(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】発光装置及び封止部
(51)【国際特許分類】
H10K 50/842 20230101AFI20230427BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20230427BHJP
【FI】
H10K50/842
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2022505067
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004528
(87)【国際公開番号】W WO2021176955
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2020037470
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真滋
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0062160(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118230(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117502(US,A1)
【文献】特開2017-037172(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198978(WO,A1)
【文献】特開2004-085769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/842
H10K 77/10
H01L 51/50 - 51/56
H05B 33/04
H05B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置する発光部と、
前記発光部を封止しており、基板部と、前記基板部から前記基板に向けて突出し、前記基板部の厚さ方向から見て枠形状を有し、かつ接着層を介して前記基板に接着された凸部と、を有する封止部と、
を備え、
前記基板部の厚さ方向から見て、前記凸部の外側壁は、前記枠形状の角に位置し、かつ前記基板部の外縁に対して前記凸部の内側壁に向けて凹んだ凹部を有している、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記接着層は、前記凸部の前記外側壁のうち前記凹部が設けられている部分の少なくとも一部分を覆っている、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記凸部のうち前記凹部が設けられた前記角は、前記基板のうち前記発光部に接続された端子が配置された領域側に位置している、発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、
前記基板部の前記厚さ方向から見て、前記凸部の前記外側壁は、前記枠形状の他の角であって前記基板のうち前記発光部に接続された端子が配置された領域の反対側に位置する角に位置し、前記基板部の前記外縁に揃った部分を有している、発光装置。
【請求項5】
基板部と、
前記基板部から前記基板部の厚さ方向に突出し、前記基板部の前記厚さ方向から見て枠形状を有する凸部と、
を備え、
前記基板部の前記厚さ方向から見て、前記凸部の外側壁は、前記枠形状の角に位置し、かつ前記凸部の内側壁側に向けて凹んだ凹部を有している、封止部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び封止部に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の発光部を有する発光装置は、発光部を封止するための封止部を備えていることがある。
【0003】
特許文献1には、基板部と、基板部から発光装置の基板に向けて突出した凸部と、を有する封止部について記載されている。この凸部は、基板部の厚さ方向から見て枠形状を有しており、接着層を介して発光装置の基板に接着されている。封止部の基板部及び発光装置の基板は、割断によって切り出されている。特許文献1では、割断に際して割断ラインが接着層と重ならないように、凸部の外側壁が上記枠形状の全周に亘って基板部の外縁の内側に位置し、かつ接着層が凸部の外側壁を覆わないように凸部の上面のみに設けられている。
【0004】
特許文献2には、基板と封止部との接着性を向上させるため、封止部の外縁を接着層によって覆うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-202722号公報
