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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20230428BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020001453
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109491
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】國方 亮
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318440(JP,A)
【文献】特開2007-076481(JP,A)
【文献】特開2015-044505(JP,A)
【文献】特開2016-013828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1支持壁と、前記第1方向に延びて前記第1支持壁と対向する第2支持壁と、前記第1支持壁と前記第2支持壁との間で前記第1方向に整列するとともに、前記第1方向に直交する第2方向に延びる複数のフィンとを備え、
各前記フィンは、前記第2方向に延びる揺動軸心周りで前記第1支持壁と前記第2支持壁とに揺動可能に支承され、車室に送風を行うレジスタであって、
各前記フィンは樹脂製であり、
各前記フィンのうち、前記第1方向の一端に位置する前記フィン及び前記第1方向の他端に位置する前記フィンの少なくとも一方は特定フィンとされ、
前記第1支持壁は、前記第2方向の一方側で前記特定フィンよりも外側に位置し、前記特定フィンが支承されるとともに、表面が第1意匠面とされる支承部を有し、
前記第1意匠面は前記第2方向に延び、
前記特定フィンは、前記第2方向に所定の板厚で延びる板状に形成され、第2意匠面と、前記第2意匠面の反対側に位置する裏面とを有するフィン本体と、
前記フィン本体に一体に形成されて前記第2意匠面と前記裏面との間で前記揺動軸心に沿って延びる軸支部とを有し、
前記支承部は、前記特定フィンが前記揺動軸心周りで基本姿勢と、前記基本姿勢よりも前記第1方向に傾斜する傾斜姿勢との間で揺動可能に前記軸支部を支承する被軸支部を有し、
前記基本姿勢において前記第1意匠面と前記第2意匠面とが略面一になるように、前記特定フィンの板厚方向における前記第2意匠面から前記揺動軸心までの長さは、前記板厚方向における前記裏面から前記揺動軸心までの長さよりも長いことを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記第1方向は、前記車室の上下方向であり、
前記特定フィンは、前記上下方向の下端に位置している請求項1記載のレジスタ。
【請求項3】
前記軸支部は、前記第2方向で前記被軸支部に向かって突出する軸体であり、
前記被軸支部は、前記軸体を挿通させつつ支承する支承孔である請求項1又は2記載のレジスタ。
【請求項4】
前記第1方向の一端に位置する前記フィンと、前記第1方向の他端に位置する前記フィンとは、同一の形状である請求項1乃至3のいずれか1項記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のレジスタが開示されている。このレジスタは、ベゼルと、複数の下流側フィンと、複数の上流側フィンとを備えている。ベゼルは第1方向及び第2方向に延びる略矩形の枠状に形成されている。ここで、第1方向はベゼルの高さ方向であり、第2方向はベゼルの幅方向である。ベゼルは、第1~4支持壁を有している。第1支持壁は、第1方向に延びている。第2支持壁は、第1方向に延びて第1支持壁と対向している。第3支持壁は、第1支持壁と第2支持壁とに接続しており、第1支持壁と第2支持壁との間で第2方向に延びている。第4支持壁は、第1支持壁と第2支持壁とに接続しており、第1支持壁と第2支持壁との間で第2方向に延びて第3支持壁と対向している。
【0003】
各下流側フィン及び上流側フィンは、それぞれ板状に形成されており、ベゼル内に配置されている。なお、同文献では詳細な記載が存在しないものの、各下流側フィン及び上流側フィンは、一般的に樹脂製とされている。
【0004】
より具体的には、各下流側フィンは、ベゼル内において、風の流通方向の下流側に配置されている。各下流側フィンは、第1方向に所定の間隔を設けて配置されており、第2方向に延びている。各下流側フィンは、第1フィン本体と、第1軸体とを有している。第1フィン本体は、第2方向に所定の板厚で延びる板状に形成されている。第1フィン本体の表面は、下流側フィンの意匠面とされている。第1軸体は、第1フィン本体から第2方向に突出している。各下流側フィンは、第1軸体をベゼルの第1支持壁と第2支持壁とに支承させることにより、第1軸部の軸心周りで第1基本姿勢と、第1基本姿勢よりも第1方向に傾斜する第1傾斜姿勢との間で揺動可能となっている。
【0005】
各上流側フィンは、ベゼル内において、各下流側フィンよりも風の流通方向の上流側に配置されている。各上流側フィンは、第2方向に所定の間隔を設けて配置されており、第1方向に延びている。つまり、ベゼル内において、各上流側フィンは、各下流側フィンに直交して配置されている。各上流側フィンは、第2フィン本体と、第2軸体とを有している。第2フィン本体は、第1方向に所定の板厚で延びる板状に形成されている。第2軸体は、第2フィン本体から第1方向に突出している。各上流側フィンは、第2軸体をベゼルの第3支持壁と第4支持壁とに支承させることにより、第2軸部の軸心周りで第2基本姿勢と、第2基本姿勢よりも第2方向に傾斜する第2傾斜姿勢との間で揺動可能となっている。
【0006】
