(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】スチームノズル
(51)【国際特許分類】
A61H 33/12 20060101AFI20230428BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61H33/12 K
A61H33/12 A
A45D44/22 F
(21)【出願番号】P 2019101665
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】株式会社ツインバード
(72)【発明者】
【氏名】梅津 あきら
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-253059(JP,A)
【文献】実開昭51-078408(JP,U)
【文献】特開2001-276667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00-37/00
A45D 7/00,44/22
F22B 1/28
A61M 11/04
B05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル本体と、このノズル本体におけるスチーム通路の最狭部の出口側に設けられた吸水体と、前記スチーム通路の最狭部から前記吸水体へ結露水を導く導水部が設けられた導水体とを有し、この導水体が、前記最狭部の内径よりも細い金属線を折り曲げて形成され、前記導水部が、第一導水部と第二導水部を有し、前記第一導水部が、前記スチーム通路の内周面における使用時に下側となる部分に沿って前記スチーム通路と平行に配され、前記第二導水部が、前記スチーム通路の最狭部の出口から使用時に下側となる方向に延びて配されるスチーム式美容器において、
前記最狭部の内周面における使用時に下側となる部分に隙間部が設けられ、この隙間部の近傍に前記導水体の導水部が設けられることを特徴とするスチームノズル。
【請求項2】
前記スチーム
通路の最狭部が筒状のスリーブで構成されると共に、このスリーブに前記隙間部が形成されることを特徴とする請求項1記載のスチームノズル。
【請求項3】
前記隙間部がスリット形状とされることを特徴とする請求項2記載のスチームノズル。
【請求項4】
前記隙間部が凹形状とされることを特徴とする請求項2記載のスチームノズル。
【請求項5】
前記隙間部が毛細管現象を生じる寸法とされることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のスチームノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して発生させたスチームを肌に向けて噴射するスチーム式美容器等で用いられるスチームノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスチームノズルとしては、蒸気発生装置で発生させた蒸気を、ノズルから被施術者の顔に吹き付けるスチーム式美容器等で用いられるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなスチームノズルでは、前記ノズルで蒸気が結露して高温の水滴になり、この水滴が蒸気流と共に前記ノズルから噴出して被施術者の顔にかかる虞があるので、前記ノズルのスチーム通路の出口側に吸水体を設けると共に、前記スチーム通路に水滴を前記給水体に導くための導水体を設け、前記吸水体によって水滴を吸水することで、水滴が前記ノズルから噴出しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなスチームノズルにおいては、前記吸水体に吸収可能な結露水の量に対して、噴出されるスチーム流に押し出される高温の結露水の量が多くなると、前記吸水体に結露水を吸収しきれず、この吸水体を飛び超えて熱い水滴が噴出される虞があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、結露水を確実に吸水体に吸収させることができる安全なスチームノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のスチームノズルは、ノズル本体と、このノズル本体におけるスチーム通路の最狭部の出口側に設けられた吸水体と、前記スチーム通路の最狭部から前記吸水体へ結露水を導く導水部が設けられた導水体とを有し、この導水体が、前記最狭部の内径よりも細い金属線を折り曲げて形成され、前記導水部が、第一導水部と第二導水部を有し、前記第一導水部が、前記スチーム通路の内周面における使用時に下側となる部分に沿って前記スチーム通路と平行に配され、前記第二導水部が、前記スチーム通路の最狭部の出口から使用時に下側となる方向に延びて配されるスチームノズルにおいて、前記