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特許7270306全有機体炭素に基づき水環境中のマイクロ・ナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法
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  • 特許-全有機体炭素に基づき水環境中のマイクロ・ナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】全有機体炭素に基づき水環境中のマイクロ・ナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/18 20060101AFI20230428BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20230428BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G01N33/18 Z
G01N31/00 D
G01N21/61
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021576613
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2020075469
(87)【国際公開番号】W WO2021163821
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】503282219
【氏名又は名称】中国科学院生▲態▼▲環▼境研究中心
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉景富
(72)【発明者】
【氏名】李鵬
(72)【発明者】
【氏名】譚志強
(72)【発明者】
【氏名】李慶存
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209342492(CN,U)
【文献】国際公開第2016/175985(WO,A1)
【文献】特開昭56-141558(JP,A)
【文献】HU Duofei et al.,Micro(nano)plastics: An un-ignorable carbon source?,Science of the Total Environment,2018年12月05日,Vol.657 (2019),pp.108-110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18,
G01N 31/12,
G01N 21/61,
G01N 1/04,1/34,1/40,
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全有機体炭素に基づいて、水環境中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法であって、
(1)水サンプルを第1の富化膜でろ過し、収集して第1の固体が得られる工程;
(2)第1の固体を付着している第1の富化膜を消化試薬と接触させ、前記の第1の固体中の天然有機物を消化させ、天然有機物を付着していない第1の富化膜及び消化試薬を含む混合物が得られる工程;
(3)さらに前記の工程(2)で得られた混合物を第2の富化膜でろ過し、第2の固体を付着している第2の富化膜が得られる工程;
(4)前記の天然有機物を付着していない第1の富化膜及び前記の第2の固体を付着している第2の富化膜を乾燥させ、次に前記の第1の富化膜上の固体の有機体炭素値前記の第2の富化膜上の固体の有機体炭素値との合計値を測定により求め、得られる前記合計値をマイクロナノプラスチックの全有機体炭素値とする工程;
を含む、方法。
【請求項2】
工程(2)において、前記の消化試薬のpHが3未満であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(2)において、前記消化の温度は25~60℃であり、前記消化の時間は0.5~2時間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(2)において、前記の消化試薬はフェントン試薬を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(4)において、前記乾燥の乾燥温度は60~190℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(4)において、前記乾燥の乾燥時間は0.5~6時間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(4)において、前記乾燥を行う時、第1の富化膜および第2の富化膜をサンプルボートに直接配置し、乾燥させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(4)において、マイクロナノプラスチックの全有機体炭素値を測定する時、採用される機器は、固体アタッチメントを備える全有機体炭素分析計を含み;
前記全有機体炭素分析計の検出器は非分散型赤外線検出器であり;
