(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】光源ユニットおよび照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 9/02 20060101AFI20230428BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230428BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230428BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20230428BHJP
F21Y 113/20 20160101ALN20230428BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230428BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230428BHJP
【FI】
F21S9/02 140
F21S9/02 200
F21V29/503
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V19/00 130
F21Y113:10
F21Y113:20
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2018111821
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 典文
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-004936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0121900(US,A1)
【文献】特開2016-038953(JP,A)
【文献】特開2016-035908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/02
F21V 29/503
F21V 19/00
F21Y 113/10
F21Y 113/20
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1光源と、
前記複数の第1光源が固定される第1の固定部材と、
複数の第2光源と、
前記複数の第2光源が固定される第2の固定部材と、を有し、
前記第1の固定部材の前記複数の第1光源が固定される第1の固定面と、前記第2の固定部材の前記複数の第2光源が固定される第2の固定面とは、前記複数の第1光源および前記複数の第2光源の光の出射方向に対して垂直であり、互いに重なり合うように配置され、
前記複数の第1光源および前記複数の第2光源の光の出射方向を下とすると、前記第1の固定部材は前記第2の固定部材よりも上に位置し、
前記第2の固定部材は複数の貫通穴または複数の切欠き部を有し、
前記複数の第1光源のそれぞれは、互いに異なる前記貫通穴または前記切欠き部に対して前記第1光源の光軸が垂直に通る位置に配置さ
れ、
前記複数の第1光源の一部が前記貫通穴または前記切欠き部を介して前記第2の固定部材よりも下に突出する構造を有し、
前記第1光源の光の出射面の位置および前記第2光源の光の出射面の位置が同じ高さである、
光源ユニット。
【請求項2】
前記複数の第1光源
のうち、前記一部を除く残りの第1光源からの出射光が前記貫通穴または前記切欠き部を通る構造を有する、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
少なくとも一つ以上の第1光源と、
前記第1光源が固定される第1の固定部材と、
少なくとも一つ以上の第2光源と、
前記第2光源が固定される第2の固定部材と、を有し、
前記第1の固定部材の前記第1光源が固定される第1の固定面と、前記第2の固定部材の前記第2光源が固定される第2の固定面とは、前記第1光源および前記第2光源の光の出射方向に対して垂直であり、互いに重なり合うように配置され、
前記第1光源および前記第2光源の光の出射方向を下とすると、前記第1の固定部材は前記第2の固定部材よりも上に位置し、
前記第2の固定部材は貫通穴または切欠き部を有し、
前記第1光源の一部が前記貫通穴または前記切欠き部を介して前記第2の固定部材よりも下に突出する構造を有し、
前記第1光源の光の出射面の位置および前記第2光源の光の出射面の位置が同じ高さである、
光源ユニット。
【請求項4】
前記第1の固定部材は、金属で構成され、前記第1光源が固定される面を備えたホルダと前記第1光源を前記ホルダに固定する中継保持部とを有し、
前記第1光源が前記中継保持部を介して前記ホルダと熱接触し、前記第1光源から発生する熱が前記中継保持部を介して前記ホルダに伝導する構造を有する、請求項
1~3のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記第2の固定部材と前記中継保持部とが熱接触する構造を有する、請求項
4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の光源ユニットを有する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の光源を有する光源ユニット、および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火災等の非常時に避難口および避難方向を避難者に知らせる照明設備として、誘導灯という照明装置が広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の誘導灯は、通常時には外部から供給される常用電源で点灯し、非常時に断線または停電に起因して電力供給を受けられなくなると、自動的に非常用電源に切り替わり、点灯する。これにより、非常時に避難経路の照明が消灯しても、避難者は、誘導灯から出射される光にしたがって、避難口および避難方向を認識することができ、容易に避難できる。
【0003】
照明装置には、検知器により避難経路が危険と検知された場合、避難者を誘導しないために、非常用電源があっても消灯するものもある。避難者を誘導するために、半導体レーザが出射する可視光レーザを直線状に点在させて壁面、天井面および床面等に投影する誘導灯が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5325084号公報
