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特許7270305黄連及び荊芥混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】黄連及び荊芥混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/718 20060101AFI20230428BHJP
   A61K 36/538 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230428BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230428BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20230428BHJP
【FI】
A61K36/718
A61K36/538
A61P1/04
A61P37/06
A61P29/00
A61P43/00 121
A61P43/00 105
A23L33/105
A23K10/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021564405
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 KR2020005475
(87)【国際公開番号】W WO2020222470
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0050088
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518069438
【氏名又は名称】ヘリックスミス カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウォンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ、トゥ ソク
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-519117(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0014758(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0025348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A23L 33/00
A23K 10/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物であって、
前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連と荊芥が1~30:1の重量比で混合された混合抽出物である、前記薬剤学的組成物
【請求項2】
前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大膓炎(ulcerative colitis)、クローン病(crohn’s disease)、腸型ベーチェット病(intestinal behcet’s disease)、不確定大膓炎(indeterminate
colitis)、細菌性腸炎、ウイルス性腸炎、アメーバ性腸炎、出血性直腸潰瘍、虚血性大膓炎及び結核性腸炎からなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
【請求項3】
前記薬剤学的組成物は、炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2又はMIP-2の活性化を抑制するものである、請求項1に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
【請求項4】
前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、水、炭素数1~4のアルコール又はこれらの混合物から選ばれる一つ以上の溶媒で抽出されたものである、請求項1に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
【請求項5】
前記アルコールは、エタノールである、請求項に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
【請求項6】
前記アルコールの濃度は、20~99%である、請求項に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
【請求項7】
黄連及び荊芥の混合抽出物を含む炎症性腸疾患予防又は改善用食品組成物であって、
前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連と荊芥が1~30:1の重量比で混合された混合抽出物である、前記食品組成物
【請求項8】
黄連及び荊芥の混合抽出物を含む炎症性腸疾患予防又は改善用飼料組成物であって、
前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連と荊芥が1~30:1の重量比で混合された混合抽出物である、前記飼料組成物
【請求項9】
黄連及び荊芥を、水、炭素数1~4のアルコール、又はこれらの混合物から選ばれる一つ以上の溶媒で抽出をすることを含む、炎症性腸疾患の予防、治療、又は改善用組成物の製造方法であって、
前記黄連及び荊芥は、黄連と荊芥が1~30:1の重量比で混合される、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物に関する。
【0002】
本特許出願は、2019年4月29日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2019-0050088号に対して優先権を主張し、該特許出願の開示事項は、本明細書に参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
炎症性疾患は全世界的に最も重要な健康上の問題の一つである。炎症は、一般に、外部物質又は有害な刺激による身体組織の保護反応である。炎症の原因は、バクテリア、ウイルス及び寄生虫のような感染性原因;火傷又は放射線照射のような物理的原因;毒素、薬物又は産業的製剤のような化学薬品;アレルギー及び自己免疫反応のような免疫的反応、又は酸化性ストレスと関連がある。
【0004】
炎症は、疼痛、赤化現象、浮腫み、熱、及び感染された領域の機能損失を特徴とする。これらの症状は、免疫系の細胞間で起きる複雑な相互作用の結果である。細胞の反応により、結果として様々な炎症媒介子の相互作用ネットワークが生成される。
【0005】
一方、炎症性疾患の代表疾患として炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease,IBD)がある。炎症性腸疾患は、潰瘍性大膓炎(Ulcerative colitis,UC)、クローン病(Crohn’s disease,CD)、ベーチェット病など、知らない原因により腸に炎症や潰瘍ができる慢性炎症性疾患のことを指す。
