールド緩衝液(活性試料1)およびArgを含みグルタチオンを含まないリフォールド緩衝液(活性試料2)の相対シグナルを示すC2AのSECトレースである。
【0139】
図4Aおよび4Bに示された結果は、活性粒子の大半が、約107~109ダルトンの分子量を有することを確認する(約12.5mLの保持体積の画分を参照すること)。
【0140】
3. 粒子サイズを確認するための動的光散乱分析
生物活性製剤C2Aならびに3個の付加的な調製物C12、C13(いずれも活性)およびR149(不活性)を、粒子サイズを測定するためにアッセイした。機能性のC12およびC13は、実施例2に概説された手法によって作製された。R149は、C12およびC13に類似したランにおいて生成されたが、TFFリフォールド工程が、6時間実施される透析に置き換えられた。機能性のC2Aは、0080~0082に概説された手法によって作製されたが、最終製剤緩衝液が250mM Argを含んでいた。
【0141】
懸濁物中の小さい粒子または溶液中のポリマーのサイズ分布プロファイルを決定するために使用され得る技法、動的光散乱(DLS)を使用して、試料を評価した。DLSは、ブラウン運動で移動している粒子の拡散を測定し、ストークス・アインシュタイン関係式:
を使用して、拡散係数を水力学的直径に変換し、ここで、Dh=水力学的直径、kB=ボルツマン定数、η=絶対粘度、D=並進拡散係数、T=熱力学的温度である。
【0142】
試料および標準を、Malvern Zetasizer Nano (s)で分析した。試験試料および対照を、分析前に、製剤緩衝液で0.5mg/mLの濃度に希釈した。試料を分析し、強度、個数、および体積分布によってサイジングを評価した。分析について報告された値は、強度Z-Ave(d.nm)値から得られた。
【0143】
結果は、図5A~5Dに示される。図5Aは、C2AについてのDLSトレースを示す;平均粒子サイズ(直径)は、106.2nmであった。
【0144】
図5B~5Dは、それぞれ、調製物R149(不活性)、C12(活性)、およびC13(活性)についてのDLSトレースデータを表す。不活性調製物は、63nmの平均粒子サイズを有し、調製物C12およびC13は、それぞれ、106nmおよび103nmの平均粒子サイズを有する。
【0145】
4. 溶液中の生物活性TAT-MYC粒子のサイズ分布を確認するためのナノ粒子トラッキング分析
ナノ粒子トラッキング分析(NTA)は、ブラウン運動の速度を粒子サイズと関係付ける、液体中の粒子を可視化し分析する方法である。移動の速度は、液体の粘度および温度にのみ関係する;それは粒子密度または屈折率によって影響を受けない。NTAは、液体懸濁物中のおよそ10~1000ナノメートル(nm)の直径を有する小さい粒子のサイズ分布プロファイルの決定を可能にする。
【0146】
ナノ粒子のサイズおよび濃度を、488nmレーザーおよびNTA 2.3ソフトウェアが装備されたNS300機(Malvern,Worchester,UK)によるナノ粒子トラッキング分析(NTA)によって測定した。データ取得の前に、試料を400μLの最終体積に1:200~1:400希釈し、フローセルに負荷した。室温で60秒間ビデオを撮った。サイズ検出下限は、ソフトウェアによって自動的に設定された。
【0147】
結果は、図6Aおよび6Bに示される。NTA分析は、活性C2A調製物を用いて三つ組で実施された。図6Aは、試料中の粒子の大半が、約100nmのサイズであることを示す。図6Bは、濃度およびサイズの平均値を示す。試料中の粒子サイズの統計的分類は、下記表に提供される。
【0148】
5. 生物活性ナノ粒子TAT-MYCの均一性およびサイズを視覚的に確認するための電子顕微鏡法
前記の生化学的結果を、電子顕微鏡法によってさらに確認した。実施例2に記載されるように調製された「C2B」と呼ばれるTAT-MYC製剤を、生物活性を確認するために、実施例3のT細胞アッセイ法において試験した。C2Bは、以下の通りに電子顕微鏡法によって可視化された。
【0149】
