(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/627 20230101AFI20230428BHJP
H04N 25/78 20230101ALI20230428BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20230428BHJP
【FI】
H04N25/627
H04N25/78
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2019084311
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2018099776
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】柳田 真明
(72)【発明者】
【氏名】荘保 信
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151692(JP,A)
【文献】特開2008-042674(JP,A)
【文献】特開2007-020156(JP,A)
【文献】特開2009-077345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/627
H04N 25/78
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光量に対応する画素信号を出力する画素と、
前記画素に接続され、前記画素からの前記画素信号が出力される出力信号線と、
第1ゲート、第1ソース、第1ドレインを有し、前記出力信号線に前記第1ソースおよび前記第1ドレインの一方が接続された第1トランジスタと、
前記第1ゲートに接続され、前記第1トランジスタをオンする電圧を第1電圧とし前記第1トランジスタをオフする電圧を第2電圧としたとき、前記第1電圧と前記第2電圧との間の第3電圧を生成するように構成された第1制御回路と、
を備え
、
前記画素信号は、前記第1トランジスタを介して前記出力信号線から出力される、撮像装置。
【請求項2】
入射光量に対応する画素信号を出力する画素と、
前記画素に接続され、前記画素からの前記画素信号が出力される出力信号線と、
第1ゲート、第1ソース、第1ドレインを有し、前記出力信号線に前記第1ソースおよび前記第1ドレインの一方が接続された第1トランジスタと、
前記第1トランジスタを介して前記出力信号線に接続されたAD変換回路と、
前記第1ゲートに接続され、前記第1トランジスタをオンする電圧を第1電圧とし前記第1トランジスタをオフする電圧を第2電圧としたとき、前記第1電圧と前記第2電圧との間の第3電圧を生成するように構成された第1制御回路と、
を備える、撮像装置。
【請求項3】
第2ゲート、第2ソース、第2ドレインを有し、前記第2ソースおよび前記第2ドレインの一方が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに接続され、前記第2ソースおよび前記第2ドレインの他方に第4電圧が印加される第2トランジスタをさらに備える、請求項1
または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
入射光量に対応する画素信号を出力する画素と、
前記画素に接続され、前記画素からの前記画素信号が出力される出力信号線と、
第1ゲート、第1ソース、第1ドレインを有し、前記出力信号線に前記第1ソースおよび前記第1ドレインの一方が接続された第1トランジスタと、
前記第1ゲートに接続され、前記第1トランジスタをオンする電圧を第1電圧とし前記第1トランジスタをオフする電圧を第2電圧としたとき、前記第1電圧と前記第2電圧との間の第3電圧を生成するように構成された第1制御回路と、
を備え、
前記第1制御回路は、前記第1電圧を生成するように構成され、
前記第1制御回路は、
第1期間において前記第1電圧を前記第1ゲートに印加し、
前記第1期間と異なる第2期間において前記第3電圧を前記第1ゲートに印加する、撮像装置。
【請求項5】
前記画素は、
前記第1期間において前記画素信号を前記出力信号線に出力し、
前記第2期間においてリセット後の基準信号を前記出力信号線に出力する、請求項
4に記載の撮像装置。
【請求項6】
第3ゲート、第3ソース、第3ドレインを有し、前記第3ソースおよび第3ドレインの一方が前記第1ソースおよび前記第1ドレインの前記一方に接続され、前記第3ソースおよび第3ドレインの他方が前記第1ソースおよび前記第1ドレインの前記他方に接続される第3トランジスタと、
前記第3ゲートに接続される第2制御回路と
をさらに備える、請求項
4または請求項
5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2制御回路は、前記第3トランジスタをオンする第4電圧と前記第3トランジスタをオフする第5電圧を生成するように構成され、
前記第2制御回路は、
前記第1期間において第4電圧を前記第3ゲートに印加し、
前記第2期間において第5電圧を前記第3ゲートに印加する、請求項
6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1トランジスタはn型トランジスタであり、
前記第3トランジスタはp型トランジスタである、請求項
6または請求項
7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1トランジスタはp型トランジスタであり、
前記第3トランジスタはn型トランジスタである、請求項
6または請求項
7に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタと前記第3トランジスタの導電型は同じである、請求項
6または請求項
7に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1トランジスタのゲート幅は前記第3トランジスタのゲート幅よりも小さい、請求項
10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1電圧は電源電圧であり、前記第2電圧は接地電圧である、請求項
4から請求項
11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1電圧は接地電圧であり、前記第2電圧は電源電圧である、請求項
4から請求項
11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第3電圧は、電源電圧と接地電圧との間の電圧である、請求項
12または請求項
13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第1電圧は電源電圧よりも高い電圧であり、前記第2電圧は接地電圧である、請求項
4から請求項
11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第1電圧は接地電圧よりも低い電圧であり、前記第2電圧は電源電圧である、請求項
4から請求項
11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記第1ゲートに前記第3電圧が印加されたときに前記第1トランジスタが線形な入出力特性を示す入力電圧範囲は、前記第1ゲートに前記第1電圧が印加されたときに前記第1トランジスタが線形な入出力特性を示す入力電圧範囲よりも狭い、請求項1から請求項
16のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リセット時の基準信号と、受光量に応じた信号とを順次走査して出力する撮像装置が知られている。この基準信号と受光量に応じた信号との差分を取ることによって、真の信号を得ることができる。この処理は、いわゆる相関二重サンプリング(CDS)である。
【0003】
例えば、太陽を撮影した場合に、本来は照度が高いはずの太陽が周囲よりも暗く撮像される。これは、一般的に、黒沈み現象又は黒つぶれ現象と呼ばれる。黒沈み現象は、撮像装置の受光面が継続的に高輝度光に晒される状態において高頻度で発生する。
【0004】
