(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】浴室暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24D 15/00 20220101AFI20230428BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F24F7/06 B
(21)【出願番号】P 2019134690
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敏明
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-022994(JP,A)
【文献】特開2008-275268(JP,A)
【文献】特開2005-241159(JP,A)
【文献】特開2010-139129(JP,A)
【文献】特開平09-280604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0149753(US,A1)
【文献】特開2006-258395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 15/00
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ファンを作動させることにより、浴室内に開口した浴室吸込口から吸い込んだ空気を浴室加熱部で加熱して浴室内に開口した浴室吹出口から吹き出す浴室暖房循環路と、
第2ファンを作動させることにより、他室内に開口した他室吸込口から吸い込んだ空気を他室加熱部で加熱して他室内に開口した他室吹出口から吹き出す他室暖房循環路と、
上流端が前記浴室暖房循環路における前記第1ファンの上流側と前記浴室吸込口との間に接続され、下流端が前記他室暖房循環路における前記第2ファンの上流側と前記他室吸込口との間に接続された連通路と、
屋外で開口した排気口に接続されていて浴室及び他室の換気を行う換気路とを備える浴室暖房装置において、
前記他室暖房循環路で加熱された空気を前記浴室暖房循環路へ送る送り路と、
前記送り路を開閉する送り路開閉ダンパと、
前記換気路を開閉する換気路開閉ダンパとを備えることを特徴とする浴室暖房装置。
【請求項2】
前記換気路の上流端は、前記連通路に接続されていて該換気路の空気を前記排気口へ向かって強制的に流動させる第3ファンを備え、
前記連通路における前記浴室暖房循環路と前記換気路の上流端との間に、該連通路を開閉する第1連通路開閉ダンパが設けられ、
前記連通路における前記換気路の上流端と前記他室暖房循環路との間に、該連通路を開閉する第2連通路開閉ダンパが設けられ、
前記送り路開閉ダンパは、前記送り路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記送り路の接続部と前記他室吹出口との間を閉塞する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【請求項3】
前記換気路の上流端は、前記他室暖房循環路における前記第2ファンの下流側と前記他室吹出口との間に接続され、
前記送り路の上流端は、前記他室暖房循環路における前記換気路の接続部と前記他室吹出口との間に接続され、
前記連通路を開閉する連通路開閉ダンパが設けられ、
前記他室暖房循環路における前記連通路の接続部と前記他室吸込口との間を開閉する他室吸込側開閉ダンパが設けられ、
前記換気路開閉ダンパは、前記換気路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記換気路の接続部と前記送り路の接続部との間を閉塞する位置に設けられ、
前記送り路開閉ダンパは、前記送り路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記送り路の接続部と前記他室吹出口との間を閉塞する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【請求項4】
前記換気路の上流端は、前記他室暖房循環路における前記第2ファンの下流側と前記他室吹出口との間に接続され、
前記送り路の上流端は、前記換気路に接続され、
前記連通路を開閉する連通路開閉ダンパが設けられ、