TAT-MYCナノ粒子製剤の50マイクロリットルの液滴を、パラフィルムにスポットし、次いで、グロー放電カーボン・フォルムバールコート(glow-discharged,carbon- and formvar-coated)銅透過型電子顕微鏡法(TEM)グリッド(G400銅;EM Science)に吸収させた。グリッドを、Kimwipe(Kimberly-Clark)上で乾かし、その後、酢酸ウラニル(2% [wt/vol])およびTEM(Philips CM10)によって80kVで染色した。粒子を4,800倍で観察した。
【0150】
結果は図7に示される。図7は、100nmサイズ範囲の控え目な粒子を示す(濃いボール)。粒子は形が均一であり、顕微鏡写真においてはサイズのいくらかの変動が認められたが、セクションB~Eのデータは、活性粒子のサイズ範囲が顕微鏡写真に示されたものと一致していることを確認する。
【0151】
C. 本発明の技術のTAT-MYC製剤の生物学的機能
活性TAT-MYC調製物と不活性TAT-MYC調製物とをさらに区別するために、ペプチドマッピングを実施した。ペプチドフィンガープリンティングとしても公知のペプチドマッピングは、タンパク質の部分加水分解後の電気泳動およびクロマトグラフィによる(ペーパーまたはゲル上での)ペプチドの二次元パターンの形成の技法である。作製されたペプチドパターン(またはフィンガープリント)は、特定のタンパク質に特徴的であり、その技法は、ペプチドの混合物を分離するために使用され得る。
【0152】
6個の異なるTAT-MYC製剤を、エンドプロテアーゼAspNによって消化した。試料のうちの3個、C2B、C6、およびC7は、実施例2によって調製され、実施例3のT細胞アッセイ法において生物活性を示した。試料のうちの3個、C4、147、および149は、以下の通りに調製された。R149は、C12およびC13に類似したランにおいて生成されたが、TFFリフォールド工程が、6時間実施される透析に置き換えられた。実施例2において詳述されたように、120分、120分、および14時間かかるリフォールド工程を行う必要性を調査するために、TFFリフォールド工程が加速されたランの間中、R147は生成された。代わりに、リフォールディング全体が、60分で達成された。C4は、実施例1Bに概説された手法によって作製されたが、その後、フロースルーのためのQロードの塩および伝導率を調整するのではなく、このQカラムを、1つの結合として実行して、その後塩勾配で溶出させた。これらの試料は、いずれも、実施例3のT細胞アッセイ法において生物活性を示さなかった。
【0153】
タンパク質消化は、以下の通りに実施された。TAT-MYCを塩酸グアニジンによって変性させ、TCEP(トリス2-カルボキシエチルホスフィン)によって還元し、ヨードアセトアミドによってアルキル化し、アスパラギン酸残基のN末端側で切断するエンドプロテイナーゼAsp-Nによって消化した。得られたペプチドを、逆相HPLCによって分離し、215nmの吸光度によってモニタリングした。ピーク溶出プロファイル中のペプチド同一性を、質量分析によって確立した。ルーチンのタンパク質分析のために、試料のUVクロマトグラム内のピークプロファイルを参照試料と視覚的に比較することによって、同一性を確立することができる。
【0154】
タンパク質断片をHPLCによって分析した。結果は図8に示される。図8の上の3個のトレースは、生物活性試料を表す。下の3個のトレースは、不活性試料を表す。図12に示されるように、A1、A1-2と表示されたピークの直ぐ右の12~12.5分時点のピークが、3個の活性試料の全てに存在したが、不活性試料には存在しないかまたは最小限に可視であった。理論によって拘束されることは望まないが、活性試料においては1個または複数個のアスパラギン酸残基がアセチル化されている可能性が高い。
【0155】
実施例5:MYC含有ナノ粒子製剤の構造的特徴決定
MYC含有ナノ粒子製剤の一次構造、二次構造、三次構造、および四次構造を、標準的な技法を使用して、下記表に概説されるような一連の生化学的特徴決定、生物物理学的特徴決定、および機能的特徴決定の技法を使用して評価した。