これに対して、特許文献1は、クリップトランジスタが設けられた撮像装置を開示する。クリップトランジスタは、画素出力線における信号の電位をクリップする機能を有する。クリップトランジスタのソースおよびドレインの一方は画素出力線に接続され、クリップトランジスタのソースおよびドレインの他方は電源電圧線に接続される。クリップトランジスタを用いることにより、リセット信号を読み出すとき、演算増幅器の出力端子の電位が一定電位レベル以下に低下しないようにすることが可能となる。これにより、黒沈み現象を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
簡素な回路構成によって黒沈み現象を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様による撮像装置は、入射光量に対応する画素信号を出力する画素と、前記画素に接続され、前記画素からの前記画素信号が出力される出力信号線と、第1ゲート、第1ソース、第1ドレインを有し、前記出力信号線に前記第1ソースおよび前記第1ドレインの一方が接続された第1トランジスタと、前記第1ゲートに接続され、前記第1トランジスタをオンする電圧を第1電圧とし前記第1トランジスタをオフする電圧を第2電圧としたとき、前記第1電圧と前記第2電圧との間の第3電圧を生成するように構成された第1制御回路とを備え、前記画素信号は、前記第1トランジスタを介して前記出力信号線から出力される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の例示的な実施形態によれば、簡素な回路構成により黒沈みを抑制することが可能な撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、比較例に係る撮像装置の回路構成を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例に係る撮像装置で通常の輝度の被写体を撮像するときの動作タイミングを示す図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る撮像装置で高輝度被写体を撮像するときの動作タイミングを示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る撮像装置の回路構成を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る撮像装置の動作タイミングを示す図である。
【
図7】
図7は、VH=Vddの場合の実施形態1に係るクリップ回路の入出力特性を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る第1制御回路の回路構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の変形例に係る撮像装置の回路構成を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の変形例に係る撮像装置の動作タイミングを示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る撮像装置の回路構成を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係る撮像装置の動作タイミングを示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係るクリップ回路の入出力特性を示すグラフである。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る第2制御回路の回路構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態3に係る撮像装置の回路構成を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態3に係る撮像装置の動作タイミングを示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態3に係るクリップ回路の入出力特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様の概要は以下の項目に記載のとおりである。
【0011】
[項目1]
入射光量に対応する画素信号を出力する画素と、
前記画素に接続され、前記画素からの前記画素信号が出力される出力信号線と、
第1ゲート、第1ソース、第1ドレインを有し、前記出力信号線に前記第1ソースおよび前記第1ドレインの一方が接続された第1トランジスタと、
前記第1ゲートに接続され、前記第1トランジスタをオンする電圧を第1電圧とし前記第1トランジスタをオフする電圧を第2電圧としたとき、前記第1電圧と前記第2電圧との間の第3電圧を生成するように構成された第1制御回路と、
を備える撮像装置。
【0012】
[項目2]
第2ゲート、第2ソース、第2ドレインを有し、前記第2ソースおよび前記第2ドレインの一方が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに接続され、前記第2ソースおよび前記第2ドレインの他方に第4電圧が印加される第2トランジスタをさらに備える、項目1に記載の撮像装置。
【0013】
[項目3]
前記第1制御回路は、前記第1電圧を生成するように構成され、
前記第1制御回路は、
第1期間において前記第1電圧を前記第1ゲートに印加し、
前記第1期間と異なる第2期間において前記第3電圧を前記第1ゲートに印加する、項目1または項目2に記載の撮像装置。
【0014】
[項目4]
前記画素は、
前記第1期間において前記画素信号を前記出力信号線に出力し、
前記第2期間においてリセット後の基準信号を前記出力信号線に出力する、項目3に記載の撮像装置。
【0015】
[項目5]
第3ゲート、第3ソース、第3ドレインを有し、前記第3ソースおよび第3ドレインの一方が前記第1ソースおよび前記第1ドレインの前記一方に接続され、前記第3ソースおよび第3ドレインの他方が前記第1ソースおよび前記第1ドレインの前記他方に接続される第3トランジスタと、
前記第3ゲートに接続される第2制御回路と
をさらに備える、項目3または項目4に記載の撮像装置。
【0016】
[項目6]
前記第2制御回路は、前記第3トランジスタをオンする第4電圧と前記第3トランジスタをオフする第5電圧を生成するように構成され、
前記第2制御回路は、
前記第1期間において第4電圧を前記第3ゲートに印加し、
前記第2期間において第5電圧を前記第3ゲートに印加する、項目5に記載の撮像装置。
【0017】
[項目7]
前記第1トランジスタはn型トランジスタであり、
前記第3トランジスタはp型トランジスタである、項目5または項目6に記載の撮像装置。
【0018】
[項目8]
前記第1トランジスタはp型トランジスタであり、
前記第3トランジスタはn型トランジスタである、項目5または項目6に記載の撮像装置。
【0019】
[項目9]
前記第1トランジスタと前記第3トランジスタの導電型は同じである、項目5または項目6に記載の撮像装置。
【0020】
[項目10]
前記第1トランジスタのゲート幅は前記第3トランジスタのゲート幅よりも小さい、項目9に記載の撮像装置。
【0021】
[項目11]
前記第1電圧は電源電圧であり、前記第2電圧は接地電圧である、項目3から項目10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0022】
[項目12]
前記第1電圧は接地電圧であり、前記第2電圧は電源電圧である、項目3から項目10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0023】
[項目13]
前記第3電圧は、電源電圧と接地電圧との間の電圧である、項目11または項目12に記載の撮像装置。
【0024】
[項目14]
前記第1電圧は電源電圧よりも高い電圧であり、前記第2電圧は接地電圧である、項目3から項目10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0025】
[項目15]
前記第1電圧は接地電圧よりも低い電圧であり、前記第2電圧は電源電圧である、項目3から項目10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0026】
[項目16]