このレジスタでは、各下流側フィン及び上流側フィンをベゼル内に配置した状態で、ベゼルが車室の内装部材に固定される。こうして、このレジスタは、内装部材に取り付けられ、車室内に送風を行うことが可能となっている。この際、各下流側フィンを第1基本姿勢と第1傾斜姿勢との間で揺動させるとともに、各上流側フィンを第2基本姿勢と第2傾斜姿勢との間で揺動させることにより、車室内に送風を行う方向を変更可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-38387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の各下流側フィンのうち、例えば第1方向の一端に位置する下流側フィンを特定フィンとするとともに、第1支持壁に対し、第2方向において特定フィンよりも外側に位置して特定フィンを支承する支承部を設ける構成のレジスタが考えられる。また、支承部には、特定フィンの第1軸体を支承する被軸支部が設けられる。これにより、この構成のレジスタでは、支承部は、被軸支部を通じて第1軸体を支承することにより、第1基本姿勢と第1傾斜姿勢との間で揺動可能に特定フィンを支承する。ここで、このような構成のレジスタでは、特定フィンが第1基本姿勢にある状態において、フィン本体の表面、すなわち、特定フィンの意匠面と、支承部の意匠面との間に大きな段差が生じると、特定フィンの意匠面と支承部の意匠面との一体感が損なわれることから、レジスタの美観が低下してしまう。
【0009】
このため、例えば、特定フィンのフィン本体の板厚を厚く形成することにより、特定フィンの意匠面と、支承部の意匠面との間の段差を小さくすることが考えられる。しかし、この場合には、特定フィンの美観が低下してしまうことに加えて、特定フィンと他の下流側フィンとの統一感も損なわれることから、レジスタの美観の低下の問題を解決し得ない。また、この場合には、特定フィンを含め、各下流側フィンを第1基本姿勢と第1傾斜姿勢との間で揺動させるために大きなスペースが必要となる。
【0010】
そこで、特定フィンのフィン本体の板厚を変更せず、支承部の肉厚を薄くすることによって、特定フィンの意匠面と、支承部の意匠面との間の段差を小さくすることが考えられる。しかし、この場合には、薄肉化によって支承部の強度が低下し、支承部が第1軸体、ひいては特定フィンを十分に支承できなくなるおそれがある。
【0011】
また、第1軸体を小型化し、それに応じて被軸支部を小型化することによって、支承部の肉厚を確保しつつ、特定フィンの意匠面と、支承部の意匠面との間の段差を小さくすることも考えられる。しかし、第1軸体の強度を確保する観点から、第1軸体を樹脂製とする場合には、第1軸体の小型化に限界がある。ここで、第1軸体を金属製とすれば、第1軸体の強度を確保しつつ小型化を図ることができるものの、この場合には、樹脂製のフィン本体と、金属製の第1軸体とを別々に形成する必要があることから、部品点数が増加し、製造コストが増大する。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、特定フィンが第1支持壁の支承部に支承される構成において、高い美観を発揮しつつ、支承部が特定フィンを十分に支承でき、かつ、製造コストの低廉化を実現可能なレジスタを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のレジスタは、第1方向に延びる第1支持壁と、前記第1方向に延びて前記第1支持壁と対向する第2支持壁と、前記第1支持壁と前記第2支持壁との間で前記第1方向に整列するとともに、前記第1方向に直交する第2方向に延びる複数のフィンとを備え、
各前記フィンは、前記第2方向に延びる揺動軸心周りで前記第1支持壁と前記第2支持壁とに揺動可能に支承され、車室に送風を行うレジスタであって、
各前記フィンは樹脂製であり、
各前記フィンのうち、前記第1方向の一端に位置する前記フィン及び前記第1方向の他端に位置する前記フィンの少なくとも一方は特定フィンとされ、
前記第1支持壁は、前記第2方向の一方側で前記特定フィンよりも外側に位置し、前記特定フィンが支承されるとともに、表面が第1意匠面とされる支承部を有し、
前記第1意匠面は前記第2方向に延び、
前記特定フィンは、前記第2方向に所定の板厚で延びる板状に形成され、第2意匠面と、前記第2意匠面の反対側に位置する裏面とを有するフィン本体と、
前記フィン本体に一体に形成されて前記第2意匠面と前記裏面との間で前記揺動軸心に沿って延びる軸支部とを有し、
前記支承部は、前記特定フィンが前記揺動軸心周りで基本姿勢と、前記基本姿勢よりも前記第1方向に傾斜する傾斜姿勢との間で揺動可能に前記軸支部を支承する被軸支部を有し、
前記基本姿勢において前記第1意匠面と前記第2意匠面とが略面一になるように、前記特定フィンの板厚方向における前記第2意匠面から前記揺動軸心までの長さは、前記板厚方向における前記裏面から前記揺動軸心までの長さよりも長いことを特徴とする。
【0014】
本発明のレジスタでは、第1支持壁が支承部を有しており、特定フィンの軸支部が支承部の被軸支部に支承されることにより、特定フィンが支承部、ひいては第1支持壁に支承される。こうして、このレジスタでは、特定フィンが揺動軸心周りで基本姿勢と傾斜姿勢との間で揺動できる。
【0015】
ここで、このレジスタでは、特定フィンが基本姿勢にある際に、支承部の第1意匠面とフィン本体の第2意匠面とが略面一になるように、特定フィンの板厚方向における第2意匠面から揺動軸心までの長さが、板厚方向における裏面から揺動軸心までの長さよりも長く設定されている。つまり、特定フィンでは、フィン本体の板厚方向の中央に対して、揺動軸心が板厚方向にずれている。ここで、第1意匠面と第2意匠面とが略面一とは、第1意匠面と第2意匠面とが完全に面一となる場合の他、製造時の公差に起因する僅かな段差が第1意匠面と第2意匠面との間に存在する場合を含む意味である。
【0016】
こうして、このレジスタでは、特定フィンが基本姿勢にある際に、第1意匠面と第2意匠面とが略面一となることにより、第1意匠面と第2意匠面とで一体感をなす美観を呈することが可能となる。
【0017】
また、このレジスタでは、特定フィンが基本姿勢にある際に、第1意匠面と第2意匠面とを略面一するに当たって、支承部の肉厚を薄く形成する必要がなく、支承部の強度を十分に確保できる。
【0018】
