(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】破片内蔵合わせガラス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
C03C27/12 N
(21)【出願番号】P 2019181876
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599093524
【氏名又は名称】旭ビルウォール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503412573
【氏名又は名称】株式会社エイチアンドエイ
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【氏名又は名称】荒井 滋人
(72)【発明者】
【氏名】伊勢谷 三郎
(72)【発明者】
【氏名】岩嵜 康明
(72)【発明者】
【氏名】島田 大
(72)【発明者】
【氏名】坂本 弘之
(72)【発明者】
【氏名】木谷 森世
(72)【発明者】
【氏名】小平 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 建
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 由典
(72)【発明者】
【氏名】江川 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博行
(72)【発明者】
【氏名】永山 紗希
(72)【発明者】
【氏名】肥後 勲
(72)【発明者】
【氏名】浅井 雅子
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-307303(JP,A)
【文献】特開平05-032434(JP,A)
【文献】実開昭50-076057(JP,U)
【文献】特開2000-072496(JP,A)
【文献】特開2001-261371(JP,A)
【文献】特表2019-513662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12
E06B 3/54-3/88
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間膜を介して互いに貼り合わされた一対のガラス板と、
前記中間膜内に埋設されていて光反射特性を有する物質からなる無数の破片とを備え
、
前記中間膜内に前記破片とともに埋設されていて黒色からなる複数の黒色片とをさらに備え、
前記黒色片は前記破片よりも小さく数も少ないことを特徴とする破片内蔵合わせガラス。
【請求項2】
前記破片又は前記黒色片は、前記ガラス板方向に角部を有していることを特徴とする請求項
1に記載の破片内蔵合わせガラス。
【請求項3】
前記破片は、ミラーガラス又は金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の破片内蔵合わせガラス。
【請求項4】
前記黒色片は、太陽光発電に用いるセルで形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の破片内蔵合わせガラス。
【請求項5】
前記中間膜は、アイオノマー樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の破片内蔵合わせガラス。
【請求項6】
前記一対のガラス板の周辺が嵌め込まれている枠体と、
該枠体の少なくとも1辺に内蔵されていて前記破片方向を照射する光源体とをさらに備えたことを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の破片内蔵合わせガラス。
【請求項7】
光反射特性を有する物質を破片化してふるい掛けによりある程度の大きさ以上の破片を製造する破片製造工程と、
一対のガラス板の間に2層の中間膜を配し、さらにその間に前記破片を配して積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を真空引きしてその後に加熱して前記中間膜により前記一対のガラス板を互いに接着する接着工程とを備え
、
黒色物質を破片化してふるい掛けにより前記破片よりも小さい黒色片を製造する黒色片製造工程とをさらに備え、
