(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 1/36 20060101AFI20230428BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20230428BHJP
H01H 13/18 20060101ALN20230428BHJP
【FI】
H01H1/36 Z
H01H13/52 B
H01H13/18 Z
(21)【出願番号】P 2020510739
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011419
(87)【国際公開番号】W WO2019188583
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2018069725
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 幸則
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓司
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014276(JP,A)
【文献】特開2015-072894(JP,A)
【文献】特開2013-225456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/36
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに前記ベースの下面を通して取り付けられ、上下方向に延伸する第1端子と、
前記ベースに、前記上下方向に垂直な左右方向において前記第1端子と並ぶように取り付けられ、前記上下方向に延伸する第2端子と、
前記ベースに前記ベースの上面を通して取り付けられた繋ぎ端子と、
前記第1端子と前記繋ぎ端子とに接合された第1電子部品と、
前記第2端子と前記繋ぎ端子とに接合された第2電子部品と、
前記第2端子の上方で、前記繋ぎ端子の上端部に下端が接触するように位置決めされた復帰ばねと、
前記復帰ばねを介して前記ベースに支持され、前記上下方向に移動可能な操作子と、
前記操作子に取り付けられ、前記左右方向に延伸する作動子と、
を備え、
前記第1端子は、
外部導体が電気的に接続される第1接続片と、
前記第1接続片の上端の第1部分から上向きに延伸する繋ぎ片と、
前記繋ぎ片の上端から上向きに延伸する固定接点片と、を有し、
前記第2端子は、前記外部導体とは異なる外部導体が電気的に接続される第2接続片を有し、
前記繋ぎ端子は、
前記第1接続片の上端の第2部分と、前記第2接続片の上端に対向し、
前記操作子の移動に伴って、前記作動子に設けられた可動接点に前記固定接点片が接触することによって、前記第1端子と前記第2端子との間の電路が形成され、
前記第1電子部品は、前記左右方向に長い矩形状であり、前記左右方向において接合面を有するように、前記第1接続片と前記繋ぎ端子とに接合され、
前記第2電子部品は、前記左右方向に長い矩形状であり、前記左右方向において接合面を有するように、前記第2接続片と前記繋ぎ端子とに接合さ
れ、
前記第1電子部品及び前記第2電子部品は、それぞれ前記ベースに埋まっている、
スイッチ。
【請求項2】
前記第1端子及び前記第2端子は、それぞれりん青銅を含んでいる、
請求項1記載のスイッチ。
【請求項3】
前記第1端子の一部は、前記ベースの上面から露出している、
請求項1又は2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記第1電子部品は、はんだにより、前記第1端子に接合されており、
前記第2電子部品は、はんだにより、前記第2端子に接合されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記第1電子部品及び前記第2電子部品は、それぞれ抵抗素子である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチに関し、より詳細には、電子部品を備えたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、チップ抵抗(電子部品)を備えたスイッチ装置(電子部品付きスイッチスイッチ)を開示している。このスイッチ装置は、操作体と、可動接点と、スイッチ本体と、スイッチ本体に取り付けられる装置状態検出用の基板と、を備える。可動接点は、操作体に対する操作により移動する。スイッチ本体は、可動接点の移動に伴って導通状態が切り換えられる第1、第2の端子を有する。基板には、第1、第2の端子と導通するチップ抵抗が実装されている。
【0003】
特許文献1に記載のスイッチ装置では、電子部品を実装した基板をスイッチ本体に取り付けているため、全体として小型化を図りにくい、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は、小型化を図ることのできるスイッチを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係るスイッチは、ベースと、第1端子と、第2端子と、繋ぎ端子と、第1電子部品と、第2電子部品と、復帰ばねと、操作子と、作動子と、を備える。前記第1端子は、前記ベースに前記ベースの下面を通して取り付けられ、上下方向に延伸する。前記第2端子は、前記ベースに、前記上下方向に垂直な左右方向において前記第1端子と並ぶように取り付けられ、前記上下方向に延伸する。前記繋ぎ端子は、前記ベースに前記ベースの上面を通して取り付けられる。前記第1電子部品は、前記第1端子と前記繋ぎ端子とに接合される。前記第2電子部品は、前記第2端子と前記繋ぎ端子とに接合される。前記復帰ばねは、前記第2端子の上方で、前記繋ぎ端子の上端部に下端が接触するように位置決めされる。前記操作子は、前記復帰ばねを介して前記ベースに支持され、前記上下方向に移動可能である。前記作動子は、前記操作子に取り付けられ、前記左右方向に延伸する。前記第1端子は、外部導体が電気的に接続される第1接続片と、前記第1接続片の上端の第1部分から上向きに延伸する繋ぎ片と、前記繋ぎ片の上端から上向きに延伸する固定接点片と、を有する。前記第2端子は、前記外部導体とは異なる外部導体が電気的に接続される第2接続片を有する。前記繋ぎ端子は、前記第1接続片の上端の第2部分と、前記第2接続片の上端に対向する。前記操作子の移動に伴って、前記作動子に設けられた可動接点に前記固定接点片が接触することによって、前記第1端子と前記第2端子との間の電路が形成される。前記第1電子部品は、前記左右方向に長い矩形状であり、前記左右方向において接合面を有するように、前記第1接続片と前記繋ぎ端子とに接合される。前記第2電子部品は、前記左右方向に長い矩形状であり、前記左右方向において接合面を有するように、前記第2接続片と前記繋ぎ端子とに接合される。前記第1電子部品及び前記第2電子部品は、それぞれ前記ベースに埋まっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るスイッチにおいて、第1端子、第2端子、繋ぎ端子、及び固定接点片を示す正面図である。
