(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】耐障害性の高い高周波同軸コネクタおよびアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/40 20110101AFI20230427BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/42 H
(21)【出願番号】P 2022500762
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2019103752
(87)【国際公開番号】W WO2021003828
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】201910602387.0
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522007381
【氏名又は名称】上海航天科工電器研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖順群
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04826450(US,A)
【文献】実開昭53-111291(JP,U)
【文献】特開昭57-017580(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102299435(CN,A)
【文献】特表2005-529449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/40
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波プラグ(10)と、高周波プラグ(10)と同軸に設置する高周波ジャック(50)と、高周波ジャック(50)を固定するための固定アッセンブリとを備え、
前記高周波プラグ(10)と高周波ジャック(50)とが挿着の方式で着脱可能に接続し、前記高周波プラグ(10)と高周波ジャック(50)との間の挿着構造が等間隔に設置され、前記固定アッセンブリが、固定プラグ(30)と柱状固定ジャック(20)とを含み、前記固定プラグ(30)と固定ジャック(20)との間に高周波ジャック(50)をロックするためのロック構造が設置され
、
前記高周波プラグ(10)は、管状プラグ外導体(1)を備え、前記プラグ外導体(1)の内部において、プラグ外導体(1)の軸方向に沿って複数の第1導体板(2)が設置され、前記第1導体板(2)の内側辺とプラグ外導体(1)とが一体に接続され、前記第1導体板(2)の外側辺がプラグ外導体(1)の内部に設けられ、前記プラグ外導体(1)の中心軸の箇所に第2導体板(3)が固定設置され、前記第2導体板(3)の外側壁とプラグ外導体(1)の内側壁との間に隙間が設けられ、前記高周波ジャック(50)が、管状ジャックハウジング(5)を備え、前記ジャックハウジング(5)の前端に第1導体板(2)と合わせる第1挿着溝(51)が設けられ、前記ジャックハウジング(5)の中心軸に音叉状ジャック内導体(6)が設置され、前記ジャック内導体(6)のヘッド端に、第2導体板(3)と合わせる第2挿着溝(61)が設けられる
ことを特徴とする耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項2】
前記第1導体板(2)は2つ設置され、2つの第1導体板(2)のそれぞれの中心軸線および第2導体板(3)の中心軸線が同一平面にあることを特徴とする請求項
1に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項3】
前記第2導体板(3)の幅方向とジャック内導体(6)の幅方向とが互いに垂直であることを特徴とする請求項
1に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項4】