最狭部の内周面における使用時に下側となる部分に隙間部が設けられ、この隙間部の近傍に前記導水体の導水部が設けられるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載のスチームノズルは、請求項1において、前記スチーム通路の最狭部が筒状のスリーブで構成されると共に、このスリーブに前記隙間部が形成されるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のスチームノズルは、請求項2において、前記隙間部がスリット形状とされるものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載のスチームノズルは、請求項2において、前記隙間部が凹形状とされるものである。
【0010】
更に、本発明の請求項5に記載のスチームノズルは、請求項1から4のいずれか一項において、前記隙間部が毛細管現象を生じる寸法とされるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載のスチームノズルは、以上のように構成することにより、前記スチーム通路の最狭部に発生した結露水が、前記最狭部の内壁に沿って流下し、前記隙間部に導かれて前記吸水体に至り、この吸水体で吸収されるので、結露水を確実に前記吸水体まで導いて、熱い結露水が勢いよく噴出して顔等にかかることを抑制することができる。また、前記隙間部によって、前記吸水体に導かれる結露水の量が多くなるので、結露水の発生が多くなっても、確実に前記吸水体に結露水を吸水させることができる。更に、前記隙間部においても結露水を保持することができるので、熱い結露水が噴出することをより確実に抑制することができる。
【0012】
なお、前記スチーム通路の最狭部が筒状のスリーブで構成されると共に、このスリーブに前記隙間部が形成されることで、間隙寸法の小さな隙間部を容易に構成することができる。
【0013】
また、前記隙間部がスリット形状とされることで、前記最狭部の内壁に沿って前記隙間部に導かれる結露水を、効率的に前記導水体の導水部に沿わせることができるので、結露水を確実に前記吸水体まで導くことができる。
【0014】
また、前記隙間部が凹形状とされることで、前記最狭部の強度を保ちつつ、結露水を前記導水体の導水部から前記吸水体に導くことができる。
【0015】
更に、前記隙間部が毛細管現象を生じる寸法とされることで、前記隙間部に導かれた結露水を確実に前記吸水体まで導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一の実施形態を示すスチームノズルの軸方向下流側から見た外観図である。
【
図2】同、断面図であり、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態を示すスチームノズルの軸方向下流側から見た外観図である。
【
図5】同、断面図であり、(a)はA’-A’断面図、(b)はB’-B’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一の実施形態について、
図1乃至
図3に基づいて説明する。なお、本実施形態において、
図2(a)の左側を前、右側を後と規定する。1は本発明のスチームノズルである。このスチームノズル1は、ノズル本体2と、スリーブ3と、導水体4と、吸水体5と、スチームパイプ6とを有する。なお、このスチームパイプ6は、図示しないスチーム発生手段に接続される。そして、前記スチーム発生手段が発生させたスチームが、前記スチームノズル1内に設けられたスチーム通路Pを通過して噴出される。
【0018】
前記ノズル本体2は、合成樹脂によって形成される。そして、前記ノズル本体2は、後側の径小部7と、前側の径大部8と、これら径小部7と径大部8との間に設けられる段差部9とを有する。前記径小部7は、軸方向両端が開放した短円筒状に形成される。そして、前記径小部7の内面には、フランジ状の位置決めリブ10が形成される。なお、この位置決めリブ10の下部には、隙間部としてのスリット状の切欠部11が形成される。本発明において、スリット状とは、完全に切り離された状態を示す。即ち、前記位置決めリブ10は、前記切欠部11によって軸回り方向に切り離される。更に、前記位置決めリブ10の中央部には、スチームの通孔12が形成される。即ち、前記切欠部11と通孔12は繋がる。また、前記径大部8は、前記径小部7よりも径大で且つ軸方向両端が開放した短円筒状に形成される。そして、前記径大部8の前端が噴出口13となる。更に、前記段差部9は、前記径小部7の前端から外側に、且つ前記径大部8の後端から内側に、フランジ状に突出して形成される。
【0019】