【0156】
MYC含有ナノ粒子の構造および機能の解明戦略の概要
【0157】
本実施例において提示された特徴決定分析の大半について、ナノ粒子製剤C13が使用された。いくつかのケースにおいて、別のナノ粒子製剤(C2BまたはC14のいずれか)からのデータが、本明細書中に提示される。ナノ粒子製剤C14も、ナノ粒子製剤C13のために用いられたのと本質的に同一の過程によって、類似した製造スケールで作製された。
【0158】
A. 液体クロマトグラフィ-質量分析(LC/MS)によるペプチドマッピング
飛行時間型(TOF)分析計によるエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析を追加して、前記チャートに記載されたように、myc含有ナノ粒子製剤を分析した。MSランにおいてはUV検出が行われなかったので、観察された質量をそれぞれのUVピークに割り当てるためにMSトータルイオンクロマトグラム(TIC)およびUVクロマトグラムの視覚的アライメントを実施した。
【0159】
質量分析は、予想されるペプチド配列に基づき、ペプチドが100%カバーされることを確認した。図9は、同定されたペプチドピークを含む、MYCペプチドについての代表的なペプチドマップを示す。各ピークについてのペプチドの割り当ては、下記表に提供される。
【0160】
理論上のTAT-MYC Asp-Nペプチド
【0161】
B. 逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)
逆相HPLC(RP-HPLC)法を、翻訳後修飾および産物関連不純物の定量化のために用いた。試験試料を、変性緩衝液(7.5MグアニジンHCl、0.0625MトリスHCl、pH7.3)で希釈し、Agilent AdvanceBio RP-mAb C4カラム(2.1×150mm、ソリッドコアビーズ3.5μm、450Å)を使用して分離した。カラムを50℃の温度で平衡化した。0.5mL/分の流速、ならびに下記表に示されるような100%H20中の0.1%TFA(w/v)(溶出液A)および100%ACN中の0.1%TFA(w/v)(溶出液B)の直線勾配を適用することによって、溶出を達成した。検出を280nmで実施した。
【0162】
RP-HPLC勾配プロファイル
【0163】
図10に例示されるように、ナノ粒子製剤C13の分析は、メジャーピークおよび少数のマイナーピークの存在を示した。不純物ピークの同定は、この具体的な実施例においては実施されなかった。
【0164】
C. 円偏光二色性分光法
ナノ粒子製剤C13の構造を、「遠紫外」スペクトル領域(190~250nm)および「近紫外」スペクトル領域(250~350nm)の両方において円偏光二色性分光法(CD)を使用して評価した。遠紫外領域において、発色団はペプチド結合であり、それが通常のフォールディング環境に位置する場合に、シグナルが発生する。近紫外領域は、三次構造のある種の局面に感受性であり得る。これらの波長において、発色団は、芳香族アミノ酸およびジスルフィド結合であり、それらが生じるCDシグナルは、タンパク質の三次構造全体に感受性である。
【0165】
ナノ粒子製剤C13を、近紫外については280nmで0.75AU、遠紫外については195nmで1.1AUの吸光度に希釈した。グルタチオンは、UVにおける試料吸光度に有意な影響を及ぼす。従って、タンパク質からのシグナル寄与を増大させるために、試料は、還元型グルタチオンおよびグルタチオンを含まない緩衝液に緩衝液交換された。試料についての試験パラメータは、下記表に示される。
【0166】
CD分光法によるナノ粒子製剤の特徴決定のための試験パラメータ
1 各試料について報告されたスペクトルを作製するために、全ての読み取りを平均化した。
【0167】