前記固定プラグ(30)は、ジャック内導体(6)の外部に環装される絶縁管体(31)を備え、前記絶縁管体(31)の中間段の外部に複数の弾性片(34)が設けられ、前記弾性片(34)のテール端と絶縁管体(31)とが一体に接続され、前記弾性片(34)のヘッド端と絶縁管体(31)の外側壁との間に間隔が設けられ、前記弾性片(34)の長手方向と絶縁管体(31)の長手方向とがなす夾角αが鋭角であり、
前記絶縁管体(31)の後段に複数の凸出板(32)が設置され、前記弾性片(34)のヘッド端が弾性片(34)のテール端と凸出板(32)のヘッド端との間に設置され、前記凸出板(32)のテール端の外側に凸出ブロック(33)が設けられ、前記凸出ブロック(33)の前端と凸出板(32)のヘッド端との間に距離があり、
前記固定ジャック(20)のヘッド端に高周波ジャック(50)を取り付けるための孔通路が設けられ、前記孔通路が、凸出ブロック(33)が出入りするための第1取付孔(21)と、凸出板(32)が出入りするための第2取付孔(22)と、弾性片(34)と係合するための第3取付孔(23)とを含み、前記固定ジャック(20)のテール端に第4取付孔(24)が設けられ、前記第2取付孔(22)が第1取付孔(21)と第3取付孔(23)との間に設けられ、前記第3取付孔(23)と第4取付孔(24)とが連通し、前記第1取付孔(21)の孔径が第2取付孔(22)の孔径より大きく、前記第3取付孔(23)の孔径が第2取付孔(22)の孔径より大きい
ことを特徴とする請求項
1に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項5】
αの値は、6°≦α≦30°を満たすことを特徴とする請求項
4に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項6】
前記凸出ブロック(33)が2つ設けられ、前記凸出板(32)が2つ設けられ、前記弾性片(34)が2つ設けられ、2つの凸出ブロック(33)が位置する平面と2つの凸出板(32)が位置する平面とが同一平面であり、2つの凸出板(32)が位置する平面と2つの弾性片(34)が位置する平面とが同一平面である
ことを特徴とする請求項
4に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項7】
前記第1導体板(2)が少なくとも3つ設置され、前記第1導体板(2)がプラグハウジング(1)の内部に対称に設置されることを特徴とする請求項
1に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の耐障害性の高い高周波同軸コネクタを複数備え、前記耐障害性の高い高周波同軸コネクタがアレイに配列されることを特徴とする耐障害性の高い高周波同軸コネクタアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐障害性の高い高周波同軸コネクタおよびアッセンブリに関し、高周波同軸コネクタの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
高周波同軸コネクタは、一般的に、ケーブルに接続されまたは器械に取り付けられる、伝送線路の電気的な接続または分離を実現する素子として利用されている。
【0003】
現在の高周波同軸コネクタでは、使用するとき、高周波プラグと高周波ジャックとの挿着が不完全である場合、すなわち、高周波プラグと高周波ジャックとの実際の挿着位置と、高周波プラグと高周波ジャックとの完全挿着位置との間に誤差がある場合、1本の高周波伝送線路について、高周波同軸コネクタが不完全に挿着されるとき、高周波同軸コネクタでのインピーダンスが70~80Ωに達してしまい、高周波同軸コネクタの実際の挿着位置と完全挿着位置との誤差が3mmであるとき、高周波同軸コネクタでのインピーダンスが80Ωに達してしまい、該インピーダンスが50Ωよりはるかに大きい。高周波高速線路おいて表皮効果が存在し、インピーダンスが50Ωである場合に表皮効果による損失が最も小さいことが既に業界で証明された。電気的特性にとって、50Ωのインピーダンスの要する媒体の厚さが3~4MILであり、干渉を効果的に減少させることができる。媒体の厚さが小さいほど、信号と基準平面との距離が小さく、隣接する信号への干渉が小さくなる。
【0004】
