(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】蓄電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20230428BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20230428BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20230428BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230428BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/30
H01M50/224
H01M50/204 401F
(21)【出願番号】P 2019045193
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018231767
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 正一
(72)【発明者】
【氏名】西川 慶三
(72)【発明者】
【氏名】石本 一男
(72)【発明者】
【氏名】向 泰輝
(72)【発明者】
【氏名】董 澤海
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/092773(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/123573(WO,A1)
【文献】特開2015-011956(JP,A)
【文献】特開2017-091824(JP,A)
【文献】特開2018-073561(JP,A)
【文献】特開2018-073560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204 - 231
H01M 50/30 - 392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対を向いた第1の電極と第2の電極とを有する蓄電池セルが、前記第1の電極を同一方向に向けて複数配置される蓄電池集合体と、
前記蓄電池集合体における複数の前記第1の電極に対向する第1面と、前記蓄電池集合体における複数の前記第2の電極に対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とに交差しながら前記蓄電池集合体を挟んで互いに対向する第3面と第4面とを含む構造体とを備え、
前記構造体には、前記蓄電池集合体における複数の前記第1の電極側の面と前記第1面と前記第3面と前記第4面とに囲まれる空間が形成され、
前記構造体は、前記空間のうち、前記蓄電池集合体における前記第3面側端の前記蓄電池セルよりも前記第3面側に位置する前記第1面の部分、あるいは前記第3面に排気口を備え、
前記蓄電池集合体は、前記第1の電極が正極であり、かつ前記第2の電極が負極である複数の蓄電池セルを含む第1集合体と、前記第1の電極が正極であり、かつ前記第2の電極が負極である複数の蓄電池セルを含む第2集合体とを含み、
前記構造体に形成される空間は、前記第1集合体における複数の前記第1の電極側の面と前記第1面と前記第3面と前記第4面とに囲まれる第1空間と、前記第2集合体における複数の前記第1の電極側の面と前記第1面と前記第3面と前記第4面とに囲まれる第2空間とを含み、
前記排気口は、前記第1空間のうち、前記第1集合体における前記第3面側端の前記蓄電池セルよりも前記第3面側に位置する前記第1面の部分、あるいは前記第3面に配置される第1排気口と、前記第2空間のうち、前記第2集合体における前記第3面側端の前記蓄電池セルよりも前記第3面側に位置する前記第1面の部分、あるいは前記第3面に配置される第2排気口とを含み、
本蓄電池モジュールは、
前記第1空間と前記第2空間とを仕切る隔壁をさらに備え、
前記第1空間は、1つの前記第1排気口を有し、
前記第2空間は、1つの前記第2排気口を有し、
前記第2空間は、前記第1空間よりも小さく、
前記第2排気口は、前記第1排気口よりも大きい、
蓄電池モジュール。
【請求項2】
前記第1面は金属板である、
請求項
1に記載の蓄電池モジュール。
【請求項3】
互いに反対を向いた第1の電極と第2の電極とを有する蓄電池セルが、前記第1の電極を同一方向に向けて複数配置される蓄電池集合体と、
前記蓄電池集合体における複数の前記第1の電極に対向する第1面と、前記蓄電池集合体における複数の前記第2の電極に対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とに交差しながら前記蓄電池集合体を挟んで互いに対向する第3面と第4面とを含む構造体とを備え、
前記構造体には、前記蓄電池集合体における複数の前記第1の電極側の面と前記第1面と前記第3面と前記第4面とに囲まれる空間が形成され、
前記構造体は、前記空間のうち、前記蓄電池集合体における前記第3面側端の前記蓄電池セルよりも前記第3面側に位置する前記第1面の部分、あるいは前記第3面に排気口を備え、
前記蓄電池集合体は、前記第1の電極が正極であり、かつ前記第2の電極が負極である複数の蓄電池セルを含む第1集合体と、前記第1の電極が負極であり、かつ前記第2の電極が正極である複数の蓄電池セルを含む第2集合体とを含み、
