(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ドア開閉制御システム
(51)【国際特許分類】
E05F 3/22 20060101AFI20230428BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20230428BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230428BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20230428BHJP
E05F 7/00 20060101ALI20230428BHJP
E05F 15/63 20150101ALI20230428BHJP
【FI】
E05F3/22 B
E05B47/00 J
E05B49/00 R
E05F5/00 A
E05F7/00 F
E05F7/00 G
E05F15/63
(21)【出願番号】P 2020025405
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】梶山 智史
(72)【発明者】
【氏名】本田 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】向山 文祥
(72)【発明者】
【氏名】井筒 健児
(72)【発明者】
【氏名】川上 雄
(72)【発明者】
【氏名】草川 隆司
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190160(JP,A)
【文献】特開平4-131487(JP,A)
【文献】特表2010-522295(JP,A)
【文献】特開2005-320788(JP,A)
【文献】特開2005-320790(JP,A)
【文献】特開2003-227269(JP,A)
【文献】特開2007-284975(JP,A)
【文献】特開平7-208014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0026750(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0090567(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00
E05B 49/00
E05F 3/22
E05F 5/00
E05F 7/00
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの開閉に関する信号を取得する取得部と、
前記ドアとドア枠とを連結する連結部材を制動することにより、前記ドアの開閉位置を固定する制動部と、
前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する制御部と
、
モータとを備え
、
前記連結部材は、一方の端部が前記ドア枠に可動可能に接続され、他方の端部が軸体に固定された開閉アームであり、
前記軸体は、軸方向に並ぶ第一軸体及び第二軸体が、弾性的に接続されることにより構成され、前記ドアに、前記ドアの開閉に応じて回動するように保持され、
前記モータは、前記軸体を回動させ、前記ドアを開閉するように制御される
ドア開閉制御システム。
【請求項2】
さらに、ユーザが前記ドアが有するドアハンドルに触れたことを検出する接触センサを備え、
前記制御部は、前記接触センサによって出力され、かつ、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する
請求項
1に記載のドア開閉制御システム。
【請求項3】
さらに、前記ドアの周辺における人の存否を検出する人感センサを備え、
前記制御部は、前記人感センサによって出力され、かつ、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する
請求項1
または2に記載のドア開閉制御システム。
【請求項4】
さらに、前記ドアに加わる負荷を検出する負荷センサを備え、
前記制御部は、前記負荷センサによって出力され、かつ、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する
請求項1~
3のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項5】
さらに、前記ドアの開閉状態を検出する開閉位置センサを備え、
前記制御部は、前記開閉位置センサによって出力される信号に基づいて、前記ドアが所定期間以上開いた状態のままであると判定すると、前記モータを制御することにより前記ドアを閉じる
請求項
1~4のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部に前記ドアを当該ドアが閉じた位置で固定させる
請求項1
~5のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部に前記ドアを当該ドアが開いた位置で固定させる
請求項1
~6のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記ドアが閉じた状態において、前記モータを制御することにより、前記軸体を前記ドアが開く方向に所定量回動させる
請求項
1~7のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第一軸体及び前記第二軸体の一方が他方に対して動くまで前記ドアが閉じる方向に前記軸体を回動させて前記ドアを閉状態にし、この状態で前記制動部を制御することにより前記ドアの位置を固定した後、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて前記制動部を制御することにより前記ドアの開閉位置の固定を解除する
請求項
1~8のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項10】
前記モータは、前記軸体の回動を制動することで前記制動部としても機能する
請求項
1~9のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項11】
前記制動部は、前記軸体の回動を制動する電磁クラッチである
請求項
1~9のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項12】
さらに、前記ドアの施錠状態を示す前記信号を出力する電気錠システムを備える
請求項1~
11のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記電気錠システムによって出力され、かつ、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記ドアが施錠状態から解錠状態に遷移したと判定した場合に、前記制動部に、前記ドアの開閉位置の固定を解除させる
請求項
12に記載のドア開閉制御システム。
【請求項14】
前記ドア開閉制御システムは、さらに、前記ドアの開閉状態を検出する開閉位置センサを備え、
前記制御部は、
前記開閉位置センサによって出力される信号に基づいて、前記ドアが所定期間以上開いた状態のままであると判定すると、前記モータを制御することにより前記ドアを閉じ、さらに、前記電気錠システムに前記ドアを施錠させる
請求項
12または13に記載のドア開閉制御システム。
【請求項15】
前記電気錠システムは、前記ドアの施錠及び解錠を行うために、ユーザの生体認証情報を取得する生体認証部を備える
請求項
12~14のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項16】
