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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
H02K33/16 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019065371
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167817
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】土橋 将生
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180947(WO,A1)
【文献】特開2019-013087(JP,A)
【文献】特開2019-013097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
可動体と、
前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、
前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、
弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、
前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、
前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、
前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、
前記第1接続体と前記第2接続体とは、それぞれが、前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分、および前記可動体における前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続され、
前記第1接続体および前記第2接続体は、前記直交方向から見た場合に、十字形状であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
支持体と、
可動体と、
前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、
前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、
弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前
記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、
前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、
前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、
前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、
前記第1接続体と前記第2接続体とは、前記第1接続体が前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続され、かつ、前記第2接続体が前記可動体の前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続されており、
第1接続体は、前記直交方向から見た場合の形状が第1移動方向を長辺方向とする長方形形状であり、
第2接続体は、前記直交方向から見た場合の形状が第2移動方向を長辺方向とする長方形形状であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
支持体と、
可動体と、
前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、
前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、
弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、
前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、
前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、
前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、
前記第1接続体と前記第2接続体とは、前記第1接続体が前記第1移動方向に1列に配列され、前記第1接続体が接続される位置は、前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分の2箇所であり、かつ、前記第2接続体が前記第2移動方向に1列に配列され、前記第2接続体が配置される位置は、前記可動体の前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分の2箇所であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
支持体と、
可動体と、
前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、
前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路
と、
弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、
前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、
前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、
前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、
前記第1接続体と前記第2接続体とは、それぞれが、前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分、および前記可動体における前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続され、
前記第1および前記第2接続体は、前記第1移動方向および前記第2移動方向を対角方向とする矩形状であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1コイルおよび前記第2コイルは、前記支持体の側に設けられ、
前記第1磁石および前記第2磁石は、前記可動体の側に設けられていることを特徴とする請求項1からのうちの何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記可動体は、前記第1磁石が固定された第1板部を有する第1ヨークと、前記第2磁石が固定された第2板部を有する第2ヨークと、を備え、
前記第1板部は、前記第1コイルおよび前記第1磁石の前記直交方向の一方側に位置し、
前記第2板部は、前記第2コイルおよび前記第2磁石の前記直交方向の他方側に位置し、
前記第1板部を前記直交方向から見た場合の形状は、前記第1移動方向の両側に突出する一対の第1板部第1突部および前記第2移動方向の両側に突出する一対の第1板部第2突部を備える十字形状であり、
前記第2板部を前記直交方向から見た場合の形状は、前記第1移動方向の両側に突出する一対の第2板部第1突部および前記第2移動方向の両側に突出する第2板部第2突部を備える十字形状であり、
前記第1接続体は、一対の前記第1板部第1突部および一対の前記第1板部第2突部の少なくとも一方に接続されており、
前記第2接続体は、一対の前記第2板部第1突部および一対の前記第2板部第2突部の少なくとも一方に接続されていることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記可動体は、前記直交方向で前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路との間に位置する磁性部材を備え、
前記第1ヨークは、前記第1移動方向の両側に突出する一対の第1板部第1突部の両端部のそれぞれから前記直交方向に延びる一対の第1延設部を備え、
前記第2ヨークは、前記第2移動方向の両側に突出する一対の第2板部第2突部の両端部のそれぞれから前記直交方向に延びる一対の第2延設部を備え、
前記磁性部材には、一対の前記第1延設部の前記直交方向の他方側の端、および、前記一対の前記第2延設部の前記直交方向の一方側の端が接続されていることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第1接続体および前記第2接続体は、ゲル状部材であることを特徴とする請求項1からのうちのいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を発生させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