前記構造体には、前記第1集合体における複数の前記第1の電極側の面と前記第1面と前記第3面と前記第4面とに囲まれる第1空間と、前記第2集合体における複数の前記第2の電極側の面と前記第2面と前記第3面と前記第4面とに囲まれる第2空間とが形成され、
前記構造体は、前記第1空間のうち、前記第1集合体における前記第3面側端の前記蓄電池セルよりも前記第3面側に位置する前記第1面の部分、あるいは前記第3面に第1排気口を備え、前記第2空間のうち、前記第2集合体における前記第3面側端の前記蓄電池セルよりも前記第3面側に位置する前記第2面の部分、あるいは前記第3面に第2排気口を備え、
前記第1空間は、1つの前記第1排気口を有し、
前記第2空間は、1つの前記第2排気口を有し、
前記第2空間は、前記第1空間よりも小さく、
前記第2排気口は、前記第1排気口よりも大きい、
蓄電池モジュール。
【請求項4】
前記第1面と前記第2面は金属板である、
請求項
3に記載の蓄電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池モジュールに関し、特に複数の蓄電池セルを収納する蓄電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池モジュールには、複数の蓄電池セルが収納される。蓄電池セルに短絡が生じると、高温かつ高圧のガスが蓄電池セルから発生する。このガスを蓄電池モジュールの外に排出するために、蓄電池モジュールには、複数の蓄電池セルとは区画された排気経路部が設けられ、排気経路は排気口に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気口の断面積が小さければ空気(酸素)流入量が少なくなり、大きければ増える。空気(酸素)の流入量が多いと電池モジュール内部での燃焼温度が高くなり、熱暴走した電池だけでなく、その隣接電池も熱暴走(類焼)してしまう可能性が高くなる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、熱暴走電池の高温燃焼による隣接電池の熱暴走(類焼)を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の蓄電池モジュールは、互いに反対を向いた第1の電極と第2の電極とを有する蓄電池セルが、第1の電極を同一方向に向けて複数配置される蓄電池集合体と、蓄電池集合体における複数の第1の電極に対向する第1面と、蓄電池集合体における複数の第2の電極に対向する第2面と、第1面と第2面とに交差しながら蓄電池集合体を挟んで互いに対向する第3面と第4面とを含む構造体とを備える。構造体には、蓄電池集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる空間が形成され、構造体は、空間のうち、蓄電池集合体における第3面側端の蓄電池セルよりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に排気口を備える。蓄電池集合体は、第1の電極が正極であり、かつ第2の電極が負極である複数の蓄電池セルを含む第1集合体と、第1の電極が正極であり、かつ第2の電極が負極である複数の蓄電池セルを含む第2集合体とを含み、構造体に形成される空間は、第1集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる第1空間と、第2集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる第2空間とを含み、排気口は、第1空間のうち、第1集合体における第3面側端の蓄電池セルよりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に配置される第1排気口と、第2空間のうち、第2集合体における第3面側端の蓄電池セルよりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に配置される第2排気口とを含み、本蓄電池モジュールは、第1空間と第2空間とを仕切る隔壁をさらに備え、第1空間は、1つの第1排気口を有し、第2空間は、1つの第2排気口を有し、第2空間は、第1空間よりも小さく、第2排気口は、第1排気口よりも大きい。
本発明の別の態様もまた、蓄電池モジュールである。この装置は、互いに反対を向いた第1の電極と第2の電極とを有する蓄電池セルが、第1の電極を同一方向に向けて複数配置される蓄電池集合体と、蓄電池集合体における複数の第1の電極に対向する第1面と、蓄電池集合体における複数の第2の電極に対向する第2面と、第1面と第2面とに交差しながら蓄電池集合体を挟んで互いに対向する第3面と第4面とを含む構造体とを備える。構造体には、蓄電池集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる空間が形成され、構造体は、空間のうち、蓄電池集合体における第3面側端の蓄電池セルよりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に排気口を備える。