【0006】
炎症性腸疾患は、体重減少、粘液や血液を伴う下痢、発熱、腸運動障害、結腸の短縮のような腸の病理学的徴候を示すことが知られている。ほぼ全ての潰瘍性大膓炎患者において直腸に炎症が発見され、炎症の範囲は、大腸全体にわたって存在する。したがって、炎症性腸疾患があれば、腸管の粘膜で種々の炎症性サイトカインが分泌され、炎症信号伝達が活性化すると知られている。
【0007】
潰瘍性大膓炎は、反復して発生する難治性消化器系統の腸疾患であって、臨床では一般に、腹痛、下痢及び膿血粘液便が主な症状であり、病変は粘膜及び粘膜下層で主に現れる。正常の大腸組織は、粘膜、粘膜下組職、筋肉層、腸膜の4層に区分されている。潰瘍性大膓炎の発生によって粘膜と粘膜下組職で病理学的な変化が生じる。潰瘍が形成されることにより、隣接した層に、炎症の発生した細胞の侵入が発生し、陰窩膿瘍(crypt abscess)、周辺血管への炎症の発生、及び好中球、好酸球のような各種炎症細胞の発現といった非特異的な変化が観察される。この疾病は、ヨーロッパや米国などのように肉食を主とする国で多く発生し、最近では韓国においても顕著な増加傾向を示している。しかし、この疾病が発生する原因と発病機序は比較的複雑であり、まだ明らかにされずにいる。
【0008】
クローン病は、自己免疫疾患の一つである慢性炎症性腸疾患であり、通常、小腸と大腸との境界部位で発病するものと知られている。米国の医師クローンが1932年に発見し、クローン病と名付けられた。これは難治性疾患であって、発見されてあまり経っておらず、まだ原因が不明である。兔疫体系の過度な免疫反応に起因するというのが大半の意見であるが、確実なものではない。このため、完治法が発見されていない疾病であり、食習慣、腸内感染、抗生剤使用などの因子に影響を受けると考えられる。クローン病は、炎症が胃腸管内でまばらに発見され、腸の全層(transmural)に影響を与える。このため、瘻管(fistula)ができ、腸が他の臓器器官と連結される合併症が発生することもある。
【0009】
現在、炎症性腸疾患の治療剤としては、プロスタグランジン(prostaglandin)の生成を遮断する5-アミノサリチル酸(5-aminosalicylic acid;5-ASA)系列薬物、例えば、スルファサラジン(sulfasalazine)などを用いたり、ステロイド類の免疫抑制剤を用いている。しかし、このような薬物を長期服用すると、薬物の容量と関連して副作用、毒性及び耐性が生じる問題につながる。
【0010】
一方、天然物抽出物、又はこれを含む組成物は、種々の炎症を含む疾患を緩和し治療するために使用されてきた。これは、天然物が非常に多様で且つ特異的な生理的活性を提供するためであり、化学的薬剤の副作用を顕著に低減させることができるという長所によるものである。したがって、このような天然物を用いた炎症性腸疾患に対する効果的な治療方法又は薬物開発の必要性が台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、炎症性腸疾患に効果を有する天然物医薬品を開発しようと鋭意研究努力した。その結果、黄連及び荊芥の混合抽出物が優れた抗炎症効果を有することを究明し、本発明を完成するに至った。
【0012】
したがって、本発明の目的は、黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防又は治療用薬剤学的組成物を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は改善用食品組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は改善用飼料組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む薬剤学的組成物又は食品組成物を対象体(subject)に投与する段階を含む炎症性腸疾患の予防、改善又は治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一様態によれば、本発明は、黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0017】
本明細書において用語“混合抽出物”又は“混合生薬抽出物”は、黄連抽出物と荊芥抽出物との混合物、又は黄連と荊芥との混合物の抽出物のいずれをも含む意味である。
【0018】
黄連(Coptis Rhizome)は、キンポウゲ課(Ranunculaceae)の多年生草本植物である生薬材であり、黄連(Coptis japonica Makino)、中国黄連(Coptis chinensis Franchet)、三角葉黄連(Coptis deltoidea C.Y.Cheng et Hsiao)又は雲連(Coptis teeta Wallich)の地下茎であって、根を除去したものを指す。
【0019】
荊芥(Schizonepeta tenuifolia Briquet)は、シソ科(Labiatae)の一年生草本であり、これの地上部である荊芥(Schizonepetae Herba)又は花穂(花軸)である荊芥穂(荊芥穂、Schizonepetae Spica)のことを指す。
【0020】
本明細書において用語“炎症性腸疾患”は、腸、すなわち、小腸、大腸などに炎症ができる疾患を意味し、腸管内で異常慢性炎症が好転と再発を反復する疾患を含む。また、原因が明らかになった特異性腸炎、原因不明の非特異性腸炎、及び他疾患から引き起こされた腸炎、例えば、腸型ベーチェット病などを含む。
【0021】
本明細書において用語“治療”は、本発明に係る組成物の投与により炎症性腸疾患の症状が好転又は完治するあらゆる行為を意味する。
【0022】
また、本明細書において用語“予防”は、本発明に係る組成物の投与により炎症性腸疾患の症状を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味する。
【0023】
本明細書において、用語“有効成分として含む”とは、黄連及び荊芥の混合抽出物の効能又は活性を達成するのに十分な量を含むことを意味する。
【0024】
本発明の組成物に含まれる黄連及び荊芥の混合抽出物は天然植物材料であり、細胞毒性がない。本発明の組成物に含まれる黄連及び荊芥の混合抽出物の量的上限は当業者が適切な範囲内で選択して使用することができる。
【0025】
本明細書で使われる用語“抽出物”は、当業界において粗抽出物(crude extract)として通用される意味を有するが、広義には、抽出物をさらに分画(fractionation)した分画物も含む。すなわち、黄連及び荊芥の抽出物は、抽出溶媒を用いて得たものの他に、これに精製過程をさらに適用して得たものも含む。例えば、前記抽出物を、一定の分子量カット-オフ値を有する限外濾過膜に通過させて得た分画、種々のクロマトグラフィー(サイズ、電荷、疎水性又は親和性による分離のために製造されたもの)による分離など、さらに施された様々な精製方法によって得られた分画も本発明の黄連及び荊芥の抽出物に含まれる。
【0026】