さらに、前記制動部による前記ドアの開閉位置の固定、及び、固定の解除を切り替えるためにユーザによって操作される切替スイッチを備え、
前記制御部は、前記切替スイッチによって出力され、かつ、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する
請求項1~
15のいずれか1項に記載のドア開閉制御システム。
【請求項17】
ドアの開閉に関する信号を取得する取得部と、
前記ドアとドア枠とを連結する連結部材を制動することにより、前記ドアの開閉位置を固定する制動部と、
前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する制御部とを備え
、
前記連結部材は、一方の端部が前記ドア枠に可動可能に接続され、他方の端部が軸体に固定された開閉アームであり、
前記軸体は、前記ドアに、前記ドアの開閉に応じて回動するように保持され、
前記制動部は、電磁クラッチであり、前記軸体の回動を制動することにより、前記ドアの開閉位置を固定する
ドア開閉制御システム。
【請求項18】
ドアの開閉に関する信号を取得する取得部と、
前記ドアとドア枠とを連結する連結部材を制動することにより、前記ドアの開閉位置を固定する制動部と、
前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する制御部と
、
モータとを備え
、
前記連結部材は、一方の端部が前記ドア枠に可動可能に接続され、他方の端部が軸体に固定された開閉アームであり、
前記軸体は、前記ドアに、前記ドアの開閉に応じて回動するように保持され、
前記モータは、前記軸体を回動させ、前記ドアを開閉するように制御され、
前記制動部は、前記軸体の回動を制動することにより、前記ドアの開閉位置を固定し、
前記制御部は、前記ドアが閉じた状態において、前記モータを制御することにより、前記軸体を前記ドアが開く方向に所定量回動させる
ドア開閉制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に設けられたドアに関する様々な技術が提案されている。例えば、ドアを油圧によりゆっくりと自動的に閉めるための装置であるドアクローザが知られている。特許文献1には、扉の自閉速度を円滑に油圧制御することができるドアクローザが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ドアの開閉位置を固定することができるドア開閉制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るドア開閉制御システムは、ドアの開閉に関する信号を取得する取得部と、前記ドアとドア枠とを連結する連結部材を制動することにより、前記ドアの開閉位置を固定する制動部と、前記取得部によって取得された前記信号に基づいて、前記制動部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様に係るドア開閉制御システムは、ドアの開閉位置を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るドア開閉制御システムが適用されるドアを室内側から見た図である。
【
図3】
図3は、ドア制御装置の詳細な構造(内部構造)を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例1のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例2のフローチャートである。
【
図6】
図6は、ドアの両側(室内側及び室外側)に人がいる状態を上方から見た図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例3のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例4のフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例5のフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例6のフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例7のフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例8のフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例9のフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作例10のフローチャートである。
【
図15】
図15は、モータが制動部として機能し、電磁クラッチを備えないドア制御装置の詳細な構造(内部構造)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態)
[全体構成]
まず、実施の形態に係るドア開閉制御システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係るドア開閉制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2は、実施の形態に係るドア開閉制御システムが適用されるドアを室内側から見た図である。
【0011】
図1に示されるように、実施の形態に係るドア開閉制御システム10は、ドア80に関する制御を行うシステムである。ドア80は、住宅などの建物に設置された、いわゆる開き戸である。ドア80は、例えば、玄関ドアであり、室内側から室外側へ押し開けられる。なお、ドア80が設置される建物、及び、ドア80の設置位置は特に限定されない。ドア開閉制御システム10は、具体的には、接触センサ21と、人感センサ22と、負荷センサ23と、制御装置30と、ドア制御装置40と、電気錠システム50とを備える。以下、ドア開閉制御システム10が備える各構成要素について詳細に説明する。
【0012】
[接触センサ、人感センサ、負荷センサ]
まず、接触センサ21、人感センサ22、及び、負荷センサ23について説明する。接触センサ21は、ドア80が有するドアハンドル81に設けられ、ユーザがドアハンドル81に触れたことを検出するセンサである。接触センサ21は、接触センサ21の検出結果を示す信号を制御装置30に出力する。この信号は、ドア80の開閉に関する信号の一例である。接触センサ21は、例えば、静電容量センサによって実現されるが、圧力センサなどによって実現されてもよい。接触センサ21の具体的態様は、特に限定されない。なお、図示されないが、ドアハンドル81は、例えば、ドア80の室内側だけでなく、ドア80の室外側にも設けられ、接触センサ21は、2つのドアハンドル81のそれぞれに設けられる。
【0013】
人感センサ22は、ドア80の室外側に設けられ、ドア80の室外側における人の有無を検出する。また、人感センサ22は、人感センサ22の検出結果を示す信号を制御装置30に出力する。この信号は、ドア80の開閉に関する信号の一例である。人感センサ22は、例えば、人の体から発せられる赤外線に反応する焦電センサによって実現されるが、超音波式の人感センサなどであってもよい。人感センサ22の具体的態様は、特に限定されない。
【0014】
負荷センサ23は、ドア80の室内側の面に設けられ、ドア80に室内側から加わる負荷を検出する。また、負荷センサ23は、負荷センサ23の検出結果を示す信号を制御装置30に出力する。この信号は、ドア80の開閉に関する信号の一例である。負荷センサ23は、例えば、静電容量センサによって実現されるが、圧力センサなどによって実現されてもよい。負荷センサ23の具体的態様は、特に限定されない。