蓄電池集合体は、第1の電極が正極であり、かつ第2の電極が負極である複数の蓄電池セルを含む第1集合体と、第1の電極が負極であり、かつ第2の電極が正極である複数の蓄電池セルを含む第2集合体とを含み、構造体には、第1集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる第1空間と、第2集合体における複数の第2の電極側の面と第2面と第3面と第4面とに囲まれる第2空間とが形成され、構造体は、第1空間のうち、第1集合体における第3面側端の蓄電池セルよりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に第1排気口を備え、第2空間のうち、第2集合体における第3面側端の蓄電池セルよりも第3面側に位置する第2面の部分、あるいは第3面に第2排気口を備え、第1空間は、1つの第1排気口を有し、第2空間は、1つの第2排気口を有し、第2空間は、第1空間よりも小さく、第2排気口は、第1排気口よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、熱暴走電池の高温燃焼による隣接電池の熱暴走(類焼)を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例に係る蓄電池モジュールの構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1の蓄電池モジュールの構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1の蓄電池モジュールの構造を示す別の分解斜視図である。
【
図4】
図1の蓄電池モジュールの構造を示す断面図である。
【
図5】
図1の蓄電池モジュールの構造を示す別の断面図である。
【
図6】
図6(a)-(b)は、
図1の蓄電池モジュールにおけるガスの排出の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、複数の蓄電池セルが収納される蓄電池モジュールに関する。各蓄電池セルは、正極と負極とが互いに反対を向いた構造を有し、例えば、正極が同一方向を向くように並べられる。蓄電池セルがリチウムイオン二次電池である場合、内部短絡等が発生すると蓄電池セル内にガスが発生する。また、ガスの発生により、蓄電池セル内の圧力が増加するが、安全機構によりガスが正極側から蓄電池セル外に放出される。このようなガスは高温高圧であり、ガスによる燃焼が生じると、蓄電池モジュール内の他の蓄電池セルも熱暴走(類焼)する。この類焼により、蓄電池モジュール全体、または製品全体が燃えてしまうおそれがある。ガスによる類焼を抑制するために、蓄電池の構造体と複数の蓄電池セルの正極側の面との間には空間が設けられ、空間は排気口に接続される。蓄電池セルからの高温ガスは空間に放出され、排気口から蓄電池モジュール外に放出される。
【0010】
このような状況下において、空間が複数に分割された構造を有する場合、ガスは1つの排気口から排出されにくくなる。そのため、ガスによる類焼が生じやすくなる。一方、1つの空間に複数の排気口が接続される場合、ガスは排出されやすくなる。しかしながら、1つの空間に複数の排気口が接続されると、蓄電池モジュール外から空間に空気が流入しやすくなり、ガスによる高温燃焼が生じやすくなる。そのため、ガスによる高温燃焼を抑制するような構造体内の空間と排気口との関係が求められる。本実施例に係る蓄電池モジュールは、1つの空間に1つの排気口を接続する。そのため、構造体内に1つの空間が形成される場合、構造体に1つの排気口が設けられる。また、構造体内に複数の空間が形成される場合、構造体に複数の排気口が設けられる。ここで、一般的に不完全燃焼温度<完全燃焼温度の関係であり、金属を溶かず「ふいご」の様に空気(酸素)を多く送り込むと燃焼温度はさらに高温になる。ろうそくの芯の部分は不完全燃焼で約600℃、炎の先端は約1000℃を超える温度として知られている。以下の説明において、「平行」、「垂直」は、完全な平行、垂直だけではなく、誤差の範囲で平行、垂直からずれている場合も含む。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。
【0011】
図1は、蓄電池モジュール1000の構造を示す斜視図である。
図1に示すように、x軸、y軸、z軸を含む直交座標系が規定される。x軸、y軸は、蓄電池モジュール1000の底面内において互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、蓄電池モジュール1000の高さ(垂直)方向に延びる。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、
図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、x軸の正方向側を「前側」あるいは「正面側」、x軸の負方向側を「後側」あるいは「背面側」、z軸の正方向側を「上側」あるいは「天面側」、z軸の負方向側を「下側」あるいは「底面側」ということもある。さらに、y軸方向の正方向側を「右側」、y軸の負方向側を「左側」ということもある。
【0012】
構造体100は、前側筐体110、後側筐体130、右側蓋352を含む。前側筐体110は、前面112、前側下面114、前側上面116、前側排気口118と総称される第1前側排気口118aから第4前側排気口118d、左側面150を含む。後側筐体130は、後面132、後側下面134、後側上面136、右側面152を含む。前側筐体110、後側筐体130の各構成要素は、ネジ、溶接、接着材等で接続されているが、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0013】