遠紫外CD分光法および近紫外CD分光法の両方について、平均化したスペクトルから緩衝液を差し引き、平均残基モル濃度楕円率(MRME)に対して正規化した。スペクトル類似性の定量分析を、重み付きスペクトル差(WSD)アルゴリズムを使用して実施した。図11に提供される得られた遠紫外スペクトルは、タンパク質二次構造が主としてβシートからなることを示唆する。αヘリックス構造が存在する証拠はほとんどなかった。図12において提供される近紫外スペクトルは、弱いトリプトファン、高いチロシン、および極めて高いジスルフィド特色を示した。この結果は、下記表に示されるように、分子内のトリプトファン残基、チロシン残基、およびジスルフィド残基の数と一致している。
【0168】
MYC含有ナノ粒子製剤におけるトリプトファン、チロシン、およびジスルフィド
【0169】
D. フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
波数1700~1500cm-1のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)スペクトルは、タンパク質の構造的特性を決定するために使用され得る。このスペクトル領域における分析は、慣習的にアミドIおよびアミドIIと呼ばれ、それぞれ、波数1700~1600cm-1および1600~1500cm-1に存在する2個の吸収帯をもたらす。アミド1バンドは、二次構造(αヘリックス、βシートなど)によってモジュレートされるペプチド結合のC=O伸縮振動による。測定されたスペクトルを、既知の二次構造を有するタンパク質について得られたスペクトルと比較することによって、二次構造含量を得ることができる。ナノ粒子製剤C14についてのFTIR分光法を、MCT検出器およびBioATR Cell IIと共にBruker Optics Vertex 70を使用して実施した。試料は、分析前に調製を必要としなかった。分析についての試験パラメータは、下記表に示される。
【0170】
FTIR試験パラメータ
波数範囲を示した。緩衝液差し引きは典型的には、2800~1000cm-1で行われ、かつ二次構造スペクトル分析は1700~1600cm-1で実施された。
【0171】
得られたFTIRスペクトルから緩衝液を差し引き、1600~1700cm-1でmin-maxノーマライゼーションを行った。二次導関数の決定に関して、ホワイトノイズを最小化するために9点スムージングを適用した。スペクトル類似性の定量分析は、重み付きスペクトル差(WSD)アルゴリズムを使用して実施した。
【0172】
ナノ粒子製剤C14は、有意なβ構造、シートおよびターンの両方を示した。1649~1655付近のピークは、ランダムコイルである。これらのスペクトル特色は、遠紫外CDデータの定性分析と一致している:即ち、主として、β構造およびランダムコイルが存在し、αヘリックスは、極めてわずかに存在する乃至は全く存在しない。
【0173】
E. 分析用超遠心分離
沈降速度分析用超遠心分離(SV-AUC)による溶液中のタンパク質の沈降挙動に基づき、ナノ粒子製剤C13のより高次の構造を調査した。SV-AUCは、分子が遠心力に応答して沈殿する速度を測定する。この沈降速度は、試料中に存在する分子の分子量に関する情報を提供する。
【0174】
吸収光学系を使用して、Beckman-Coulter XLIを使用して、SV-AUCを実施した。試料は、分析前に付加的な調製を必要としなかった。試験パラメータは、下記表に示される。データ分析は、下記表に示されるパラメータを使用して、SEDFIT 15.01bを使用して実施された。AUCデータは、図14に例示される。
【0175】
AUC試験パラメータ
【0176】
AUCデータ分析パラメータ
1 ログスペースsグリッド(Log spaced s grid)が使用されたため、全ての値がゼロより大きくなければならない。
【0177】
ナノ粒子製剤C13は、大きい分子量分布を示した。およその分子量を、既知の緩衝液特性を使用して測定した。その分布は、およそ4MDa(20.6S)で急激に始まり、およそ10MDa(40S)に頂点を有した。主要集団分布は、およそ120MDa(185S)にまで及んだ。少量のより大きい種は、400Sを越えた。しかしながら、これらの種は、方法の定量限界未満であり、正確には定量化され得ない。