前記スリーブ3は、真鍮等の金属により、軸方向両端が開放した略円筒状に形成されると共に、前記径小部7に挿入される。そして、前記スリーブ3の後端は、前記位置決めリブ10に当接して位置決めされる。この状態で、前記スリーブ3の前端は、前記径小部7の前端とほぼ同じ位置にある。また、前記スリーブ3の下部には、隙間部としてのスリット状の切欠部14が形成される。即ち、前記スリーブ3は、スリット状の切欠部11によって軸回り方向に切り離され、
図2(b)に示すように、軸直断面形状がC字状となる。更に、前記スリーブ3の中央部には、軸方向に通孔15が形成される。即ち、前記切欠部14と通孔15は繋がる。なお、前記位置決めリブ10の通孔12と前記スリーブ3の通孔15は略同径である。従って、前記通孔12と通孔15の位置が、スチーム通路Pの最狭部16となる。また、前記位置決めリブ10の切欠部11と前記スリーブ3の切欠部14は連通する。
【0020】
前記導水体4は、前記スチーム通路Pを通るように取り付けられる。前記導水体4は、前記スリーブ3の通孔15、即ち前記最狭部16の内径よりも細い一本の金属線を折り曲げて形成される。このため、前記導水体4は容易に且つ安価に形成される。そして、前記導水体4は、
図2(a)及び
図3に示すように、前記スチーム通路Pの軸方向とほぼ平行となる直線状の第一導水部17と、この第一導水部17の出口側に軸直方向で且つ下方に折り曲げられて形成される直線状の第二導水部18と、前記第一導水部17の入口側に下方に折り曲げられて形成される直線状の戻水部19と、前記第二導水部18の先端部から前記スチーム通路Pの軸回りに延びる環状部20とを有して構成される。そして、前記第一導水部17は、前記切欠部11,14と平行に配される。また、前記第二導水部18は、前記切欠部14と平行に配される。
【0021】
前記吸水体5は、フェルト等の吸水性材料で環状に形成されると共に、径大部8の内側で且つ前記段差部9の前側に挿入される。なお、この吸水体5の外径は、前記径大部8の内径とほぼ等しく形成される。また、前記吸水体5の内径は、前記径小部7の内径よりも大きく形成される。
【0022】
前記スチームパイプ6は、シリコンゴム等、耐熱性及び可撓性を有する材質で構成される。このように、前記スチームパイプ6が耐熱性及び可撓性を有することで、高温のスチームを通すことが可能となり、また、前記スチームノズル1の向きを変えることができる。
【0023】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、図示しないスチーム発生手段によってスチームを発生させると共に、発生したスチームを前記スチーム通路Pに送る。前記スチームは、前記スチームパイプ6からノズル本体2の通孔12、スリーブ3の通孔15を通って、前記スチームノズル1の噴出口13から前記スチーム通路Pの中心軸線方向にスチームが噴出する。
【0024】
前記スチームノズル1からスチームを噴射させ続けると、前記スチーム通路P内でスチームが凝縮し、高温で液体状の結露水が発生する。そして、この結露水の水滴が多数結合すると、この水滴が大きく成長し、スチーム流に押し出される虞がある。しかしながら、前記導水体4の第一導水部17が、最狭部16である前記位置決めリブ10の通孔12の内周面における下側、及び最狭部16である前記スリーブ3の通孔15の内周面における下側に近接しているので、重力によって前記通孔12,15の内周面に沿って流下した水滴は、毛細管現象によって、前記切欠部11,14の縁と前記第一導水部17とで形成された微小な隙間に広い範囲で吸引保持される。また、結露水は、毛細管現象によって、前記位置決めリブ10の切欠部11及び前記スリーブ3の切欠部14にも吸引保持される。この状態では、結露水は、前記スチーム通路Pの流通面積(前記通孔12,15の流通面積)を殆ど狭めないので、スチーム流が結露水を勢いよく押し出すことがない。そして、更に結露水が流下して前記隙間に結露水が溜まると、この溜まった結露水がスチーム流に押されて、前記隙間から押し出される。この押し出された結露水は、前記第一導水部17に接しているので、この第一導水部17に沿って前記スリーブ3(最狭部16)の前端部から外側に移動する。そして、前記第一導水部17に沿って外側に移動した結露水は、前記第一導水部17と一体に設けられた前記第二導水部18に沿って、下方に、即ち前記吸水体5に向かって流れる。更に、この第二導水部18に沿って流れた結露水は、前記第二導水部18と接する前記吸水体5に吸収される。このように、結露水が前記導水体4に沿って前記吸水体5に送られるので、熱い結露水が前記スチームノズル1の噴出口13から勢いよく噴出して顔等にかかることを抑制することができる。
【0025】
なお、前記結露水は、前記切欠部11,14を経由して前記吸水体5に送られるようにすることもできる。この場合、前記切欠部11,14の縁と前記第一導水部17との間の微少な隙間だけでなく、前記切欠部11,14経由でも結露水を前記吸水体5に送ることができるので、効率よく結露水を前記吸水体5に吸収させることができる。この結果、結露水をより確実に前記スチームノズル1の噴出口13から噴出させないようにすることができる。