本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含むことができる。前記薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、これらの成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。適宜の薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳述されている。
【0027】
また、本発明の薬剤学的組成物は、当業界に、炎症性腸疾患治療効果があると知られている有効成分をさらに含むことができる。例えば、グルココルチコステロイド(glucocorticosteroid)などのステロイド類、スルファサラジン(sulfasalazine)、メサラジン(mesalazine)などの5-アミノサリチル酸(5-aminosalicylic acid,5-ASA)系統薬物、TNF-α単一クローン抗体である。
【0028】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、非経口投与の場合は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与できる。
【0029】
本発明の薬剤学的組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって様々であり、熟練した通常の医師は所望の治療又は予防に効果的な投与量を容易に決定し処方することができる。本発明の好ましい具現例によれば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は、0.001~1000mg/kgである。
【0030】
本発明の薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化し、単位容量の形態で製造したり或いは多回容量容器内に内入させて製造することができる。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の一具現例において、前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大膓炎(ulcerative colitis)、クローン病(crohn’s disease)、腸型ベーチェット病(intestinal behcet’s disease)、不確定大膓炎(indeterminate colitis)、細菌性腸炎、ウイルス性腸炎、アメーバ性腸炎、出血性直腸潰瘍、虚血性大膓炎及び結核性腸炎からなる群から選ばれるものであるが、それに制限されない。より具体的に、前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大膓炎又はクローン病である。
【0032】
本発明の一具現例において、前記薬剤学的組成物は、炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2又はMIP-2の活性化を抑制するものである。
【0033】
本明細書において、用語“活性化”とは、該当の遺伝子が発現したり、或いは発現して、機能性を持つ該当の遺伝子のタンパク質を生産することを意味する。また、“活性化を抑制”するということは、該当の遺伝子が発現しないか、又は、発現しても、機能性を持つ該当の遺伝子のタンパク質を生産しないことを意味したり、或いはその発現レベルが顕著に低いため実質的に発現しないことも含む。
【0034】
本発明の一具現例において、前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連と荊芥が1~30:1~30、1~20:1~20、1~15:1~15、1~10:1~10、1~8:1~8、1~7:1~7、1~6:1~6、1~5:1~5、1~4:1~4、1~3:1~3、1~2:1~2、又は1:1の重量比で混合されるが、これに限定されるものではない。より具体的には、前記黄連及び荊芥の混合重量比は、1~30:1、1~20:1、1~15:1、1~10:1、1~8:1、1~7:1、1~6:1、1~5:1、1~4:1、1~3:1、1~2:1、20:1、15:1、10:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1である。
【0035】
本発明の実施例によれば、前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連と荊芥が1~10:1の重量比で含まれるとき、優れた炎症緩和効果を示した。
【0036】
本発明の組成物において用いられる黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連、荊芥又はこれらの組合せに抽出溶媒を処理して得る場合には、様々な抽出溶媒が用いられてよい。好ましくは、極性溶媒又は非極性溶媒を用いることができる。適切な極性溶媒としては、(i)水、(ii)アルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノマル-プロパノール、イソ-プロパノール、ノマル-ブタノール)、(iii)酢酸、(iv)DMFO(dimethyl-formamide)、及び(v)DMSO(dimethyl sulfoxide)を含む。
【0037】
適切な非極性溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸メチル、フルオロアルカン、ペンタン、ヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン、デカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジイソブチレン、1-ペンテン、1-クロロブタン、1-クロロペンタン、o-キシレン、ジイソプロピルエーテル、2-クロロプロパン、トルエン、1-クロロプロパン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジエチルスルフィド、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アニリン、ジエチルアミン、エーテル、四塩化炭素及びTHFを含む。
【0038】
本発明において、黄連、荊芥又はこれらの組合せの抽出時に、熱水抽出法、冷浸抽出法、還流抽出法、常温抽出法、又は超音波抽出法を用いることができる。
【0039】
本発明の一具現例において、前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、水、炭素数1~4のアルコール又はこれらの混合物の中から選ばれる一つ以上の溶媒で抽出されたものである。
【0040】
本発明の一具体例において、前記アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノマル-プロパノール、イソ-プロパノール、ノマル-ブタノールである。より具体的に、前記アルコールはエタノールである。
【0041】
本発明の一具体例において、前記エタノールの濃度は、20~99体積%である。より具体的に、前記エタノールの濃度は、20~75体積%、20~55体積%、20~35体積%、25~99体積%、25~75体積%、25~55体積%、25~35体積%、55~99体積%、55~75体積%であるが、これに限定されるものではない。最も具体的に、前記エタノールの濃度は、20~30体積%又は65~75体積%である。