【文献】特開2012-252827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているように割断によって封止部の基板部及び発光装置の基板を切り出す場合、基板と封止部との接着性を向上させるためには特許文献2に記載されているように封止部の凸部の外側壁を接着層によって覆うことが好ましい。しかしながら、封止部の凸部の外側壁が接着層によって覆われるように、封止部の基板部のサイズを維持したまま、封止部の凸部の外側壁を当該凸部の枠形状の全周に亘って封止部の基板部の外縁よりも内側に位置させると、凸部の幅が狭くなり、封止部の封止性能が低下し得る。また、凸部の幅を維持したまま、封止部の基板部の外縁を外側に広げることで封止部の凸部の外側壁を当該凸部の枠形状の全周に亘って封止部の基板部の外縁よりも内側に位置させると、封止部の基板部のサイズが大きくなり、封止部のコストが増加し得る。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、封止部の封止性能の低下及び封止部のコストの増加を抑制しつつ基板と封止部との接着性を高いものにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
基板と、
前記基板上に位置する発光部と、
前記発光部を封止しており、基板部と、前記基板部から前記基板に向けて突出し、前記基板部の厚さ方向から見て枠形状を有し、かつ接着層を介して前記基板に接着された凸部と、を有する封止部と、
を備え、
前記基板部の厚さ方向から見て、前記凸部の外側壁は、前記枠形状の角に位置し、かつ前記基板部の外縁に対して前記凸部の内側壁に向けて凹んだ凹部を有している、発光装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、
基板部と、
前記基板部から前記基板部の厚さ方向に突出し、前記基板部の前記厚さ方向から見て枠形状を有する凸部と、
を備え、
前記基板部の前記厚さ方向から見て、前記凸部の外側壁は、前記枠形状の角に位置し、かつ前記凸部の内側壁側に向けて凹んだ凹部を有している、封止部である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】
図1から
図4に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において「AがB上に位置する」という表現は、例えば、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがB上に直接位置することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後ろ」等の向きを示す表現は、基本的に図面の向きと合わせて用いるものであって、例えば本明細書に記載された発明品の使用する向きに限定して解釈されるものではない。
【0012】
本明細書において「凸」という表現は、特に断らない限り、ある面から出ばっている態様のことを意味し、当該態様を限定するために使用されない。例えば、凸の一様態は、ある面から単に真っ直ぐに出ばっている。別の一態様は、ある面から湾曲しながら出ばっている。
【0013】
本明細書において「A及びBが重なる」という表現は、特に断らない限り、ある方向からの投影像において、Aの少なくとも一部がBの少なくとも一部と同じ場所にあることを意味する。このとき複数の要素同士は直接接していてもよいし、又は離間していてもよい。
【0014】
本明細書において「Aの外側」という表現は、特に断らない限り、Aの縁を境にAが位置しない側の部分のことを意味する。
【0015】
本明細書中における陽極とは、発光材料を含む層(例えば有機層)に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは、発光材料を含む層に電子を注入する電極のことを示す。また、「陽極」及び「陰極」という表現は、「正孔注入電極」及び「電子注入電極」又は「正極」及び「負極」等の他の文言を意味することもある。
【0016】
本明細書における「発光装置」とは、ディスプレイや照明等の発光素子を有するデバイスを含む。また、発光素子と直接的、間接的又は電気的に接続された配線、IC(集積回路)又は筐体等も「発光装置」に含む場合もある。
【0017】
本明細書において「接続」とは、複数の要素が直接的又は間接的を問わずに接続している状態を表す。例えば、複数の要素の間に接着剤又は接合部材が介して接続している場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。また、複数の要素の間に、電流、電圧又は電位を供給可能又は伝送可能な部材が存在しており、「複数の要素が電気的に接続している」場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。
【0018】
本明細書において、特に断りがない限り「第1、第2、A、B、(a)、(b)」等の表現は要素を区別するためのものであり、その表現により該当要素の本質、順番、順序又は個数等が限定されるものではない。
【0019】
本明細書において、各部材及び各要素は単数であってもよいし、又は複数であってもよい。ただし、文脈上、「単数」又は「複数」が明確になっている場合はこれに限らない。
【0020】
本明細書において、「AがBを含む」という表現は、特に断らない限り、AがBのみによって構成されていることに限定されず、AがB以外の要素によって構成され得ることを意味する。
【0021】
本明細書において「断面」とは、特に断らない限り、発光装置を画素や発光材料等が積層した方向に切断したときに現れる面を意味する。
【0022】