【文献】特開平8-22701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2において、通常時または非常時のいずれか一方の視認性が悪い。特許文献1に開示された照明装置は、非常時に自動的に非常用電源に切り替わり点灯する。しかし、非常時は常用電源による点灯する通常時よりも暗く、火災時には煙によって視界が妨げられ、誘導灯が見えにくくなり、誘導灯の視認性が低下してしまう。特許文献2に開示された照明装置は、常用時に光を出射していないため照明装置の位置を人が認識しにくく、非常時に床面等に光が投影されても、投影された光に気がつかないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、視認性のよい光源ユニットおよび照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光源ユニットは、複数の第1光源と、前記複数の第1光源が固定される第1の固定部材と、複数の第2光源と、前記複数の第2光源が固定される第2の固定部材と、を有し、前記第1の固定部材の前記複数の第1光源が固定される第1の固定面と、前記第2の固定部材の前記複数の第2光源が固定される第2の固定面とは、前記複数の第1光源および前記複数の第2光源の光の出射方向に対して垂直であり、互いに重なり合うように配置され、前記複数の第1光源および前記複数の第2光源の光の出射方向を下とすると、前記第1の固定部材は前記第2の固定部材よりも上に位置し、前記第2の固定部材は複数の貫通穴または複数の切欠き部を有し、前記複数の第1光源のそれぞれは、互いに異なる前記貫通穴または前記切欠き部に対して前記第1光源の光軸が垂直に通る位置に配置され、前記複数の第1光源の一部が前記貫通穴または前記切欠き部を介して前記第2の固定部材よりも下に突出する構造を有し、前記第1光源の光の出射面の位置および前記第2光源の光の出射面の位置が同じ高さである。
【0008】
本発明に係る照明装置は、上記光源ユニットを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1光源から出射される光および第2光源から出射される光の出射効率が同等になり、視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置の一構成例を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示した照明装置を背面側から見たときの内部を示す外観斜視図である。
【
図3】
図2に示した光源ユニットの拡大斜視図である。
【
図4】
図2に示した光源ユニットの拡大側面図である。
【
図5】
図1に示した制御部の一構成例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る照明装置の動作手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図1に示した表示ユニットの表示領域における発光スペクトルを示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係る照明装置の一構成例を示す外観斜視図である。
【
図10】
図9に示した照明装置の背面側の一例を示す外観斜視図である。
【
図11】
図10に示した照明装置の内部を示す外観斜視図である。
【
図14】
図12に示した光源ユニットの一構成例を示す外観斜視図である。
【
図15】
図14に示した白色光源モジュールの外観斜視図である。
【
図16】
図14に示したレーザ光源モジュールの外観斜視図である。
【
図17】
図16に示したレーザ光源モジュールの分解斜視図である。
【
図18】
図16に示したレーザ光源モジュールの一部を示す外観斜視図である。
【
図20】
図16に示したレーザ光源モジュールの白色光源モジュールへの取り付け方法を示す図である。
【
図21】
図16に示したレーザ光源モジュールを白色光源モジュールに組み付けた後の構成の一部を下側から見たときの外観図である。
【
図23】
図14に示した光源ユニットの配線接続方法を示す図である。
【
図24】
図21に示したLED基板の別の構成例を示す平面図である。
【
図25】
図11に示した制御部の一構成例を示すブロック図である。
【
図26】本発明の実施の形態2に係る照明装置の動作手順を示すフローチャートである。
【
図27】
図9に示した表示ユニットの表示領域における発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
本実施の形態1の照明装置の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の一構成例を示す外観斜視図である。
図2は、
図1に示した照明装置を背面側から見たときの内部を示す外観斜視図である。
図2は、照明装置の背面側筐体が外された状態を示す。
図3は、
図2に示した光源ユニットの拡大斜視図である。
図4は、
図2に示した光源ユニットの拡大側面図である。
【0012】
本実施の形態1では、照明装置1が誘導灯の場合で説明するが、照明装置1は誘導灯に限らず、非常灯であってもよい。誘導灯および非常灯は避難口および避難方向を指示するための照明設備の一種である。
【0013】
図1~
図4に示すように、照明装置1は、第1光源11と、第2光源12と、表示ユニット13と、常用電源14と、非常用電源15と、制御部16とを有する。
図2および
図3に示すように、照明装置1の上部には、光源ユニット20を保持するユニットホルダ400が設けられている。
図3に示すように、第1光源11および第2光源12は光源ユニット20に搭載されている。第2光源12が固定される固定部材が、固定爪108でユニットホルダ400に固定される。固定部材は、実施の形態2で詳細に説明する。
【0014】
第1光源11は、コヒーレント光を出射するコヒーレント光源である。第1光源11は、例えば、緑色の単色光を出射する緑色半導体レーザである。第1光源11が緑色半導体レーザである場合、第1光源11の発光波長は495~570nmの波長範囲にあり、かつ発光スペクトルの半値全幅が10nm以下である。第2光源12は、インコヒーレント光を出射するインコヒーレント光源である。第2光源12は、例えば、白色光を出射する白色LED(発光ダイオード)である。
【0015】