振動によって情報を報知するデバイスとして用いられるアクチュエータは、特許文献1に開示されている。同文献のアクチュエータは、磁石を備えた支持体と、磁石と対向するコイルを備えた可動体と、可動体と支持体との間に配置された弾性部材と、を備える。可動体は、磁石とコイルとが対向する第1方向に板厚方向を向けたコイルホルダを備える。コイルホルダは、第1方向に直交する第2方向で離間する位置に2つの第1コイルを備えるとともに、第1方向および第2方向に直交する第3方向で離間する位置に2つの第2コイルを備える。支持体は、第1コイルに対して第1方向の両側に第1磁石を備え、第2コイルに対して第1方向の両側に第2磁石を備える。これにより、第1コイルおよび第1磁石は、可動体を第2方向に振動させる第1磁気駆動回路を構成し、第2コイルおよび第2磁石は、可動体を第3方向に振動させる第2磁気駆動回路を構成する。従って、アクチュエータは、第2方向の振動や第3方向の振動を発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-127789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアクチュエータの可動体では、第1方向に板厚方向を向けたホルダに対して第1コイルおよび第2コイルが平面的に設けられている。従って、可動体の平面積が大きく、アクチュエータの平面積が大となる。
【0005】
第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路を第1方向に重ねれば、アクチュエータの平面積を小さくすることができる。しかし、この場合には、第1磁気駆動回路を駆動した場合に可動体に働く力の作用点と、第2磁気駆動回路を駆動した場合に可動体に働く力の作用点が、第1方向で異なる位置となる。従って、可動体を第2方向や第3方向に振動させる際に、可動体が、重心を中心に、揺動しやすくなる。ここで、可動体を第2方向や第3方向に振動させる際に可動体が揺動すると、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路が発生させる推力の向きが分散する。従って、アクチュエータを振動によって情報を報知するデバイスとして用いている場合などには、ユーザーがデバイスから受ける感触に影響が出る。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、可動体の移動方向と直交する方向に第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路を重ねた場合でも、可動体が揺動することを防止或いは抑制できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、前記第1接続体と前記第2接続体とは、それぞれが、前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分、および前記可動体における前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続され、前記第1接続体および前記第2接続体は、前記直交方向から見た場合に、十字形状であることを特徴とする。
【0008】
本発明のアクチュエータは、可動体と支持体とに接続されて可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体を備える。また、第1接続体および第2接続体は、それぞれが、可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分、および可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続されている。従って、第1接続体により、第1移動方向への可動体の揺動および第2移動方向への可動体の揺動を抑制できる。また、第2接続体により、第1移動方向への可動体の揺動および第2移動方向への可動体の揺動を抑制できる。よって、可動体の移動方向と直交する方向に第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路を重ねた場合でも、可動体が揺動することを防止或いは抑制できる。さらに、十字形状の第1接続体および第2接続体を用いるので、一つの部材からなる第1接続体を用いて、可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と支持体とを接続するとともに、可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と支持体とを接続できる。また、一つの部材からなる第2接続体を用いて、可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と支持体とを接続するとともに、可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と、支持体と、を接続できる。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、前記第1接続体と前記第2接続体とは、前記第1接続体が前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続され、かつ、前記第2接続体が前記可動体の前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続されており、第1接続体は、前記直交方向から見た場合の形状が第1移動方向を長辺方向とする長方形形状であり、第2接続体は、前記直交方向から見た場合の形状が第2移動方向を長辺方向とする長方形形状であることを特徴とする。このようにすれば、一つの部材からなる第1接続体を用いて、可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と、支持体と、を接続できるとともに、一つの部材からなる第2接続体を用いて、可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と、支持体と、を接続できる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、前記第1接続体と前記第2接続体とは、前記第1接続体が前記第1移動方向に1列に配列され、前記第1接続体が接続される位置は、前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分の2箇所であり、かつ、前記第2接
続体が前記第2移動方向に1列に配列され、前記第2接続体が配置される位置は、前記可動体の前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分の2箇所であることを特徴とする。このようにすれば、第1接続体および第2接続体のそれぞれを一つの部材から構成した場合と比較して、第1接続体および第2接続体を小さくできる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記可動体を第1移動方向に移動させる第1磁気駆動回路と、前記可動体を前記第1移動方向と交差する第2移動方向に移動させる第2磁気駆動回路と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とに接続されて前記可動体を前記第1移動方向および前記第2移動方向に変位可能に支持する第1接続体および第2接続体と、を有し、前記第1磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第1コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記第1移動方向および前記第2移動方向と直交する直交方向で前記第1コイルに対向する第1磁石と、を備え、前記第2磁気駆動回路は、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられた第2コイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記直交方向で前記2コイルに対向する第2磁石と、を備え、前記第1磁気駆動回路は、前記第2磁気駆動回路の前記直交方向の一方側に位置し、前記第1接続体は、前記可動体の前記直交方向の一方側に位置し、前記第2接続体は、前記可動体の前記直交方向の他方側に位置し、前記第1接続体と前記第2接続体とは、それぞれが、前記可動体における前記第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分、および前記可動体における前記第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続され、前記第1および前記第2接続体は、前記第1移動方向および前記第2移動方向を対角方向とする矩形状であることを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記第1コイルおよび前記第2コイルは、前記支持体の側に設けられ、前記第1磁石および前記第2磁石は、前記可動体の側に設けられているものとすることができる。第1コイルおよび第2コイルが支持体に設けられていれば、第1コイルおよび第2コイルが可動体に設けられている場合と比較して、第1コイルおよび第2コイルへの配線が容易となる。また、可動体が移動する際に第1コイルへの配線および第2コイルへの配線が変形することによる負荷が発生しない。