前記他室暖房循環路における前記連通路の接続部と前記他室吸込口との間を開閉する他室吸込側開閉ダンパが設けられ、
前記換気路開閉ダンパは、前記換気路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記換気路の接続部と前記他室吹出口との間を閉塞する位置に設けられ、
前記送り路開閉ダンパは、前記送り路を開放しているとき、前記換気路における前記送り路との接続部よりも下流側を閉塞する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の暖房と、脱衣室等の他室の暖房と、浴室及び他室の換気を行う浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室を暖房するために浴室の天井裏に浴室暖房装置が設置され、浴室だけでなく他室である脱衣室との2室の暖房を行うために、脱衣室用の暖房ユニットを備える浴室暖房装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、浴室の天井裏に設置した浴室暖房装置が、浴室用暖房ユニットと、脱衣室用暖房ユニットとを備えている。浴室用暖房ユニットは、浴室暖房用の加熱部と、加熱部で加熱された空気を浴室に強制的に送る第1ファンとを備えている。同じく、脱衣用暖房ユニットは、脱衣室暖房用の加熱部と、加熱部で加熱された空気を脱衣室に強制的に送る第2ファンとを備えている。
【0004】
更に、浴室や脱衣室を換気するために共通の換気路と、強制換気を行うための第3ファンとを備えている。
【0005】
ここで、一般に見られる浴室暖房装置の要部の構成と作動を説明すると、
図7に模式的に示すように、浴室用暖房ユニットは、第1ファン8を作動させることにより、浴室BR内に開口した浴室吸込口4から吸い込んだ空気を浴室加熱部9で加熱して浴室BR内に開口した浴室吹出口6から吹き出す浴室暖房循環路1を備えている。
【0006】
脱衣室用暖房ユニットは、第2ファン14を作動させることにより、脱衣室DR(他室)内に開口した脱衣室吸込口10(他室吸込口)から吸い込んだ空気を脱衣室加熱部15(他室加熱部)で加熱して脱衣室DR内に開口した脱衣室吹出口12(他室吹出口)から吹き出す脱衣室暖房循環路2(他室暖房循環路)を備えている。
【0007】
更に、浴室暖房循環路1と脱衣室暖房循環路2とを連通させる連通路16と、連通路16から分岐して屋外で開口した排気口17に接続された換気路3とを備えている。そして、換気路3には、強制的に換気を行う第3ファン18が設けられており、連通路16には、浴室暖房循環路1側を開閉する第1連通路開閉ダンパ20と、脱衣室暖房循環路2側を開閉する第2連通路開閉ダンパ21とが設けられている。
【0008】
浴室の暖房を行う場合、第1連通路開閉ダンパ20により連通路16を閉塞させ、浴室加熱部9と第1ファン8とを作動させる。脱衣室の暖房を行う場合、第2連通路開閉ダンパ21により連通路16を閉塞させ、脱衣室加熱部15と第2ファン14とを作動させる。
【0009】
なお、近年行われている所謂24時間換気では、常に第1連通路開閉ダンパ20と第2連通路開閉ダンパ21とで連通路16を開放し、第3ファン18を作動させた状態とされるが、浴室と脱衣室の暖房運転に応じて、第1連通路開閉ダンパ20と第2連通路開閉ダンパ21とによる連通路16の開閉が選択的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、浴室の暖房を開始したとき、比較的早い時間に入浴のために浴室に入ってしまうと、浴室内の温度が所望の温度まで上昇しておらず、寒さを感じる場合がある。
【0012】
そこで、浴室用の暖房ユニットの能力を大きくして暖房の立ち上がりを早くすることが考えられる。しかし、浴室用の暖房ユニットの能力を大きくすると大型化してしまい、浴室の天井裏に大きな設置スペースを確保する必要がある。
【0013】