表示ユニット13は、第1光源11から出射されるコヒーレント光および第2光源12から出射されるインコヒーレント光を放射する。表示ユニット13は、導光体31、反射板32、拡散板33、プリズムシート34、および表示板35を有する。反射板32と表示板35との間に、導光体31、拡散板33およびプリズムシート34が反射板32側から順に配置されている。表示ユニット13において、表示板35側の面を表面とし、反射板32側を裏面とする。表示板35は、表面側に表示領域36を有する。表示領域36の面が避難経路に面している。表示領域36は、第2光源12から出射される白色光が白色のまま透過する白色光透過領域37aと、白色光のうち緑色の単色光が透過する緑色透過領域37bとを有する。
【0016】
導光体31は、
図4に示すY軸矢印方向に厚みを有する矩形の板状のものである。
図4に示すように、第1光源11および第2光源12は、導光体31の上面側の端部に対向して配置されている。導光体31は、第1光源11および第2光源12からの光の出射方向に配置され、コヒーレント光およびインコヒーレント光を導光する。
図4に、光の出射方向を白色矢印(Z軸矢印と反対方向)で示す。第1光源11および第2光源12から表示ユニット13に入射した光は、導光体31を伝搬し、導光体31内で反射を繰り返して拡散した後、拡散板33およびプリズムシート34を経由して表示板35の表示領域36から放射する。
【0017】
常用電源14および非常用電源15は電源基板に設けられている。非常用電源15は、例えば、バッテリーである。常用電源14は、外部から電力が供給される常用時に照明装置1を動作させる。常用電源14は、常用時に非常用電源15を充電する。非常用電源15は、火災等の非常時のうち、停電を伴う非常時に照明装置1を動作させる。
【0018】
なお、停電を伴わない非常時には、照明装置1は、常用時と同様に常用電源14によって動作してもよく、非常用電源15によって動作してもよい。
【0019】
図5は、
図1に示した制御部の一構成例を示すブロック図である。
図5に示す制御部16は、例えば、マイクロコンピュータである。制御部16は、第1光源11および第2光源12の2つの光源のうち、いずれの光源を使用する状況にあるかを判定し、判定の結果に基づいて、2つの光源のうち、一方または両方を駆動させる。例えば、制御部16は、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況である場合、第1光源11を駆動させ、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況でない場合、第2光源12を駆動させる。その際、制御部16は、駆動させる光源への電力供給手段として、停電を伴わない非常時には常用電源14を使用し、停電を伴う非常時には非常用電源15を使用する。
【0020】
次に、本実施の形態1の照明装置1の光源切替制御の手順を説明する。ここでは、第1光源11が緑色半導体レーザであり、第2光源12が白色LEDの場合で説明する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0021】
制御部16は、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況であるか否かを判定する(ステップS101)。例えば、照明装置1が設置された建物が停電になると、建物内に設置された照明器具が消灯するため、建物内に居る人の表示ユニット13に対する視認性の改善が必要な状況になる。制御部16は、常用電源14の状態を監視し、常用電源14からの電力供給が停止した場合、停電により表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況になったと判定できる。
【0022】
ステップS101の判定の結果、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況でない場合、制御部16は、常用電源14で第2光源12を駆動する(ステップS102)。このように、常用時には、制御部16が常用電源14に第2光源12を駆動させることで、第2光源12が白色光を出射する。
【0023】
第2光源12から出射した白色光は、表示ユニット13の導光体31に伝播する。導光体31に入射した白色光は導光体31内で反射を繰り返す。導光体31から裏面側に出射した白色光は、反射板32で反射され、導光体31内に戻る。導光体31内で全反射条件が崩れると、白色光は、拡散板33およびプリズムシート34を経由して表示板35の表示面から放射する。白色光透過領域37aから白色光が放射し、緑色透過領域37bから緑色光が放射する。
【0024】
図7は、
図1に示した表示ユニットの表示領域における発光スペクトルを示す図である。第2光源12は、例えば、
図7のグラフに示すように白色の発光スペクトルの光を放射する。ここでは、白色の発光スペクトルは、色温度約5000Kの色度点となる白色である。表示ユニット13の白色光透過領域37aは第2光源12から放射される白色光を白色のまま表示するため、白色光透過領域37aは白色になる。
図7には、この白色の発光スペクトルは、白色透過フィルタースペクトルと表示されている。
【0025】
緑色透過領域37bは、例えば、
図7のグラフに示すよう、緑色光を透過するフィルターの役目を果たす。そのため、第2光源12から放射された白色光が表示ユニット13の緑色透過領域37bを透過する際、緑色の光が選択的に透過し、緑色透過領域37bから緑色の光が放射する。
図7には、この緑色の発光スペクトルは、緑色透過フィルタースペクトルと表示されている。第2光源12から放射された白色光が緑色透過領域37bを透過した光はドミナント波長が第1光源11の緑色レーザ光と一致する。
【0026】
一方、
図6に示したステップS101の判定の結果、停電を伴う非常事態により表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況になった場合、制御部16は、非常用電源15で第1光源11を駆動する(ステップS103)。このように、停電を伴う非常時に、制御部16が第1光源11を駆動させることで、第1光源11が緑色レーザ光を出射する。
【0027】
第1光源11から出射した緑色レーザ光は、表示ユニット13の導光体31に伝播する。導光体31に入射した緑色レーザ光は導光体31内で反射を繰り返して拡散した後、拡散板33およびプリズムシート34を経由して表示板35の表示面から放射する。例えば、