前側筐体110の前面112は、y-z平面上に広がる矩形の板形状を有する。前面112の下側端から後側に向かって前側下面114が延び、前面112の上側端から後側に向かって前側上面116が延び、前面112の左側端から後側に向かって左側面150が延びる。前側下面114と前側上面116と左側面150は、いずれも板形状を有する。板形状は矩形状であってもよい。また、後側筐体130の後面132は、y-z平面上に広がる矩形の板形状を有する。後面132の下側端から前側に向かって後側下面134が延び、後面132の上側端から前側に向かって後側上面136が延び、後面132の右側端から前側に向かって右側面152が延びる。後側下面134と後側上面136と右側面152は、いずれも板形状を有する。板形状は矩形状であってもよい。
【0014】
前側下面114の後側端と、後側下面134の前側端とが接続されることによって、前側下面114と後側下面134は、1つの下面を形成する。また、前側上面116の後側端と、後側上面136の前側端とが接続されることによって、前側上面116と後側上面136は、1つの上面を形成する。下面と上面は、前面112と後面132とに交差する。このように前側筐体110と後側筐体130とが接続されることによって、構造体100は箱形状を有する。その際、構造体100の右側は、右側面152、右側蓋352でふさがれ、構造体100の左側は、左側面150、左側蓋(図示せず)でふさがれる。以下では、前面112を第1面と呼び、後面132を第2面と呼び、下面を第3面と呼び、上面を第4面と呼んでもよい。ここで、前側筐体110と後側筐体130は、熱伝導性の高い材料、例えば、金属、カーボンにより形成される。そのため、前面112、前側下面114、前側上面116、後面132、後側下面134、後側上面136は、例えば、金属板である。
【0015】
以下では、
図2から
図5を使用しながら、このような蓄電池モジュール1000の構造をさらに説明する。
図2は、蓄電池モジュール1000の構造を示す分解斜視図である。
図3は、蓄電池モジュール1000の構造を示す別の分解斜視図であり、
図2をさらに分解した構造を示す。
図4は、蓄電池モジュール1000の構造を示す断面図であり、
図1のA-A’線の断面図である。
図5は、蓄電池モジュール1000の構造を示す別の断面図であり、
図1のB-B’線の断面図である。
【0016】
前側筐体110と後側筐体130との間には、前側ケース240と後側ケース250との組合せが収納される。前側ケース240と後側ケース250との組合せは中空の箱形状を有しており、絶縁性を有する材料、例えば樹脂により形成される。この組合せでは、前側ケース240の後側端と後側ケース250の前側端が接続されており、前側ケース240は前側筐体110に対向し、後側ケース250は後側筐体130に対向する。前側ケース240と後側ケース250との組合せの内部には、蓄電池集合体200と総称される第1蓄電池集合体200aから第7蓄電池集合体200g、電池ホルダ230が収納される。特に、左側から右側に向かって、第1蓄電池集合体200a、第2蓄電池集合体200b、・・・、第6蓄電池集合体200f、第7蓄電池集合体200gが順に並べられる。そのため、下面と上面は、蓄電池集合体200を挟んで互いに対向するといえる。各蓄電池集合体200には、複数の蓄電池セル210が配置される。
【0017】
蓄電池セル210は、例えば、円柱形のリチウムイオン二次電池である。蓄電池セル210における円柱形の両端には、互いに反対を向いた正極212と負極214とが配置される。蓄電池セル210には公知の技術が使用されればよく、内部短絡等の発生により内部の圧力が上昇した場合、高温高圧ガスを外部に放出する安全機構が備えられる。一般的に、高温高圧ガスは正極212側から放出される。
【0018】
ここで、第1蓄電池集合体200a、第3蓄電池集合体200c、第5蓄電池集合体200e、第7蓄電池集合体200gのそれぞれに含まれた複数の蓄電池セル210は、正極212を前側に向け、負極214を後側に向ける。また、第2蓄電池集合体200b、第4蓄電池集合体200d、第6蓄電池集合体200fのそれぞれに含まれた複数の蓄電池セル210は、正極212を後側に向け、負極214を前側に向ける。つまり、1つの蓄電池集合体200内では正極212の方向が同一であるが、隣接した2つの蓄電池集合体200の間では正極212の方向が逆になる。前面112に対向する前側の電極を「第1の電極」と呼び、後面132に対向する後側の電極を「第2の電極」と呼ぶ場合、第1蓄電池集合体200a等では、第1の電極が正極212であり、第2の電極が負極214である。また、第2蓄電池集合体200b等では、第1の電極が負極214であり、第2の電極が正極212である。
【0019】
電池ホルダ230は、複数の蓄電池セル210のそれぞれを挿入可能な貫通孔を備えることによって、複数の蓄電池セル210のそれぞれの位置を固定する。電池ホルダ230は、絶縁性を有する材料、例えば樹脂により形成される。電池ホルダ230によって固定された複数の蓄電池セル210の前側には前側ケース240が取り付けられ、電池ホルダ230によって固定された複数の蓄電池セル210の後側には後側ケース250が取り付けられる。
【0020】
前側ケース240は、y-z平面に広がる板形状の前側ケース板部244を有し、前側ケース板部244には、各蓄電池セル210の正極212に対向した位置に貫通孔が設けられる。また、前側ケース板部244の前側の面において、第2蓄電池集合体200bと第3蓄電池集合体200cとの境界の位置には、第1前側隔壁242aが設けられる。また、第4蓄電池集合体200dと第5蓄電池集合体200eとの境界の位置には、第2前側隔壁242bが設けられ、第6蓄電池集合体200fと第7蓄電池集合体200gとの境界の位置には、第3前側隔壁242cが設けられる。第1前側隔壁242aから第3前側隔壁242cは前側隔壁242と総称され、前側隔壁242は、前側に向かって突出するとともに上下方向に延びる。