【
図2】
図2は、同上のスイッチにおいて、操作子が第2位置にある状態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、同上のスイッチを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のスイッチを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のスイッチにおいて、操作子が第1位置にある状態を示す正面図である。
【
図6】
図6Aは、同上のスイッチの回路図である。
図6Bは、同上のスイッチの動作の説明図である。
【
図7】
図7Aは、同上のスイッチに用いる電子部品の正面図である。
図7Bは、比較例のスイッチに用いる電子部品の正面図である。
【
図8】
図8Aは、参考例のスイッチにおいて、第1端子、第2端子、及び固定接点片を示す正面図である。
図8Bは、同上のスイッチの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)概要
本実施形態の電子部品付きスイッチ(スイッチ)100は、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)等の外部の回路に接続して用いられる。そして、本実施形態のスイッチ100は、例えば車両のドアやボンネットの開閉を検知するために用いられる。もちろん、スイッチ100の用途を限定する趣旨ではなく、検知対象は車両のドアの開閉等に限定されない。
【0009】
本実施形態のスイッチ100は、
図1及び
図2に示すように、ベース11と、端子20(本実施形態では、第1端子21、第2端子22、及び/又は繋ぎ端子23)と、電子部品60(本実施形態では、第1抵抗素子61及び/又は第2抵抗素子62)と、を備える。ベース11は、スイッチ100のケース1の一部である。
【0010】
端子20は、ベース11に取り付けられている。具体的には、端子20である第1端子21及び第2端子22は、ベース11の厚さ方向に沿ってベース11を貫通した状態で、ベース11に取り付けられている。また、端子20である繋ぎ端子23は、ベース11に埋まっている。端子20は、操作子4(後述する)の移動に応じて開閉する接点部7(後述する固定接点片3及び作動子5)を含む電路の一部を形成する。
【0011】
電子部品60は、例えば抵抗素子又はダイオードなどの部品であり、端子20に接合される電極601,602を有している。電子部品60は、端子20に接合することで端子20と電気的に接続される部品であればよい。また、電子部品60は、一方向(
図1における左右方向)に長い矩形状である。そして、電極601,602は、電子部品60の上記一方向に沿った2辺のうち少なくとも一方の辺に設けられている。
【0012】
上述のように、本実施形態では、電子部品60が端子20に接合されている。このため、本実施形態では、電子部品を実装した基板をケースに取り付ける場合と比較して、小型化を図ることができる、という利点がある。また、本実施形態では、電子部品60の有する電極601,602は、電子部品60の一方向(長手方向)に沿った辺に設けられている。このため、本実施形態の電子部品60では、短手方向(
図1における上下方向)に沿った辺に電極601,602を設ける場合と比較して、電極601,602の面積を大きくすることができ、結果として放熱性能を向上することができる。したがって、本実施形態では、電子部品60に要求される放熱性能を十分に確保しつつ、電子部品60の小型化を図りやすいので、結果としてスイッチ100の小型化を図ることができる、という利点がある。
【0013】
(2)構成
以下、本実施形態のスイッチ100の構成について詳細に説明する。以下では、
図4において、操作子4と復帰ばね8(後述する)とが並ぶ方向を第1方向(上下方向)とし、復帰ばね8から見て操作子4側を上方、その逆を下方として説明する。また、
図4において、第1端子21と第2端子22とが並ぶ方向を第2方向(左右方向)とし、第2端子22から見て第1端子21側を左方、その逆を右方として説明する。更に、
図4において、後述する一対の挟み片(第1挟み片51及び第2挟み片52)が並ぶ方向を第3方向(前後方向)とし、第2挟み片52から見て第1挟み片51側を前方、その逆を後方として説明する。
【0014】
なお、
図1~
図5、及び
図7A~
図8には、これらの方向(上、下、左、右、前、後)を表す矢印を示すが、これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、上記の方向の規定は、本実施形態のスイッチ100、及び参考例のスイッチの使用形態を限定する趣旨ではない。
【0015】
本実施形態のスイッチ100は、
図1~
図4に示すように、ベース11及びカバー12からなるケース1と、第1端子21と、第2端子22と、繋ぎ端子23と、固定接点片3と、操作子4と、作動子5とを備えている。また、スイッチ100は、第1抵抗素子61と、第2抵抗素子62と、コイルばねからなる復帰ばね8とを備えている。第2抵抗素子62は、抵抗素子としての第1抵抗素子61とは異なる抵抗素子である。
図1は、第1端子21、第2端子22、繋ぎ端子23、固定接点片3、第1抵抗素子61、及び第2抵抗素子62のみを表している。
図2、
図4は、カバー12を外した状態のスイッチ100を表している。
【0016】
以下、第1端子21と、第2端子22と、繋ぎ端子23とを区別しない場合には、第1端子21、第2端子22、及び繋ぎ端子23を「端子20」という。また、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62を区別しない場合には、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62を「電子部品60」という。
【0017】
ケース1は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂などの樹脂材料により形成されている。ケース1は、
図3に示すように、一面(下面)に開口を有する箱状のカバー12と、カバー12の開口を塞ぐ扁平な直方体状のベース11とからなる。カバー12の一面(上面)には、円形状の開口部121が設けられている。この開口部121を通して、操作子4の一部(後述する押釦411)がケース1の外部に露出している。
【0018】
ベース11の一面(上面)には、
図4に示すように、上向きに突出する扁平な直方体状の台座111が設けられている。台座111の一面(上面)の中央には、上向きに突出する一対の突部112が設けられている。これら一対の突部112に復帰ばね8の第1端(下端)を嵌め合わせることで、復帰ばね8がベース11に位置決めされる(
図2参照)。
【0019】
ベース11の一面(上面)には、
図2及び