前記第1ゲートに前記第3電圧が印加されたときに前記第1トランジスタが線形な入出力特性を示す入力電圧範囲は、前記第1ゲートに前記第1電圧が印加されたときに前記第1トランジスタが線形な入出力特性を示す入力電圧範囲よりも狭い、項目1から項目15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0027】
また、本開示の一態様の概要は以下に記載のとおりである。
【0028】
本発明の一態様に係る撮像装置は、入射光に対応した信号を出力する画素と、前記画素に電気的に接続され、前記画素からの信号が出力される出力信号線と、前記出力信号線にソースおよびドレインの一方が電気的に接続された第1トランジスタと、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの他方に電気的に接続され、前記信号が出力される出力端子と、前記第1トランジスタのゲートに異なる3値の電圧を印加する第1制御回路と、を備える。
【0029】
これによれば、出力信号線と出力端子との間の導通および非導通を制御するための第1トランジスタを用いて、出力端子に出力される信号の電圧レベルを制限できる。よって、簡素な回路構成により黒沈みを抑制できる。ここで出力端子とは、第1トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、出力信号線からの信号が第1トランジスタを介して出力される端子を意味する。
【0030】
例えば、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方又は前記他方に、ソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記他方をリセットする第2トランジスタを備えてもよい。
【0031】
これによれば、出力端子の電圧を短時間でリセットできる。
【0032】
例えば、第1期間において、前記第1制御回路は、前記第1トランジスタをオンとする第1電圧を前記第1トランジスタのゲートに印加し、前記第1期間と異なる第2期間において、前記第1制御回路は、前記第1電圧と、前記第1トランジスタをオフとする第2電圧と、の間の第3電圧を、前記第1トランジスタのゲートに印加してもよい。
【0033】
これによれば、第1トランジスタがオンする電圧とオフする電圧との間の電圧を第1トランジスタに印加することで、出力端子に出力される信号の電圧レベルを制限できる。
【0034】
例えば、前記第1期間は信号電圧が読み出される期間であり、前記第2期間はリセット電圧が読み出される期間であってもよい。
【0035】
これによれば、リセット電圧の電圧レベルを制限することで黒沈みを抑制できる。
【0036】
例えば、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に、ソースおよびドレインの一方が接続され、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記他方に、ソースおよびドレインの他方が接続される第3トランジスタと、前記第3トランジスタのゲートに電圧を印加する第2制御回路と、を備えてもよい。
【0037】
これによれば、例えば、出力信号線と出力端子とが導通される期間における信号伝達特性を向上できる。
【0038】
例えば、前記第1期間において、前記第2制御回路は、前記第3トランジスタをオンとする第4電圧を前記第2トランジスタのゲートに印加し、前記第2期間において、前記第2制御回路は、前記第3トランジスタをオフとする第5電圧を前記第2トランジスタのゲートに印加してもよい。
【0039】
これによれば、第1期間における信号伝達特性を向上できるとともに、第2期間において電圧レベルを制限できる。
【0040】
例えば、前記第1トランジスタはn型トランジスタであり、前記第3トランジスタはp型トランジスタであってもよい。
【0041】
これによれば、正孔を信号電荷として読み出す画素構成において、第1期間における信号伝達特性を向上できるとともに、第2期間において電圧レベルを制限できる。
【0042】
例えば、前記第1トランジスタはp型トランジスタであり、前記第3トランジスタはn型トランジスタであってもよい。
【0043】
これによれば、電子を信号電荷として読み出す画素構成において、第1期間における信号伝達特性を向上できるとともに、第2期間において電圧レベルを制限できる。
【0044】
例えば、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタの導電型は同じであってもよい。
【0045】
これによれば、回路構成をよりシンプルにできる。
【0046】
例えば、前記第1トランジスタのゲート幅は前記第3トランジスタのゲート幅よりも小さくてもよい。
【0047】
これによれば、回路構成をよりシンプルにできる。
【0048】
例えば、前記第1電圧は電源電圧であり、前記第2電圧は接地電圧であってもよい。
【0049】
これによれば、正孔を信号電荷として読み出す画素構成において、第1期間における信号伝達特性を向上できるとともに、第2期間において電圧レベルを制限できる。
【0050】
例えば、前記第1電圧は接地電圧であり、前記第2電圧は電源電圧であってもよい。
【0051】
これによれば、電子を信号電荷として読み出す画素構成において、第1期間における信号伝達特性を向上できるとともに、第2期間において電圧レベルを制限できる。
【0052】
例えば、前記第3電圧は、電源電圧と接地電圧との中間の電圧であってもよい。
【0053】
これによれば、第1トランジスタのゲートに電源電圧と接地電圧との間の電圧を印加することで、出力端子に出力される信号の電圧レベルを制限できる。
【0054】
例えば、前記第1電圧は電源電圧よりも高い電圧であり、前記第2電圧は接地電圧であってもよい。
【0055】
これによれば、第1期間において伝達できる信号の電圧範囲を拡大できる。
【0056】
例えば、前記第1電圧は接地電圧よりも低い電圧であり、前記第2電圧は電源電圧であってもよい。
【0057】
これによれば、第1期間において伝達できる信号の電圧範囲を拡大できる。
【0058】
例えば、第1期間において、前記第1制御回路は、第1電圧を前記第1トランジスタのゲートに印加し、前記第1期間と異なる第2期間において、前記第1制御回路は、前記第1電圧と異なる第2電圧を、前記第1トランジスタのゲートに印加し、前記第1トランジスタは、前記第1期間において、第3電圧以上第4電圧以下の入力電圧範囲において、入力された電圧に対して線形な電圧を出力し、前記第1トランジスタは、前記第2期間において、第5電圧以上第6電圧以下の入力電圧範囲において、入力された電圧に対して線形な電圧を出力し、前記第3電圧と前記第4電圧との差は、前記第5電圧と前記第6電圧との差よりも大きくてもよい。
【0059】
これによれば、第2期間において出力端子に出力される信号の電圧レベルを制限できる。
【0060】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
【0061】
(比較例の撮像装置)
実施形態に係る撮像装置について説明する前に、後述する本開示の特徴的な構成を適用していない比較例に係る撮像装置の構成および動作を、
図1、
図2、
図3および
図4を参照して説明する。
【0062】
(比較例の撮像装置300の構造)
図1は、比較例に係る撮像装置300の回路構成例を模式的に示す図である。
【0063】
撮像装置300は、2次元に配列された複数の画素100および周辺回路を備える。実際には、数百万個の画素100が2次元に配列され得る。図面の簡略化の観点から、
図1には、ある一列に配置された2画素のみを示している。撮像装置300は、ラインセンサであっても構わない。その場合、複数の画素100は、1次元(例えば、行方向または列方向)に配列される。
【0064】
画素100は、入射光量に対応した信号を出力する。周辺回路は、例えば、列アンプ202、AD変換回路203(アナログ-デジタル変換回路)、および行走査回路(不図示)を備える。周辺回路は、主に、画素100から画素信号を読み出して処理し、それらを撮像装置300の外部に出力する。
【0065】
画素100および第1トランジスタ204は、列毎に設けられた出力信号線102を介して互いに電気的に接続される。列アンプ202は、画素100から読み出された基準信号および画素信号をAD変換回路203に出力する。
【0066】