全有機体炭素分析計中のキャリアガスは酸素ガスを含み、キャリアガスの流速は400~500mL/min、圧力は190~200kPa、反応炉の温度は900~1200℃である;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記の第1の富化膜および第2の富化膜は、ガラス繊維膜、アルミナ膜、又は石英膜であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラス繊維膜の孔径は1~1000nmであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境分析化学の分野に属し、特に全有機体炭素に基づいて水環境中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは優れた物理的および化学的特性を有するため、その製品が日常の生産や生活で広く使用されている。最終的には、これらのプラスチック製品はしばしばプラスチックごみを形成し、環境に入り込む。大量のプラスチックごみは、太陽放射、水流の衝突、および生分解などの作用によって分解され、マイクロナノプラスチックを形成する。一方、マイクロナノプラスチックは、工業原料や日用化粧品にも使用されている。しかし、これらの製品は使用中にも、マイクロナノプラスチックが環境に放出される。
【0003】
近年、マイクロナノプラスチックは環境学者によって新しいタイプの汚染物質としてリストされている。毒物学の研究によれば、マイクロナノプラスチックは動物に摂取され、動物の成長と繁殖に影響を与える恐れがある。また、マイクロナノプラスチックは重金属イオン、有機汚染物質などを吸着し、複合毒性効果が生じる。さらに、マイクロナノプラスチックの毒性効果は、その濃度レベルと密接に関連する。したがって、マイクロナノプラスチックに対する正確な定量分析は、その汚染レベルと毒性効果を研究する前提条件である。
【0004】
現在、マイクロナノプラスチックの定量分析は、主に計量法、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法、熱分解ガスクロマトグラフ/質量分析法などを採用している。しかし、これらの方法には、適用範囲が狭く(例えば、ある種類の材料にのみ適している)、時間と労力がかかり、感度が低く、機器が高価であるなどという欠点があり、実際の環境水中のマイクロナノプラスチックの総量の定量分析に使用しづらい。
【発明の概要】
【0005】
上記の技術的問題に対して、本発明は、全有機体炭素に基づいて、水環境中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法を提出した。具体的には、本発明は、全有機体炭素に基づいて、水環境中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法を提供し、該方法は、
(1)水サンプルを第1の富化膜でろ過し、収集して第1の固体が得られる工程;
(2)第1の固体を付着している第1の富化膜を消化試薬と接触させ、天然有機物を消化して除去する工程;
(3)さらに工程(2)で得られた混合物を第2の富化膜でろ過し、第2の固体を付着している第2の富化膜が得られる工程;
(4)消化された第1の富化膜及び工程(3)で得られた第2の固体を付着している第2の富化膜を乾燥させ、次に全有機体炭素値を測定し、得られる値をマイクロナノプラスチックの全有機体炭素値とする工程;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】水環境中のマイクロナノプラスチックを定量的に測定する方法の概略図である。
図2】マイクロナノプラスチック粒子を捕集して富化させた、ナノ孔径(300nm)のガラス繊維膜の電子顕微鏡写真である。
図3】ろ過した水サンプルの体積(100~1000mL)がマイクロナノプラスチックの回収率に対する影響図である。
図4】フェントン消化がマイクロナノプラスチックの添加回収率(spike recovery)に対する影響図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
マイクロナノプラスチックの種類が多く、それらをそれぞれ定量的に分析することは非常に大きな挑戦である。ただし、マイクロナノプラスチックは典型的な炭素含有粒子状物質の一種であるため、マイクロナノプラスチックの総量をマイクロナノプラスチックの全有機体炭素(TOC)値で特徴付けることができる。自然の水環境中に存在する大量の天然有機物(NOM)はマイクロナノプラスチックのTOC測定を妨げ、NOMの干渉を取り除くために消化処理(digestion treatment)の必要がある。固体サンプルのTOC値は、一般に触媒燃焼法で測定し得られる。固体サンプルは、900℃で、触媒と高純度酸素の共同作用下で、完全にCOに変換され、生成されたCOは非分散型赤外線吸収検出器(NDIR)に導入されることにより、TOC含有量が得られる。現在、TOC値はマイクロナノプラスチックの総量を特徴づけるために用いられことも、TOCに基づいてマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法も未だに報告されていない。
【0008】
本発明は、全有機体炭素に基づいて、水環境中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法を開示し、