前記積層工程にて、前記黒色片を前記破片とともに前記2層の中間膜の間に配することを特徴とする破片内蔵合わせガラスの製造方法。
【請求項8】
前記破片製造工程での前記ふるい掛けは5mm目のふるいにて20回ふるい、
前記黒色片製造工程での前記ふるい掛けは3mm目のふるいにて20回ふるい、
前記積層工程では700g/m
2の前記破片及び4g/m
2の前記黒色片を配することを特徴とする請求項
7に記載の破片内蔵合わせガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーガラス等の破片が内蔵された破片内蔵合わせガラス及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス板を中間膜を介して貼り合わせた合わせガラスが知られている。また、この中間膜とガラス板との間にフィルムを介在させて、光を反射させる技術も知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように光の反射面であるフィルムが全て同一方向を向いていると、光の反射方向も全て揃ってしまい、いわゆる乱反射のような現象を起こすことはできない。ガラス面に入射された光を種々の方向に反射させる要望もあり、それによりそれぞれのガラス板で特徴的且つ独特な意匠的効果を持たせたい場合もある。
【0005】
そのためには、光を反射する物質を合わせガラス内に挟持すればよいが、合わせガラスの接着層にこのような物質を挟持すると、この物質がガラス板に当たってしまい、合わせガラス製造時あるいは使用時にガラス板が破損してしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、合わせガラス内に光の反射物質を挟持した場合であっても、ガラス板が破損することなく、光を種々の方向に散乱させて特徴的且つ独特な反射光を生じさせることができる破片内蔵合わせガラス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、中間膜を介して互いに貼り合わされた一対のガラス板と、前記中間膜内に埋設されていて光反射特性を有する物質からなる無数の破片とを備えたことを特徴とする破片内蔵合わせガラスを提供する。
【0008】
好ましくは、前記中間膜内に前記破片とともに埋設されていて黒色からなる複数の黒色片とをさらに備え、前記黒色片は前記破片よりも小さく数も少ない。
【0009】
好ましくは、前記破片又は前記黒色片は、前記ガラス板方向に角部を有している。
【0010】
好ましくは、前記破片は、ミラーガラス又は金属で形成されている。
【0011】
好ましくは、前記黒色片は、太陽光発電に用いるセルで形成されている。
【0012】
好ましくは、前記中間膜は、アイオノマー樹脂からなるSG膜である。
【0013】
好ましくは、前記一対のガラス板の周辺が嵌め込まれている枠体と、該枠体の少なくとも1辺に内蔵されていて前記破片方向を照射する光源体とをさらに備えている。
【0014】
さらに本発明では、光反射特性を有する物質を破片化してふるい掛けによりある程度の大きさ以上の破片を製造する破片製造工程と、一対のガラス板の間に2層の中間膜を配し、さらにその間に前記破片を配して積層体を形成する積層工程と、前記積層体を真空引きしてその後に加熱して前記中間膜により前記一対のガラス板を互いに接着する接着工程とを備えたことを特徴とする破片内蔵合わせガラスの製造方法を提供する。
【0015】
好ましくは、黒色物質を破片化してふるい掛けにより前記破片よりも小さい黒色片を製造する黒色片製造工程とをさらに備え、前記積層工程にて、前記黒色片を前記破片とともに前記2層の中間膜の間に配する。
【0016】
好ましくは、前記破片製造工程での前記ふるい掛けは5mm目のふるいにて20回ふるい、前記黒色片製造工程での前記ふるい掛けは3mm目のふるいにて20回ふるい、前記積層工程では700g/m2の前記破片及び4g/m2の前記黒色片を配する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、中間膜を介して互いに貼り合わされた一対のガラス板からなる合わせガラスにて、中間膜内に光反射特性を有する物質からなる無数の破片が埋設されているので、破片がガラス板に当接することはなくなり、ガラス板が破損することはない。また、破片が無数に配されているので、光を種々の方向に散乱させて特徴的且つ独特な反射光を生じさせることができる。