上記の点に鑑み、本発明は、装置を大型化することなく、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明は、第1ファンを作動させることにより、浴室内に開口した浴室吸込口から吸い込んだ空気を浴室加熱部で加熱して浴室内に開口した浴室吹出口から吹き出す浴室暖房循環路と、第2ファンを作動させることにより、他室内に開口した他室吸込口から吸い込んだ空気を他室加熱部で加熱して他室内に開口した他室吹出口から吹き出す他室暖房循環路と、上流端が前記浴室暖房循環路における前記第1ファンの上流側と前記浴室吸込口との間に接続され、下流端が前記他室暖房循環路における前記第2ファンの上流側と前記他室吸込口との間に接続された連通路と、屋外で開口した排気口に接続されていて浴室及び他室の換気を行う換気路とを備える浴室暖房装置において、前記他室暖房循環路で加熱された空気を前記浴室暖房循環路へ送る送り路と、前記送り路を開閉する送り路開閉ダンパと、前記換気路を開閉する換気路開閉ダンパとを備えることを特徴とする。
【0015】
前記送り路を設けたことにより、送り路開閉ダンパを開放し、換気路開閉ダンパを閉塞し、他室暖房循環路で加熱された空気を浴室暖房循環路の空気に合流させて、浴室内に送ることができる。これによれば、浴室暖房の際に浴室暖房循環路で加熱された空気だけでなく、他室暖房循環路で加熱された空気も用いられるので、浴室加熱部をそのままにして、浴室暖房の能力を向上させることができ、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0016】
本発明における第1の態様として、前記換気路の上流端は、前記連通路に接続されていて該換気路の空気を前記排気口へ向かって強制的に流動させる第3ファンを備え、前記連通路における前記浴室暖房循環路と前記換気路の上流端との間に、該連通路を開閉する第1連通路開閉ダンパが設けられ、前記連通路における前記換気路の上流端と前記他室暖房循環路との間に、該連通路を開閉する第2連通路開閉ダンパが設けられ、前記送り路開閉ダンパは、前記送り路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記送り路の接続部と前記他室吹出口との間を閉塞する位置に設けられているものを挙げることができる。
【0017】
この構成により浴室暖房の能力を大きくする場合には、先ず、第1連通路開閉ダンパと第2連通路開閉ダンパにより連通路を開放し、換気路開閉ダンパにより換気路を閉塞し、送り路開閉ダンパにより送り路を開放する。次いで、第1ファン、浴室加熱部、第2ファン、他室加熱部を作動させる。このとき、第3ファンは停止させておく。これにより、浴室加熱部により加熱された空気と、他室加熱部により加熱された空気とを共に浴室に導入することができ、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0018】
また、本発明における第2の態様として、前記換気路の上流端は、前記他室暖房循環路における前記第2ファンの下流側と前記他室吹出口との間に接続され、前記送り路の上流端は、前記他室暖房循環路における前記換気路の接続部と前記他室吹出口との間に接続され、前記連通路を開閉する連通路開閉ダンパが設けられ、前記他室暖房循環路における前記連通路の接続部と前記他室吸込口との間を開閉する他室吸込側開閉ダンパが設けられ、前記換気路開閉ダンパは、前記換気路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記換気路の接続部と前記送り路の接続部との間を閉塞する位置に設けられ、前記送り路開閉ダンパは、前記送り路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記送り路の接続部と前記他室吹出口との間を閉塞する位置に設けられているものを挙げることができる。
【0019】
この構成により浴室暖房の能力を大きくする場合には、先ず、連通路開閉ダンパにより連通路を開放し、他室吸込側開閉ダンパにより他室暖房循環路における連通路の接続部と他室吸込口との間を閉塞し、換気路開閉ダンパによって換気路を閉塞し、送り路開閉ダンパにより送り路を開放する。次いで、第1ファン、浴室加熱部、第2ファン、他室加熱部を作動させる。これにより、浴室加熱部により加熱された空気と、他室加熱部により加熱された空気とを共に浴室に導入することができ、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0020】
更に、本発明の第2の態様によれば、前記第1の態様の第3ファンが不要となるので、第3ファンの設置スペースが不要となって装置の小型軽量化が可能となるだけでなく、第3ファンを備えることによる制御上の煩雑化も防止することができる。
【0021】