【0042】
本発明の一具現例において、前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、70~100℃で熱水抽出した熱水抽出物である。より具体的に、前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、75~100℃、80~100℃、85~100℃、90~100℃、75~95℃、80~95℃、85~95℃で熱水抽出した熱水抽出物であるが、これに限定されない。最も具体的に、前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、90~95℃で熱水抽出した熱水抽出物である。
【0043】
本発明の実施例によれば、本発明の黄連及び荊芥の混合抽出物は、熱水抽出物及びエタノール抽出したいずれの場合においても有意の抗炎症効果を示し、黄連及び荊芥の重量比が1:1、2:1、4:1、8:1、10:1に混合された場合に有意の抗炎症効果を示し、特に、10:1の比率に混合された場合に優れた抗炎症効果を示した。
【0044】
本発明の他の態様によれば、本発明は、黄連及び荊芥の混合抽出物を含む炎症性腸疾患予防又は改善用食品組成物を提供する。
【0045】
本発明の食品組成物は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル又は飲料などの形態で製造されてよい。例えば、キャンディ類の各種食品類、飲料、ガム、茶、ビタミン複合剤、又は健康補助食品類などがある。
【0046】
本発明の食品組成物は、有効成分として黄連及び荊芥混合抽出物の他に、食品製造時に通常添加される成分も含むことができ、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。上述の炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロース、オリゴ糖など;及び、ポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。香味剤として天然香味剤[タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど])及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使用することができる。例えば、本発明の食品組成物がドリンク剤として製造される場合には、本発明の黄連及び荊芥混合抽出物の他、クエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、リンゴ酸、果汁、杜仲抽出液、ナツメ抽出液、甘草抽出液などをさらに含むことができる。
【0047】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、黄連及び荊芥の混合抽出物を含む炎症性腸疾患予防又は改善用飼料組成物を提供する。
【0048】
発明の組成物に含まれた黄連及び荊芥抽出物は天然植物材料であって、古くから食用及び民間薬として用いられてきたものであるから、これらから抽出された本発明の抽出物も毒性及び副作用などの問題がないと予想できる。したがって、黄連及び荊芥抽出物は、医薬品、食品組成物、飼料組成物として使用することができる。
【0049】
本発明の食品組成物及び飼料組成物に含まれる黄連及び荊芥の抽出に関する内容は、前記薬剤学的組成物に含まれる黄連及び荊芥の混合抽出物の抽出に関する内容と同一であり、両方に共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0050】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、(i)黄連及び荊芥のそれぞれ、又は混合された黄連及び荊芥に抽出溶媒を加えて抽出する段階;(ii)前記抽出する段階で形成された抽出物をそれぞれ常温で撹拌して濾過する段階;及び、(iii)前記濾過液を減圧濃縮する段階を含む、黄連及び荊芥の混合抽出物の製造方法を提供する。
【0051】
本発明の一具現例において、前記抽出溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノマル-プロパノール、イソ-プロパノール、ノマル-ブタノールである。より具体的に、前記アルコールはエタノールである。
【0052】
本発明の一具体例において、前記エタノールの濃度は、20~99体積%である。より具体的に、前記エタノールの濃度は、20~75体積%、20~55体積%、20~35体積%、25~99体積%、25~75体積%、25~55体積%、25~35体積%、45~99体積%、45~75体積%であるが、これに限定されるものではない。最も具体的に、前記エタノールの濃度は、45~70体積%である。本発明の実施例によれば、前記エタノールの濃度が45~70体積%である場合に優れた抽出収率を示した。
【0053】
本発明の製造方法において、抽出に関する内容は、前記薬剤学的組成物に含まれる黄連及び荊芥の混合抽出物の抽出に関する内容と同一であり、両者に共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0054】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、上述した本発明の黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む薬剤学的組成物又は食品組成物を対象体(subject)に投与する段階を含む炎症性腸疾患の予防、改善又は治療方法を提供する。
【0055】
本明細書で使われる用語“投与”又は“投与する”は、本発明の組成物の治療的又は予防的有効量を、前記対象疾患を有しているか、有する可能性のある対象体(個体)に直接投与することにより、対象体の体内で同一量を形成させることを意味する。本発明の組成物の投与経路は、目的組織に到達可能な限り、一般のいかなる経路でも経口又は非経口投与可能である。また、本発明の組成物は、有効成分を標的の細胞、組織又は器官に伝達できる任意の装置で投与されてもよい。
【0056】
前記組成物の“治療的有効量”は、組成物を投与しようとする対象体に治療的又は予防的効果を提供するのに十分な組成物の含有量を意味し、よって、“予防的有効量”を含む意味である。
【0057】
本発明の一具現例において、前記対象体は、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ及びギニアピッグからなる群から選ばれるものであるが、これに限定されない。より具体的に、前記対象体は、ヒトである。
【0058】
本発明の予防、方法の対象疾病である炎症性腸疾患は、前記薬剤学的組成物又は食品組成物の対象疾病と関連して定義した通りである。
【0059】
本発明の前記炎症性腸疾患の予防又は治療方法は、本発明の一態様である薬剤学的組成物を投与する段階を含む方法であるから、前記薬剤学的組成物と関連して重複する内容については、本明細書の過度な重複性を避けるためにその記載を省略する。
【発明の効果】
【0060】
本発明の特徴及び利点を要約すれば次の通りである:
【0061】
