IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネクスペリア ベー.フェー.の特許一覧

特許7270535単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置
<>
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図1
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図2
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図3
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図4
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図5
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図6
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図7
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図8
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図9
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図10
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図11
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図12
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図13
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図14
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図15
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図16
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図17
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図18
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図19
  • 特許-単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】単一電気モータで回転運動と並進運動を可能にするデバイス、及びそのデバイスに関連する装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/064 20160101AFI20230428BHJP
【FI】
H02P25/064
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219711
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2020099185
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】18212980.9
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストッケルマンズ ユープ
(72)【発明者】
【氏名】ナシブリナ ネイリア
(72)【発明者】
【氏名】カンプスフレール トム
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-20885(JP,A)
【文献】特表2012-522478(JP,A)
【文献】特開2017-38442(JP,A)
【文献】特開平5-316710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相コイル配列を含み、複数のコイル又はコイルセットを備える固定子と、
その回転軸の軸方向に移動可能であり、少なくとも1つの永久磁石をそれぞれ含む複数の極を有する回転子と、
計算式によって、少なくとも前記複数のコイル又はコイルセットのコイル数又はコイル セット数と、前記回転子の回転角と、前記回転子の軸方向位置に応じたパラメータとに基づいて電流(I,I,I)を決定するように動作する制御ユニットと、
を備える直線・回転運動のための単一電気モータを備えるデバイスであって、
各電流(I,I,I)は、トルクを生成する電流成分(IrΦ,IsΦ,ItΦ )と、軸力を生成する電流成分(Irx,Isx,Itx)とを有し、決定した電流を開 ループで前記複数のコイル又はコイルセットに供給し、前記電流の合計はゼロであり、さらに、前記固定子と前記回転子の双方がバックアイアンを含
前記単一電気モータは、絶縁層と冷却システムをさらに含み、
前記複数のコイル又は前記コイルセットは、前記絶縁層を介して前記固定子の前記バックアイアンに取り付けられており、当該バックアイアン自体が前記冷却システムに取り付けられている、デバイス。
【請求項2】
前記単一電気モータの前記回転子は、その外面、又はその内面に、複数の前記永久磁石が、極性が交互に反転するように取り付けられたシャフトからなる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回転角を検知し、それを前記制御ユニットに供給するよう構成された第1のセンサと、前記回転子の前記軸方向位置を検知し、それを前記制御ユニットに供給するよう構成された第2のセンサとを備えている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記回転子を支え、前記回転軸に沿った線形自由度と前記回転軸周りの回転自由度を除くすべての自由度を制約するよう構成された軸受システムを備えている、請求項1~3の いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記軸受システムは、アクティブ磁気軸受システムを含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記パラメータの変化は、前記軸方向位置に応じて反比例する、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記軸方向位置には依存しないさらなるパラメータにも基づいて前記電流を決定するよう構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御ユニットは、
第1のコイル又はコイルセットの電流を
=IrΦ+Irx=Asin(n(Φ-θ))+Bcos(n(Φ-θ))として、
第2のコイル又はコイルセットの電流を
=IsΦ+Isx=Asin(n(Φ-θ)-(2π/3n))+Bcos(n(Φ-θ)-(2π/3n))として、そして
第3のコイル又はコイルセットの電流を
=-I-I=ItΦ+Itx=Asin(n(Φ-θ)+(2π/3n)) +Bcos(n(Φ-θ)+(2π/3n))として
決定するよう構成され、ここで
Aは前記軸方向位置に応じたパラメータ、nは磁極対数、Φは前記回転角、θは0と2π/nとの間のアライメント角、Bは追加パラメータである、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記単一電気モータは、直流電気モータである、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
半導体デバイスをウエハから目標位置に移送する装置であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイスと、
回転移送アセンブリの回転軸を中心に回転して半導体デバイスをピックアップ位置から 移送位置に移送し、その回転面に対して軸方向に移動可能な移送ヘッドを備えた回転移送アセンブリと、
を備え、
前記移送ヘッドの回転、又は前記移送ヘッドの軸方向の移動、又は前記移送ヘッドの回転及び移送ヘッド軸方向の移動は、前記デバイスによって行われる、
装置。
【請求項11】