【0178】
F. 変性サイズ排除クロマトグラフィ-HPLC
ナノ粒子製剤C13を、変性サイズ排除クロマトグラフィ-HPLC(dSEC-HPLC)によって分析した。TSKgel G3000SWxl;5μmを用いて、還元条件および非還元条件の両方で、変性条件下で試料を実行した;試料中のより大きい分子量種からの、モノマーの、サイズに基づく分離を達成するために、ステンレス鋼7.8mm×30cmカラムを使用した。
【0179】
非還元条件下での試料の分析については、均一濃度配置の移動相として7.5M Gdn HCl、0.01M酢酸ナトリウム、pH4.7を使用して、溶出を達成した。試料を、移動相で1/10希釈して、混合するために10秒間ボルテックスした。次いで、試料を、37℃で30分間インキュベートした後、4℃のオートサンプラー内に置いた。
【0180】
還元条件下での試料の分析については、均一濃度配置の移動相として7.5M Gdn HCl、0.0625M TrisHCl、pH7.3を使用して、溶出を達成した。試料を移動相で1/10希釈して、1mLのTCEPを、混合するために10秒間ボルテックスする前に添加した。次いで、試料を、4℃のオートサンプラー内に置く前に37℃で15分間インキュベートした。
【0181】
還元条件および非還元条件の両方について、ピークの定量のために蛍光を使用して検出を実施した。ピーク全体にわたるサイズ分布の評価を、多角度レーザー光散乱(MALLS)を使用して達成した。
【0182】
ナノ粒子製剤C13のSEC-HPLC分析について得られたクロマトグラムは、図15に示される。各クロマトグラム上の重ねられたトレースは、2~8℃で保存された試料についておよそ1ヶ月間隔で実施された試験を表し、加速された温度での保存中の変化を検知するこの方法の能力を証明している。
【0183】
G. 電子顕微鏡法
ナノ粒子製剤C2Bの3次元構造の画像の収集のために、電子顕微鏡法を実施した。ナノ粒子製剤の50マイクロリットルの液滴(100ug/mL)を、パラフィルムにスポットし、次いで、グロー放電カーボン・フォルムバールコート銅透過型電子顕微鏡法(TEM)グリッド(G400銅;EM Science)に吸収させた。グリッドをKimwipe(Kimberly-Clark)上で乾かした後、酢酸ウラニル(2% [wt/vol])およびTEM(Philips CM10)によって80kVで染色した。番号100nm粒子を4,800倍で観察した。図7に示されるように、得られた画像は、自己組み立てスフェアの高度に規則正しい複合体を確認する。
【0184】
実施例6:変異体TAT-MYCペプチド製剤の特徴決定
本実施例においては、変異がTAT-MYCナノ粒子製剤の安定性に影響するか否かを判定するために、MYC機能において役割を果たす部位におけるMYCの点変異を調査した。前記の通りに、SEQ ID NO:1に示された配列を有するTAT-MYC融合タンパク質は、野生型ヒトMYCタンパク質(c-MYC)とインフレームで融合したHIV-1 TATのタンパク質形質導入ドメイン(PTD)と、その後の2種類のタグ:V5および6×Hisを組み合わせた融合タンパク質である。TAT-3AMYCは、3個のアミノ酸置換:T358A、S373A、およびT400Aを含有していることを除き、TAT-MYCと同一である。これらの3個のアミノ酸が変異のために最初に選択されたのは、これらの3個の残基におけるリン酸化が、全て、Max結合を阻止するか、またはDNAとの結合に直接干渉することによって、MYCのDNAとの会合を阻害することによって、MYC機能を低下させることが示されているためである(Huang et al.Mol Cell Biol.24(4):1582-1594(2004))。以下に詳述されるように、TAT-3AMYCの点変異は、形成された複合体を不安定化し、融合タンパク質調製物を非機能性にすると考えられる。
【0185】
TAT-MYC融合タンパク質およびTAT-3AMYC融合タンパク質の調製