(1)水サンプルを第1の富化膜でろ過し、収集して第1の固体が得られる工程;
(2)第1の固体を付着している第1の富化膜を消化試薬と接触させ、天然有機物を消化して除去する工程;
(3)さらに上記の工程(2)で得られた混合物を第2の富化膜でろ過し、第2の固体を付着している第2の富化膜が得られる工程;
(4)消化された第1の富化膜、及び工程(3)で得られた第2の固体を付着している第2の富化膜を乾燥させ、次に全有機体炭素値を測定し、得られる値をマイクロナノプラスチックの全有機体炭素値とする工程;
を含む。
【0009】
本発明の一部の実施例では、工程(2)の前記消化試薬のpHは3未満である。
本発明の一部の実施例では、工程(2)の前記分解温度は25~60℃であり、分解時間は0.5~2時間である。
本発明の一部の実施例では、工程(2)の前記消化試薬はフェントン試薬を含む。
【0010】
本発明の一部の実施例では、工程(3)において、前記乾燥の乾燥温度は60~190℃である。
本発明の一部の実施例では、工程(3)において、前記乾燥の乾燥時間は0.5~6時間である。
本発明の一部の実施例では、工程(3)において、前記乾燥を行う時、第1の富化膜および第2の富化膜をサンプルボートに直接配置し、乾燥させる。
【0011】
本発明の一部の実施例では、工程(4)において、前記マイクロナノプラスチックの全有機体炭素値を測定する時、採用される機器は、固体アタッチメントを備える全有機体炭素分析計を包み;
前記全有機体炭素分析計の検出器は非分散型赤外線検出器であり;
全有機体炭素分析計中のキャリアガスは酸素ガスを含み、キャリアガスの流速は400~500mL/min、圧力は190~200kPa、反応炉の温度は900~1200℃である。
【0012】
本発明の一部の実施例では、前記の第1の富化膜および第2の富化膜は、ガラス繊維膜、アルミナ膜、又は石英膜である。
本発明の一部の実施例では、前記ガラス繊維膜の孔径は、1~1000nmである。
【0013】
一つの例示的な実施例では、本発明によれば環境水中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する方法は、
環境水サンプルをガラス繊維膜でろ過し、水サンプル中のマイクロナノプラスチックを捕集して、富化させる工程;
マイクロナノプラスチックが富化されたガラス繊維膜上の天然有機物(NOM)をフェントン試薬で消化して除去する工程;
別の新しいガラス繊維膜で消化液をろ過し、膜(すなわちガラス繊維膜)二枚を60~190℃で0.5~6時間乾燥させる工程;
固体アタッチメントを備えるTOC計を使用してTOC値を測定し、TOC値でマイクロナノプラスチックの総量を示す工程;
を含む。
【0014】
その中で、TOCは、マイクロナノプラスチックの総量を定量的に表すためのパラメータとして用いられる。
その中で、前記捕集と富化用の膜はガラス繊維膜である。
その中で、前記NOMの除去方法はフェントン消化であり、消化試薬は、30%(m/v)H溶液と0.05mol/LのFe2+溶液を等体積で混合してなるフェントン試薬である。
その中で、Fe2+はFeSO・7HOまたは他の第一鉄塩であり、フェントン試薬の消化条件はpH<3である。
【0015】
その中で、2枚の膜をサンプルボートに直接配置して乾燥させた後に、TOC値を測定する。
その中で、マイクロナノプラスチックを捕集して富化させた膜は、フェントン消化処理により、NOMが除去される同時に、無機体炭素(IC)も除去される。この場合、測定された全炭素(TC)値はTOC値となる。
その中で、膜二枚を60~190℃で0.5~6時間乾燥させる。
その中で、膜上の水分を除去するとともに、マイクロナノプラスチックを破壊しないことを目的とする。60~190℃であれば、マイクロナノプラスチックの測定に影響しない。
その中で、固体アタッチメントを備えるTOC計を使用して、ガラス繊維膜上のマイクロナノプラスチックのTOC値を測定する。
その中で、検出器は非分散型赤外線検出器(NDIR)であり、キャリアガスは高純度酸素ガスであり、流速は400~500mL/min、圧力は190~200kPa、TC反応炉の温度は900~1200℃。
【0016】
以下、図面によって、具体的な実施例により本発明の技術案をさらに詳しく説明する。以下の具体的な実施例は単なる例示であり、本発明の保護範囲はそれに限定されない。
以下の実施例で使用される化学薬品および原料は、全て市販品、または公知の調製方法によって自制されるものである。
【0017】
本実施例は水環境中のマイクロナノプラスチックを定量的に測定する方法を提供し、図1に示されるように、
(1)測定用水サンプルをナノ孔径のガラス繊維膜でろ過し、マイクロナノプラスチック粒子をガラス繊維膜に捕集して富化させる工程;
(2)マイクロナノプラスチック粒子が富化されたガラス繊維膜上の天然有機物(NOM)をフェントン試薬で消化処理により除去する工程;
(3)別の新しいガラス繊維膜でろ過し、超純水(18.3MΩ)で容器の壁を3回洗浄し、前記2枚の膜を60~190℃で0.5~6時間乾燥させる工程;
(4)最後に、固体アタッチメントを備えるTOC計を使用してTOC値を測定し、マイクロナノプラスチックの総量をTOC値で示す工程;
を含む。
【0018】
