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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】梁受け金物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230428BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
E04B1/58 508L
E04B1/26 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018129012
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020007768
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】518242189
【氏名又は名称】有限会社ウッド・マテリアル
(73)【特許権者】
【識別番号】505440169
【氏名又は名称】株式会社 ウッディーコイケ
(73)【特許権者】
【識別番号】398041764
【氏名又は名称】株式会社カナイ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】錦織 利光
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-123533(JP,A)
【文献】特開2014-156693(JP,A)
【文献】特開平10-331260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱の側面に取り付け、柱と梁を連結するための梁受け金物であって、
前記柱の側面に当接する平板状の当接部と、
前記当接部の両端に直角に突設する、梁支持板と、からなり、
前記当接部には、前記梁支持板と逆方向に略円柱状に突出し、前記柱の側面に設けた固定穴に嵌合する固定部を有し、
前記固定部の側面には、前記固定穴の半径方向に設けたほぞ溝に嵌合する、キー状のほぞを突設し、
前記固定部の内部には、前記柱に固定するためのボルトの頭部を収容可能な空間を有し、
前記ほぞの前記固定部側の内部には、前記固定部の内部の空間と連通し、前記ボルトの頭部にキー状に突設した頭部ほぞを収容可能なボルトほぞ溝を有することを特徴とする、梁受け金物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅において、柱と梁を連結するための梁受け金物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造住宅において広く導入されている軸組工法は、柱や梁などの部材同士は強固に連結して耐震性を確保する必要がある。
特に、柱と梁の連結については、特許文献1に開示されているとおり、断面コ字状の金具を柱にボルト止めし、梁の端部に金具の支持板が収まるスリットを設けるとともに、ボルト頭部を収める凹部を備える金具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-331260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この金具を用いた工法には、以下のような問題があった。
(1)金具を柱に取り付ける際に上下を誤って取り付ける場合がある。
(2)金具を一本のボルトで止める場合、金具がボルトを軸として回転してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上下を誤って取り付けることがない、梁受け金物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、柱の側面に取り付け、柱と梁を連結するための梁受け金物であって、前記柱の側面に当接する平板状の当接部と、前記当接部の両端に直角に突設する、梁支持板と、からなり、前記当接部には、前記梁支持板と逆方向に略円柱状に突出し、前記柱の側面に設けた固定穴に嵌合する固定部を有し、前記固定部の側面には、前記固定穴の半径方向に設けたほぞ溝に嵌合する、キー状のほぞを突設し、前記固定部の内部には、前記柱に固定するためのボルトの頭部を収容可能な空間を有し、前記ほぞの前記固定部側の内部には、前記固定部の内部の空間と連通し、前記ボルトの頭部にキー状に突設した頭部ほぞを収容可能なボルトほぞ溝を有することを特徴とする、梁受け金物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)ほぞにより、正しい向きにほぞ溝がない固定穴には梁受け金物の固定部を嵌め込むことができない。よって、上下を誤って取り付けることがない。
(2)固定部の側面にほぞを設けることにより、固定部が一つの梁受け金物であっても、回転することがない。
(3)固定部の内部にボルトほぞ溝を設け、ボルト頭部にボルトほぞ溝に対応するボルトほぞを設けたボルトを用いることにより、ボルトの供回りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】梁受け金物の説明図(1)
図2】固定部の説明図(1)
図3】梁受け金物の取り付け状態の説明図(1)
図4】梁受け金物を直交させて用いる場合の説明図
図5】梁受け金物を直交させて用いる場合の取り付け状態の説明図
図6】固定部の内部の説明図
図7】梁受け金物の説明図(2)
図8】梁受け金物の取り付け状態の説明図(2)
図9】固定部の説明図(3)
図10】梁受け金物の説明図(3)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図に示す実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【実施例
【0010】
[実施例1]
<1>梁受け金物の構成
梁受け金物1は、柱6の側面に取り付け、梁を落とし込んで固定することで柱6と梁を連結するものである。
梁受け金物1は、平面視コ字状の鋼製の部材であり、当接部2と、当接部2の両端に直角に突設する梁支持板3と、からなる(図1)。
【0011】
<2>固定部
当接部2には、所定の間隔を設けて略円柱状に突出する固定部21を設ける(図2)。
固定部21の中央にはボルト孔22を設ける。略円柱状の固定部21の内部にはボルト頭部41を収容できる。
固定部21は対応する柱6の側面に形成する、同じく円柱状の固定穴61に嵌合する。固定穴61の中央には、柱6を貫通するボルト挿通孔62を設ける。
柱6の対向する面には、ボルト4と螺合するナット5および座金51を収容するための収容孔63を設ける。
固定穴61、ボルト挿通孔62および収容孔63は予めプレカット工場において加工する。
そして、柱6の側面に当接した梁受け金物1の梁支持板3の間からボルト4を挿入し、ボルト孔22からボルト挿通孔62、座金51を通してナット5を螺合することにより、梁受け金物1を柱6に固定する(図3)。
【0012】
<3>ほぞ
固定部21のうちの少なくとも一つの側面には、ほぞ23を突設する。また、柱6の固定穴61にもほぞ23に対応するほぞ溝64を設ける。ほぞ溝64も予めプレカット工場において加工する。
柱6に対して互いに直交する梁を固定する場合には、お互いのボルト4が干渉しないように、ボルト4の高さをずらす必要がある(図4図5)。
このため、当接部2に設ける固定部21は、当接部2の高さ方向の中心線に非対称に設けることにより、一方の梁受け金物1を上下反転することにより、ボルト4が干渉することなく取り付けることができる。
このとき、上下を誤って梁受け金物1を取り付けるおそれがあるが、本発明の梁受け金物1は固定部21の側面にほぞ23を設けることにより、上下を誤っている場合にはほぞ23により、正しい向きにほぞ溝64がない固定穴61には固定部21を嵌め込むことができないため、上下を誤って取り付けることがない。
【0013】
[実施例2]
ボルト頭部41を収容する固定部21の内部には、ほぞ23の形状と合わせて円柱状の一部を切り欠いたボルトほぞ溝24を設けてもよい(図6)。
そして、ボルト頭部41に頭部ほぞ42を設けて(図7)、ボルトほぞ溝24に頭部ほぞ42を収容することにより(図8)、ナット5螺合時にボルト4が供回りすることがない。
【0014】
[実施例3]
上記実施例1、2においては、当接部2の固定部21を複数個設けたが、固定部21が一つの梁受け金物1の場合、固定部21が円形のため、梁受け金物1が回転するおそれがある。
しかし、本発明の梁受け金物1は固定部21の側面にほぞ23を設けることにより、梁受け金物1が回転することがない(図9図10)。
【符号の説明】
【0015】
1…梁受け金物
2…当接部、21…固定部、22…ボルト孔、23…ほぞ
3…梁支持板
4…ボルト、41…ボルト頭部、42…頭部ほぞ
5…ナット、51…座金
6…柱、61…固定穴、62…ボルト挿通孔、63…収容孔、64…ほぞ溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10