黄連及び荊芥の混合抽出物は、炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2又はMIP-2の活性を抑制し、炎症性腸疾患を予防又は治療する効能を示す。
【0062】
前記効能により、本発明の黄連及び荊芥抽出物を用いる場合、毒性及び副作用無しで人体に安全に使用できる、炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物、又は炎症性腸疾患予防又は改善用食品組成物及び飼料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】デキストラン硫酸ナトリウム(Dextran Sulfate Sodium,DSS)誘導大膓炎マウスにおいて各投与群の10日目のDAI(Disease Activity Index)値を示すものである。
【0064】
図2】DSS誘導大膓炎マウスにおいて各投与群の腸粘膜指数を示すものである。
【0065】
図3】ジニトロベンゼンスルホン酸(Dinitrobenzene sulfonic acid,DNBS)誘導大膓炎マウスにおいて各投与群の生存率(%)を示すものである。
【0066】
図4】DNBS誘導大膓炎マウスにおいて各投与群の腸の長さを示すものである。
【0067】
図5】DSS誘導大膓炎マウスにおいて各投与群の14日間の体重変化率(%)を示すものである。
【0068】
図6】DSS誘導大膓炎マウスにおいて各投与群の10日目のDAI値を示すものである。
【0069】
図7】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群の10日目のDAI値を示すものである。
【0070】
図8】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群のTNF-α発現レベルを相対値で示すものである。
【0071】
図9】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群のIL-1β発現レベルを相対値で示すものである。
【0072】
図10】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群のIL-17発現レベルを相対値で示すものである。
【0073】
図11】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群のIL-23発現レベルを相対値で示すものである。
【0074】
図12】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群のMIP-2発現レベルを相対値で示すものである。
【0075】
図13】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合抽出物投与群のCCL2発現レベルを相対値で示すものである。
【0076】
図14】LPSによって炎症の誘導された大食細胞株において単一抽出物及び様々な混合比率の混合生薬抽出物投与群のNO生成量を示すものである。
【0077】
図15】LPSによって炎症の誘導された大食細胞株において抽出溶媒の濃度による混合生薬抽出物投与群のNO生成量を示すものである。
【0078】
図16】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合生薬抽出物投与群の体重変化率(%)を示すものである。
【0079】
図17】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合生薬抽出物投与群の10日目のDAI値を示すものである。
【0080】
図18】DSS誘導大膓炎マウスにおいて単一抽出物及び混合生薬抽出物投与群の腸の長さを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【実施例
【0082】
本明細書全体を通じて、特定物質の濃度を示すために使用される“%”は、別に断りのない限り、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、そして液体/液体は(体積/体積)%である。
【0083】
実施例1:単一生薬抽出物粉末の製造
洗浄及び乾燥した状態の24種の生薬、烏梅(Mume Fructus)、訶子(Terminaliae Fructus)、旱連草(Ecliptae Herba)、山薬(Dioscoreae Rhizoma)、巻柏(Selaginellae Herba)、荊芥(Schizonepeta tenuifolia Briquet)、ゲンノショウコ(Geranii Herba)、補骨脂(Psoraleae Semen)、側柏葉(Thujae Orientalis Folium)、槐花(Sophorae Flos)、苦参(Sophorae Radix)、黄連(Coptis Rhizome)、大薊(Cirsii Herba)、地楡(Sanguisorbae Radix)、五倍子(Galla Rhois)、檳榔子(Arecae Semen)、升麻(Cimicifugae Rhizoma)、樗白皮(Ailanthi Radicis Cortex)、独活(Araliae Continentalis Radix)、葛根(Puerariae Radix)、桔梗(Platycodonis Radix)、五味子(Schisandrae Fructus)、麦門冬(Liriopis Tuber)及び木耳(Auriculariae Polyporus)を購入した。
【0084】
上記の烏梅、訶子、旱連草、山薬、巻柏、荊芥、ゲンノショウコ、補骨脂、側柏葉、槐花、苦参、黄連、大薊、地楡、五倍子、檳榔子、升麻、樗白皮、独活、葛根、桔梗、五味子、麦門冬及び木耳をそれぞれ、重量の10倍の70%(v/v)エタノール水溶液を加えて常温で72時間よく撹拌しながら抽出した。抽出液を濾過し、50~65℃で減圧濃縮後に凍結乾燥させ、前記24種の生薬に対する単一抽出物粉末をそれぞれ得、それらの収率を下記表1に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例2:DSS誘導腸炎モデルに対する単一生薬抽出物の効果実験
8週齢雄性マウス(C57BL/6)を1週以上馴化飼育した後、正常群、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS;36,000-50,000MW,MP Biomedicals,USA)を投与して潰瘍性大膓炎を誘発させた後、蒸留水を投与したDSS及び蒸留水投与群(陰性対照群)、DSS及び5-アミノサルチル酸(5-ASA;Tokyo Chemical Industry Co.,Japan)投与群(陽性対照群)、及びDSS及び実施例1で製造された各単一生薬抽出物を投与した群(実験群)に分類した。
【0087】
DSS誘導腸炎モデルは、ヒトの潰瘍性大膓炎と類似の形態学的変化及び症状を示すことが知られている。DSSを2.5%比率に飲水に希釈して100mLを給与し、2日間隔で取り替えた。5日間DSS誘導後には飲水に取り替えた。
【0088】
陽性対照群薬物として使用した5-ASAは25mg/kgで飲水に希釈し、実験開始日から14日間、1回/日で経口投与した。各単一生薬抽出物は100mg/kgの容量で実験開始日から14日間、1回/日で経口投与した。