本明細書において「有さない」、「含まない」、「位置しない」等の表現は、ある要素が完全に排除されていることを意味してもよいし、又はある要素が技術的な効果を有さない程度に存在していることを意味してもよい。
【0023】
本明細書において、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」等の時間的前後関係を説明する表現は、相対的な時間関係を表しているものであり、時間的前後関係が用いられた各要素が必ずしも連続しているとは限らない。各要素が連続していることを表現する場合、「直ちに」又は「直接」等の表現を用いることがある。
【0024】
本明細書において、「実質的に平行」という表現は、特に断らない限り、技術的効果を有する程度に斜めになっている状態も含む。例えば、二つの要素A及びBが-10°以上10°以下の角度で位置されている状態で、-10°以上10°以下の角度において臨界的な技術的効果を有さない場合は「A及びBは実質的に平行」と表現する。製造上の誤差により2つの要素A及びBが-10°以上10°以下の角度で位置されている状態も「A及びBは実質的に平行」と表現する。「平行」という表現は、二つの要素が数学的な意味で平行であることを意味する。
【0025】
本明細書において「AがBを覆う」という表現は、特に断らない限り、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがBに接触することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0027】
図1は、実施形態に係る発光装置10の平面図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
図3は、
図1のB-B断面図である。
図4は、
図1のC-C断面図である。
【0028】
図1及び
図4を用いて、発光装置10の概要を説明する。発光装置10は、基板100、発光部140及び封止部200を備えている。発光部140は、基板100上に位置している。封止部200は、発光部140を封止している。封止部200は、基板部210及び凸部220を有している。凸部220は、基板部210から基板100に向けて突出している。また、基板部210の厚さ方向から見て、凸部220は、枠形状を有している。また、凸部220は、接着層300を介して基板100に接着されている。凸部220の外側壁226は、凹部222を有している。凸部220の外側壁226の凹部222は、凸部220の上記枠形状の角に位置している。また、凸部220の外側壁226の凹部222は、基板部210の外縁216に対して凸部220の内側壁228に向けて凹んでいる。
【0029】
本実施形態によれば、凹部222が設けられている部分を除いて、凸部220の外側壁226を基板部210の外縁216よりも内側に位置させる必要がない。したがって、封止部200の基板部210のサイズを本実施形態に係るサイズと同じサイズに維持したまま、封止部200の凸部220の外側壁226を上記枠形状の全周に亘って封止部200の基板部210の外縁216よりも内側に位置させた場合と比較して、凹部222が設けられている部分を除いて、凸部220の幅を広くすることができ、封止部200の封止性能の低下を抑制することができる。また、凸部220の幅を本実施形態に係る幅と同じ幅に維持したまま、基板部210の外縁216を外側に広げることで封止部200の凸部220の外側壁226を上記枠形状の全周に亘って基板部210の外縁216よりも内側に位置させた場合と比較して、封止部200の基板部210のサイズを小さくすることができ、封止部200のコストの増加を抑制することができる。
【0030】
また、本発明者が検討したところ、封止部200は、上記枠形状の角において基板100から剥がれやすいことが明らかとなった。本実施形態によれば、
図4に示すように、接着層300は、凸部220の外側壁226のうち凹部222が設けられている部分の少なくとも一部分を覆うようにすることができる。したがって、接着層300が凸部220の外側壁226を覆っていない場合と比較して、基板100と封止部200との接着性を高いものにすることができる。
【0031】
図1から
図4を用いて、発光装置10の詳細を説明する。
【0032】
基板100は、単層であってもよいし、又は複数層であってもよい。基板100の厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下である。基板100は、第1面102及び第2面104を有している。発光部140、端子160(詳細は後述する)、封止部200及び接着層300は、基板100の第1面102上に位置している。第2面104は、第1面102の反対側にある。基板100は、例えば、ガラス基板である。基板100は、有機材料(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)又はポリイミド)を含む樹脂基板であってもよい。基板100が樹脂基板である場合、基板100の第1面102及び第2面104の少なくとも一方上には、無機バリア層(例えば、SiN又はSiON)が位置していてもよい。
【0033】
基板100の厚さ方向から見て、基板100は、矩形形状を有している。具体的には、基板100の辺106は、第1辺106a、第2辺106b、第3辺106c及び第4辺106dを有している。第1辺106a及び第2辺106bは、実質的に平行に延伸している。第3辺106c及び第4辺106dは、実質的に平行に、かつ第1辺106a又は第2辺106bの延伸方向と交差する方向に延伸している。