図7の緑色半導体レーザスペクトルに示すように、緑色レーザ光は、スペクトル線幅が非常に狭く、かつ波長位置が白色光透過領域37aおよび緑色透過領域37bの両方で透過する位置にある。そのため、青色の光が表示板35の表示領域36の表面全体から放射する。
【0028】
さらに、緑色レーザ光は、第2光源12から出射されるインコヒーレント光とは異なり、コヒーレント光であるため、スペックルパターンを発生させる。
図8は、スペックルパターンの一例を示す図である。
図8に示したスペックルパターンは、「統計光学」(Joseph W.Goodman著)に開示されたものである。
【0029】
スペックルパターンは、表示ユニット13の表示板35の表面および人の網膜上で干渉することによって発生する。例えば、表示板35の表示面で散乱された光がランダムな位相変化を受け、一様でない粒状の強度パターンとなって見えるため、遠くからでも極めて目立つ。
【0030】
例えば、火災により避難経路に煙が充満している場合、煙によってレーザ光が散乱し、よりスペックルパターンの発生が促される。そのため、避難者は、照明装置1の表示面が見えなくても、照明装置1の位置する方向を視認しやすくなる。
【0031】
なお、本実施の形態1では、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況として、停電の場合で説明したが、この場合に限らない。例えば、表示ユニット13の視認性の改善が必要か否かを検知するために、熱、炎および煙のうち、少なくともいずれかを検知する検知器が照明装置1に設けられていてもよく、照明装置1とは別に設けられていてもよい。火災が発生すると室内が高熱になり、炎および煙が発生することで、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況になると考えられるからである。
【0032】
検知器が照明装置1とは別に設けられている場合、検知器および制御部16は、有線または無線の通信手段を介して信号を送受信する手段を備えていればよい。例えば、火災等の非常時に、検知器は、検知した熱が常用時の室温よりも高い場合、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況であることを示す視認性検知信号を制御部16に出力する。また、検知器は、検知した熱が常用時の室温と同等である場合、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況でないことを示す視認性検知信号を制御部16に出力する。
【0033】
さらに、本実施の形態1では、制御部16が第1光源11および第2光源12のうち、いずれか一方を駆動する場合で説明したが、両方を駆動してもよい。例えば、停電を伴わない非常時において、第1光源11および第2光源12の両方から光が出射することで、表示ユニット13の視認性がさらに向上する。
【0034】
本実施の形態1の照明装置1は、コヒーレント光を出射する第1光源11と、インコヒーレント光を出射する第2光源12と、これらの光を放射する表示ユニット13と、第1光源11の駆動と第2光源12の駆動を制御する制御部16とを有する。
【0035】
本実施の形態1によれば、コヒーレント光およびインコヒーレント光のうち、一方または両方が表示ユニット13から放射するため、常用時および非常時のいずれの状況であっても照明装置1の視認性が向上する。コヒーレント光が表示ユニット13から放射する場合、表示ユニット13および人の網膜上で干渉することによってスペックルパターンが発生する。スペックルパターンは、散乱された光がランダムな位相変化を受け一様でない粒状の強度パターンとなって人に見えるため、照明装置1の視認性がより向上する。
【0036】
また、コヒーレント光およびインコヒーレント光の両方が表示ユニット13から放射し、表示ユニット13から放射されるインコヒーレント光のドミナント波長がコヒーレント光と一致する場合、照明装置1の視認性がさらに向上する。例えば、本実施の形態1で説明したように、第1光源11が緑色レーザであり、第2光源12が白色LEDの場合、表示ユニット13の緑色透過領域37bから放射される光がより強調され、人の形が際立つ効果が得られる。
【0037】
また、本実施の形態1の照明装置1は、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況であるか否かを判定し、第1光源11および第2光源12のうち、いずれか一方を駆動してもよい。例えば、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況である場合、制御部16は、第1光源11および第2光源12のうち、第1光源11を駆動し、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況でない場合、第2光源12を駆動する。
【0038】
非常時に、第1光源11がコヒーレント光を出射することで、コヒーレント光が表示ユニット13および人の網膜上で干渉することによってスペックルパターンが発生する。上記のように、スペックルパターンは、散乱された光がランダムな位相変化を受け一様でない粒状の強度パターンとなって人に見えるため、遠くからでも極めて目立つ。その結果、非常時であっても、照明装置1の視認性が向上する。
【0039】
例えば、火災により避難経路に煙が充満している場合、煙によってコヒーレント光が散乱し、よりスペックルパターンの発生が促される。その結果、避難者は、照明装置1の表示面が見えなくても、照明装置1の位置する方向を視認しやすくなる。
【0040】
また、本実施の形態1において、制御部16は、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況であるか否かを示す視認性検知信号を検知器から受信してもよい。この場合、停電以外の非常時にも、人に対して照明装置1の視認性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施の形態1の照明装置1は、コヒーレント光およびインコヒーレント光の出射方向に配置された導光体31と、導光体31から入射するコヒーレント光からスペックルパターンを発生させる表示板35とを有する。表示板35の表示面においてコヒーレント光が干渉することでスペックルパターンが発生する。人には、表示板35の表示面で散乱された光がランダムな位相変化を受け一様でない粒状の強度パターンとなって見えるため、照明装置1が遠くからでもより目立ち、照明装置1に対する視認性が向上する。
【0042】
実施の形態2.