また、本発明における第3の態様として、前記換気路の上流端は、前記他室暖房循環路における前記第2ファンの下流側と前記他室吹出口との間に接続され、前記送り路の上流端は、前記換気路に接続され、前記連通路を開閉する連通路開閉ダンパが設けられ、前記他室暖房循環路における前記連通路の接続部と前記他室吸込口との間を開閉する他室吸込側開閉ダンパが設けられ、前記換気路開閉ダンパは、前記換気路を開放しているとき、前記他室暖房循環路における前記換気路の接続部と前記他室吹出口との間を閉塞する位置に設けられ、前記送り路開閉ダンパは、前記送り路を開放しているとき、前記換気路における前記送り路との接続部よりも下流側を閉塞する位置に設けられているものを挙げることができる。
【0022】
この構成により浴室暖房の能力を大きくする場合には、先ず、連通路開閉ダンパにより連通路を開放し、他室吸込側開閉ダンパにより他室暖房循環路における連通路の接続部と他室吸込口との間を閉塞し、換気路開閉ダンパによって換気路を開放し、送り路開閉ダンパにより送り路を開放する。このとき、送り路開閉ダンパにより送り路が開放されることにより換気路が閉塞される。
【0023】
次いで、第1ファン、浴室加熱部、第2ファン、他室加熱部を作動させる。これにより、浴室加熱部により加熱された空気と、他室加熱部により加熱された空気とを共に浴室に導入することができ、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0024】
更に、本発明の第3の態様によれば、前記第1の態様の第3ファンが不要となるので、第3ファンの設置スペースが不要となって装置の小型軽量化が可能となるだけでなく、第3ファンを備えることによる制御上の煩雑化も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態の浴室暖房装置の要部の構成を模式的に示す説明図。
【
図2】第1の実施形態の浴室暖房装置によって実行する各運転モードの説明図。
【
図3】本発明の第2の実施形態の浴室暖房装置の要部の構成を模式的に示す説明図。
【
図4】第2の実施形態の浴室暖房装置によって実行する各運転モードの説明図。
【
図5】本発明の第3の実施形態の浴室暖房装置の要部の構成を模式的に示す説明図。
【
図6】第3の実施形態の浴室暖房装置によって実行する各運転モードの説明図。
【
図7】従来の浴室暖房装置の要部の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の実施形態を
図1及び
図2に基づいて説明する。第1の実施形態の浴室暖房装置Aは、
図1に模式的に示すように、家屋内で互いに隣接する浴室BRと脱衣室DRとの天井裏に設置されている。脱衣室DRは、本発明における他室に相当する。
【0027】
浴室暖房装置Aは、浴室暖房循環路1と、脱衣室暖房循環路2(他室暖房循環路)と、換気路3とを備えている。
【0028】
浴室暖房循環路1は、浴室BR内に向かって開口する浴室吸込口4に上流端が接続された浴室吸込路5と、浴室BRに向かって開口する浴室吹出口6に下流端が接続された浴室吹出路7とを備えている。
【0029】
浴室吸込路5と浴室吹出路7との間には、第1ファン8と浴室暖房用放熱器9(浴室加熱部)とが設けられている。第1ファン8は、浴室暖房循環路1内の空気流を強制的に生成する。浴室暖房用放熱器9は、第1ファン8の上流側に設けられている。第1ファン8を作動させることにより、浴室吸込口4から吸い込まれた浴室BR内の空気が浴室暖房用放熱器9を通過し、温風が生成されて浴室吹出口6から浴室BR内に吹き出される。これにより、浴室BRが暖房される。
【0030】
脱衣室暖房循環路2は、脱衣室DR内に向かって開口する脱衣室吸込口10に、上流端が接続された脱衣室吸込路11と、脱衣室DRに向かって開口する脱衣室吹出口12に、下流端が接続された脱衣室吹出路13とを備えている。
【0031】
脱衣室吸込路11と脱衣室吹出路13との間には、第2ファン14と脱衣室暖房用放熱器15(他室加熱部)とが設けられている。第2ファン14は、脱衣室暖房循環路2内の空気流を強制的に生成する。脱衣室暖房用放熱器15は、第2ファン14の上流側に設けられている。第2ファン14を作動させることにより、脱衣室吸込口10から吸い込まれた脱衣室DR内の空気が脱衣室暖房用放熱器15を通過し、温風が生成されて脱衣室吹出口12から脱衣室DR内に吹き出される。これにより、脱衣室DRが暖房される。