【0015】
[切替スイッチ]
切替スイッチ24は、ドア80の開閉位置の固定、及び、解除を切り替えるためにユーザによって操作されるハードウェアスイッチである。また、切替スイッチ22は、切替スイッチ22が操作されるごとに、操作されたことを示す信号を制御装置30に出力する。この信号は、ドア80の開閉に関する信号の一例である。
【0016】
切り替えスイッチ24は、例えば、ドアハンドル81に設けられるが、ドア80のその他の部分に設けられてもよい。なお、図示されないが、ドアハンドル81は、例えば、ドア80の室内側だけでなく、ドア80の室外側にも設けられ、切替スイッチ24は、2つのドアハンドル81のそれぞれに設けられてもよい。
【0017】
[制御装置]
次に、制御装置30について説明する。制御装置30は、ドア80の開閉制御、及び、ドア80の開閉位置固定制御を行う。ここでの開閉位置固定制御とは、言い換えれば、ホールド制御(保持制御)であり、ドア80が開状態であるか閉状態であるかに関わらず、ユーザが押してもその開閉位置(開閉状態)から動かないように開閉位置を固定する(ホールドする)制御である。
図2の例では、制御装置30は、例えば、ドア80の室内側の面に設けられるが、制御装置30の設置位置は特に限定されない。
図2では、制御装置30は、ドア制御装置40と別体の装置として図示されているが、ドア制御装置40と一体の装置として実現されてもよい。制御装置30は、具体的には、取得部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。
【0018】
取得部31は、ドア80の開閉に関する信号を取得する。取得部31は、具体的には、接触センサ21、人感センサ22、負荷センサ23、開閉位置センサ46、及び、電気錠システム50のそれぞれから信号を取得する。取得部31は、具体的には、制御装置30が、接触センサ21、人感センサ22、負荷センサ23、ドア制御装置40(開閉位置センサ46)、及び、電気錠システム50と通信を行うための通信回路である。取得部31は、例えば、有線通信を行う有線通信回路であるが、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。取得部31が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0019】
制御部32は、ドア80の開閉制御、及び、ドア80の開閉位置固定制御に関する情報処理を行う。制御部32は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0020】
記憶部33は、制御部32が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部33は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0021】
[ドア制御装置]
次に、ドア制御装置40について説明する。ドア制御装置40は、制御装置30がドア80の開閉制御、及び、ドア80のホールド制御を行うための駆動装置である。ドア制御装置40は、一見すると、いわゆるドアクローザによく似た構造を有している。
図3は、ドア制御装置40のより詳細な構造(内部構造)を示す図である。ドア制御装置40は、例えば、ドア80の室内側の面に設けられる。開閉アーム41と、軸体42と、モータ43と、減速機44と、電磁クラッチ45と、開閉位置センサ46と、筐体47とを備える。
【0022】
開閉アーム41は、ドア80とドア枠82とを連結する連結部材の一例である。開閉アーム41は、開閉部41aにおいて開閉可能に連結された2つのアームを有する。開閉アーム41の一方の端部41bは、ドア枠82に可動可能に接続される。開閉アーム41の他方の端部41cは、軸体42に固定される。開閉アーム41は、例えば、金属材料によって形成される。
【0023】
なお、開閉アーム41は、ドア80を閉めたときにドア80に対して平行になるパラレル型であってもよいし、ドア80を閉めたときにドア80に対して垂直になる状態にスタンダード型であってもよい。
【0024】
軸体42は、ドア80の回生制御、及び、ドア80の開閉位置固定制御を行うために回動が制動される棒状の構造体である。軸体42は、開閉アーム41の一部として構成されてもよい。軸体42は、ドア80に、ドア80の開閉に応じて回動するように保持される。軸体42は、単一の部材によって形成されてもよいが、ドア制御装置40においては、軸方向(
図3の上下方向)に並ぶ第一軸体42a及び第二軸体42bが、弾性部材42cによって弾性的に接続されることにより構成される。
【0025】
第一軸体42aは、開閉アーム41の他方の端部41cに固定され、第二軸体42bは、減速機44に接続される。第一軸体42a及び第二軸体42bのそれぞれは、例えば、金属材料によって形成される。弾性部材42cは、例えば、コイルばねであるが、トーションばねなどでもよい。
【0026】
モータ43は、軸体42を回動させる電動駆動源である。モータ43は、例えば、DCモータなどである。モータ43は、制御部32から出力される制御信号に基づいて動作する。モータ43の可動子は、減速機44に接続される。
【0027】
減速機44は、モータ43の可動子の速度を、ギアを用いて減少し、減少後の速度で軸体42を回動させるための装置である。減速機44は、省略されてもよい。
【0028】
電磁クラッチ45は、電磁力により、軸体42の回動を制動(停止)させる。電磁クラッチ45は、筐体47に弾性部材45aを介して接続されたコイル45bと、第二軸体42bに固定された磁性体45cと、ブレーキパッド45dとを有する。例えば、電磁クラッチ45は、コイル45bに電流が流れていないときにブレーキパッド45dが筐体47の内面に押し当てられており、制御部32によってコイル45bに電流が流されると押し当てが解除される。ブレーキパッド45dが筐体47の内面に押し当てられているときには、ブレーキパッド45d及び筐体47の内面の間で生じる摩擦力により、軸体42の回動が制動(停止)される。
【0029】
なお、電磁クラッチ45は、制御部32によってコイル45bに電流が流されると、磁性体45cがコイル45bから受ける反発力(電磁力)によってブレーキパッド45dが筐体47の内面に押し当てられ、コイル45bに電流が流れていないときにブレーキパッド45dが筐体47の内面に押し当てが解除される構成であってもよい。電磁クラッチ45のオン(ドア80の開閉位置の固定)及びオフ(ドア80の開閉位置の固定の解除)は、制御部32によって出力される制御信号に基づいて行われる。電磁クラッチ45は、電力を用いて開閉アーム41を制動できればよく、電磁クラッチ45の具体的態様は特に限定されない。
【0030】
なお、電磁クラッチ45は、軸体42を3段階(例えば、オン、中間、オフ)以上に段階的に制動してもよい。つまり、電磁クラッチ45は、ドア80の位置の固定、及び、固定の解除だけでなく、ドア80の動きを遅くしてもよい。
【0031】
開閉位置センサ46は、ドア80の開閉状態を検出する。また、開閉位置センサ46は、開閉位置センサ46の検出結果(ドアの開閉状態)を示す信号を制御装置30に出力する。この信号は、ドア80の開閉に関する信号の一例である。開閉位置センサ46は、例えば、磁気式のエンコーダである。開閉位置センサ46は、具体的には、筐体47aの内部に固定された、ホール素子が設けられた検出基板46aを用いて、第一軸体42aに固定された磁性体46bの位置を検出することで、軸体42の筐体47に対する回転角度を、ドア80の開閉状態として検出する。
【0032】