さらに、このレジスタでは、軸支部を小径化する必要もないことから、軸支部の強度も確保できる。また、軸支部をフィン本体と同様に樹脂製とすることができるため、軸支部とフィン本体とを一体に形成することができる。これにより、このレジスタでは、部品点数の増加を抑制できる。
【0019】
したがって、本発明のレジスタによれば、特定フィンが第1支持壁の支承部に支承される構成において、高い美観を発揮しつつ、支承部が特定フィンを十分に支承でき、かつ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0020】
また、このレジスタでは、特定フィンが基本姿勢にある際に、第1意匠面と第2意匠面とを略面一するに当たって、フィン本体の板厚を厚く形成する必要もない。これより、特定フィンの美観を高くできるとともに、特定フィンと他のフィンとの統一感も高くできることから、この点においても、このレジスタでは、高い美観を発揮する。さらに、このレジスタでは、特定フィンを含め、各フィンを基本姿勢と傾斜姿勢との間で揺動させるために大きなスペースを確保する必要もない。
【0021】
第1方向は、車室の上下方向であり得る。そして、特定フィンは、上下方向の下端に位置していることが好ましい。各フィンのうち、車室の上下方向の下端に位置するフィンは、車室内の乗員に視認され易い。このため、上下方向の下端に特定フィンが位置し、この特定フィンが基本姿勢にある際に、第1意匠面と第2意匠面とが略面一となることで、レジスタは高い美観を好適に発揮できる。
【0022】
軸支部は、第2方向で被軸支部に向かって突出する軸体であり得る。そして、被軸支部は、軸体を挿通させつつ支承する支承孔であることが好ましい。この場合には、軸支部及び被軸支部を容易に形成することができる。また、軸体を支承孔に挿通させて支承させることによって、特定フィンを基本姿勢と傾斜姿勢との間で好適に揺動させることが可能となる。
【0023】
第1方向の一端に位置するフィンと、第1方向の他端に位置するフィンとは、同一の形状であることが好ましい。この場合、例えば、第1方向の一端に位置するフィンが特定フィンである場合、特定フィンと、第1方向の他端に位置するフィンとを共通化できる。このため、特定フィンとしての専用の部材が不要となり、製造コストを低廉化できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のレジスタによれば、特定フィンが第1支持壁の支承部に支承される構成において、高い美観を発揮しつつ、支承部が特定フィンを十分に支承でき、かつ、製造コストの低廉化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施例のレジスタを示す斜視図である。
図2図2は、実施例のレジスタに係り、図1のA-A断面を示す断面図である。
図3図3は、実施例のレジスタに係り、フィンが傾斜状態にある際の図2と同様の断面図である。
図4図4は、実施例のレジスタに係り、図1のY1部分を示す要部拡大斜視図である。
図5図5は、実施例のレジスタに係り、図4のB-B断面を示す要部拡大断面図である。
図6図6は、実施例のレジスタに係り、特定フィンを示す図5と同様の断面図である。
図7図7は、実施例のレジスタに係り、図2のY2部分を示す要部拡大断面図である。
図8図8は、比較例のレジスタを示す図5と同様の要部拡大断面図である。
図9図9は、比較例のレジスタを示す図7と同様の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に示すように、実施例のレジスタ1は、車両のインストルメントパネル3に設けられている。インストルメントパネル3は、車室CR内に配置されており、車室CRの内装部材の一部を構成している。
【0028】
本実施例では、図1に示す実線矢印によって、車室CRの上下方向、左右方向及び前後方向を規定している。上下方向は、本発明における「第1方向」の一例である。また、左右方向は、本発明における「第2方向」の一例である。上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交する関係にある。そして、図2以降では、図1に対応して、上下方向、左右方向及び前後方向を規定している。
【0029】
図1に示すように、インストルメントパネル3は、第1パネル3aと、第2パネル3bと、カバーパネル3cとを有している。第1パネル3aは、インストルメントパネル3の上部に配置されており、左右方向に延びている。第2パネル3bは、インストルメントパネル3の下部に配置されており、上下方向に延びるとともに、左右方向に延びている。カバーパネル3cは、第1パネル3aと第2パネル3bとの間に配置されている。カバーパネル3cは、前端及び右端が開口しており、前方側から後方側に向かって放射状に広がる形状をなしている。そして、カバーパネル3cは、後方側の上端で第1パネル3aと連続しているとともに、後方側の下端で第2パネル3bと連続している。
【0030】
レジスタ1は、インストルメントパネル3の左側に設けられている。また、詳細な図示を省略するものの、レジスタ1は、インストルメントパネル3の右側にも設けられている。インストルメントパネル3の左側に設けられたレジスタ1と、インストルメントパネル3の右側に設けられたレジスタ1とは左右対称の形状である。以下、インストルメントパネル3の左側に設けられたレジスタ1を基に、構成を説明する。
【0031】
図1図3に示すように、レジスタ1は、ベゼル5と、第1~3下流側フィン7a~7cと、第1~5上流側フィン9a~9eとを有している。第1~3下流側フィン7a~7cは、本発明における「フィン」の一例である。なお、図2及び図3では、説明を容易にするため、ベゼル5や第1~3下流側フィン7a~7c等の形状を簡略化して図示している。後述する図5図9についても同様である。
【0032】
ベゼル5は、第1ベゼル5aと、第2ベゼル5bとで構成されている。第1ベゼル5a及び第2ベゼル5bは樹脂製である。第1ベゼル5aは、図1に示す第1壁51と、第2壁52と、図2及び図3に示す第3壁53と、第4壁54とを有している。第1壁51は、本発明における「第1支持壁」の一例である。また、第2壁52は、本発明における「第2支持壁」の一例である。