前記回転移送アセンブリは、その前記移送ヘッドを前記ピックアップ位置まで回転させ、前記移送ヘッドを前記移送位置まで回転させるよう動作する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記移送位置は前記目標位置を含む、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記目標位置は、キャリア構造上への載置のために前記半導体デバイスが配置される位置を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記目標位置は、キャリアテープ上への載置のために半導体デバイスが配置される位置を含む、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記目標位置は、リードフレーム上への載置のために半導体デバイスが配置される位置を含む、請求項12~14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記回転移送アセンブリは、前記移送位置での前記半導体デバイスの移送と同時に前記軸方向に移動可能である、請求項10~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
基板のアライメントを行う装置であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイスと、
処理位置で前記基板の処理を行うため、基板を搬送方向に搬送するように動作する基板搬送装置と、
前記基板上のインデックス要素の位置を検出するように動作する基板位置検出器と、
前記インデックス要素の検出位置が、処理が発生する可能性のある前記処理位置と一致するかどうかを判断するように動作するミスアライメント検出器と、
を備え、
前記検出位置と前記処理位置とのミスアライメントの判断に応じて、前記デバイスは、前記インデックス要素の位置が前記処理位置と一致するよう、前記搬送方向に、又は前記搬送方向に対して横方向に、又は前記搬送方向及び前記搬送方向に対して横方向に、前記基板の位置を調整するように動作する、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、単一モータによって回転・並進運動を可能にするデバイスに関する。また、本発明は、そのデバイスを組み込んだ装置、及び、その装置を組み込んだ、半導体デバイスをウエハから目標位置に移動させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラシレス永久磁石アイアンレス回転モータ又は他の種類の回転モータは、トルクしか伝達できない、つまり、回転運動しか実行できない。ただし、多くの用途では、回転・並進運動が必要になる場合がある。通常、このような回転・並進運動は、2つのモータによって、又は、複雑な電子機器と制御技術を備えた特別に設計されたモータによって行われる。
【0003】
特許文献1には、修正されたブラシレス直流(DC)モータを使用する回転モータとリニアモータを組み合わせたものが開示されている。このモータは、とりわけ、回転子、モータケーシング、モータケーシングの内部円筒面に取り付けられた半径方向に等間隔の3つのコイルを備えている。回転子の角度位置θ及びその回転軸(z軸)に沿った直線位置zは、それぞれ命令値θ、zに従って制御される。これは、それに応じてコイルを駆動することにより実現される。コイルに供給される電流I、I、Iは、とりわけ、電流I、Iを検知する電流センサ、ならびに、比例積分(PI)コントローラを含むフィードバックループによって決定される。
【0004】
特許文献1には、コイルに供給される電流I、I、Iに関する明示式を開示されていない。電流I、Iは、電流フィードバックによって得られるため、電流センサによって検知する必要がある。さらに、フィードバックループを実装するにはPIコントローラが必要となる。これらのPIコントローラは動的要素であり、動作させるには調整が必要である。つまり、PIパラメータを調整する必要がある。従って、特許文献1に記載されている回転モータとリニアモータの組み合わせを動作させるには、ある程度の電子部品及び/又はソフトウェアコンポーネントが必要である。
【0005】
特許文献2には、単一モータ、いわゆる「Nフォーサモータ(N-forcer motor)」によって回転・並進運動を可能にするデバイスが開示されている。このデバイスは、直線・回転運動用のアイアンレス電気モータを備え、複数のコイル又はコイルセットを含む多相コイル配列を有する固定子と、その回転軸の方向に沿って移動可能であり、それぞれ少なくとも1つの永久磁石を含む複数の極を有する回転子とを備えていてもよい。制御ユニットは、少なくとも上記複数のコイル又はコイルセット、回転子の回転角、回転子の軸方向位置に応じたパラメータに基づいて電流を決定し、決定された電流をコイル又はコイルセットに供給してもよい。
【0006】
従来、半導体デバイスは、このような回路の複数の行列からなるマトリックスで、ウエハとも呼ばれる円形平面基板上及びその中で製造され、通常はすべて同一であり、同じ寸法を有するが、これらは必須条件ではない。ウエハ製造後、ウエハの表面は柔軟なキャリア膜に接着される。そして、キャリア膜を切断せずにウエハを一方の面から反対側の面に切断することにより、それぞれの回路を物理的に互いに分離する。これにより、キャリア膜上に配置された複数の個々の半導体デバイス又は回路(以下「チップ」又は「ダイ」ともいう)が得られる。
【0007】
通常のチップ移送装置では、チップ移送ユニットとチップフリップユニットにより半導体ウエハから半導体チップをピックアップし、半導体チップの向きを反転させて、目標位置、例えば、キャリア構造上に載置する。例えば、チップ移送ユニットにより、ウエハから集積回路(IC)ダイをピックアップし、通常はチップ移送ユニットと目標位置の間に配置されているチップフリップユニットにそのICダイを移送することができる。チップフリップユニットにより、ICダイの向きを反転させ、その反転させたICダイを目標位置に載置することができる。例えば、ウエハは、通常、アクティブ側(バンプ側、上面又は前面ともいう)がチップ移送ユニットとチップフリップユニットに向くように配置される。チップフリップユニットによってバンプ側が下になるようにICダイを反転させる間に、チップ移送ユニットによってバンプ側のICダイをピックアップし、バンプ側が下に向いた状態でその反転させたICダイを目標位置に載置する。
【0008】
各チップは、チップ移送ユニットのチップピックアップ位置にある移送ヘッドと相互作用する針機構によってキャリア膜から機械的にピックアップされ、切り離される。各チップピックアップ処理の前に、ウエハを移動させることにより、チップをチップピックアップ位置に移動させる。ピックアップ後、チップは移送ヘッドによってリードフレームに移され、そこでチップボンディング位置にある移送ヘッドから外されて、リードフレームに固定的に取り付けられる(ボンディングされる)。次に、各チップのコンタクトパッドが、ワイヤボンディング処理においてリードフレームのコンタクトピンに電気的に接続される。チップを移送する他の処理では、ピックアップ後、チップは移送ヘッドによってキャリアテープ又はチップフリップユニット(チップを反転させる場合)に移送される。
【0009】
通常、チップ移送装置のチップ移送ユニットは、多数の移送ヘッドがその上に配置された回転ヘッドを備えている。各移送ヘッドは、真空でチップをピックアップするよう動作するコレット又は真空ピペットを備えている。従って、回転ヘッドの別の移送ヘッドがチップを目標位置、例えば、キャリア構造上に配置している間に、回転ヘッドの移送ヘッドがウエハからチップをピックアップすることができる。移送処理中は、チップのハンドオーバーが2回、すなわち、ウエハから移送ヘッドへのピックアップ時と、移送ヘッドから目標位置、例えば、リードフレームやキャリアテープなどのキャリア構造への配置時とに行われることが理解されよう。
【0010】
いわゆる「フリップチップ」構成では、第2のチップ移送ユニット(すなわち、チップフリップユニット)が設けられる。従って、チップ移送ユニットの移送ヘッドは、ウエハからチップをピックアップすることができる。チップを担持した移送ヘッドをピックアップ位置からハンドオーバー位置に移動させるように回転ヘッドを回転させることにより、チップをハンドオーバー位置、すなわち、チップをチップフリップユニットの移送ヘッドに渡す位置に移送する。このハンドオーバー位置において、チップは、チップフリップユニットの移送ヘッドに渡される。その後、チップフリップユニットが動作して、チップを、例えば、目標位置に載置するように別の場所に移動することができる。フリップチップ移送処理では、さらなるハンドオーバー、すなわち、第1のチップ移送ユニットからチップフリップユニットへのハンドオーバーが必要であることが理解されよう。従って、ウエハから移送ヘッドへのピックアップと、チップ移送ユニットの移送ヘッドからチップフリップユニットの移送ヘッドへのハンドオーバーと、チップフリップユニットの移送ヘッドから目標位置への配置とを含む3回のハンドオーバーがある。