【0014】
本発明において、前記可動体は、前記第1磁石が固定された第1板部を有する第1ヨークと、前記第2磁石が固定された第2板部を有する第2ヨークと、を備え、前記第1板部は、前記第1コイルおよび前記第1磁石の前記直交方向の一方側に位置し、前記第2板部は、前記第2コイルおよび前記第2磁石の前記直交方向の他方側に位置し、前記第1板部を前記直交方向から見た場合の形状は、前記第1移動方向の両側に突出する一対の第1板部第1突部および前記第2移動方向の両側に突出する一対の第1板部第2突部を備える十字形状であり、前記第2板部を前記直交方向から見た場合の形状は、前記第1移動方向の両側に突出する一対の第2板部第1突部および前記第2移動方向の両側に突出する第2板部第2突部を備える十字形状であり、前記第1接続体は、一対の前記第1板部第1突部および一対の前記第1板部第2突部の少なくとも一方に接続されており、前記第2接続体は、一対の前記第2板部第1突部および一対の前記第2板部第2突部の少なくとも一方に接続されているものとすることができる。このようにすれば、第1ヨークおよび第2ヨークの形状を同一として部品点数を少なくした場合でも、第1ヨークに第1接続体を接続することにより、第1接続体を用いて可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と支持体と、を接続できる。或いは、第1ヨークに第1接続体を接続することにより、可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と、支持体と、を接続できる。また、このようにすれば、第1ヨークおよび第2ヨークの形状を同一として部品点数を少なくした場合した場合でも、第2ヨークに第2接続体を接続することにより、第2接続体を用いて、可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と、支持体と、を接続できる。或いは、第2ヨークに第2接続体を接続することにより、第2接続体を用いて、可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と、支持体と、を接続できる。
【0015】
本発明において、前記可動体は、前記直交方向で前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気
駆動回路との間に位置する磁性部材を備え、前記第1ヨークは、前記第1移動方向の両側に突出する一対の第1板部第1突部の両端部のそれぞれから前記直交方向に延びる一対の第1延設部を備え、前記第2ヨークは、前記第2移動方向の両側に突出する一対の第2板部第2突部の両端部のそれぞれから前記直交方向に延びる一対の第2延設部を備え、前記磁性部材には、一対の前記第1延設部の前記直交方向の他方側の端、および、前記一対の前記第2延設部の前記直交方向の一方側の端が接続されているものとすることができる。このようにすれば、第1ヨークと磁性部材によって第1コイルを囲む磁路を形成できるので、第1磁気駆動回路から磁束が漏れることを抑制できる。よって、第1磁気駆動回路の駆動力を確保することが容易となる。また、第2ヨークと磁性部材とによって第2コイルを囲む磁路を形成できるので、第2磁気駆動回路から磁束が漏れることを抑制できる。従って、第2磁気駆動回路の駆動力を確保することが容易となる。
【0016】
本発明において、前記第1接続体および前記第2接続体は、ゲル状部材であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える第1接続体および第2接続体の一方が、可動体における第1移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と支持体とを接続する。また、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える第1接続体および第2接続体の他方が、可動体における第2移動方向の一方側の端側部分および他方側の端側部分と支持体とを接続する。従って、第1磁気駆動回路或いは第2磁気駆動回路を駆動して可動体を第1移動方向または第2移動方向に移動させたときに、第1接続体および第2接続体が当該可動体の第1移動方向への揺動および第2移動方向への移動を防止或いは抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用したアクチュエータの斜視図である。
図2】アクチュエータを第1方向および第2方向に切断した場合の説明図である。
図3】アクチュエータを第1方向および第3方向に切断した場合の説明図である。
図4】拘束部材を外した状態のアクチュエータを第1方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。
図5】拘束部材を外した状態のアクチュエータを第1方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。
図6】アクチュエータの磁気駆動回路を分解した状態を第1方向の他方側からみた場合の分解斜視図である。
図7】アクチュエータに用いた磁気駆動回路を分解した状態を第1方向の一方側からみた場合の分解斜視図である。
図8】第1磁気駆動回路の分解斜視図である。
図9】第2磁気駆動回路の分解斜視図である。
図10図10(a)および10(b)は、変形例1の接続体の説明図である。
図11図11(a)および11(b)は、変形例2、3の接続体の説明図である。
図12図12(a)および12(b)は、変形例4、5の接続体の説明図である。
図13図13(a)および13(b)は、変形例6、7の接続体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態のアクチュエータを説明する。以下の説明では、互いに交差する3つの方向を各々、第2方向X、第3方向Yおよび第1方向Zとする。第1方向Zは第2方向Xおよび第3方向Yに対して直交する方向である。また、第2方向Xの一方側X1にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第3方向Yの一方側にY1を付し、第3方向Yの他方側にY2を付し、第1方向Zの一方側Z1にZ1を付
し、第1方向Zの他方側にZ2を付す。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したアクチュエータの斜視図である。図2は、アクチュエータを第1方向Zおよび第2方向Xに切断した場合の説明図である。図3は、アクチュエータを第1方向Zおよび第3方向Yに切断した場合の説明図である。図4は、拘束部材を外した状態のアクチュエータを第1方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。図5は、拘束部材を外した状態のアクチュエータを第1方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。
【0021】
図1に示すように、本例のアクチュエータ1は略直方体形状を有する。図2図3に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2と可動体3との間に配置された接続体4(第1接続体41、および第2接続体42)とを有する。接続体4は、弾性または粘弾性を備えており、可動体3と支持体2とに接続されている。
【0022】
アクチュエータ1は、可動体3を支持体2に対して第1移動方向に移動(振動)させる第1磁気駆動回路6と、可動体3を支持体2に対して第2移動方向に移動(振動)させる第2磁気駆動回路7、を有する。第1磁気駆動回路6が可動体3を移動させる第1移動方向と第2磁気駆動回路7が可動体3を移動させる第2移動方向とは直交する。第1磁気駆動回路6が可動体3を移動させる第1移動方向は第2方向Xである。第2磁気駆動回路7が可動体3を移動させる第2移動方向は第3方向Yである。第1移動方向および第2移動方向と直交する直交方向は第1方向Zである。
【0023】
ここで、アクチュエータ1は、第1磁気駆動回路6と第2磁気駆動回路7との駆動によって可動体3を第2方向Xおよび第3方向Yに振動させることができる。従って、アクチュエータ1や、アクチュエータ1を取り付けた機器等を利用する使用者に、第2方向Xの振動、第3方向Yの振動、または第2方向Xの振動と第3方向Yの振動とを組み合わせた振動、を体感させることができる。従って、アクチュエータ1は、上記の振動によって利用者に触覚を与える触覚デバイスとして使用することができ、例えば、ゲーム機の操作部材、操作パネル、自動車のハンドルやイス等に組み込んで利用することができる。アクチュエータ1への給電、すなわち、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7への給電は、フレキシブル配線基板9を介して行われる(図1参照)。
【0024】