【0021】
第1前側隔壁242aから第3前側隔壁242cによって、前側ケース板部244の前側の面は、第1前側凹部246aから第4前側凹部246dに区分される。例えば、第2前側凹部246bは、第1前側隔壁242aと第2前側隔壁242bとに挟まれた部分、つまり第3蓄電池集合体200cと第4蓄電池集合体200dに対向した位置に配置される。第1前側凹部246a、第3前側凹部246cも第2前側凹部246bと同様である。一方、第4前側凹部246dは、第7蓄電池集合体200gだけに対向した位置に配置されるので、第1前側凹部246aから第3前側凹部246cよりも狭い。このような第1前側凹部246aから第4前側凹部246dは前側凹部246と総称される。
【0022】
図2、
図3に示されるように、第1前側凹部246aには第1前側リード板300aが嵌め込まれ、第2前側凹部246bには第2前側リード板300bが嵌め込まれる。また、第3前側凹部246cには第3前側リード板300cが嵌め込まれ、第4前側凹部246dには第4前側リード板300dが嵌め込まれる。第1前側リード板300aから第4前側リード板300dは前側リード板300と総称され、前側リード板300は板形状を有する。第1前側リード板300aは、第1蓄電池集合体200aの複数の蓄電池セル210の正極212と、第2蓄電池集合体200bの複数の蓄電池セル210の負極214とに接続される。第1前側リード板300aには、1つの正極212と1つの負極214とを電気的に接続する配線パターンが設けられているので、第1蓄電池集合体200aの1つの蓄電池セル210と、第2蓄電池集合体200bの1つの蓄電池セル210は、直列に接続される。ここで、第1前側リード板300aにおいて正極212と接続される部分には貫通孔が設けられる。第2前側リード板300b、第3前側リード板300cも第1前側リード板300aと同様である。一方、第4前側リード板300dは、第7蓄電池集合体200gの複数の蓄電池セル210の正極212だけに接続される。そのため、第4前側リード板300dは、第1前側リード板300aから第3前側リード板300cよりも小さい。
【0023】
後側ケース250は、y-z平面に広がる板形状の後側ケース板部254を有し、後側ケース板部254には、各蓄電池セル210の正極212に対向した位置に貫通孔が設けられる。また、
図5に示されるように、後側ケース板部254の後側の面において、第1蓄電池集合体200aと第2蓄電池集合体200bとの境界の位置には、第1後側隔壁252aが設けられる。また、第3蓄電池集合体200cと第4蓄電池集合体200dとの境界の位置には、第2後側隔壁252bが設けられ、第5蓄電池集合体200eと第6蓄電池集合体200fとの境界の位置には、第3後側隔壁252cが設けられる。第1後側隔壁252aから第3後側隔壁252cは後側隔壁252と総称され、後側隔壁252は、後側に向かって突出するとともに上下方向に延びる。
【0024】
第1後側隔壁252aから第3後側隔壁252cによって、後側ケース板部254の後側の面は、第1後側凹部256aから第4後側凹部256dに区分される。例えば、第2後側凹部256bは、第1後側隔壁252aと第2後側隔壁252bとに挟まれた部分、つまり第2蓄電池集合体200bと第3蓄電池集合体200cに対向した位置に配置される。第3後側凹部256c、第4後側凹部256dも第2後側凹部256bと同様である。一方、第1後側凹部256aは、第1蓄電池集合体200aだけに対向した位置に配置されるので、第2後側凹部256bから第4後側凹部256dよりも狭い。このような第1後側凹部256aから第4後側凹部256dは後側凹部256と総称される。
【0025】
第1後側凹部256aには第1後側リード板302aが嵌め込まれ、第2後側凹部256bには第2後側リード板302bが嵌め込まれる。また、第3後側凹部256cには第3後側リード板302cが嵌め込まれ、第4後側凹部256dには第4後側リード板302dが嵌め込まれる。第1後側リード板302aから第4後側リード板302dは後側リード板302と総称され、後側リード板302は板形状を有する。第2後側リード板302bは、第2蓄電池集合体200bの複数の蓄電池セル210の正極212と、第3蓄電池集合体200cの複数の蓄電池セル210の負極214とに接続される。第2後側リード板302bには、1つの正極212と1つの負極214とを電気的に接続する配線パターンが設けられているので、第2蓄電池集合体200bの1つの蓄電池セル210と、第3蓄電池集合体200cの1つの蓄電池セル210は、直列に接続される。ここで、第2後側リード板302bにおいて正極212と接続される部分には貫通孔が設けられる。第3後側リード板302c、第4後側リード板302dも第2後側リード板302bと同様である。一方、第1後側リード板302aは、第1蓄電池集合体200aの複数の蓄電池セル210の負極214だけに接続される。そのため、第1後側リード板302aは、第2後側リード板302bから第4後側リード板302dよりも小さい。このような前側リード板300と後側リード板302によって、第1蓄電池集合体200aから第7蓄電池集合体200gのそれぞれに含まれる1つの蓄電池セル210は、直列に接続される。
【0026】