【0089】
実験開始後に毎日各群のマウスの体重を測定して体重減少率で計算し、便の状態及び血便の有無を確認した。これら3つの指標に対して、下記表2の基準によって点数を計算した。
【0090】
【表2】
【0091】
前記表2の点数計算基準で計算した和を疾病活性指数(Disease Activity Index;DAI)として下記表3及び図1に示した。
【0092】
【表3】
【0093】
前記表3に示したように、黄連を投与した群は、DAI値が2.0と最も低い値を示し、荊芥を投与した群は、DAI値が2.4であって、陽性対照群と同じ値を示した。
【0094】
実験の最終日にマウスを二酸化炭素ガスで犠牲させた後、大腸部位を除去した。除去された大腸から大腸の長さを測定し、その後、縦方向に切開して腸粘膜の状態を確認した。
【0095】
前記測定した大腸の長さを、下記表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
大腸組織における粘膜潰瘍誘発部位及び損傷した粘膜層の長さを測定した後、その数値の平均値を計算し、腸粘膜指数を計算した。その結果を、下記表5及び図2に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
前記表5に示したように、ゲンノショウコを投与した群の腸粘膜指数は0.80と最も低く、次に、荊芥を投与した群の腸粘膜指数は1.00であって、陽性対照群と同じ値を示した。
【0100】
結果として、DSSを投与して腸炎を誘発した結果、訶子、巻柏、荊芥、ゲンノショウコ、補骨脂、側柏葉、黄連、五倍子、樗白皮、葛根、麦門冬の11の生薬抽出物を投与した群において、DAI値又は腸粘膜指数が陰性対照群と比較して改善された効果を示していることが分かる。
【0101】
実施例3:DNBS誘導腸炎モデルに対する単一生薬抽出物の効果実験
8週齢雄性マウス(C57BL/6)を1週以上馴化飼育した後、正常群、ジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS;Sigma-Aldrich,USA)を投与して炎症性腸疾患を誘発させた後、蒸留水を投与したDNBS及び蒸留水投与群(陰性対照群)、DNBS及び5-ASA投与群(陽性対照群)、及びDNBS及び実施例2で選別された11種の生薬抽出物(訶子、巻柏、荊芥、ゲンノショウコ、補骨脂、側柏葉、黄連、五倍子、樗白皮、葛根、麦門冬)を投与した群(実験群)に分類した。
【0102】
DNBS誘導腸炎モデルは、T細胞媒介免疫反応を誘発する点から、ヒトのクローン病と密接な関連があるものと知られている。DNBSは、50%エタノール/蒸留水に40mg/mLで準備し、カテーテルを用いてマウスの直腸内に0.1mLを徐々に注入した。陽性対照群薬物として使用した5-ASAは25mg/kgで飲水に希釈し、実験開始日から5日間、1回/日で経口投与した。各単一生薬抽出物は100mg/kgの容量で開始日から5日間、1回/日で経口投与し、生存率を毎日確認した。その結果を、下記表6及び図3に示す。
【0103】
【表6】
【0104】
前記表6に示したように、DNBS投与により大多数の投与群において個体が致死したが、4種の生薬抽出物を投与した群は、いずれも40%の生存率を示した。
【0105】
実験の最終日にマウスを二酸化炭素ガスで犠牲させた後、大腸部位を除去して大腸の長さを測定した。その結果を、下記表7及び図4に示す。
【0106】
【表7】
【0107】
表7に示したように、腸の長さを測定した結果、黄連、ゲンノショウコ、荊芥及び巻柏の生薬抽出物投与群は、陰性対照群に比べて腸の長さ減少の程度が改善されることを確認した。
【0108】
結果として、黄連、ゲンノショウコ、荊芥及び巻柏は、優れた腸炎の改善又は治療効果を有することが分かる。
【0109】
実施例4:単一生薬抽出物の濃度別効果実験
8週齢雄性マウス(C57BL/6)を1週以上馴化飼育した後、正常群、DSS及び蒸留水投与群(陰性対照群)、DSS及び5-ASA投与群(陽性対照群)、DSS及び実施例1で製造された各単一生薬抽出物(4種、黄連、ゲンノショウコ、巻柏、荊芥)投与群(実験群)に分類した。
【0110】
DSSは、2.5%に飲水に希釈して100mLを給与し、2日間隔で取り替えた。単一生薬抽出物の濃度別効果評価のために、DSSを合計6日間投与した後、飲水に取り替えた。
【0111】
5-ASAは、25mg/kgで飲水に希釈し、経口投与した。
【0112】
各単一生薬抽出物を開始日から10、30及び100mg/kgの容量で14日間、1回/日で経口投与し、体重変化、便の状態及び血便の有無を毎日確認した。前記体重変化を表8及び図5に示す。
【0113】
【表8】
【0114】
前記表8に示したように、黄連を投与した群は、濃度が増加するにつれて体重変化率が減少することを確認した。一方、荊芥を投与した群は、濃度が増加するにつれて体重変化率が却って増加し、ゲンノショウコ及び巻柏を投与した群は、濃度による体重変化率に特に差異が見られなかった。
【0115】
また、前記体重変化、便の状態及び血便の有無を確認した結果に基づいてDAI値を計算し、その結果を下記表9及び図6に示した。
【0116】
【表9】
【0117】
前記表9に示したように、黄連を投与した群は、濃度が増加するにつれてDAI値が顕著に減少することを確認した。これに対し、荊芥、ゲンノショウコ及び巻柏をそれぞれ投与した群は、濃度によるDAI値に特に差異が見られなかった。
【0118】
実施例5:単一抽出物及び混合抽出物の効果比較
8週齢雄性マウス(C57BL/6)を1週以上馴化飼育した後、正常群、DSS投与群、DSSと蒸留水投与群(陰性対照群)、DSSと5-ASA投与群(陽性対照群)、DSSと100mg/kgの黄連抽出物投与群、DSSと10mg/kgの荊芥抽出物投与群、及びDSSと100mg/kgの黄連抽出物及び10mg/kgの荊芥抽出物(混合抽出物投与群)に分類した。
【0119】
DSSは2.5%に飲水に希釈して100mLを給与し、2日間隔で取り替えた。5日間DSSを投与した後には飲水に取り替えた。
【0120】
陽性対照群薬物として使用した5-ASAは、25mg/kgで飲水に希釈し、経口投与した。
【0121】
黄連100mg/kg、荊芥10mg/kg、及び黄連と荊芥の10:1混合物110mg/kgの容量で14日間、1回/日で経口投与し、体重変化率、便の状態、及び血便の有無を毎日確認した。前記実験結果に基づいてDAI値を計算し、下記表10及び図7に示した。
【0122】
【表10】
【0123】
前記表10に示したように、黄連100mg/kg単一投与群、荊芥10mg/kg単一投与群、及び黄連と荊芥の混合投与群はいずれも、陽性対照群に比べて低いDAI値を有することを確認した。また、混合投与群が単一投与群に比べてより低いDAI値を有することを確認した。
【0124】
実施例6:炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2及びMIP-2の発現変化測定