本実施の形態2の照明装置は、火災等の非常時において、照明装置が設置された避難経路が安全であるか否かを避難者に認識できるようにしたものである。本実施の形態2では、実施の形態1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施の形態2の照明装置の構成を説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る照明装置の一構成例を示す外観斜視図である。
図10は、
図9に示した照明装置の背面側の一例を示す外観斜視図である。
図11は、
図10に示した照明装置の内部を示す外観斜視図である。
図12は、
図11に示した光源ユニットの拡大斜視図である。
図13は、
図11に示した光源ユニットの拡大側面図である。
【0044】
本実施の形態2の照明装置1aは、実施の形態1で説明した照明装置1の構成の他に、第3光源17および検知器18を有する。
図12に示すように、第1光源11、第2光源12および第3光源17が光源ユニット20aに搭載されている。第3光源17は、第1光源11が出射するコヒーレント光とは波長が異なるコヒーレント光を出射する光源である。第3光源17は、例えば、赤色の単色光を出射する赤色半導体レーザである。第3光源17が赤色半導体レーザである場合、第3光源17の発光波長は620~750nmの波長範囲にあり、かつ発光スペクトルの半値全幅が10nm以下である。
【0045】
図11に示す検知器18は、表示ユニット13の周囲の避難経路が安全か否かを検知する。表示ユニット13の周囲の避難経路とは、例えば、照明装置1aが設置された壁に面した通路である。検知器18は、例えば、熱検知器である。検知器18は、図に示さない、温度センサおよびセンサ回路基板を有する。検知器18は、検知結果を示す検知信号を制御部16に出力する。例えば、火災等の非常時に、検知器18は、検知した熱が常用時の室温よりも高い場合、避難経路が危険であることを示す経路検知信号を制御部16に出力する。検知器18は、検知した熱が常用時の室温と同等である場合、避難経路が安全であることを示す経路検知信号を制御部16に出力する。
【0046】
図13に示すように、第1光源11、第2光源12および第3光源17の光の出射方向には、導光体31が配置されている。第1光源11、第2光源12および第3光源17から出射される光は、導光体31の上面側端部から導光体31に入射する。
【0047】
図12に示した光源ユニット20aの構成を説明する。
図14は、
図12に示した光源ユニットの一構成例を示す外観斜視図である。
図15は、
図14に示した白色光源モジュールの外観斜視図である。
図16は、
図14に示したレーザ光源モジュールの外観斜視図である。
図17は、
図16に示したレーザ光源モジュールの分解斜視図である。
【0048】
図14に示すように、光源ユニット20aは、白色光源モジュール200と、レーザ光源モジュール300とを有する。白色光源モジュール200は第2光源12を有する。レーザ光源モジュール300は、第1光源11および第3光源17を有する。レーザ光源モジュール300は、第1光源11および第3光源17が固定される第1の固定部材に相当する。白色光源モジュール200は、第2光源12が固定される第2の固定部材に相当する。本実施の形態2では、第1光源11は緑色半導体レーザであり、第2光源12は白色LEDであり、第3光源17は赤色半導体レーザの場合で説明する。
【0049】
白色光源モジュール200は、第2光源12が実装されたLED基板21を有する。白色光源モジュール200は、
図11に示したユニットホルダ400の決められた位置に
図12に示した固定爪108で固定される。第2光源12から放射された白色光は、
図13に示したように、光源ユニット20aの直下にある導光体31の端部から導光体31に入射する。
【0050】
LED基板21は、例えば、ガラスエポキシからなるFR4およびCEM3である。LED基板21は、アルミニウム基材からなるメタルコア基板であってもよい。
図15に示すように、LED基板21の下面24に第2光源12が固定される。LED基板21の下面24は、第2光源12が白色光源モジュール200に固定される第2の固定面に相当する。
【0051】
LED基板21は、第2光源12に電力を供給する電子回路(不図示)を有し、
図15に示すコネクタ112を介して常用電源14から供給される電力を第2光源12に供給する役目を果たす。また、LED基板21は、第2光源12から発生する熱を逃がす役目も果たす。LED基板21は、第1光源11および第3光源17をLED基板21に貫通させるための貫通穴として逃がし穴111を有する。
【0052】
図16に示すように、レーザ光源モジュール300は、ホルダ23および中継保持部22を有する。第1光源11および第3光源17のそれぞれは中継保持部22を介してホルダ23に取り付けられる。
【0053】
ホルダ23は、金属で構成されている。ホルダ23は、例えば、押し出し成形されたアルミニウム材で構成される。ホルダ23は、第1光源11および第3光源17の電極ピン121が挿入されるソケット穴131と、中継保持部22を介して第1光源11および第3光源17を保持するネジ123が取り付けられるネジ穴132と、を有する。ソケット穴131の内周面には図に示さない絶縁材が設けられ、絶縁材が電極ピン121とホルダ23とを電気的に絶縁する。
【0054】
