(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】チップ状金属抵抗器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01C 1/142 20060101AFI20230428BHJP
H01C 3/00 20060101ALI20230428BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20230428BHJP
H01C 17/02 20060101ALI20230428BHJP
H01C 17/28 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
H01C1/142
H01C3/00 Z
H01C13/00 J
H01C17/02
H01C17/28
(21)【出願番号】P 2019003129
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2018002599
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000242633
【氏名又は名称】北陸電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】上野 聡
(72)【発明者】
【氏名】島 国弘
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-311747(JP,A)
【文献】特開2017-201663(JP,A)
【文献】特開2017-183692(JP,A)
【文献】特開2004-327906(JP,A)
【文献】特開2006-332413(JP,A)
【文献】国際公開第2005/091310(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 1/142
H01C 3/00
H01C 13/00
H01C 17/02
H01C 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ状の金属製抵抗体と、前記金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、前記複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、前記片面上に形成されて前記金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器の製造方法であって、
前記金属製抵抗体の前記片面に前記絶縁層を形成し、
前記複数の電極層を前記絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有するように形成し、
前記複数の半田層を前記複数の電極層の前記オーバラップ部を覆うように形成し、
前記複数の半田層の前記オーバラップ部を覆う部分を除去することを特徴とするチップ状金属抵抗器の製造方法。
【請求項2】
チップ状の金属製抵抗体と、前記金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、前記複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、前記片面上に形成されて前記金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器の製造方法であって、
前記金属製抵抗体の前記片面に前記絶縁層を形成し、
前記複数の電極層を前記絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有するように形成し、
前記オーバラップ部及び前記オーバラップ部間に位置する前記絶縁層を覆うようにマスキング用絶縁層を形成し、
前記マスキング用絶縁層によって覆われていない前記複数の電極層の上に前記複数の半田層を形成し、その後前記マスキング用絶縁層を除去することを特徴とするチップ状金属抵抗器の製造方法。
【請求項3】
チップ状の金属製抵抗体と、前記金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、前記複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、前記片面上に形成されて前記金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器であって、
前記複数の半田層の各内側端縁が前記複数の電極層の各内側端縁よりも内側に延長することを阻止するように、前記複数の半田層の前記各内側端縁と前記複数の電極層の前記各内側端縁との間に入り込む延長阻止部を前記絶縁層が有していることを特徴とするチップ状金属抵抗器。