図4に示すように、左右方向において台座111と並ぶ形で、上向きに突出する起立部113が設けられている。起立部113は、台座111よりも上方に突出している。また、起立部113は、固定接点片3と併せて上下方向に長い板状となるような形状に形成されている。本実施形態では、起立部113は、電気絶縁性を有する材料により形成されている。このため、起立部113は、作動子5の一対の可動接点511,521(後述する)の間を電気的に絶縁する絶縁部として機能する。このため、以下では、「起立部113」は、「絶縁部113」ということもある。
【0020】
本実施形態では、ベース11、台座111、一対の突部112、及び起立部113は、インサート成形により、樹脂成形品として一体に形成される。
【0021】
第1端子21、第2端子22、繋ぎ端子23、及び固定接点片3は、いずれも銅合金などの金属材料により形成されている。金属材料としては、例えば黄銅、りん青銅、すず青銅、快削黄銅、又は快削りん青銅などが挙げられる。金属材料としては、りん青銅のように黄銅と比較して熱伝導率の低い材料であるのが好ましい。具体的には、黄銅の熱伝導率が120[W/(m・K)]であるのに対して、りん青銅の熱伝導率は60[W/(m・K)]である。
【0022】
第1端子21及び第2端子22は、
図2に示すように、それぞれベース11の厚さ方向(上下方向)に沿ってベース11を貫通するようにして設けられている。言い換えれば、第1端子21及び第2端子22がベース11を貫通する方向が、ベース11の厚さ方向となるように、第1端子21及び第2端子22が設けられている。また、第1端子21及び第2端子22は、左右方向に並んで設けられている。繋ぎ端子23は、第1端子21と第2端子22とを繋ぐための端子である。本実施形態では、第1端子21、第2端子22、及び繋ぎ端子23は、いずれもインサート成形によりベース11と一体に構成されている。また、本実施形態では、第1端子21及び第2端子22は穴あきはんだ端子であるが、例えばフォーク端子などの他の端子であってもよい。
【0023】
図1に示すように、第1端子21は、接続片210と、接合片211と、繋ぎ片212と、を有している。第2端子22は、接続片220と、接合片221と、を有している。繋ぎ端子23は、第1接合片231と、第2接合片232と、取付片233と、を有している。
【0024】
第1端子21の接続片210は、第1端子21のうちベース11から露出している部位であり、外部導体が電気的に接続される。同様に、第2端子22の接続片220は、第2端子22のうちベース11から露出している部位であり、接続片210に接続される外部導体とは異なる外部導体が電気的に接続される。本実施形態では、接続片210,220には、それぞれはんだ付けによりリード線が電気的に接続される。このように接続片210,220の各々に外部導体が電気的に接続されることにより、第1端子21及び第2端子22の各々が外部導体を介して外部回路などに電気的に接続される。
【0025】
第1端子21の接合片211及び第2端子22の接合片221は、いずれも電子部品60が電気的に接続される部位である。本実施形態では、接合片211には、はんだ付けにより、第2抵抗素子62の一対の電極621,622のうちの一方の電極621が電気的に接続されている。第2抵抗素子62の他方の電極622は、はんだ付けにより、繋ぎ端子23の第2接合片232に電気的に接続されている。また、接合片221には、はんだ付けにより、第1抵抗素子61の一対の電極611,612のうちの一方の電極611が電気的に接続されている。第1抵抗素子61の他方の電極612は、はんだ付けにより、繋ぎ端子23の第1接合片231に電気的に接続されている。以下、第1抵抗素子61の電極611と第2抵抗素子62の電極621とを区別しない場合には、電極611,621をそれぞれ「電極601」という。同様に、第1抵抗素子61の電極612と第2抵抗素子62の電極622とを区別しない場合には、電極612,622をそれぞれ「電極602」という。
【0026】
繋ぎ片212は、接続片210及び接合片211と、固定接点片3とを繋ぐ部位である。つまり、本実施形態では、第1端子21は、繋ぎ片212により固定接点片3と一体に形成されており、電子部品60を介さずに固定接点片3と電気的に接続されている。
【0027】
繋ぎ端子23は、上述の第1接合片231及び第2接合片232の他に、取付片233を有している。取付片233は、第1接合片231から上方に突出しており、ベース11の一対の突部112の間に挿入される。取付片233は、一対の突部112により位置決めされた復帰ばね8の第1端(下端)に接触することで、復帰ばね8と電気的に接続されている。つまり、繋ぎ端子23は、復帰ばね8と電気的に接続されている。
【0028】
固定接点片3は、ベース11の厚さ方向(上下方向)に沿って第1端子21と並んで配置されている。固定接点片3は、インサート成形により起立部113と一体に構成されている。固定接点片3及び起立部113は、作動子5が移動する第1位置(後述する)と第2位置(後述する)との間において、ベース11の厚さ方向に並んでいる。固定接点片3は、作動子5の一対の可動接点511,521と接触することにより、作動子5と電気的に接続される。
【0029】
操作子4は、ベース11と同様に、PBT樹脂などの樹脂材料により形成されている。操作子4は、
図2及び
図4に示すように、ベース11の厚さ方向(上下方向)に沿って第2端子22と並んで配置されている。言い換えれば、操作子4は、ベース11の幅方向(左右方向)の片側(ここでは、右側)に寄せて配置されている。
【0030】
操作子4は、本体部41で構成されている。本体部41は、更に、押釦411と、筒体412と、取付台413とで構成されている。押釦411は、円柱状に形成されており、筒体412の第1端(上端)に設けられている。押釦411は、ケース1の外部に露出しており(
図3参照)、外力が加わることでケース1の内側に向かって(つまり、下方に向かって)押し込まれるように構成されている。
【0031】
筒体412は、上下方向に長い角筒状に形成されている。筒体412には、円筒状のキャップ42が被せられている。キャップ42の一面(上面)には、円形状の開口部421が設けられている。この開口部421を通して、押釦411がキャップ42の外部に露出している。
【0032】
取付台413は、一面(下面)に開口を有する箱状であり、筒体412の第2端(下端)に一体に形成されている。取付台413の内側には、復帰ばね8の第2端(上端)が取り付けられている。つまり、操作子4は、復帰ばね8を介してベース11に支持されている。また、取付台413の内側には、一対の挟み片51,52を露出させた状態で作動子5が取り付けられている。
【0033】
操作子4は、ベース11の厚さ方向(上下方向)に沿って移動するように構成されている。具体的には、操作子4は、押釦411が外力を加えられて押し込まれることにより、復帰ばね8の弾性力に抗って下方に移動する。操作子4が下方に移動すると、復帰ばね8は操作子4に押されて圧縮され、弾性変形する。また、操作子4は、押釦411に外力が作用しなくなると、復帰ばね8の弾性力により上方へと移動し、元の状態に復帰する。