図2、3に示されるように、蓄電池集合体200を収納しながら組み合わされた前側ケース240と後側ケース250の上側には、制御基板トレイ330が取り付けられる。制御基板トレイ330は、左右方向に延びる板形状のトレイである。制御基板トレイ330の上には、制御基板332が配置される。制御基板332は、IC(Integrated Circuit)等を搭載しており、蓄電池モジュール1000の動作を制御する。制御基板332は、制御基板トレイ330と同様に左右方向に延びる板形状を有するが、制御基板トレイ330よりも小さい。制御基板332が配置された制御基板トレイ330の上側を覆うように、制御基板蓋334が取り付けられる。制御基板蓋334は、制御基板332を保護するための蓋であり、制御基板トレイ330に合わせた形状を有する。
【0027】
図5に示されるように、蓄電池集合体200を収納しながら組み合わされた前側ケース240と後側ケース250の左側には左側蓋350が取り付けられ、右側には右側蓋352が取り付けられる。左側蓋350と右側蓋352は、上下方向に延びる板形状を有し、前側ケース240と後側ケース250の組合せを側面から保護する。制御基板トレイ330、制御基板蓋334、左側蓋350、右側蓋352は、絶縁性を有する材料、例えば樹脂により形成される。
【0028】
図2に示されるように、制御基板トレイ330から制御基板蓋334、左側蓋350、右側蓋352が取り付けられた前側ケース240と後側ケース250との組合せは、前述のごとく、前側筐体110と後側筐体130との間に配置される。これにより、
図4に示されるように、前面112と前側下面114と前側上面116と前側リード板300(第3前側リード板300c)に囲まれる前空間400(第3前空間400c)が形成される。ここで、第3前側リード板300cは、第5蓄電池集合体200eと第6蓄電池集合体200fにおける複数の第1の電極側の面に相当する。第3前空間400cのうち、第5蓄電池集合体200eと第6蓄電池集合体200fにおける下面側端の蓄電池セル210よりも下面側に位置する前面112の部分、あるいは前側下面114には、第3前側排気口118cが設けられる。第3前側排気口118cは、前面112の部分あるいは前側下面114に形成された貫通孔であり、これは開口であるともいえる。
【0029】
また、後面132と後側下面134と後側上面136と後側リード板302(第3後側リード板302c)に囲まれる後空間410(第3後空間410c)が形成される。ここで、第3後側リード板302cは、第4蓄電池集合体200dと第5蓄電池集合体200eにおける複数の第2の電極側の面に相当する。第3後空間410cのうち、第4蓄電池集合体200dと第5蓄電池集合体200eにおける下面側端の蓄電池セル210よりも下面側に位置する後面132の部分、あるいは後側下面134には、第2後側排気口138b(
図2)が設けられる。第2後側排気口138bは、後面132の部分あるいは後側下面134に形成された貫通孔である。
【0030】
前空間400と後空間410について、
図5を使用してさらに詳細に説明すると、前空間400は、第1前側隔壁242aから第3前側隔壁242cによって、第1前空間400aから第4前空間400dに分割される。そのため、前側隔壁242は、隣接した前空間400を仕切るともいえる。第1前空間400aから第4前空間400dは左右方向に並んで配置される。特に、第1前空間400aから第3前空間400cは2つの蓄電池集合体200に対向して配置されるが、第4前空間400dは1つの蓄電池集合体200だけに対応して配置される。そのため、第4前空間400dの容積は、第1前空間400aから第3前空間400cのそれぞれの容積よりも小さい。また、各前空間400の下側の部分には1つの前側排気口118が設けられる。そのため、1つの前空間400は1つの前側排気口118を有する。
【0031】
また、後空間410は、第1後側隔壁252aから第3後側隔壁252cによって、第1後空間410aから第4後空間410dに分割される。そのため、後側隔壁252は、隣接した後空間410を仕切るともいえる。第1後空間410aから第4後空間410dは左右方向に並んで配置される。特に、第2後空間410bから第4後空間410dは2つの蓄電池集合体200に対向して配置されるが、第1後空間410aは1つの蓄電池集合体200だけに対応して配置される。そのため、第1後空間410aの容積は、第2後空間410bから第4後空間410dのそれぞれの容積よりも小さい。また、第2後空間410bから第4後空間410dのそれぞれの下側の部分には1つの後側排気口138が設けられる。
【0032】
図6(a)-(b)は、蓄電池モジュール1000におけるガス500の排出の概要を示す。
図6(a)は、蓄電池モジュール1000の構造を簡略に示す断面図であり、かつ
図4と同一方向の断面図である。ここでは、一例として、第1蓄電池セル210aから第8蓄電池セル210hが下側から上側に向かって並べられる。前述のごとく、これらの蓄電池セル210の前側に前空間400が配置され、前空間400に接する前側下面114に前側排気口118が設けられる。
【0033】
第3蓄電池セル210cにおいて内部短絡等により熱暴走が発生すると、第3蓄電池セル210cは高温高圧のガス500を正極212側から前側ケース240、前側リード板300経由で前空間400に放出する。前空間400に放出されたガス500は、前面112に接触する。前面112は、金属板であるので、接触したガス500から熱を吸収し、蓄電池モジュール1000の外部に熱を放出する。このようにガス500は、前面112との接触によって熱を奪われ冷やされる。また、冷やされたガス500は前空間400内で拡散されるので、ガス500の圧力は低下する。さらに、温度と圧力が低下したガス500は、前空間400の下側に設けられた前側排気口118から蓄電池モジュール1000の外部に放出される。