【0034】
発光部140は、有機EL素子を含んでいる。有機EL素子、すなわち、発光部140は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間の有機層と、を有している。陽極、有機層及び陰極は、基板100の第1面102上に位置しており、基板100の第1面102側から順に積層されている。有機層は、陽極から陰極に向けて、例えば、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を順に含んでいる。しかしながら、有機層に含まれる層の構造は、ここで説明した例に限定されない。
【0035】
発光部140は、ボトムエミッションとなっている。すなわち、発光部140から発せられた光は、基板100を透過して、基板100の第2面104側から発光装置10の外側に向けて照射される。しかしながら、発光部140は、トップエミッションであってもよい。また、発光部140から発せられた光は、基板100の第1面102側及び基板100の第2面104側の双方から照射されてもよい。
【0036】
図1に示すように、発光装置10は、発光領域142及び端子エリア162を備えている。発光領域142及び端子エリア162は、基板100の第1辺106a又は第2辺106bの延伸方向に沿って並んでいる。また、端子エリア162は、発光領域142及び封止部200に対して、基板100の第3辺106c側に位置している。
【0037】
発光領域142は、少なくとも1つの発光部140を有している。基板100の厚さ方向から見て、発光領域142は、封止部200の凸部220の内側壁228によって囲まれた領域内に位置している。本実施形態において、発光領域142は、マトリクス状に並べられた複数の発光部140を有している。したがって、発光装置10は、発光ディスプレイとなっている。例えば、ストライプ状に並んだ複数の陽極と、ストライプ状に並んだ複数の陰極とが交差している。この場合、これらの陽極と陰極との交差部が、画素、すなわち、発光部140となる。しかしながら、発光領域142に設けられる少なくとも1つの発光部140の態様は、本実施形態に係る態様に限定されない。
【0038】
端子エリア162には、少なくとも1つの端子160が配置されている。端子160は、発光部140に電気的に接続されている。具体的には、端子エリア162は、発光領域142内の複数の陽極にそれぞれ接続された複数の端子160と、発光領域142内の複数の陰極にそれぞれ接続された複数の端子160と、を有している。本実施形態では、発光領域142の一方側のみ、すなわち、基板100の第3辺106c側のみに端子160が設けられており、発光領域142の他方側、すなわち、基板100の第4辺106d側には端子160が設けられていない。
【0039】
端子エリア162には、様々な場合、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)等の配線部材を端子エリア162内の端子160に接続させる場合や、チップ等の電子部品を端子エリア162に搭載する場合、発光装置10を持ち運ぶ作業者が端子エリア162に指をかける場合において、基板100の厚さ方向に沿って力が加わりやすい。封止部200は、基板100の厚さ方向に沿って力が加わった場合において基板100から剥がれやすい。本実施形態では、封止部200の凸部220の上記枠形状の4つの角のうち端子エリア162側の2つの角には凹部222が設けられている。したがって、当該2つの角に凹部222が設けられていない場合と比較して、封止部200の基板100からの剥がれを抑制することができる。これに対して、封止部200の凸部220の上記枠形状の4つの角のうち端子エリア162の反対側、すなわち、基板100の第4辺106d側の2つの角には凹部222が設けられていない。言い換えると、基板部210の厚さ方向から見て、凸部220の外側壁226は、端子エリア162の反対側に位置する角に位置し、基板部210の外縁216に揃った部分を有している。当該角には基板100の厚さ方向に沿った力が基板100に加わりにくい。このため、当該角に凹部222を設けなくても、基板100と封止部200との接着性に大きな影響はない。また、当該角に凹部222を設けなくて済む分だけ、封止部200の製造コストを低減することができる。
【0040】
なお、凹部222は、凸部220の上記枠形状の4つの角のうちの端子エリア162側の2つの角の双方に設けられていなくてもよい。例えば、凹部222は、凸部220の上記枠形状の4つの角のうちの端子エリア162側の2つの角の一方のみに設けられていてもよい。
【0041】
封止部200は、例えばガラスから形成されている。この例において、ガラスを加工することで、封止部200の基板部210及び凸部220を形成することができる。封止部200の基板部210は、第3面212及び第4面214を有している。封止部200は、基板部210の第3面212が基板100の第1面102と対向するように、接着層300を介して基板100に接着されている。基板部210の第4面214は、基板部210の第3面212の反対側にある。封止部200の凸部220は、基板部210、具体的には基板部210の第3面212から基板部210の厚さ方向に基板100に向けて突出している。