【0034】
作動子5は、銅合金などの金属材料により形成されている。作動子5は、
図2及び
図4に示すように、一対の挟み片51,52と、連結片53とで構成されている。一対の挟み片51,52は、いずれも左右方向に長い板状に形成されている。一対の挟み片51,52の各々の第1端(右端)は、平板状の連結片53に一体に形成されている。この連結片53が操作子4の取付台413の内側に取り付けられることで、作動子5が操作子4に取り付けられている。
【0035】
ここで、連結片53は、復帰ばね8の第2端(上端)と接触しており、復帰ばね8と電気的に接続されている。また、復帰ばね8は、既に述べたように、繋ぎ端子23に電気的に接続されている。したがって、作動子5は、繋ぎ端子23に電気的に接続されている。
【0036】
一対の挟み片51,52は、第1端(右端)を支点として前後方向に撓むように構成されている。一対の挟み片51,52は、第1端(右端)において最も間隔が広がっており、第1から第2端(左端)に向かうにつれて間隔が狭まるように構成されている。一対の挟み片51,52のうちの第1挟み片51の第2端(左端)には、第2挟み片52と対向する面(後面)から後ろ向きに突出する半球状の第1可動接点511が一体に形成されている。また、一対の挟み片51,52のうちの第2挟み片52の第2端(左端)には、第1挟み片51と対向する面(前面)から前向きに突出する半球状の第2可動接点521が一体に形成されている。
【0037】
一対の挟み片51,52は、固定接点片3又は起立部113を厚さ方向(前後方向)の両側から挟んでいる。具体的には、一対の挟み片51,52は、第1挟み片51の第1可動接点511を固定接点片3又は起立部113の前面に、第2挟み片52の第2可動接点521を固定接点片3又は起立部113の後面に接触させて、固定接点片3又は起立部113を挟んでいる。
【0038】
作動子5は、操作子4の移動に伴ってベース11の厚さ方向(上下方向)に沿って第1位置と第2位置との間で移動するように構成されている。第1位置は、作動子5が固定接点片3に接触する位置である。言い換えれば、第1位置は、一対の可動接点511,521によって固定接点片3を挟み込んでいる位置である(
図5参照)。
図5は、
図2と同様に、カバー12を外した状態のスイッチ100を表している。第2位置は、作動子5が固定接点片3に接触しない位置である。言い換えれば、第2位置は、一対の可動接点511,521によって起立部(絶縁部)113を挟み込んでいる位置である。
【0039】
そして、一対の可動接点511,521は、固定接点片3又は起立部113を挟み込みながら、第1位置と第2位置との間を擦りながら動くようになっている。ここで、作動子5が第1位置から第2位置へ移動するとき、一対の可動接点511,521が固定接点片3と絶縁部113との境界を超えると、一対の可動接点511,521は、固定接点片3を挟む状態から絶縁部113を挟む状態へと瞬時に切り替わる。同様に、作動子5が第2位置から第1位置へ移動するとき、作動子5が固定接点片3と絶縁部113との境界を超えると、一対の可動接点511,521は、絶縁部113を挟む状態から固定接点片3を挟む状態へと瞬時に切り替わる。つまり、本実施形態のスイッチ100は、いわゆる摺動接点方式である。
【0040】
第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれも矩形状のチップ抵抗器である。つまり、本実施形態では、電子部品60は、抵抗器である。第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62のサイズは、例えば1.6mm×0.8mm程度である。もちろん、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62のサイズを限定する趣旨ではなく、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62のサイズは、スイッチ100の要求される電力量(ワット数)に応じて適宜変更されてもよい。
【0041】
本実施形態では、第1抵抗素子61の有する電極611,612は、それぞれ第1抵抗素子61の2つの短辺(上下方向に沿った2辺)ではなく、2つの長辺(左右方向に沿った2辺)に設けられている。同様に、第2抵抗素子62の有する電極621,622は、それぞれ第2抵抗素子62の2つの短辺(上下方向に沿った2辺)ではなく、2つの長辺(左右方向に沿った2辺)に設けられている。つまり、電子部品60の電極601,602は、一方向(電子部品60の長手方向)に沿った2辺のうち少なくとも一方の辺に設けられている。更に言えば、本実施形態では、電子部品60は電極601,602を2つ有しており、2つの電極601,602は、それぞれ一方向(電子部品60の長手方向)に沿った2辺に設けられている。
【0042】
また、本実施形態では、第1抵抗素子61の電極611,612は、それぞれ長手方向の全長にわたって第2端子22の接合片221及び繋ぎ端子23の第1接合片231に接合されている。同様に、第2抵抗素子62の電極621,622は、それぞれ長手方向の全長にわたって第1端子21の接合片211及び繋ぎ端子23の第2接合片232に接合されている。つまり、本実施形態では、電極601,602は、一方向(電子部品60の長手方向)の全長にわたって端子20に接合されている。
【0043】
また、本実施形態では、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、
図2に示すように左右方向に並んだ状態で、インサート成形により、ベース11に埋まっている。具体的には、本実施形態では、第1端子21、第2端子22、及び繋ぎ端子23に第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62を接合した後に、インサート成形することにより、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62をベース11に埋めている。つまり、本実施形態では、電子部品60は、ベース11に埋まっている。ここで、電子部品60をベース11に埋めることにより、電子部品60は、端子20に対してより強固に固定される。これにより、スイッチ100を、はんだ付け等を用いて実装する場合に、端子20から伝わるはんだ付けの熱によって電子部品60が端子20から脱落する可能性を低減することができる。
【0044】
ここで、ケース1は、接点部7(固定接点片3及び作動子5)を収容している。そして、ベース11は、既に述べたようにケース1の構成要素である。したがって、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62がベース11に埋まっていることから、電子部品60(第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62)は、ケース1に収容されている、と言える。