なお、開閉位置センサ46は、光学式のエンコーダであってもよい。開閉位置センサ46は、少なくともドア80が閉じた状態とこれ以外の状態(任意の角度でドア80が開いた状態)とを区別して検出できればよい。
【0033】
筐体47は、ドア80の室内側の面に設けられ、軸体42、モータ43、減速機44、電磁クラッチ45、及び、開閉位置センサ46を収容する。また、筐体47は、軸体42を回動可能に保持している。筐体47によれば、軸体42は、ドア80に、ドア80の開閉に応じて回動するように保持される。筐体47は、例えば、直方体状であり、金属材料などによって形成される。
【0034】
[電気錠システム]
次に、電気錠システム50について説明する。電気錠システム50は、電気錠51を用いてドア80を施錠及び解錠するシステムである。電気錠51は、具体的には、デッドボルトと、電動モータと、電動モータの駆動力をデッドボルトに伝達する伝達機構とを有する。電動モータは、錠駆動部53から出力される駆動信号に従って駆動し、電動モータの駆動力が伝達機構を介してデッドボルトに伝達されることによって、デッドボルトが施錠位置または解錠位置に移動する。
【0035】
電気錠システム50は、電気錠51の他に、認証部52と、錠駆動部53と、電気錠制御部54と、記憶部55と、生体認証部56を備える。
【0036】
認証部52は、カードキーまたは携帯端末などから認証情報を読み取り、読み取った認証情報を電気錠制御部54に出力する。認証部52は、例えば、カードキーまたは携帯端末など機器から認証情報を取得するための無線通信(具体的には、電波通信または光通信)を行う無線通信回路によって実現される。認証部52は、テンキーなどの認証情報(この場合、解錠コード等)を受け付けるユーザインターフェースであってもよい。認証部52は、例えば、ドア80の室外側に設けられるが、ドア80の室内側にも設けられてもよい。
【0037】
錠駆動部53は、電気錠51を駆動するための駆動装置である。錠駆動部53は、具体的には、電気錠制御部54から出力される制御信号に基づいて電気錠51が有する電動モータに駆動信号を出力する。なお、錠駆動部53は、電気錠51に含まれてもよい。
【0038】
電気錠制御部54は、認証部52から取得した情報に基づいて、電気錠51を制御する。電気錠制御部54は、具体的には、認証部52から取得した認証情報(または、生体認証部56から取得した生体認証情報)が登録情報と一致すると判定した場合に、電気錠51(ドア80)の施錠及び解錠を行う。また、電気錠制御部54は、制御装置30に電気錠51(ドア80)の施錠状態(施錠されているか解錠されているか)を示す信号を出力する。この信号は、ドア80の開閉に関する信号の一例である。電気錠制御部54は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0039】
記憶部55は、電気錠制御部54によって実行される制御プログラム、及び、上述の登録情報などが記憶される記憶装置である。記憶部55は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0040】
生体認証部56は、ユーザから当該ユーザの生体認証情報を読み取り、読み取った生体認証情報を電気錠制御部54に出力する。生体認証部56は、例えば、ユーザの顔画像またはユーザの虹彩のパターンを読み取るカメラモジュール、または、ユーザの指紋を読み取る指紋センサなどによって実現される。生体認証部56は、例えば、ドア80の室外側に設けられるが、
図2に示されるようにドア80の室内側にも設けられてもよい。
【0041】
[動作例1]
ドア開閉制御システム10は、ドア80が閉じた状態においてドア80の位置を固定(ホールド)することができる。以下、ドア開閉制御システム10の動作例1について説明する。
図4は、ドア開閉制御システム10の動作例1のフローチャートである。
【0042】
制御装置30の取得部31は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力される、ドア80の開閉状態を示す信号を取得する(S11)。
【0043】
制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、ドア80が開いた状態から閉じた状態に遷移したと判定すると(S12)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45に制御信号を出力することにより、軸体42を制動(停止)させる。つまり、制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、ドア80が閉じた状態で電磁クラッチ45にドアの位置を固定させる(S13)。
【0044】
このように、ドア開閉制御システム10は、一般的なドアのラッチボルトに相当する機能を、ラッチボルトなしで実現することができる。つまり、ラッチボルトのないドア80を実現することができる。また、ラッチボルトを解除するための機構も不要となるため、ドアハンドル81の小型化、ドアハンドル81の強度向上、ドア80の意匠性の向上が容易となる。
【0045】
その後、取得部31は、室内側または室外側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によって出力される、ドアハンドル81へのユーザの接触状態を示す信号を取得する(S14)。制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、ドアハンドル81にユーザが接触していると判定すると(S15)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45に制御信号を出力することにより、軸体42の制動を解除させる。つまり、制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、電磁クラッチ45にドア80の位置の固定を解除させる(S16)。ドア80の位置の固定が解除された状態は、例えば、次にドア80が閉状態であることが検出されるまで継続される。
【0046】
このように、ドア開閉制御システム10は、ユーザがドアハンドル81を握ると、これをトリガにドア80の位置の固定を解除する。これにより、一般的なドアのラッチボルトを解除するための機構と同じ機能を実現することができる。
【0047】
[動作例2]
ドア開閉制御システム10は、ドア80が開いた状態(ドア80の開閉角度については任意)においてドア80の位置を固定することができる。以下、ドア開閉制御システム10の動作例2について説明する。
図5は、ドア開閉制御システム10の動作例2のフローチャートである。
【0048】
制御装置30の取得部31は、室内側または室外側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によって出力される信号を取得し(S21)、制御部32は、取得部31によって取得された信号をモニタすることにより、ユーザがドアハンドル81へ接触しているか否かを判定する(S22)。
【0049】
制御部32は、ドアハンドル81にユーザが接触していないと判定すると(S22でNo)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45に制御信号を出力することにより、軸体42を制動(停止)させる。つまり、制御部32は、電磁クラッチ45にドア80の位置を固定させる(S23)。一方、制御部32は、ドアハンドル81にユーザが接触していると判定すると(S22でYes)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45に制御信号を出力することにより、軸体42の制動を解除させる。つまり、制御部32は、電磁クラッチ45にドア80の位置の固定を解除させる(S24)。