【0026】
また、前記吸水体5が吸水能力の限界を超えた場合、吸収しきれなかった結露水が水滴となって前記噴出口13から噴出する虞があった。しかしながら、前述したように、前記切欠部11,14に結露水が吸引保持されるので、前記吸水体5が吸水能力の限界を超えた場合、吸収しきれなかった結露水が前記切欠部11,14に貯められることになる。そして、この切欠部11,14に保持可能な水量を超えると、結露水は、前記切欠部11を通って前記スチームパイプ6に戻される。なお、前記スチーム通路Pは、前記位置決めリブ10及びスリーブ3の位置において最狭部16となる、即ちこの最狭部16において段差状に流通面積が絞られるので、この最狭部16よりも上流側の水滴が前記最狭部16を通って前記噴出口13から噴出することはない。更に、前記切欠部11,14の縁と第一導水部17との間の微少な隙間に溜まった結露水は、前記第一導水部17及び戻水部19に沿って、前記スチームパイプ6内に戻される。この際、前述したように、前記戻水部19が下方に曲げられるので、重力によって前記結露水の水滴を確実に前記スチームパイプ6内に戻すことができる。
【0027】
以上のように本発明は、ノズル本体2と、このノズル本体2におけるスチーム通路Pの最狭部16の出口側に設けられた吸水体5と、前記スチーム通路Pの最狭部16から前記吸水体5へ結露水を導く導水部が設けられた導水体4とを有し、この導水体4が、前記最狭部16の内径よりも細い金属線を折り曲げて形成され、前記導水部が、第一導水部17と第二導水部18を有し、前記第一導水部17が、前記スチーム通路Pの内周面における使用時に下側となる部分に沿って前記スチーム通路Pと平行に配され、前記第二導水部18が、前記スチーム通路Pの最狭部16の出口から使用時に下側となる方向に延びて配されるスチームノズル1において、前記最狭部16の内周面における使用時に下側となる部分に隙間部としてのスリット状の切欠部11,14が設けられ、この切欠部11,14の近傍に前記導水体4の導水部17,18が設けられることで、前記スチーム通路Pの最狭部16に発生した結露水が、前記最狭部16の内壁に沿って流下し、前記切欠部11,14に導かれて前記吸水体5に至り、この吸水体5で吸収されるので、結露水を確実に前記吸水体5まで導いて、熱い結露水が勢いよく噴出して顔等にかかることを抑制することができる。また、前記切欠部11,14によって、前記吸水体5に導かれる結露水の量が多くなるので、結露水の発生が多くなっても、確実に前記吸水体5に結露水を吸水させることができる。更に、前記切欠部11,14においても結露水を保持することができるので、熱い結露水が噴出することをより確実に抑制することができる。
【0028】
また、本発明は、前記スチーム通路の最狭部16が筒状のスリーブ3で構成されると共に、このスリーブ3に隙間部としての切欠部14が形成されることで、間隙寸法の小さな切欠部14を容易に構成することができる。
【0029】
また、本発明は、前記切欠部14がスリット形状とされることで、前記最狭部16の内壁に沿って前記切欠部14に導かれる結露水を、効率的に前記導水体4の導水部17,18に沿わせることができるので、結露水を確実に前記吸水体5まで導くことができる。
【0030】
更に、本発明は、前記切欠部14が毛細管現象を生じる寸法とされることで、前記切欠部14に導かれた結露水を確実に前記吸水体5まで導くことができる。
【0031】
次に、本発明の第二の実施形態について、
図4及び
図5に基づいて説明する。なお、本実施形態において、
図5(a)の左側を前、右側を後と規定する。21は本発明のスチームノズルである。このスチームノズル21は、ノズル本体22と、スリーブ23と、導水体4と、吸水体5と、スチームパイプ6とを有する。なお、このスチームパイプ6は、図示しないスチーム発生手段に接続される。そして、前記スチーム発生手段が発生させたスチームが、前記スチームノズル21内に設けられたスチーム通路P’を通過して噴出される。
【0032】
前記ノズル本体22は、合成樹脂によって形成される。そして、前記ノズル本体22は、後側の径小部27と、前側の径大部28と、これら径小部27と径大部28との間に設けられる段差部29とを有する。前記径小部27は、軸方向両端が開放した短円筒状に形成される。そして、前記径小部27の内面には、フランジ状の位置決めリブ30が形成される。なお、この位置決めリブ30の下部には、隙間部としての凹状の溝部31が形成される。ここで言う凹状とは、第一の実施形態のスリット状とは異なり、一部が繋がった状態で凹んだ形状を指す。即ち、前記位置決めリブ30は、その下部において、一部が繋がる。更に、前記位置決めリブ30の中央部には、スチームの通孔32が形成される。そして、前記溝部31と通孔32は繋がる。また、前記径大部28は、前記径小部27よりも径大で且つ軸方向両端が開放した短円筒状に形成される。そして、前記径大部28の前端が噴出口33となる。更に、前記段差部29は、前記径小部27の前端から外側に、且つ前記径大部28の後端から内側に、フランジ状に突出して形成される。