【請求項4】
前記絶縁層は、前記複数の電極層の前記内側端縁の終端位置を決めて前記電極間抵抗値を決定する電極間抵抗値決定用絶縁層と、前記電極間抵抗値決定用絶縁層の上に重なって形成される本体部及び前記電極間抵抗値決定用絶縁層の端部を越えて延びる前記延長阻止部を備えて前記複数の半田層の前記内側端縁の終端位置を決めて電極間距離を決定する電極間距離決定用絶縁層を有している請求項
3に記載のチップ状金属抵抗器。
【請求項5】
前記複数の電極層は前記電極間抵抗値決定用絶縁層を間に挟むように形成された第1の電極形成層と前記電極間距離決定用絶縁層を間に挟むように形成された第2の電極形成層とをそれぞれ備えている請求項
4に記載のチップ状金属抵抗器。
【請求項6】
前記電極間抵抗値決定用絶縁層と前記電極間距離決定用絶縁層とが、異なる絶縁材料で形成されている請求項
4に記載のチップ状金属抵抗器。
【請求項7】
前記電極間抵抗値決定用絶縁層と前記電極間距離決定用絶縁層とが、同じ絶縁材料で形成されている請求項
4に記載のチップ状金属抵抗器。
【請求項8】
請求項
6乃至7のいずれか1項に記載のチップ状金属抵抗器の製造方法であって、
前記金属製抵抗体の前記片面上に前記電極間抵抗値決定用絶縁層を形成し、
前記電極間抵抗値決定用絶縁層をマスキング層として前記第1の電極形成層をメッキにより形成し、
前記電極間抵抗値決定用絶縁層の上及び前記電極間抵抗値決定用絶縁層と前記第1の電極形成層の境界部を越えるように前記電極間距離決定用絶縁層を形成し、
前記電極間距離決定用絶縁層をマスキング層として前記第2の電極形成層をメッキにより形成し、
前記第2の電極形成層の上に前記半田層をメッキで形成することを特徴とするチップ状金属抵抗器の製造方法。
【請求項9】
チップ状の金属製抵抗体と、前記金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、前記複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、前記片面上に形成されて前記金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器の製造方法であって、
前記金属製抵抗体の前記片面に前記絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上にマスキング用絶縁層を形成し、
その後前記複数の電極層及び前記複数の半田層を形成し、
その後前記マスキング用絶縁層を全部除去するかまたは厚みを減少するように一部除去することを特徴とするチップ状金属抵抗器の製造方法。
【請求項10】
チップ状の金属製抵抗体と、前記金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、前記複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、前記片面上に形成されて前記金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器の製造方法であって、
前記金属製抵抗体の前記片面にマスキング材料からなる前記絶縁層を形成し、
その後前記複数の電極層及び前記複数の半田層を形成し、
その後前記絶縁層を全部除去するかまたは厚みを減少するように一部除去することを特徴とするチップ状金属抵抗器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状の金属製抵抗体を有するチップ状金属抵抗器及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第4460564号(特許文献1)に示されたチップ状金属抵抗器は、チップ状の金属製抵抗体と、この抵抗体の片面に設けられたメッキにより形成された複数の電極と、複数の電極に積層して形成されたメッキにより形成されたハンダ層とを備えている。そして抵抗体の片面には、抵抗体の電極間抵抗値を決定するための絶縁層が設けられている。また複数の電極は、絶縁層を挟んで離間しており、かつ、複数の電極のそれぞれの一部および複数の電極に積層されたハンダ層のそれぞれの一部は、絶縁層の縁部に対し、この縁部に直接接触するようにオーバラップしている。このような構成によれば、抵抗値調整のためのトリミングを行う必要がない。またチップ状金属抵抗器の製造過程において煩雑な切削作業を行う必要がないとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の構造では、メッキにより形成された複数の電極に積層されたメッキにより形成されたハンダ層のそれぞれの一部が、絶縁層の縁部に対し、この縁部に直接接触するようにオーバラップしているので、実装の際に半田付けを行うと、絶縁層の縁部にオーバラップしている半田層の部分に実装用の半田が付くことになる。その結果、抵抗値を低抵抗にするために電極間寸法を小さくすると、半田層間短絡が発生しやすくなる問題がある。