このため、現在の高周波同軸コネクタの使用において、高周波プラグと高周波ジャックとを完全に挿着しなければならなく、そうしないと、信号伝送が影響されやすい。しかし、高周波高速線路において、一般的に、複数の高周波伝送線路がアレイにして分布されるため、複数の高周波同軸コネクタが集積されるものを利用する。1つの高周波同軸コネクタの高周波プラグと高周波ジャックとの完全挿着操作が容易に実現できるが、複数の高周波同軸コネクタに対する挿着操作を同時に一括で行う場合、いくつかの高周波同軸コネクタにおける高周波プラグと高周波ジャックとが不完全に挿着される現象が発生しやすいため、その後の複数回のテスト、調整、再挿着などの操作をしなければならなく、操作が面倒であるとともに、信号伝送の損失を招きやすい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来技術における欠陥に対して、耐障害性の高い高周波同軸コネクタおよびアッセンブリを提供する。具体的な技術案は、下記の通りである。
【0006】
耐障害性の高い高周波同軸コネクタは、高周波プラグと、高周波プラグと同軸に設置する高周波ジャックと、高周波ジャックを固定するための固定アッセンブリとを備え、
【0007】
前記高周波プラグと高周波ジャックとが挿着の方式で着脱可能に接続し、前記高周波プラグと高周波ジャックとの間の挿着構造が等間隔に設置され、前記固定アッセンブリが、固定プラグと柱状固定ジャックとを含み、前記固定プラグと固定ジャックとの間に高周波ジャックをロックするためのロック構造が設置される。
【0008】
上記の技術案の更なる改良案として、前記高周波プラグは、管状プラグ外導体を備え、前記プラグ外導体の内部において、プラグ外導体の軸方向に沿って複数の第1導体板が設置され、前記第1導体板の内側辺とプラグ外導体とが一体に接続され、前記第1導体板の外側辺がプラグ外導体の内部に設けられ、前記プラグ外導体の中心軸の箇所に第2導体板が固定設置され、前記第2導体板の外側壁とプラグ外導体の内側壁との間に隙間が設けられ、前記高周波ジャックが、管状ジャックハウジングを備え、前記ジャックハウジングの前端に第1導体板と合わせる第1挿着溝が設けられ、前記ジャックハウジングの中心軸に音叉状ジャック内導体が設置され、前記ジャック内導体のヘッド端に、第2導体板と合わせる第2挿着溝が設けられる。
【0009】
上記の技術案の更なる改良案として、前記第1導体板は2つ設置され、2つの第1導体板のそれぞれの中心軸線および第2導体板の中心軸線が同一平面にある。
【0010】
上記の技術案の更なる改良案として、前記第2導体板の幅方向とジャック内導体の幅方向とが互いに垂直である。
【0011】
上記の技術案の更なる改良案として、前記固定プラグは、ジャック内導体の外部に環装される絶縁管体を備え、前記絶縁管体の中間段の外部に複数の弾性片が設けられ、前記弾性片のテール端と絶縁管体とが一体に接続され、前記弾性片のヘッド端と絶縁管体の外側壁との間に間隔が設けられ、前記弾性片の長手方向と絶縁管体の長手方向とがなす夾角αが鋭角であり、前記絶縁管体の後段に複数の凸出板が設置され、前記弾性片のヘッド端が弾性片のテール端と凸出板のヘッド端との間に設置され、前記凸出板のテール端の外側に凸出ブロックが設けられ、前記凸出ブロックの前端と凸出板のヘッド端との間に距離があり、前記固定ジャックのヘッド端に高周波ジャックを取り付けるための孔通路が設けられ、前記孔通路が、凸出ブロックが出入りするための第1取付孔と、凸出板が出入りするための第2取付孔と、弾性片と係合するための第3取付孔とを含み、前記固定ジャックのテール端に第4取付孔が設けられ、前記第2取付孔が第1取付孔と第3取付孔との間に設けられ、前記第3取付孔と第4取付孔とが連通し、前記第1取付孔の孔径が第2取付孔の孔径より大きく、前記第3取付孔の孔径が第2取付孔の孔径より大きい。
【0012】
上記の技術案の更なる改良案として、αの値は、6°≦α≦30°を満たす。
【0013】
上記の技術案の更なる改良案として、前記凸出ブロックが2つ設けられ、前記凸出板が2つ設けられ、前記弾性片が2つ設けられ、2つの凸出ブロックが位置する平面と2つの凸出板が位置する平面とが同一平面であり、2つの凸出板が位置する平面と2つの弾性片が位置する平面とが同一平面である。