【0042】
例えば
図2及び
図3に示すように、封止部200のうち凹部222が設けられていない部分では、基板部210の外縁216及び凸部220の外側壁226は、実質的に面一となっている。したがって、この部分では凹部222を設けなくて済む分だけ、封止部200の製造コストを低減することができる。
【0043】
また、例えば
図2及び
図4に示すように、封止部200の基板部210の外縁216のうち基板100の第1辺106a、第2辺106b又は第4辺106dと重なる部分では、封止部200の基板部210の外縁216及び基板100の辺106は、実質的に面一となっている。これは、基板100の第1辺106a、第2辺106b及び第4辺106dと、封止部200の基板部210の外縁216のうち基板100の第1辺106a、第2辺106b及び第4辺106dと重なる部分とは、スクライブによって同時に割断されるためである。また、当該部分では、接着層300は、封止部200の基板部210の外縁216及び基板100の辺106の内側に位置している。したがって、割断ラインが接着層300と重ならないようにすることができる。
【0044】
本実施形態では、例えば
図2から
図4に示すように、接着層300は、凸部220の内側壁228の少なくとも一部分を覆っている。なお、接着層300は、凸部220の内側壁228を覆っていなくてもよい。
【0045】
図5は、
図1から
図4に示した発光装置10の製造方法の一例を説明するための図である。
【0046】
まず、基板100となる第1基材100Aを準備する。発光部140及び端子160を形成することで、第1基材100A上に複数の発光領域142及び複数の端子エリア162が設けられる。
【0047】
また、封止部200となる第2基材200Aを準備する。第2基材200Aのうち封止部200の第4面214となる面の反対側には複数の凹部が形成されている。各凹部は、内側壁228を内側面として有している。また、第2基材200Aのうち封止部200の端子エリア162側の角となる部分には凹部222が形成されている。また、第2基材200Aのうち端子エリア162と重なる領域は、予め取り除かれている。なお、第2基材200Aのうち端子エリア162と重なる領域は、後述するように、接着層300を介して第1基材100A及び第2基材200Aを重ねて第1基材100A及び第2基材200Aが接着層300を介して接着された後で、取り除かれてもよい。
【0048】
次いで、
図5に示すように、接着層300を介して第1基材100A及び第2基材200Aを重ねて、第1基材100A及び第2基材200Aが接着層300を介して接着される。次いで、スクライバを用いて、
図5において一点鎖線で示される割断ラインLに沿ってスクライブラインを形成する。次いで、第1基材100A及び第2基材200Aを、スクライブライン、すなわち割断ラインLに沿って割断し、複数の基板100及び複数の封止部200が切り出される。第1基材100Aのうち割断ラインLに沿って切り出された辺が、第1辺106a、第2辺106b及び第4辺106dとなる。この工程において、接着層300は、割断が妨げられないように、割断ラインLと重ならないように配置されている。
【0049】
このようにして、
図1から
図4に示した発光装置10が製造される。
【0050】
(変形例)
図6は、変形例に係る発光装置10の平面図である。本変形例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0051】
本変形例では、発光領域142の両側、すなわち、基板100の第3辺106c側及び第4辺106d側に端子エリア162が設けられている。例えば、発光装置10、すなわち、発光領域142が面光源である場合、発光部140の陽極に接続される端子160が発光領域142の一方の側に設けられ、発光部140の陰極に接続される端子160が発光領域142の他方の側に設けられることがある。
【0052】
本変形例においては、発光領域142の両側の端子エリア162において、基板100の厚さ方向に力が加わりやすい。この場合、本変形例のように、凸部220の枠形状の4つの角のうち、一方の端子エリア162側、すなわち、基板100の第3辺106c側の2つの角と、他方の端子エリア162側、すなわち、基板100の第4辺106d側の2つの角と、の双方に凹部222を設けてもよい。
【0053】
以上、図面を参照して実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0054】
この出願は、2020年3月5日に出願された日本出願特願2020-037470号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0055】
10 発光装置
100 基板
100A 第1基材
102 第1面
104 第2面
106 辺
106a 第1辺
106b 第2辺
106c 第3辺
106d 第4辺
140 発光部
142 発光領域
160 端子
162 端子エリア
200 封止部
200A 第2基材
210 基板部
212 第3面
214 第4面
216 外縁
220 凸部
222 凹部
226 外側壁
228 内側壁
300 接着層