【0005】
本発明の目的は、抵抗値を低抵抗にしても半田層間短絡が発生しないチップ状金属抵抗器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、チップ状の金属製抵抗体と、金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、片面上に形成されて金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器を改良の対象とする。本発明のチップ状金属抵抗器では、複数の電極層は絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有するように形成されており、複数の半田層が複数の電極層のオーバラップ部を露出させるように形成されている。
【0007】
このように複数の半田層を複数の電極層のオーバラップ部を露出させるように形成すると、絶縁層の両側に位置する半田層間の距離が長くなる。その結果、半田層に付着する実装用の半田間の距離も長くなり、抵抗体の抵抗値を低くしても、半田層間短絡が発生することを防ぐことができる。
【0008】
第2の発明は、チップ状の金属製抵抗体と、金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、片面上に形成されて金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器の製造方法を改良の対象とする。本発明のチップ状金属抵抗器の製造方法は、金属製抵抗体の片面に絶縁層を形成し、複数の電極層を絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有するように形成し、複数の半田層を複数の電極層のオーバラップ部を覆うように形成し、複数の半田層のオーバラップ部を覆う部分を除去する各工程を含んでなる。
【0009】
このようなチップ状金属抵抗器の製造方法によると、複数の半田層を複数の電極層のオーバラップ部を露出させるように形成したチップ状金属抵抗器を容易に製造することができる。
【0010】
第3の発明は、チップ状の金属製抵抗体と、金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、片面上に形成されて金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器の製造方法を改良の対象とする。本発明のチップ状金属抵抗器の製造方法は、金属製抵抗体の片面に絶縁層を形成し、複数の電極層を絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有するように形成し、オーバラップ部及びオーバラップ部間に位置する絶縁層を覆うようにマスキング用絶縁層を形成し、マスキング用絶縁層によって覆われていない複数の電極層の上に複数の半田層を形成し、その後マスキング用絶縁層を除去する各工程を含んでなる。
【0011】
このようなチップ状金属抵抗器の製造方法によると、複数の半田層を複数の電極層のオーバラップ部を露出させるように形成したチップ状金属抵抗器を容易に製造することができる。
【0012】
第4の発明は、チップ状の金属製抵抗体と、金属製抵抗体の片面上にメッキにより形成された複数の電極層と、複数の電極層上にメッキにより形成された複数の半田層と、片面上に形成されて金属製抵抗体の電極間抵抗値を決定する絶縁層とを備えてなるチップ状金属抵抗器を改良の対象とする。本発明のチップ状金属抵抗器では、複数の半田層の各内側端縁が複数の電極層の各内側端縁よりも内側に延長することを阻止するように、複数の半田層の各内側端縁と複数の電極層の各内側端縁との間に入り込む延長阻止部を絶縁層が有しているように形成されている。
【0013】
このように絶縁層が延長阻止部を有するように形成することにより、複数の半田層の各内側端縁の相互間の距離を長く保つことができ、よって抵抗体の抵抗値を低くしても半田層間短絡の発生を防止することができる。
【0014】
チップ状金属抵抗器の絶縁層は、複数の電極層の内側端縁の終端位置を決めて電極間抵抗値を決定する電極間抵抗値決定用絶縁層と、電極間抵抗値決定用絶縁層の上に重なって形成される本体部及び電極間抵抗値決定用絶縁層の端部を越えて延びる延長阻止部を備えて複数の半田層の内側端縁の終端位置を決めて電極間距離を決定する電極間距離決定用絶縁層を有するように構成されていてもよい。