【0034】
このようなガス500の流れによって、第3蓄電池セル210cからガス500が放出される際に火花が生じても、冷却・拡散・放出がなされるので、高温燃焼は生じにくくなる。ここで、第4前空間400dの容積は、第1前空間400aから第3前空間400cのそれぞれの容積よりも小さい。そのため、蓄電池セル210から放出されたガス500によって、第4前空間400dでの圧力は、それ以外の圧力よりも高くなりやすい。これにより、第4前空間400dを形成している第3前側隔壁242cは、他の前側隔壁242よりも破損されやすくなる。本実施例では、第3前側隔壁242cの破損を防止するために、第4前空間400dに設けられる第4前側排気口118dの大きさが、他の前側排気口118よりも大きくされる。これにより、第4前空間400dにおける圧力の増加が抑制される。つまり、前空間400の大きさが小さくなるほど、前側排気口118の面積が大きくされる。
【0035】
仮に、前側排気口118が、前側上面116に設けられている場合、完全密封でない前空間400の下部から空気が流入する可能性がある。流入した空気は前側排気口118から排出されるので、前空間400内に下側から上側に向かう空気の流れが生じる。このような空気の流れにより、火花に空気が供給されるので、高温燃焼が生じやすくなる。後空間410においても、前空間400と同様に、ガス500の冷却・拡散・放出がなされる。
【0036】
図6(b)は、
図6(a)の蓄電池モジュール1000の比較対象となる蓄電池モジュール2000の構造を簡略に示す断面図であり、かつ
図6(a)と同一方向の断面図である。前面2112から前側上面2116、後面2132から後側上面2136、蓄電池集合体2200から負極2214、前側ケース2240、後側ケース2250、前側リード板2300、後側リード板2302、前空間2400、後空間2410は、
図6(a)の前面112から前側上面116、後面132から後側上面136、蓄電池集合体200から負極214、前側ケース240、後側ケース250、前側リード板300、後側リード板302、前空間400、後空間410と同一である。ここでは、前空間400に接する前面2112のうち、第1蓄電池セル2210aの正極2212に対向する部分に、前側排気口2118が設けられる。
【0037】
第1蓄電池セル2210aにおいて内部短絡等により熱暴走が発生すると、第1蓄電池セル2210aは高温高圧のガス2500を正極2212側から前側ケース2240、前側リード板2300経由で前空間2400に放出する。前空間2400に放出されたガス2500は、前側排気口2118から蓄電池モジュール2000の外部に放出される。つまり、ガス2500には、前面2112との接触による冷却がなされない。その際、火花が生じていれば、火花に空気が供給されるので、高温燃焼が生じやすくなる。
【0038】
本実施例によれば、構造体100の内部に形成された1つの空間は1つの排気口を有するので、蓄電池セル210から放出したガス500を排気口から外部に放出できる。また、1つの空間内のガス500が1つの排気口から外部に放出されるので、ガス500を十分に放出できる。また、ガス500が十分に放出されるので、高温燃焼の発生を抑制できる。また、1つの空間内のガス500が1つの排気口から外部に放出されるので、空間内への空気の流入を抑制できる。また、空間内への空気の流入が抑制されるので、高温燃焼の発生を抑制できる。
【0039】
また、異なった集合体において正極212の向きが共通であるので、同一方向を向いた複数の蓄電池セル210を複数の集合体に分類できる。また、空間を第1空間と第2空間とに分割するので、空間が大きい場合に小さな第1空間と第2空間を形成できる。また、小さな第1空間と第2空間のそれぞれに対して1つの排気口を設けるので、ガス500を十分に放出できる。また、小さな第1空間と第2空間のそれぞれに対して1つの排気口を設けるので、第1空間内と第2空間内への空気の流入を抑制できる。また、前面112は金属板であるので、ガス500を冷却できる。
【0040】
また、異なった集合体において正極212の向きが逆であるので、複数の蓄電池セル210の方向に応じて複数の集合体を形成できる。また、空間を第1空間と第2空間とに分割するので、蓄電池集合体200を挟んで反対側に第1空間と第2空間を形成できる。また、第1空間と第2空間のそれぞれに対して1つの排気口を設けるので、ガス500を十分に放出できる。また、第1空間と第2空間のそれぞれに対して1つの排気口を設けるので、第1空間内と第2空間内への空気の流入を抑制できる。また、前面112と後面132は金属板であるので、ガス500を冷却できる。
【0041】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の蓄電池モジュール1000は、互いに反対を向いた第1の電極と第2の電極とを有する蓄電池セル210が、第1の電極を同一方向に向けて複数配置される蓄電池集合体200と、蓄電池集合体200における複数の第1の電極に対向する第1面と、蓄電池集合体200における複数の第2の電極に対向する第2面と、第1面と第2面とに交差しながら蓄電池集合体200を挟んで互いに対向する第3面と第4面とを含む構造体100とを備える。構造体100には、蓄電池集合体200における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる空間が形成され、構造体100は、空間のうち、蓄電池集合体200における第3面側端の蓄電池セル210よりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に排気口を備える。1つの空間は1つの排気口を有する。