【0033】
図4に示すように、第1壁51は、第1ベゼル5a、ひいてはベゼル5の右端に配置されている。第1壁51は、立壁部51aと、支承部51bとを有している。立壁部51a及び支承部51bは、第1~3下流側フィン7a~7cよりも右側、つまり、第1~3下流側フィン7a~7cよりもよりも外側に位置している。立壁部51aは、上下方向に延びている。支承部51bは、立壁部51aと一体をなしており、立壁部51aの下方に位置している。支承部51bは、立壁部51aよりも前方に突出しつつ、下方に向かって伸びている。また、支承部51b及び立壁部51a、つまり、第1壁51は、右側が後方から前方に回り込む形状をなしている。支承部51bの表面は、第1意匠面510とされている。第1意匠面510は左右方向に延びる形状に形成されている。より具体的には、第1意匠面510は、支承部51bの左端から右側に向かって延びつつ、前方に回り込む形状をなしている。また、第1意匠面510は、立壁部51aの表面となだらかに連続しつつ、支承部51bの後端まで延びる形状をなしている。
【0034】
また、図5に示すように、支承部51bは第1支承孔13を有している。第1支承孔13は、本発明における「被軸支部」の一例である。第1支承孔13は、支承部51bの左端に開口しており、右方に向かって延びている。ここで、第1支承孔13は、支承部51bを左右方向に貫通はしていない。こうして、第1支承孔13は、第1下流側フィン7aに臨む形状となっている。第1支承孔13は、後述する第1軸体71bよりも僅かに大径に形成されている。また、支承部51bにおいて、第1意匠面510から第1支承孔13までの肉厚は、第1厚さT1に設定されている。なお、第1支承孔13について、支承部51bを左右方向に貫通する形状としても良い。また、詳細な図示を省略するものの、立壁部51aは、第1支承孔13と同様の第2、3支承孔を有している。
【0035】
図1に示すように、第2壁52は、第1ベゼル5aの左端に配置されている。このため、第2壁52と第1壁51とは、左右方向に離間している。第2壁52は、第1壁51の立壁部51aと平行で上下方向に延びている。また、第2壁52は、第1~3下流側フィン7a~7cを操作するための操作ダイヤル52aを有している。さらに、図示を省略するものの、第2壁52は、第4~6支承孔を有している。第4支承孔は第1支承孔13に対応する位置に配置されており、第5支承孔は第2支承孔と対応する位置に配置されており、第6支承孔は第3支承孔と対応する位置に配置されている。
【0036】
図2及び図3に示すように、第3壁53は、第1ベゼル5aの上端に配置されている。詳細な図示を省略するものの、第3壁53は、左右方向に延びており、右端で第1壁51と接続しているとともに左端で第2壁52と接続している。第4壁54は、第1ベゼル5aの下端に配置されている。第4壁54は、第3壁53と平行で左右方向に延びている。これにより、第2壁52についても、右端で第1壁51と接続しており、左端で第2壁52と接続している。これらの第1~4壁51~54により、図1に示すように、第1ベゼル5aは、上下方向の長さに比べて左右方向の長さが長い略矩形の枠形状をなしている。
【0037】
図2及び図3に示す第2ベゼル5bは、第1ベゼル5aよりも小さい略矩形の枠形状をなしている。第2ベゼル5bは、第1ベゼル5a内に配置されつつ、第1ベゼル5aに取り付けられている。第2ベゼル5bには、上下方向に延びる複数の貫通孔55が形成されている。
【0038】
第1~3下流側フィン7a~7cは、いずれも樹脂製である。第1~3下流側フィン7a~7cは、ベゼル5内において、上下方向に等間隔で配置されている。より具体的には、第1~3下流側フィン7a~7cは、下側から上側に向かって、第1下流側フィン7a、第2下流側フィン7b及び第3下流側フィン7cの順で配置されている。こうして、第1~3下流側フィン7a~7cのうち、第1下流側フィン7aが上下方向の下端に位置しており、第3下流側フィン7cが上下方向の上端に位置している。そして、本実施例では、第1下流側フィン7aが本発明における「特定フィン」とされている。なお、第1~3下流側フィン7a~7cは、複数であれば、その個数は適宜設計可能である。
【0039】
図6に示すように、第1下流側フィン7aは、第1フィン本体71aと、第1軸体71bとからなる。第1フィン本体71aは、本発明における「フィン本体」の一例である。また、第1軸体71bは、本発明における「軸支部」の一例である。
【0040】
第1フィン本体71aは、左右方向に延びる板状に形成されている。ここで、第1フィン本体71aの板厚、すなわち、第1フィン本体71aにおける板厚方向の長さは、第1長さL1に設定されている。また、第1フィン本体71aは、表面が第2意匠面710とされている。第2意匠面710は、第1フィン本体71a、ひいては第1下流側フィン7aの意匠を構成している。また、第1フィン本体71aにおいて、第2意匠面710の反対側は、裏面711とされている。
【0041】
第1軸体71bは、第1フィン本体71aに一体に形成されている。つまり、第1軸体71bは樹脂製である。第1軸体71bは、軸心が第1揺動軸心O1とされる円柱状に形成されている。図2及び図3に示すように、第1軸体71bは、第1フィン本体71aの後方側に配置されており、図6に示すように、第1フィン本体71aから左右方向に突出している。
【0042】
ここで、このレジスタ1では、第1下流側フィン7aの板厚方向、すなわち、第1フィン本体71aの板厚方向における第2意匠面710から第1揺動軸心O1までの長さが第2長さL2とされている。一方、第1フィン本体71aの板厚方向における裏面711から第1揺動軸心O1までの長さは、第3長さL3とされている。そして、第2長さL2は、第3長さL3よりも長くなっている。つまり、第1下流側フィン7aにおいて、第1揺動軸心O1は、第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1に対して、第2長さL2と第3長さL3との差である第4長さL4の分だけ裏面711寄りにずれている。