【0011】
上記のような直線・回転運動用のアイアンレス電気モータを備えたデバイスで十分であり、特定の動作条件に関しても変わらず十分である場合があるが、発明者らが認識したところでは、単一の電気モータにバックアイアンを含めることが、高速動作が必要な機器、例えば上記の「ピックアンドプレース」型装置やチップ移送装置などでNフォーサモータの性能を向上させるのに有利となり得る。また、発明者らが認識したところでは、モータにバックアイアンを設けると、磁束密度および関連する力T、Fz(線形運動及び回転運動を実現する力)が増加し、同じ入力電力に対して、上記モータによってより大きな力とトルクが生成されることになり、スペースが限られた用途において、及び/又は、より高い生産性/速度を達成するのに有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第6429611号明細書
【文献】欧州特許第2412086号明細書
【0013】
本発明は、上記を念頭に置いてなされたものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、多相コイル配列を含み、複数のコイル又はコイルセットを備える固定子と、その回転軸の軸方向に移動可能であり、少なくとも1つの永久磁石をそれぞれ含む複数の極を有する回転子と、計算式によって、少なくとも上記複数のコイル又はコイルセットのコイル数又はコイルセット数と、回転子の回転角と、回転子の軸方向位置に応じたパラメータとに基づいて電流(I,I,I)を決定するように動作する制御ユニットとを備える、直線・回転運動のための単一モータを備えるデバイスであって、各電流(I,I,I)は、トルクを生成する電流成分(IrΦ,IsΦ,ItΦ)と、軸力を生成する電流成分(Irx,Isx,Itx)とを有し、決定した電流を開ループで上記個数のコイル又はコイルセットに供給し、電流の合計はゼロであり、さらに、上記固定子と回転子のうちの少なくとも1つがバックアイアンを含む、デバイスが提供される。
【0015】
上記デバイスの単一電気モータにバックアイアンを設けることにより、バックアイアンのないモータよりも効率的なモータが提供され、同じ入力電力に対してより大きな力とトルクを生成することが可能となる。これは、スペースが限られた用途、及び/又は、高い生産性/速度を実現するのに有利となり得る。これにより、デバイスがチップ移送装置で用いられる場合に、チップに対して比較的高速のチップ移送装置やフリップチップ移送装置を提供し得る。
【0016】
必要に応じて、上記単一電気モータは、外部回転子トポロジと内部回転子トポロジのうちの1つを含んでいてもよい。
【0017】
必要に応じて、上記デバイスは、上記回転角を検知し、それを上記制御ユニットに供給するよう構成された第1のセンサと、上記回転子の上記軸方向位置を検知し、それを上記制御ユニットに供給するよう構成された第2のセンサとを備えていてもよい。
【0018】
必要に応じて、上記デバイスは、上記回転子を支え、上記回転軸に沿った線形自由度と上記回転軸周りの回転自由度を除くすべての自由度を制約するよう構成された軸受システムを備えていてもよい。
【0019】
必要に応じて、上記軸受システムは、アクティブ磁気軸受システムを備えてもよい。
【0020】
必要に応じて、上記パラメータの変化は、上記軸方向位置に応じて反比例してもよい。
【0021】
必要に応じて、上記制御ユニットは、上記軸方向位置には依存しないさらなるパラメータにも基づいて上記電流を決定するよう構成されていてもよい。
【0022】
必要に応じて、上記制御ユニットは、第1のコイル又はコイルセットの電流をI=IrΦ+Irx=Asin(n(Φ-θ))+Bcos(n(Φ-θ))として、第2のコイル又はコイルセットの電流をI=IsΦ+Isx=Asin(n(Φ-θ)-(2π/3n))+Bcos(n(Φ-θ)-(2π/3n))として、そして第3のコイル又はコイルセットの電流をI=-I-I=ItΦ+Itx=Asin(n(Φ-θ)+(2π/3n))+Bcos(n(Φ-θ)+(2π/3n))として決定するよう構成されていてもよい。ここで、Aは軸方向位置に応じたパラメータ、nは磁極対数、Φは回転角、θは0と2π/nとの間のアライメント角、Bは追加パラメータである。
【0023】
必要に応じて、上記電気モータは、直流電気モータであってもよい。
【0024】
本発明の別の態様によれば、半導体デバイスをウエハから目標位置に移送する装置が提供される。この装置は、上記及び以下に示すデバイスと、回転移送アセンブリの回転軸を中心に回転して半導体デバイスをピックアップ位置から移送位置に移送し、その回転面に対して軸方向に移動可能な移送ヘッドを備えた回転移送アセンブリとを備え、移送ヘッドの回転及び/又は軸方向の移動は、上記装置によって行われる。
【0025】
必要に応じて、上記回転移送アセンブリは、その移送ヘッドを上記ピックアップ位置まで回転させ、移送ヘッドを上記移送位置まで回転させるよう動作する。
【0026】
必要に応じて、上記移送位置は上記目標位置を含み、及び/又は、必要に応じて、上記目標位置は、キャリア構造上への載置のために上記半導体デバイスが配置される位置を含み、及び/又は、必要に応じて、上記目標位置は、キャリアテープ上への載置のために半導体デバイスが配置される位置を含み、又は、必要に応じて、上記目標位置は、リードフレーム上への載置のために半導体デバイスが配置される位置を含む。
【0027】
必要に応じて、上記回転移送アセンブリは、上記移送位置での上記半導体デバイスの移送と同時に上記軸方向に移動可能であってもよい。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、基板のアライメントを行う装置が提供される。この装置は、上記及び以下に示すデバイスと、処理位置で上記基板の処理を行うため、基板を搬送方向に搬送するように動作する基板搬送装置と、上記基板上のインデックス要素の位置を検出するように動作する基板位置検出器と、そのインデックス要素の検出された位置が、処理が発生する可能性のある上記処理位置の所望の位置と一致するかどうかを判断するように動作するミスアライメント検出器とを備え、上記検出位置と上記所望位置とのミスアライメントの判断に応じて、上記デバイスは、上記インデックス要素の位置が上記所望位置と一致するよう、上記搬送方向及び/又は上記搬送方向に対して横方向に上記基板の位置を調整するように動作する。
【0029】
本発明の態様による1つ又は複数の特定の実施形態を、ほんの一例として、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の1つ又は複数の実施形態に係るデバイスの配置を示す概略ブロック図である。
図2図2は、デバイス内のコイル及び極の構成を示す概略図である。
図3図3は、デバイスの軸受システムと回転子を示す概略断面図である。
図4図4は、第1の動作状態にあるデバイス内の電気モータを示す概略図である。
図5図5は、第2の動作状態にあるデバイス内の電気モータを示す概略図である。
図6図6は、デバイスの電気モータの断面を示す概略図であり、電気モータは、回転子バックアイアンを有する内部回転子トポロジを含む。
図7図7は、デバイスの電気モータの断面を示す概略図であり、電気モータは、固定子バックアイアンを有する内部回転子トポロジを含む。
図8図8は、デバイスの電気モータの断面を示す概略図であり、電気モータは、回転子バックアイアンと固定子バックアイアンを有する内部回転子トポロジを含む。
図9図9は、デバイスの電気モータの断面を示す概略図であり、電気モータは、回転子バックアイアンを有する外部回転子トポロジを含む。
図10図10は、デバイスの電気モータの断面を示す概略図であり、電気モータは、固定子バックアイアンを有する外部回転子トポロジを含む。
図11図11は、デバイスの電気モータの断面を示す概略図であり、電気モータは、回転子バックアイアンと固定子バックアイアンを有する外部回転子トポロジを含む。
図12図12は、本発明の1つ又は複数の実施形態に係るデバイスを含む装置を組み込んだ、半導体デバイスをウエハから目標位置に移動するシステムを示す概略ブロック図である。
図13図13は、半導体デバイスをウエハからターゲットに移送するシステムを概略的に示す図である。
図14図14は、システムにより実施されるアライメントチェック動作を概略的に示す図である。