【0014】
上記の技術案の更なる改良案として、前記第1導体板が少なくとも3つ設置され、前記第1導体板がプラグハウジングの内部に対称に設置される。
【0015】
耐障害性の高い高周波同軸コネクタアッセンブリは、前記耐障害性の高い高周波同軸コネクタを複数備え、前記耐障害性の高い高周波同軸コネクタがアレイに配列される。
【0016】
本発明の有益効果は、下記の通りである。
【0017】
(1)1つの前記高周波同軸コネクタにおける高周波プラグと高周波ジャックとの挿着を行うとき、高周波プラグと高周波ジャックとの挿着が不完全であっても、該高周波プラグと高周波ジャックとの実際の挿着位置と、高周波プラグと高周波ジャックとの完全挿着位置との間の誤差が3mm以内にあり、前記高周波プラグと高周波ジャックとの間のインピーダンスの変化が小さく、信号伝送がほとんど干渉されなく、前記高周波同軸コネクタの耐障害性が高く、大規模の同期応用に適する。
【0018】
(2)複数の前記高周波同軸コネクタからなる高周波同軸コネクタアッセンブリに対して挿脱作業を行うとき、不完全に挿着している高周波プラグおよび高周波ジャックがあっても、挿着誤差が3mm以内にあれば問題がなく、高周波同軸コネクタアッセンブリの挿脱、テストなどの操作の難易度を著しく低減させることができ、作業効率を効果的に向上させることができ、したがって、該高周波同軸コネクタアッセンブリは、電子情報などのハイテク分野において、広く応用できる見通しが明るく、重要な応用価値がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1による1つの耐障害性の高い高周波同軸コネクタの模式的構成図である。
【
図2】本発明の実施例1による高周波プラグと高周波ジャックとの接続を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施例1による高周波プラグの模式的構成図である。
【
図4】本発明の実施例1による高周波プラグの模式的構成図である(正面視状態)。
【
図5】本発明の実施例1による高周波ジャックの模式的構成図である。
【
図6】本発明の実施例1による第1導体板、第2導体板および高周波ジャックの接続を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施例1による高周波プラグと高周波ジャックとの挿着された状態の模式図である。
【
図8】本発明の実施例1による固定アッセンブリの模式的構成図である。
【
図9】本発明の実施例1による固定プラグと高周波ジャックとの接続された状態の内部模式図である
【
図10】本発明の実施例1による固定ジャックの模式的構成図である。
【
図11】本発明の実施例1によるジャック内導体と固定プラグとの接続を示す模式図である。
【
図12】本発明の実施例1による高周波ジャックと固定プラグとの接続を示す模式図である。
【
図13】本発明の実施例2による高周波プラグの模式的構成図である(正面視状態)。
【
図14】本発明の実施例3による耐障害性の高い高周波同軸コネクタアッセンブリの模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、技術案および利点をより明瞭にするため、以下、図面および実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0021】
本発明の説明において、特に断りがない限り、「複数」は、2つまたは2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」、「前端」、「後端」、「ヘッド端」、「テール部」等の用語で表される方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を簡単および簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ず特定の方向を有したり、特定の方向に構成されたり、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものではないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示又は暗示するものではないと理解すべきである。