前記の実施例1および2に記載されたように、TAT-MYCタンパク質およびTAT-3AMYCタンパク質を調製した。融合タンパク質を変性条件下で可溶化し、次いで、塩、グリセロール、および還元剤(即ち、50mMリン酸、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM GSH(還元型グルタチオン)、1mM GSSG(酸化型グルタチオン))を含有している最終製剤へとリフォールディングした。
【0186】
サイズ排除クロマトグラフィHPLC(SEC-HPLC)
次いで、TAT-MYCおよびTAT-3AMYCを含むナノ粒子製剤を、サイズ排除クロマトグラフィHPLC(SEC-HPLC)を使用して、分子量プロファイルについて分析した。サイズバリアントを、サイズ排除カラム上で均一濃度の移動相(4M GdnHCl、10mM NaOAc、pH4.65)によって分離し、280nMでの紫外(UV)検出によってダイオードアレイ検出器でモニタリングした。使用されたパラメータは、以下の通りであった:流速:0.75ml/分;最大圧力限界:70.0バール;ラン時間:30分;インジェクション体積:20μL。
【0187】
図16Aは、TAT-MYCタンパク質調製物のクロマトグラムを示す。タンパク質複合体は、6~7分に溶出する。より小さいタンパク質多量体および賦形剤のピークは、8~15分に溶出することが分かる。図16Bは、TAT-MYCタンパク質調製物と比較したTAT-3AMYCのクロマトグラムを示す。TAT-3AMYCは、6~7分に溶出するタンパク質複合体を有意に少なく有する。タンパク質調製物の大部分が、より小さいタンパク質多量体から構成されており、賦形剤ピークは、8~17分に溶出することが分かる。これは、アラニンへのT358、S373、およびT400の変異が、SECカラム上で6~7分に溶出するナノ粒子複合体の形成を妨害するために十分であることを示す。
【0188】
有効性アッセイ法
TAT-MYC融合タンパク質およびTAT-3AMYC融合タンパク質を、活性化CD4+ T細胞をアポトーシスから救済する能力、ブラスティング(blasting)表現型を保持する能力、および抗原刺激後に増殖を継続する能力を試験することによって、有効性についても査定した。アッセイ法のためのT細胞は、マウスから脾臓およびリンパ節を採集することによって得られた。C10培養培地中の単一細胞懸濁物を生成するために、脾臓およびリンパ節をメッシュスクリーンを通して粉砕した。細胞をコニカルチューブに移し、5分間の1200RPMでの遠心分離によってペレット化した。細胞を、5mlの無菌TAC緩衝液(135mM NH4Cl、17mMトリス、pH7.65)に再懸濁させ、赤血球を溶解するために、1~2分間、TAC緩衝液中に放置した。細胞を5分間1200RPMで遠心分離し、10mlのC10培地によって洗浄し、4mlのC10培地に再懸濁させた。
【0189】
製造業者の説明書に従って、抗CD4 Dynabeads(Invitrogenカタログ番号11445D)を使用して、再懸濁したRBC枯渇細胞混合物からT細胞を単離した。簡単に説明すると、再懸濁した細胞ペレット4mlを、洗浄された(×4)50μlのCD4 Dynabeadsを有するスナップキャップチューブに添加し、360°Nutator上で4℃で1時間インキュベートした。インキュベートした後、チューブを、Dynal磁石上に置き、2分間、ビーズおよび細胞をチューブの側方に集めた。上清(CD4陰性細胞)を除去した。ビーズおよび結合した細胞を、4mlのC10培地に再懸濁させて、分離を可能にするために磁石上に戻した。この洗浄を繰り返した。洗浄後、ビーズおよび結合した細胞を、4mlのC10に再懸濁させ、50μlのCD4 detachabead(Invitrogenカタログ番号12406D)を各チューブに添加し、360°Nutator上で22℃で1時間インキュベートした。インキュベートした後、チューブを、Dynal磁石に置き、2分間、ビーズをチューブの側方に集めた。CD4+細胞を含有している上清を、50mlコニカルチューブに収集した。