【0043】
図2及び図3に示すように、第2下流側フィン7bは、第2フィン本体72aと、第2軸体72bとからなる。図1に示すように、第2フィン本体72aは、左右方向に延びる板状に形成されており、表面720と、表面720の反対側に位置する裏面721とを有している。ここで、第2フィン本体72aの板厚は、第1フィン本体71aの板厚とほぼ同様に設定されている。第2フィン本体72aには、操作ノブ17が左右方向に移動可能に挿通されている。図2及び図3に示すように、操作ノブ17には、左右一対で前方に向かって延びる係合爪17aが設けられている。なお、図2及び図3では、係合爪17aの右側のみを図示している。
【0044】
第2軸体72bは、軸心が第2揺動軸心O2とされる円柱状に形成されている。第2軸体72bは、第1軸体71bと同径に形成されており、第2フィン本体72aの後方側に配置されている。詳細な図示を省略するものの、第2軸体72bについても、第1軸体71bと同様、第2フィン本体72aから左右方向に突出している。ここで、第2下流側フィン7bでは、第2揺動軸心O2が第2フィン本体72aにおける板厚方向の中心と整合している。このため、第2下流側フィン7bでは、第2フィン本体72aの板厚方向における表面720から第2揺動軸心O2までの長さと、第2フィン本体72aの板厚方向における裏面721から第2揺動軸心O2までの長さとが等しくなっている。
【0045】
第3下流側フィン7cは、第3フィン本体73aと、第3軸体73bとからなる。第3フィン本体73aは、左右方向に延びる板状に形成されており、表面730と、表面730の反対側に位置する裏面731とを有している。第3軸体73bは、軸心が第3揺動軸心O3とされる円柱状に形成されている。ここで、第3下流側フィン7cは、第1下流側フィン7aと同一の部材とされている。このため、第3下流側フィン7cと第1下流側フィン7aとは、同一の形状とされている。これにより、第3フィン本体73aは第1フィン本体71aと同一の構成となっており、第3軸体73bは第1軸体71bと同一の構成となっている。つまり、第3下流側フィン7cでは、第3揺動軸心O3が第3フィン本体73aにおける板厚方向の中心に対して、裏面731寄りにずれている。
【0046】
図5に示すように、第1下流側フィン7aは、第1フィン本体71aの第2意匠面710を上方に向けた状態で、第1軸体71bの右側を支承部51bの第1支承孔13に挿通させている。これにより、第1支承孔13は、第1揺動軸心O1周りで揺動可能に第1軸体71bを支承している。また、詳細な図示を省略するものの、第1下流側フィン7aは、第2壁52の第4支承孔に第1軸体71bの左側を支承させている。こうして、第1下流側フィン7aは、第1壁51と第2壁52とに支承されており、第1壁51と第2壁52との間において、第1揺動軸心O1周りで揺動可能となっている。
【0047】
また、第2下流側フィン7bは、第2フィン本体72aの表面720を上方に向けた状態で、第2軸体72bの右側を支承部51bの第2支承孔に支承させているとともに、第2軸体72bの左側を第2壁52の第5支承孔に支承させている。こうして、図1に示すように、第2下流側フィン7bは、第1下流側フィン7aよりも上方で第1壁51と第2壁52とに支承されており、第1壁51と第2壁52との間において、図2及び図3に示す第2揺動軸心O2周りで揺動可能となっている。
【0048】
そして、第3下流側フィン7cは、第3フィン本体73aの表面730を下方に向けた状態で、第3軸体73bの右側を支承部51bの第3支承孔に支承させているとともに、第3軸体73bの左側を第2壁52の第6支承孔に支承させている。こうして、第3下流側フィン7cは、第2下流側フィン7bよりも上方で第1壁51と第2壁52とに支承されており、第1壁51と第2壁52との間において、第3揺動軸心O3周りで揺動可能となっている。つまり、第3下流側フィン7cは、第1下流側フィン7aとは上下方向を反転させた状態で、第1壁51と第2壁52とに支承されている。
【0049】
このように、第1~3下流側フィン7a~7cが第1壁51と第2壁52とにそれぞれ支承された状態において、第1~3下流側フィン7a~7cは、互いに平行となっている。このため、第1~3揺動軸心O1~O3についても、互いに平行となっている。また、図示を省略するものの、第1~3下流側フィン7a~7cは、左端側で互いに連動可能に接続されているとともに、操作ダイヤル52aに接続されている。こうして、第1~3下流側フィン7a~7cは、第1壁51と第2壁52の間、すなわち、ベゼル5内において、互いに連動しつつ第1~3揺動軸心O1~O3周りで上下方向に揺動することにより、図1及び図2に示す基本姿勢と、図3に示す傾斜姿勢との間で変位することが可能となっている。
【0050】
ここで、図2及び図3に示すように、第1~3下流側フィン7a~7cは、基本姿勢となることにより、車室CRの前方側から後方側に向かうにつれて下り傾斜となる。そして、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢となることにより、図4及び図5に示すように、第1下流側フィン7aでは、第1フィン本体71aの第2意匠面710が支承部51bの第1意匠面510と略平行となる。一方、第1~3下流側フィン7a~7cは、図3に示す傾斜姿勢となることにより、車室CRの前方側から後方側に向かうにつれて上り傾斜となる。
【0051】
図1に示す第1~5上流側フィン9a~9eは、いずれも樹脂製である。第1~5上流側フィン9a~9eは、左右方向に等間隔で配置されている。より具体的には、第1~5上流側フィン9a~9eは、左側から右側に向かって、第1上流側フィン9a、第2上流側フィン9b、第3上流側フィン9c、第4上流側フィン9d及び第5上流側フィン9eの順で配置されている。なお、第1~5上流側フィン9a~9eの個数は、適宜設計可能である。
【0052】