AD変換回路203は、列アンプ202から出力される基準信号および画素信号の差分を取ることで真の画素信号を算出する。そして、AD変換回路203は、得られた真の画素信号をAD変換することでデジタル信号を生成する。撮像装置300は、画素信号として、例えば、RAWデータを出力することが可能である。
【0067】
なお、ここでは、AD変換前の基準信号および画素信号の差分を算出する例を示すが、AD変換回路203は、基準信号および画素信号の各々をAD変換し、AD変換後に基準信号および画素信号の差分を算出してもよい。
【0068】
画素100は、典型的に、光電変換部105、リセットトランジスタM1、増幅トランジスタM2および選択トランジスタM3を有する。
【0069】
光電変換部105は、例えば、光電変換膜を有する。光電変換部105は、光電変換により信号電荷を生成する。光電変換部105は、リセットトランジスタM1および増幅トランジスタM2に電気的に接続される。光電変換部105、リセットトランジスタM1および増幅トランジスタM2を電気的に接続するノードは、一般に、浮遊拡散ノードと称される。本明細書では、浮遊拡散ノードを、FDノードまたは電荷蓄積ノードと呼ぶことがある。光電変換部105によって光電変換された信号電荷は、FDノード101に蓄積される。
【0070】
リセットトランジスタM1は、FDノード101に電気的に接続される。
図1においては、リセットトランジスタM1のソースおよびドレインの一方がFDノード101に接続されている。リセットトランジスタM1は、FDノード101の電位を基準電位VRSTにリセットする。リセットトランジスタM1は、ゲートに入力される制御信号RSTによって制御される。
【0071】
増幅トランジスタM2は、FDノード101に電気的に接続される。
図1においては、増幅トランジスタM2のゲートがFDノード101に接続されている。増幅トランジスタM2は、FDノード101に蓄積された信号電荷の量に応じて生じる信号電圧を増幅して出力する。
【0072】
選択トランジスタM3は、増幅トランジスタM2および出力信号線102に電気的に接続される。増幅トランジスタM2および選択トランジスタM3によってソースフォロワ回路が形成される。選択トランジスタM3は、ゲートに入力される制御信号SELによって制御される。選択トランジスタM3は、増幅トランジスタM2の出力信号を出力信号線102に選択的に出力する。
【0073】
第1トランジスタ204は出力信号線102の出力信号を列回路(列アンプ202、およびAD変換回路203)に転送するか否かを選択するスイッチである。
【0074】
ここでは、信号電荷が正孔である例を説明する。ただし、信号電荷が電子である撮像装置も本開示の範疇である。
【0075】
(光電変換部の説明)
図2は、
図1に示される画素100に含まれる光電変換部105の、半導体基板105Dの法線方向に沿った断面を模式的に示す図である。
【0076】
図2に示すように、
図1に示す光電変換部105は、透明電極105Aと、画素電極105Bと、透明電極105Aと画素電極105Bとの間に配置される光電変換膜105Cと、を有する。透明電極105Aは、当該透明電極105Aの電位を制御する制御回路(不図示)に電気的に接続される。拡散領域105Fは半導体基板105D中に設けられており、コンタクトプラグ105Eを介して画素電極105Bに電気的に接続される。画素電極105B、コンタクトプラグ105E、および拡散領域105Fは、先に説明したFDノード101に含まれる。本開示において、光電変換部105は、フォトダイオードであってもよく、
図2に示すような光電変換膜105Cを有する構成であってもよい。
【0077】
図1に示す撮像装置300において、電荷は以下のように収集される。透明電極105A側から光が光電変換膜105Cに入射すると、光電変換によって正と負の電荷が生じる。このとき、透明電極105Aと画素電極105Bとの間に電圧が印加されると電界が生じる。その結果、正および負の電荷のうちの一方が画素電極105Bによって収集される。例えば、画素電極105Bを基準電位VRSTにリセットし、透明電極105Aに電圧VITOを印加する。この場合、VITO>VRST>0であれば正電荷が画素電極105Bによって収集される。このとき、VITOは例えば10V、基準電位VRSTは例えば1Vである。一方、VITO<VRSTであれば負電荷が画素電極105Bによって収集され、FDノード101に蓄積される。
【0078】
(撮像装置300の動作)
まず、通常の輝度の被写体を撮像するときの動作を説明する。
【0079】
図3は、通常の輝度の被写体を撮像するときの動作タイミングの一例を示す図である。
図3は、制御信号SEL、制御信号RST、出力信号線102に出力される電圧V_IN、第1トランジスタ204から出力される電圧V_OUT、第1トランジスタ204の制御信号S0、および、AD変換回路203で用いられるサンプリング信号AD_Sの波形を示す。
【0080】
(画素信号読み出し期間T1)
画素信号読み出し期間T1において、画素信号を示す信号電圧Vsが読み出される。具体的には、時刻t1において、制御信号SELがハイレベルになり、選択トランジスタM3がオンする。これにより、読み出し対象の画素100が列毎に選択され、選択された画素100からの画素信号の読み出しが開始される。具体的には、上述したソースフォロワ回路が、FDノード101に蓄積された信号電荷の量に応じた画素信号を出力信号線102に出力する。
【0081】
ソースフォロワ回路のゲインをGsfとする。出力信号線102の電圧は、式(1)で表される信号電圧Vsになる。ここで、VRSTは、リセット時の基準電位であり、ΔVPCは、光電変換により発生した電荷の量に応じた画素信号電圧であり、Vth0は、増幅トランジスタM2の閾値電圧である。
【0082】
Vs=Gsf×(VRST+ΔVPC-Vth0) (1)
【0083】
時刻t1において制御信号S0をハイレベルとし、第1トランジスタ204をオンしている。よって、画素信号読み出し期間T1において、信号電圧Vsは、出力信号線102から第1トランジスタ204および列アンプ202を介してAD変換回路203に伝達される。つまり、画素信号読み出し期間T1において、電圧V_INおよび電圧V_OUTは共に信号電圧Vsである。
【0084】
(リセット期間T2)
時刻t2において制御信号RSTがハイレベルになり、リセットトランジスタM1がオンする。これにより、FDノード101の電位は基準電位VRSTにリセットされる。また、制御信号S0はロウレベルであり、第1トランジスタ204はオフしている。つまり、リセット期間T2において、電圧V_INは、後述する基準電圧Vdまで低下する。また、電圧V_OUTは信号電圧Vsのまま維持される。
【0085】
(基準信号読み出し期間T3)
基準信号読み出し期間T3において、基準信号を示す基準電圧Vd(暗時電圧またはリセット電圧とも呼ぶ)が読み出される。具体的には、時刻t3において、制御信号RSTをロウレベルとし、リセットトランジスタM1をオフにする。このとき出力信号線102の電圧は、式(2)で表される基準電圧Vdになる。
【0086】
Vd=Gsf×(VRST-Vth0) (2)
【0087】
時刻t3において、制御信号S0をハイレベルとし、第1トランジスタ204をオンしている。よって、基準電圧Vdは、出力信号線102から第1トランジスタ204および列アンプ202を介してAD変換回路203に伝達される。つまり、基準信号読み出し期間T3において、電圧V_INおよび電圧V_OUTは共に基準電圧Vdである。
【0088】
次に、撮像装置300は、画素信号読み出し期間T1に出力された信号電圧Vsと、基準信号読み出し期間T3に出力された基準電圧Vdとの差分を算出する。これにより、真の画素信号を示す差電圧Vpixが得られる。差電圧Vpixは式(3)により表される。
【0089】
Vpix=Vs-Vd
=Gsf×(VRST+ΔVPC-Vth0)-Gsf×(VRST-Vth0)
=Gsf×ΔVPC (3)
【0090】
そして、AD変換回路203は、差電圧VpixをAD変換する。
【0091】
次に、黒沈みが発生し得る高輝度の被写体を撮像するときの動作を説明する。
図4は、高輝度の被写体を撮像するときの動作タイミングの一例を示す図である。
【0092】
(画素信号読み出し期間T1)