【0022】
本発明の説明において、明確な定義や限定がない限り、用語の「取付」、「連係」、「接続」を、広義に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者は、本発明における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0023】
図1に示すように、上記の耐障害性の高い高周波同軸コネクタは、高周波プラグ10と、高周波プラグ10と同軸に設置する高周波ジャック50と、高周波ジャック50を固定するための固定アッセンブリとを備える。前記高周波プラグ10と高周波ジャック50とが挿着の方式で着脱可能に接続する。前記高周波プラグ10と高周波ジャック50との間の挿着構造が等間隔に設置される。前記固定アッセンブリは、固定プラグ30と柱状固定ジャック20とを含み、前記固定プラグ30と固定ジャック20との間に高周波ジャック50をロックするためのロック構造が設置される。
【0024】
図1~7に示すように、前記高周波プラグ10は、管状プラグ外導体1を備え、前記プラグ外導体1の内部において、プラグ外導体1の軸方向に沿って複数の第1導体板2が設置され、前記第1導体板2が板状導体であり、前記第1導体板2の内側辺とプラグ外導体1とが一体に接続され、前記第1導体板2の外側辺がプラグ外導体1の内部に設けられ、前記第1導体板2の内側辺が、第1導体板2における、プラグ外導体1と接続する側であり、前記第1導体板2の外側辺が、第1導体板2における、内側辺と対向する側である。前記プラグ外導体1の中心軸の箇所に第2導体板3が固定設置され、第2導体板3も板状導体である。前記第2導体板3とプラグ外導体1とが同軸に設置され、前記第2導体板3がプラグ外導体1の内部に設置され、前記第2導体板3の外側壁とプラグ外導体1の内側壁との間に隙間が設けられる。前記高周波ジャック50は、管状ジャックハウジング5を備える。前記ジャックハウジング5の前端に第1導体板2と合わせる第1挿着溝51が設けられ、前記ジャックハウジング5の中心軸の箇所に音叉状ジャック内導体6が設置され、前記音叉状がY字形構造に近似し、前記ジャック内導体6のヘッド端に、第2導体板3と合わせるU字形の第2挿着溝61が設けられる。
【0025】
図6および
図7に示すように、高周波プラグ10と高周波ジャック50とを挿着するとき、すなわち、高周波プラグ10の前端を高周波ジャック50の前端に挿入するとき、第1導体板2が第1挿着溝51に挿入されるとともに、第2導体板3が音叉状ジャック内導体6におけるU字形の第2挿着溝61に挿入され、ジャックハウジング5の前端がプラグ内導体4に挿入される。上記の過程において、前記ジャックハウジング5が外導体であり、ジャックハウジング5とプラグ内導体4とが接触して電気的に接続し、第1導体板2とジャックハウジング5とが接触して電気的に接続し、第1導体板2とプラグ内導体4とが電気的に接続されるため、プラグ内導体4、ジャックハウジング5および第1導体板2が互いに電気的に接続する。第2導体板3がプラグ内導体4の内部に固定して取り付けられ、第2導体板3とプラグ内導体4とが接触しておらず、第2導体板3とジャック内導体6とが電気的に接続し、ジャック内導体6が絶縁柱7でジャックハウジング5と隔てられている。したがって、第2導体板3とジャック内導体6とが電気的に接続して平行板コンデンサにおける第1の平行板を構成し、ジャックハウジング5と、第1導体板2と、プラグ内導体4とが電気的に接続して平行板コンデンサにおける第2の平行板を構成する。平行板コンデンサの公式によれば、容量Cと極板の対向面積Sと極板間距離dとの関係は、容量CとSとが正比例し、容量Cとdとが反比例している。高周波プラグ10と高周波ジャック50との接して挿着する過程において、高周波プラグ10と高周波ジャック50との完全な挿着は、第2導体板3の端部が第2挿着溝61の底部まで挿入されたことを基準にする。