図4図5示すように、支持体2は、第1方向Zに重ねて配置された第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12と、これら第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12を第1方向Zの両側から拘束する拘束部材27を有する。図5に示すように、可動体3の第1方向Zの一方側Z1には、第1接続体41が配置されている。第1接続体41は、第1方向Zの一方側Z1で拘束部材27と可動体3とを接続する。図4に示すように、可動体3の第1方向Zの他方側Z2には、第2接続体42が配置されている。第2接続体42は、第1方向Zの他方側Z2で拘束部材27と可動体3とを接続する。図2図3に示すように、第1接続体41および第2接続体42はいずれも、第1方向Zで圧縮された状態にある。接続体4(第1接続体41および第2接続体42)は、可動体3を、第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yに変位可能に支持する。
【0025】
第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7は、それぞれ、コイルと、コイルに第1方向Zで対向する磁石とを有する。コイルは、支持体2および可動体3の一方側部材に設けられ、磁石は、他方側部材に設けられる。本例では、コイル(第1コイル61および第2コイル71)、はコイルホルダ(第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12)に固定されている。コイル(第1コイル61および第2コイル71)、コイルホルダ(第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12)、および拘束部材27は、支持体2を
構成する。また、磁石(第1磁石621、622、および第2磁石721、722)、およびヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84(磁性部材))は、可動体3に設けられている。すなわち、磁石(第1磁石621、622、および第2磁石721、722)、およびヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)は、可動体3を構成する。
【0026】
第1磁気駆動回路6は、第2磁気駆動回路7に対して第1方向Zの一方側Z1で重ねて配置されている。従って、アクチュエータ1を第1方向Zからみた場合のサイズ(平面積)が小さい。よって、本例のアクチュエータ1は、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適する。
【0027】
(第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路)
第1磁気駆動回路6と第2磁気駆動回路7とは基本的な構成が同一である。図2および図3に示すように、第1磁気駆動回路6と第2磁気駆動回路7とは、同一構造の2つの磁気駆動回路を、第1方向Zにおいて対称に配置し、一方の磁気駆動回路を第1方向Zに延在する中心軸線を中心に90°回転させた構成となっている。
【0028】
第1磁気駆動回路6は、第1コイル61と、第1コイル61に第1方向Zの一方側Z1で対向する第1磁石621と、第1コイル61に第1方向Zの他方側Z2で対向する第1磁石622とを有する。第2磁気駆動回路7は、第2コイル71と、第2コイル71に第1方向Zの他方側Z2で対向する第2磁石721と、第2コイル71に第1方向Zの一方側Z1で対向する第2磁石722とを有する。第2磁気駆動回路7(第2コイル71、および第2磁石721、722)は、第1磁気駆動回路6に対して第1方向Zの他方側Z2に重なる。
【0029】
このように構成した第1磁気駆動回路6、および第2磁気駆動回路7を第1方向Zに重ねて配置するために、支持体2は、図4図5に示すように、第1コイル61を保持する第1コイルホルダ11と、第2コイル71を保持する第2コイルホルダ12と有する。第1コイルホルダ11、および第2コイルホルダ12は、第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に順に重ねて配置されている。また、第1コイルホルダ11、および第2コイルホルダ12は連結されている。
【0030】
一方、可動体3は、図2図3に示すように、第1コイル61に対して第1方向Zに一方側Z1に配置された第1ヨーク64と、第2コイル71に対して第1方向Zの他方側Z2に配置された第2ヨーク74と、第1コイル61と第2コイル71との間に配置された第3ヨーク84とを備える。第1ヨーク64および第3ヨーク84において第1コイル61と対向する面には、第1磁石621、622が保持されている。第2ヨーク74および第3ヨーク84において第2コイル62と対向する面には、第2磁石721、722が保持されている。
【0031】
(第1磁気駆動回路)
図6は、アクチュエータ1の磁気駆動回路を分解した状態を第1方向Zの他方側Z2からみた場合の分解斜視図である。図7は、アクチュエータ1の磁気駆動回路を分解した状態を第1方向Zの一方側Z1からみた場合の分解斜視図である。図8は、第1磁気駆動回路6の分解斜視図である。図9は、第2磁気駆動回路7の分解斜視図である。
【0032】
図6図8に示すように、第1コイルホルダ11は、第1コイル61を内側に保持する第1枠部66と、第1枠部66に対して第1方向Zの一方側Z1に配置された第1補強枠67と、第1枠部66の端部と第1補強枠67の端部とを繋ぐ複数の第1柱状部69とを備える。第1枠部66および第1補強枠67を第1方向Zからみた場合の外形は四角形で
あり、4つの角の各々に第1柱状部69が設けられている。第1柱状部69は、第1枠部66から第2コイルホルダ12に向けて突出している。第1コイルホルダ11は、樹脂製あるいは金属製である。本例において、第1コイルホルダ11は樹脂製である。
【0033】
図8に示すように、第1磁気駆動回路6に用いた第1コイル61は、第3方向Yに延在する第1有効辺部分611、612(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第1コイルホルダ11の第1枠部66には、第3方向Yに長径方向を向けた長円形状の第1開口部660が形成されており、第1開口部660の内側に第1コイル61が接着等により固定される。
【0034】
第1コイルホルダ11において、第1枠部66に対して第1方向Zの一方側Z1には、第1開口部660の第3方向Yの両端部と重なる位置に、第1コイル61の両端部で第2方向Xに延在する第1無効辺部分613、614(短辺部分)を第1方向Zの一方側Z1で支持する第1座部661、662が形成されている。第1座部661、662は、第1枠部66から第1方向Zの一方側Z1に突出し、第1開口部660の第3方向Yの両端部で第1方向Zの一方側Z1の底部を構成している。第1枠部66の第1方向Zの他方側Z2の面には、第1開口部660に第3方向Yの一方側Y1で隣接する位置に凹部665が形成されている。凹部665は、第1コイル61を構成するコイル線の巻き始めの引き出し部分、および巻き終わりの引き出し部分を通すためのガイド部分である。第1枠部66の厚さ(第1方向Zの寸法)は、第1コイル61の厚さ(第1方向Zの寸法)より大である。従って、第1開口部660の内側に第1コイル61が収容された状態で、第1コイル61は、第1枠部66から第1方向Zの他方側Z2に突出していない。第1コイルホルダ11において、第1枠部66の外面には、第3方向Yの一方側Y1に突出した凸部666が形成されている。
【0035】
第1磁石621、622は各々、長方形の平面形状を有する。第1磁石621、622は、それぞれ長手方向を第2方向Xに向けている。また、第1磁石621、622は各々、第2方向Xに分極着磁されており、N極およびS極が各々、第1コイル61の第1有効辺部分611、612に対向している。従って、第1コイル61に通電すると、第1磁気駆動回路6は、可動体3を第2方向Xに駆動する駆動力を発生させる。
【0036】
第1磁気駆動回路6において、第1ヨーク64は、第1磁石621を第1方向Zの他方側Z2の面で保持する平板状の第1板部640を有する。第1板部640は、第1コイル61および第1磁石621の第1方向Zの一方側Z1に位置する。図8に示すように、第1板部640を第1方向Zから見た場合の形状は、十字形状である。すなわち、第1板部640は、矩形の第1板部中央部640aと、第1板部中央部640aから第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bと、第1板部中央部640aから第3方向Yの両側に突出する一対の第1板部第2突部640cと、を備える。また、第1ヨーク64は、一対の第1板部第1突部640bの第2方向Xの両端部から第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がった板状部分からなる一対の第1延設部641、642を有する。
【0037】
第3ヨーク84は平板状である。第1方向から見た場合に、第3ヨーク84は十字形状である。第1ヨーク64の第1延設部641、642は各々、第3ヨーク84と連結されている。より詳細には、第1延設部641、642の第1方向Zの他方側Z2の端部には凹部641a、642aが形成されており、第3ヨーク84の板部840の第2方向Xの一方側X1および他方側X2の端部には、凹部641a、642aに嵌る凸部841、842が形成されている。本例において、第1ヨーク64の第1延設部641、642と第3ヨーク84とは溶接やカシメ等によって連結されている。
【0038】
ここで、図6に示すように、このように構成した第1磁気駆動回路6において、第1ヨ