図15図13に示すシステムのサイクルの例を示す図である。
図16図13に示すシステムのサイクルの例を示す図である。
図17図13に示すシステムのサイクルの例を示す図である。
図18図18は、本発明の1つ又は複数の実施形態に係るデバイスを組み込んだ、半導体デバイスをウエハからキャリア構造に移送する装置を示す図である。
図19】直線・回転運動のために電気モータを制御する方法の基本的なステップを示すフローチャートである。
図20図20は、この方法のソフトウェアベースの実装例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、1つ又は複数の実施形態に係るデバイス10の配置を示す概略ブロック図である。このデバイス10は、固定子14と回転子16を含む電気モータ12を備えていてもよく、その固定子14と回転子16の少なくとも一方にバックアイアンが配置される。このモータは、例えば、直流(DC)モータなどのほぼコギングフリーの電気モータである。固定子14は、複数の3つのコイル(3、6、9、…)を備えていてもよい。回転子16は、永久磁石回転子であってもよい。電気モータ12は、回転モータを含む。
【0032】
このデバイス10は、制御ユニット18、第1のセンサ20、第2のセンサ22をさらに備えていてもよい。制御ユニット18は、固定子14のコイル又はコイルセットに供給される電流を決定してもよい。第1のセンサ20は、回転子16の回転角を検知可能である。第2のセンサ22は、回転子16の軸方向位置や変位を検知可能である。
【0033】
図2は、本例のデバイス10のコイル及び極の構成を示す概略図である。このような描写は、軸に沿って片側で電気モータ12を切断して開くことにより得られる。固定子14は、多数のコイル又はコイルセットを含む多相コイル配列を有していてもよい。本例のデバイス10では、固定子14は、第1のコイル又はコイルセット24、第2のコイル又はコイルセット26、第3のコイル又はコイルセット28を備えていてもよい。図2では単一の第1~第3コイル24、26、28が示されているが、それぞれのコイルセットであってもよい。本例のデバイス10の電気モータ12は三相モータであってもよく、複数の3つのコイルが設けられてもよい。
【0034】
回転子16は、多数の極30を有していてもよい。これらの極30は、それぞれ少なくとも1つの永久磁石を含んでいてもよい。図2に示す構成では、永久磁石をそれぞれ含む極が4つある。pで示される両矢印は、極30間のピッチ、すなわち、磁石ピッチを示す。これは、p=π/nとして表すことができ、nは磁極対数を示す。Φで示される矢印は、回転子16の回転角をラジアン(rad)で示す、すなわち、回転子16の角度位置又は円周に沿った変位を示す。xで示される矢印は、回転子16の回転軸に沿った変位を示し、回転軸の方向も示す。
【0035】
図3は、本例のデバイス10における軸受システム34と回転子16を示す概略断面図である。回転子16は、回転軸32を中心に回転可能である。回転子16は、軸受システム34によって支えられてもよい、すなわち、軸受システム34によってその回転軸32をガイド又は支持可能である。軸受システム34は、回転軸32に沿った線形自由度及び回転軸32を中心とした回転自由度を除くすべての自由度を制限してもよい。軸受システム34は、例えば、アクティブ磁気軸受システムであってもよい。
【0036】
図4は、第1の動作状態にある本例のデバイス10の電気モータ12を示す概略図である。図4に示すように、回転子16は、通常、3の倍数(3、6、9、…)である固定子14のコイルの中心に配置してもよい。このようにして、これらのコイルの端部効果を相殺可能である。
【0037】
図5は、第2の動作状態にある本例のデバイス10の電気モータ12を示す概略図である。図5に示すように、回転子16は、回転軸32に沿ってシフト可能である。その結果、コイルの端部効果はもはや相殺できなくなり、増加する可能性がある。通常の回転運動及び/又はトルクの場合、3つの相関電流を適切なコイルに印加することができる。異なる相関電流を印加することにより、コイルの端部効果による軸力が支配的になる場合がある。すなわち、回転子16の位置シフトは、例えば、復元力などのx力を与えることを可能にする。従って、トルク及び軸力は、互いにほぼ独立して制御し得る。これについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0038】
上述したように、電気モータ12や他の三相モータには3つのコイル(又は3の倍数のコイル)24、26、28があってもよい。3つのコイル又はコイルセット24、26、28のそれぞれの電流は、回転子16の位置から導出することができる。すなわち、コイル又はコイルセット24、26、28に供給される電流は、制御ユニット18によって回転子16の回転角に基づいて決定してもよい。回転子16の回転角は、第1のセンサ20によって検知することができる。
【0039】
第1のコイル又はコイルセット24の電流は、Iで示され得る。第2のコイル又はコイルセット26の電流は、Iで示され得る。第3のコイル又はコイルセット28の電流は、Iで示され得る。これらの各電流I、I、Iは、2つの各部分又は成分を含むことができる。すなわち、電流I、I、Iは、以下の式により決定又は計算してもよい。
【0040】
=IrΦ+Irx・・・(1)
=IsΦ+Isx・・・(2)
=ItΦ+Itx・・・(3)
【0041】
rΦ、IsΦ、ItΦは、トルク、つまりΦ方向の力FΦを生成する電流成分であり、Irx、Isx、Itxは、軸力、すなわち、x方向の力Fを生成する電流成分である。これらの成分は、以下の式により決定又は計算可能である。
【0042】
rΦ=Asin(n(Φ-θ))・・・(4)
sΦ=Asin(n(Φ-θ)-2π/3n)・・・(5)
tΦ=-IrΦ-IsΦ=Asin(n(Φ-θ)+(2π/3n)・・・(6)
rx=Bcos(n(Φ-θ))・・・(7)
sx=Bcos(n(Φ-θ)-2π/3n)・・・(8)
tx=-Irx-Isx=Bcos(n(Φ-θ)+(2π/3n)・・・(9)
【0043】
上記式において、Aは、回転子16の軸方向位置xと必要なトルクに依存し、回転子16の回転角に依存しないパラメータであってもよい。すなわち、IrΦ=A(x)sin(n(Φ-θ))、IsΦ=A(x)sin(n(Φ-θ)-2π/3n)、ItΦ=A(x)sin(n(Φ-θ)+(2π/3n)が適用され得る。回転子16の軸方向位置は、第2のセンサ22により検知可能である。
【0044】
値nは、磁極対数を示す。値Φは、回転子16の回転角をラジアン(rad)で示す、すなわち、回転子16の角度位置又は円周に沿った変位を示すことができる。値θは、転流角を電気モータ12の磁気トラック内の磁場の磁気角と整列させるアライメント角を示していてもよい。このアライメント角は、0から2π/nの値を取ることができる。Bは、回転子16の軸方向位置とその回転角の両方に依存せず、かつ、必要な力に依存し得る追加パラメータであってもよい。
【0045】
式(4)~(6)から分かるように、電流間の関係は、磁石ピッチpの2倍を磁極対数nの3倍で割った位相シフトであってもよい。アライメント処理後、ΦはFΦが最大になる点でゼロであるといえる。この場合、Fはゼロになる可能性がある。角度位置と電流の関係が2p/(n4)を超えると、式(7)~(9)により計算した電流が得られる。この場合、FΦはゼロになる可能性があり、Fは最大になることがある。
【0046】
一方の式(4)~(6)と他方の式(7)~(9)で定められた電流セットを追加することができる(正弦及び余弦)。その結果、FΦとFが混在する場合がある。例えば、合力Fは、以下の式により決定又は計算することができる。
【0047】
F=CFΦ+DF=CFΦ(IrΦ,IsΦ,ItΦ)+DF(Irx,Isx,Itx) (10)
【0048】
ΦとFは、互いにほぼ独立して制御し得る。従って、電気モータ12は、トルクだけでなくその軸に沿った力も伝達することができ、トルクと軸力は互いに独立して設定することができる。そのために、さらなる整流を行うことができる。
【0049】