図2及び図3に示すように、第3上流側フィン9cは、上流側フィン本体91aと、上流側軸体91bとからなる。上流側フィン本体91aは、上下方向に延びる板状に形成されている。上流側フィン本体91aには、開口部910と、係合部911とが形成されている。開口部910は、上流側フィン本体91aを左右方向に貫通している。係合部911は、開口部910よりも前方、つまり、上流側フィン本体91aの前端に位置しており、上下方向に延びている。上流側軸体91bは、軸心が上流側揺動軸心O4とされる円柱状に形成されている。上流側軸体91bは、上流側フィン本体91aに一体に形成されている。上流側軸体91bは、上流側フィン本体91aにおける前後方向の略中央に配置されており、上流側フィン本体91aから上下方向に突出している。
【0053】
第3上流側フィン9cは、上流側軸体91bの上側及び下側をそれぞれ第2ベゼル5bの貫通孔55に挿通させている。これにより、第3上流側フィン9cは、上流側揺動軸心O4周りで揺動可能に第2ベゼル5bに支承されている。
【0054】
図1に示す第1、2上流側フィン9a、9b及び第4、5上流側フィン9d、9eは、開口部910及び係合部911が存在しない点を除いて、第3上流側フィン9cと同様の構成であるため、構成に関する詳細な説明を省略する。また、第1、2上流側フィン9a、9b及び第4、5上流側フィン9d、9eについても、第3上流側フィン9cと同様に、上流側揺動軸心O4周りで揺動可能に第2ベゼル5bに支承されている。
【0055】
こうして、第1~5上流側フィン9a~9eは、ベゼル5内において、第1~3下流側フィン7a~7cよりも前方側に配置されている。これにより、第1~5上流側フィン9a~9eは、第1~3下流側フィン7a~7cよりも、ベゼル5内における風の流通方向の上流側に位置している。そして、図2及び図3に示すように、第3上流側フィン9cでは、係合部911が操作ノブ17の係合爪17aによって挟持されて係合されている。こうして、第3上流側フィン9cは、操作ノブ17と接続されている。また、図示を省略するものの、第1~5上流側フィン9a~9eは、互いに連動可能に接続されている。これらにより、第1~5上流側フィン9a~9eは、操作ノブ17を左右方向に移動させることにより、図1の破線矢印で示すように、互いに連動しつつ、上流側揺動軸心O4周りで左右方向に揺動可能となっている。
【0056】
ベゼル5は、第1ベゼル5a及び第2ベゼル5bに第1~3下流側フィン7a~7c及び第1~5上流側フィン9a~9eがそれぞれ支承された状態で、インストルメントパネル3に取り付けられている。これにより、ベゼル5は、インストルメントパネル3の第1パネル3aと、第2パネル3bとの間であって、カバーパネル3cの前方側に配置されている。これにより、第1壁51では、第1意匠面510がカバーパネル3cの前端に連続している。
【0057】
また、図2及び図3に示すように、ベゼル5の前方には、送風ダクト19が取り付けられている。送風ダクト19は、略矩形の筒状に形成されており、内部を風が上流側から下流側に向って流通可能となっている。これにより、送風ダクト19は、ベゼル5まで風を案内することが可能となっている。なお、送風ダクト19の形状は適宜設計可能である。
【0058】
以上のように構成されたレジスタ1では、送風ダクト19からベゼル5内に案内された風を車室CR内に送風可能となっている。この際、第1~5上流側フィン9a~9e及び第1~3下流側フィン7a~7cによって、ベゼル5から車室CRに向かう風の向きを整流することが可能となっている。具体的には、操作ノブ17によって、第1~5上流側フィン9a~9eを上流側揺動軸心O4周りで左右方向に揺動させることにより、ベゼル5から車室CRに向かう風の向きを左右方向に変更することが可能となっている。また、操作ダイヤル52aによって、第1~3下流側フィン7a~7cを図2に示す基本姿勢とすることにより、図2の破線矢印で示すように、ベゼル5から車室CRに向かう風の向きを下向きに変更することが可能となっている。一方、操作ダイヤル52aによって、第1~3下流側フィン7a~7cを図3に示す傾斜姿勢とすることにより、図3の破線矢印で示すように、ベゼル5から車室CRに向かう風の向きを上向きに変更することが可能となっている。
【0059】
ここで、このレジスタ1では、第1下流側フィン7aの第1軸体71bが支承部51bの第1支承孔13に支承される構成であって、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、支承部51bの第1意匠面510と第1フィン本体71aの第2意匠面710とを略平行にすることが可能となっている。そして、このレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、支承部51bの第1意匠面510と第1フィン本体71aの第2意匠面710とを略平行にするに当たって、支承部51bの強度の低下を抑制できるとともに、第1下流側フィン7aの部品点数の増加も抑制できる。これら作用について、比較例のレジスタ100との比較を基に説明する。
【0060】
図8に示すように、比較例のレジスタ100では、第1下流側フィン7aにおいて、第1軸体71bが第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1から左右方向に突出している。つまり、比較例のレジスタ100では、第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1と、第1揺動軸心O1とが整合している。このため、第2意匠面710から第1揺動軸心O1までの長さと、第1フィン本体71aの板厚方向における裏面711から第1揺動軸心O1までの長さとは、いずれも、第1長さL1の半分である第5長さL5となっている。比較例のレジスタ100における他の構成は、実施例のレジスタ1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0061】