挿着が不完全な場合、すなわち、第2導体板3の端部が第2挿着溝61の底部に接触していない場合、接触が不完全で、第2導体板3の端部と第2挿着溝61の底部との間に隙間があるとしても、該隙間が3mm以下であれば、第2導体板3とジャック内導体6との互いに合わせる構造、ジャックハウジング5と第1導体板2とプラグ内導体4との互いに合わせる構造に、ジャックハウジング5およびプラグ内導体4が円筒状のものであり、前記第2導体板3の幅方向とジャック内導体6の幅方向とが互いに垂直であることにより、第2導体板3がジャック内導体6における第2挿着溝61に挿入されたあと、第2導体板3とジャック内導体6の、第2導体板3の軸方向またはジャック内導体6の軸方向に沿う投影が十字状を呈し、つまり、第1の平行板と第2の平行板からなる平行板コンデンサCにおいて、第1導体板2、第2導体板3、ジャック内導体6と、ジャックハウジング5およびプラグ内導体4の間が等間隔に設置される状態になっているため、極板の対向面積Sが常に一定であり、極板間距離dが第2導体板3とジャック内導体6とからなる十字状構造によって決められ、該構造における第2導体板3とジャック内導体6との間の極板間距離dの変化が小さく、容量Cの変化が非常に小さく、したがって、前記高周波プラグ10と高周波ジャック50との間のインピーダンスの変化が大きくなく、信号伝送損失が小さい。
【0026】
さらに、挿着を容易にするため、前記プラグ内導体4の前端の内壁に内テーパ面構造が設けられ、前記ジャックハウジング5の前端の内壁に外テーパ面構造が設けられる。前記プラグ内導体4の前端は、高周波プラグ10と挿着する端であり、同様に、前記ジャックハウジング5の前端は、高周波ジャック50と挿着する端である。
【0027】
さらに、挿着を容易にするため、前記第2導体板3と第2挿着溝61とが隙間ばめではめ合う。前記第1導体板2と第1挿着溝51とが隙間ばめではめ合う。
【0028】
さらに、前記ジャックハウジング5の前端とプラグ内導体4の前端とが締まりばめではめ合う。
【0029】
本実施例において、前記第1導体板2が2つ設置され、2つの第1導体板2のそれぞれの中心軸線および第2導体板3の中心軸線が同一平面にある。同様に、第1導体板2と第1挿着溝51とが一対一で対応し、第2導体板3と第2挿着溝61とが一対一で対応するため、第1挿着溝51が2つ設置され、2つの第1挿着溝51のそれぞれの中心軸線および第2挿着溝61の中心軸線が同一平面にある。上記の設置により、一方、高周波プラグ10と高周波ジャック50との挿着がより容易になり、他方、極板間距離dの変化をさらに減少させることに寄与できる。
【0030】
図1、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12に示すように、前記固定プラグ30は、ジャック内導体6の外部に環装される絶縁管体31を備え、前記絶縁管体31がジャック内導体6と固定接続され、前記絶縁管体31の中間段の外部に複数の弾性片34が設けられ、前記弾性片34のテール端と絶縁管体31とが一体に接続され、前記弾性片34のヘッド端と絶縁管体31の外側壁との間に間隔が設けられ、前記弾性片34の長手方向と絶縁管体31の長手方向とがなす夾角αが鋭角であり、前記絶縁管体31の後段に複数の凸出板32が設置され、前記弾性片34のヘッド端が弾性片34のテール端と凸出板32のヘッド端との間に設置され、前記凸出板32のテール端の外側に凸出ブロック33が設けられ、前記凸出ブロック33の前端と凸出板32のヘッド端との間に距離があり、前記凸出ブロック33と凸出板32とがL字形の階段構造を形成する。前記固定ジャック20のヘッド端に高周波ジャック50を取り付けるための少なくとも1つの孔通路が設けられる。前記孔通路は、凸出ブロック33、凸出板32及び絶縁管体31が出入りするための第1取付孔21と、凸出板32および絶縁管体31が出入りするための第2取付孔22と、弾性片34と係合するための第3取付孔23とを含む。第1取付孔21、第2取付孔22および第3取付孔23が同軸に設けられるとともに互いに連通している。前記固定ジャック2のテール端に1つの第4取付孔24が設けられる。孔通路が複数設けられる場合、複数の孔通路がいずれも第4取付孔24と連通する。前記第2取付孔22が第1取付孔21と第3取付孔23との間に設けられ、前記第3取付孔23と第4取付孔24とが連通し、前記第1取付孔21の孔径が第2取付孔22の孔径より大きく、前記第3取付孔23の孔径が第2取付孔22の孔径より大きい。