【0050】
このように、ドア開閉制御システム10は、ユーザがドアハンドル81を握っている間はドア80が動くようにし、ユーザがドアハンドル81から手を離したタイミングでドア80の位置を固定することができる。ユーザは、所望の開閉位置でドアハンドル81から手を離すだけで、ドアストッパなどを使用せずにドア80を開いた状態で固定することができる。ドアストッパがなくなることで、ドア80の意匠性の向上が容易となる。
【0051】
なお、制御部32は、開閉位置センサ46が示す開閉位置に基づき、ドア80の開き角度が所定角度以上であると判定される場合に、電磁クラッチ45にドア80の位置を固定させ、ドア80の開き角度が所定角度以上であると判定される場合に、ドア80の位置の固定を解除させてもよい。
【0052】
[動作例3]
ところで、ドア80は、例えば、玄関ドアであり、室内側から室外側へ押し開けられる。ここで、
図6に示されるように、室内側に位置するユーザ(以下、ユーザAとも記載される)がドア80を開けようとしたときに、ドア80の室外側に別のユーザ(以下、ユーザBとも記載される)がいるような場合には、ユーザBにドア80が当たってしまう危険がある。
図6は、ドア80の両側(室内側及び室外側)に人がいる状態を上方から見た図であり、
図6においては、開いたドア80の位置が破線で示されている。
【0053】
ドア開閉制御システム10は、上記のようなシチュエーションにおいて、ドア80の位置を固定することもできる。以下、このようなドア開閉制御システム10の動作例3について説明する。
図7は、ドア開閉制御システム10の動作例3のフローチャートである。
【0054】
制御装置30の制御部32は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力され、かつ、取得部31によって取得されたドア80の開閉位置を示す信号に基づいて、ドア80が閉状態であると判定し(S31)、ドア80が閉じた状態で電磁クラッチ45にドアの位置を固定させる(S32)。
【0055】
その後、制御部32は、室内側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、室内側のドアハンドル81にユーザAが接触したと判定する(S33)。この場合、制御部32は、基本的には、ドアの位置の固定を解除する。しかしながら、動作例3では、制御部32は、人感センサ22によって出力され、かつ、取得部31によって取得される信号をモニタすることにより、ドア80の室外側に別のユーザBがいるか否かを判定する(S34)。
【0056】
制御部32は、ドア80の室外側に別のユーザBがいないと判定すると(S34でNo)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45に制御信号を出力することにより、軸体42の制動を解除させる。つまり、制御部32は、電磁クラッチ45にドアの位置の固定を解除させる(S35)。一方、制御部32は、ドア80の室外側に別のユーザBがいると判定すると(S34でYes)、ドア80の位置の固定を維持する。
【0057】
このように、ドア開閉制御システム10は、室内側に位置するユーザAがドア80を開けようとしたときにドア80の室外側に別のユーザBがいる場合には、ユーザAがドアハンドル81を握ってもドア80の位置の固定を解除しない。これにより、ドア80を開けるときの安全性が向上される。
【0058】
なお、制御部32は、ドア80の室外側に別のユーザBがいると判定した場合に(S34でYes)、ドア80の位置を固定するとき(例えば、ドア80が閉状態であるとき)よりも弱く、ドア80の位置の固定を解除したとき(例えば、ドア80が開状態であるとき)よりも強い力で電磁クラッチ45を動作させてもよい。つまり、制御部32は、ドア80を開けるために必要な力を通常時よりも増大させてもよい。これにより、急にドア80が開いてしまうことが抑制されるため、ドア80を開けるときの安全性が向上される。
【0059】
また、動作例3では、ドア開閉制御システム10は、室外側のユーザBを検出するために、人感センサ22を用いたが、ドア80の室外側の面に負荷センサ23が設けられているような場合、負荷センサ23を用いてユーザBを検出することもできる。また、ドア開閉制御システム10は、室外側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によってユーザBを検出することもできる。
【0060】
[動作例4]
また、
図6に示されるようなシチュエーションにおいて、室外側に位置するユーザBがドア80を開けようとしたときに、ドア80の室内側に別のユーザAがドア80にもたれかかっているような場合には、ユーザAが転倒してしまう危険がある。
【0061】
ドア開閉制御システム10は、上記のようなシチュエーションにおいて、ドア80の位置を固定することもできる。以下、このようなドア開閉制御システム10の動作例4について説明する。
図8は、ドア開閉制御システム10の動作例4のフローチャートである。
【0062】
制御装置30の制御部32は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力され、かつ、取得部31によって取得されたドア80の開閉位置を示す信号に基づいて、ドア80が閉状態であると判定し(S41)、ドア80が閉じた状態で電磁クラッチ45にドアの位置を固定させる(S42)。
【0063】
その後、制御部32は、室外側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、室外側のドアハンドル81にユーザBが接触したと判定する(S43)。この場合、制御部32は、基本的には、ドアの位置の固定を解除する。しかしながら、動作例4では、制御部32は、負荷センサ23によって出力され、かつ、取得部31によって取得される信号をモニタすることにより、ドア80の室内側に別のユーザAがいるか否かを判定する(S44)。
【0064】
制御部32は、ドア80の室内側に別のユーザAがいない(具体的には、ユーザAがドア80にもたれかかっていない)と判定すると(S44でNo)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45に制御信号を出力することにより、軸体42の制動を解除させる。つまり、制御部32は、電磁クラッチ45にドアの位置の固定を解除させる(S45)。一方、制御部32は、ドア80の室内側に別のユーザAがいる(具体的には、ユーザAがドア80にもたれかかっている)と判定すると(S44でYes)、ドア80の位置の固定を維持する。
【0065】
このように、ドア開閉制御システム10は、室外側に位置するユーザBがドア80を開けようとしたときにドア80の室内側に別のユーザAがもたれかかっている場合には、ユーザBがドアハンドル81を握ってもドア80の位置の固定を解除しない。これにより、ドア80を開けるときの安全性が向上される。
【0066】
なお、制御部32は、ドア80の室内側に別のユーザAがもたれていると判定した場合に(S44でYes)、ドア80の位置を固定するとき(例えば、ドア80が閉状態であるとき)よりも弱く、ドア80の位置の固定を解除したとき(例えば、ドア80が開状態であるとき)よりも強い力で電磁クラッチ45を動作させてもよい。つまり、制御部32は、ドア80を開けるために必要な力を通常時よりも増大させてもよい。これにより、急にドア80が開いてしまうことが抑制されるため、ドア80を開けるときの安全性が向上される。
【0067】