【0018】
また、中間膜内に破片とともに黒色からなる複数の黒色片をさらに埋設することで、光を反射する破片以外に光を反射しない黒色片が埋設されることになるので、特徴的且つ独特な見栄えを有する合わせガラスを提供することができる。このとき、黒色片の大きさ及び数を破片よりも小さく少なくすることで、破片による光の反射を妨げることはない。
【0019】
また、破片又は黒色片がガラス板方向に角部を有している場合であっても、これらが中間膜に埋設しているのでガラス板に当接することはなく、このような鋭利な形状を有する破片や黒色片を中間に配する場合に好適な合わせガラスを提供することができる。
【0020】
また、破片をミラーガラス又は金属で形成することで、光を反射させて散乱させることができる。
【0021】
また、黒色片を太陽光発電に用いるセルで形成することで、例えば廃棄されるべきセルを再利用として用いることができ、資源の有効利用及び環境にも寄与できる。
【0022】
また、中間膜としてアイオノマー樹脂からなるSG膜を用いることで、中間膜の透明度が高まり、破片による光の反射が妨げられることはない。また、強度も確保できる。
【0023】
また、一対のガラス板の周辺が枠体に嵌め込まれ、この枠体の少なくとも1辺に内蔵されている光源体により破片に向けて照射することで、太陽光のない夜間でも光の散乱を提供して見栄えをよくすることができる。
【0024】
さらに本発明によれば、接着工程にて加熱する前に真空引きを行うので、積層体を形成した際に気泡が形成されている場合でもこれを除去することができ、このまま加熱した際に気泡が膨らんで破裂してしまうことを防止できる。
【0025】
また、破片も黒色片もふるい掛けにより簡単にある程度の大きさを形成することができ、製造を簡単に行うことができる。
【0026】
また、破片製造工程でのふるい掛けを5mm目のふるいにて20回ふるい、黒色片製造工程でのふるい掛けを3mm目のふるいにて20回ふるい、積層工程では破片を700g/m2、黒色片を4g/m2配することで、光の反射と吸収を合わせガラス全体でバランスよく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る破片内蔵合わせガラスの概略正面図である。
【
図2】本発明に係る破片内蔵合わせガラスの概略断面図である。
【
図3】本発明に係る破片内蔵合わせガラスを枠体に嵌め込んだときの概略正面図である。
【
図4】本発明に係る破片内蔵合わせガラスを枠体に嵌め込んだときの概略断面図である。
【
図5】本発明に係る破片内蔵合わせガラスの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る破片内蔵合わせガラス1は、一対のガラス板2(2a、2b)を貼り合わせて形成されたものである。これらガラス板2a及び2bの間には、接着剤としての中間膜3が配されている。したがって、一対のガラス板2は中間膜3を介して互いに貼り合わされている。この中間膜内には、無数の破片4が埋設されている。この破片4は光反射特性を有する物質から形成されている。なお、無数とは数に限りがなく、数えきれないほど多いことを意味するが、
図1に示すように数えようと思えば数えることができるがこれに対する労力や時間がかなり要するものも含むものとする。また、光反射特性とは光を透過でも吸収でもなく反射する特性を有するものをいう。例えば、破片4としてはミラーガラスや金属を砕いたものを用いることができる。
【0029】
このように、中間膜3を介して互いに貼り合わされた一対のガラス板2からなる合わせガラス1にて、中間膜3内に光反射特性を有する物質からなる無数の破片4が埋設されているので、破片4がガラス板2に当接することはなくなり、ガラス板2が破損することはない。また、様々な形状からなる破片4が無数に配されているので、光を種々の方向に散乱させて特徴的且つ独特な反射光を生じさせることができる。特に破片4をミラーガラスや金属にて形成することで合わせガラス1の正面視側だけでなく厚み方向にもそれぞれ形状を異ならせることができるので、このような光の反射による散乱効果を簡単に得ることができる。なお、ガラス板2としてはどのようなガラス板を用いてもよい(フロートガラス(FL)、網入りガラス(PHW)、倍強度ガラス(HS)、風冷強化ガラス(PT)、化学強化ガラス(PT)等)。ただし光の反射による意匠的効果を効率よく得ることができるように、ガラス板2としては透明すなわち光透過性があることが好ましい。また、ある程度の風圧に耐えうるために高透過倍強度の8mm以上のガラス板が好ましい。