期間T1における動作は、通常の輝度の被写体を撮像するときの動作と同じである。但し、高輝度の被写体を撮像したときには、光電変換により発生する電荷によりFDノード101が飽和する。そのため、FDノード101に蓄積された電荷の量に応じた画素信号電圧も飽和する。飽和した際の画素信号電圧をΔVPC_MAXで表す。式(1)のΔVPCをΔVPC_MAXに置き換えると、式(4)が得られる。
【0093】
Vs=Gsf×(VRST+ΔVPC_MAX-Vth0) (4)
【0094】
(リセット期間T2)
図3と同様に、時刻t2において、制御信号RSTがハイレベルになり、リセットトランジスタM1がオンする。これにより、FDノード101の電位は基準電位VRSTにリセットされる。
【0095】
(基準信号読み出し期間T3)
時刻t3において制御信号RSTがロウレベルになり、リセットトランジスタM1がオフにする。高輝度の被写体を撮像したときには、時刻t3から時刻t4までの期間においても、光電変換により多くの信号電荷が発生する。そのためFDノード101の電位は急激に上昇する。これにより、電圧V_INおよび電圧V_OUTも上昇する。電圧V_INおよび電圧V_OUTは、最大で、信号電圧Vsと同じレベルに到達し得る。
【0096】
このような状態では、出力信号線102には、最大で、式(5)で表される基準電圧Vdが出力される。
【0097】
Vd=Gsf×(VRST+ΔVPC_MAX-Vth0) (5)
【0098】
式(5)で表される基準電圧Vdが出力された場合、基準電圧Vdと信号電圧Vsとの差分はゼロとなる。つまり、真の画素信号を示す差電圧Vpixはゼロとなり、画像中の画素100に対応する箇所は黒を示す。このような理由により、高輝度の被写体を撮像したときに黒沈みが発生する。
【0099】
なお、ここでは、AD変換前の基準信号および画素信号の差分を算出する例を示すが、AD変換回路203は、基準信号および画素信号の各々をAD変換し、AD変換後に基準信号および画素信号の差分を算出してもよい。
【0100】
この場合、
図3および
図4に示すサンプリング信号AD_SがハイレベルになるタイミングにおいてAD変換回路203は出力端子214の電圧をサンプリングし、AD変換する。つまり、時刻t2の直前に、AD変換回路203は信号電圧VsをAD変換する。また、時刻t4の直前に、AD変換回路203は基準電圧VdをAD変換する。
【0101】
(実施形態1)
図5から
図7を参照して、本実施形態による撮像装置200の構造および動作を説明する。
【0102】
(撮像装置200の構造)
図5は、本実施形態による撮像装置200の回路構成例を模式的に示す図である。撮像装置200は、2次元に配列された複数の画素100および周辺回路を備える。なお、画素100の構成は、
図1に示す撮像装置300の画素100の構成と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0103】
周辺回路は、クリップ回路201、列アンプ202、AD変換回路203、および行走査回路(不図示)を備える。なお、クリップ回路201以外の構成は、
図1に示す撮像装置300と同様であり、説明は省略する。周辺回路は、主に、画素100から画素信号を読み出して処理し、処理後の画素信号を撮像装置200の外部に出力する。
【0104】
画素100およびクリップ回路201は、列毎に設けられた出力信号線102を介して互いに電気的に接続される。クリップ回路201は、出力信号線102に出力された基準信号および画素信号を出力端子214に出力する。具体的には、クリップ回路201は、出力信号線102の信号を出力端子214にそのまま出力するモードと、出力信号線102と出力端子214とを非導通にするモードと、出力信号線102の信号の電圧値を制限したうえで出力端子214に出力するモードとを有する。
【0105】
クリップ回路201は、第1トランジスタ211、リセットスイッチ212、第1制御回路213、および出力端子214を有する。出力端子214には寄生容量Cpが接続されている。
【0106】
第1トランジスタ211は制御信号S1によって制御され、入力電圧V_INを出力電圧V_OUTとして出力する。具体的には、第1トランジスタ211のゲートには制御信号S1が印加され、ソースおよびドレインの一方は出力信号線102に接続され、ソースおよびドレインの他方は出力端子214に接続される。なお、以下では、第1トランジスタ211の出力信号線102側のノードをV_INノードと呼び、出力端子214側のノードをV_OUTノードと呼ぶ。
【0107】
出力端子214は列アンプ202の入力端子に接続される。つまり、画素100から出力された信号は、出力端子214を介して後段の処理回路(ここでは列アンプ202)に出力される。なお、出力端子214より後段の構成は一例であり、この構成に限定されず、公知の任意の撮像装置に本開示のクリップ回路201を適用することができる。
【0108】
リセットスイッチ212(第2トランジスタとも呼ぶ)は、V_OUTノードに接続される。リセットスイッチ212は、V_INノードに接続されてもよい。リセットスイッチ212は、制御信号S2によってオンおよびオフが制御される。リセットスイッチ212がオンすることで、V_OUTノードの寄生容量Cpに蓄積された電荷を排出し、V_OUTノードを固定電位にリセットする。具体的には、リセットスイッチ212のゲートには制御信号S2が印加され、ソースおよびドレインの一方は出力端子214に接続され、ソースおよびドレインの他方には固定電位(例えば接地電圧)が印加される。リセットスイッチ212がオンすることで、例えば第1トランジスタ211のゲートに中間電圧が印加される場合にも、寄生容量Cpに蓄積された電荷を短時間で排出することができる。なお、リセットスイッチ212のソースおよびドレインの他方に印加される固定電位は、例えば基準電位VRST、または基準電位VRSTに近い電位であってもよい。これにより、寄生容量Cpの充電もしくは放電に必要な時間を短縮できる。
【0109】
第1制御回路213は、第1トランジスタ211を制御する3値の制御信号S1を生成する。なお、制御信号S1以外の各種信号については、例えば、撮像装置200が備える制御回路(図示せず)により生成される。
【0110】
また、実施形態1では、信号電荷が正孔である例を説明する。ただし、信号電荷が電子である撮像装置も本開示の範疇である。
【0111】
[撮像装置200の動作]
通常の輝度の被写体を撮像するときの動作は撮像装置300と同様である。以下、黒沈みが発生し得る高輝度の被写体を撮像するときの動作を説明する。
【0112】
図6は、高輝度の被写体を撮像するときの動作タイミングの一例を示す図である。
図6には、制御信号SEL、制御信号RST、出力信号線102に出力される電圧V_IN、第1トランジスタ211から出力される電圧V_OUT、第1トランジスタ211の制御信号S1、リセットスイッチ212の制御信号S2、AD変換回路203のサンプリング信号AD_Sの波形を示す。
【0113】
(画素信号読み出し期間T1)
前述した比較例に係る撮像装置300と同様に出力信号線102の電圧Vsは、式(4)で示される。また、時刻t1において制御信号S1はハイレベル(VH)となり、第1トランジスタ211がオンする。VHは、例えば電源電圧Vddである。これにより、信号電圧Vsが出力端子214および列アンプ202を介して、AD変換回路203に入力される。
【0114】
(リセット期間T2)
前述した比較例に係る撮像装置300と同様に、時刻t2において、制御信号RSTがハイレベルとなり、リセットトランジスタM1がオンする。これにより、FDノード101の電位は基準電位VRSTにリセットされる。
【0115】
時刻t2において、制御信号S1がロウレベル(VL)となり、第1トランジスタ211がオフする。VLは、例えば接地電圧(GND電圧)である。また、時刻t3において、制御信号S2がハイレベルとなり、V_OUTノードの寄生容量Cpに蓄積された電荷が排出され、V_OUTノードが固定電位にリセットされる。
図5に示す例ではV_OUTノードは接地電圧にリセットされる。その後、時刻t4において、制御信号S2がロウレベルとなり、リセットスイッチ212はオフする。
【0116】
(基準信号読み出し期間T3)
時刻t5において制御信号RSTがロウレベルになり、リセットトランジスタM1がオフする。また、制御信号S1が中間電圧レベル(VM)になる。VMは、例えば電源電圧Vddと接地電圧(GND電圧)との間の電圧である。これにより、出力電圧V_OUTが入力電圧V_IN以下にクリップされる。