【0015】
発明のチップ状金属抵抗器において、複数の電極層は電極間抵抗値決定用絶縁層を間に挟むように形成された第1の電極形成層と電極間距離決定用絶縁層を間に挟むように形成された第2の電極形成層とをそれぞれ備えていてもよい。
【0016】
また第4の発明のチップ状金属抵抗器において、電極間抵抗値決定用絶縁層と電極間距離決定用絶縁層とが、異なる絶縁材料で形成されていても、同じ絶縁材料で形成されていてもよい。
【0017】
第4の発明のチップ状金属抵抗器は、金属製抵抗体の片面上に電極間抵抗値決定用絶縁層を形成し、電極間抵抗値決定用絶縁層をマスキング層として第1の電極形成層をメッキにより形成し、電極間抵抗値決定用絶縁層の上及び電極間抵抗値決定用絶縁層と第1の電極形成層の境界部を越えるように電極間距離決定用絶縁層を形成し、電極間距離決定用絶縁層をマスキング層として第2の電極形成層をメッキにより形成し、第2の電極形成層の上に半田層をメッキで形成する各工程を含む製造方法により製造することができる。
【0018】
第5の発明のチップ状金属抵抗器は、複数の半田層が絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有しないように形成されており、複数の半田層は複数の電極層の上にのみ形成されている。このチップ状金属抵抗器は、金属製抵抗体の片面に電極間抵抗値を決定する絶縁層を形成し、この絶縁層の上にマスキング用絶縁層を形成し、その後複数の電極層及び複数の半田層を形成し、最後にマスキング用絶縁層を全部除去するかまたは厚みを減少するように一部を除去することにより製造することができる。
【0019】
第6の発明のチップ状金属抵抗器も、複数の半田層が絶縁層の上にオーバラップするオーバラップ部を有しないように形成されており、複数の半田層は複数の電極層の上にのみ形成されている。このチップ状金属抵抗器は、金属製抵抗体の片面にマスキング材料からなる電極間抵抗値を決定する絶縁層を形成し、その後複数の電極層及び複数の半田層を形成し、最後に絶縁層を全部除去するかまたは厚みを減少するように一部を除去することにより製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るチップ状金属抵抗器の第1の実施形態の積層構造を示す断面図である。なお各図において、各層の厚さは説明のために実際の比率よりも厚くまたは薄く表されており、具体的なチップ状金属抵抗器の各層の厚みの比率は図とは異なる。
【
図2】(a)乃至(e)は、
図1のチップ状金属抵抗器を製造する本発明に係るチップ状金属抵抗器の製造方法に係る第1の実施形態の製造工程を示す図である。
【
図3】(c)及び(d)は、
図1のチップ状金属抵抗器を製造する本発明に係るチップ状金属抵抗器の製造方法に係る第2の実施形態の製造工程を示す図であり、
図3(c)より前の工程は
図2(a)(b)と同一であるため図示を省略する。
【
図4】本発明に係るチップ状金属抵抗器の第2の実施形態の積層構造を示す断面図である。
【
図5】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明に係るチップ状金属抵抗器の他の実施形態の積層構造の一部分を示す拡大断面図である。
【
図6】(a)乃至(d)は、
図4のチップ状金属抵抗器を製造する本発明に係るチップ状金属抵抗器の製造方法に係る第2の実施形態の製造工程を示す図である。
【
図7】(a)乃至(d)は、第3の実施の形態のチップ状金属抵抗器を製造する製造工程を示す図である。
【
図8】(a)乃至(c)は、第4の実施の形態のチップ状金属抵抗器を製造する製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態のチップ状金属抵抗器)
図1は第1の実施形態のチップ状金属抵抗器の積層構造を示す。このチップ状金属抵抗器は、金属製抵抗体10と、一対の電極層20,20と、各電極層20,20上の2つの半田層30,30と、絶縁層40,50とを備えている。
【0023】
金属製抵抗体10は一様の厚みを有し、平面視長方形のチップ状である。金属製抵抗体10の具体的な材料としては、典型的にはCu-Mn系合金、Ni-Cu系合金、Ni-Cr系合金などが挙げられ、これらの中からチップ状金属抵抗器に所望されるサイズや抵抗値に応じて選択できる。
【0024】
一対の電極層20,20はそれぞれ、金属製抵抗体10の片面にメッキにより形成された金属の層であり、典型的には電気伝導率の高い銅製である。本実施形態では電極層20は2つ示されているが、電極層が3つ以上備えられていてもよい。
【0025】