図6図11は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は異なるトポロジを含む。図6は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は、回転子バックアイアン42を有する内部回転子トポロジを含む。図7は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は、固定子バックアイアン44を有する内部回転子トポロジを含む。図8は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は、回転子バックアイアン42と固定子バックアイアン44を有する内部回転子トポロジを含む。図9は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は、回転子バックアイアン42を有する外部回転子トポロジを含む。図10は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は、固定子バックアイアン44を有する外部回転子トポロジを含む。図11は、デバイス10の電気モータ12の断面を示す概略図であり、電気モータ12は、回転子バックアイアン42と固定子バックアイアン44を有する外部回転子トポロジを含む。
【0050】
図6図11に示す電気モータ12では、電気モータ12は、冷却システム36、絶縁層38、固定子14と回転子16との間の空隙40を備えている。
【0051】
モータ12の固定子14は、(固定子バックアイアンがある場合)冷却システム36に取り付けられた、又は(固定子バックアイアンがない場合)絶縁層38を介して冷却システム36に取り付けられた固定子バックアイアン44に絶縁層38を介して取り付けられたコイル24、26、28を含む。
【0052】
モータ12の回転子16は、(内部回転子トポロジでは)その外面に、又は、(外部回転子トポロジでは)その内面に、交互の極性の磁石が取り付けられたシャフトを有している。回転子バックアイアン42がある場合、磁石は回転子バックアイアン42に取り付けられる。必要に応じて、磁石の湾曲した磁化と平行な磁化の両方を採用してもよい。また、必要に応じて、磁石の形状は、長方形及び/又は湾曲していてもよい。さらに、必要に応じて、磁石はネオジム鉄ホウ素磁石を含んでいてもよい。さらに、必要に応じて、ハルバッハ磁石アレイを採用してもよい。必要に応じて、ソリッド回転子バックアイアンが採用される。
【0053】
必要に応じて、冷却システムは水冷システムであってもよい。また、必要に応じて、固定子バックアイアン44の材料は、電気積層鋼を含んでいてもよい。さらに、必要に応じて、コイルはカプセル化され、絶縁層に取り付けられていてもよい。制御目的で、多相巻線を採用してもよい。
【0054】
内部回転子トポロジの例(図6図8)では、回転子16は回転可能なシャフトを備え、固定子14は回転子16が配置される穴を有するシャフトを備えている。固定子14は、回転子16に対して、2自由度軸受、又は、複数の1自由度軸受(例えば、ボールブッシュ軸受や板ばね軸受)の組み合わせで取り付けられていてもよい。
【0055】
外部回転子トポロジの例(図9図11)では、回転子16は、固定子14が配置される穴を有する回転可能なシャフトを備えている。この場合も同様に、固定子14は、回転子16に対して、2自由度軸受、又は、複数の1自由度軸受(例えば、ボールブッシュ軸受や板ばね軸受)の組み合わせで取り付けられていてもよい。
【0056】
図12は、本発明の1つ又は複数の実施形態に係る、半導体デバイスをウエハから目標位置に移送するシステム100を示す概略ブロック図である。目標位置は、リードフレームやキャリアテープなどのキャリア構造に又はその上にある。このシステム100は、装置102、ウエハ保持装置112、キャリア移動機構114、アライメント監視装置116、コントローラ118を備えている。
【0057】
装置102は、2つの回転移送アセンブリ104-1、104-2、上述のデバイス10、ピックアップ装置アクチュエータ110を備えている。デバイス10は、移送アセンブリの直線・回転運動を生じさせるモータを備え、ピックアップ装置アクチュエータ110は、2つの回転移送アセンブリのピックアップ部の動きを生じさせる駆動装置を備えている。デバイス10とピックアップ装置アクチュエータ110とによって、コントローラ118からの制御信号の受信に応じて動きを生じさせる。
【0058】
このシステム100は、半導体デバイスのパッケージングに使用可能である。例えば、システム100によって、半導体デバイスをウエハから目標位置、例えば、リードフレームやキャリアテープなどのキャリア構造に移送することができる。システム100によって移送可能な半導体デバイスの例には、集積回路(IC)チップ、ICダイ、その他のICモジュールが含まれるが、これらに限定されるものではない。ICダイのサイズは、任意の適切な範囲にすることができる。装置102の回転移送アセンブリ104-1、104-2によって、ウエハ保持装置112によって保持されたウエハから、キャリア移動機構114に位置するキャリア構造の表面へと半導体デバイスが移送される。各回転移送アセンブリは、少なくとも2つの移送ヘッドを有していてもよく、各移送ヘッドにより一度に1つの半導体デバイスが移送される。回転移送アセンブリ104-1、104-2は、その上にピックアップ装置(例えば、コレット)を使用して、吸引、力又は他の適用可能な手段により、半導体デバイスをピックアップして保持することができる。
【0059】
デバイス10とピックアップ装置アクチュエータ110は、回転移送アセンブリ104-1、104-2の移送ヘッドの位置を制御するように動作する。この位置決めについては、図18を参照してさらに詳しく説明する。
【0060】
システム100のウエハ保持装置112は、少なくとも1つの回転移送アセンブリ104-1、104-2による半導体デバイスのピックアップの代わりに、多数の半導体デバイス(例えば、その上に製造されたICダイやチップ及び半導体パッケージ)を含むウエハを保持するよう構成されている。
【0061】
システム100のキャリア移動機構114によって、キャリア構造(例えば、リードフレームやキャリアテープ)の配置又は移動が行われる。キャリア移動機構114は、キャリア構造が供給されるチャネルを有していてもよい。キャリア構造は、半導体デバイスが載置される接合面を備えていてもよい。キャリア構造の例には、リードフレームおよびキャリアテープが含まれるが、これらに限定されるものではない。キャリア移動機構114は、半導体デバイスが載置される位置をキャリア構造が連続的に変更できるような移動プラットフォーム(例えば、搬送システム)であってもよい。キャリア移動機構の例としては、オープンリール式リードフレームインデクサ、ストリップ間インデクサ、オープンリール式キャリアテープインデクサが挙げられる。
【0062】
システム100のアライメント監視装置116は、ウエハ保持装置112のウエハからキャリア移動機構114に位置するキャリア構造への移送処理中に、移送アセンブリ104-1、104-2の移送ヘッドのピックアップ装置のアライメントをチェックするよう構成されている。アライメント監視装置116は、ピックアップ装置のアライメントを光学的にチェックしてもよい。1つ又は複数の実施形態において、アライメント監視装置116は、コントローラによって制御される機械視覚システム(例えば、CMOSカメラなどの光学システム)を含んでいてもよい。アライメント監視装置116は、ウエハ保持装置112でウエハから半導体デバイスをピックアップする前、半導体デバイスの移送中、半導体デバイスをキャリア構造上への載置の前、及び/又は、半導体デバイスがキャリア構造上に載置された後にピックアップ装置のアライメントをチェックすることができる。
【0063】
システム100のコントローラ118によって、デバイス10を制御して、回転移送アセンブリ104-1、104-2を回転させる、例えば、デバイス10に回転移送アセンブリ104-1、104-2を駆動させ、ウエハ保持装置112にあるウエハからキャリア移動機構114に位置するキャリア構造の接合面へと半導体デバイスを移送させる。さらに、コントローラ118は、アライメント監視装置116によって得られた位置データの受信に応じて、回転移送アセンブリ104-1、104-2の回転運動を調整するよう動作する。また、コントローラ118は、アライメント監視装置116によって得られた位置データの受信に応じて、デバイス10を制御し、回転移送アセンブリ104-1、104-2を軸方向に移動させる。すなわち、軸方向アクチュエータ106によって、移送アセンブリの1つ又は複数の移送ヘッドの回転面に対して、回転移送アセンブリを軸方向に移動させる。さらに、コントローラ118は、アライメント監視装置116によって得られた位置データの受信に応じて、ピックアップ装置アクチュエータ110を制御し、1つ又は複数のピックアップ装置を径方向に移動させるよう動作可能である。
【0064】
従って、コントローラ118は、接線方向、径方向、及び/又は、軸方向に、回転移送アセンブリ104-1、104-2の1つ又は複数のピックアップ装置の位置を調整することができる。