比較例のレジスタ100では、第1軸体71bが第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1から突出しているため、第1軸体71bを第1支承孔13に支承させることによって、第1下流側フィン7aが支承部51bの第1意匠面510よりも下方に位置することになる。このため、比較例のレジスタ100では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、第1意匠面510と第2意匠面710との間に段差G1が生じる。このため、比較例のレジスタ100では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、第1意匠面510と第2意匠面710との一体感が損なわれることから、美観が低下してしまう。
【0062】
そこで、段差G1を解消するに当たり、例えば、第1フィン本体71aにおける板厚方向の長さについて、第1長さL1よりも長くなるように、第1フィン本体71aの板厚をより厚く形成することが考えられる。しかし、この場合には、第1下流側フィン7aが大型化することにより、第1下流側フィン7aの美観が低下してしまうとともに、第1下流側フィン7aと、第2、3下流側フィン7b、7cとの統一感も損なわれる。この結果、レジスタ100の美観の低下の問題を解消し得ない。また、この場合には、第1~3下流側フィン7a~7cを基本姿勢と傾斜姿勢との間で揺動させるために、第1ベゼル5a内に大きなスペースが必要となり、第1ベゼル5aひいてはベゼル5の大型化を招くことになる。
【0063】
また、支承部51bにおいて、第1意匠面510から第1支承孔13までの肉厚を第1厚さT1よりも薄く設定することにより、段差G1を解消することも考えられる。しかし、この場合には、支承部51bの強度が低下し、第1支承孔13を通じて支承部51bが第1軸体71b、ひいては、第1下流側フィン7aを十分に支承できなくなる。
【0064】
さらに、比較例のレジスタ100において、第1軸体71bを小径化し、それに応じて第1支承孔13を小径化することによって、支承部51bにおける上記の肉厚を確保しつつ、段差G1を解消することも考えられる。しかし、小径化によって第1軸体71bの強度が低下するため、この場合にも、支承部51bが第1下流側フィン7aを十分に支承できなくなる。ここで、第1軸体71bを金属製とすれば、樹脂製の第1フィン本体71aと、金属製の第1軸体71bとを別々に形成する必要があることから、第1下流側フィン7aの部品点数が増加してしまう。
【0065】
これらに対し、実施例のレジスタ1では、図5に示すように、第1下流側フィン7aにおいて、第1揺動軸心O1は、第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1よりも第4長さL4の分だけ裏面711寄りにずれている。このため、第1下流側フィン7aでは、第1軸体71bが、第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1よりも裏面711寄りにずれた位置で左右方向に突出している。これにより、実施例のレジスタ1では、第1軸体71bを第1支承孔13に支承させることにより、比較例のレジスタ100に比べて、第1下流側フィン7aが支承部51bに対して上方に位置することになる。これにより、実施例のレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、第1意匠面510と第2意匠面710との間に段差G1が生じることがなく、略平行となっている。このため、実施例のレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、第1意匠面510と第2意匠面710とで一体感なす美観を呈することが可能となっている。
【0066】
このように、実施例のレジスタ1では、第1フィン本体71aにおける板厚方向の中心X1よりも第4長さL4の分だけ、第1揺動軸心O1、すなわち第1軸体71bを裏面711側にずらして配置することにより、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際における段差G1を解消している。
【0067】
これにより、実施例のレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際における段差G1を解消するに当たって、第1フィン本体71aにおける板厚を厚くする必要がない。
【0068】
また、実施例のレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際における段差G1を解消するに当たって、第1意匠面510から第1支承孔13までの肉厚を第1厚さT1よりも薄く設定する必要もない。このため、支承部51bの強度を十分に確保することが可能となっており、第1支承孔13を通じて、支承部51bが第1軸体71b、ひいては、第1下流側フィン7aを十分に支承可能となっている。
【0069】
さらに、実施例のレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際における段差G1を解消するに当たって、第1軸体71bを小径化させる必要もない。このため、第1軸体71bを第1フィン本体71aと同様に樹脂製とすることができ、第1軸体71bを第1フィン本体71aに一体に形成することが可能となっている。また、実施例のレジスタ1では、第1軸体71bを樹脂製としても、第1軸体71bの強度を十分に確保することが可能となっている。こうして、実施例のレジスタ1では、第1下流側フィン7aの部品点数の増加を抑制できる。
【0070】
したがって、実施例のレジスタ1によれば、第1下流側フィン7aが第1壁51の支承部51bに支承される構成において、高い美観を発揮しつつ、支承部51bが第1下流側フィン7aを十分に支承でき、かつ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0071】