半田層30,30は一対の電極層20,20それぞれの上にメッキにより形成されている。半田層30,30は、チップ状金属抵抗器が取り付けられて利用される各種の機器の基板上の電極(図示していない)と半田付けされることにより、基板上の電極と電極層20,20とを電気的に接続する。本実施の形態では、半田層30,30はスズ製である。
【0026】
絶縁層40は、一対の電極層20,20の間の金属製抵抗体10の片面上に形成されて、一対の電極層20,20間の距離を決定することにより、金属製抵抗体10の電極間抵抗値を決定する。絶縁層40は、典型的にはエポキシ樹脂系の樹脂膜であり、厚膜印刷により形成される。
【0027】
金属製抵抗体10の片面と反対側の面は、全面に渡って絶縁層50により被覆されている。絶縁層50も絶縁層40と同じくエポキシ樹脂系の樹脂膜であって、絶縁層40と同一の厚膜印刷設備により形成可能である。なお絶縁層40,50は厚膜印刷ではなく、フォトレジスト法により形成してもよい。
【0028】
第1の実施形態のチップ状金属抵抗器は、各電極層20,20は絶縁層40の上にオーバラップするオーバラップ部22,22をそれぞれ有するように形成されている。そして、各半田層30,30が各電極層20,20のオーバラップ部22,22を露出させるようにそれぞれ形成されている。
【0029】
典型的なチップ状金属抵抗器において、金属製抵抗体10の厚さは約0.1~1.0mm、矩形の各辺のサイズは約0.5~7mmである。電極層20の厚さは約100μm、半田層30の厚さは約3~15μm、絶縁層40,50の厚さは約20~50μmである。
【0030】
(チップ状金属抵抗器の製造方法の第1の実施形態)
上記のような第1の実施形態のチップ状金属抵抗器は、
図2に示す各製造工程を経て製造することができる。
【0031】
まず最初に、
図2(a)に示すように、金属製抵抗体10の片面に絶縁層40を形成する。
図2(a)では既に絶縁層50も形成されているが、先に金属製抵抗体10の片面とは反対側の全面に絶縁層50を厚膜印刷し、その後片面に部分的に絶縁層40を厚膜印刷する。
【0032】
次に、
図2(b)に示すように、一対の電極層20,20をメッキにより形成する。金属製抵抗体10の片面の上に、絶縁層40の厚さよりも十分に厚くなるように銅メッキ処理を施せば、電極層20,20には絶縁層40の端縁近くにオーバラップするオーバラップ部22が形成される。
【0033】
次に、
図2(c)に示すように、2つの半田層30,30をスズメッキにより形成する。各半田層30,30は、一対の電極層20,20それぞれのオーバラップ部22,22を覆うように形成されたオーバラップ部覆い部32,32を有する。
【0034】
次に、
図2(d)に示すように、各半田層30,30のオーバラップ部覆い部32,32以外の部分の上に、スズメッキ保護膜60,60を形成する。スズメッキ保護膜60,60は適当な樹脂製であり、パターン印刷により形成することができる。
【0035】
次に、
図2(e)に示すように、スズメッキ除去処理を施すことにより、各半田層30,30のスズメッキ保護膜60,60により保護されていない部分、すなわち各半田層30,30のオーバラップ部覆い部32,32が除去されて、一対の電極層20,20それぞれのオーバラップ部22,22が露出する。その後、スズメッキ保護膜60を除去することにより、
図1に示すチップ状金属抵抗器を製造することができる。
【0036】
他の実施形態の製造方法においては、一対の電極層20,20のオーバラップ部22,22を覆うオーバラップ部覆い部32,32を除去するために、研削のような機械加工や、レーザー光除去等の処理を適用することができる。一対の電極層20,20のオーバラップ部22,22を露出させるのは、半田層30,30及び半田層30,30にそれぞれ実装された半田の相互間の距離が短いことが原因となって、半田層間短絡を発生しないようにするためである。従って半田層30,30を一部除去した部分の寸法精度は高い精度は要求されない。またオーバラップ部22,22表面からのスズの完全除去までが要求されることはなく、ややスズが少々残っていても、逆にオーバラップ部22,22が一部除去されても大きな問題は生じない。
【0037】
なお工業的には、このようなチップ状金属抵抗器は複数個が同時に製造される。すなわち金属製抵抗体10は製造時には水平方向に拡く延びており、縦横に多数並んだ各部分に同時に上記の各処理が施され、各処理の終了後に各部分が切断されて、
図1に示すような一定の大きさに分けられる。
【0038】
このような製造方法により製造された第1のチップ状金属抵抗器は、各半田層30,30が一対の電極層20,20のオーバラップ部22,22を露出させるように形成されて、絶縁層40の両側に位置する各半田層30,30の間の距離が長くなり、その結果、各半田層30,30に付着する実装用の半田間の距離も長くなるので、抵抗体の抵抗値が低い場合でも、各半田層30,30の間で短絡が発生することを防ぐことができる。