残りのビーズを、10mlのC10培地に再懸濁させ、Dynal磁石上で分離し、収集した。次いで、この工程を繰り返し、上清をプールした。プールされた単離されたCD4+細胞を、1200rpmで5分間遠心分離した。上清を除去し、細胞を細胞およそ1.5×106個/mlで20ml(5ml/マウス)に再懸濁させた。T細胞を活性化するために、20ulの市販の抗CD3(eBiosciencesカタログ番号16-0031-86)および20ulの抗CD28抗体(クローン37N1)を1ul/mlでチューブに添加し、24穴ディッシュの20ウェルに1ウェル当たり1mlの培地で細胞を播種し、36℃で72時間インキュベートした。
【0190】
抗CD3および抗CD28による活性化の72時間後、各ウェルの底から細胞を洗浄するための培地を使用して、24穴ディッシュの各ウェルから細胞を除去した。細胞を1200rpmで5分間ペレット化し、5mlのC10培地に再懸濁させ、15mlコニカルチューブに移した。細胞を5mlのFicoll-Paqueの下に置き、1200rpmで5分間スピンした。バフィーコートを、4mlガラスピペットを使用して除去し、新しい15mlコニカルチューブに移した。10mlのC10培地を、細胞を洗浄するために添加した。細胞を、1200rpmで5分間ペレット化し、細胞1×106個/mlで再懸濁させ、24穴プレートに1ウェル当たり1mlで播種した。次いで、細胞を、TAT-MYC融合タンパク質またはTAT-3AMYC融合タンパク質によって処理した。融合タンパク質による処理の48時間後に、フローサイトメトリーを使用して、生存度を測定した。
【0191】
図17は、TAT-MYCおよびTAT-3AMYCの、サイトカイン中止後のアポトーシスから活性化T細胞を救済する能力を評価する、活性化T細胞有効性アッセイ法のグラフ表示を示す。TAT-MYCは、未処理(NT)と比較して、サイトカイン中止後の生T細胞集団の3倍の増大を示した。しかしながら、TAT-3AMYCは、未処理(NT)と比較して、生T細胞集団の増大を示さなかった。この結果は、図16Bに示されるような、TAT-3AMYCの大半がTAT-MYCなどの複合体を形成しないことを示したクロマトグラフィデータと一致していた。
【0192】
要約すると、TAT-MYCは、SEC-HPLCによって測定され得、6~7分に溶出するナノ粒子複合体を形成する。TAT-3AMYCは、TAT-MYCと同一のナノ粒子複合体を形成しない。アラニンへのT358、S373、およびT400の変異は、SECカラム上で6~7分に溶出する複合体の形成を妨害するために十分であった。さらに、T細胞有効性アッセイ法において観察されるTAT-MYCの機能は、この複合体の形成と相関すると考えられる。
【0193】
実施例7:クロロセブス・サベウス(ミドリザル)MYCタンパク質に由来するTAT-MYC融合ペプチドの構築および特徴決定
ミドリザルTAT-MYCの構築および精製
C.サベウス(ミドリザル)MYCのコード領域をPCR増幅し、実施例1のヒトTAT-MYCベクター内のヒトMYC配列をコードする核酸を、2アミノ酸だけヒトMYC配列と異なるSEQ ID NO:8をコードするミドリザルMYC配列の一部分と置き換えることによって、プラスミドpTAT-MYC(ミドリザル)-V5-6×Hisを作製した。タンパク質の作製および精製は、実施例1に記載されるように実施された。ナノ粒子TAT-MYC組成物の調製は、実施例2に記載されるように実施された。
【0194】
粒子サイズを確認するための動的光散乱(DLS)
リフォールディングされたナノ粒子組成物を、実施例4(B)(3)に記載された動的光散乱(DLS)法によって、ナノ粒子サイズ分布について査定した。結果は、ミドリザルTAT-MYCナノ粒子組成物についてのDLSトレースを示す図18に示される。ミドリザルTAT-MYCの平均粒子サイズ(直径)は、約80nmであった。
【0195】
逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)