【0045】
また、本実施形態では、第1抵抗素子61は、2つの電極611,612がベース11の厚さ方向(上下方向)に並ぶ状態で、ベース11に埋まっている。同様に、第2抵抗素子62は、2つの電極621,622がベース11の厚さ方向に並ぶ状態で、ベース11に埋まっている。言い換えれば、本実施形態では、2つの電極601,602は、ベース11の厚さ方向に並ぶ状態で、端子20に接合されている。このように、本実施形態では、2つの電極601,602がベース11の厚さ方向と交差する方向(左右方向)に並ぶ場合と比較して、スイッチ100の高さ方向の寸法を小さくしている。
【0046】
なお、別の例として、2つの電極601,602は、ベース11の厚さ方向と交差する方向(左右方向)に並ぶ状態で、端子20に接合されていてもよい。この態様では、スイッチ100の幅方向(左右方向)の寸法を小さくすることができる。
【0047】
(3)回路
ここで、本実施形態のスイッチ100の回路について
図6Aを用いて説明する。
図6Aに示す接点部7は、「(1)概要」で既に述べたように、固定接点片3と作動子5とからなる。作動子5が第2位置(
図2参照)にあるとき、一対の可動接点511,521が絶縁部113を挟んでいることから、作動子5と固定接点片3とは導通していない。つまり、作動子5が第2位置にあるとき、接点部7はオフとなる。一方、作動子5が第1位置にあるとき(
図5参照)、一対の可動接点511,521が固定接点片3を挟んでいることから、作動子5と固定接点片3とが導通する。つまり、作動子5が第1位置にあるとき、接点部7はオンとなる。
【0048】
スイッチ100の回路は、第1回路C1と、第2回路C2とを有している。第1回路C1は、第1端子21、接点部7、第1抵抗素子61、第2端子22を電流が流れる回路である。より具体的には、第1回路C1は、第1端子21、固定接点片3、作動子5、復帰ばね8、繋ぎ端子23、第1抵抗素子61、第2端子22を電流が流れる回路である。第2回路C2は、第1端子21、第2抵抗素子62、第1抵抗素子61、第2端子22を電流が流れる回路である。より具体的には、第2回路C2は、第1端子21、第2抵抗素子62、繋ぎ端子23、第1抵抗素子61、第2端子22を電流が流れる回路である。
【0049】
第2抵抗素子62は、接点部7に並列に電気的に接続されている。第1抵抗素子61は、接点部7及び第2抵抗素子62の接続点と、第2端子22とに電気的に接続されている。そして、第1端子21と第2端子22との間に電流を流す場合、接点部7がオフであれば、第2回路C2に電流が流れ、第1回路C1には電流が流れない。一方、接点部7がオンであれば、第1回路C1に概ね電流が流れ、第2回路C2には殆ど電流が流れない。
【0050】
(4)動作
以下、本実施形態のスイッチ100の動作について、車両のボンネットの開閉の検知にスイッチ100を適用した場合を一例として説明する。以下の説明では、第1端子21及び第2端子22は、例えばECUなどの外部の回路に電気的に接続されているとする。また、第1端子21には、第1端子21から第2端子22へと電流が流れるように、一定の大きさの電流が供給されているとする。
【0051】
車両のボンネットが開いている状態では、操作子4の押釦411は、押されている状態にある。この状態では、押釦411に外力が加わることにより、操作子4及び作動子5が下方へと移動しているため、作動子5は第1位置にある。つまり、この状態では、接点部7はオンとなっている。車両のボンネットが閉じると、操作子4の押釦411が押されなくなるため、押釦411に作用していた外力がなくなる。そして、復帰ばね8の弾性力により、操作子4及び作動子5が上方へと移動するため、作動子5は第2位置に移動する。つまり、この状態では、接点部7はオフとなる。その後、車両のボンネットを開ければ、押釦411に再度外力が加わることにより、操作子4及び作動子5が下方へと移動し、作動子5は第1位置に移動する。つまり、この状態では、接点部7はオンとなる。
【0052】
ここで、
図6Aに示すように、第1端子21と第2端子22との間の電圧を「端子間電圧V0」とする。また、
図6Bに示すように、時刻「0」において接点部7がオフであるとする。このとき、第1端子21と第2端子22との間に一定電流を流すと、第2回路C2に電流が流れるため、端子間電圧V0の電圧値は、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62の抵抗値により定まる「V1」となる。その後、時刻「t1」において接点部7がオンになると、第1回路C1に電流が流れるため、端子間電圧V0の電圧値は、第2抵抗素子62及び接点部7の接点抵抗の抵抗値により定まる「V2(<V1)」となる。そして、時刻「t2」において第1端子21及び第2端子22に接続されている電線が断線したとすると、第1端子21と第2端子22との間に電流が流れなくなることから、端子間電圧V0の電圧値は検出不可となる。
【0053】
つまり、本実施形態のスイッチ100では、接点部7がオンの状態、接点部7がオフの状態、及び断線が発生している状態のそれぞれで端子間電圧V0の電圧値が異なる。したがって、本実施形態のスイッチ100を用いれば、端子間電圧V0の電圧値を監視することで、接点部7のオン/オフ、及び断線を検知することが可能である。
【0054】
また、本実施形態のスイッチ100は、端子20に接続されるリード線等の短絡状態を検出することもできる。具体的には、リード線が短絡した場合、スイッチ100には電流が流れなくなるため、端子間電圧V0の電圧値は、上述の「V1」、「V2」、及び検出不可のいずれとも異なる電圧値となる。したがって、本実施形態のスイッチ100を用いれば、端子20に接続されるリード線等の短絡状態を検出することができる。
【0055】
上述のように、本実施形態のスイッチ100では、電子部品60が端子20に接合されている。このため、本実施形態では、電子部品を実装した基板をケースに取り付ける場合と比較して、小型化を図ることができる、という利点がある。
【0056】
以下、本実施形態のスイッチ100の更なる利点について、比較例のスイッチとの比較を交えて説明する。比較例のスイッチは、電子部品60(
図7A参照)の代わりに電子部品60A(
図7B参照)を有している点で、本実施形態のスイッチ100と相違する。電子部品60Aは、電子部品60と同様に一方向に長い矩形状のチップ抵抗器であり、電子部品60と同じサイズである。ただし、電子部品60Aでは、2つの電極601A,602Aが一方向(長手方向)と交差する方向(短手方向)に沿った2辺に設けられている点で、電子部品60と相違する。
【0057】
図7A及び
図7Bに示すように、一方向(長手方向)に沿った2辺に電極601,602が設けられている電子部品60では、電子部品60Aと比較して、電極601,602の接合面積が大きくなっている。本開示でいう「接合面積」は、電子部品60(電子部品60A)の端子20と対向する一面(接合面)における電極601,602(電極601A,602A)の面積をいう。つまり、電子部品60は、電子部品60Aと同じサイズであるが、電極601,602の接合面積が電極601A,602Aの接合面積よりも大きくなっている。