【0065】
図13は、回転移送アセンブリ104-1、104-2の中心が、キャリア移動機構114によって位置決めされたキャリア構造120の接合面が延在する平面と平行に位置決めされるシステム100を示す。図13に概略的に示される半導体デバイス移送システム100では、2つの回転移送アセンブリ104-1、104-2によって、ウエハ保持デバイス112が保持するウエハから、キャリア移動機構によって位置決めされたキャリア構造120の接合面124へと半導体デバイス122(例えば、ICチップ又はダイ)が移送される。アライメント監視装置116-1、116-2、116-3によって、異なる位置での半導体デバイスの移送をチェックする。回転移送アセンブリ104-1、104-2の回転中心126-1、126-2は、図13に示される点線128に位置している(図示の実施形態では回転中心126-1、126-2の水平方向のアライメントを示すため、すなわち、中心が同じ平面にあることを示すため)。他の実施形態では、回転移送アセンブリの回転軸は、水平に整列する必要はない。
【0066】
ウエハ保持装置112によって保持されたウエハは、第1の平面130に配置され、その平面内で移動可能である。目標位置が存在する表面(例えば、キャリア構造の表面)は、任意に点線128に平行であり、任意に第1の平面130に垂直であってもよい第2の平面132に延在している。符号134は、半導体デバイスがウエハからピックアップされ、回転移送アセンブリ104-1、104-2によってキャリア構造に移送される第3の平面(すなわち、デバイス移送面)を示す。この第3の平面134は、必要に応じて、第1の平面130と第2の平面132に垂直であってもよい。図13に示す回転移送アセンブリ104-1、104-2とアライメント監視装置116-1、116-2、116-3は、図12のブロック図に概略的に示された回転移送アセンブリ104-1、104-2とアライメント監視装置116の例である。
【0067】
各回転移送アセンブリ104-1、104-2は、複数の移送ヘッドを有し、移送ヘッドは、任意の適切な個数であればよい(例えば、4つ又は8つの移送ヘッド)。図2に示す例では、回転移送アセンブリ104-1は4つの移送ヘッド136-1、136-2、136-3、136-4を有し、回転移送アセンブリ104-2も4つの移送ヘッド136-5、136-6、136-7、136-8を有している。
【0068】
一般に、4ヘッド構成は、4×90度の増分移動で移動し、半導体ダイの移送サイクルが完了する。90度移動するたびに、例えば、3時のピックアップ、12時のダイ検査、9時のダイハンドオーバなどといった処理が実行される。各移送ヘッドによって、一度に1つの半導体デバイスが移送される。例えば、移送サイクル内では、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-1によって第1の半導体デバイスのピックアップを行い、移送ヘッド136-2によって第2の半導体デバイスの移送を行い、移送ヘッド136-3によって第3の半導体デバイスの移送を行い、移送ヘッド136-4によって第4の半導体デバイスの移送を行うことができる。第2の回転移送アセンブリ104-2を回転移送アセンブリ104-1の隣、かつ、キャリア構造120の接合面124と平行に配置することにより、移送プロセスにおける半導体デバイスの回転がキャリア構造と平行になる。その結果、非フリップ半導体移送システムと同様の速度及び同様の処理で、半導体デバイスのフリップ機能を有効化することができる。
【0069】
アライメント監視装置116-1、116-2、116-3は、システム100内の異なる位置に配置され、それにより異なる位置での半導体デバイスの移送をチェックする。具体的には、アライメント監視装置116-1は、回転移送アセンブリ104-1と回転移送アセンブリ104-2の間に配置され、それにより移送(ハンドオーバー)位置で回転移送アセンブリ104-1、104-2の移送ヘッドのアライメントをチェックする。このチェックによって、ある移送アセンブリの移送ヘッドが別の移送アセンブリの移送ヘッドと整列しているかどうかを判断し、及び/又は、両方の移送アセンブリの移送ヘッドが移送位置の目標位置に整列しているかどうかを判断してもよい。
【0070】
アライメント監視装置116-2は、回転移送アセンブリ104-1を監視するために配置され、それによりピックアップ位置及び/又は移送位置での移送ヘッドの整列をチェックすることができる。このチェックにより、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッドがピックアップ位置の目標位置と整列しているかどうかを判断することができる。このチェックにより、必要に応じて、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッドが他の回転可能な移送アセンブリ104-2の移送ヘッド、及び/又は、移送位置の目標位置と整列しているかどうかを判断してもよい。
【0071】
アライメント監視装置116-3は、回転移送アセンブリ104-2を監視するために配置され、それにより移送(ハンドオーバ)位置及び/又はダイ配置位置、すなわち、キャリア構造120上への載置のためにダイが配置されている位置での移送ヘッドのアライメントをチェックすることができる。このチェックにより、回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッドがダイ載置位置の目標位置と整列しているかどうかを判断することができる。このチェックは、必要に応じて、回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッドが他の回転可能な移送アセンブリ104-1の移送ヘッド、及び/又は、移送位置の目標位置と整列しているかどうかを判断してもよい。
【0072】
アライメント監視装置116-1、116-2、116-3は、例えば、ピックアップ位置、ハンドオーバー位置、ダイ載置位置に光を照射し、該位置でのその光の反射を移送ヘッドによってチェックすることにより、移送ヘッドのアライメントを光学的にチェックすることができる。
【0073】
図14は、アライメントチェック工程が実行される場合の図13のシステム100を示す図である。このチェック工程により、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッドがピックアップ位置の目標位置と整列しているかどうか、1つの移送アセンブリの移送ヘッドが別の移送アセンブリの移送ヘッドと整列し、及び/又は、両方の移送アセンブリの移送ヘッドが移送位置の目標位置と整列しているかどうか、回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッドがダイ載置位置の目標位置と整列しているかどうかを判断することができる。
【0074】
図14に示すように、アライメント監視装置116-2は、ピックアップ位置138でのウエハ保持装置112に対する回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-1、136-2、136-3、136-4のアライメントをチェックする。アライメント監視装置116-2は、ウエハ保持装置112に対する回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-1、136-2、136-3、136-4のアライメントを光学的にチェックする。例えば、アライメント監視装置116-2は、光140をピックアップ位置のある領域に向けて照射し、移送ヘッド136-2がピックアップ位置と整列しているかどうかを判断するよう、その領域からの光の反射をチェックすることにより、回転移送アセンブリ104-1の転写ヘッド136-1、136-2、136-3、136-4のアライメントをチェックする。このアライメントチェック工程で移送ヘッド136-2(ひいては回転移送アセンブリ104-1)がピックアップ位置と適切に整列していないと判断した場合、コントローラ118は、アライメント監視装置116-2から受信した位置データを含む信号に応答して、デバイス10かピックアップ装置アクチュエータ110の少なくとも一方にアライメント信号を伝達し、回転移送アセンブリ(及び/又はその一部)を軸方向(すなわち、図のページに出入りする方向)、接線方向(すなわち、移送アセンブリ104-1を回転させることによる)、径方向(すなわち、移送ヘッドのピックアップ装置の先端を動かすことによる)の少なくとも1つの方向に移動させる。
【0075】