ーク64のうち、第1コイル61と対向する第1板部640、および第1磁石621は、第1方向Zにおいて第1コイルホルダ11の第1枠部66と第1補強枠67との間に配置される。第1延設部641、642は、第1枠部66と第1補強枠67との間から第3ヨーク84に向けて突出する。
【0039】
(第2磁気駆動回路)
図7図9に示すように、第2コイルホルダ12は、第2コイル71を内側に保持する第2枠部76と、第2枠部76に対して第1方向Zの他方側Z2に配置された第2補強枠77と、第2枠部76の端部と第2補強枠77の端部とを繋ぐ複数の第2柱状部79とを備える。第2枠部76および第2補強枠77を第1方向Zからみた場合の外形は四角形であり、4つの角の各々に第2柱状部79が設けられている。第2柱状部79は、第2枠部76から第1コイルホルダ11に向けて突出し、第1コイルホルダ11の第1柱状部69と先端面同士が当接している。従って、第1コイルホルダ11が保持する第1コイル61と、第2コイルホルダ12が保持する第2コイル71との間には、適正な間隔が設けられる。第2コイルホルダ12は、樹脂製あるいは金属製である。本例において、第2コイルホルダ12は樹脂製である。
【0040】
図9に示すように、第2磁気駆動回路7に用いた第2コイル71は、第2方向Xに延在する第2有効辺部分711、712(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第2コイルホルダ12の第2枠部76には、第2方向Xに長径方向を向けた長円形状の第2開口部760が形成されており、第2開口部760の内側に第2コイル71が接着等により固定される。
【0041】
第2コイルホルダ12において、第2枠部76に対して第1方向Zの他方側Z2には、第2開口部760の第2方向Xの両端部と重なる位置に、第2コイル71の両端部で第3方向Yに延在する第2無効辺部分713、714(短辺部分)を第1方向Zの他方側Z2で支持する第2座部761、762が形成されている。第2座部761、762は、第2枠部76から第1方向Zの他方側Z2に突出し、第2開口部760の第2方向Xの両端部で第1方向Zの他方側Z2の底部を構成している。第2枠部76の第1方向Zの一方側Z1の面には、第2開口部760に第2方向Xの一方側X1で隣接する位置に凹部765が形成されている。凹部765は、第2コイル71を構成するコイル線の巻き始めの引き出し部分、および巻き終わりの引き出し部分を通すためのガイド部分である。第2枠部76の厚さ(第1方向Zの寸法)は、第2コイル71の厚さ(第1方向Zの寸法)より大である。従って、第2開口部760の内側に第2コイル71が収容された状態で、第2コイル71は、第2枠部76から第1方向Zの一方側Z1に突出していない。第2コイルホルダ12において、第2枠部76の外面には、第2方向Xの一方側X1に突出した凸部766が形成されている。
【0042】
第2磁石721、722は各々、長方形の平面形状を有する。第2磁石721、722は、それぞれ長手方向を第3方向Yに向けている。また、第2磁石721、722は、各々、第3方向Yに分極着磁されており、N極およびS極が各々、第2コイル62の第2有効辺部分711、712に対向している。従って、第2コイル71に通電すると、第2磁気駆動回路7は、可動体3を第3方向Yに駆動する駆動力を発生させる。
【0043】
第2磁気駆動回路7において、第2ヨーク74は、第2磁石721を第1方向Zの一方側Z1の面で保持する平板状の第2板部740を有する。第2板部740は、第2コイル62および第2磁石721の第1方向Zの他方側Z2に位置する。図9に示すように、第2板部740を第1方向Zから見た場合の形状は、十字形状である。すなわち、第2板部740は、矩形の第2板部中央部740aと、第2板部中央部740aから第2方向Xの両側に突出する一対の第2板部第1突部740bと、第2板部中央部740aから第3方
向Yの両側に突出する一対の第2板部第2突部740cと、を備える。また、第2ヨーク74は、一対の第2板部第2突部740cの第3方向Yの両端部から第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がった板状部分からなる一対の第2延設部741、742を有する。
【0044】
第2延設部741、742は各々、第3ヨーク84と連結されている。より詳細には、第2延設部741、742の第1方向Zの一方側Z1の端部には凹部741a、742aが形成されており、第3ヨーク84の板部840の第3方向Yの一方側Y1および他方側Y2の端部には、凹部741a、742aに嵌る凸部843、844が形成されている。本例において、第2ヨーク74の第2延設部741、742と第3ヨーク84とは溶接やカシメ等によって連結されている。
【0045】
ここで、第3ヨーク84は、第1磁気駆動回路6と共通に用いられている。第3ヨーク84の板部840は、第2磁石722を第1方向Zの他方側Z2の面で保持している。第3ヨーク84は、他のヨ-ク(第1ヨーク64および第2ヨーク74)より第1方向Zの厚さが厚い。従って、第3ヨーク84を第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7において共通のヨークとして用いても、磁気飽和等が発生しにくい。
【0046】
図7に示すように、このように構成した第2磁気駆動回路7において、第2ヨーク74のうち、第2コイル72と対向する第2板部740、および第2磁石721は、第1方向Zにおいて第2コイルホルダ12の第2枠部76と第2補強枠77との間に配置される。第2延設部741、742は、第2枠部76と第2補強枠77との間から第3ヨーク84に向けて突出する。
【0047】
(第1コイルホルダと第2コイルホルダとの連結構造およびフレキシブル配線基板)
図6および図7に示すように、第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12は、第1方向Zで互いに対向する部分で開口する有底の複数の穴690、790を備える。第1コイルホルダ11と第2コイルホルダ12とは、複数の穴690、790の各々に嵌るピンによって位置決めされて、連結されている。ピン20は金属製の丸棒からなる。第1コイルホルダ11と第2コイルホルダ12とが連結された状態では、第1コイルホルダ11の複数の第1柱状部69と第2コイルホルダ12の複数の第2柱状部79は各々、先端面同士が当接する。
【0048】
図4図5に示すように、フレキシブル配線基板9は、第1コイルホルダ11の第3方向Yの一方側Y1の面に沿って延びる第1部分91と、第1部分91から第3方向Yの他方側Y2に屈曲した屈曲部90と、屈曲部90から延在して第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12の第2方向Xの一方側X1の面に沿って延びる第2部分92とを備える。第2部分92は、屈曲部90から第1コイルホルダ11の第2方向Xの一方側X1の面に沿って第1方向Zの他方側Z2に延びる第3部分93と、第3部分93から第3方向Yの他方側Y2に延びる帯状の第4部分94と、を有する。第1部分91は、第1コイルホルダ11の凸部666に係止され、接着剤により第1コイルホルダ11に固定されている。第4部分94は、第2コイルホルダ12の凸部766に係止され、接着剤により第2コイルホルダ12に固定されている。第1部分91には第1コイル61を構成するコイル線が接続され、第2部分92には第2コイル71を構成するコイル線が接続されている。第2部分92には外部接続用の複数の端子が設けられている。
【0049】
(拘束部材および接続体)
図4図5に示すように、拘束部材27は、第1コイルホルダ11に第1方向Zの一方側Z1から重なる第1端板部281を備えた第1板状部材28と、第2コイルホルダ12に第1方向Zの他方側Z2から重なる第2端板部291を備えた第2板状部材29と、を備える。第1板状部材28および第2板状部材29はいずれも、金属板からなる。
【0050】
図4図5に示すように、第1板状部材28の第1端板部281を第1方向Zから見た場合の形状は、十字形状である。すなわち、第1端板部281は、矩形の第1端板中央部281aと、第1端板中央部281aから第2方向Xの両側に突出する一対の第1端板第1突部281bと、第1端板中央部281aから第3方向Yの両側に突出する一対の第1端板第2突部281cと、を備える。また、第1板状部材28は、第1端板部281の第3方向Yの両端(第1端板第2突部281cの端)から第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がる2つの第1側板部282を備える。
【0051】
また、第2板状部材29の第2端板部291を第2方向Xから見た場合の形状は、十字形状である。すなわち、第2端板部291は、矩形の第2端板中央部291aと、第2端板中央部291aから第2方向Xの両側に突出する一対の第2端板第1突部291bと、第2端板中央部291aから第3方向Yの両側に突出する一対の第2端板第2突部291cと、を備える。また、第2板状部材29は、第2端板部291の第3方向Yの両端(第2端板第2突部291cの端)から第2方向Xの一方側Z1に折れ曲がる2つの第2側板部292を備える。
【0052】
ここで、各第1側板部282の第1方向Zの一方側Z1の端は、溶接により、第2板状部材29の第2端板部291に接続されている。また、各第2側板部292の第1方向Zの一方側Z1の端は、溶接等により、第1板状部材28の第1端板部281に接続されている。第1板状部材28と第2板状部材29とが接続された状態では、第1コイルホルダ11と第2コイルホルダ12とは、拘束部材27によって第1方向Zの両側から押圧された状態で拘束される。