また、動作例4では、ドア開閉制御システム10は、室内側のユーザAを検出するために、負荷センサ23を用いたが、ドア80の室内側を検出対象とする人感センサ22が設けられているような場合、人感センサ22を用いてユーザAを検出することもできる。また、ドア開閉制御システム10は、室内側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によってユーザAを検出することもできる。
【0068】
[動作例5]
ドア開閉制御システム10は、モータ43によりドア80を自動開閉することもできる。
図9は、このようなドア開閉制御システム10の動作例5のフローチャートである。
【0069】
制御装置30の取得部31は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力される、ドア80の開閉位置を示す信号を取得する(S51)。制御部32は、取得部31によって取得されたドア80の開閉位置を示す信号に基づいて、ドア80が閉状態から開状態に遷移してから所定期間が経過したか否かを判定する(S52)。
【0070】
制御部32は、ドア80が閉状態から開状態に遷移してから所定期間が経過したと判定すると(S52でYes)、モータ43に制御信号を出力することにより、モータ43の可動子を回転させることで、ドア80を閉じる(S53)。これ以外の場合は(S52でNo)、モータ43を用いたドア80の閉鎖は行われない。
【0071】
このように、ドア開閉制御システム10は、開閉位置センサ46によって出力される信号に基づいて、ドア80が所定期間以上開いた状態のままであると判定すると、モータを制御することによりドア80を閉じる。これにより、ドア80の閉め忘れの発生を抑制することができる。
【0072】
ところで、ドア制御装置40においては、第一軸体42a及び第二軸体42bが弾性部材42cによって弾性的に接続されることにより軸体42が構成されている。このような軸体42は、弾性に反する強い力が加わると、第一軸体42a及び第二軸体42bの一方が他方に対して動き、軸体42がねじれたような状態となる。
【0073】
制御部32は、軸体42が弾性部材42cの弾性に反してねじれるまでモータ43を回転してドア80を閉じることで、弾性を利用して、ドア80をドア80とドア枠82間に設けられたパッキン(図示せず)に密着させることができる。つまり、ドア80が設けられた建物の気密性を向上することができる。この場合、モータ43をどの程度回転させるかは、例えば、弾性部材42cの弾性等を考慮して、実験的に定められる。
【0074】
[動作例6]
ところで、近年、建物の気密性は向上しており、例えば、建物内で換気扇等を使用しているような場合、ドア80がパッキンに密着してしまい、ドア80を開けるために比較的大きな力が必要となる場合がある。具体的には、女性または子供の力ではドア80を開けることが難しい場合がある。そこで、ドア開閉制御システム10は、モータ43を制御することにより、ユーザがドア80を開けることをアシストしてもよい。
図10は、このようなドア開閉制御システム10の動作例6のフローチャートである。
【0075】
ステップS61~ステップS66の処理は、動作例1のステップS11~S16の処理と同様である。ステップS16の後、制御部32は、モータ43を制御することにより、軸体42をドア80が開く方向に所定量回動させる(S67)。このとき、制御部32は、わずかにドア80が開く程度(ドア80とパッキンとの密着をはがす程度)だけ軸体42を回動させてもよいし、ある程度ドアが開いた状態になるまで軸体42を回動させてもよい。モータ43をどの程度回転させるかは、例えば、経験的または実験的に定められる。
【0076】
このように、ドア開閉制御システム10は、モータ43を制御することにより、ユーザがドア80を開けることをアシストすることができる。
【0077】
[動作例7]
ドア開閉制御システム10は、動作例5で説明した軸体42のねじれを利用して、ユーザがドア80を開けることをアシストすることもできる。
図11は、このようなドア開閉制御システム10の動作例7のフローチャートである。
【0078】
制御装置30の制御部32は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力され、かつ、取得部31によって取得されたドア80の開閉位置を示す信号に基づいて、ドア80が閉状態であると判定すると(S71)、モータ43を制御することにより、軸体42をドア80が閉じる方向に所定量回動させる(S72)。制御部32は、具体的には、軸体42が弾性部材42cの弾性に反してねじれるまでモータ43を回転させる。モータ43をどの程度回転させるかは、例えば、弾性部材42cの弾性等を考慮して、実験的に定められる。そして、制御部32は、ドア80が閉じ、かつ、軸体42がねじれた状態で電磁クラッチ45にドアの位置を固定させる(S73)。
【0079】
その後、制御部32は、室内側または室外側のドアハンドル81に設けられた接触センサ21によって出力され、かつ、取得部31によって取得されたドアハンドル81へのユーザの接触状態を示す信号に基づいて、ドアハンドル81にユーザが接触していると判定すると(S74)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45にドア80の位置の固定を解除させる(S75)。そうすると、ステップS73において軸体42が弾性に反してねじれた状態のままドア80が固定されているため、軸体42が元に戻ろうとする力でドア80がわずかに開く。例えば、ドア80とパッキンとが密着しているような場合には、ドア80とパッキンとの密着がはがれることになる。
【0080】
このように、ドア開閉制御システム10は、第一軸体42a及び第二軸体42bの一方が他方に対して動く(ねじれる)までドア80が閉じる方向に軸体42を回動させてドア80を閉状態にし、この状態で電磁クラッチ45を制御することによりドア80の位置を固定する。その後、制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて電磁クラッチ45を制御することによりドア80の位置の固定を解除する。これにより、弾性部材42cの弾性を利用してユーザがドア80を開けることを支援することができる。
【0081】
[動作例8]
ドア開閉制御システム10は、電気錠システム50と連動してドア80の開閉位置の固定、及び、その解除を行うこともできる。ドア開閉制御システム10は、例えば、ドア80が解錠されたことをトリガとしてドア80の開閉位置の固定を解除することができる。
図12は、このようなドア開閉制御システム10の動作例8のフローチャートである。
【0082】
制御装置30の制御部32は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力され、かつ、取得部31によって取得されたドア80の開閉位置を示す信号に基づいて、ドア80が閉状態であると判定すると(S81)、電磁クラッチ45にドアの位置を固定させる(S82)。
【0083】
その後、取得部31は、電気錠システム50の電気錠制御部54によって出力される、ドア80の施錠状態を示す信号を取得する(S83)。制御部32は、取得部31によって取得されたドア80の施錠状態を示す信号に基づいて、ドア80が施錠状態から解錠状態に遷移したと判定すると(S84)、ドア制御装置40の電磁クラッチ45にドア80の位置の固定を解除させる(S85)。
【0084】
このように、ドア開閉制御システム10は、例えば、ドア80が解錠されたことをトリガとしてドア80の開閉位置の固定を解除する。ユーザは、電気錠51を解錠するための動作を行うだけで、ドア80の位置の固定を解除することができる。つまり、ドア開閉制御システム10は、ユーザの利便性を向上することができる。