【0033】
前記スリーブ23は、真鍮等の金属により、軸方向両端が開放した略円筒状に形成されると共に、前記径小部27に挿入される。そして、前記スリーブ23の後端は、前記位置決めリブ30に当接して位置決めされる。この状態で、前記スリーブ23の前端は、前記径小部27の前端とほぼ同じ位置にある。また、前記スリーブ23の内面下部には、隙間部としての凹状の溝部34が形成される。この溝部34は、前記スリーブ23の軸方向と平行に形成される。また、前記スリーブ23は、第一の実施形態とは異なり、前記溝部34の外周側において一部が繋がる。更に、前記スリーブ23の中央部には、軸方向に通孔35が形成される。即ち、前記溝部34は、前記通孔35と繋がる。なお、前記位置決めリブ30の通孔32と前記スリーブ23の通孔35は略同径である。従って、前記通孔32と通孔35の位置が、スチーム通路P’の最狭部36となる。また、前記位置決めリブ30の溝部31と前記スリーブ32の溝部34は連通する。
【0034】
前記導水体4は、前記スチーム通路P’を通るように取り付けられる。前記導水体4は、前記スリーブ23の通孔35、即ち前記最狭部36の内径よりも細い一本の金属線を折り曲げて形成される。このため、前記導水体4は容易に且つ安価に形成される。そして、前記導水体4は、前記スチーム通路P’の軸方向とほぼ平行となる直線状の第一導水部17と、この第一導水部17の出口側に軸直方向で且つ下方に折り曲げられて形成される直線状の第二導水部18と、前記第一導水部17の入口側に下方に折り曲げられて形成される直線状の戻水部19と、前記第二導水部18の先端部から前記スチーム通路Pの軸回りに延びる環状部20とを有して構成される。そして、前記第一導水部17は、前記溝部31,34と平行に配される。また、前記第二導水部18は、前記溝部34と平行に配される。
【0035】
前記吸水体5は、フェルト等の吸水性材料で環状に形成されると共に、径大部28の内側で且つ前記段差部29の前側に挿入される。なお、この吸水体5の外径は、前記径大部28の内径とほぼ等しく形成される。また、前記吸水体5の内径は、前記径小部27の内径よりも大きく形成される。
【0036】
前記スチームパイプ6は、シリコンゴム等、耐熱性及び可撓性を有する材質で構成される。このように、前記スチームパイプ6が耐熱性及び可撓性を有することで、高温のスチームを通すことが可能となり、また、前記スチームノズル21の向きを変えることができる。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、図示しないスチーム発生手段によってスチームを発生させると共に、発生したスチームを前記スチーム通路P’に送る。前記スチームは、前記スチームパイプ6からノズル本体22の通孔32、スリーブ33の通孔35を通って、前記スチームノズル21の噴出口33から前記スチーム通路P’の中心軸線方向にスチームが噴出する。
【0038】
前記スチームノズル1からスチームを噴射させ続けると、前記スチーム通路P’内でスチームが凝縮し、高温で液体状の結露水が発生する。そして、この結露水の水滴が多数結合すると、この水滴が大きく成長し、スチーム流に押し出される虞がある。しかしながら、前記導水体4の第一導水部17が、最狭部36である前記位置決めリブ30の通孔32の内周面における下側、及び最狭部36である前記スリーブ23の通孔35の内周面における下側に近接しているので、重力によって前記通孔32,35の内周面に沿って流下した水滴は、毛細管現象によって、前記溝部31,34の縁と前記第一導水部17とで形成された微小な隙間に広い範囲で吸引保持される。また、結露水は、毛細管現象によって、前記位置決めリブ30の溝部31及び前記スリーブ23の溝部34にも吸引保持される。この状態では、結露水は、前記スチーム通路P’の流通面積(前記通孔32,35の流通面積)を殆ど狭めないので、スチーム流が結露水を勢いよく押し出すことがない。そして、更に結露水が流下して前記隙間に結露水が溜まると、この溜まった結露水がスチーム流に押されて、前記隙間から押し出される。この押し出された結露水は、前記第一導水部17に接しているので、この第一導水部17に沿って前記スリーブ23(最狭部36)の前端部から外側に移動する。そして、前記第一導水部17に沿って外側に移動した結露水は、前記第一導水部17と一体に設けられた前記第二導水部18に沿って、下方に、即ち前記吸水体5に向かって流れる。更に、この第二導水部18に沿って流れた結露水は、前記第二導水部18と接する前記吸水体5に吸収される。このように、結露水が前記導水体4に沿って前記吸水体5に送られるので、熱い結露水が前記スチームノズル21の噴出口33から勢いよく噴出して顔等にかかることを抑制することができる。