図17に示すように、ホルダ23の下面25に第1光源11および第3光源17が中継保持部22で固定される。LED基板21の下面24は、第1光源11および第3光源17がレーザ光源モジュール300に固定される第1の固定面に相当する。ホルダ23は、第1光源11および第3光源17を保持する役目だけでなく、第1光源11および第3光源17から発生する熱の放熱を促すヒートシンクとしての役目も果たす。
【0055】
中継保持部22は、例えば、アルミニウム等の金属で構成される。
図17に示すように、中継保持部22は、ネジ123が貫通する貫通ネジ穴122と、第1光源11および第3光源17を保持する貫通穴124とを有する。後で説明するが、中継保持部22がネジ123でホルダ23に固定されることで、第1光源11および第3光源17から発生した熱が効率よくホルダ23を介して放熱する。
【0056】
次に、
図15~
図22を参照して、
図14に示した光源ユニット20aの組み立て方を説明する。
図18は、
図16に示したレーザ光源モジュールの一部を示す外観斜視図である。
図19は、
図11に示したユニットホルダの外観斜視図である。
図20は、
図16に示したレーザ光源モジュールの白色光源モジュールへの取り付け方法を示す図である。
図21は、
図16に示したレーザ光源モジュールを白色光源モジュールに組み付けた後の構成の一部を下側から見たときの外観図である。
図22は、
図21に示す線分A-Aの断面図である。
【0057】
はじめに、
図16に示したレーザ光源モジュール300の組み立て方を、
図17を参照して説明する。第1光源11および第3光源17の電極ピン121は、ホルダ23のソケット穴131に差し込まれる。ソケット穴131の内周面には図に示さない絶縁材が設けられているので、電極ピン121とホルダ23とは電気的に絶縁する。続いて、第1光源11および第3光源17の各光源の位置に中継保持部22の貫通穴124の位置を合わせて、各光源の下側から中継保持部22が各光源にかぶせられる。その後、中継保持部22の貫通ネジ穴122にネジ123が通され、ネジ123がホルダ23のネジ穴132に留められる。このようにして、
図16に示したように、第1光源11および第3光源17が中継保持部22を介してホルダ23に取り付けられる。
【0058】
次に、
図15に示した白色光源モジュール200を
図11に示したユニットホルダ400への取り付ける方法を説明する。
図19に示すように、ユニットホルダ400は、白色光源モジュール200を保持する複数のガイド450と、レーザ光源モジュール300が設置されるガイド溝109とを有する。各ガイド450は、上下2枚の板を有し、2枚の板の間にLED基板21が保持される。LED基板21が各ガイド450の2枚の板の間に差し込まれると、複数の固定爪108がLED基板21の側面に引っかかり、白色光源モジュール200がユニットホルダ400に固定される。このようにして、
図12に示したように、LED基板21が固定爪108で固定される。
【0059】
続いて、レーザ光源モジュール300を白色光源モジュール200に取り付ける方法を説明する。
図20に示すように、レーザ光源モジュール300がZ軸矢印方向に対して傾けられた状態で、第1光源11および第3光源17の各光源の位置がLED基板21の逃がし穴111の位置に合わせられる。そして、各光源が逃がし穴111に差し込まれながら、レーザ光源モジュール300がガイド溝109に挿入される。このようにして、
図14に示した光源ユニット20aが組み立てられる。レーザ光源モジュール300は、逃がし穴111およびガイド溝109にしたがって位置決めされる。
【0060】
図21に示すように、白色光源モジュール200のLED基板21の下側から上方向(Z軸矢印方向)を見ると、白色光源モジュール200にレーザ光源モジュール300が重なっている。
図21に示すY軸矢印方向およびY軸矢印の反対方向のいずれにも、レーザ光源モジュール300が白色光源モジュール200の外にはみ出していない。
【0061】
図14に示したように、ホルダ23において第1光源11および第3光源17が固定される下面25と、LED基板21において第2光源12が固定される下面24とは、第1光源11、第2光源12および第3光源17の光出射方向に対して垂直である。また、下面25および下面24は、
図14および
図21に示すように、互いに重なり合うように配置されている。そのため、第1光源11、第2光源12および第3光源17の各光源の光は、互いに平行に
図13に示した導光体31の端部に入射する。その結果、導光体31に入射した光は、導光体31に他の光が入射したときと同様に反射を繰り返して拡散し、表示板35の表示領域36から放射する。どの光源の光が放射しても、表示板35の視認性が向上する。
【0062】
図22に示すように、第1光源11は、中継保持部22を介してホルダ23に強く押しつけられ、ホルダ23と十分に接触する。第3光源17も、
図16に示したように、中継保持部22を介してホルダ23に強く押しつけられ、ホルダ23と十分に接触する。そのため、第1光源11および第3光源17が中継保持部22を介してホルダ23と熱接触し、第1光源11および第3光源17から発生する熱が効率よくホルダ23から放熱する。熱接触とは、温度の異なる物体が接触すると、物体間で熱が伝導する接触をいう。
【0063】
また、
図21に示すように、白色光源モジュール200のLED基板21には逃がし穴111が設けられており、第1光源11および第3光源17は、逃がし穴111に配置される。
図22に示すように、第1光源11および第3光源17の各光源の一部が逃がし穴111よりも下方(Z軸矢印の反対方向)に突出しているので、第1光源11、第2光源12および第3光源17の各光源の光の出射面40を同じ高さにすることができる。その結果、