【0085】
[動作例9]
また、ドア開閉制御システム10は、ドア80が閉じたときにドア80を自動的に施錠することができる。
図13は、このようなドア開閉制御システム10の動作例9のフローチャートである。
【0086】
制御装置30の取得部31は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力される、ドア80の開閉位置を示す信号を取得する(S91)。制御部32は、取得部31によって取得されたドア80の開閉位置を示す信号に基づいて、ドア80が閉状態から開状態に遷移してから所定期間が経過したか否かを判定する(S92)。
【0087】
制御部32は、ドア80が閉状態から開状態に遷移してから所定期間が経過したと判定すると(S92でYes)、モータ43に制御信号を出力することにより、モータ43の可動子を回転させることで、ドア80を閉じる(S93)。これ以外の場合は(S92でNo)、モータ43を用いたドア80の閉鎖施錠は行われない。
【0088】
ステップS93の後、制御部32は、さらに、電気錠システム50にドア80(電気錠51)を施錠させる(S94)。制御部32は、例えば、電気錠システム50の電気錠制御部54に施錠指令を送信することにより、電気錠システム50にドア80(電気錠51)を施錠させる。あるいは、制御部32は、ドア制御装置40の開閉位置センサ46によって出力される、ドア80の開閉位置を示す信号を電気錠制御部54に転送し、電気錠制御部54は、転送された信号に基づいてドア80が閉状態である判定した場合に、電気錠51にドア80を施錠させてもよい。
【0089】
このように、ドア開閉制御システム10は、ドア80が所定期間以上開いた状態のままであると判定すると、モータ43を制御することによりドア80を閉じ、さらに、電気錠システム50にドア80を施錠させる。これにより、ドア80の施錠忘れの発生を抑制することができる。
【0090】
ところで、このようにドア80が自動的に施錠されると、カードキーなどを持たないユーザが、誤って、ドア80が設けられた建物の外に閉め出されてしまう場合がある。このような場合に、電気錠システム50が生体認証部56を有していれば、ユーザは生体認証をうけることにより、ドア80を解錠することができる。
【0091】
[動作例10]
ドア開閉制御システム10において、ドア80の開閉位置の固定及び解除は、切替スイッチ24への操作に基づいて行われてもよい。
図14は、このようなドア開閉制御システム10の動作例10のフローチャートである。
【0092】
制御装置30の取得部31は、切替スイッチ24から出力される信号を取得する(S101)。制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、ドア制御装置40の電磁クラッチ45にドア80の開閉位置の固定、及び、解除を切り替える(S102)。例えば、制御部32は、切替スイッチ24が操作されるごとに、ドア80の開閉位置の固定、及び、解除を切り替える。
【0093】
このように、ドア開閉制御システム10は、切替スイッチ24が操作されることにより、ドア80の開閉位置の固定、及び、解除を切り替えることができる。
【0094】
[変形例]
ドア開閉制御システム10において、ドア制御装置40は、モータ43及び減速機44を備えたが、モータ43及び減速機44は必須ではない。ドア制御装置40は、例えば、既存のばね油圧式のドアクローザに電磁クラッチ45が設けられた構成であってもよい。
【0095】
また、ドア制御装置40において、電磁クラッチ45は、制動部の一例である。ドア制御装置40は、電磁クラッチ45に代えて、電磁クラッチ45以外の制動部を備えてもよい。例えば、制御部32は、モータ43にショートブレーキ制御(極短絡制御)を行うことにより、モータ43が制動部として機能してもよい。
図15は、モータ43が制動部として機能し、電磁クラッチ45を備えないドア制御装置40aの詳細な構造(内部構造)を示す図である。
【0096】
また、ドア制御装置40においては、ドア80とドア枠82とを連結する連結部材として開閉アーム41が用いられたが、連結部材は、開閉アーム41に限定されない。例えば、連結部材は、ヒンジに相当する部材であってもよい。
【0097】
[効果等]
以上説明したように、ドア開閉制御システム10は、ドア80の開閉に関する信号を取得する取得部31と、ドア80とドア枠82とを連結する連結部材を制動することにより、ドア80の開閉位置を固定する制動部と、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部を制御する制御部32とを備える。
【0098】
このようなドア開閉制御システム10は、連結部材を制動することにより、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0099】
また、制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部にドア80を当該ドア80が閉じた位置で固定させる。
【0100】
このようなドア開閉制御システム10は、連結部材を制動することにより、ドア80を当該ドア80が閉じた位置で固定することができる。
【0101】
また、制御部32は、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部にドア80を当該ドア80が開いた位置で固定させる。
【0102】
このようなドア開閉制御システム10は、連結部材を制動することにより、ドア80を当該ドア80が開いた位置で固定することができる。
【0103】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、ユーザがドア80が有するドアハンドル81に触れたことを検出する接触センサ21を備える。制御部32は、接触センサ21によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部を制御する。
【0104】
このようなドア開閉制御システム10は、ユーザがドアハンドル81に触れたか否かに基づいて、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0105】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、ドア80の周辺における人の存否を検出する人感センサ22を備える。制御部32は、人感センサ22によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部を制御する。
【0106】
このようなドア開閉制御システム10は、人感センサ22の検出結果に基づいて、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0107】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、ドア80に加わる負荷を検出する負荷センサを備える。制御部32は、負荷センサ23によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部を制御する。
【0108】
このようなドア開閉制御システム10は、ドア80に加わる負荷に基づいて、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0109】