【0058】
例えば、電子部品60が抵抗器である場合、市場にて要求される定格電流を満たすためには、基本的にワット数の大きい抵抗器を選択すればよいが、抵抗器が大型化することにより、スイッチ100の大型化を招く可能性がある。ここで、抵抗器のワット数は、放熱性能が高いほど大きくすることが可能である。本実施形態では、電子部品60は、上述のように電子部品60Aのサイズと同じでありながら、電極601,602の接合面積が大きくなっているので、電子部品60Aと比較して放熱性能が高い、言い換えればワット数が大きい。このため、本実施形態では、比較例のスイッチと比較して、電子部品60に要求されるワット数を十分に確保しつつ、電子部品60の小型化を図りやすいので、結果としてスイッチ100の小型化を図ることができる、という利点がある。
【0059】
また、本実施形態では、電子部品60は、同じサイズの電子部品60Aと比較して電極601,602の接合面積が大きいため、例えば温度差に起因する応力に対する耐性が高く、結果として電子部品60の長寿命化を図りやすい、という利点もある。
【0060】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0061】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれもベース11に埋まっているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62のうち少なくとも一方は、一部がベース11から露出していてもよい。また、例えば、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれもベース11から完全に露出していてもよい。つまり、電子部品60がベース11に埋まっているか否かは任意である。
【0062】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれもケース1に収容されているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62のうち少なくとも一方は、ケース1の外部に配置されていてもよい。つまり、電子部品60がケース1に収容されているか否かは任意である。
【0063】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれも一方向(長手方向)に沿った2辺に電極を有する構成であるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62のうちいずれか一方の抵抗素子のみが、長手方向に沿った2辺に電極を有する構成であってもよい。この場合、接点部7に直列に接続される抵抗素子が、長手方向に沿った2辺に電極を有する構成であるのが好ましい。接点部7に直列に接続される抵抗素子は、接点部7のオン・オフに依らず電流が流れるので、他方の抵抗素子と比較して高い耐性を要求されるからである。
【0064】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61の有する2つの電極611,612、及び第2抵抗素子62の有する2つの電極621,622は、いずれも一方向(長手方向)に沿った2辺に設けられているが、これに限定する趣旨ではない。つまり、電子部品60の有する2つの電極601,602のうち少なくとも一方の電極が一方向(長手方向)に沿った辺に設けられていればよい。
【0065】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61(第2抵抗素子62)は、いずれも2つの電極611,612(電極621,622)を有しているが、これに限定する趣旨ではない。つまり、電子部品60は、2つの電極601,602を有している構成に限定されず、3つ以上の電極を有していてもよい。
【0066】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61(第2抵抗素子62)の有する電極611,612(電極621,622)は、いずれも一方向(長手方向)の全長にわたって端子20に接合されているが、これに限定する趣旨ではない。つまり、電子部品60の有する電極601,602のうち少なくとも一方の電極は、一方向(長手方向)の全長の一部のみが端子20に接合されていてもよい。
【0067】
上述の実施形態では、スイッチ100は、ノーマリーオープン型であるが、ノーマリークローズ型であってもよい。ノーマリークローズ型であれば、スイッチ100は、例えば固定接点片3と絶縁部113とが互いに逆の位置関係となるように構成されていればよい。
【0068】
上述の実施形態では、ベース11は扁平な直方体状であるが、ベース11の形状を限定する趣旨ではない。つまり、ベース11は、扁平な直方体状以外の形状であってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、第1端子21、第2端子22、繋ぎ端子23、及び固定接点片3の厚さ方向(前後方向)の一方の側(前側)だけに配置されているが、他の構成であってもよい。例えば、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、それぞれ第1端子21、第2端子22、繋ぎ端子23、及び固定接点片3の厚さ方向の両側に配置されていてもよい。その他、第1端子21、第2端子22、繋ぎ端子23、及び固定接点片3の厚さ方向の一方の側に第1抵抗素子61が配置され、他方の側に第2抵抗素子62が配置されていてもよい。
【0070】
上述の実施形態では、第1端子21及び第2端子22は、ベース11の長手方向(左右方向)に並ぶように配置されているが、第1端子21及び第2端子22の配置を限定する趣旨ではない。例えば、第1端子21及び第2端子22は、ベース11の短手方向(前後方向)に並ぶように配置されていてもよい。
【0071】
上述の実施形態では、第1抵抗素子61の一対の電極611,612、及び第2抵抗素子62の一対の電極621,622は、いずれもベース11の厚さ方向と直交する方向(左右方向)に並んで配置されている。つまり、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれも横向きに配置されているが、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62の配置を限定する趣旨ではない。例えば、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62は、いずれも縦向きに配置されていてもよいし、互いに異なる向きに配置されていてもよい。
【0072】
上述の実施形態のスイッチ100は、断線を検知することが可能な構成であるが、断線を検知する機能を用いるか否かは、ユーザの要望に応じて任意である。