【0030】
破片内蔵合わせガラス1はさらに複数の黒色片5を備えている。この黒色片5は中間膜3内に破片4とともに埋設されている。黒色片5は黒色であり、破片よりも小さく、配される数も少ない。すなわち、破片4が無数に配されているのに比べ黒色片5はこれよりも少なく配されることから比較として複数と表現されている。黒色片は、例えば太陽光発電に用いるセルで形成することができる。
【0031】
このように、中間膜3内に破片4とともに黒色からなる複数の黒色片5をさらに埋設することで、光を反射する破片4以外に光を反射しない黒色片5が埋設されることになるので、特徴的且つ独特な見栄えを有する合わせガラス1を提供することができる。このとき、黒色片5の大きさ及び数を破片4よりも小さく少なくすることで、破片4による光の反射が妨げられることはない。さらに無数の破片4に混じってこれより小さい黒色へ5が破片4よりも少なく配されていることは、合わせガラス1全体として見栄えのアクセントになる。そして、黒色片5を太陽光発電に用いるセルで形成することで、例えば廃棄されるべきセルを再利用として用いることができ、資源の有効利用及び環境にも寄与できる。
【0032】
図2を参照すれば明らかなように、破片4又は黒色片5は、ガラス板2(2a、2b)方向に角部を有している。この角部は、尖っている部分である。このような尖った角部がガラス板2方向を向いていることで、この角部によりガラス板2が傷つき、破損の原因となるおそれがある。しかしながら破片4や黒色片5は中間膜3に埋設されているのでガラス板に当接することはない。したがって破片内蔵合わせガラス1はこのような鋭利な形状を有する破片4や黒色片5を中間に配する場合に好適である。このように、埋設とは破片4及び黒色片5の外縁が完全に中間膜3に埋まっていることをいい、したがって破片4又は黒色片5とガラス板2との間には必ず中間膜3が介在していることを意味している。換言すれば、破片4又は黒色片5はガラス板2に非接触である。
【0033】
このとき、中間膜3としては、ポリビニルブチラール(PVB)やエチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂(SG(セントリグラス中間膜))等が用いられる。一般的な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を利用可能であり、ビニル系ポリマー、エチレン-ビニル系モノマー共重合体、スチレン系共重合体、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂を含んでいることが好ましい。特に、中間膜3としてアイオノマー樹脂からなるSG膜を用いれば、透明度が高く、破片による光の反射が妨げられることはないので好ましい。また、十分な強度を確保できる観点からも好ましい。
【0034】
図3を参照すれば明らかなように、本発明に係る破片内蔵合わせガラス1を建物駆体に取り付ける際は、合わせガラス1(一対のガラス板2)の周辺を枠体6に嵌め込ませる。なお、
図3では合わせガラス1の3辺が枠体6に嵌め込まれた例を示すが、全ての辺を囲むような枠体を用いてもよい。この枠体6としては金属製のものを用いることができるが、材質はこれに限定されない(例えば木製、樹脂製)。なお、
図3では破片4や黒色片5は省略している。
図4に示すように、枠体6は合わせガラス1の厚みを受容できる保持部8を有し、この保持部8はガラス板2の内側(中心側)方向に向けて延びている。保持部8とガラス板2との間には、シリコーン製のガスケット9が介装され、密着して固定されている。
【0035】
そして、枠体6の少なくとも1辺には(
図3ではガラス板2の長辺が嵌め込まれる辺)、光源体7が内蔵されている。この光源体7は、枠体6の1辺に沿って断続的あるいは連続的に全域にわたって配されている。光源体7は例えばLEDランプであり、この光源体7が光を発することで、その光は破片4の方向に照射される。すなわち、