【0117】
このクリップ動作の原理について、
図7を用いて説明する。
図7は、第1トランジスタ211の入出力特性を示すグラフである。
図7の横軸は、入力電圧V_INを示し、縦軸は出力電圧V_OUTを示す。一点鎖線は、制御信号S1がハイレベル(VH)である場合の第1トランジスタ211の入出力特性を示す。実線は、制御信号S1が中間レベル(VM)である場合の第1トランジスタ211の入出力特性を示す。ここでは一例として、VH=Vdd、0<VM=Vclip<Vddとした場合のグラフを示す。
【0118】
制御信号S1=VHのときには、0≦V_IN≦Vdd-Vthの範囲で入出力特性は線形に変化する。ここでVthは、第1トランジスタ211の閾値電圧である。具体的には、0≦V_IN≦Vdd-Vthの範囲では、V_OUT=V_INであり、Vdd-Vth<V_INでは、V_OUT=Vdd-Vthである。
【0119】
一方、制御信号S1=VMのときには、0≦V_IN≦Vclip-Vthの範囲で入出力特性は線形に変化する。具体的には、0≦V_IN≦Vclip-Vthの範囲では、V_OUT=V_INであり、Vclip-Vth<V_INでは、V_OUT=Vclip-Vthである。
【0120】
つまり、第1トランジスタ211のゲートに印加される制御信号S1がVMである場合には、クリップ回路201が線形に出力可能な入力電圧V_INの範囲が制御信号S1=VHの場合と比べて狭くなっている。言い換えると、第1トランジスタ211は、ゲートに第1電圧(VH)が印加される第1期間において、0以上、Vdd-Vth以下の入力電圧範囲において、線形な入出力特性を示す。また、第1トランジスタ211は、ゲートに第3電圧(VM)が印加される第2期間において、0以上、Vclip-Vth以下の入力電圧範囲において、線形な入出力特性を示す。第2期間において第1トランジスタ211が線形な入出力特性を示す入力電圧範囲は、第1期間において第1トランジスタ211が線形な入出力特性を示す入力電圧範囲よりも狭い。
【0121】
ここで、出力信号線102に出力される信号電圧Vsは光量に応じて、0~Vddの範囲で変化する。一方、基準電圧Vdは通常の輝度の被写体を撮像するときは、上記式(2)で示される。一方、基準電圧Vdは、高輝度の被写体を撮像する場合は、光量に関係なく以下の式(6)で示される。
【0122】
Vd=Vclip-Vth (6)
【0123】
つまり、クリップ回路201は、基準電圧読出し時には、この基準電圧Vdを出力できれば良く、基準電圧Vdよりも高い電圧を出力できなくてよい。
【0124】
また高輝度被写体を撮影したときの黒沈み現象を抑制する観点では、基準信号Vdの読み出し期間T3では、クリップ回路201が線形に出力可能な範囲を制限するのが望ましい。本実施形態では、制御信号S1を変化させることにより、画素信号読み出し期間T1と基準信号読み出し期間T3とで第1トランジスタ211が出力できる電圧範囲を変更することができる。これにより、
図1に示す構成に対して、クリップ用のトランジスタ等を新たに追加することなく、黒沈み現象を抑制できる。このように、本実施形態に係る撮像装置200は、簡素な回路構成により黒沈みを抑制できる。
【0125】
具体的には、
図4の場合と同様に、時刻t5から時刻t6までの期間においても、高輝度の被写体の影響により電圧V_INが上昇する。しかしながら、制御信号S1が中間電圧VMであるため、トランジスタ211の出力電圧V_OUTは、Vclip-Vthにクリップされる。
【0126】
また、撮像装置200は、信号電圧Vsと基準電圧Vdとの差分を取る。これにより、差電圧Vpixが得られる。式(4)および式(6)から差電圧Vpixは式(7)により表される。
【0127】
Vpix=Vs-Vd
=Gsf×(VRST+ΔVPC_MAX-Vth0)-(Vclip-Vth) (7)
【0128】
ここで、(Vclip-Vth)は、Gsf×(VRST+ΔVPC_MAX-Vth0)よりも小さい。したがって、Vpixはゼロよりも大きい値をとる。よって、撮像装置200においては黒沈みが低減される。
【0129】
図8は、第1制御回路213の一例を示す図である。第1制御回路213は、トランジスタM11~M17を備える。トランジスタM11のゲートとドレインとが接続される。トランジスタM11のゲートとドレインとには電源電圧が印加される。トランジスタM12のゲートには電圧VBが印加され、ソースには接地電圧が印加され、ドレインはトランジスタM11のソースに接続される。なお、トランジスタM11とトランジスタM12との接続点をVMノードとも呼ぶ。
【0130】
トランジスタM13のゲートには信号S5が印加され、ソースおよびドレインの一方はVMノードに接続され、ソースおよびドレインの他方はV11ノードに接続される。トランジスタM14のゲートには信号S5bが印加され、ソースおよびドレインの一方はVMノードに接続され、ソースおよびドレインの他方はV11ノードに接続される。
【0131】
トランジスタM15のゲートには信号S6が印加され、ソースには電圧VHが印加され、ドレインはV11ノードに接続される。トランジスタM16のゲートはパルス入力端子INに接続され、ソースはV11ノードに接続され、ドレインは出力端子OUTに接続される。トランジスタM17のゲートはパルス入力端子INに接続され、ソースには電圧VLが印加され、ドレインは出力端子OUTに接続される。
【0132】
なお、例えばトランジスタM14、トランジスタM15、トランジスタM16はPMOSトランジスタであり、他のトランジスタはNMOSトランジスタであってもよい。
【0133】
パルス入力端子INの信号を切り替えることで、出力端子OUTに電圧VL、又は電圧V11が出力される。トランジスタM11とトランジスタM12とはソースフォロワ回路を構成する。当該ソースフォロワ回路は中間電圧VMを生成する。また、トランジスタM12のゲート電圧VBを変更することで、中間電圧VMを変更できる。また、信号S5と信号S6との組み合わせにより、中間電圧VMと、電圧VHとの一方が電圧V11として出力される。なお、信号S5bは、信号S5の反転信号である。
【0134】
以上の構成により、第1制御回路213は、3値の電圧VL、VM、VHを出力できる。
【0135】
なお、上記では、VH=Vddの例を示したが、VHは、電源電圧Vddより高い電圧であってもよい。これにより、画素信号読み出し期間T1におけるクリップ回路201の出力電圧範囲を広げることができる。具体的には、クリップ回路201は、Vdd-Vthより高い電圧を出力できる。例えば、VH=Vdd+Vthとした場合、第1トランジスタ211の入出力特性は後述する
図13と同様になる。
【0136】
なお、ここでは、AD変換前の基準信号および画素信号の差分を算出する例を示すが、AD変換回路203は、基準信号および画素信号の各々をAD変換し、AD変換後に基準信号および画素信号の差分を算出してもよい。
【0137】
この場合、
図6に示すサンプリング信号AD_SがハイレベルになるタイミングにおいてAD変換回路203は出力端子214の電圧をサンプリングし、AD変換する。つまり、時刻t2の直前に、AD変換回路203は信号電圧VsをAD変換する。また、時刻t6の直前に、AD変換回路203はAD変換する。
【0138】
(実施形態1の変形例)
図9は、実施形態1の変形例に係る撮像装置200Cの構成を示す図である。
図9に示す撮像装置200Cは、
図5に示す撮像装置200に対して、リセットスイッチ212の接続位置が異なる。具体的には、クリップ回路201Cにおいて、リセットスイッチ212のソースおよびドレインの一方は、第1トランジスタ211のソースおよびドレインのうち、出力信号線102に接続されている方に接続され、ソースおよびドレインの他方には固定電位(例えば接地電圧)が印加される。なお、リセットスイッチ212のソースおよびドレインの他方に印加される固定電位は、例えば基準電位VRST、または基準電位VRSTに近い電位であってもよい。これにより、寄生容量Cpの充電もしくは放電に必要な時間を短縮できる。
【0139】
図10は、実施形態1の変形例における撮像装置200Cの動作タイミングを示す図である。
図10に示す動作は、
図6に示す動作に対して、制御信号S1および制御信号S2の波形が異なる。
【0140】