【0073】
上述の実施形態のスイッチ100では、固定接点片3を一対の可動接点511,521で挟まない位置に絶縁部113を設けているが、当該位置に絶縁部113を設けていなくてもよい。そして、当該位置には、絶縁部113の代わりに、空隙が設けられていてもよい。この場合、作動子5は、固定接点片3を一対の可動接点511,521で挟む位置と、一対の可動接点511,521が空隙を介して対向する位置(固定接点片3を一対の可動接点511,521で挟まない位置)との間で移動可能に構成されていればよい。
【0074】
上述の実施形態では、操作子4及び復帰ばね8は、ベース11の長手方向の一端(右端)側に寄せて配置されているが、他の配置であってもよい。例えば、操作子4及び復帰ばね8は、ベース11の長手方向(左右方向)の中央に配置されていてもよい。
【0075】
上述の実施形態では、スイッチ100は、接続部を有する2つの端子20(第1端子21及び第2端子22)を備えているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、スイッチ100は、接続部を有する3つ以上の端子20を備えていてもよいし、接続部を有する1つの端子20を備えていてもよい。
【0076】
(6)参考例
以下、参考例のスイッチ200について
図8Aを用いて説明する。参考例のスイッチ200は、繋ぎ端子23を有していない点で、上述の実施形態のスイッチ100と相違する。また、参考例のスイッチ200は、電子部品60(第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62)の代わりに、電子部品90(第1抵抗素子91及び第2抵抗素子92)を有している点で、上述の実施形態のスイッチ100と相違する。本参考例では、第2端子22は、繋ぎ端子23の取付片233に相当する取付片222を有している。この取付片222は、ベース11の一対の突部112の間に挿入される。また、取付片222は、復帰ばね8の第1端(下端)に接触することで、復帰ばね8と電気的に接続されている。つまり、本参考例では、第2端子22は、繋ぎ端子23の代わりに復帰ばね8と電気的に接続されている。
【0077】
本参考例では、第1抵抗素子91及び第2抵抗素子92は、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62と同様に、いずれもチップ抵抗器であり、一方向(左右方向)に長い矩形状である。一方、第1抵抗素子91及び第2抵抗素子92は、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62よりも寸法が大きくなっている。具体的には、第1抵抗素子91及び第2抵抗素子92のサイズは、2.0mm×1.2mm程度である。そして、第1抵抗素子91の一対の電極911,912は、第1抵抗素子91の短手方向に沿った2辺にそれぞれ設けられている。同様に、第2抵抗素子92の一対の電極921,922は、第2抵抗素子92の短手方向に沿った2辺にそれぞれ設けられている。以下、第1抵抗素子91の電極911と第2抵抗素子92の電極921とを区別しない場合には、電極911,921をそれぞれ「電極901」という。同様に、第1抵抗素子91の電極912と第2抵抗素子92の電極922とを区別しない場合には、電極912,922をそれぞれ「電極902」という。
【0078】
つまり、参考例のスイッチ200は、ベース11と、端子20と、電子部品90と、を備える。端子20は、ベース11に取り付けられて、操作子4の移動に応じて開閉する接点部7を含む電路の一部を形成する。電子部品90は、端子20に接合される電極901,902を有する。電子部品90は、一方向に長い矩形状である。電極901,902は、電子部品90の上記一方向と交差する短手方向に沿った2辺にそれぞれ設けられている。そして、電子部品90の短手方向の寸法は、1.2mm以上である。この態様では、電子部品90に要求される放熱性能を十分に確保しつつも、電子部品90の寸法を極力小さくしやすいので、結果としてスイッチ200の小型化を図ることができる、という利点がある。
【0079】
本参考例では、
図8Aに示すように、第1抵抗素子91の一対の電極911,912のうち一方の電極911は、固定接点片3の第1接合片311に接合され、他方の電極912は、第2端子22の接合片221に接合される。また、第2抵抗素子92の一対の電極921,922のうち一方の電極921は、第1端子21の接合片211に接合され、他方の電極922は、固定接点片3の第2接合片312に接合される。
【0080】
したがって、本参考例のスイッチ200の回路は、
図8Bに示す構成となる。参考例のスイッチ200の回路では、第1回路C1は、第1端子21、第2抵抗素子92、接点部7、第2端子22を電流が流れる回路である。より具体的には、第1回路C1は、第1端子21、第2抵抗素子92、固定接点片3、作動子5、復帰ばね8、第2端子22を電流が流れる回路である。第2回路C2は、第1端子21、第2抵抗素子92、第1抵抗素子91、第2端子22を電流が流れる回路である。より具体的には、第2回路C2は、第1端子21、第2抵抗素子92、固定接点片3、第1抵抗素子91、第2端子22を電流が流れる回路である。本参考例のスイッチ200の回路の動作は、上述の実施形態のスイッチ100の回路の動作と同じである。なお、別の例として、例えば、電子部品90は、端子20に対して、
図1に示すような関係で配置されていてもよい。
【0081】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係るスイッチ(100)は、ベース(11)と、端子(20)と、電子部品(60)と、を備える。端子(20)は、ベース(11)に取り付けられて、操作子(4)の移動に応じて開閉する接点部(7)を含む電路の一部を形成する。電子部品(60)は、端子(20)に接合される電極(601,602)を有する。電子部品(60)は、一方向に長い矩形状である。電極(601,602)は、電子部品(60)の上記一方向に沿った2辺のうち少なくとも一方の辺に設けられている。
【0082】
この態様によれば、電子部品を実装した基板をケースに取り付ける場合と比較して、小型化を図ることができる、という利点がある。また、この態様によれば、電子部品(60)に要求される放熱性能を十分に確保しつつ、電子部品(60)の小型化を図りやすいので、結果としてスイッチ(100)の小型化を図ることができる、という利点がある。
【0083】
第2の態様に係るスイッチ(100)は、第1の態様において、接点部(7)を収容するケース(1)を更に備える。電子部品(60)は、ケース(1)に収容されている。
【0084】
この態様によれば、電子部品(60)をケース(1)の外部に取り付ける場合と比較して、小型化を図ることができる、という利点がある。
【0085】
第3の態様に係るスイッチ(100)では、第1又は第2の態様において、電子部品(60)は、ベース(11)に埋まっている。