【0031】
前記絶縁管体31、凸出板32、凸出ブロック33および弾性片34がいずれも絶縁プラスチックにより一体成形される。固定プラグ3が絶縁材料により作製されることにより、ジャック内導体6での漏電、または他の電気機器との電気的な接続による信号伝送への影響を防止することができる。前記第1取付孔21の孔径と第3取付孔23の孔径とが等しい。
【0032】
本実施例において、固定プラグ3と高周波ジャック50とが固定接続され、固定プラグ3を固定ジャック2に挿入する過程において、高周波ジャック50の前端が順に第1取付孔21、第2取付孔22、第3取付孔23および第4取付孔24を通り、さらに、前記第4取付孔24の孔径が第3取付孔23の孔径より大きいため、第4取付孔24の孔径が十分大きくて、その後の高周波ジャック50と高周波プラグ10との挿着に寄与できる。高周波ジャック50の前端が順に第1取付孔21、第2取付孔22、第3取付孔23および第4取付孔24を通る過程において、前記弾性片34も順に第1取付孔21、第2取付孔22および第3取付孔23を通る。本実施例において、弾性片34が外力の作用を受けたとき、αの値が12°であり、弾性片34のヘッド端が第1取付孔21を通る過程において、第1取付孔21の孔壁による押圧を受けることがない。弾性片34のヘッド端が第2取付孔22を通る過程において、弾性片34のヘッド端が第2取付孔22の孔壁ヘッド端により押圧され、弾性片34のヘッド端と絶縁管体31の外側壁との間の距離が小さくなり、αの値が6°に小さくなる。弾性片34が最後に第3取付孔23の内部に進入し、第3取付孔23の孔径が第2取付孔22の孔径より大きいため、拘束される弾性片34が開き、これによって、前記弾性片34のヘッド端が第3取付孔23の孔壁にしっかりと当接し、このとき、αの値が8°になる。さらに、前記αの値は、6°≦α≦30°を満たす。αが過大になってはならなく、過大になれば、弾性片34の前進時の抵抗が大幅に増大し、αが過小になってはならなく、過小になれば、弾性片34が、第3取付孔23の孔壁としっかりと当接できるほど十分な弾力を提供できない。また、第2取付孔22と第3取付孔23との境目が位置する平面と弾性片34のヘッド端端面とが互いに平行であり、これによって、弾性片34のヘッド端が第2取付孔22と第3取付孔23との境目の階段にしっかりと当接することができる。上記の構造は、後退止めの役割を果たすことができ、高周波ジャック50と高周波プラグ10との挿着作業が完成したあと、高周波ジャック50と高周波プラグ10との分離を効果的に防止することができ、したがって、高周波ジャック50と高周波プラグ10とが常に完全挿着状態に保たれることを保証することができる。
【0033】
前記第1取付孔21の孔径が第2取付孔22の孔径より大きく、前記第3取付孔23の孔径が第2取付孔22の孔径より大きく、第1取付孔21、第2取付孔22および第3取付孔23が同軸に設けられるため、第2取付孔22のところで突起構造221が形成され、該突起構造221が第1取付孔21と第3取付孔23との間に位置する。固定プラグ3と固定ジャック2とが完全に挿着されたあと、突起構造221の前に弾性片34があり、突起構造221の後ろに凸出ブロック33があり、突起構造221がちょうど凸出ブロック33と弾性片34との間に挟まれ、突起構造221により、凸出ブロック33がさらに進むことができないように止められ、弾性片34が突起構造221にしっかりと当接し、突起構造221が位置制限の役割を果たし、これによって、固定プラグ3と固定ジャック2との完全挿着を保証し、挿着状態の固定プラグ3と固定ジャック2とが分離しにくく、ロック状態となる。
【0034】
さらに、凸出ブロック33と凸出板32との一体成形を容易にするため、前記凸出ブロック33の後端面と凸出板32のテール端端面とが揃えるように構成される。
【0035】
さらに、前記凸出ブロック33が2つ設けられ、前記凸出板32が2つ設けられ、前記弾性片34が2つ設けられ、2つの凸出ブロック33が位置する平面と2つの凸出板32が位置する平面とが同一平面であり、2つの凸出板32が位置する平面と2つの弾性片34が位置する平面とが同一平面である。凸出ブロック33、凸出板32および弾性片34をそれぞれ2つ設けることは、生産コストを低減するためであり、また、同一平面に配置することは、挿着の難易度を低減するためである。