また、例えば、連結部材は、一方の端部41bがドア枠82に可動可能に接続され、他方の端部41cが軸体42に固定された開閉アーム41である。軸体42は、ドア80に、ドア80の開閉に応じて回動するように保持される。制動部は、軸体42の回動を制動することにより、ドア80の開閉位置を固定する。
【0110】
このようなドア開閉制御システム10は、開閉アーム41を制動することにより、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0111】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、軸体42を回動させるモータ43を備える。制御部32は、モータ43を制御することにより、ドア80を開閉する。
【0112】
このようなドア開閉制御システム10は、モータ43を制御することにより、ドア80を開閉することができる。
【0113】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、ドア80の開閉状態を検出する開閉位置センサ46を備える。制御部32は、開閉位置センサ46によって出力される信号に基づいて、ドア80が所定期間以上開いた状態のままであると判定すると、モータ43を制御することによりドア80を閉じる。
【0114】
このようなドア開閉制御システム10は、自動的にドア80を閉じることで、ドア80の閉め忘れを抑制することができる。
【0115】
また、例えば、モータ43は、軸体42の回動を制動することで制動部としても機能する。
【0116】
このようなドア開閉制御システム10は、モータ43を制御することにより、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0117】
また、例えば、制動部は、軸体42の回動を制動する電磁クラッチ45である。
【0118】
このようなドア開閉制御システム10は、電磁クラッチ45により、ドア80の開閉位置を固定することができる。
【0119】
また、例えば、軸体42は、軸方向に並ぶ第一軸体42a及び第二軸体42bが、弾性的に接続されることにより構成される。
【0120】
このようなドア開閉制御システム10は、軸体42の弾性を利用して、ドア80をドア枠82に設けられたパッキン等に密着させる制御を行うことができる。
【0121】
また、例えば、制御部32は、ドア80が閉じた状態において、モータ43を制御することにより、軸体42をドア80が開く方向に所定量回動させる。
【0122】
このようなドア開閉制御システム10は、ユーザがドア80を開けることをアシストすることができる。
【0123】
また、例えば、制御部32は、第一軸体42a及び第二軸体42bの一方が他方に対して動くまでドア80が閉じる方向に軸体42を回動させてドア80を閉状態にし、この状態で制動部を制御することによりドア80の位置を固定した後、取得部31によって取得された信号に基づいて制動部を制御することによりドア80の開閉位置の固定を解除する。
【0124】
このようなドア開閉制御システム10は、軸体42の弾性を利用して、ユーザがドア80を開けることをアシストすることができる。
【0125】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、ドア80の施錠状態を示す信号を出力する電気錠システム50を備える。
【0126】
このようなドア開閉制御システム10は、電気錠システム50と連動することができる。
【0127】
また、例えば、制御部32は、電気錠システム50によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、ドア80が施錠状態から解錠状態に遷移したと判定した場合に、制動部に、ドアの開閉位置の固定を解除させる。
【0128】
このようなドア開閉制御システム10は、ドア80が解錠状態になったことをトリガにドアの開閉位置の固定を解除することができる。
【0129】
また、例えば、連結部材は、一方の端部41bがドア枠82に可動可能に接続され、他方の端部41cが軸体42に固定された開閉アーム41であり、軸体42は、ドア80に、ドア80の開閉に応じて回動するように保持される。ドア開閉制御システム10は、さらに、軸体42を回動させるモータ43と、ドア80の開閉状態を検出する開閉位置センサ46とを備える。制御部32は、開閉位置センサ46によって出力される信号に基づいて、ドア80が所定期間以上開いた状態のままであると判定すると、モータ43を制御することによりドア80を閉じ、さらに、電気錠システム50にドア80を施錠させる。
【0130】
このようなドア開閉制御システム10は、自動的にドア80が閉じたことをトリガに、ドア80を施錠することができる。
【0131】
また、例えば、電気錠システム50は、ドア80の施錠及び解錠を行うために、ユーザの生体認証情報を取得する生体認証部56を備える。
【0132】
このようなドア開閉制御システム10は、自動的にドア80が閉じられることによりユーザが建物の外に閉め出されてしまうような場合に、ユーザがドア80を解錠することを支援することができる。
【0133】
また、例えば、ドア開閉制御システム10は、さらに、制動部によるドア80の開閉位置の固定、及び、固定の解除を切り替えるためにユーザによって操作される切替スイッチ24を備える。制御部32は、切替スイッチ24によって出力され、かつ、取得部31によって取得された信号に基づいて、制動部を制御する。
【0134】
このようなドア開閉制御システム10は、切替スイッチ24が操作されたことに基づいて、ドア80の開閉位置の固定、及び、固定の解除を切り替えることができる。
【0135】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0136】
例えば、上記実施の形態で説明された動作例1~10は、不整合が生じない範囲で任意に組み合わされてよい。
【0137】
また、上記実施の形態では、ドア開閉制御システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置によって実現されてもよい。例えば、ドア開閉制御システムは、制御装置及びドア制御装置を統合した一つの装置として実現されてもよい。ドア開閉制御システムが複数の装置によって実現される場合、ドア開閉制御システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0138】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0139】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0140】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0141】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0142】
例えば、本発明は、上記実施の形態のドア開閉制御システムなどのコンピュータが実行するドア開閉制御方法として実現されてもよい。また、本発明は、ドア開閉制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0143】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
10 ドア開閉制御システム
21 接触センサ
22 人感センサ
23 負荷センサ
31 取得部
32 制御部
33、55 記憶部
41 開閉アーム
41b 一方の端部
41c 他方の端部
42 軸体
42a 第一軸体
42b 第二軸体
43 モータ
45 電磁クラッチ
46 開閉位置センサ
50 電気錠システム
56 生体認証部
80 ドア
81 ドアハンドル
82 ドア枠