図22に示すように、白色光およびレーザ光は導光体31の端部から入射される。このような構成によれば、光源ユニット20aでは、第2光源12、第1光源11および第3光源17の光の放射位置を同じ高さにすることができ、導光体31への光の入射効率を同等にすることができる。すなわち、第2光源12、第1光源11および第3光源17の光の入射効率に対応して導光体31の設計を変更しなくてもよい。
【0064】
本実施の形態2では、第1光源11および第3光源17の各光源の一部がLED基板21の下方(
図22に示すZ軸矢印方向)に突出する構成の場合で説明したが、第1光源11および第3光源17はLED基板21の下方に突出しない構成であってもよい。例えば、第1光源11の光の出射面が第2光源12の光の出射面よりもZ軸矢印方向に離れた位置であってもよい。この場合であっても、第1光源11および第2光源12の各光源の出射光は、互いに平行に導光体31の端部に入射する。
【0065】
また、レーザ光源モジュール300と白色光源モジュール200との間の距離は、近いが、これらのモジュールは設置方法が異なり、互いに熱接触していない。そのため、第1光源11および第3光源17から発生した熱はホルダ23を経由して放熱し、第2光源12から発生した熱はLED基板21を経由して放熱する。その結果、第1光源11および第3光源17のレーザ光源から発生する熱の放熱経路と、第2光源12の白色LEDから発生する熱の放熱経路とを、分離することができる。
【0066】
図23は、
図14に示した光源ユニットの配線接続方法を示す図である。作業者は、ソケット穴131に差し込まれた電極ピン121を、ホルダ23内でコネクタ等(不図示)を介して電気的に配線(不図示)と接続する。電極ピン121と接続される配線は、例えば、
図23に示す配線ガイド133を介して
図11に示した常用電源14および非常用電源15と接続される。
【0067】
なお、照明装置1aの動作時に第2光源12、第1光源11および第3光源17の3つの光源のうち、いずれか1つの光源しか動作していない場合、全ての放熱経路を互いに熱接触させ、ヒートシンクとしての受熱容量および放熱容量を大きくすることが考えられる。例えば、
図17に示したネジ123が、中継保持部22を介して第1光源11および第3光源17のみをホルダ23に固定するのではなく、LED基板21を貫通してLED基板21もホルダ23に固定する。このようにして、白色光源モジュール200とレーザ光源モジュール300を一体化してもよい。
【0068】
この場合、LED基板21においてネジ123の位置に相当する箇所に貫通穴(不図示)を設け、LED基板21の上面と中継保持部22の下面とが完全に熱接触するように固定する。ネジ123の頭とホルダ23との間にLED基板21および中継保持部22が挟まれる構成になる。この構成によれば、ホルダ23、中継保持部22およびLED基板21の全ての放熱経路が熱接触されるため、いずれの光源から発せられた熱も共通のヒートシンクとして受熱容量および放熱容量を大きくすることができる。
【0069】
また、本実施の形態2では、LED基板21に貫通穴として逃がし穴111が設けられている場合で説明したが、LED基板21に切り欠いた部分が形成されていてもよい。
図24は、
図21に示したLED基板の別の構成例を示す平面図である。
図24に示すように、LED基板21aは切欠き部113を有する。この場合、レーザ光源モジュール300を
図20に示したY軸矢印と反対方向にガイド溝109に差し込むだけなので、
図20を参照して説明した方法よりも、作業者は照明装置1aをより組み立て易くなる。
【0070】
次に、本実施の形態2における照明装置1aの制御部16の構成を説明する。
図25は、
図11に示した制御部の一構成例を示すブロック図である。制御部16は、検知器18から受信する経路検知信号が避難経路は安全であることを示す場合、実施の形態1と同じように、第1光源11を駆動する。制御部16は、検知器18から受信する経路検知信号が避難経路は危険であることを示す場合、第3光源17を駆動する。
【0071】
次に、本実施の形態2の照明装置1aの光源切替制御の手順を説明する。ここでは、第1光源11が緑色半導体レーザであり、第2光源12が白色LEDであり、第3光源17が赤色半導体レーザの場合で説明する。
図26は、本発明の実施の形態2に係る照明装置の動作手順を示すフローチャートである。本実施の形態2では、照明装置1aにおける常用時の動作(
図26に示すステップS201およびS202)は、
図6に示したステップS101およびS102と同様になるため、その詳細な説明を省略する。
【0072】
図26に示すステップS203において、制御部16は、検知器18から受信する経路検知信号を基に、避難経路が安全か否かを判定する。経路検知信号が避難経路は安全であることを示す場合、制御部16は、
図6に示したステップS103と同様に、第1光源11を駆動する(ステップS204)。この場合、実施の形態1で説明したように、第1光源11から出射した緑色レーザ光は、導光体31内で反射を繰り返して拡散した後、拡散板33およびプリズムシート34を経由して表示板35の表示面から出射する。その結果、緑色の光が表示板35の表示領域36の表面全体から出射する。これにより、照明装置1aが設置された避難経路が安全であることを、避難者に認識させることができる。
【0073】