【0042】
蓄電池集合体200は、第1の電極が正極212であり、かつ第2の電極が負極214である複数の蓄電池セル210を含む第1集合体と、第1の電極が正極212であり、かつ第2の電極が負極214である複数の蓄電池セル210を含む第2集合体とを含む。
【0043】
構造体100に形成される空間は、第1集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる第1空間と、第2集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる第2空間とを含んでもよい。排気口は、第1空間のうち、第1集合体における第3面側端の蓄電池セル210よりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に配置される第1排気口と、第2空間のうち、第2集合体における第3面側端の蓄電池セル210よりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に配置される第2排気口とを含んでもよい。本蓄電池モジュール1000は、第1空間と第2空間とを仕切る隔壁をさらに備える。
【0044】
第1空間は、1つの第1排気口を有してもよい。第2空間は、1つの第2排気口を有する。
【0045】
第1面は金属板である。
【0046】
蓄電池集合体200は、第1の電極が正極212であり、かつ第2の電極が負極214である複数の蓄電池セル210を含む第1集合体と、第1の電極が負極214であり、かつ第2の電極が正極212である複数の蓄電池セル210を含む第2集合体とを含む。
【0047】
構造体100には、第1集合体における複数の第1の電極側の面と第1面と第3面と第4面とに囲まれる第1空間と、第2集合体における複数の第2の電極側の面と第2面と第3面と第4面とに囲まれる第2空間とが形成され、構造体100は、第1空間のうち、第1集合体における第3面側端の蓄電池セル210よりも第3面側に位置する第1面の部分、あるいは第3面に第1排気口を備え、第2空間のうち、第2集合体における第3面側端の蓄電池セル210よりも第3面側に位置する第2面の部分、あるいは第3面に第2排気口を備える。
【0048】
第1空間は、1つの第1排気口を有してもよい。第2空間は、1つの第2排気口を有する。
【0049】
第1面と第2面は金属板である。
【0050】
排気口は1つの開口から構成される。
【0051】
排気口は複数の開口から構成される。
【0052】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0053】
本実施例において、前空間400と後空間410とが形成される。しかしながらこれに限らず例えば、前空間400と後空間410の一方だけが形成されてもよい。本変形例によれば、すべての蓄電池セル210が同一方向を向いて配置されている場合に、配置に適した空間を形成できる。
【0054】
本実施例において、複数の前空間400が並べられる。しかしながらこれに限らず例えば、前空間400の数は1つでもよい。本変形例によれば、前空間400のサイズが小さい場合に構造を簡易にできる。また、後空間410についても同様である。
【0055】
本実施例において、前側隔壁242、後側隔壁252は、樹脂等により形成されている。しかしながらこれに限らず例えば、樹脂等により形成された前側隔壁242、後側隔壁252は、前空間400あるいは後空間410側から金属板等によって補強されてもよい。本変形例によれば、発生したガス500の圧力が高くなっても、前側隔壁242、後側隔壁252を破損しにくくできる。
【0056】
本実施例において、排気口は1つの開口から構成されている。しかしながらこれに限らず例えば、排気口は複数の開口から構成されてもよい。そのような場合、各開口は、1つの開口から気体が排出されたときに、他の開口から気体が流入しない程度に隣接して配置される。本変形例によれば、構造の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0057】
100 構造体、 110 前側筐体、 112 前面(第1面)、 114 前側下面(第3面)、 116 前側上面(第4面)、 118 前側排気口(排気口)、 130 後側筐体、 132 後面(第2面)、 134 後側下面(第3面)、 136 後側上面(第4面)、 138 後側排気口(排気口)、 150 左側面、 152 右側面、 200 蓄電池集合体(第1集合体、第2集合体))、 210 蓄電池セル、 212 正極(第1の電極、第2の電極)、 214 負極(第1の電極、第2の電極)、 230 電池ホルダ、 240 前側ケース、 242 前側隔壁、 244 前側ケース板部、 246 前側凹部、 250 後側ケース、 252 後側隔壁、 254 後側ケース板部、 256 後側凹部、 300 前側リード板、 302 後側リード板、 330 制御基板トレイ、 332 制御基板、 334 制御基板蓋、 350 左側蓋、 352 右側蓋、 400 前空間、 410 後空間、 1000 蓄電池モジュール。