【0039】
(チップ状金属抵抗器の製造方法の第2の実施形態)
図3はチップ状金属抵抗器の製造方法の第2の実施形態を示す。第2の実施形態の製造方法は、第1の実施形態の製造方法における
図2(b)に示す工程までは第1の実施形態の製造方法と同一であり、その後の製造工程についてのみ説明する。
【0040】
図3(c)に示すように、金属製抵抗体10の片面に絶縁層40を形成し、一対の電極層20,20を絶縁層40の上にオーバラップ部22,22をそれぞれ有するように形成した
図2(b)の状態の半加工品に対し、オーバラップ部22,22及びオーバラップ部22,22間に位置する絶縁層40を覆うようにマスキング用絶縁層62が形成される。マスキング用絶縁層62は適当な樹脂製であって、スクリーン印刷により形成することができる。
【0041】
次に、
図3(d)に示すように、マスキング用絶縁層62に覆われていない一対の電極層20,20の上にそれぞれ半田層30,30をメッキにより形成する。その後、マスキング用絶縁層62を除去することにより、
図1に示すチップ状金属抵抗器を製造することができる。
【0042】
(第2の実施形態のチップ状金属抵抗器)
図4は、本発明に係るチップ状金属抵抗器の第2の実施の形態の積層構造を示す断面図であり、第1の実施の形態と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して示した上で詳細な説明を省略する。
【0043】
各図において、第2の実施形態のチップ状金属抵抗器は、チップ状の金属製抵抗体10と、金属製抵抗体10の片面にメッキにより形成された一対の電極層70,70と、一対の電極層70,70それぞれの上にメッキにより形成された半田層30,30と、片面上に形成された絶縁層80と、金属製抵抗体10の片面と反対側の面を被覆する絶縁層50とを備えている。
【0044】
第2の実施形態のチップ状金属抵抗器においては、各半田層30の各内側端縁が一対の電極層70,70の各内側端縁よりも内側に延長することを阻止するように、各半田層30,30の各内側端縁と一対の電極層70,70の各内側端縁との間に入り込む延長阻止部81,81を絶縁層80が有しているように形成されている。
【0045】
絶縁層80は2つの層に分かれて形成されている。電極間抵抗値決定用絶縁層82は金属製抵抗体10の片面上に形成され、電極間距離決定用絶縁層84は電極間抵抗値決定用絶縁層82の上層に形成される。電極間距離決定用絶縁層84は電極間抵抗値決定用絶縁層82の上に重なって形成される本体部83及び電極間抵抗値決定用絶縁層82の端部を超えて延びる延長阻止部81,81を備えている。
【0046】
一対の電極層70,70は、電極間抵抗値決定用絶縁層82を間に挟むように形成された第1の電極形成層72と、電極間距離決定用絶縁層84を間に挟むように形成された第2の電極形成層74とをそれぞれ備えている。
【0047】
各層の材料は第1の実施形態のチップ状金属抵抗器と同様であり、すなわち絶縁層50、80は樹脂製、一対の電極層70,70は銅製、半田層30,30はスズ製である。絶縁層80の電極間抵抗値決定用絶縁層82と電極間距離決定用絶縁層84とは同じ絶縁材料で形成されているが、他の実施形態では異なる絶縁材料で形成されている。
【0048】
各図は、各層の厚みの比率は実際の製品と正確に一致して示していないが、
図4の第2の実施形態のチップ状金属抵抗器では、電極間抵抗値決定用絶縁層82と第1の電極形成層72とはほぼ同じ厚さに形成されている。
図5(a)の他の実施形態では電極間抵抗値決定用絶縁層82よりも第1の電極形成層72の方が少し厚くなっており、そのため境界には電極間抵抗値決定用絶縁層82の上に第1の電極形成層72のオーバラップが僅かに生じている。逆に、
図5(b)に示すさらに他の実施形態においては、電極間抵抗値決定用絶縁層82よりも第1の電極形成層72が少し薄くなるように形成されている。
【0049】
このように絶縁層が延長阻止部81,81を有するように形成することにより、半田層30の各内側端縁の相互間の距離を長く保つことができ、よって抵抗体の抵抗値を低くしても半田層30間短絡の発生を防止することができる。
【0050】
(チップ状金属抵抗器の製造方法の第2の実施形態)
上記のような第2の実施形態のチップ状金属抵抗器は、
図6に示す各製造工程を経て製造することができる。
【0051】
まず最初に、
図6(a)に示すように、金属製抵抗体10の片面に電極間抵抗値決定用絶縁層82を形成する。金属製抵抗体10の片面とは反対側の面には絶縁層50が形成されている。
【0052】
次に、
図6(b)に示すように、電極間抵抗値決定用絶縁層82をマスキング層として一対の第1の電極形成層72、72を銅メッキにより形成する。