【0053】
図2図3に示すように、拘束部材27が第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12に重ねられた状態では、第1板状部材28の第1端板部281は、可動体3の第1ヨーク64の第1板部640とは第1方向Zで対向する。第1端板部281と第1板部640とを第1方向から見た場合には、互いの十字形状が重なっている。第1端板部281と第1板部640との間には第1接続体41が位置する。また、拘束部材27が第1コイルホルダ11および第2コイルホルダ12に重ねられた状態では、第2板状部材29の第2端板部291は、可動体3の第2ヨーク74の第2板部740と第1方向Zで対向する。第2端板部291と第2板部740とを第1方向から見た場合には、互いの十字形状が重なっている。第2端板部291と第2板部740との間には、第2接続体42が位置する。
【0054】
第1接続体41および第2接続体42は、粘弾性を備えた粘弾性体である。本例では、第1接続体41および第2接続体42は、直方体形状のゲル状部材である。図5に示すように、第1接続体41は、長手方向を第2方向Xに向けて第1ヨーク64の第1板部640に配置されることにより、可動体3における第2方向X(第1移動方向)の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続される。すなわち、第1接続体41は、第1ヨーク64において、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bのそれぞれと、第1板部中央部640aと、に接続される。第1接続体41は、第1端板部281と第1ヨーク64との間で第1方向Zに圧縮された状態で、支持体2と可動体3とを接続する。第1接続体41は、支持体2に対して可動体3を第2方向Xおよび第3方向Yに変位可能に支持する。第1接続体41は、第1方向Zの両面が、接着剤により、可動体3および拘束部材27に固定される。
【0055】
第2接続体42は、図4に示すように、長手方向を第3方向Yに向けて第2ヨーク74の第2板部740に固定されることにより、可動体3における第3方向Y(第2移動方向)の一方側の端側部分および他方側の端側部分に接続されている。すなわち、第2接続体
42は、第2ヨーク74において、第3方向Yの両側に突出する一対の第2板部第2突部740cと、第2板部中央部740aと、に接続される。第2接続体42は、第2端板部291と第2ヨーク74との間で第1方向Zに圧縮された状態で、支持体2と可動体3とを接続する。第2接続体42は、支持体2に対して可動体3を第2方向Xおよび第3方向Yに変位可能に支持する。第2接続体42は、第1方向Zの両面が、接着剤により、可動体3および拘束部材27に固定される。第1方向Zから見た場合に、第1接続体41の長手方向と第2接続体42の長手方向とは直交する。
【0056】
ここで、第1接続体41および第2接続体42を構成するゲル状部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、板状のゲル状部材は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合も、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。本例において、可動体3が第2方向Xおよび第3方向Yに振動した際、接続体4(粘弾性体)は、せん断方向に変形するように構成されている。従って、接続体4は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0057】
(磁気駆動回路の磁気的中心と可動体の重心との位置関係)
このように構成したアクチュエータ1において、第1コイル61、第2コイル71、第1コイルホルダ11、および第2コイルホルダ12は、可動体3の第2方向Xの中心を通って第3方向Yに延在する仮想線を中心とする線対称、かつ、第3方向Yの中心を通って第2方向Xに延在する仮想線を中心とする線対称に構成されている。また、第1磁石621、622、第2磁石721、722、第1ヨーク64、および第2ヨーク74は、可動体3の第2方向Xの中心を通って第3方向Yに延在する仮想線を中心とする線対称、かつ、第3方向Yの中心を通って第2方向Xに延在する仮想線を中心とする線対称に構成されている。従って、図2図3に示すように、アクチュエータ1の重心Gは、アクチュエータ1の中心(第1方向Yの中心、第2方向Xの中心および第3方向Yの中心)、或は、ほぼ中心に位置する。
【0058】
また、第1磁気駆動回路6の磁気的中心位置、すなわち、第1磁気駆動回路6を駆動した場合に可動体3に働く駆動力の第1作用点E1は、第2方向Xおよび第3方向Yにおいて可動体3の重心と一致する位置であって、第1方向Zにおいて重心Gから一方側Z1に外れた位置にある。第2磁気駆動回路7の磁気的中心位置、すなわち、第2磁気駆動回路7を駆動した場合に可動体3に働く駆動力の第2作用点E2は、第2方向Xおよび第3方向Yにおいて可動体3の重心Gと一致する位置であって、第1方向Zにおいて重心Gから他方側Z2に外れた位置にある。
【0059】
(動作)
本例のアクチュエータ1において、第1コイル61に交流を印加する一方、第2コイル71への通電を停止すると、可動体3は、第2方向Xに振動するので、アクチュエータ1における重心Gが第2方向Xに変動する。従って、利用者は、第2方向Xの振動を体感することができる。その際、第1コイル61に印加する交流波形を調整して、可動体3が第2方向Xの一方側X1に移動する加速度と、可動体3が第2方向Xの他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、第2方向Xにおいて方向性を有する振動を体感することができる。
【0060】
また、第2コイル71に交流を印加する一方、第1コイル61への通電を停止すると、可動体3は、第3方向Yに振動するので、アクチュエータ1における重心Gが第3方向Yに変動する。従って、利用者は、第3方向Yの振動を体感することができる。その際、第
2コイル71に印加する交流波形を調整して、可動体3が第3方向Yの一方側Y1に移動する加速度と、可動体3が第3方向Yの他方側Y2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、第3方向Yにおいて方向性を有する振動を体感することができる。
【0061】
さらに、第1コイル61と第2コイル71への通電とを組み合わせれば、利用者は、第2方向Xでの振動と第3方向Yでの振動とを組み合わせた体感を得ることができる。
【0062】
ここで、本例では、第1磁気駆動回路6を駆動した場合に可動体3に働く駆動力の第1作用点E1と、第2磁気駆動回路7を駆動した場合に可動体3に働く力の第2作用点E2が、第1方向Zで重心Gと異なる位置にある。従って、可動体3を第2方向Xや第3方向Yに振動させる際に、可動体3が、重心Gを中心に、揺動しやすいという問題がある。可動体3を第2方向Xや第3方向Yに振動させる際に可動体3が揺動すると、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7が発生させる推力の向きが分散する。従って、アクチュエータを振動によって情報を報知するデバイスとして用いている場合などには、ユーザーがデバイスから受ける感触に影響が出る。
【0063】
かかる問題に対して、本例のアクチュエータ1は、可動体3と支持体2とに接続されて可動体3を第2方向Xおよび第3方向Yに変位可能に支持する第1接続体41および第2接続体42を備える。また、第1接続体41は、可動体3の第1方向Zの一方側Z1において、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分に接続されている。第2接続体42は、可動体3の第1方向Zの他方側において、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分に接続されている。従って、第1磁気駆動回路6を駆動して可動体3を第2方向Xに移動させたときに当該可動体3が第2方向Xに揺動しようとした場合には、可動体3の第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分に接続された第1接続体41がその揺動を抑制する。また、第2磁気駆動回路7を駆動して可動体3を第3方向Yに移動させたときに当該可動体3が第3方向Yに揺動しようとした場合には、第2接続体42がその揺動を抑制する。よって、可動体3の移動方向と直交する第1方向Zに第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7を重ねた場合でも、移動時に可動体3が揺動することを防止或いは抑制できる。
【0064】
ここで、第1接続体41および第2接続体42のそれぞれは、第1方向Zから見た場合の形状が長方形形状である。従って、一つの部材からなる第1接続体41を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。また、一つの部材からなる第2接続体42を用いて、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。