移送位置(すなわち、ダイが回転移送アセンブリ104-1から回転移送アセンブリ104-2にハンドオーバーされる位置)でのアライメントチェックは、アライメント監視装置116-1によって実行される。例えば、アライメント監視装置116-1は、回転移送アセンブリ104-1、104-2のアライメントを(それらの移送ヘッドが同じ平面内で回転するように配置されるよう)光学的にチェックする。これは、移送位置の領域で光142-1を照射し、移送ヘッド136-4、136-6が移送位置と、かつ、互いに整列しているかどうかを判断するようその領域からの光の反射をチェックすることにより行われる。アライメントチェック工程により、移送ヘッド136-4、136-6(ひいては回転移送アセンブリ104-1、104-2)の一方又は両方が移送位置と適切に整列していないと判断した場合、コントローラ118は、アライメント監視装置116-1から受信した位置データを含む信号に応答して、アライメント信号をデバイス10とピックアップ装置アクチュエータ110の少なくとも一方に伝達して、回転移送アセンブリ104-1及び/又は104-2(及び/又はその一部)を軸方向(すなわち、図の紙面に出入りする方向)、接線方向(すなわち、移送アセンブリ104-1及び/又は104-2を回転させることによる)、径方向(すなわち、移送ヘッドのピックアップ装置の先端を動かすことによる)の少なくとも1つの方向に移動させる。
【0076】
目標位置、例えば、載置位置(すなわち、ダイがキャリア構造120上に載置される位置)でのアライメントチェックは、アライメント監視装置116-3によって実行される。例えば、アライメント監視装置116-3は、回転移送アセンブリ104-2のアライメントを光学的にチェックする。これは、移送ヘッド136-7が載置位置と整列しているかどうかを判定するよう、載置位置の領域に光144を照射することにより行われる。アライメントチェック工程により、移送ヘッド136-7(ひいては回転移送アセンブリ104-2)が載置位置と適切に整列していないと判断した場合、コントローラ118は、アライメント監視装置116-3から受信した位置データを含む信号に応答して、アライメント信号をデバイス10とピックアップ装置アクチュエータ110の少なくとも一方に伝達して、回転移送アセンブリ104-2(及び/又はその一部)を軸方向(すなわち、図の紙面に出入りする方向)、接線方向(すなわち、移送アセンブリ104-2を回転させることによる)、径方向(すなわち、移送ヘッドのピックアップ装置の先端を動かすことによる)の少なくとも1つの方向に移動させる。
【0077】
図14に示すアライメントチェック工程により、回転移送アセンブリ104-1、104-2が適切に整列していると判断した後、半導体デバイスがウエハからピックアップされる。
【0078】
図15は、半導体デバイスが回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-3によってウエハからピックアップされた直後のシステム100を示す。図15に示すように、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-3が回転して半導体デバイスをピックアップ位置から搬送する。回転移送アセンブリ104-1をさらに回転させることで、移送ヘッド136-4をチップピックアップ位置まで回転させて、別の半導体デバイスをピックアップする。この移送移動において、移送ヘッド136-2は、9時のダイ移送位置にインデックスされる。
【0079】
半導体デバイス122がウエハ保持デバイス112からピックアップされた後、回転移送アセンブリ104-1を回転させて、半導体デバイスを回転移送アセンブリ104-2に移送する。
【0080】
図16は、半導体デバイスが回転移送アセンブリ104-1から回転移送アセンブリ104-2に移送される半導体デバイス移送工程を示す。図16に示すように、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-3は、移送(すなわち、ハンドオーバー又はチップフリップ)位置148まで回転され、そこから半導体デバイスが回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッド136-7によってピックアップされる。1つ又は複数の実施形態において、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッド136-3は、ピックアップ位置138から移送位置148まで180度回転される。
【0081】
半導体デバイス122が回転移送アセンブリ104-2に移送された後、回転移送アセンブリ104-2を回転させて、半導体デバイスをキャリア構造120上に載置する。半導体デバイス(例えば、半導体ダイ)は、ダイボンディング処理の水平ボンディングパッド上に載置することができる。あるいは、半導体デバイス(例えば、半導体チップ又はクアッドフラットノーリード(QFN)パッケージ)は、ダイソート又はテーピング処理のブリスターテープやキャリアテープのキャビティに載置することができる。
【0082】
図17は、半導体デバイス122が回転移送アセンブリ104-2からキャリア構造の接合面124に移送される前のシステム100を示す。図17に示すように、回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッド136-7を回転させて、半導体デバイスをキャリア構造の接合面上の開口部150(例えば、ギャップ又は穴)に入れる。いくつかの実施形態において、カバー層146(例えば、テープ層)がその開口部を覆って(例えば、その上に転がって)半導体デバイスをキャリア構造120内に密封する。
【0083】
図18は、図13の回転移送アセンブリ104-1の実施形態を示す。回転移送アセンブリ104-1は、4つの移送ヘッド136-1、136-2、136-3、136-4を含む。回転移送アセンブリは、軸152を中心に回転するよう構成され、デバイス10によって時計回り又は逆時計回り(反時計回り)に駆動されて、移送アセンブリの動作運動と、移送アセンブリの補正運動(すなわち、図の矢印Tで示す、位置補正のための移送ヘッドの小さな運動)を制御する。ウエハ155上のチップ120の表面は、チップピックアップ位置で移送ヘッド136に対向して配置される。回転アセンブリの動作において、チップ120は、移送ヘッド136-1によってウエハ155からピックアップされ、2つのインデックス工程後、移送、ハンドオーバー又はチップフリップ位置まで(すなわち、図の移送ヘッド136-3が占める位置まで)まで回転される。図13に示す回転移送アセンブリ104-2は、図18に示す回転移送アセンブリ104-1と同一又は同様に実装することができる。
【0084】
回転移送アセンブリ104-1では、各移送ヘッド136-1、136-2、136-3、136-4は、それぞれアーム156a~156d、一対の平行な板バネ158、ブロック160a~160d、コレット162a~162d、アーム164a~164d、圧力バネ166a~166dを備えている。各コレット162a~162dは、(図では矢印Rで示される)軸152に対して直角に径方向に短距離にわたって前後に移動可能である。この径方向の動きは、ピックアップ装置アクチュエータ110から受信した信号に応答して制御されるモータ154によって生じる(図12を参照)。
【0085】
移送ヘッドは、軸152を中心にアセンブリを駆動させるのに用いられるデバイス10に接続される。各アーム156a~156dは、回転移送アセンブリから軸152まで基本的には径方向に延在する。アーム156a~156dのそれぞれの端部に、またはその近位に、一対の平行な板バネ158の端部が固定して取り付けられ、一対の板バネ158の両端によりブロック160a~160dがそれぞれ支持される。各ブロック160a~160dでは、コレット162a~162dがそれぞれ固定的に取り付けられている。コレット162a~162dは、吸引、力又は他の適用可能な方法により、半導体デバイス120(例えば、ICチップ又はダイ)をピックアップして保持するのに用いられる。このコレットは、必要に応じて、ピックアップ開口部の圧力を変化させることにより半導体デバイスをピックアップ、保持、解放する少なくとも1つのピックアップ開口部を有していてもよい。コレットが半導体デバイスのピックアップ位置にあるとき、ピックアップ開口部が半導体デバイスに近接し、開口部に低圧(例えば真空)が発生し、それにより開口部に対して半導体デバイスが吸引される。低圧を維持しながら、半導体デバイスはコレットによって別のチップ移送位置に移送され、ピックアップ開口部により高い圧力を加えることにより解放することができる。
【0086】