【0039】
なお、前記結露水は、前記溝部31,34を経由して前記吸水体5に送られるようにすることもできる。この場合、前記溝部31,34の縁と前記第一導水部17との間の微少な隙間だけでなく、前記溝部31,34経由でも結露水を前記吸水体5に送ることができるので、効率よく結露水を前記吸水体5に吸収させることができる。この結果、結露水をより確実に前記スチームノズル21の噴出口33から噴出させないようにすることができる。
【0040】
また、前記吸水体5が吸水能力の限界を超えた場合、吸収しきれなかった結露水が水滴となって前記噴出口33から噴出する虞があった。しかしながら、前述したように、前記溝部31,34に結露水が吸引保持されるので、前記吸水体5が吸水能力の限界を超えた場合、吸収しきれなかった結露水が前記溝部31,34に貯められることになる。そして、この溝部31,34に保持可能な水量を超えると、結露水は、前記溝部31を通って前記スチームパイプ6に戻される。なお、前記スチーム通路P’は、前記位置決めリブ30及びスリーブ23の位置において最狭部36となる、即ちこの最狭部36において段差状に流通面積が絞られるので、この最狭部36よりも上流側の水滴が前記最狭部36を通って前記噴出口33から噴出することはない。更に、前記溝部31,34の縁と第一導水部17との間の微少な隙間に溜まった結露水は、前記第一導水部17及び戻水部19に沿って、前記スチームパイプ6内に戻される。この際、前述したように、前記戻水部19が下方に曲げられるので、重力によって前記結露水の水滴を確実に前記スチームパイプ6内に戻すことができる。
【0041】
以上のように本発明は、ノズル本体22と、このノズル本体22におけるスチーム通路P’の最狭部36の出口側に設けられた吸水体5と、前記スチーム通路P’の最狭部36から前記吸水体5へ結露水を導く導水部が設けられた導水体4とを有し、この導水体4が、前記最狭部36の内径よりも細い金属線を折り曲げて形成され、前記導水部が、第一導水部17と第二導水部18を有し、前記第一導水部17が、前記スチーム通路P’の内周面における使用時に下側となる部分に沿って前記スチーム通路P’と平行に配され、前記第二導水部18が、前記スチーム通路P’の最狭部36の出口から使用時に下側となる方向に延びて配されるスチームノズル21において、前記最狭部36の内周面における使用時に下側となる部分に隙間部としての凹状の溝部31,34が設けられ、これらの溝部31,34の近傍に前記導水体4の導水部17,18が設けられることで、前記スチーム通路P’の最狭部36に発生した結露水が、前記最狭部36の内壁に沿って流下し、前記溝部31,34に導かれて前記吸水体5に至り、この吸水体5で吸収されるので、結露水を確実に前記吸水体5まで導いて、熱い結露水が勢いよく噴出して顔等にかかることを抑制することができる。また、前記溝部31,34によって、前記吸水体5に導かれる結露水の量が多くなるので、結露水の発生が多くなっても、確実に前記吸水体5に結露水を吸水させることができる。更に、前記溝部31,34においても結露水を保持することができるので、熱い結露水が噴出することをより確実に抑制することができる。
【0042】
また、本発明は、前記スチーム通路の最狭部36が筒状のスリーブ23で構成されると共に、このスリーブ23に隙間部としての溝部34が形成されることで、間隙寸法の小さな溝部34を容易に構成することができる。
【0043】
また、本発明は、前記溝部34が凹形状とされることで、前記最狭部36の強度を保ちつつ、結露水を前記導水体4の導水部17,18から前記吸水体5に導くことができる。
【0044】
更に、本発明は、前記溝部34が毛細管現象を生じる寸法とされることで、前記溝部34に導かれた結露水を確実に前記吸水体5まで導くことができる。
【0045】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、隙間部としての切欠部又は溝部は、単純なスリット又は溝形状であるが、要は結露水を吸引保持できる形状であればよいので、その断面形状は条件を満たす範囲で自由に設定可能である。また、上記各実施形態では、スチーム通路の最狭部をスリーブとし、このスリーブに隙間部を形成したが、ノズル本体にスチーム通路の最狭部を設け、この際狭部に隙間部を形成してもよい。更に、上記各実施形態では導水体に戻水部を形成したが、結露水を確実にスチームパイプに戻すことができるのであれば、必ずしも戻水部は必要ない。
【符号の説明】
【0046】
1,21 スチームノズル
2,22 ノズル本体
3,23 スリーブ
4 導水体
5 吸水体
11,31 切欠部(隙間部)
14,34 切欠部(隙間部)
16,36 最狭部
17 第一導水部
18 第二導水部
P,P’ スチーム通路