【0053】
次に、
図6(c)に示すように、電極間抵抗値決定用絶縁層82の上及び電極間抵抗値決定用絶縁層82と第1の電極形成層の境界部を越えるように電極間距離決定用絶縁層84を形成する。
【0054】
次に、
図6(d)に示すように、電極間距離決定用絶縁層84をマスキング層として第2の電極形成層74をメッキにより形成する。その後、第2の電極形成層74の上に半田層30をメッキで形成することにより、
図4に示す第2の実施形態のチップ状金属抵抗器を構成することができる。
【0055】
以上の通り、第2の実施形態のチップ状金属抵抗器によると、絶縁層80が延長阻止部81を有するように形成したので、各半田層30,30の各内側端縁の相互間の距離を長く保つことができ、よって金属製抵抗体10の抵抗値が低い場合でも半田層30,30間の短絡の発生を防止することができる。
【0056】
(チップ状金属抵抗器の第3の実施の形態及びその製造方法)
図7(a)乃至(d)は、本発明のチップ状金属抵抗器の第3の実施の形態の製造方法の工程を示している。最初に、
図7(a)に示すように、金属製抵抗体10の片面に電極間抵抗値決定用絶縁層40を形成する。金属製抵抗体10の片面とは反対側の面には絶縁層50が形成されている。
【0057】
次に、
図7(b)に示すように、電極間抵抗値決定用絶縁層40の上にマスキング用絶縁層62を形成した後に、一対の電極層20,20を銅メッキにより形成し、さらにマスキング用絶縁層62をマスキング層として半田層30,30をスズメッキにより形成する。なお本実施の形態では、マスキング用絶縁層62の厚みは、100μm程度ある。
【0058】
次に
図7(c)に示すように、マスキング用絶縁層62を全部除去するか、
図7(d)に示すようにマスキング用絶縁層62の厚みを減少するように一部除去する。残ったマスキング用絶縁層62´は保護層となる。
【0059】
このようにすると、複数の電極層20,20は電極間抵抗値決定用絶縁層40及びマスキング用絶縁層62上にオーバラップするオーバラップ部を有しないように形成され、複数の半田層30,30が複数の電極層20,20の上にのみ形成されたチップ状金属抵抗器を簡単に製造することができる。なお印刷ずれを考慮してマスキング用絶縁層62を電極間抵抗値決定用絶縁層40よりも小さく形成してもよい。この場合には、電極層20,20の一部が電極間抵抗値決定用絶縁層40の上に一部オーバラップすることになるが、複数の半田層30,30は複数の電極層20,20の上にのみ形成される。またこのようにすると半田層30が電極層20,20の端部にオーバラップしない状態になるので、実装用回路上の半田付け用電極に対する実装ずれが小さくなる利点が得られる。
【0060】
(チップ状金属抵抗器の第4の実施の形態及びその製造方法)
図8(a)及び(b)は、本発明のチップ状金属抵抗器の第4の実施の形態の製造方法の工程を示している。最初に、
図8(a)に示すように、金属製抵抗体10の片面に電極間抵抗値決定用絶縁層40をマスキング用材料により形成する。金属製抵抗体10の片面とは反対側の面には絶縁層50が形成されている。
【0061】
次に、
図8(b)に示すように、一対の電極層20,20を銅メッキにより形成し、さらに半田層30,30をスズメッキにより形成する。なお本実施の形態では、電極間抵抗値決定用絶縁層40の厚みは、100μm程度ある。
【0062】
次に
図8(c)に示すように、マスキング用材料により形成された電極間抵抗値決定用絶縁層40をその厚みを減少するように一部除去する。残った電極間抵抗値決定用絶縁層40´は保護層となる。なお電極間抵抗値決定用絶縁層40をすべて除去してもよいのは勿論である。
【0063】
このようにすると、複数の電極層20は電極間抵抗値決定用絶縁層40の上及び電極間抵抗値決定用絶縁層40と電極形成層の境界部を越え絶縁層40の上にオーバラップするオーバラップ部を有しないように形成され、複数の半田層30,30は複数の電極層20,20の上にのみ形成されたチップ状金属抵抗器を簡単に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のチップ状金属抵抗器によれば、絶縁層の両側に位置する半田層間の距離を長くすることができる。よって金属抵抗体の抵抗値が低い場合でも、半田層間短絡が発生することがない。
【符号の説明】
【0065】
10 金属製抵抗体
20 電極層
22 オーバラップ部
30 半田層
40,50,80 絶縁層
60 スズメッキ保護膜
62 マスキング用絶縁層
70 電極層
72 第1の電極形成層
74 第2の電極形成層
81 延長阻止部
82 電極間抵抗値決定用絶縁層
83 本体部
84 電極間距離決定用絶縁層