【0032】
なお、浴室暖房用放熱器9及び脱衣室暖房用放熱器15には、図外の熱源機が弁装置等を介して接続されており、熱源機と浴室暖房用放熱器9及び脱衣室暖房用放熱器15のうちの少なくとも一方との間で熱媒(水、不凍液等)が循環される。
【0033】
浴室暖房循環路1の浴室吸込路5と脱衣室暖房循環路2の脱衣室吸込路11とは、連通路16によって連通可能とされている。連通路16には換気路3が接続されている。
【0034】
換気路3は、上流端が連通路16に接続され、下流端が排気口17に接続されている。排気口17は、家屋の外壁Wを貫通して屋外へ向かって開口している。換気路3には、排気口17に向かう空気流を強制的に生成する第3ファン18が設けられている。
【0035】
更に浴室暖房装置Aは、浴室暖房循環路1と脱衣室暖房循環路2とを接続する送り路19を備えている。送り路19は、上流端が脱衣室暖房循環路2の脱衣室吸込路11に接続され、下流端が浴室暖房循環路1の浴室暖房用放熱器9と第1ファン8との間の位置に接続されている。
【0036】
浴室暖房循環路1の浴室吸込路5と連通路16との境界位置には、連通路16を浴室暖房循環路1側で開閉させる第1連通路開閉ダンパ20が設けられている。脱衣室暖房循環路2の脱衣室吸込路11と連通路16との境界位置には、連通路16を脱衣室暖房循環路2側で開閉させる第2連通路開閉ダンパ21が設けられている。連通路16と換気路3との境界位置には、換気路3を開閉する換気路開閉ダンパ22が設けられている。そして、送り路19と脱衣室吹出路13との接続部には、送り路開閉ダンパ23が設けられている。送り路開閉ダンパ23は、送り路19を閉塞しているとき脱衣室吹出路13を開放し、送り路19を開放しているとき脱衣室吹出路13を閉塞する位置に設けられている。
【0037】
以上の構成からなる第1の実施形態の浴室暖房装置Aの作動を説明する。第1の実施形態の浴室暖房装置Aは、
図2に示すように、図示しない制御装置の制御により運転モードm1~m7による運転が可能となっている。各運転モードは、図示しないリモコン等から入力された使用者からの指示に従って実行される。
【0038】
なお、
図2において、各ダンパ20,21,22,23の作動に関して、「〇」はダンパ開を示し、「×」はダンパ閉を示す。また、各ファン8,14,18の作動に関しては、「〇」はON、「×」はOFFを示す。
【0039】
即ち、第1連通路開閉ダンパ20は開(「〇」)のとき浴室暖房循環路1と連通路16とを連通させ、閉(「×」)のとき浴室暖房循環路1側の連通路16を閉塞する。第2連通路開閉ダンパ21は開(「〇」)のとき脱衣室暖房循環路2と連通路16とを連通させ、閉(「×」)のとき脱衣室暖房循環路2側の連通路16を閉塞する。換気路開閉ダンパ22は開(「〇」)のとき換気路3と連通路16とを連通させ、閉(「×」)のとき換気路3を閉塞する。送り路開閉ダンパ23は開(「〇」)のとき送り路19と脱衣室吹出路13とを連通させるが、同時に脱衣室吹出路13における送り路19との接続部の下流側を閉塞し、閉(「×」)のときには脱衣室吹出路13を開放して送り路19を閉塞する。
【0040】
運転モードm1は、浴室暖房のみを行うモードであり、運転モードm2は、脱衣室暖房のみを行うモードであり、運転モードm3は、浴室暖房と脱衣室暖房とを同時に行うモードである。
【0041】
運転モードm4は、浴室の涼風供給及び乾燥を行うモードであり、運転モードm5は、脱衣室暖房の涼風供給のみを行うモードであり、運転モードm6は、浴室と脱衣室との換気を行うモードであり、運転モードm7は浴室のみで大能力暖房を行うモードである。
【0042】
第1の実施形態の浴室暖房装置Aにおいては、所謂24時間換気が行われるように予め設定されているので、運転モードm1~m5及びm7を行っていないときには常に運転モードm6が実行される。運転モードm6においては、制御装置は、
図2に示すように、送り路開閉ダンパ23のみを閉(「×」)とし、他のダンパ20,21,22を開(「〇」)とし、第3ファン18のみを作動させる。
【0043】
運転モードm1~m3、及びm5においては、
図2に示すように、何れも、全てのダンパ20,21,22,23を閉(「×」)とし、夫々のモードに応じたファン8,14,18の動作が行われる。なお、運転モードm1~m3、及びm5のように、第1連通路開閉ダンパ20と第2連通路開閉ダンパ21との両方が閉(「×」)となる場合には、換気路開閉ダンパ22を開(「〇」)としてもよい。こうすることにより、運転モードm6から、運転モードm1~m3、及びm5のいずれかに切換えるときには、換気路開閉ダンパ22の動作を省略することができる。