【0065】
また、本例では、可動体3において、第1接続体41が固定される第1ヨーク64の第1板部640は、第1方向Zから見た場合の形状が、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bおよび第3方向Yの両側に突出する一対の第1板部第2突部640cを備える十字形状である。また、第2接続体42が固定される第2ヨーク74の第2板部740は、第2板部740を第1方向Zから見た場合の形状が、第2方向Xの両側に突出する一対の第2板部第1突部740bおよび第3方向Yの両側に突出する第2板部第2突部740c突部を備える十字形状である。そして、第1接続体41は、一対の第1板部第1突部640bおよび第1板部中央部640aに接続されており、第2接続体42は、一対の第2板部第2突部740cおよび第2板部中央部740aに接続されている。このように、各ヨーク64、74が第2方向Xおよび第3方向Yのそれぞれに突出する突部を備えるので、第1ヨーク64および第2ヨーク74の形状を同一として部品点数を削減した場合でも、第1ヨーク64に第1接続体41を接続することにより、第1接続体4
1を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。また、第2ヨーク74に第2接続体42を接続することにより、第2接続体42を用いて、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。
【0066】
ここで、本例では、可動体3は、第1方向Zで第1磁気駆動回路6と第2磁気駆動回路7との間に位置する第3ヨーク84(磁性部材)を備える。第1ヨーク64は、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bの両端部のそれぞれから第1方向Zに延びる一対の第1延設部641、642を備え、第2ヨーク74は、第3方向Yの両側に突出する一対の第2板部第2突部740cの両端部のそれぞれから第1方向Zに延びる一対の第2延設部741、742を備える。そして、第3ヨーク84には、一対の第1延設部641、642の第1方向Zの他方側Z2の端、および、一対の第2延設部741、742の第1方向Zの一方側Z1の端が接続されている。これにより、第1ヨーク64と第3ヨーク84によって第1コイル61を囲む磁路を形成できるので、第1磁気駆動回路6から磁束が漏れることを抑制できる。よって、第1磁気駆動回路6の駆動力を確保することが容易となる。また、第2ヨーク74と第3ヨーク84とによって第2コイル71を囲む磁路を形成できるので、第2磁気駆動回路7から磁束が漏れることを抑制できる。従って、第2磁気駆動回路7の駆動力を確保することが容易となる。
【0067】
また、本例では、第1コイル61および第2コイル71は、支持体2の側に設けられ、第1磁石621、622および第2磁石721、722は、可動体3の側に設けられている。従って、第1コイル61および第2コイル71が可動体3に設けられている場合と比較して、第1コイル61および第2コイル71への配線が容易となる。また、可動体3が移動する際に第1コイル61への配線および第2コイル71への配線が変形することによる負荷が発生しない。
【0068】
(変形例)
なお、第1接続体41が可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分に接続され、かつ、第2接続体42が可動体3の第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分に接続されていてもよい。すなわち、第1接続体41の長手方向の向きと、第2接続体42の長手方向の向きを入れ替えてもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
また、アクチュエータ1を構成する際に、上記の接続体4(第1接続体41および第2接続体42)に替えて、以下の変形例の接続体を用いることができる。図10(a)および図10(b)は、変形例1の接続体の説明図である。図11(a)および図11(b)は、変形例2、3の接続体の説明図である。図12(a)および図12(b)は変形例4、5の接続体の説明図である。図13(a)および図13(b)は、変形例6、7の接続体の説明図である。
【0070】
図10(a)に示すように、変形例1の接続体4Aにおいて、可動体3の第1方向Zの一方側Z1に配置される第1接続体41は、第2方向Xまたは第3方向Yにおける可動体3の一方側の端側部分に接続された一方側第1接続体41aと、他方側の端側部分に接続された他方側第1接続体41bと、を備える。図10(a)に示す例では、一方側第1接続体41aと他方側第1接続体41bとは、第1ヨーク64の第1板部640において、第2方向Xの一方側X1および他方側X2に突出する一対の第1板部第1突部640bのそれぞれに接続されている。
【0071】
また、可動体3の第1方向Zの他方側Z2に配置される第2接続体42は、第2方向Xおよび第3方向Yのうち一方側第1接続体41aと他方側第1接続体41bとが配列され
た方向とは異なる方向における可動体3の一方側の端側部分に接続された一方側第2接続体42aと、他方側の端側部分に接続された他方側第2接続体42bと、を備える。図10(b)に示す例では、一方側第2接続体42aと他方側第2接続体42bとは、第2ヨーク74の第2板部740において、第3方向Yに突出する一対の第2板部第2突部740cのそれぞれに接続されている。
【0072】
本例の接続体4A(第1接続体41および第2接続体42)を採用した場合でも、可動体3が第2方向X或いは第3方向Yに移動する際に当該可動体3の揺動を防止或いは抑制できる。また、本例によれば、第1接続体41および第2接続体42のそれぞれを一つの部材から構成した場合と比較して、第1接続体41および第2接続体42を小さくできる。なお、第1ヨーク64の第1板部640において一方側第1接続体41aと他方側第1接続体41bとを第3方向Yに配列し、第2ヨーク74の第2板部740において、一方側第2接続体42aと他方側第2接続体42bとを第2方向Xに配列してもよい。
【0073】
次に、図11(a)および図11(b)に示す変形例2の接続体4Bおよび変形例3の接続体4Cでは、可動体3の第1方向Zの一方側Z1に配置される第1接続体41と、可動体3の第1方向Zの他方側Z2に配置される第2接続体42とが、それぞれ、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分、および可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分に接続されている。このようにすれば、第1接続体41により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。また、第2接続体42により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。
【0074】
図11(a)に示すように、変形例2の接続体4Bでは、第1接続体41および第2接続体42は、第1方向Zから見た場合に十字形状である。第1接続体41は、第1ヨーク64において、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bのそれぞれと、第3方向Yに突出する一対の第1板部第2突部640cのそれぞれと、第1板部中央部640aと、に接続されている。第2接続体42は、第2ヨーク74において、第2方向Xの両側に突出する一対の第2板部第1突部740bのそれぞれと、第3方向Yに突出する一対の第2板部第2突部740cのそれぞれと、第2板部中央部740aと、に接続されている。
【0075】
本例によれば、第1接続体41により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。また、第2接続体42により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。さらに、本例によれば、一つの部材からなる第1接続体41を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と支持体2とを接続するとともに、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と支持体2とを接続できる。また、一つの部材からなる第2接続体42を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と支持体2とを接続するとともに、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。
【0076】
図11(b)に示すように、変形例2の接続体4Cでは、第1接続体41は、第2方向Xにおける可動体3の一方側X1の端側部分に接続された第1の一方側第1接続体41aと、他方側X2の端側部分に接続された第1の他方側第1接続体41bと、第3方向Yにおける可動体3の一方側Y1の端側部分に接続された第2の一方側第1接続体41cと、他方側Y2の端側部分に接続された第2の他方側第1接続体41dと、を備える。第2接続体42も、第1接続体41と同様に、第2方向Xにおける可動体3の一方側X1の端側部分に接続された第1の一方側第2接続体42aと、他方側X2の端側部分に接続された