逆相HPLC(RP-HPLC)法を、ミドリザルTAT-MYCナノ粒子組成物中の翻訳後修飾および産物関連不純物の定量のために用いた。試験試料を、変性緩衝液(7.5MグアニジンHCl、0.0625M TrisHCl、pH7.3)で1mg/mlに希釈した。2μlの0.5M TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を試料に添加し、37℃で30分間インキュベートし、次いで、2~8℃に冷却した。試料を、分析前に、最長5日間、2~8℃で保存した。試料(50μl)(およそ5μg)を、Agilent AdvanceBio RP-mAb C4カラム(2.1×150mm、ソリッドコアビーズ3.5μm、450Å)を使用して分離した。カラムを50℃の温度で平衡化した。溶出は、0.5mL/分の流速、ならびに下記表に示される100%H20中の0.1%TFA(w/v)(溶出液A)および100%ACN中の0.1%(w/v)TFA(溶出液B)の直線勾配を適用することによって達成された。検出は215nmで実施された。参照ヒトTAT-MYCナノ粒子組成物と比較したミドリザルTAT-MYCナノ粒子組成物についての結果が、図19に示される。
【0196】
サイズ排除クロマトグラフィおよび高速液体クロマトグラフィ(SEC-HPLC)
ミドリザルTAT-MYCナノ粒子組成物も、サイズ排除クロマトグラフィ後の高速液体クロマトグラフィによって特徴決定した。試料中のより大きい分子量種からの、モノマーの、サイズに基づく分離を達成するために、TSKgel G3000SWxl;5μm;ステンレス鋼7.8mm×30cmカラムを用いて、変性非還元条件下で試料を実行した。溶出は、均一濃度配置の移動相として、4M Gdn HCl、0.1M酢酸ナトリウム、pH4.65を使用して達成された。試料を移動相で1/10希釈し、混合するため10秒間ボルテックスした。次いで、試料を37℃で30分間インキュベートした後、4℃のオートサンプラー内に置いた。
【0197】
参照ヒトTAT-MYCナノ粒子組成物と比較したミドリザルTAT-MYCナノ粒子組成物のSEC-HPLC分析について得られたクロマトグラムが、図20に示される。
【0198】
有効性アッセイ法
アポトーシスから活性化CD4+ T細胞を救済する能力、ブラスティング表現型を保持する能力、および抗原刺激後に増殖し続ける能力を試験することによって、ミドリザルTAT-MYCナノ粒子組成物および参照ヒトTAT-MYCナノ粒子組成物も有効性について査定した。実施例6に記載された有効性アッセイ法によって、生物活性について組成物をアッセイした。
【0199】
図21は、様々な用量のミドリザルTAT-MYCおよびヒトTAT-MYCの、未処理対照と比べて、ブラスティング表現型を有する活性化T細胞の量を増加させる能力を評価する、活性化T細胞有効性アッセイ法のグラフ表示を示す。
【0200】
本開示の好ましい態様が本明細書中に示され記載されたが、そのような態様は例示のために提供されるに過ぎないことが、当業者には明白であろう。多数の変形、変化、および置換が、本開示から逸脱することなく、当業者に想到されるであろう。本明細書中に記載された本開示の態様の様々な代替物が、本開示の実施において用いられ得ることが理解されるべきである。添付の特許請求の範囲が、本開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物が、それによってカバーされるものとする。
【0201】
本明細書中で言及または引用された特許、特許出願、仮出願、および刊行物は全て、図面および表を含めて、本明細書の明示的な教示と不一致でない程度に、参照によってその全体が組み入れられる。
【0202】
他の態様は添付の特許請求の範囲において示される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【配列表】
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