【0044】
そして、第1の実施形態の浴室暖房装置Aは、送り路19を備えることによって、運転モードm7を選択することで、大能力での浴室暖房運転を実行することができる。運転モードm7においては、
図2に示すように、換気路開閉ダンパ22のみを閉(「×」)とし、第1連通路開閉ダンパ20、第2連通路開閉ダンパ21、及び送り路開閉ダンパ23を開(「〇」)とする。このとき、第3ファン18を停止させて第1ファン8と第2ファン14とを作動させる。
【0045】
これにより、浴室暖房循環路1で生成されて浴室BRに供給される温風に、脱衣室暖房循環路2で生成された温風を、送り路19を介して浴室BRに供給することができるので、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0046】
本発明の第2の実施形態を
図3及び
図4に基づいて説明する。第2の実施形態においては、第1の実施形態と同一の部分については、
図3において
図1と同一の符号を付すことによりその説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態の浴室暖房装置Bは、
図3に模式的に示すように、家屋内で互いに隣接する浴室BRと脱衣室DRとの天井裏に設置されている。
【0048】
浴室暖房装置Aは、浴室暖房循環路1と、脱衣室暖房循環路2(他室暖房循環路)と、連通路16と、換気路24と、送り路19とを備えている。
【0049】
連通路16は、浴室暖房循環路1の浴室吸込路5と脱衣室暖房循環路2の脱衣室吸込路11とを連通させる。
【0050】
換気路24は、上流端が脱衣室暖房循環路2の脱衣室吹出路13に接続されている。換気路24を脱衣室吹出路13に接続することにより、第1の実施形態の浴室暖房装置Aが備えていた第3ファン18は不要となる。これにより、装置の小型軽量化が可能となるだけでなく、制御上の煩雑化も防止することができる。
【0051】
浴室暖房循環路1の浴室吸込路5と連通路16との境界位置には、連通路16を浴室暖房循環路1側で開閉させる連通路開閉ダンパ20(第1の実施形態では第1連通路開閉ダンパとなっているがこれと同一構成である)が設けられている。脱衣室暖房循環路2の脱衣室吸込路11と連通路16との境界位置には、脱衣室吸込側開閉ダンパ25(他室吸込側開閉ダンパ)が設けられている。脱衣室吸込側開閉ダンパ25は、脱衣室暖房循環路2における連通路16の接続部と脱衣室吸込口10との間を開閉する。
【0052】
脱衣室吹出路13と換気路24との境界位置には、換気路開閉ダンパ26が設けられている。換気路開閉ダンパ26は、換気路24を開放しているとき、脱衣室暖房循環路2における換気路24の接続部と送り路19の接続部との間を閉塞する位置に設けられている。
【0053】
以上の構成からなる第2の実施形態の浴室暖房装置Bの作動を説明する。第2の実施形態の浴室暖房装置Bは、
図4に示すように、図示しない制御装置の制御により運転モードm1~m7による運転が可能となっている。各運転モードは、図示しないリモコン等から入力された使用者からの指示に従って実行される。
【0054】
なお、
図4において、各ダンパ20,25,26,23の作動に関して、「〇」はダンパ開を示し、「×」はダンパ閉を示す。また、各ファン8,14の作動に関しては、「〇」はON、「×」はOFFを示す。
【0055】
即ち、連通路開閉ダンパ20は開(「〇」)のとき浴室暖房循環路1と連通路16とを連通させ、閉(「×」)のとき浴室暖房循環路1側の連通路16を閉塞する。脱衣室吸込側開閉ダンパ25は開(「〇」)のとき脱衣室吸込路11を開放し、閉(「×」)のとき脱衣室吸込路11を閉塞する。換気路開閉ダンパ26は開(「〇」)のとき換気路24を開放すると同時に、脱衣室暖房循環路2における換気路24の接続部と送り路19の接続部との間を閉塞し、閉(「×」)のときには脱衣室吹出路13を開放して換気路24を閉塞する。送り路開閉ダンパ23は開(「〇」)のとき送り路19と脱衣室吹出路13とを連通させるが、同時に脱衣室吹出路13における送り路19との接続部の下流側を閉塞し、閉(「×」)のときには脱衣室吹出路13を開放して送り路19を閉塞する。