第1の他方側第2接続体42bと、第3方向Yにおける可動体3の一方側Y1の端側部分に接続された第2の一方側第2接続体42cと、他方側Y2の端側部分に接続された第2の他方側第2接続体42dと、を備える。第1の一方側第1接続体41aと第1の他方側第1接続体41bは、第1ヨーク64において、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bのそれぞれに接続されている。第2の一方側第1接続体41cと第2の他方側第1接続体41dは、第1ヨーク64において、第3方向Yの両側に突出する一対の第1板部第2突部640cのそれぞれに接続されている。第1の一方側第2接続体42aと第1の他方側第2接続体42bは、第2ヨーク74において、第2方向Xの両側に突出する一対の第2板部第2突部740cのそれぞれに接続されている。第2の一方側第2接続体42cと第2の他方側第2接続体42dは、第2ヨーク74において、第3方向Yの両側に突出する一対の第2板部第2突部740cのそれぞれに接続されている。
【0077】
本例によれば、第1接続体41により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。また、第2接続体42により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。
【0078】
図12(a)に示すように、変形例4の接続体4Dでは、第1接続体41および第2接続体42は、第1方向Zから見た場合に、円形である。図12(b)に示すように、変形例5の接続体4Eでは、第1接続体41および第2接続体42は、第1方向Zから見た場合に、矩形である。変形例5の接続体は、対角にある2つの角部を第2方向Xと第3方向Yとに向けている。変形例4、5において、第1接続体41は、第1ヨーク64において、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bのそれぞれと、第3方向Yに突出する一対の第1板部第2突部640cのそれぞれと、第1板部中央部640aと、に接続されている。第2接続体42は、第2ヨーク74において、第2方向Xの両側に突出する一対の第2板部第1突部740bのそれぞれと、第3方向Yに突出する一対の第2板部第2突部740cのそれぞれと、第2板部中央部740aと、に接続されている。
【0079】
変形例4、5によれば、第1接続体41により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。また、第2接続体42により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。さらに、本例によれば、一つの部材からなる第1接続体41を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と支持体2とを接続するとともに、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と支持体2とを接続できる。また、一つの部材からなる第2接続体42を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と支持体2とを接続するとともに、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。
【0080】
図13(a)に示す変形例6の接続体4Fでは、第1接続体41および第2接続体42は、第1方向Zから見た場合に、円形である。図13(b)に示す変形例7の接続体4Gでは、第1接続体41および第2接続体42は、第1方向Zから見た場合に、矩形である。第1接続体41および第2接続体42は、2辺の対向方向を、第2方向Xと第3方向Yとに向けている。変形例6の接続体4Fおよび変形例7の接続体4Gは、第1方向Zから見た場合に、ヨーク64、74から外周側に突出する突出部分を備える大きさである。変形例6、7において、第1接続体41は、第1ヨーク64において、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部640bのそれぞれと、第3方向Yに突出する一対の第1板部第2突部640cのそれぞれと、第1板部中央部640aと、を被う。第2接続体42は、第2ヨーク74において、第2方向Xの両側に突出する一対の第1板部第1突部740bのそれぞれと、第3方向Yに突出する一対の第1板部第2突部740cのそれぞれと、第2板部中央部740aと、を被う。
【0081】
変形例6、7によれば、第1接続体41により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。また、第2接続体42により、第2方向Xへの可動体3の揺動および第3方向Yへの可動体3の揺動を抑制できる。さらに、本例によれば、一つの部材からなる第1接続体41を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と支持体2とを接続するとともに、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と支持体2とを接続できる。また、一つの部材からなる第2接続体42を用いて、可動体3における第2方向Xの一方側X1の端側部分および他方側X2の端側部分と支持体2とを接続するとともに、可動体3における第3方向Yの一方側Y1の端側部分および他方側Y2の端側部分と、支持体2と、を接続できる。
【0082】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、接続体4としてゲル状部材を用いたが、ゴムやバネ等を接続体4として用いてもよい。また、接続体4の形状は、上記以外に楕円形や他の多角形などであってもよい。
【0083】
上記実施の形態では、第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に向かって、第1ヨーク64、第1磁石621、第1コイル61、第1磁石622、第3ヨーク84、第2磁石721、第2コイル71、第2磁石722、および第2ヨーク74が順に配置されている。これに対して、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7の各々に磁石が1つずつ用いられている場合に本例を適用してもよい。例えば、第1ヨーク64、第1コイル61、第1磁石622、第3ヨーク84、第2磁石721、第2コイル71、および第2ヨーク74が順に配置されたアクチュエータ1に本例を適用してもよい。また、第1ヨーク64、第1磁石621、第1コイル61、第3ヨーク84、第2コイル71、第2磁石722、および第2ヨーク74が順に配置されたアクチュエータ1に本例を適用してもよい。
【0084】
上記実施の形態では、コイルおよびコイルホルダが支持体2に設けられ、磁石およびヨークが可動体3に設けられていたが、コイルおよびコイルホルダが可動体3に設けられ、磁石およびヨークが支持体2に設けられている場合に本例を適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4,4A~4G…接続体、6…第1磁気駆動回路、7…第2磁気駆動回路、9…フレキシブル配線基板、11…第1コイルホルダ、12…第2コイルホルダ、20…ピン、27…拘束部材、28…第1板状部材、29…第2板状部材、41…第1接続体、41a…一方側第1接続体、41b…他方側第1接続体、41c…第2の一方側第1接続体、41d…第2の他方側第1接続体、42…第2接続体、42a…一方側第2接続体、42b…他方側第2接続体、42c…第2の一方側第2接続体、42d…第2の他方側第2接続体、61…第1コイル、62…第2コイル、64…第1ヨーク、66…第1枠部、67…第1補強枠、69…第1柱状部、71…第2コイル、72…第2コイル、74…第2ヨーク、76…第2枠部、77…第2補強枠、79…第2柱状部、84…第3ヨーク(磁性部材)、90…屈曲部、90…屈曲した屈曲部、91…第1部分、92…第2部分、93…第3部分、94…第4部分、281…第1端板部、281a…第1端板中央部、281b…第1端板第1突部、281c…第1端板第2突部、282…第1側板部、291…第2端板部、291a…第2端板中央部、291b…第2端板第1突部、291c…第2端板第2突部、292…第2側板部、611、612…第1有効辺部分、613、614…第1無効辺部分、621、622…第1磁石、640…第1板部、640a…第1板部中央部、640b…第1板部第1突部、640c…第1板部第2突部、641、642…第1延設部、641、642…一対の第1延設部、641a…凹部、660…第1開口部、661、662…第1座部、665…凹部、66
6…凸部、711、712…第2有効辺部分、713、714…第2無効辺部分、721、722…第2磁石、722…第2磁石、740…第2板部、740a…第2板部中央部、740b…第2板部第1突部、740c…第2板部第2突部、741、742…第2延設部、741a…凹部、760…第2開口部、761、762…第2座部、765…凹部、766…凸部、840…板部、E1…第1作用点、E2…第2作用点、X…第2方向(第1移動方向)、Y…第3方向(第2移動方向)、Z…第1方向(直交方向)
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