【0086】
この態様によれば、電子部品(60)がベース(11)に埋まっていない場合と比較して、小型化を図ることができる、という利点がある。また、この態様によれば、電子部品(60)がベース(11)に埋まっているため、電子部品(60)の位置がずれにくい、という利点がある。
【0087】
第4の態様に係るスイッチ(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、電子部品(60)は、電極(601,602)を2つ有している。2つの電極(601,602)は、それぞれ上記一方向に沿った2辺に設けられている。
【0088】
この態様によれば、上記一方向に沿った1辺と、上記一方向と交差する方向に沿った1辺とのそれぞれに電極(601,602)を設ける場合と比較して、放熱性能を高くすることができる、という利点がある。
【0089】
第5の態様に係るスイッチ(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、電子部品(60)は、抵抗器である。
【0090】
この態様によれば、抵抗器に要求される定格電流を十分に確保しつつ、抵抗器の小型化を図りやすいので、結果としてスイッチ(100)の小型化を図ることができる、という利点がある。
【0091】
第6の態様に係るスイッチ(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、電極(601,602)は、上記一方向の全長にわたって端子(20)に接合されている。
【0092】
この態様によれば、電極(601,602)の一部のみを端子(20)に接合する場合と比較して、放熱性能を高くすることができる、という利点がある。
【0093】
第2~第6の態様に係る構成については、スイッチ(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0094】
第7の態様に係るスイッチ(100)は、ベース(11)と、第1端子(21)と、第2端子(22)と、繋ぎ端子(23)と、第1電子部品(第1抵抗素子)(61)と、第2電子部品(第2抵抗素子)(62)と、復帰ばね(8)と、操作子(4)と、作動子(5)と、を備える。第1端子(21)は、ベース(11)にベース(11)の下面を通して取り付けられ、上下方向に延伸する。第2端子(22)は、ベース(11)に、上下方向に垂直な左右方向において第1端子(21)と並ぶように取り付けられ、上下方向に延伸する。繋ぎ端子(23)は、ベース(11)にベース(11)の上面を通して取り付けられる。第1電子部品(61)は、第1端子(21)と繋ぎ端子(23)とに接合される。第2電子部品(62)は、第2端子(22)と繋ぎ端子(23)とに接合される。復帰ばね(8)は、第2端子(22)の上方で、繋ぎ端子(23)の上端部に下端が接触するように位置決めされる。操作子(4)は、復帰ばね(8)を介してベース(11)に支持され、上下方向に移動可能である。作動子(5)は、操作子(4)に取り付けられ、左右方向に延伸する。第1端子(21)は、外部導体が電気的に接続される第1接続片(210)と、第1接続片(210)の上端の第1部分(左部分)から上向きに延伸する繋ぎ片(212)と、繋ぎ片(212)の上端から上向きに延伸する固定接点片(3)と、を有する。第2端子(22)は、上記の外部導体とは異なる外部導体が電気的に接続される第2接続片(220)を有する。繋ぎ端子(23)は、第1接続片(210)の上端の第2部分(右部分)と、第2接続片(220)の上端に対向する。操作子(4)の移動に伴って、作動子(5)に設けられた可動接点(511,521)に固定接点片(3)が接触することによって、第1端子(21)と第2端子(22)との間の電路が形成される。第1電子部品(61)は、左右方向に長い矩形状であり、左右方向において接合面を有するように、第1接続片(210)と繋ぎ端子(23)とに接合される。第2電子部品(62)は、左右方向に長い矩形状であり、左右方向において接合面を有するように、第2接続片(220)と繋ぎ端子(23)とに接合される。
【0095】
この態様によれば、第1電子部品(61)及び第2電子部品(62)が、長手方向においてそれぞれ第1端子(21)と第2端子(21)に接合されているため、より放熱性能を高くすることができ、またスイッチ(100)を小型化することができる、という利点がある。
【0096】
第8の態様に係るスイッチ(100)では、第7の態様において、第1端子(21)及び第2端子(22)は、それぞれりん青銅を含んでいる。
【0097】
この態様によれば、例えば第1端子(21)及び第2端子(22)がそれぞれ黄銅を含んでいる場合に比べて、熱電率を低くすることができる。そのため、第1電子部品(61)と第2電子部品(62)とに伝わる熱をより小さくすることができる、という利点がある。
【0098】
第9の態様に係るスイッチ(100)では、第7又は第8の態様において、第1電子部品(61)及び第2電子部品(62)は、それぞれベース(11)に埋まっている。
【0099】
この態様によれば、スイッチ(100)を小型化することができる、という利点がある。
【0100】
第10の態様に係るスイッチ(100)では、第7~第9のいずれかの態様において、第1端子(21)の一部は、ベース(11)の上面から露出している。
【0101】
この態様によれば、第1接続片(210)の熱が繋ぎ片(212)を通して露出した部分へ伝わりやすくなり、第1電子部品(61)に伝わる熱を少なくすることができる、という利点がある。
【0102】
第11の態様に係るスイッチ(100)では、第7~第10のいずれかの態様において、第1電子部品(61)は、はんだにより、第1端子(21)に接合されている。第2電子部品(62)は、はんだにより、第2端子(22)に接合されている。
【0103】
この態様によれば、第1電子部品(61)と第2電子部品(62)とに力が加わった場合でも、それぞれ第1端子(21)と第2端子(22)とから剥離しにくい、という利点がある。
【0104】
第12の態様に係るスイッチ(100)では、第7~第11のいずれかの態様において、第1電子部品(61)及び第2電子部品(62)は、それぞれ抵抗素子である。
【0105】
この態様によれば、第1端子(21)と第2端子(22)との間の抵抗値が異なるため、接点のオン/オフ、及び第1端子(21)と第2端子(22)に接続されるリード線等の断線/短絡状態を検出することができる、という利点がある。
【0106】
第8~第12の態様に係る構成については、スイッチ(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0107】
100 スイッチ
1 ケース
11 ベース
20 端子
21 第1端子
210 第1接続片
212 繋ぎ片
22 第2端子
220 第2接続片
23 繋ぎ端子
3 固定接点片
4 操作子
5 作動子
511,521 可動接点
60 電子部品
61 第1電子部品
62 第2電子部品
601,602 電極
7 接点部
8 復帰ばね