具体的には、リセット期間T2の時刻t2において、制御信号S1をハイレベルのままとした状態で、制御信号S2がハイレベルになる。これにより、V_INノードとV_OUTノードとが導通した状態で、リセットスイッチ212がオンする。よって、第1トランジスタ211を介してV_OUTノードの寄生容量Cpに蓄積された信号電荷をリセットできる。また、同時に出力信号線102の寄生容量に蓄積された信号電荷もリセットできる。これによって、FDノード101が変化したときの出力信号線102の応答を高速化する効果がある。その後、時刻t3において、制御信号S1と制御信号S2とをオフにする。以降の動作は
図6と同様である。
【0141】
(実施形態2)
図11は、実施形態2における撮像装置200Aの構成を示す図である。
図11に示す撮像装置200Aは、実施形態1における撮像装置200に対して、さらに、第3トランジスタ215と第2制御回路216とを備える。
【0142】
第3トランジスタ215は、第1トランジスタ211に並列に接続される。第2制御回路216は、第3トランジスタ215のゲートに接続され、2値の制御信号S3を生成し、第3トランジスタ215のゲートに制御信号S3を印加する。
【0143】
なお、ここでは、第1トランジスタ211がNMOSトランジスタ(n型トランジスタ)であり、第3トランジスタ215がPMOSトランジスタ(p型トランジスタ)である例を説明する。第1トランジスタ211がPMOSトランジスタであり、第3トランジスタ215がNMOSトランジスタであってもよい。
【0144】
図12は、実施形態2における撮像装置200Aの動作タイミングを示す図である。
図12では、実施形態1に係る
図6に対して、制御信号S3が追加されている。
【0145】
画素信号の読み出し期間T1の時刻t1において、制御信号S3がロウレベルになり、第3トランジスタ215はオンする。リセット期間T2の時刻t2に制御信号S3はハイレベルになり、第3トランジスタ215はオフする。つまり、第3トランジスタ215は、画素信号読み出し期間T1においてオンし、リセット期間T2および基準信号読み出し期間T3においてオフする。
【0146】
これにより、画素信号の読み出し期間T1においては、第1トランジスタ211と第3トランジスタ215との両方がオンする。よって、クリップ回路201Aは、実施形態1におけるクリップ回路201に比べて、より広い電圧範囲で線形に画素信号を出力できる。具体的には、実施形態1では、0~Vdd-Vthの電圧範囲で線形に画素信号を出力可能であるのに対して、実施形態2では、0~Vddの電圧範囲で線形に画素信号を出力できる。また、NMOSトランジスタである第1トランジスタ211とPMOSトランジスタである第3トランジスタ215との両方をオンさせることにより、両トランジスタのオン抵抗を低減できるので、クリップ回路201Aの応答特性を向上できる。NMOSトランジスタのオン抵抗は、ソース/ゲート間電圧が大きい範囲で大きくなり、PMOSトランジスタのオン抵抗は、ソース/ゲート間電圧が小さい範囲で大きくなる。したがって、両方のトランジスタを並列に接続することにより、広いソース/ゲート間電圧の範囲で、両者の合成抵抗を小さくすることが可能になる。
【0147】
また、基準信号読み出し期間T3においては、第3トランジスタ215はオフする。よって、実施形態1と同様に第1トランジスタ211により出力電圧をクリップできるので、黒沈みを抑制できる。
【0148】
図13は、実施形態2におけるクリップ回路201Aの入出力特性を示すグラフである。
図13の横軸は、入力電圧V_INを示し、縦軸は出力電圧V_OUTを示す。一点鎖線は、制御信号S1がハイレベル(VH)であり、制御信号S3がロウレベル(VL)である画素信号読み出し期間T1におけるクリップ回路201Aの入出力特性を示す。実線は、制御信号S1が中間レベル(VM)であり、制御信号S3がハイレベル(VH)である基準信号読み出し期間T3におけるクリップ回路201Aの入出力特性を示す。ここでは一例として、VH=Vdd、0<VM=Vclip<Vddとした場合のグラフを示す。
【0149】
図13に示すように、画素信号読み出し期間T1では、0≦V_OUT≦Vddの範囲で入出力特性は線形に変化する。一方、基準信号読み出し期間T3では、実施形態1と同様に、0≦V_OUT≦Vclip-Vthの範囲で入出力特性は線形に変化する。
【0150】
図14は、第2制御回路216の一例を示す図である。第2制御回路216は、トランジスタM21およびM22を備える。トランジスタM21のゲートはパルス入力端子INに接続され、ソースには電圧VHが印加され、ドレインは出力端子OUTに接続される。トランジスタM22のゲートはパルス入力端子INに接続され、ソースには電圧VLが印加され、ドレインは出力端子OUTに接続される。
【0151】
パルス入力端子INの信号を切り替えることで、出力端子OUTに電圧VL、又は電圧VHが出力される。このように、第2制御回路216は、2値の電圧VL、VHを出力できる。
【0152】
なお、第3トランジスタ215は、第1トランジスタ211と同じ導電型であってもよい。つまり、第1トランジスタ211および第3トランジスタ215は、共にNMOSトランジスタであってもよい。この場合でも、画素信号読み出し期間T1において、第1トランジスタ211および第3トランジスタ215の両方をオンすることでオン抵抗を低減できる。オン抵抗はトランジスタのサイズに反比例するが、第1トランジスタ211と第3トランジスタ215とを並列に接続し、同時にオンすることにより、よりサイズの大きなトランジスタ1つと等価であるとみなせるためである。また、この場合、第3トランジスタ215は、第1トランジスタ211よりも電流を流しやすいことが望ましい。例えば、第3トランジスタ215のゲート幅は第1トランジスタ211よりも広くてもよい。または、第3トランジスタ215の閾値電圧は第1トランジスタ211の閾値電圧より低くてもよい。または、第3トランジスタ215のゲートに印加される制御信号S3のハイレベルの電圧値が、第1トランジスタ211のゲートに印加される制御信号S1のハイレベルの電圧値よりも高くてもよい。
【0153】
(実施形態3)
本実施形態では、光電変換部にフォトダイオードを用いる場合について説明する。
【0154】
図15は、実施形態3における撮像装置200Bの回路構成例を模式的に示す図である。
図15に示す撮像装置200Bは、
図5に示す撮像装置200に対して画素100Bの構成が画素100と異なる。また、クリップ回路201Bの構成がクリップ回路201と異なる。
【0155】
画素100Bは、光電変換部105の代わりに、フォトダイオード106を備える点で画素100と異なる。また、画素100Bは、さらに、転送トランジスタM4を備える。
【0156】
転送トランジスタM4は、フォトダイオード106とFDノード101との間に接続される。転送トランジスタM4は、ゲートに印加される制御信号TGによりオンおよびオフが制御される。転送トランジスタM4を用いることで、フォトダイオード106からの信号電荷をFDノード101に完全に転送することができる。
【0157】
クリップ回路201Bは、第1トランジスタ211Bと、リセットスイッチ212Bと、第1制御回路213Bとを備える。実施形態1では、第1トランジスタ211はNMOSトランジスタであったが、本実施形態では第1トランジスタ211BはPMOSトランジスタである。また、実施形態1では、リセットスイッチ212のソースおよびドレインの他方には、例えば接地電圧が印加されていたが、本実施形態ではリセットスイッチ212Bのソースおよびドレインの他方には、電源電圧、または電源電圧に近い基準電圧が印加される。また以降の説明では、信号電荷は電子である。なお、リセットスイッチ212Bのソースおよびドレインの他方に印加される固定電位は、例えば基準電位VRST、または基準電位VRSTに近い電位であってもよい。また、本実施形態における基準電位VRSTは、接地電位よりも電源電圧に近い電位である。これにより、寄生容量Cpの充電もしくは放電に必要な時間を短縮できる。
【0158】
図16は、高輝度被写体を撮影しているときの実施形態3における動作タイミングの一例を示す図である。
図6に示す実施形態1の動作に対して、制御信号RST、転送トランジスタM4の制御信号TG、制御信号S1、制御信号S2、電圧V_IN、V_OUT、AD変換回路203のサンプリング信号AD_Sの波形が異なっている。
【0159】