特に、このレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際における段差G1を解消するに当たって、第1フィン本体71aにおける板厚を厚くする必要がない。このため、第1下流側フィン7aの美観が損なわれることがなく、また、第1下流側フィン7aと、第2、3下流側フィン7b、7cとにおける意匠の統一感も高くすることができる。また、このレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cを基本姿勢と傾斜姿勢との間で揺動させるために、第1ベゼル5a内に過度に大きなスペースを確保する必要がなく、第1ベゼル5aひいてはベゼル5の大型化も抑制できる。この点においても、このレジスタ1では、高い美観を発揮でき、更には、レジスタ1が設けられたインストルメントパネル3の美観も高くすることができる。
【0072】
また、このレジスタ1では、第1軸体71bを第1支承孔13に支承させた際、比較例のレジスタ100に比べて、第1下流側フィン7aが支承部51bに対して上方に位置することにより、以下の作用を奏することができる。すなわち、比較例のレジスタ100では、図9に示すように、第1下流側フィン7aが支承部51bに対して下方に位置することにより、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際、第1下流側フィン7aによって、下向きに案内された風の一部がカバーパネル3cの前端面に衝突してしまう。この結果、比較例のレジスタ100では、下向きの風の指向性が損なわれる。
【0073】
これに対し、実施例のレジスタ1では、図7に示すように、第1下流側フィン7aが支承部51bに対して上方に位置することから、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際、第1下流側フィン7aによって下向きに案内された風は、カバーパネル3cの前端面に衝突し難く、カバーパネル3cの上方を好適に流通する。このため、実施例のレジスタ1では、下向きの風の指向性が損なわれ難くなっている。
【0074】
さらに、このレジスタ1では、第1~3下流側フィン7a~7cのうち、下端に位置する第1下流側フィン7aを本発明における特定フィンとしており、第1フィン本体71aの表面を第2意匠面710としている。ここで、第1~3下流側フィン7a~7cのうち、下端に位置する第1下流側フィン7aは、車室CR内の乗員に視認され易い。このため、第1~3下流側フィン7a~7cが基本姿勢にある際に、第1意匠面510と第2意匠面710とが略面一となることで、レジスタ1は高い美観を好適に発揮できる。
【0075】
また、このレジスタ1では、第1軸体71bを本発明における軸支部とし、第1支承孔13を本発明における被軸支部としているため、第1下流側フィン7aに軸支部を容易に形成することが可能となっているとともに、支承部51bに被軸支部を容易に形成することが可能となっている。また、第1軸体71bを第1支承孔13に挿通させて支承させることによって、第1下流側フィン7aを基本姿勢と傾斜姿勢との間で好適に揺動させることが可能となっている。
【0076】
さらに、このレジスタ1では、第1下流側フィン7aと第3下流側フィン7cとを同一の形状とすることにより、第1下流側フィン7aと第3下流側フィン7cとを共通化することが可能となっている。このため、このレジスタ1では、第1下流側フィン7a、すなわち特定フィンとしての専用の部材が不要となっていることから、この点においても、製造コストの低廉化が可能となっている。
【0077】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0078】
例えば、実施例のレジスタ1は、インストルメントパネル3以外の車室CRの内装部材に設けられても良い。
【0079】
また、実施例のレジスタ1では、車室CRの上下方向を本発明における「第1方向」とし、車室CRの左右方向を本発明における「第2方向」としている。しかし、これに限らず、車室CRの上下方向を本発明における「第2方向」とし、車室CRの左右方向を本発明における「第1方向」としても良い。つまり、第1~3フィン本体71a~73a及び第1~3軸体71b~71cが車室CRの上下方向に延びる構成としても良い。
【0080】
さらに、実施例のレジスタ1では、ベゼル5の第1ベゼル5aが第1壁51及び第2壁52、すなわち、本発明における第1、2支持壁を有している。しかし、これに限らず、インストルメントパネル3等の内装部材が第1、2支持壁を有する構成としても良い。
【0081】
また、実施例のレジスタ1では、第1下流側フィン7aを本発明における特定フィンとしているが、これに限らず、第1下流側フィン7a及び第3下流側フィン7cを特定フィンとしても良い。
【0082】
さらに、実施例のレジスタ1において、第1軸体71bを本発明における被軸支部とし、第1支承孔13を本発明における軸支部とすることにより、第1下流側フィン7aが第1支承孔13を有し、支承部51bが第1軸体71bを有する構成としても良い。
【0083】
また、実施例のレジスタ1において、第2ベゼル5bを省略するとともに、第3壁53及び第4壁54に対して、第1~5上流側フィン9a~9eが上流側揺動軸心O4周りで揺動可能に支承される構成としても良い。
【0084】
さらに、実施例のレジスタ1において、第1~5上流側フィン9a~9eを省略しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、車両の空調装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…レジスタ
7a…第1下流側フィン(フィン、特定フィン)
7b…第2下流側フィン(フィン)
7c…第3下流側フィン(フィン)
13…第1支承孔(被軸支部、支承孔)
51…第1壁(第1支持壁)
51b…支承部
52…第2壁(第2支持壁)
71a…第1フィン本体(フィン本体)
71b…第1軸体(軸支部、軸体)
510…第1意匠面
710…第2意匠面
711…裏面
CR…車室
O1…第1揺動軸心(揺動軸心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9