工程(1)では、ナノ孔径(1~1000nm)のガラス繊維膜を選択し、ガラス繊維膜が炭素を含まないガラス繊維膜で製造し、TOC測定に干渉しない。緻密な繊維構造はマイクロナノプラスチック粒子の捕集と富化に有利である。図1からわかるように、マイクロナノプラスチックが緻密な繊維構造内に捕集され富化されて、緻密な繊維構造はマイクロナノプラスチックを富化させる役割を果たす。
【0019】
図2に示すように、矢印はマイクロナノプラスチックを指し、プラスチック粒子はガラス繊維膜上に捕集される。
【0020】
図3に示すように、水サンプルのろ過体積がマイクロナノプラスチックの回収率に対する影響を調査した。超純水100~1000mLに異なる炭素含有量のマイクロナノプラスチックの標準添加(standard addition)を実施し、添加回収率は84%~99%である。ろ過水サンプルの体積が1000mLに達しても、マイクロナノプラスチックの添加回収率は大幅に低下せず、膜も完全に詰まったり突き通したりする場合がない。図3からわかるように、水サンプルのろ過体積を100mLから1000mLに増やしても、マイクロナノプラスチックの回収率は大幅に低下しない。
【0021】
工程(2)では、自然環境の水域に大量のNOMが存在している。膜でろ過すると、必然的に一部のNOMが膜に捕集されるので、該NOMを処理しないと、TOC測定に干渉する。したがって、フェントン試薬(5mL 30%(m/v)H+5mL 0.05mol/L Fe2+)で消化処理し、NOMの干渉を排除する。図4に示すように、2つの異なる基質(河川水、海水)の標準添加の水サンプルでは、消化を実施しなかった場合、マイクロナノプラスチックの添加回収率は、それぞれ河川水で119%~206%、海水で124%~218%であり、消化を実施した場合、マイクロナノプラスチックの添加回収率は、それぞれ河川水で90%~96%、海水で95%~111%である。これは、フェントン試薬がNOM干渉を良好に除去でき、マイクロナノプラスチックの添加回収率に影響を与えないことを示す。図4からわかるように、河川水でも海水でも、フェントン消化を実施しないと、マイクロナノプラスチックの回収率は100%をはるかに上回り、フェントン分解を実施すると、マイクロナノプラスチックの回収率は90%に近い。
【0022】
工程(3)では、超純水で3回洗浄することは、容器の壁に吸着したマイクロナノプラスチックをできるだけ膜に移すためである。2枚の膜を60℃~190℃で0.5~6時間乾燥させることは、水分を除去し、その後のTOC測定のためである。なお、温度を60℃に制御すると、マイクロナノプラスチックには影響しない。
【0023】
工程(4)では、測定用の2枚の膜をセラミックサンプルボートに直接配置し、追加処理の必要がなく、マイクロナノプラスチックは、高温触媒作用下で高純度酸素と十分に接触し、完全にCOに変換することできる。
【0024】
上記の最適な実験条件下で、本発明の方法によって測定されたマイクロナノプラスチックの線形範囲は、0.02~3.6mgC(相関係数0.998)であり、検出限界は、14~19μgC/Lである。
【0025】
実施例1
異なる基質の水中のマイクロナノプラスチックの定量測定である。
まず、異なる基質の水サンプル100~1000mLを、孔径300nmのガラス繊維膜に通し、マイクロナノプラスチック粒子をガラス繊維膜に捕集して富化させた。ガラス繊維膜をガラス容器中に移し、フェントン試薬(5mL 30%(m/v) H+5mL 0.05M Fe2+)で消化によりNOMの干渉を排除する。直ちに消化後の溶液を別の膜でろ過し、超純水(18.3MΩ)で3回洗浄してから、2枚の膜をサンプルボートに移し、60~190℃で0.5~6時間乾燥させて水を除去する。最後に、固体アタッチメントを備えるTOC計でTOCを測定する。マイクロナノプラスチックの総量をTOC値で示す。結果を表1に示す。このうち、大遼河、ラン河、渤海2の水サンプルではマイクロナノプラスチックは検出されなかった。即ち、これらのサンプルにはマイクロナノプラスチックが含まれていないか、または濃度が該方法の検出限界をはるかに下回る。一方、渤海1、渤海3、渤海4、渤海5の四つのサンプルでは、17~67μg C / Lと検出される。これは、該方法が環境中の微量濃度レベルのマイクロナノプラスチックの測定に適用できることを示す。
【0026】
【表1】
【0027】
上記の具体的な実施例について、全有機体炭素に基づいて水環境中のマイクロナノプラスチックの総量を定量的に測定する本発明方法は、従来技術に対して少なくとも以下の利点のうちの1つを有する:
1.本発明では、マイクロナノプラスチックのTOC値がマイクロナノプラスチックの総量を示すのに用いられ、μg C/Lのレベルでマイクロナノプラスチックの総量を測定することを実現し、実際の水サンプル中のマイクロナノプラスチック総量の正確な定量分析にうまく応用する。
2.感度が比較的に高く、本方法の検出限界は14~19μg C/Lである。
3.操作が簡単で、運用コストが低い。
【0028】
上記の具体的な実施例は、本発明の目的、技術案、および有益な効果をさらに詳細に説明する。上記は本発明の具体的な実施例のみであり、本発明に限定しないこと、及び本発明の示唆と主旨内で行われた任意の修正、同等の交換、改良などは、全て本発明の保護範囲内に含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4