【0056】
第2の実施形態の浴室暖房装置Bにおいても、所謂24時間換気が行われるように予め設定されている。このため、運転モードm1~m5及びm7を行っていないときには常に運転モードm6が実行される。運転モードm6においては、制御装置は、
図4に示すように、送り路開閉ダンパ23のみを閉(「×」)とし、他のダンパ20,25,26を開(「〇」)とし、第2ファン14のみを作動させる。このように、第1の実施形態の浴室暖房装置Aの第3ファン18を備えていなくても、第2ファン14の作動によって換気運転を実行することができる。
【0057】
そして、第2の実施形態の浴室暖房装置Bも、送り路19を備えているので、運転モードm7である大能力での浴室暖房運転を実行することができる。運転モードm7においては、
図4に示すように、脱衣室吸込側開閉ダンパ25と換気路開閉ダンパ26と閉(「×」)とし、連通路開閉ダンパ20と送り路開閉ダンパ23とを開(「〇」)とする。このとき、第1ファン8と第2ファン14とを作動させる。
【0058】
これにより、浴室暖房循環路1で生成されて浴室BRに供給される温風に、脱衣室暖房循環路2で生成された温風を、送り路19を介して浴室BRに供給することができるので、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0059】
本発明の第3の実施形態を
図5及び
図6に基づいて説明する。第3の実施形態においては、第2の実施形態と異なる部分のみを説明し、同一の部分については
図5において
図3と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図5と
図3とを比較して明らかなように、第3の実施形態の浴室暖房装置Cは、送り路27の上流端が換気路24に接続されている点が、第2の実施形態の浴室暖房装置Bと異なっている。
【0061】
そして、
図5に示すように、送り路27を開閉するための送り路開閉ダンパ28は、換気路24に設けられている。即ち、送り路開閉ダンパ28は、換気路24における送り路27との接続部よりも下流側を閉塞する位置に設けられており、送り路27を閉塞しているとき、換気路24を開放して換気可能とし、送り路27を開放した時には、送り路27の接続部より下流側の換気路24を閉塞する。
【0062】
第3の実施形態の浴室暖房装置Cにおいても、
図6に示すように、運転モードm6を実行すると、送り路開閉ダンパ28のみを閉(「×」)とし、他のダンパ20,25,26を開(「〇」)とし、第2ファン14のみを作動させる。従って、第1の実施形態の浴室暖房装置Aの第3ファン18(
図1参照)を備えていなくても、第2ファン14の作動によって換気運転を実行することができる。
【0063】
更に、送り路27を備えているので、運転モードm7である大能力での浴室暖房運転を実行することができる。即ち、運転モードm7においては、
図6に示すように、脱衣室吸込側開閉ダンパ25を閉(「×」)とし、連通路開閉ダンパ20、換気路開閉ダンパ26、及び送り路開閉ダンパ28を開(「〇」)とする。このとき、第1ファン8と第2ファン14とを作動させる。
【0064】
これにより、浴室暖房循環路1で生成されて浴室BRに供給される温風に、脱衣室暖房循環路2で生成された温風を、送り路19を介して浴室BRに供給することができるので、浴室暖房の立ち上がりを早くすることができる。
【0065】
なお、上記の各実施形態においては、他室として脱衣室DRを挙げて説明したが、脱衣室DR以外の他室であっても本発明を採用して上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
A,B,C…浴室暖房装置、BR…浴室、DR…脱衣室(他室)、1…浴室暖房循環路、2…脱衣室暖房循環路(他室暖房循環路)、3,24…換気路、4…浴室吸込口、6…浴室吹出口、8…第1ファン、9…浴室暖房用放熱器(浴室加熱部)、10…脱衣室吸込口(他室吸込口)、12…脱衣室吹出口(他室吹出口)、14…第2ファン、15…脱衣室暖房用放熱器(他室加熱部)、16…連通路、17…排気口、18…第3ファン、19,27…送り路、20…第1連通路開閉ダンパ(連通路開閉ダンパ)、21…第2連通路開閉ダンパ、22,26…換気路開閉ダンパ、23,28…送り路開閉ダンパ、25…脱衣室吸込側開閉ダンパ(他室吸込側開閉ダンパ)。