実施例5で回収したマウスの大腸から、TRIzol(Invitrogen,USA)を用いてRNAを分離した。その後、RT-PCRを行って得たcDNAを用いて、炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2及びMIP-2に特異的なプライマーとSYBRグリーン(Takara,Japan)による定量PCRを行った。これによって得たRNAの発現レベルは、GAPDH mRNAを標準遺伝子とし、無処理群(正常群)に対する相対的な変化量で示した。前記実験結果を下記表11~表16、及び図8図13に示す。前記実験で用いられたマウス遺伝子に対するプライマー配列を、下記表17に示す。
【0125】
【表11】
【0126】
【表12】
【0127】
【表13】
【0128】
【表14】
【0129】
【表15】
【0130】
【表162】
【0131】
【表17】
【0132】
表11~表16に示したように、炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2及びMIP-2の発現レベルにおいて、混合投与群が単一投与群に比べてより低い値を有することを確認した。結果として、単一投与群と比較して混合投与群の炎症抑制効果が優れていることが分かる。
【0133】
実施例7:混合生薬抽出物粉末の製造
混合生薬抽出物粉末を製造するために、洗浄及び乾燥した黄連(Coptis Rhizome)、荊芥(Schizonepetae Spica及びSchizonepetae Herba)を使用した。前記黄連、荊芥を、表18に記載の重量比(w/w)で混合した後、10倍の70%(v/v)エタノール水溶液を加え、常温で72時間撹拌して抽出液を得た。その後、それぞれの抽出液を濾過して50~65℃で減圧濃縮し凍結乾燥して、粉末状態の混合生薬抽出物を得た。それらの収率は次の通りである。
【0134】
【表18】
【0135】
実施例8:抽出溶媒別混合生薬抽出物粉末の製造
洗浄及び乾燥した黄連(Coptis Rhizome)、荊芥(Schizonepetae Spica及びSchizonepetae Herba)を実験に使用した。前記黄連、荊芥を10:1の重量比(w/w)で混合した後、10倍の25、50、70及び95%(v/v)エタノール水溶液を加えて常温で72時間撹拌し、抽出液を得た。また、前記黄連、荊芥を10:1の重量比(w/w)で混合した後、10倍の蒸留水を加え、90~95℃を保つ温度で3時間還流抽出して抽出液を得た。その後、それぞれの抽出液を濾過し、50~65℃で減圧濃縮し凍結乾燥して、粉末状態の混合生薬抽出物を得た。それらの収率は次の通りである。
【0136】
【表19】
【0137】
実施例9:LPSによって誘導された大食細胞株のNO(Nitric Oxide)生成に対する単一及び混合生薬抽出物の効果実験
マウスの大食細胞株であるRaw264.7細胞(ATCC,USA)を、10%のFBSが含まれているRPMI培地(Invitrogen,USA)を用いて、5% CO培養器において37℃条件で培養した。前記細胞をウェル当たりに5×10の細胞数で24ウェルプレートに準備し安定化させた。24時間後、細胞の上澄液を除去した後、実施例1の単一生薬抽出物及び実施例7の混合生薬抽出物を前記細胞に20μg/mLの濃度で処理した。30分後、LPS100ng/mLを前記細胞にさらに処理した。24時間後、細胞の上澄液を回収し、NOの生成変化を測定するためのグリース分析(Griess test)を行い、NaNO(Sodium Nitrite)の濃度別標準曲線を用いてNOの濃度を算出した。その結果を、下記表20及び図14に示す。
【0138】
図14に示したように、LPSの処理によって大食細胞において炎症因子NOの生成が4.62μMレベルに増加した(陰性対照群)。LPS処理と共に単一生薬抽出物を処理した実験群では、NOの濃度がそれぞれ2.75、3.93μM程度に減少したが、混合生薬抽出物を処理した実験群では、NOの濃度がそれぞれ1.69、1.71、1.41、1.79、1.99μMに減少し、単一生薬抽出物を処理した場合に比べて有意に高いNO生成抑制能を示した。したがって、本発明の混合生薬抽出物が優れた抗炎症効能を示すことを確認した。
【0139】
【表20】
【0140】
実施例10:LPSによって誘導された大食細胞株のNO(Nitric Oxide)生成に対する熱水及び抽出溶媒(エタノール)濃度別混合生薬抽出物の効果実験
マウスの大食細胞株であるRaw264.7細胞(ATCC,USA)を、10%のFBSが含まれているRPMI培地(Invitrogen,USA)を用いて、5% CO培養器において37℃条件で培養した。前記細胞をウェル当たりに5×10の細胞数で24ウェルプレートに準備し安定化させた。24時間後、細胞の上澄液を除去した後、実施例8の熱水及び抽出溶媒(エタノール)濃度別混合生薬抽出物を前記細胞に20μg/mLの濃度で処理した。30分後、LPS100ng/mLを前記細胞にさらに処理した。24時間後に細胞の上澄液を回収し、NOの生成変化を測定するためのグリース分析(Griess test)を行い、NaNO(Sodium Nitrite)の濃度別標準曲線を用いてNOの濃度を算出した。その結果を下記表21及び図15に示す。
【0141】
図15に示すように、LPSの処理によって大食細胞において炎症因子NOの生成が4.62μMレベルに増加した(陰性対照群)。LPS処理と共に熱水及び抽出溶媒(エタノール)濃度別混合生薬抽出物を処理した実験群では、NOの濃度がそれぞれ2.22、1.48、1.73、1.45、1.55μMと測定され、全ての抽出物実験群において有意のNO生成抑制能を確認した。
【0142】
【表21】
【0143】
実施例11:DSS誘導腸炎モデルに対する単一及び混合生薬抽出物の効果実験
8週齢雄性マウス(C57BL/6)を1週以上馴化飼育した後、正常群、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS;36,000-50,000MW,MP Biomedicals,USA)を投与して潰瘍性大膓炎を誘発させた後、蒸留水を投与したDSS及び蒸留水投与群(陰性対照群)、DSS及び5-アミノサルチル酸(5-ASA;Tokyo Chemical Industry Co.,Japan)投与群(陽性対照群)、及びDSS及び実施例1で製造された黄連、荊芥抽出物と実施例7で製造された混合生薬抽出物を投与した群(実験群)に分類した。
【0144】
DSS誘導腸炎モデルは、ヒトの潰瘍性大膓炎と類似の形態学的変化及び症状を示すものと知られている。DSSを2.5%比率で飲水に希釈して100mLを給与し、2日間隔で取り替えた。5日間DSS誘導後には飲水に取り替えた。
【0145】
陽性対照群薬物として使用した5-ASAは25mg/kgで飲水に希釈し、実験開始日から10日間、1回/日で経口投与した。各混合生薬抽出物は、50mg/kgの容量で実験開始日から10日間、1回/日で経口投与した。
【0146】
実験開始後に毎日、各群のマウスの体重を測定して体重減少率を計算した。前記体重変化を表22及び図16に示す。
【0147】
【表22】
【0148】
前記表22に示したように、黄連:荊芥=1:1及び10:1比率の混合生薬抽出物投与群での体重変化率は、黄連個別抽出物、荊芥個別抽出物及び陽性対照群投与群に比べて低い数値を示した。特に、黄連:荊芥=10:1比率の混合生薬抽出物投与のとき、1:1比率の混合生薬抽出物に比しても顕著に低い体重変化率が観察された。
【0149】