【0036】
実施例2
【0037】
図13に示すように、本実施例は、前記第1導体板2が4つ設置され、前記第1導体板2がプラグハウジング1の内部に対称に設置され、そして、第1導体板2と一対一で対応する第1挿着溝51も4つ設けられることにおいて実施例1と相違している。
【0038】
実施例3
【0039】
図14に示すように、耐障害性の高い高周波同軸コネクタアッセンブリは、実施例1または実施例2による耐障害性の高い高周波同軸コネクタを複数備え、前記耐障害性の高い高周波同軸コネクタがアレイに配列される。
【0040】
上記の実施例において、高周波プラグ10と高周波ジャック50とを挿着するとき、高周波プラグ10の挿着構造と高周波ジャック50との間の挿着構造が等間隔に設置され、前記高周波プラグ10と高周波ジャック50との間の挿着構造が第1導体板2、第2導体板3、プラグ内導体4、ジャック内導体6、第2挿着溝61および第1挿着溝51などにより構成されるため、高周波プラグ10と高周波ジャック50との挿着が不完全であっても、例えば、本発明による高周波プラグ10と高周波ジャック50との実際の挿着位置と、高周波プラグ10と高周波ジャック50との完全挿着位置との間の誤差が3mmに達しても、前記高周波プラグ10と高周波ジャック50との間のインピーダンスが50±0.5Ωであり、つまり、本発明による高周波プラグ10と高周波ジャック50との実際の挿着位置と、高周波プラグ10と高周波ジャック50との完全挿着位置との間の誤差が0~3mmであり、この場合、前記高周波プラグ10と高周波ジャック50との間のインピーダンスの変化が±0.5Ωであり、インピーダンスの変化が非常に小さく、干渉を著しく減少させることができる。したがって、本発明による高周波同軸コネクタを大規模応用して高周波同軸コネクタアッセンブリにした場合、高周波同軸コネクタアッセンブリにより挿着操作を実行するとき、いくつかの高周波同軸コネクタにおける高周波プラグ10と高周波ジャック50とが不完全に挿着される現象があっても、誤差が3mm以内にあれば、インピーダンスの変化が非常に小さく、信号伝送がほとんど干渉されない。このため、その後の複数回のテスト、調整、再挿着などの操作が不要になり、操作が容易であるとともに、信号伝送の損失になりにくい。本発明による高周波同軸コネクタは、電子情報などのハイテク分野において、広く応用できる見通しが明るく、重要な応用価値がある。
【0041】
前記固定アッセンブリは、構造が簡単で、使用が容易であり、固定プラグ3と固定ジャック2とが挿着されたあと、固定プラグ3と固定ジャック2とが、ロック状態となり、分離しにくく、確実に挿着される。高周波ジャック50と高周波プラグ10との挿着作業が完成したあと、高周波ジャック50と高周波プラグ10との分離を効果的に防止することができ、したがって、高周波ジャック50と高周波プラグ10とが常に完全挿着状態に保たれることを保証することができる。
【0042】
挿着された固定プラグ3と固定ジャック2とを分離させるには、第3取付孔23および弾性片34と合わせるスリーブを利用する。該スリーブを第3取付孔23に挿入してαの値を減少させるように弾性片34を強制的に拘束することにより、弾性片34を、第2取付孔22を再び通ることができるようにする。
【0043】
前記固定プラグ30と固定ジャック20との間の、高周波ジャック50をロックするためのロック構造は、凸出板32、凸出ブロック33、弾性片34、第3取付孔23および突起構造221などにより構成される。固定アッセンブリの固定により、高周波ジャック50と固定ジャック20とを分離しにくいようにし、高周波ジャック50と高周波プラグ10との挿着が完成したあと、位置ずれが発生しにくい。
【0044】
上記の記載は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。本発明の本質及び主旨から逸脱しない限り、すべての変更、均等置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に属する。