一方、S203の判定の結果、経路検知信号が避難経路は危険であることを示す場合、制御部16は、第3光源17を駆動する(ステップS205)。第3光源17から出射した赤色レーザ光は、表示ユニット13の導光体31に伝播する。導光体31に入射した赤色レーザ光は導光体31内で反射を繰り返して拡散した後、拡散板33およびプリズムシート34を経由して表示板35の表示面から出射する。
【0074】
図27は、
図9に示した表示ユニットの表示領域における発光スペクトルを示す図である。例えば、
図27の赤色半導体レーザスペクトルに示すように、赤色レーザ光は、スペクトル線幅が非常に狭く、かつ波長位置が640nm付近にある。そのため、赤色レーザ光は、白色光透過領域37aを透過するが、緑色透過領域37bを透過しないため、赤色の光が表示板35の表示領域36から出射する。
【0075】
表示板35の表示色が赤色であるため、照明装置1aが設置された避難経路が危険であることを避難者に認識させることができる。さらに、赤色レーザ光は、緑色レーザ光と同様に、表示板35の表面および人の網膜上に、
図8に示したようなスペックルパターンを発生させる。このスペックルパターンは遠くからでも極めて目立つ。
【0076】
なお、本実施の形態2では、検知器18が照明装置1aに設けられている場合で説明したが、照明装置1aとは別に設けられていてもよい。この場合、検知器18および制御部16は、有線または無線の通信手段を介して信号を送受信する手段を備えていればよい。また、本実施の形態2では、検知器18が熱を検知する場合で説明したが、検知器18が検知するのは熱に限らない。検知器18は、避難経路が危険か否かを検知するために、熱、炎および煙のうち、少なくともいずれかを検知する検知器であればよい。さらに、検知器18は、表示ユニット13の視認性の改善が必要な状況であることを示す視認性検知信号を制御部16に出力する機能も備えていてもよい。
【0077】
本実施の形態2の光源ユニット20aは、レーザ光源モジュール300の第1光源11が固定される第1の固定面と、白色光源モジュール200の第2光源12が固定される第2の固定面とは、各光源の光の出射方向に対して垂直で互いに重なり合う構成である。本実施の形態2によれば、第1光源11および第2光源12の各光源の光は互いに平行に導光体31に入射する。その結果、導光体31に入射した光は、導光体31に他の光が入射したときと同様に反射を繰り返して拡散した後、表示板35の表示領域36から放射する。どの光源の光が放射しても、表示板35の視認性が向上する。
【0078】
また、第1光源11の一部が貫通穴である逃がし穴111または切欠き部113を介して白色光源モジュール200よりも下に突出し、第1光源11の光の出射面の位置および第2光源12の光の出射面の位置が同じ高さであってもよい。この場合、第1光源11および第2光源12の光の放射位置を同じ高さにすることができ、導光体31への光の入射効率を同等にすることができる。
【0079】
また、本実施の形態2の照明装置1aは、表示ユニット13が面する避難経路が安全であるか否かを示す経路検知信号に基づいて、避難経路が安全と判定した場合、第1光源11を駆動し、避難経路が危険と判定した場合、第3光源17を駆動するものである。
【0080】
従来、避難者が誘導灯を認識できたとしても、誘導灯が設置された避難経路が危険な場合がある。この場合、誘導灯による誘導は避難者に対して安全とは言えないおそれがある。また、従来の照明装置は、避難経路が危険であると判定して消灯しても、その避難経路が危険であることを避難者に警告できない。これに対して、本実施の形態2の照明装置1aは、避難経路が安全な場合と危険な場合とで表示ユニット13から出射される光の色を変えることで、避難者に的確な安全避難経路を色で誘導することができる。そのため、人に対して視認性および安全性の高い照明装置1aを提供することができる。
【0081】
なお、本実施の形態2では、光源ユニット20aについて、
図14~
図24を参照して説明したが、光源ユニット20aを実施の形態1の照明装置1の光源ユニット20に適用してもよい。この場合、光源ユニット20aに第3光源17を設ける必要はない。実施の形態1においても、本実施の形態2と同様な効果を得ることができる。
【0082】
また、実施の形態1および2では、照明装置1および1aが誘導灯および非常灯の場合で説明したが、照明装置1および1aは誘導灯および非常灯に限らない。照明装置1および1aを、道路交通用途、航空宇宙用途および船舶用途等の各種標識装置、回転式および点滅式等の警告灯、ならびに看板照明等の、遠方への情報報知を目的とした照明装置に適用することができる。実施の形態1および2で説明した照明装置1および1aを、コヒーレント光を用いた照明光を遠方に照射する技術に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1、1a 照明装置、11 第1光源、12 第2光源、13 表示ユニット、14 常用電源、15 非常用電源、16 制御部、17 第3光源、18 検知器、20、20a 光源ユニット、21、21a LED基板、22 中継保持部、23 ホルダ、24、25 下面、31 導光体、32 反射板、33 拡散板、34 プリズムシート、35 表示板、36 表示領域、37a 白色光透過領域、37b 緑色透過領域、40 出射面、108 固定爪、109 ガイド溝、111 逃がし穴、112 コネクタ、113 切欠き部、121 電極ピン、122 貫通ネジ穴、123 ネジ、124 貫通穴、131 ソケット穴、132 ネジ穴、133 配線ガイド、200 白色光源モジュール、300 レーザ光源モジュール、400 ユニットホルダ、450 ガイド。