また、前記体重変化、便の状態及び血便の有無を確認した結果に基づいてDAI値を計算し、その結果を下記表23及び図17に示した。
【0150】
【表23】
【0151】
前記表23に示したように、黄連:荊芥=1:1比率の混合生薬抽出物投与群でのDAI値は、黄連個別抽出物投与群に比べて低く、陽性対照群及び荊芥個別抽出物投与群に比しては類似の値を示した。黄連:荊芥=10:1比率の混合生薬抽出物投与群でのDAI値は、黄連個別抽出物、荊芥個別抽出物及び陽性対照群投与群に比べて低い数値を示した。
【0152】
実験の最終日にマウスを二酸化炭素ガスで犠牲させた後、大腸部位を除去した。除去された大腸から大腸の長さを測定し、その結果を下記表24及び図18に示した。
【0153】
【表24】
【0154】
前記表24に示したように、黄連:荊芥=1:1及び10:1比率の混合生薬抽出物投与群での腸の長さは、黄連個別抽出物、荊芥個別抽出物及び陽性対照群投与群に比べて高い数値を示した。特に、黄連:荊芥=10:1比率の混合生薬抽出物投与のとき、1:1比率の混合生薬抽出物に比しても顕著に高い腸の長さを示した。
【0155】
したがって、DSS投与して腸炎を誘発した結果、黄連及び荊芥の混合生薬抽出物を投与した群が、個別生薬抽出物投与群に比べて体重変化率、DAI値又は腸の長さにおいて改善された効果を示すことを確認した。
【0156】
以下、本発明の抽出物を含む組成物の製剤例を説明するが、これは、本発明を限定するものでなく、単に具体的に説明するためのものである。
【0157】
製剤例
【0158】
製剤例1.散剤の製造
実施例7-5の黄連及び荊芥の混合抽出物 500mg
乳糖 100mg
タルク 10mg
前記の成分を混合して気密袋に充填して散剤を製造する。
【0159】
製剤例2.錠剤の製造
実施例7-5の黄連及び荊芥の混合抽出物 300mg
とうもろこし澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記の成分を混合した後、通常の錠剤製造方法によって打錠して錠剤を製造する。
【0160】
製剤例3.カプセル剤の製造
実施例7-5の黄連及び荊芥の混合抽出物 200mg
結晶性セルロース 3mg
ラクトース 14.8mg
ステアリン酸マグネシウム 0.2mg
通常のカプセル剤製造方法によって前記の成分を混合し、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0161】
製剤例4.液剤の製造
実施例7-5の黄連及び荊芥の混合抽出物 4g
異性化糖 10g
マンニトール 5g
精製水 適量
通常の液剤の製造方法によって精製水にそれぞれの成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えた後、前記の成分を混合後に精製水を加えることによって全体に精製水を加えて全体100mlに調節した後、褐色瓶に充填して滅菌させることで、液剤を製造する。
【0162】
製剤例5.健康食品の製造
実施例7-5の黄連及び荊芥の混合抽出物 1,000mg
ビタミン混合物 適量
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
無機質混合物 適量
硫酸第1鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
第1リン酸カリウム 15mg
第2リン酸カルシウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
【0163】
前記のビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品に適する成分を好ましい実施例として混合組成したが、その配合比を任意に変形実施しても構わなく、通常の健康食品製造方法によって前記の成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法によって健康食品組成物の製造に用いることができる。
【0164】
製剤例6.健康飲料の製造
実施例7-5の黄連及び荊芥の混合抽出物 1,000mg
クエン酸 1,000mg
オリゴ糖 100g
梅の実の濃縮液 2g
タウリン 1g
精製水を加えて 全体900ml
【0165】
通常の健康飲料製造方法によって前記の成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱した後、作られた溶液を濾過して滅菌された2L容器に取得し、密封滅菌後に冷蔵保管し、本発明の健康飲料組成物の製造に使用する。
【0166】
前記組成比は、比較的嗜好飲料に適する成分を好ましい実施例として混合組成したが、需要階層、需要国、使用用途など、地域的、民族的嗜好にしよってその配合比を任意に変形実施しても構わない。
本発明は以下の態様を含む。
<1>
黄連及び荊芥の混合抽出物を有効成分として含む炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<2>
前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大膓炎(ulcerative colitis)、クローン病(crohn’s disease)、腸型ベーチェット病(intestinal behcet’s disease)、不確定大膓炎(indeterminate colitis)、細菌性腸炎、ウイルス性腸炎、アメーバ性腸炎、出血性直腸潰瘍、虚血性大膓炎及び結核性腸炎からなる群から選ばれるものである、<1>に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<3>
前記薬剤学的組成物は、炎症性因子であるTNF-α、IL-1β、IL-17、IL-23、CCL2又はMIP-2の活性化を抑制するものである、<1>に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<4>
前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、黄連と荊芥が1~30:1~30の重量比で混合された混合抽出物である、<1>に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<5>
前記黄連及び荊芥の混合抽出物は、水、炭素数1~4のアルコール又はこれらの混合物から選ばれる一つ以上の溶媒で抽出されたものである、<1>に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<6>
前記アルコールは、エタノールである、<5>に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<7>
前記アルコールの濃度は、20~99%である、<6>に記載の炎症性腸疾患予防又は治療用薬剤学的組成物。
<8>
黄連及び荊芥の混合抽出物を含む炎症性腸疾患予防又は改善用食品組成物。
<9>
黄連及び荊芥の混合抽出物を含む炎症性腸疾患予防又は改善用飼料組成物。
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【配列表】
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