また、実施形態1では、画素信号読み出し(期間T1)、リセット(期間T2)、基準信号読み出し(期間T3)の順に動作が行われたが、本実施形態では、リセット(期間T4)、基準信号読み出し(期間T5)、画素信号読み出し(期間T6)の順に動作が行われる。
【0160】
(リセット期間T4)
時刻t1において、制御信号SELがハイレベルになり、選択トランジスタM3がオンする。また、制御信号RSTがハイレベルとなり、リセットトランジスタM1がオンにする。これにより、FDノード101の電位は基準電位VRSTにリセットされる。また、制御信号S1はハイレベル(VH)であり、第1トランジスタ211Bはオフしている。例えば、VHは電源電圧である。また、時刻t1において、制御信号S2がハイレベルとなり、リセットスイッチ212Bがオンする。これによりV_OUTノードがリセットされる。
図16に示す例ではV_OUTノードは電源電圧Vddにリセットされる。その後、制御信号S2がロウレベルとなり、リセットスイッチ212Bはオフする。
【0161】
(基準信号読み出し期間T5)
時刻t2において制御信号RSTがロウレベルとなり、リセットトランジスタM1がオフする。通常照度での撮影であればFDノード101は基準電位VRSTのままである。しかし、高輝度被写体を撮影する場合、フォトダイオード106で大量の電子が発生し、FDノード101へ電荷が流入することがある。そのため、出力信号線102は飽和信号の電圧レベルである信号電圧Vsまで低下し得る。したがって、出力信号線102の電圧は、式(8)で表される基準電圧Vdになる。ここで、ΔVPCは、光電変換により発生した電荷の量に応じた画素信号電圧であり、Vth0は、増幅トランジスタM2の閾値電圧である。
【0162】
Vd=Gsf×(VRST-ΔVPC-Vth0) (8)
【0163】
また、制御信号S1が中間電圧レベル(VM)になる。これにより、出力電圧V_OUTがクリップされる。
【0164】
図17は、第1トランジスタ211Bの入出力特性を示すグラフである。
図17の横軸は、入力電圧V_INを示し、縦軸は出力電圧V_OUTを示す。一点鎖線は、制御信号S1がロウレベル(VL)である場合の第1トランジスタ211Bの入出力特性を示す。実線は、制御信号S1が中間レベル(VM)である場合の第1トランジスタ211Bの入出力特性を示す。ここでは一例として、VL=0、0<VM=Vclip’<Vdd-Vth’とした場合のグラフを示す。ここで、Vth’は第1トランジスタ211Bの閾値電圧である。
【0165】
制御信号S1=VLのときには、Vth’≦V_OUT≦Vddの範囲で入出力特性は線形に変化する。具体的には、Vth’≦V_IN≦Vddの範囲では、V_OUT=V_INであり、V_IN<Vth’では、V_OUT=Vth’である。
【0166】
一方、制御信号S1=VMのときには、Vclip’+Vth’≦V_OUT≦Vddの範囲で入出力特性は線形に変化する。具体的には、Vclip’+Vth’≦V_IN≦Vddの範囲では、V_OUT=V_INであり、V_IN<Vclip’+Vth’では、V_OUT=Vclip’+Vth’である。
【0167】
よって、クリップ回路201Bの出力電圧は以下の式(9)で表される。
【0168】
Vd=V_OUT=Vclip’+Vth’ (9)
【0169】
(画素信号読み出し期間T6)
時刻t3において、制御信号TGがハイレベルになり、転送トランジスタM4がオンする。これにより、フォトダイオード106で発生した信号電荷がFDノード101に転送される。このとき出力信号線102の電圧は、式(10)で表される信号電圧Vsになる。
【0170】
Vs=Gsf×(VRST-ΔVPC_MAX-Vth0) (10)
【0171】
また、制御信号S1はロウレベル(VL)であり、第1トランジスタ211Bがオンする。例えば、VLは接地電圧である。これにより、信号電圧Vsが出力端子214および列アンプ202を介して、AD変換回路203に入力される。
【0172】
また、撮像装置200Bは、信号電圧Vsと基準電圧Vdとの差分を取る。これにより、差電圧Vpixが得られる。差電圧Vpixは式(11)により表される。式(9)、式(10)より、この値はゼロ以外の値をとり得る。よって、黒沈みを抑制できる。
【0173】
Vpix=Vs-Vd
=Gsf×(VRST+ΔVPC_MAX-Vth0)-(Vclip’+Vth’) (11)
【0174】
なお、上記では、VLが接地電圧である例を示したが、VLは、接地電圧より低い電圧であってもよい。これにより、画素信号読み出し期間T6におけるクリップ回路201Bの出力電圧範囲を広げることができる。具体的には、クリップ回路201Bは、Vth’未満の電圧を出力できる。
【0175】
また、実施形態2と同様に、第1トランジスタ211Bに並列に接続される第3トランジスタ215を用い、同様の制御を行ってもよい。この場合、例えば、第3トランジスタ215は、NMOSトランジスタである。
【0176】
あるいは、第3トランジスタ215は、第1トランジスタ211Bと同じ導電型であってもよい。つまり、第1トランジスタ211Bおよび第3トランジスタ215は、共にPMOSトランジスタであってもよい。この場合、実施形態2と同様に、第3トランジスタ215は、第1トランジスタ211Bよりも電流を流しやすいことが望ましい。
【0177】
なお、ここでは、AD変換前の基準信号および画素信号の差分を算出する例を示すが、AD変換回路203は、基準信号および画素信号の各々をAD変換し、AD変換後に基準信号および画素信号の差分を算出してもよい。
【0178】
この場合、
図16に示すサンプリング信号AD_SがハイレベルになるタイミングにおいてAD変換回路203は出力端子214の電圧をサンプリングし、AD変換する。つまり、時刻t3の直前に、AD変換回路203は基準電圧VdをAD変換する。また、時刻t4の直前に、AD変換回路203は信号電圧VsをAD変換する。
【0179】
以上、本開示の実施形態に係る撮像装置について説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0180】
例えば、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。
【0181】
また、上記実施形態に係る各装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0182】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0183】
また、上記各実施形態において、各構成要素の一部は、当該構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0184】
また、本明細書において、ある素子が他の素子に「接続されている」と表現されている場合は、これらの素子の間には第3の素子が介在していてもよい。ある素子が他の素子に「直接的に接続されている」と表現されている場合は、これらの素子の間には第3の素子が介在しないことを意味する。さらに、ある素子が他の素子に「電気的に接続されている」と表現されている場合は、これらの素子が常に電気的に接続されている必要はなく、少なくともある時点において電気的に接続されることを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本開示による撮像装置は、デジタルスチルカメラ、医療用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ、デジタル一眼レフカメラ、およびデジタルミラーレス一眼カメラ等、様々なカメラシステム及びセンサシステムへの利用が可能である。
【符号の説明】
【0186】
100、100B 画素
101 電荷蓄積ノード
102 出力信号線
105 光電変換部
105A 透明電極
105B 画素電極
105C 光電変換膜
105D 半導体基板
105E コンタクトプラグ
106 フォトダイオード
200、200A、200B、200C、300 撮像装置
201、201A、201B、201C クリップ回路
202 列アンプ
203 AD変換回路
204、211、211B 第1トランジスタ
212、212B リセットスイッチ(第2トランジスタ)
213、213B 第1制御回路
214 出力端子
215 第3トランジスタ
216 第2制御回路
M1 リセットトランジスタ
M2 増幅トランジスタ
M3 選択トランジスタ
M4 転送トランジスタ