各移送ヘッドには、それぞれ、回転移送アセンブリから軸152に基本的に径方向に延在するアーム164a~164dも含まれる。圧力ばね166a~166dは、アーム164a~164dの端部と各ブロック160a~160dの間に取り付けられている。
【0087】
移送ヘッド136-1のブロック160aは、ワイヤ168によって移送ヘッド136-3のブロック160cに接続され、移送ヘッド136-2のブロック160bは、移送ヘッド136-4のブロック160dに接続される。ワイヤ168は、モータに駆動される回転シャフトに接続されたレバーに固定的に接続、例えば、締め付けられている。
【0088】
コントローラ(図示せず)は、アライメント監視装置116からの信号の受信に応答して、アライメント処理を開始して、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッドとピックアップ位置の目標位置及び/又は移送位置とのアライメントを行うように機能する。移送位置が第2の回転移送アセンブリへのハンドオーバー位置である場合、コントローラは、アライメント処理を開始して、回転移送アセンブリ104-1の移送ヘッドと第2の回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッドとのアライメント、第2の回転移送アセンブリ104-2の移送ヘッドと載置位置とのアライメントを行うようにも機能する。コントローラは、デバイス10及び/又はピックアップ装置アクチュエータ110の1つ又は複数に制御信号を送信することによりこれを行う。デバイス10は、軸152に沿って(すなわち、矢印Aで示す軸方向に)1つ又は複数の移送アセンブリを移動させる。デバイス10は、1つ又は複数の移送アセンブリの移送ヘッドを回転方向(すなわち、図中の矢印Tで示す方向)にも移動させる。ピックアップ装置アクチュエータ110は、モータ154を制御して、1つ又は複数の移送アセンブリの移送ヘッドを半径方向(すなわち、図中の矢印Rで示す方向)に移動させる。このように、上記システムは、3自由度で移送ヘッドの位置を調整することができる。
【0089】
図19は、直線・回転運動のために電気モータを制御する方法の基本的なステップを示すフローチャートである。ステップS1902において、少なくとも電気モータの固定子のコイル数又はコイルセット数、電気モータの回転子の回転角、回転子の軸方向位置に依存するパラメータに基づいて電流を決定することができる。ステップS1904では、決定された電流をコイル又はコイルセットに供給してもよい。
【0090】
図20は、上記方法のソフトウェアベースの実装例を示す図である。ここで、デバイス2000は、処理ユニット(PU)2002を備えていてもよく、この処理ユニットは、単一のチップ又はチップモジュール上に設けられてもよく、メモリ(MEM)2004に格納された制御プログラムのソフトウェアルーチンに基づいて制御を実行する制御ユニットを有する任意のプロセッサ又はコンピュータデバイスであってもよい。図19に関連して説明したような処理ステップを実行するために、プログラムコード命令をMEM2004からフェッチし、PU2002の制御ユニットにロードしてもよい。処理ステップは、入力データDIに基づいて実行可能であり、出力データDOを生成してもよい。この入力データDIは、例えば、電気モータなどの構成及び動作データを表してもよく、出力データDOは、例えば、電気モータのコイル又はコイルセットに供給される電流などを表してもよい。
【0091】
上述のデバイスは、例えば、ピックアンドプレース機、外科用ドリル、写真及びビデオ機器のフォーカス・ズームモータ、車のトランスミッション、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤーなどに使用可能なアクチュエータに適用することができる。
【0092】
上述のデバイスによって、トルクや軸力が、互いに独立して、標準的なモータに基づいて生成することが可能となる。従って、特別に設計されたモータや複雑な電子機器や制御技術を必要とせずに、並進・回転運動を実現し得る。このようにして、余分なモータや難しい設計パスを削減することができる。第1及び第2のセンサが検知した値に基づく整流アルゴリズムが実装されてもよい。従って、コイル又はコイルセットに供給される電流は、トルクと軸力が常に互いにほぼ独立して(切り離されて)生成されるように決定することができる。これは、電流のフィードバックなしで、つまり、電流センサなしで可能である。従って、コントローラを含むフィードバックループがなく、コントローラを調整する手間も省くことができる。
【0093】
要約すると、本発明の1つ又は複数の実施形態は、単一モータによって回転・並進運動を可能にするためのデバイス、そのデバイスを組み込んだ装置、その装置を組み込んだシステムに関する。直線・回転運動用の電気モータは、複数のコイル又はコイルセットを含む多相コイル配列を有する固定子と、その回転軸の方向に沿って移動可能であり、それぞれ少なくとも1つの永久磁石を有する複数の極を有する回転子とを備えることができる。制御ユニットは、少なくともコイル数又はコイルセット数、回転子の回転角、回転子の軸方向位置に応じたパラメータに基づいて電流を決定し、決定された電流をコイル又はコイルセットに供給してもよい。バックアイアンは、回転子、固定子、又は回転子と固定子の両方に配置される。
【0094】
本発明を図面および前述の説明において詳細に図示及び説明してきたが、そのような図示および説明は、限定的ではなく、例示を目的とした例であると見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。例えば、制御ユニット18は、固定子のコイル又はコイルセットに供給される電流、すなわち、モータ電流を決定し得ると上記では説明されているが、例えば、アナログハードウェアなどの他のハードウェアによって行われてもよい。そのようなハードウェアは、例えば、モータ電流用の電力増幅器であってもよい。一実施形態では、2つのホールセンサを使用して、磁石の位置依存磁場を測定する場合もある。これらのセンサは空間的に90度離れていてもよく、コイルに対するセンサの位置は固定(及び既知)であってもよい。2つのホール信号は、電力増幅器の一部であるアナログデバイスに供給されてもよい。これらのホール信号は、回転角(Φ)に対して正弦関数であってもよい。これら2つの信号の(位相シフトした)線形結合の合計により、所望のモータ電流を得ることができる。一般に、回転位置情報は、所望の力とトルクの設定点とともにアナログ装置に入力され、それに基づいて、異なるモータコイルの所望の電流を決定することができる。所望の電流を決定するために、上記以外のハードウェアを代替的又は追加的に使用してもよい。
【0095】
開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する当業者によって理解され達成され得る。
【0096】
請求項において、「含む」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。
【0097】
請求された特徴を達成するプロセッサを制御可能なコンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として提供される光記憶媒体やソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布できるが、インターネットやその他の有線又は無線の通信システムを介するなど、他の形式で配布することもできる。新しいシステムと組み合わせて使用可能であるが、請求された特徴を達成するために、既存のシステムの更新時に適用することも可能である。
【0098】
コンピュータ用のコンピュータプログラム製品は、例えば、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるとき、図19に関連して説明されたような処理ステップを実行するためのソフトウェアコード部分を備えることができる。コンピュータプログラム製品は、例えば、光記憶媒体やソリッドステート媒体など、ソフトウェアコード部分が格納されるコンピュータ可読媒体をさらに備えていてもよい。
【0099】
請求項中の参照符号は、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0100】
本発明の特定かつ好適な態様は、添付の独立請求項に記載されている。従属請求項及び/又は独立請求項からの特徴の組み合わせは、請求項に記載されているだけでなく、必要に応じて組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20