図4を参照すれば明らかなように、光源体7は3方が枠体6によって塞がれているので、発された光は必然的にガラス板2の方向、すなわち破片4に照射される。このように、一対のガラス板2の周辺が枠体6に嵌め込まれ、この枠体6の少なくとも1辺に内蔵されている光源体7により破片4に向けて照射することで、太陽光のない夜間でも光の散乱を提供して見栄えをよくすることができる。なお、光源体7から合わせガラス1の小口までは10mm程度が好ましい。また、光源体7からの照明を見栄えよくするため、合わせガラス1の光源体7側の小口は磨き仕上げが行われていることが好ましい。
【0036】
上記のような本発明に係る破片内蔵合わせガラス1の製造方法について以下に詳述する。破片内蔵合わせガラス1の製造方法としては、まずは破片製造工程を行う(ステップS1)。この破片製造工程は、光反射特性を有する物質を破片化してふるい掛けによりある程度の大きさ以上の破片を製造する工程である。具体的には、ミラーガラスをゴムハンマー等で砕いて破片化させ、ふるい目が中目(5mm×5mm)のふるいを用いてふるい掛けする。このとき、ふるいを水平に20回ふる。これにより、ふるいに残ったものはある程度の大きさ以上のものとなり、これが破片4となる。
【0037】
次に、黒色片製造工程を行う(ステップS2)。この黒色片製造工程は、黒色物質を破片化してふるい掛けにより破片4よりも小さい黒色片5を製造する工程である。具体的には、粉砕済みの太陽光発電に用いるセルをふるい目が細目(3mm×3mm)のふるいを用いてふるい掛けする。このとき、ふるいを水平に20回ふる。ふるいを通過したものはある程度の大きさ以下のものとなり、これが黒色片5となる。この工程では、ふるい目が破片製造工程で用いる古いよりも小さいので、黒色片5は必ず破片4よりも小さい。なお、破片製造工程と黒色片製造工程はどちらを先に行ってもよい。上述したように、破片4も黒色片5もふるい掛けにより簡単にある程度の大きさを形成することができ、製造を簡単に行うことができる。
【0038】
次に、積層工程を行う。この積層工程は、一対のガラス板2の間に2層の中間膜3を配し、さらにその間に破片4及び黒色片5を配して積層体を形成する工程である。具体的には、まず1枚のガラス板2を載置し、その上にシート(フィルム)状の中間膜3を重ねる。そしてその上に破片4及び黒色片5をまぶし(配し)、その上にさらに中間膜3を重ねる。最後に2枚目のガラス板2をその上に載置する。これにより、2枚のガラス板2の内側にそれぞれ中間膜3が配設され、さらにその内側に破片4及び黒色片5が配された形態となる。換言すれば、積層体は中央に破片4及び黒色片5が配され、これを2層の中間膜3にて挟持し、さらにその外側に2枚のガラス板2が配されている形態である。このとき、中間膜3はそれぞれ破片4及び黒色片5の厚み以上の厚みを有している。なお、破片4及び黒色片5をまぶす際は、破片4は700g/m2となるように、黒色片5は4g/m2となるようにまぶす。
【0039】
次に、接着工程を行う(ステップS4)。この接着工程は、積層体を真空引きしてその後に加熱して中間膜3により一対のガラス板2を互いに接着する工程である。具体的には、真空チャンバーに積層体を収容し、真空引きする。これにより、積層体を形成した際に気泡が発生したとしても、これを除去することができる。特に、破片4や黒色片5を下側のシート状の中間膜にまぶし、その上にさらにシート状の中間膜を重ねると隙間ができ、気泡が発生しやすいが、このような気泡をこの真空引きにて全て除去することができる。真空引きされた積層体は、オートクレーブ等を用いて加熱され、中間膜3によって一対のガラス板2は接着され、さらに破片4及び黒色片5は中間膜3内に埋設される。このように合わせガラス1を製造する際は、加熱により中間膜3を溶かして接着するので、上述した気泡があると加熱した際に膨らんで破裂してしまうが、やはりこれも真空引きにより防止できる。
【0040】
このようにして製造された破片内蔵合わせガラス1は、破片製造工程でのふるい掛けを5mm目のふるいにて20回ふるい、黒色片製造工程でのふるい掛けを3mm目のふるいにて20回ふるい、積層工程では破片を700g/m2、黒色片を4g/m2配するという工程を経ているので、光の反射と吸収を合わせガラス全体でバランスよく行わせることができている。
【符号の説明】
【0041】
1:破片内蔵合わせガラス、2:一対のガラス板、2a:ガラス板、2b:ガラス板、3:中間膜、4:破片、5:黒色片、6:枠体、7:光源体、8:保持部、9:ガスケット